PandoraPartyProject

シナリオ詳細

遅延探偵イレギュラーズ

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●惨劇は事件の始まり
「キャー!!」

 古びた羊羹もとい洋館に絹を裂くような悲鳴が響き渡る。どうでもいいけど絹を裂いてもこんな音しないと思う。
さておき、その声を聞きつけた数人の人物が悲鳴の主、ミタ・ファーストの元に駆けつけたのである。
 
「どうした!何があった」

 トイツ・メールが開け放たれた扉の前に座り込んでいる、青い顔をしたミタを問いつめる。

「あぁ、トイツ。なんてことなの、アレを見て頂戴!」

 そう言ってミタが扉の向こう、部屋の中を指差した。言われるままに部屋の中を覗き込んだ彼らは言葉を失う。そこにあったものは、彼らのよく知る男、ナーグラ・レイターがピクリとも動かず赤い水たまりの中に沈んでいる姿であった。

「そ、そんな!ナーグラ、嘘だろう!?」

 ドゥーヨ・シテイルは動揺している。

「許せねぇ、一体誰がナーグラを……!」

 シンハ・ニンデスは義憤にかられている。

「おい、ミタ!どういうことなんだ、これは一体……!」

 トイツはその状況を見て、更にミタを厳しく問い詰める。

「わからない、わからないわ!朝になっても起きてこないから様子を見に来たら、もう彼は……!」

 しかしミタにそれを説明できるはずもなかった。彼女自身、この状況にパニックを起こしているのだ。

 物言わぬナーグラ、その傍らに落ちている重くて硬い物体。そしてなんかやたら赤いシミがいっぱい付いているシンハの服。

 事件は始まったばかりである……。

●事件は茶番の始まり
「犯人はシンハだよ」

 という境界案内人、カストルの言葉にイレギュラーズは言葉を失う。
 それ、最初に言っちゃダメなやつじゃない?

「まぁ、そうなんだけどね。実は、彼が犯人だということがすぐに分かってしまうと大変なことになってしまうんだ」

 というと?

「なんやかんやあって、大変なことになるんだ」

 ……なんやかんやとは。

「なんやかんやは、なんやかんやだよ」

 …………大変なこととは?

「色々あって世界が滅ぶかもしれない」

 めっちゃ大変じゃん。

「そうなんだ。だから、君たちには事件の起こった洋館に言ってもらってなんとか犯人発覚までの時間を引き伸ばしてほしいんだ」

 どのくらいの時間を?

「そうだね、おおよそ、3~4千文字くらいかな」

NMコメント

 こんばんは、あるいははじめまして、小柄井枷木です。

 オープニング読んだ時点でわかるかと思いますが、コメディ路線なシナリオになります。
 状況から犯人は一目瞭然ですが、いろいろな事情があってすぐに判明してはいけないので、天帝に扮したイレギュラーズの皆さんに事件に乱入して引き伸ばしを行ってもらいます。

 的外れな推理を披露したり、別の人を犯人に仕立て上げようとしたり、宇宙人の仕業だと言ってみたり、事件と関係ない人を連れてきちゃったり、あるいは私が犯人ですと名乗ってみたり。
 とにかく思い思いの方法で事件を錯綜させてください。

・事件の状況について。
 舞台は2階建ての古びた洋館。1階には食堂やキッチン、浴室など。2階には客室などがあります。事件が発生したのは2階の客室の中の一つ。
 特に変わった部屋なんかはありませんがイレギュラーズがあると言えばあったことになります。階数が増えたり屋根裏部屋とか地下室とかもあると言えばあります。

・事件の関係者関係者
 ・ナーグラ・レイター:被害者です。殴られて倒れています。倒れているところには赤い水たまりができており、傍らには重くて硬い物体が転がっています。

 ・ミタ・ファースト:ナーグラの恋人にして、事件の第一発見者です。朝食に出てこないナーグラの様子を見に来たことにより事件が発覚しました。

 ・トイツ・メール:ナーグラの友人です。友人の変わり詰めた姿を目撃して気が立っており、不審な言動をするものを問い詰めずに入られません。

 ・ドゥーヨ・シテイル:ナーグラの友人です。トイツとは逆に動揺しきっており、適当なことを言われても真に受けてしまいそうな精神状態です。

 ・シンハ・ニンデス:真犯人です。ミタに気がありましたがナーグラに諭されたことでついカっとなってやっちまいました。服とか手にに赤いシミが付いています。

 概ねこんな状況ですが、イレギュラーズがあるって言えば色々あったことになりますし、モブとかも生えてきます。

 それでは、皆さんのご参加お待ちしております。

  • 遅延探偵イレギュラーズ完了
  • NM名小柄井枷木
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2020年06月22日 22時15分
  • 参加人数4/4人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

リュカシス・ドーグドーグ・サリーシュガー(p3p000371)
無敵鉄板暴牛
コゼット(p3p002755)
ひだまりうさぎ
ウィズィ ニャ ラァム(p3p007371)
私の航海誌
秋野 雪見(p3p008507)
エンターテイナー

リプレイ

●登場!遅延探偵イレギュラーズ
「ん?おい、シンハ!お前、手が真っ赤じゃないか!それに服にも赤いのが……おい、まさかそれ……」

 ナーグラを発見した衝撃が落ち着いてきたとき、トイツがとある事に気がついた。
 シンハの手や服にまるで人を殴りつけて返り血を浴びたような真っ赤な汚れがついていたのである。最初に気づけや。

「し、しまった、慌ててたから洗ってる暇が……!いや、これは違うんだ!」
「なにが違っていうんだ!!」

 トイツは激昂したようにシンハを問い詰める。シンハの方もなんとか言い訳をしようとするが、どう見ても現行犯アウトなのでどうにもならない。しどろもどろになりつつ、トイツの剣幕に押され窓際まで追い詰められたそのとき。

「危なーい!」

 ガッシャッーーーン!!!

「ギャァアアアアア!?」

 窓を突き破って躍り出る人影!
 飛び散る窓ガラス!
 それが突き刺さって血まみれになるシンハ!

 メッチャクチャだよ。

「キャアアア!?」
「な、なんだ!?」

 惨劇のおかわりに悲鳴を上げるミタに、動揺するドゥーヨ。

「あたしはコゼット!はなしはこのウサ耳で全て聞かせてもらったよ……!」

 そう言って、窓から飛び込んできたコゼット(p3p002755)は名乗りを上げる。
 シンハは痛みにもがいている。

「窓から飛び込んでくる探偵が居るか?!」

 トイツが叫び、頭を抱えていると。

「おっと、先を越されちゃったか」

 そんな背後からの声。

「今度は何だ次から次に?!」

 それにトイツが振り返ると。

「どうも、ボクはリュカシス、探偵デス」
「私は逆転探偵、ウィズィニャラァム!お任せ下さい、どんな事件も逆転の発想で解決しますよ!」
「超絶推理、名探偵雪見ちゃん!やってきたわね、私の時代が……!」

 次々現れるリュカシス(p3p000371)、ウィズィ(p3p007371)、雪見(p3p008507)。
 先に部屋に来てたコゼットのところまで行くと、揃って名乗りを上げながら思い思いに格好いいポーズをとる。なんか探偵っぽいヤツ。

「私達が来たからにはこの事件、スッキリ解決してあげるよ!」

●そもそも登場人物の半分が探偵って多すぎる
「た、探偵?」
「そう、どんな事件もスッキリ解決!」
「スッキリ解決もなにも……犯人はシンハだ。あんなに返り血を浴びてたんだから間違いない」

 状況証拠確定有罪を宣言するといつだが、そこにコゼットが待ったをかける。

「いやいやちょっと待って。よく見てよ」
「何を……」
「ほら、こんなにガラスまみれなんだよ?返り血なんかじゃなくて、本人の出血だよ」

 治療してやれよ。

「は?いや、もとから付いてた……」
「ね、シンハくん!その血、自分のだよね!」
「え。あ、あぁそうだ。ガラスで切って……」

 コゼットにガラス浴びせられたことはふざけるなと思うけど、都合の良い展開なので頷くシンハ。

「ほら、本人もそう言ってるし!事件は振り出しだね!捜査開始!」
「え、えぇ……」

 トイツも納得は全然いってないが、頭に血が上っていたこともあって見間違いじゃなかったと言い切れず押し切られてしまう。しまった。

「そんなこと言わせちまってごめんな……」
「なにが!?」

 もやもやした気持ちでいるトイツをウィズィがイケメン顔で宥める。宥めてるのかこれ?

「皆さん聴いてください、今ここにいる9人の中に真犯人がいます……」

 急にそんなことを言い出す雪見。

「あんたそれ言いたいだけじゃないだろうな?……いや待て9人?ナーグラを入れてもここには8人しか」
「そうですヨ!待ってくだサイ!」

 と、トイツを援護するようにリュカシスが声を上げる。

「お、おぉ。あんたらの中にもまともな人が……」
「ボクの調査ではこの館の地下一階と二階に大家族が住んでいましタ!全部で20人くらい。9人じゃたりないデスヨ!」
「まともじゃねぇ!?」

 リュカシスが声をかけるとぞろぞろと人が、入り切らなかったので隣の部屋で待機してもらことにしました。

「いや、そもそもこの家に地下なんてねぇぞ!?」
「探したらありまシタ!あと隠し通路とか隠し扉とか隠し部屋とか隠し食料とカ。食料は美味しかったデス」
「食ってんじゃねぇよ!?」

 いつの間にか勝手に家探ししてたリュカシスを問い詰めるトイツ。
 一通り怒鳴ると流石に疲れたのか、ぜいぜいと肩で息をする。

「そんなこと言わせちまってごめんな……」
「うるせぇ!?」

 宥めるウィズィ。怒鳴るトイツ。

「うーん、まぁ増えた人も全員容疑者ってことで」
「あんたも適当言ってんじゃないだろうな……」
「そんな事無いよ。この名探偵雪美ちゃんは可能性を提示するにゃ」

 語尾がちょっと気になったが、漸くまともな推理を始めそうな雰囲気になったので、とりあえず雪見の話を聞く姿勢になるトイツ。

「その1……ナグーラ・レイターさんは死んでないという可能性!」
「は?」
「なるほど、逆転の発想というわけですね。これは…事件でも何でもありません!というわけでご飯でも食べに行きませんか。ちょっと行ったところに美味しいフルーツサンドの店がありましてね…」
「オイ待てコラぁ!?」

 前提をひっくり返すようなことを言い出す雪見にそれに乗っかって飯にしようぜとか言い出すウィズィ。そして怒鳴るトイツ。
 画面の端で怒鳴り声に反応するように一瞬ピクリと動くナーグラ氏。を、優しく叩いておとなしくさせるリュカシス。トイツは怒鳴るのに忙しくてそれに気が付かなかった。

「気に入りませんか?」
「それ以前だろうが!?」
「じゃあその2!ナグーラ・レイターさんは自殺という可能性!」
「む……」

 先程よりはまともそうな推理である。

「私は皆が容疑者と言ったけど、人を疑うのは良くない!」
「おい」

 なんか風向きが変わってきた。

「まずは自分でやらかしちゃった可能性があることを考えないといけない!自分のせいだったらむしろ謝ってほしいと私は思う!こんなおおごとにしやがって!」
「何をキレてんだお前は!?」
「そんなこと言わせちまってごめんな……」
「それで済ませられると思うなよ!?」

 被害者に責任を求める雪見。当然の権利で怒鳴るトイツ。宥めるウィズィ。カオスである。

「しかし発想はいいと思うんですよ」
「何がだ」
「つまり、これは事件ではなく……事故!
そう、転んだときに偶然底にあったナイフがぐさっといってしまったんですよ。
その証拠に現場にはナイフが残されて……ナイフ……撲殺じゃねーか」
「適当喋ってんなよお前」
「そんなこと言わせちまってごめんな……」
「何もごまかせてねぇからなそれ!?」

 逆転の発想で勝負するウィズィ。敗因は現場の状況を度外視したことだろう。

「待ってよ皆!」

 と、ここでコゼットが新たな推理をブチ立てる。

「あの窓を見て!窓がなぜか外側から突き破られている……犯人は窓から侵入した可能性がおっきいね!」
「お前が破ったんだよ!?」
「だいたんな犯行だよね」
「お前がな?!」

ぜぇぜぇ。一息。をつく間もなく。

「それとこれ!」

 コゼットが床を、というかそこに転がっていた重くて固くて大きいものを指さす。鈍器とも言いますね。

「なるほど……犯人がわかったよ!」
「ほ、本当ですか!?」

 声を上げたのはドゥーヨだ。さっきから状況がひっちゃかめっちゃかで動揺の極みにあった彼は、パッと見希望の言葉であるそれに飛びついてしまった。コゼットにすれば、吊るした釣り糸にすぐさま魚がかかった気分だろう。

「初歩的な事だよ、ドゥーヨ・シテイルくん…つまり犯人は、ナーグラ・レイターさんを殴った人……まちがいないね」

 でしょうね。

「その、殴った人は……?」
「殴ってから逃げたんだよ、おそろしいね」

 そういうことを聞きたいんじゃないと思います。

 さて、ここから先の推理は、あまりにも混迷としているのでダイジェストでお送りすることを許していただきたい。

「うん、やっぱり逆転の発想で行きましょう。これは自殺です!」
「最後の可能性!皆知ってのとおり殺されてしまった可能性!」
「隠してあった3階と4回はすごいことになってまシタ!」
「状況を見るに犯行はついさっきなんだよ」
(ナーグラ氏を優しく叩く音)
「これが人に殺されそうな顔に見えますか?人に殺されそうな顔ってなんだよ」
「なんかあのすごいのでみんなクレイジーになっちゃったんデスネ。怖いなぁ、怖いなぁ、嫌だなぁ」
「犯人は現場に戻るっていうもんね。ミタ・ファーストさん、もしかして……」
「この推理が正しければ、怪しいやつが真犯人にゃ!」

 そろそろ時間も稼げたようで。

「あー、じゃあ逆転の発想でいきましょう」

最後に推理を披露するのは、ウィズィだ。

「殴られても良かったのでは?」

 その胡乱な言葉にしかし、さっきから怒鳴りっぱなしで疲れ果てたトイツはもとより、動揺して頭が働いてないドゥーヨ、元来気が弱いミタ、あんまり喋ってボロを出したくないシンハの誰も言葉を返さない。

「じゃあ皆さん、目を瞑って下さい」

 なんとなく、流れのままにそれに従う一同。

「この中でナーグラさんが殴られてよかったなーって思ってる人ー?」

 学級会か。

「はい、手を下げて。目を開けてください。シンハさんは後で職員室に来てくださいね」

 シンハ一人だけが手を上げていたバラすウィズィ。お前もよく手ぇ上げたな。

「テメェ、やっぱりお前だったのか!!!」
「いや、違、これは陰謀だ!?」

 トイツがシンハを取り押さえる。動かぬ証拠が出てきた以上、もはや逃れることはできぬだろう。

「犯人は!お前だにゃ!」

と、そんなシンハを雪見がドヤ顔で指差して。

「よっし!そろそろ四千字くらい行きましたかね!
そろそろご飯に行きますか?
ちょっと行ったところに美味しいフルーツサンドの店がありましてね……」

 ウィズィが皆をご飯に誘う。

 こうして一つの事件がイレギュラーズ達によって無事に解決を迎えたのであった。

成否

成功

状態異常

なし

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