シナリオ詳細
にゃんにゃんへるぷ!
オープニング
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幻想のとある街道沿いの街には、赤い瞳のメインクーンをはじめとした200匹ほどの猫達がいる。
「この街、セイケトルという名前の街なのですが、以前この猫達に襲撃された過去があります」
ローレットにて、『穏やかな心』アクアベル・カルローネ (p3n000045)がイレギュラーズ達へと今回の事態について説明する。
このセイケトル、幻想においてもメインとなる街道上にある町で、多数の人々が行きかう街だ。
王都へと向かう行商人、旅人、今ならイレギュラーズ、または、幻想の騎士、兵士、貴族など、様々な者達がこの地を通過する。
その際、様々な物品を売買し、飲食し、場合によっては宿で一泊。
この地はそうした人々によって、潤う場所となっている。某世界のイメージでは、道の駅などがイメージとして近いだろうか。
「そんな街が以前、大量の猫達に襲撃されるという事件に見舞われたことがありまして……」
全長1mもある赤目のメインクーン(性別♂、名称:たこやき)を中心に200匹ものにゃんこ達。
我が物顔でのし歩く彼らは一時、この街を蹂躙する勢いだった。
貴族が通ろうが馬車が通ろうがお構いなしにメインストリートを闊歩し、住居に侵入してありったけのおまんまを食い漁り、洋服を破り、家具で爪とぎし、やりたい放題。
その騒ぎは、ローレットから派遣されたイレギュラーズ達がメインクーンを懲らしめたことで収まりを見せる。
イレギュラーズ達はその際、多数の猫達が街に共存できるよう提案した。
猫がいる街として売り出せば、きっとたくさんの人が集まってくるだろう、と。
「ですが、共存は簡単にはいかなかったようです……」
セイケトルの街の住民達も少しずつ猫達の情が湧き、裏路地の猫達がくつろげるスペースを作ろうと計画を立てていた。
裏路地の一画に屋根付きの小屋を作り、そこで雨風が凌げるように。
また、水場もしっかりと敷いておき、飲料用とトイレ用と分けられるような場所づくり。
あちらこちらに遊具も用意して猫達を飽きさせないような工夫ができればと街の人々も様々な案を出していた。
きっと楽しい場所になる。
セイケトルの人々はいつしか猫を好きになりつつあり、自分達の仲間のように感じ始めていた。
……だが、その計画はすぐに頓挫してしまうこととなる。
「混沌中の猫好きが集まるようになりまして、街の人達の業務がパンクしてしまったようなのです……」
元々、街道上にあることから人の行き来は多い場所であり、日々の業務だけでもそれなりの量をこなす必要があった。
ここにきて、猫達目当てに観光客まで爆発的に増えたのだからたまらない。街の人達はそちらの対応でいっぱいいっぱいになってしまう。
こうなると、猫達へのフォローが徐々におざなりとなってしまって。
餌は猫好き達がくれるのでどうにかなるが、清掃の手が行き届かず衛生面の問題が発生してしまう。
また、猫好きも行き過ぎて自分の主張を押し付けようとする者もいる。そうなると、猫達にもかなりストレスが溜まってしまう。
当然ながら、猫の為のスペースづくりなど、計画倒れ仕掛けている状況である。
「猫達も気が立ってしまって……町の人達との確執ができているようなのです」
この状況を良かれと思って提案したローレット勢としても、見過ごせる状況ではないだろう。
状況の改善としては、大きく2つ行わなければならない。
まず、日々の仕事に忙殺されるセイケトル街の人々のフォロー。
そして、裏路地の猫達へのフォローだ。
前者は人員のカバー、接客の為の育成が必要となる。どこかから人材を連れてくる必要があるだろう。
後者は猫達が気楽に過ごせる場所づくり。元々街の人達が計画していた猫の為のスペースづくりができればいいのだが……。
「やることは多いですが、皆で頑張って色々と出来たらと思います」
全て解決ができなくても、その糸口だけでも掴むことができたら。
アクアベルはそうイレギュラーズ達へと望むのだった。
- にゃんにゃんへるぷ!完了
- GM名なちゅい
- 種別通常
- 難易度EASY
- 冒険終了日時2020年06月23日 22時20分
- 参加人数10/10人
- 相談5日
- 参加費100RC
参加者 : 10 人
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参加者一覧(10人)
リプレイ
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幻想某所の街道沿いにあるセイケトルの街。
この地へ、やってくるのが2度目というメンバーもちらほらといて。
「ここって、前に猫さんがいっぱいで大変なことになっちゃってた街だよね?」
炎の神と人間のハーフである『炎の御子』炎堂 焔(p3p004727)もその1人。
「なんだかまた大変なことになっちゃってるみたいだし、猫さんや街の人達のためにもなんとかしてあげないと!」
力を込め、焔はこの状況の打開に尽力しようと気合を入れる。
今チームの半数メンバーは以前、多数の猫達が一気に押し寄せてきたこの街で、猫達を率いる赤い瞳のメインクーン「たこやき」を懲らしめて、好き勝手する猫達を裏路地で大人しく暮らすよう説得した。
「たこやき……! まさかまた会うことになるとは思わなかったです!!」
某屋敷で女装メイドとして働く『ステンレス缶』ヨハン=レーム(p3p001117)も、以前出会った全長1mのボス猫を抱き上げる。
「にゃふん」
よく来たなと言わんばかりに、ヨハン銘々のたこやきは貫録を見せる。
「なぁーん、みゃぅ! みゃー、にゃぉ」
「にゃふん」
全長3mもある巨大猫、『じゃいあんとねこ』陰陽丸(p3p007356)も人々とたこやき含む猫達が仲良く過ごしていたことを喜び、ギフト「巨猫の威容」を使ってたこやきに挨拶する。
イレギュラーズは前回の事件解決後、街の人達にも猫と共存する街づくりを提案していた。
街の人が猫を世話し、猫が街に客を呼び込んで恩恵を与える。確かに、それは両者に利がある状況だ。
まずは、現状確認をと、路地裏に向かう一行。
「地域猫自体は見慣れたものだが、これほど大規模なのは珍しいな」
もふもふの黒猫、クロエ(p3p005161)は少なからず警戒している猫達に気付き、なるべく街と猫達の両者が納得いく形で収めたいと希望を口にする。
以前、ここからついてきたオスの白猫と黒猫を連れてきていた『暴風バーテンダー』モカ・ビアンキーニ(p3p007999)。
まだ名前を付けられてはいない猫達だが、久しぶり出会った猫達の触れ合いを見ながら、モカもこう誓う。
「一度関わった案件、上手く軌道に乗るまでのアフターサービスはできる限りしようじゃないか」
どうやら、猫との共存は簡単ではなかったらしく、増えた猫目当ての観光客の相手で手いっぱいになった街の人々は、猫の相手に手が回らず、裏路地の環境は悪化の一途をたどっていた。
「にゃんこにも街の人達にも悪意がないだけに、なんとかしてあげたいところだよね」
飄々とした態度の旅人、『機械眼の騎士』御幣島 十三(p3p004425)も前向きにこの事件の対処に当たる。
仮に、街から猫達を離すという案も考えはした十三だが、街の人も一度は猫と共存の道を選んだのだ。その手段は街の人達に蟠りを残すことになると指摘する。
それに、見た目共々誇り高きライオンである『百獣王候補者』アレクサンダー・A・ライオンハート(p3p001627)が同意を示す。
「にゃーぉ、んなぁ」
「にゃふう……」
ただ、今は街の人が忙しく、関係性がピンチな状況はいけないと陰陽丸が声を荒げると、たこやきも少し困った溜息をつく。
観光客が餌をくれるので餓死はしないが、街の人々がその観光客の相手で手いっぱいの状況。
裏路地の清掃、猫の為のスペースづくりに手が回らず、衛生面の悪化も手伝って休める場所が無くなってきており、猫達の気が立っていたのだ。
「ストレスは……良い睡眠を妨げる毒。みんなで……頑張らないとね」
青白い毛並みでやや眠たげな眼差しの猫の獣人、『いつもすやすや』ニャムリ(p3p008365)の言葉に、陰陽丸は頷いて。
「にゃーん、みゃみゃぅ!」
「危ないどつきあいは無さそうなお仕事ですが、気を引き締めていきましょう!」
折角、あの喧嘩を乗り越えて結ばれた縁を何とか自分達で繋ぎ止めたいと陰陽丸は主張すると、ヨハンも真剣にこの事態と向き合う構えだ。
「にゃんこも人も大事だからこそ、共存の方法を考えよう。弥七、手伝ってくれるかい?」
十三が声をかけた猫、二代目『弥七』は任せてと言わんばかりに元気に返事してみせる。
「みんなで協力して、素敵なにゃんにゃんぱらだいすを目指しましょ~」
猫ちゃんと仲違いするなど悲しいと、片目を前髪で隠す幻想種女性、『遠足ガイドさん』レスト・リゾート(p3p003959)が仲間達へと促すと、冒険者として活動する家出少女『にゃんこ大好き!』シャルレィス・スクァリオ(p3p000332)も上手くいきかけていた街の状況が見過ごせずに。
「大好きなにゃんこさんの為! そして町の人達の為! セイケトルが素敵な街になるよう全力でお手伝いするよ!」
街に響くくらいの大声で、この街の悩み解決を奮起するのである。
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まず、ローレット勢は簡単に街の人達と接触して事情説明する。
焔が気にかけたのは、猫達の為のスペースづくりという住民達による計画だ。
「人が足りなくて作業が出来てないだけなら、ボク達が作業に入れば計画が進められるよね」
猫達と共存する街をつくるならまず、猫達が暮らせる環境づくりからと焔は主張する。
ただ、住民達はこの事態を好転させたくても手が回っていない。
この場は以前、街を救ってくれたイレギュラーズ達に任せ、落ち着いてから改めて話をしたいとのことだ。
そんなわけで、一行は裏路地の猫達のケアから当たり始める。
「まずは急いで現在の環境を良くしないと!」
シャルレィスは人助けセンサーを働かせて、困っている猫達を探す。
「なーん、みゃん!」
陰陽丸もたこやき同様に猫達と意思疎通し、悩みや愚痴を聞く。
すると……。
(1人になりたいにゃ……)
(なんか、くさいにゃあ)
(眠たいのに、人間が構ってとうるさいにゃ……)
あちらこちらから不満の声を漏らす猫達に、クロエがカリスマを働かせて。
「世話をされて当然等と思うから、人の手が回らぬ現状に不満が出るのだ」
「「うにゃっ!?」」
「良き隣人が手助けを時々してくれる、と思えば感謝しか出ぬだろう」
驚きの声を上げる猫達へ、クロエは地域猫としての心構えを語る。
「我ら誇り高き野良猫ぞ」
元々、猫達は集団でこの街へと流れついた猫達だ。
それまでは自分達だけで生きており、己の力のみで生きるのが野良猫の基本。完全な世話を望むのであれば、飼い猫になるしかない。
「それを望まぬのであれば、互いに適度な距離を持つ良き隣人としてあろうではないか」
「「うみゃ……」」
雨露を凌げる場所、食うに困らぬ餌。確かに、猫達はこの環境に甘えていた部分はあると考え直していたようだ。
その間に、猫達の不満を汲み取ったシャルレィスから十三は状況を聞いて。
「なるほど」
ある程度、事態を把握した十三は医療知識をフル活用して水場の清掃、消毒に動く。
「トイレは猫砂の固まっている部分だけを取り除くだけじゃ駄目だ。細菌が繁殖するからね」
続き、水飲み場として利用されている水を見て、十三は雨水が溜まっている状況だと確認して。
「水飲み場の水も定期的に新しいものに入れ替えないと、清潔さは保ちにくい」
ただ、この場にいるのは200匹もの猫だ。
いずれの水場も全自動で済ませられるよう、十三は改造を試みる。 当然、自動にするなら動力が必要だが、それを猫達が作ることができるよう、エクササイズホイール……猫版回し車を十三は利用する。
「これを彼らのたまり場に設置して、発電できるようにするんだ」
後は、定期的にホイールで遊ぶように。
トイレの利用の徹底を含めた調教はクロエの力を借りつつ建設を進めるが、猫のサイズの問題もあってホイールの大きさ、エネルギー変換などの問題に十三は頭を悩ませていた。
「トイレは1ヵ所につき2セット設置できないかな」
また、清掃中の利用も想定して提案を行うシャルレィス。モカがある程度の数の確保も願ったが、動力を考えれば数を増やせず、路地の3ヵ所設置に留まった。
そのシャルレィスは屋根付きの小屋の建設に動く。
「みゃっみゃっ、なーぉ」
先に陰陽丸がスペース建設予定地に陣地構築を使いつつ資材、バリケードで簡易スペースをつくると、安堵してお昼寝する猫も出始めていた。
さて、そこに小屋を建てるのだが、シャルレィスは内部には猫達が入れる箱、鍋や、ふかふかの毛布を用意する。
「遊んでばっかりじゃなくて、ゆっくりお休みしたい時もあるよね」
また、小屋の上、人が来られないような高い場所に、手伝いに当たる焔は猫達が休める休憩所を増設する。
「にゃにゃーぉ、みゃん」
これには、陰陽丸も満足げに頷く。
「なぁーん、みゃー、なぅ」
先程焔も言っていたが、陰陽丸の言葉を人が理解できるように解釈すると、『初めての人がいい人か分からない、疲れたから相手はしたくないけどそばにはいたい、みたいな事はありますからね!』とのことだ。
完成には時間を要するが、ここでのんびり日向ぼっこする猫も出始めるだろう。
しばらく、彼ら達は猫達が寛ぐスペースで汗を流し、小屋づくりに励んでいた。
●
住民担当メンバーは街の忙しなさを観察しつつ状況確認。
多くの店が閉まり始めた夜、会議所へとイレギュラーズ達と街の重役が顔を合わせることとなる。
「手が回っていないのに無理して続けるから、今のような惨状になっているのですねぇ」
戦略眼で、今の状況に無駄な工程がないかとみていたヨハンが指摘する。
であれば、多少の不満はあれど、コンパクトに収めるのが手っ取り早く、目先の利益よりも持続的な商業活動を行い、少しずつステップアップしていくロードマップが必要だとヨハンは訴えかけた。
「ふむ……」
基本、忙しさもあって町から出られぬことの多い住民達だ。
ここはローレット勢の意見に耳を傾け、メモを取っていた。
ヨハンはさらに、観光客ファーストな奉仕精神は一旦捨てましょうと話して。
「まずはきちんと自分たちの街を綺麗にしないと、見かけだけのおもてなしは破綻するです」
路地にいる猫達の衛生面すら管理できていない状況もある。
トイレに関しては仲間達が上手くやってくれているが、他にも餌を食べた後など衛生面の問題はある。
闇雲に掃除してもキリはないと言うヨハンは統率スキルを使い、数人の住民と清掃作業エリアの区画化、効率的な清掃シフトを作っていく。
「決まった日にキレイになるだけでも気が楽でしょう。猫も人もお互い」
そこに、ちょこんとクロエが姿を現して。
「餌やりのルールをお願いしたい」
なるべく、餌場で餌は与え、それ以外の場所で行うなら、清掃の必要が出ないように節度を持ってやってもらいたい、と。
「そうだな。餌は有料にしていい」
合わせて、モカもルールについて話す。
彼女は少し厳しめな意見を告げ、購入者のみ特定場所で与えることが可能とし、それ以外の場所だと罰金という厳しめのルールを提示する。
ただ、ヨハンが清掃について提示していたこともあり、場所はクロエ案で節度を持つ形とし、エサの種類はモカ案としてコックである彼女監修のもとで日替わりで変えられるように決めていた。
合間に、十三が猫に立ち入られたくない部分にアルミを敷く話を持ち掛けたりもしていた。かさかさする音が苦手という言葉に、猫の姿をしたメンバーも同意していたようだ。
「彼らと長く付き合うには、つかれず離れずが一番さ」
そこで、ここまで黙っていたレストが口を開いて。
「今は街の人の善意に頼っている状況だし……忙しくて疲れてしまうのも仕方ないわね~」
実際、やることも多く、丸一日働いた後の住人達は話の中でも疲労を見せており、うつらうつらと眠気を見せていた者もいた。
家に帰ってもこれでは、個々人の家で用意できるトイレの提案は難しいかと、案を出すのを躊躇う。
トイレ増設もさほど数を増やせなかったこともあり、案としては悪くないと考えたのだが……。
「そうすれば、急に催しても人の迷惑になるような場所で致す事は減るはずだ」
実際、クロエは口には出したものの、これ以上の個々人での負担には前向きではなかったようだ。
「じゃあ、ねこちゃんや観光客のお世話専門の人を雇う仕組みを作ればいいんじゃないかしら~?」
「「……!?」」
ここにきて、思わぬレストの提案に、住人達は皆目を覚ます。
レストが提案したのは、セイケトルが運営するホテルのオープン。
観光客の宿泊費によって、専門の人を雇うというものだ。
「おばさんの両親は観光地の運営のプロなの」
これまで、街道を行き交う人を相手にしていた住人達だが、観光客の要望にはなかなか応えられない部分があった。
ここにきて、プロの指導が入るなら、願ってもない話だ。
ともあれ、夜は遅いこともあり、実際の話は翌日以降にして。
「……人と猫のお見合いホテルというのはどうかな」
そのホテルの中に、ニャムリが新プランを持ちかける。
実際に猫を飼いたいと思っている方に、お試しで一緒に泊まってもらうというもの。
「その中で気の合う相手がいたら……新しい家族になって貰うというのは、どうかな……」
猫の中に群れでの生活が合わないという子もいるだろうしと、ニャムリは言う。
この先、猫が子供を産んで増えることを考えれば、いい話かもしれない。
そちらについては前向きに検討だが、まずは観光客用のホテルを作り、それが軌道に乗ってからということで今夜の会議は終了したのだった。
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翌日以降、レスト案のホテル建設の為、彼女の両親から使いがやってくる。
現状はデータでの判断だが、それでもある程度の規模をレストの父は逆算してくれる。
内装に関しては彼女の母のセンスが抜群とのこと。
猫モチーフの家具や内装を手配してもらい、猫好きにアピール。
後は、ニャムリ案のお見合いプランを組み込み、クロエ案の猫用トイレの設置も検討する。
「猫の遊び場部屋なんてものもいいな。私が元々居た世界でも、猫と遊べるカフェがあったのだ」
宿泊客が自由に猫を眺めたり、一緒に遊んだりできる部屋。
これらが利益を生むのであれば、猫の世話役、清掃員を雇うこともできるだろう。
「思わず宿泊したくなるホテルを目指すわ」
建設、運営について、金銭的な事情は街でも賄えそうだが、やはり人員が現状のネックとなる。
「たくさんの観光客が居るんだもの、大きな収入になりそうよね~」
その収入を活かし、たくさん人を雇いたいとのこと。
ホテルの建設の告知を出した地点で、希望者は街から集まってはいたが、それでも足りないようで、レストは会社の観光案内所で求人を出してくれるとのことだ。
「ねこちゃんまみれの夢のお仕事だし、すぐ集まりそうね~」
なお、人材育成はモカが行うとのこと。彼女は休まず作業をと案を持ちかけていたが、さすがにそれだけの規模となれば建設に時間がかかる。
レスト、モカがメインとなってのホテル……名前はまた改めて決めるとのこと……運営については、しばらく時間がかかりそうだ。
「やれやれ、しばらく仲間と一緒に遊べそうだな」
モカは連れてきた2匹の猫達を、仲間と共に遊ばせながら仕事に当たっていた。
ともあれ、その間の繋ぎとして、今回はイレギュラーズ達もできることをと奮闘する。
例えば、ニャムリが直接観光客の応対に当たる。これは、少しでも街の人達に話をする時間や提案を纏めて実行する暇を作れればという考えからだ。
猫の獣人であるニャムリは布団に入って宙に浮き、観光客の目を引く。
(どれくらいお触りされるだろう? ……まぁ、あんまり乱暴じゃなければいいや)
後は、ニャムリはこの街の事情や仲間達の提案について、かいつまんで客にも話す。
客も状況を知っていれば、受け入れてもらいやすいかなとニャムリは考えたらしい。
とりわけ、レスト提案のホテルは好評だったし、猫の為のスペースづくりには数時間ではあったが協力してくれる人もいたようだ。
「ぼくには、あまり役立つ伝手といったものはないけれど……。このお客さん達こそ……この街が得た、立派な伝手だからね」
こうした縁こそが、確かな繋がりとなっていくのだ。
なお、客の相手としては、クロエが問題発生時の仲裁役として動いていたし、陰陽丸も存在感を示す。全長3mの猫はさすがに圧巻。自分よりも大きい猫に、観光客も目を輝かせていた。
また、シャルレィスは街の入り口ににゃんこ案内所をつくる。
現状は即席で建てた小屋に、猫が良く集まるスポットや、猫好き必見200匹いる猫達のデータ集などと情報を載せる予定だ。
それらを一目でわかりやすいようにパンフレットを配れればいいが、そこまで纏めるにはとにかく猫達のデータ収集が必要だ。
「インタビューは私が頑張っちゃうよ!」
皆、自分ができることをと頑張っている状況だ。
余り、街の人も手が空かないようではあったが、シャルレィスの提案を受けて交流の為にと数日かけて1人1匹を担当し、特徴集めをしてくれていた。
シャルレィス本人もまたデータ収集を行うべく猫じゃらしを手に目一杯遊びつつ、ストレス解消。
「……私がにゃんこさん達と遊びたいだけじゃないよ? ホントだよ?」
大変なお仕事が続く中だ。少しくらいは誰も彼女を咎めはしないだろう。
傍では、焔が前回の事件の際、びっくりさせたり、攻撃してしまったりした猫を探し、謝罪の言葉を口にする。
焔は自分の行為が原因となり、人を怖がったり嫌いになっていたりしたら嫌だと蟠りを抱いていたようなのだ。
その仲介にはクロエが当たってくれていたが、猫も素直に受け取る者から、ツンデレ風に許してもいいんだからねっという反応の猫まで様々。
些か疲れた様子の猫もいないわけでなかったが、そこは仲間達がカバーしてくれている分、猫の負担も軽減している。
これ以上ストレスを溜めないようにと配慮する焔に仕方ないなあと猫が近づくと、彼女も目を輝かせて思いっきり遊んでいたようだった。
また、作業の合間に、ヨハンが改めてたこやきへと会いに向かう。
「たこやき、ごめんな。街の人たちは不器用なんだ」
こちらもまたクロエが通訳をしてくれ、両者の意思を伝えてくれる。
負けはしたが、ど付き合いはなかなか楽しかったというたこやき。
今は、この場所が安息の地となればと願っているとのこと。
「少しずつ改善させるから、もう少しだけ見守ってやってくれよ」
そして、キミ達が住みやすい街になったときは、その力で街を、街の人を外敵から守ってあげてほしい。
そんなヨハンの願いに、たこやきは力強く頷く。
自分の役目を終えたクロエは猫側の模範となるよう立ち回りつつも、猫らしく欠伸をして居眠りし始めたのだった。
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数日、セイケトルに滞在していたメンバー達はローレットへの報告、他の依頼との兼ね合いの都合で、今回は一旦引き上げることに。
今回の彼らの成果は、裏路地のスペースに小屋、路地には3ヵ所のトイレ。自動清掃する為の発電用ホイールは十三が大小2種用意した。
餌やり場もいくつか設置して纏め、猫に近寄られたくない場所にホイルを張り、清掃等の手間を減らす。
そして、街の入り口に案内所。現状、紹介は特徴ある猫のみに留まっている。後は住民便りになりそうだ。
後はレストのホテルだが、こちらは建設の問題があるのでしばしの時を要する。モカの接客指導もできる範囲で行い、ホテルができるまでは各店舗で実務手伝いに励んでもらう形だ。
猫達の不満はある程度解消できた。ホテルができれば、住民達の忙しさも少しずつ解消される算段が高い。
セイケトルの住民と猫達に感謝されながらも、イレギュラーズ達は自分達の仕事を一区切りさせてこの地を去ったのだった。
成否
成功
MVP
状態異常
なし
あとがき
リプレイ、公開中です。
MVPは人と猫の仲介役を買って出てくれていたあなたへ。
ホテルなど、大規模な施設の建設などありまして、
また改めてこの街の状況をお知らせできる機会を探したいと思いますので、
少々お待ちくださいませ。
今回はご参加、ありがとうございました!
GMコメント
イレギュラーズの皆様、こんにちは。GMのなちゅいです。
幻想のとある街にいる猫達と住民達がそれぞれ悩みを抱いている状況です。
できることの幅はかなり広くなっているかと思います。
折り合いのつく案を出し、この状況の改善を図っていただければ幸いです。
なお、当シナリオは拙作「にゃんにゃんぱにっく!」の続編に当たります。
こちらのシナリオは読まずとも今作のみで参加ができますので、お気軽にどうぞ。
●目的
人と猫との確執をなくすこと。
以前、イレギュラーズ達に猫と人との共存をと提案があり、それを目指すことが最良です。
最悪、猫達を街から移すことも一案です。これもある意味で確執を取り去る方法だと頭の片隅に置いていただければと思います。
●NPC
○猫……200匹ほど
全長1mほどある灰色の毛並みをした赤い瞳のメインクーン(オス、たこやきと名付けられています)を始め、様々な種類の猫がいます。
街の路地裏に集まり、のんびり暮らしていたはずが……。
多数の猫好きに囲まれて餌はもらうことができるのですが、衛生面の問題や猫達のストレスなどもあって少しずつ機嫌が悪くなり、街の人々との確執が生まれ始めています。
○街の住民達
街道を行く人達などをメインに商いを行うのを生業としている人々です。
以前、イレギュラーズ達に猫との共存を持ちかけられて裏路地に居ついた多数の猫達と共存していますが、日々の業務に追われて猫の相手ができずにいます。
おかげで徐々に猫に嫌われ始めており、ほとほと困り果てている状況です。忙しさに忙殺されているだけで、猫が嫌いというわけではないのですが……。
●情報精度
このシナリオの情報精度はAです。
想定外の事態は絶対に起こりません。
それでは、よろしくお願いいたします。
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