PandoraPartyProject

シナリオ詳細

Ask, are you my master?

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 きらきらと輝く虹色の回転に包まれている。全身を鎧に包んで、腰に剣を下げた少女が最初に見たのはそんな光景だった。
ほどなく光が解け、見えたのは薄暗い倉庫。足元には魔法陣。
期待とともに見上げてくるのは彼女よりもいくばくか年上の青年で、彼女が身じろぎをすればぐっと息を呑み、一歩歩みを進める。

「……はは、やっと、やっと。僕にも、僕にも……チャンスが……。初めまして、僕の『人形』(ドール)。……ああ、名前を聞かせてくれるかい?」

 手を広げ、敬々しく一礼。
それを受けた少女はその頑なな表情を解かずに、しかし少しだけ敬意を滲ませた言葉をかける。
左手を伸ばし、握手の意を示して。

「そうか、今回は私が選ばれたのですね。初めまして、私の『主人』(マスター)。私は──」

 言いかけたところで爆発音。邂逅は途切れ、すぐさま場の空気は臨戦態勢に。

「自己紹介は落ち着いてからにいたしましょう。マスター、手を!」

「えっ、あっ、うわっ、あああああ!? 助けてくれえ!」

「今、助けようとしているでしょうが!」

 少女は青年の手を引っ張り、俵に抱える。この倉庫は袋小路だ、待ち構えるならともかく戦をするには不利。それならば空へ、その方がまだマシだ。
なにごとか喚いている青年を少女は一言で黙らせ、凸凹コンビは窓を突き破り、夜の暗闇に飛び出した。



「よくある冒険譚の書き出し、だよね」

本の冒頭を読み上げて、カストルはそう締めくくった。

「今日君たちに入ってもらいたいのはこの世界なんだ。平たく言えば人形か、主人の役になって召喚されたりしたりして欲しい」

 その世界では、練達によく似た世界と幻想に似ている世界が二重構造を成している。そこでは仮想空間の中で『主人』とされる一般人が、彼らが異世界から現れるという高い戦闘能力を持った『人形』を呼び出し、協力して戦いあう。という競技が世界中で大流行しており、鮮やかな戦いが大興業として成り立っているのだという。
最後まで勝ち抜けば賞金が与えられ、呼び出される『人形』役達もけして悪い扱いはされないため、興行中の関係は至って良好であった。

「ただ、最近呼ばれすぎで疲れてしまっているみたいだったり、いつも呼ばれる人が一緒だったりでマンネリしていたりでね。代わりに召喚に応じてくれたり、新しいバディになってくれる人を探しているみたいなんだ」

 勿論気が合うようならそのままてっぺん取ってくれてもいいんだよ、などと悪戯っぽく笑いながら。カストルはイレギュラーズ達を世界の中へ誘うのだった。

NMコメント

 はじめましての方ははじめまして、またお会いした方はお久しぶりです。
金華鉄仙と申します。
問おう、あなたが私のマスターか。って人生で一回は言ってみたいセリフだと思うんですよね。今回はそんなシナリオです。
今回は召喚するシナリオですが、気が向いたら戦闘するシナリオも出したいかと思います。

●世界観
 一般的な現実世界とファンタジー世界の、2面を持つ世界です。今回の活動場所は現実世界風の方になります。いわゆるなんたら戦争がエンターテイメントとして扱われており、現実世界の人が『主人』(マスター)となり、ファンタジー世界の人を『人形』(ドール)として召喚した、というシチュエーションでタッグを組んで戦います。仮想空間は2つの世界の中間として位置しており、こうした役割だけでなく交流などの中心としても扱われてたりはします。お腹が空いたり傷ついたら痛かったりしますが、何があっても仮想世界からはじき出されて元の世界に戻るだけで死ぬことはないです。

●目的
かっこよく、もしくはかわいく召喚されたり、かっこよく召喚したりしてください。
それだけです。

●書いていただきたいこと
冒頭はサンプルリプレイみたいな役割でもあります。こんな感じに、でももう少しガッツリ細かく描写します。
『主人』役か『人形』役か。これだけは絶対にお願いします。
演出やいいたいセリフ、態度等など。名乗りたい名前なんかも良ければどうぞ。
次に召喚されたい『主人』像、召喚したい『人形』像などありましたら書いてくれるとそのように描写します。なければ合わせて適当にでっち上げます。
マスター役、ドール役の合わせプレイングなども歓迎です! 皆さんのかっこいいを見せて下さい!

  • Ask, are you my master?完了
  • NM名金華鉄仙
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2020年06月20日 22時10分
  • 参加人数4/4人
  • 相談5日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

回言 世界(p3p007315)
狂言回し
シュテム=ナイツ(p3p008343)
久遠の孤月
エメリー・アステリズム(p3p008391)
小さな煌めき
観音打 至東(p3p008495)

リプレイ


 ――開かれしは3つの方陣。星辰はついに動き出す。
呼び出されしは七ツ星。きらめく輝きを持つ従者達。さあ、舞台の幕を上げよう。


 其処は竹藪、茂みの中。鳥が一言鳴いて、飛びだった。
墨で描かれた魔法陣の前で胡座をかいていた姿がぐらりと傾ぐ。閉じていた瞳が開き、パチパチと瞬きをした。
射干玉の髪が風に吹かれて舞い上がる。何かを確かめるように、天上を見上げて。

「……はっ。時が満ちた……。そういうことでござるな?」

 座禅を組んでいた足を楽にしながら『破竜一番槍』観音打 至東は呟いた。立ち上がり、今回の触媒を見下ろす。
其処に在るのは彼女の持つ砦崩しの名刀『楠切村正』。石をも圧しきり、砕くとされる逸話を持つ。もとは薙刀として打たれた刃が、時を超え生き残り、数多の匠に手を掛けられ。そしてそれ以上に、多くの強者のいのちを経験した刀。

「拙者は――。可能性の次を見てみたい。先の未来で――この刀を振るう者として、相応しき者のすがたを」

そう、祈りを込めて呪文を唱える。

「開かれしは方陣、星辰は動き出す。呼び出されし輝きよ。さあ、舞台の幕を上げよう」

 ――とはいえ。
唱えながらも自分の次世代について、至東は思いを巡らせていた。どんな形でこの刀を握ることになるのか。自分のように遺品として手に入れるのか、前の所有者から簒奪するのも、継承の形としては有りなのだろう。常に強きものが力を手に入れるのであるから。……しかし、でも。
……弟子、とかもありなのではないか? 守ってやらねばならない系の、線の細い……。手取り足取り腰取り、あらゆることを教えてあげるのも浪漫なのではないか? 師匠として!

「いでよ、煌めくびしょうね──違った、従者よ!」

目を開けていられないほどの輝きが走る。思わず顔を抑えて、くらくらする頭を抑えながら気配が生まれたほうを伺う。

「……ぁ、えっと……。その。貴方が、僕のマスター様ですか……? 僕、サツキって言います。若輩者ですが頑張りますので、その、よろしくおねがいします!」

 刀を両手に抱きかかえ、はじめましてと丁寧に頭を下げる黒髪の少年が其処に居た。年の頃は10程だろうか。幼気な表情と、儚げな雰囲気。
その顔を見た時に、観音打至東は直感する。

護らなければ――。

耳を澄ませる。足音が数人分、確実にあの輝きはバレているはず。向かってきているに間違いない。

「……大丈夫でござる。あとは任せて欲しいで候」

「えっ、マスター……?」

「今のサツキきゅんにとって、この場は少々厄介にござる。なので!」

刀を一旦返してもらい、迷うことなく抜き放った。
彼のため、この場は拙者が切り抜けよう! そして!
昼も夜も一人前の益荒男になるための修行でござるよウッヒョホーーーーイ!


 其処は何処かの館の中。
魔法陣を綴っていた手を止め、『貧乏籤』回言 世界は満足げに自らの創作物を眺める。
創作物とは、この家自体のことだ。あらゆる場所に防護魔法を仕込み、一種の結界と化した。また、魔法陣にも演出用の余剰を埋め込んである。
前者については魔術師としての嗜みであり、一般的な備えである。後者については……。

 「まあ、エンターテイメントなんだし。これぐらい派手にやればいいか」

と、世界なりのこれから呼び出される『人形』への歓待でもあった。成り行きで付き合うことになったこの興行だが、出来るならば優勝してみたい。優勝するのであれば最強の人形が望ましく、自らの楽にも繋がる。そうであれば……。カタチだけの忠義を見せてみるのも、悪くはないだろう。

手を伸ばし、儀礼剣を中心に。そのまま掌を翳して、静かに告げる。

「開かれしは方陣、星辰は動き出す。呼び出されし輝きよ。さあ、舞台の幕を上げよう」

光に満ちる。輝く、煌く。言葉は螺旋に。虹色の奔流に視界が飲み込まれる。

「――いでよ、従者よ!」

叫びとともに光が収縮する。
渦巻く事象の中で、現れたのは――。

「――召喚に応じ参上した。君が私の主人だね? やるべきことはやらせてもらおう。貴方を優勝へ」

どうか宜しくお願いするよ。優雅に一礼して、世界の元へ現れたのは『久遠の孤月』シュテム=ナイツ。美しい銀髪に整った顔立ちは、王子に見紛う程であろう。
ほう、と世界は目を細める。

「おっと、中々のイケメン……ちょいと憎らしいぜ。なんて冗談はともかくとして。アンタ名前は?」

「シュテム=ナイツと」

短く受け答えをシながらシュテムは目の前の『主人』を観察する。頭に着いたカチューシャがまっ先に目に飛び込んできて、少し疑問に思う。まあ、人のシュミにとやかくいうつもりはないのだが。

「了解。俺は回言 世界って言うんで。そんじゃまあ、これからしばらくの間よろしくな」

そう言いながら手を差し出す世界。
それを見るシュテムは少し困ったように眉をひそめる。今までの受け答えで不真面目そうに見えるが悪い人ではなさそうだ。という感触を抱いてはいた。
しかし、それとこれとは別だ。握手をするということはスキを晒すこと。それと同時に腕を一本使わないと出来ない動作であるということだ。剣士であるシュテムに取って、それは敵が付け入る一瞬に十分足りることは理解出来ていた。

「すまない。先程の礼で勘弁してほしいな」

「まあいいけど。警戒されてるってわけでも無いだろうし」

世界は小さく肩をすくめるも、特に気にした様子はなさそうだ。向き合ったことだから、とそのままシュテムの方を観察する。
年の頃は世界よりも一回りほど低い。全体的に細身の印象を受けるが、見た目が力量を表すと限らないのは混沌での出会いで知っている。ともかく、今わかることと言えば……。

「ふむ。まあ獲物は見た限り剣か」

「うん、そうなる。君は……。なるほど、ピュアな魔術師のようだね。バランスは良さそうだ」

然り。シュテムの言葉に世界も頷く。

「でも……。そうだな。まずは互いの力量が分からんことにはどうしようもないだろう。どうだ? 一回手合わせでもしてみないか?」

「手合わせ、ねえ」

主人である彼がそう言うのであれば――。恐らく、その程度の自信はあるのだろう。シュテムは考える。
それならば少し、少しだけ。挑発してみるのも良いような気がして。

「――構わないけれど、君が倒れて勝負が始まる前から不戦敗なんて嫌だからね。私の剣捌きをちゃんと見切ってくれるかい?」

「……言うねえシュテム。全力でかかってきていいぞ。お前を安心させてやる」

楽に勝てればいい、とは思った。積極的に戦うなんてゴメンだし。しかし世界だって自負がある。
それに……。この世界では死ぬことはない。好きにやってみよう、という心情が少しだけ無茶を誘発する。

「地下に手つかずの空間がある。そこでやろう」

 手をひらめかせながら、じゃあお先に、と世界が立ち去る。
その様子にシュテムも少し笑って、あとに続くのであった。


 「いきなり異世界に飛ばされたと思ったらさ。そこからまた異世界なんて。面白いよな」

召喚を待つ間、一人残された境界図書館にて。『小さな煌めき』エメリー・アステリズムは談笑中だった。
お相手は、彼女のもうひとり。普段は表層化していない青い瞳の方だ。

「……ああ、変な所だと思う。ただまあお祭りみたいで嫌いではないな。人形って名前は気に食わないけど」

「うん、うん。虐げられるわけでもないしまあ我慢するよ。……へへ、なんだかワクワクしてきたなぁ」

まだ出会ってもない主人に思いを馳せる。どんな姿で、どんな奴だろう。できればノリのいいヤツがいいかもなあ。などと。とりとめないことを考えているとエメリーの周囲を光の輪が包む。

「おっと。お呼び出しか……。行こう!」

目を閉じて、意識を任せる。体が浮き上がり、転送されていく感覚を確かに感じた。
光に包まれ、目の前が真っ白になって。気づいたときには――。

「……というわけで。見習い騎士エメリー・アステリズムただいま参上、ってな!」

輝かしい奔流が収まり、そこは小さな民家であった。
小市民的な佇まいの中、少し訝しむようにして見るのはエメリーより少し年上程度の青年だった。戦い慣れしている雰囲気はない。

「……エメリー、か。随分とちまっこいのが来ちまった。ま、ニュービーが呼び出すなんてこんなもんか」

「いきなり失礼だなコイツ。なんだあんたも新人かい?まぁ、頼りないのは悪かったかもしれないがな」

男の言葉にエメリーは眉をひそめる。

「いや、俺に比べたら……まあ、いい。取り敢えずすまん、優勝とかは忘れてくれ。なんたって初出場だからな」

「……はー? なんだ? 覇気が足りないなあ。いいか、こういうのはな、新人だ後輩だなんて遠慮してちゃダメなんだ。優勝するつもりで、この際だからやりたいようにやってみようぜ」

どうせ死ぬわけじゃないんだから、次に活かすチャンスはいくらでもあるだろ? 
肩をドン、と叩いた。うめきながら男はよろけてけほけほと咳をする。

「……まあ、そうだな。最初から臆病風をふかしてちゃあ、しょうがないよな……」

「そのとおり。分かったら指示を出しな。意見は言うが、きっちりやれる範囲で従ってやるよ」

男の言葉に、にんまりとエメリーは笑って。なよっちょろいが、そこまで性根の据わってないやつでもないらしい。叩けば光るかも……。などと考えて。少し時間がいるかも知れない。でもそれまでは。

「なんてったって、今のあたしはあんた専属の『人形』。あんたの敵を斬り伏せる剣であんたの身を守り通す盾なんだからな!」

「だから。よろしく頼むぜ、ご主人サマ?」

芝居がかったようにそう続けて、とびっきりの笑顔を一つ。
男は、目をぱちぱちと瞬きさせ。そして、笑顔で返してみせる。随分と引きつったものではあったが。

「……セイジだ。むず痒いからその呼称はやめてくれ。分かった。やれるだけやってやろう。ついてこいよエメリー」

「おう!」

成否

成功

状態異常

なし

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