PandoraPartyProject

シナリオ詳細

花嫁様はお怒りです

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●だって、ずっと憧れてたんだもん
 ステンドガラスが綺麗な小さな教会。
 そこでおじいちゃんとおばあちゃんは結婚した。
 身内だけの小さな式だったけど、幸せだったと笑っていた。
 だから、私も結婚式はその教会で挙げたかった。
 彼は「俺はピティに笑って欲しいから、どこでも良いよ」なんて言ってくれた。
 二人で一緒に見に行って、「古いけどちゃんと手入れされててい感じだね」なんて笑いあっていたのに……。
『アタシ、の……』
「んなわけないでしょう! レーユは私の花婿さんなんだからとっくに昔に死んだお化けはすっこんでなさい!」
 現在、私の婚約者であるレーユがぼろぼろのウエディングドレスを着た女の霊にしがみつかれている。
 勿論そんなの見過ごせるはずがない。
 レーユは私の花婿さんになる人なんだから。
 聖水をぶちまけるとお化けがひるんだので、その隙にレーユの手を取って教会その場を離れた。
「なんなのよあれ……!」
「幽霊だよな……?」
「幽霊だろうが何だろうが、レーユは渡さないわよ!?」
「だ、大丈夫だピティ! だから落ち着くんだ!」
 レーユに宥められていると、青い顔をした神父様がやってきた。
「本当にいたのですね……」
「……ご存じだったのですか?」
「話だけですが……」
 聞けば、あの女のお化けは結婚式前日に花婿が花嫁の妹に誘惑され、その手を取って行方をくらませてしまったらしい。何も知らず、綺麗に着飾って花婿を待っていた女は絶望のあまりそのまま死を選んだ。
 それから、この教会では結婚式を挙げようとすると女のお化けが出るようになったという。
「……できれば、彼女の悲しみを解いて現から解き放ってあげたいのですが……」
 彼女は結婚式を挙げようとすると現れる。逆を言えば結婚式が関わらなければ現れない。
 そのせいで、この教会ではここ十数年結婚式を挙げようとするカップルはいなかったし、彼女も大人しかったようだ。
「……どうすれば成仏してくれると思う?」
 レーヌは渡せないけど、彼女には大人しくなるか成仏してほしい。ならどうすればいいだろう。
「問答無用でぶっ飛ばすか、彼女の結婚式を挙げさせてあげる……?」
 思いついたのは二つ。
 きっとどちらかで成仏すると思うけど、別に格闘技とかを習っているわけじゃない一般市民が急に戦えるわけがない。
「手伝ってくれる人探して、どっちかの手段で彼女を成仏させよう!」

●武力か平和か
「花婿さんに結婚式直前に裏切られた花嫁さんを成仏させてあげて欲しいの」
 ちなみに花嫁は幽霊である。
「倒して成仏させても良いし、結婚式を挙げて成仏させても良いみたい」
 なんて対照的な二択なんだと突っ込みが入るが仕方ない。
「倒す場合は教会が小さいからそこが注意かな? 後教会傷つけないようにしてね?
 満足させてあげる場合は誰かが花婿役になって、模擬結婚式をしたらいいみたい。
 どっちにするかは好きに決めて大丈夫! その代わり、しっかり成仏させてあげてね!」

NMコメント

 ジューンブライドのはずが随分軽いノリになりました……!
 このLNでは戦闘と模擬挙式、お好きなほうをお選びいただけます。
 皆さんでお好きなほうを選んで幽霊花嫁を成仏させてあげてください!

●成功条件
・幽霊花嫁を成仏させる。
 方法は戦闘でも模擬挙式でも構いません。

●成仏方法
・戦闘の場合
 コミカルな流れの戦闘になります。
 えぇ、シリアスではありません。
 後教会壊すと後が凄く大変です……。
・模擬挙式の場合
 花婿役を決めてあげてください。
 花婿は別に男性でなくても大丈夫です。女性でも子供でも性別不明さんでも問題なしです!
 花婿以外は挙式を見守るも良し、結婚式を手伝うも良しです。
 挙式の場合、ピティたちも見守っています。
 衣装は貸してもらえます。

●出てくる人たち
・ピティ
 祖母の結婚式にあこがれて、同じ教会で結婚しようとする女性。
 乙女だけど若干脳筋。
・レーヌ
 ピティの婚約者。ピティに甘い。
 のんびり。
・神父様
 十年ほど前に赴任してきた。
 穏やか。
・幽霊花嫁
 自殺した花嫁。ぼろぼろで陰鬱な雰囲気だが、元はそれなりに美人。
 戦闘を選んだ場合、切れて反撃してくる。

●その他
・幽霊になった経緯は暗めですが、本作はかなりコミカルです。
 戦闘シーンはなんやかんやでコミカルになる不思議仕様です。
 挙式だと若干しっとりした雰囲気になるかもしれません。
 両方だと……どちらも軽くざっくりした流れでよければ……?
・幸せしっとりホラーコメディという謎のカオス具合ですが、皆様のプレイングお待ちしております……!

  • 花嫁様はお怒りです完了
  • NM名ゆーき
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2020年06月20日 22時10分
  • 参加人数4/4人
  • 相談4日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

リディア・ヴァイス・フォーマルハウト(p3p003581)
木漏れ日のフルール
ドゥー・ウーヤー(p3p007913)
海を越えて
バルガル・ミフィスト(p3p007978)
シャドウウォーカー
糸杉・秋葉(p3p008533)
黄泉醜女

リプレイ

●選んだ道
「ここらへんでしょうか?」
「もう少し右……うん、その辺り」
 用意した白とピンクの花で小さなブーケを沢山作り、壁に飾っていくのは『木漏れ日の魔法少女』リディア・ヴァイス・フォーマルハウト(p3p003581)と『鏡の誓い』ドゥー・ウーヤー(p3p007913)。
 二人を追いかけるように、これまた白とピンクを重ねたリボンでブーケ同士を繋げて行くのは今回の依頼人でもあるピティだ。
「花とリボンを飾るだけでも華やかになるわね!」
「結婚式は華やかさも必要ですから」
 眼鏡のブリッジを押し上げながら、『胡散臭い密売商人』バルガル・ミフィスト(p3p007978)が頷く。
 そう、今回幽霊となった元花嫁を成仏させるために四人が選んだ道は、彼女の未練を晴らす――つまり結婚式を行うことだった。
 花婿役はドゥーが行い、神父様と『黄泉醜女』糸杉・秋葉(p3p008533)が式を執り行うことになった。

「私の声が聞こえますか?」
 賑やかに飾り付けが行われる教会の一角で、秋葉が元花嫁に話しかける。
 信じる神である冥神、「黄泉津伊邪那美」様の巫女勇者「黄泉醜女」として、未練を残して現世にしがみつく元花嫁を見過ごせなかった。
 元花嫁の心残りを晴らし、あの世に誘い輪廻の輪に導くために、秋葉は今日やって来たのだ。
『結婚式……』
「ええ。貴方の結婚式の準備をしているの」
『アタシの、結婚式……』
 元々誰にでも聞こえていた元花嫁……いや、これから結婚式を行うのだから今も花嫁だ。彼女の声は霊魂疎通を持つ秋葉にはしっかりと聞こえる。
「ドゥー君」
 準備中のドゥーに声を掛ければ、まだ着替えていないドゥーがやってくる。
「紹介するわ。今日貴方と結婚式を挙げるドゥー君」
「えと……初めまして。ドゥー・ウーヤー、です。
 今日は、俺が花婿だけど……良いかな……?」
 小さく首を傾げるドゥーに、花嫁がボロボロの手袋に包まれた手を伸ばす。
『本当に……アタシの……?』
「うん」
 ドゥーも秋葉同様霊魂疎通を持っている。そのため問題なく花嫁と意志の疎通が出来て、今日この後結婚式を行うことを話せる。
「でも、俺は結婚式とか初めてで……見るのも参加するのも初めてで……」
『アタシも、結婚式は初めてだから』
 だから失敗しても誰も分からないよと笑う花嫁は、ボロボロのドレスだけど生前の面影を取り戻していた。
「準備……もう少しかかるから……」
『見ていても良い?』
 リディアたちの手によって可愛く飾り付けられていく教会を見る眼差しは嬉しそうだ。だけどそれと同時に、また直前で花婿がいなくなるのではないかと言う恐怖も隠れている。
「うん。俺も頑張るから……見ていて」
 そんな思いを感じ取ったのか、ドゥーは彼女にそう言葉を掛けた。

●可愛い式場目指して
「どうせライムさんに成仏してもらうなら、少しでも幸せな思いで成仏してほしいよね」
 教会について一番初めに花嫁の名前を確認したリディアは、そのまま好きな色や好きな花を聞き出していた。
 ライムと言う名前と、ピンクや白の可愛い花が好きであることを聞いて、颯爽と動き出した男がいる。
「結婚式ですが……。花嫁の意向に応えつつ、式場に似合う花や装飾を買い付けておきましょうか」
 これまでの経験を活かし、今の時期にある花の中から結婚式に相応しい花を用意するのはバルガルだ。
 勿論一人で持ち運べない量なので、愛用のオフロード車に乗っての買い出しだ。
「予想より多くなってしまいましたね……。何往復かして持ってくれば良いでしょう」
 幸いなのは、教会にもそれなりの備品があったことだろうか。おかげでバルガルのポケットマネー内で必要な物資を購入できた。
 勿論これは、教会で結婚式が行われることをそれとなく話したバルガルの話に、花屋をはじめ、商店街のマダムたちが食いつき、そういうことならと値引いてくれたのも大きい。
 そんなわけで必要物資を購入してきたバルガルは、この結婚式に近所の人達も来ると告げた。その言葉にドゥーが慌てたのは言うまでもない。
「この教会がリニューアルして結婚式を行えることが広まれば、この教会のためになります。そのためにも頑張りましょう」
 胡散臭い笑みを浮かべるバルガルについ頬を引きつらせるドゥーだが、確かにこの教会のイメージアップも必要だ。ライムやピティのためにも頑張らないと。
「宣伝も行いましたし、後はデモンストレーションも兼ねた結婚式が成功すれば一気に有名になるはずです。
 ライムさんは地縛霊ではなく、悲劇の花嫁として華やかに成仏してもらえれば最高ですね」
 幽霊が出る教会から、幽霊さえも幸せになれる教会を目指して。
 バルガルのプランに隙は無かった。
「勿論料金など取る事はありません。
 今までやる事がなかった教会で結婚式が行われるとなれば、暇人や結婚を検討している方くらいは来てくださるでしょうしね」
 怪しく眼鏡を開かせるバルガルから距離を取ったリディアたちだが、参加者が来るならゆっくりしている暇はない。
「幸いみんな模擬結婚式に賛成してくれたし、少しでも印象に残るような結婚式のお手伝いをしてあげたいな」
 みんなで綺麗にした教会に飾られた、沢山の小さなブーケと優雅に続くリボン。
 椅子にもブーケとリボンで飾り付けながらリディアが微笑む。
「飾り付けはこんなものかしら?
 あと、結婚式といったらウエディングブーケね」
 飾り付けで残った白とピンクの花を使って小さなブーケを作って、白いフリルとレースで飾りつけしたウエディングブーケを作るとライムのところに持っていく。
「あの、ライムさん……。投げられるかはわかりませんが……」
 おずおずと差し出されたブーケに手を伸ばすと、一瞬すり抜けた手が、しっかりとブーケを抱きしめた。
 そのことにほっとしたリディアは、嬉しそうに笑ってこの後の事を話す。
「今から私達も着替えてきますね。あ、ライムさんたちの結婚式のためですよ?
 お祝いのために近くに住む人達も来てくれるそうですよ!」
『アタシたち……お祝い……?』
 リディアにはライムの声は少し途切れ途切れだけど、思いは伝わっている。だからにっこりと笑顔を浮かべた。
「はい! 最高に幸せな結婚式にしましょうね!」

●手を繋いで、幸せへの道を歩いて
「私とて巫女の端くれ。神事を行う事に関しては一通りの知識は有しております。ですので神父様のお手伝いをしましょう。
 ええ、正直異教の結婚式の仕方なんか全くわかりませんが! 何とかなるでしょう!」
 ぐっ! と手を握りしめる秋葉に神父様は苦笑している。
 とは言え誰かの幸せを祈る心に、手順や流れなど関係ない。
「えぇ、今日は宜しくお願いしますね」
 穏やかに微笑むと、神父様は着替えたドゥーと、ボロボロのドレスに身を包んだライムを見た。
「流れは先ほど確認した通りです。とは言え私も結婚式なんて十年以上縁がなかったので、間違えても気づきませんよ」
 茶目っ気たっぷりな言葉を言い残して、神父様は先に式場内に入っていった。
 残るドゥーの緊張が、その言葉に少し緩む。
 失敗しても大丈夫。今日ドゥーが一番大切にしなくてはいけないのは――花嫁さんに真摯な態度で接する事だから。
「この日をずっと待ってたんだよね。今日は俺が君を……その、幸せにするから」
 その言葉に、ライムはぎゅっとドゥーの手を握りしめた。
 幸せにするのは異性としてではなく、死後の世界に導くことだけど、ライムにに幸せになって欲しい気持ちは本物だ。ドゥーたちからライムに触れることは出来ないので、乱れた髪も直して上げられなかったけど、縋るような緊張した眼差しは、きっとドゥーの思いが伝わっているから。
「行こう」
 ゆっくりと扉が開く。
 天から極彩色の光が降り注ぐ式場に、ドゥーとライムは並び、寄り添い足を踏み入れた。

 可愛らしいレモンイエローのドレスを着たリディアは、ゆっくりと進む二人の、特にライムの表情を見て嬉しくなった。
 初めは陰鬱とした雰囲気だったのに、今の表情は幸せに満ち溢れている。
 幽霊花嫁と聞いていた参加者たちも、ボロボロのドレスや髪型はともかく、幸せそうなライムの姿に驚き感嘆のため息を零す。
 参加者に混じってその様子を観察していたバルガルは、参加者たちの様子に教会のイメージ払拭が成功した手応えを感じ取っていた。
 ピティとレーユもほぅ。と息を吐いて魅入っている。
「汝等、お互いをその死が分かつまで想い慈しみ愛する事を誓いますか?」
「誓います」
『誓います』
 浮気嫌いな冥神の元に愛を誓う二人に、神父様が祝いの言葉を告げる。
「今日、この良き日に、お二人の誓いは神に認められました」
 誓いのキスはないけれど、それでも神様の元で愛を誓えた。それだけで、ライムは幸せだった。
『有難う』
 嬉しそうに微笑み、涙を零すライムに、ドゥーは微笑み、リディアはいつか来るであろう、自分の結婚式に思いを馳せる。
 バルガルが率先して拍手をすれば、参加した人たちにも拍手が広がる。
「ライムさんが、幸せになってくれて良かった」
 前髪で隠された瞳。だけど、その眼差しはきっと優しくライムを見守っている。
「我が神よ。どうかこの魂に導きを。実りある来世を送れるように導いてくださいませ。畏み畏みも申す」
 雰囲気を壊さないように、静かに秋葉が祝詞を口にする。
「大丈夫、この炎は怖い物ではないし、教会を傷つけません」
 ふわりと広がった黒い炎に一瞬ざわめきが起こるが、その言葉に静寂が広がる。
『有難う皆さん。有難うドゥーさん』
 炎に身を包んだライムの姿が、生前の美しい姿となる。
「今度こそ、幸せになってね」
 ドゥーのその言葉に幸せ一杯な笑顔を浮かべたライムは、炎と共に消えた。

 その後、その教会は『幽霊も幸せになれる教会』として、沢山の人たちの幸せを祝う場所となった。

成否

成功

状態異常

なし

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