PandoraPartyProject

シナリオ詳細

太ももをぺちぺちされる簡単なお仕事(される側)

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●財宝コミュニケーション
 圧政を敷いた領主の問題を解決してきて欲しい。
 そう言われれば、すわ悪代官の捕物劇かとも思いはしたのだが、どうやらそうではないらしい。
 その悪代官、問題のあった領主というやつは、とうに捕えられ、次の領主も決まっているのだと言う。
 ではそちらに問題があるのかと言われればそうではなく、前領主の残した遺産にこそ問題があるそうだ。
 その領主、どうやら溜め込んだ資産を特殊な倉庫にしまい込んでいたらしく、その扉を開けなければ中にあるであろう財宝を押収できない。
 それらの財宝は、これから領地を立て直すために使用する大事な資本金である。調査の結果、ようやっとその蔵の鍵を開ける手段が判明したので、それを手伝って欲しい、という依頼だった。
「お、おう、交代か、やっと来てくれたんだな」
 その部屋には入ると、男が出迎えてくれた。よほど開くのが困難な鍵であるのか、男は息が荒く、顔も赤くなっている。
「俺も今、自分のノルマを終えたところなんだ。もうじき、相方も終えるところだ。こいよ、鍵の開け方は、説明されるより見た方が早い」
 男の言うことは、いまいち要領を得ない。鍵の開け方というのは、そんなにも体力を使うものなのだろうか。だとしたら、パズル等の類ではなさそうだ。特殊な技術が必要なものでなければ良いが。
「ここが、鍵の間だ。相方はあそこだ、ほら椅子に座っているだろう?」
 見れば、確かに男がひとり、椅子に座っていた。ただその椅子というのが普通のものではない。男は椅子についているベルトで両手足を拘束されていた。これではまるで、拷問器具のようだ。
「実際、拷問だよ。拷問に耐え続けることが、鍵を開ける唯一の手段なんだ」
 なんということだ。そんな恐ろしい開け方だったなんて。でもおかしい。説明をしてくれた男も、椅子に縛り付けられている男も、怪我をした様子はない。拷問だと言うなら、一体何をされたと言うのだろう。
「始まるぞ」
 言われて目線を椅子へと戻す。椅子から何やら機械的な腕のような物が出ていた。それは乗馬鞭のようなものを手にしており、振りかぶって、男の太ももに叩きつけた。
 ぺちーん。
「あんっ」
 …………おい。
「ああ、恐ろしい拷問だろう。実際、あの鞭に打たれてもまったく痛くない。ただ、打たれる度に、その、変な声が出るんだ」
 変な声て。
「それに、こころなしか身体も熱くなってくる。頼んだぜ、ローレット。あとほんの、6時間も叩かれ続ければ鍵は開くんだ」
 …………なんて? 今何時間て?
「6時間だ。俺たちはもう限界だ。じゃあ後は、任せたぜ。あ、この部屋、拷問終えないと出ることもできないから、それじゃ」
 椅子から相方を助け出すと、男達は頬を上気させたまま、部屋から出ていった。
 がちゃん。

GMコメント

皆様如何お過ごしでしょう、yakigoteです。
以前、田奈GMと「太ももぺちぺちする連動依頼やろうね!」と純粋な思いで語り合って幾世紀。ようやく積年の約束を果たす時がやってまいりました。
前領主の残した宝物庫の鍵を開けてほしいのですが、その方法は全員であと6時間、指定された拷問を受け続けるというものです。
大丈夫。痛みはありません。屈強なローレットの冒険者なら、きっと耐えられることでしょう。

【シチュエーションデータ】
■拷問部屋
・人数分の椅子が用意された鍵の間。この椅子に全員が拘束され、あと6時間、太ももをぺちぺちされ続ければ鍵が開きます。それ以外の手段で鍵を開けることはできません。
・太ももをぺちぺちされても全く痛くはありません。人によっては心地よかったり、くすぐったかったりするかもしれませんが、まるで痛くはありませんし、傷も残りません。
・しかし、太ももをぺちぺちされると変な声が出て、身体が熱くなり、徐々に呂律も回らなくなっていくことでしょう。
・なお、宝物庫の鍵が開くまで、鍵の間を出ることはできません。がんばって、ぺちぺちされてください。

  • 太ももをぺちぺちされる簡単なお仕事(される側)完了
  • GM名yakigote
  • 種別通常
  • 難易度EASY
  • 冒険終了日時2020年06月23日 22時20分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

マニエラ・マギサ・メーヴィン(p3p002906)
記憶に刻め
驚堂院・エアル(p3p004898)
でうすのかけら
すずな(p3p005307)
信ず刄
メリッカ・ヘクセス(p3p006565)
大空の支配者
アルメリア・イーグルトン(p3p006810)
緑雷の魔女
ブレンダ・スカーレット・アレクサンデル(p3p008017)
薄明を見る者
霧裂 魁真(p3p008124)
陽炎なる暗殺者
リディア・T・レオンハート(p3p008325)
勇往邁進

リプレイ

●両手足が錠で椅子に繋がれれば縄抜けどころではない
 鍵を作る際に、絶対に開かない扉というものを考えた。どうすれば開かないか。物理的に不可能であればいいのではないかと思いつく。そうだ、60時間太ももをぺちぺちされたら開くようにしよう。彼は早速その旨を建築士に伝えると、急ぎそれを作らせた。

 宝が眠っている、と言う割には殺風景な部屋だ。
 悪徳領主の屋敷というとどうかなイメージが付きまとうもので、事実ここまでの廊下は壁も、飾りも、天井も、カーペットすらも目がくらむような綺羅びやかさを持っていた。
 それがどうだ。ここはまるで監獄のようだ。確かに、これから始まることを思えば、イメージとして正しいのかもしれないが。
「鍵を開けるだけの簡単なお仕事と聞いてきたんだけどどうしてこうなった?」
 言葉の解釈にここまで差異があるとは思わなかった『こむ☆すめ』リアナル・マギサ・メーヴィン(p3p002906)は大きくため息を吐いた。
 確かに、身体的なダメージは伴わない。難解な知的行動も求められない。お上ってやつはいつもこうなんだ。
「はぁ……これ自分から拘束されに行かなきゃならないって嫌すぎない?」
 椅子を見てうんざりする。どう見ても、脚を開くようにできていた。
「こ、これは調査です。このぺちぺち刑が体に有害かどうかの……!」
 誰に向かっての説明であるのか、『宇宙人調査員』驚堂院・エアル(p3p004898)が自分の行動を必死に説明している。
「銀河連合の調査員としては無辜なる混沌のありとあらゆる事を調べねばなりませんのでね」
 そのために自分から太ももをぺちぺちされに行く現地班員可愛そう。
「こんなマシーンをつくるひとは想像を絶するヒマ人でしょうね……」
 もう捕まったらしいよ。
「あの! 聞いていた話と違うんですけど!!」
『金星獲り』すずな(p3p005307)が椅子に拘束されながら何かを必死に訴えている。
「しかもその聞いた相手も消えてるんですよ!!」
 抽選に落ちたんだな。取り残された彼女の悲運を、周りの皆が悲しんだ。かといって見逃すと自分のノルマが増えるのでそれはそれとして椅子には縛り付けるが。
「どうしてこうなったのでしょう……こんな筈じゃなかったのに! なんでふとももをぺちぺちするんですか、おかしいでしょう!」
 そんなもん誰だって思っている。
「倉庫をどうにかする、となればこう……ピッキングとか想像するわけで」
『ストームライダー』メリッカ・ヘクセス(p3p006565)が目を凝らしてよく見ても、そこには鍵穴ひとつ存在しない。怖そうにも、分厚い金属の壁はどうにもならないだろう。
「こんなの、脚ぺちぺちとか聞いてないんだよなぁ……!」
 汗が流れる。さっきの男の赤ら顔が思い出されてしかたがない。あの顔は、披露というよりは、そう……
「正気を保てる自信がない……」
「なるほど……セキュリティとしてはある意味最強ね」
『緑雷の魔女』アルメリア・イーグルトン(p3p006810)は神妙そうな顔で頷いた。
 ここの壁にしか見えないものが宝物庫への扉であるのだろうが、見事なものだ。この距離で確認しても、扉にはまるで見えやしない。なにせ鍵穴がないのだ。壁が動くようなギミックすら見当たらない。これでは太ももをぺちぺちされる以外の開け方など見つけられっこないではないか。
「盗人には絶対開けられないといっていいわ………………バカじゃないの?」
「肉体的な鍛錬はあれこれこなしたが流石に太ももをぺちぺちされるだけ、というのは初めてだな……」
『筋肉最強説』ブレンダ・スカーレット・アレクサンデル(p3p008017)これまで受けたことのない身体的な影響に思わず唾を飲み込んだが、安心して欲しい。人類の誰もがそんな経験はない。
「6時間座っているだけなら何とかなるが今回はどうなることやら……筋肉ばかりの太ももでよければ存分にぺちぺちするがいい!」
 それは覚悟を決めた者の瞳であったとか。
「……空が青いですね」(室内です)
 石造りのどグレーな天井を眺めていた『要塞殺し』霧裂 魁真(p3p008124)だったが、皆が準備を始めたことで現実に引き戻された。
「太ももぺちぺちてなに? やる気あるの?」
 あるから皆こうして準備しているんじゃないか。いやいやそうに見える? はは、ご冗談を。
「というか周りみんな女の子じゃん。男俺だけじゃん……」
 つまり、少しくらい行き過ぎても問題がないということだな。だって男の子だもんな。
「拷問だなんて、なんて非道な! そのような事は決して許されません! かくなる上は、私が代わりに――――え? ふ、太ともですか……?」
『勇往邁進』リディア・T・レオンハート(p3p008325)は自分の鎧を確認する。太ももはまるで防御されていない。誰だ下半身をスカートでデザインしたの。
「くっ……殺されるよりマシです! さぁ、どどんと来なさい!」
 殺されない方向で「くっ」っていう女騎士初めて見た。
「そのような鞭打ちに、私達は絶対に屈したりしません!」
 それが叶った女騎士も見たことがない。

●機械は無感情的にしかし君の感情を大いに攻め立てる
 困ったのはそれからだ。財産の殆どを蔵に入れていたため、私用にも公的にも使える金銭を用意できなくなってしまったのである。60時間も太ももをぺちぺちされることなどできない。しかし警戒心ばかりが人一倍である彼は、誰かにそれを任せるということを良しとしなかった。盗まれるのではないかと考えたのだ。

 腕を繋がれ、脚を開いた状態で拘束され、身動きのとれない姿勢になって気づく。
 あ、これ、抵抗とか無理なやつだ、と。
 そしてういんういんぎゅいんぎゅいん聞こえてくる謎の機械音。
 さて、怒られないラインを見極めて描写するぞ。

●サブBGMで流れる書いたら怒られるような漏れ出る悲鳴
 それから彼の失墜は早かった。なにせ公務に使用する金にも困るくらいだ。国に収めるはずの税まで滞ってしまったのである。国からの調査が入れば、あれよあれよと見つかる不正の数々。彼は逮捕され、民は開放されたのである。すべては太ももをぺちぺちしようとしたことが運の尽きであった。

 ういーんがしゃんとリアナルの前でメカっぽいアームが持ち上げられる。
 その手にはしっかりと乗馬鞭が握られている。
「しかし鞭が来るのを大人しく待つと言うの、もっ……」
 一回打たれてびぐんっと跳ねるリアナル。体を震わせ、全身は悶たいと願うのだが、拘束されている身体ではそれも見込むことはできない。
「……あーはいはい。なるほど。これはアレですね。お猫様の猫パンチを喰らったときの気持ち、よっ」
 二度目の鞭打。痛みはまるで無い。ただ全身を甘くくすぐるような快感が襲うだけだ。我慢しても無意味で、どれだけ強く唇を結んでも、可愛らしい声が漏れてしまう。
「確か、にっ……これを、6時間っ……きついな、自分の声が」
 恥ずかしい。いっそ殺して欲しい。これを6時間仲間に聞かれ続けるかと思うと……周りもそんなの気にしてる余裕なさそうだな。
「なんでこの歳でこ、んっ……な生娘みたいな声出さ、にゃっ、きゃいかん、のだっ……」
 息が乱れる。顔が熱い。しかし予定の時刻までは、まだまだ長いようだった。

 叩かれた衝撃でエアルは声を上げた。
 痛みはない。むしろ心地よさすら感じている。不意に強く打たれる心配もない。この拷問椅子からかすかな意志を感じ取ってみたが、どうにも鍵であるという認識以外はないように思われた。
 つまりこれは、やはり延々と太ももをぺちぺちするだけの機械なのだ。それはそれでなんだが。
「演技とは共感だ。それ故に、世のトレンドを知るというのも有意義な勉学となりうる」
 呼び出した知人――乃亜の言葉を聞きながら、一度、二度と鞭が振るわれる度に意志の力とは関係なくか細い声を上げる自分の体。心地よさを表には出さないようにしているが、叩かれても無表情のまま反応する声だけが続くのも、なんだか危なっかしい光景だった。
「介護されることに抵抗あるかもしれないが気にするな」
 6時間補給もなしというわけにはいかず、動けない自分に変わって乃亜が食べさせてくれるのだが、声が出るせいでうまく食べられない。
 無表情。甘い声。拘束されて、食事を取らされている。
 そう並べると、なんだか背徳的だなあ。

「も、ひゃめ……ひいんっ」
 何時間か、たったろうか。
 すずなの顔は赤らみ、とうに呂律も回らず、鞭で叩かれる度に舌を突き出して声を上げるだけのそれに成り果てていた。
「……やら、やらぁ、んひっ」
 始まったばかりの頃は、まだ元気もあったのだが以下回想。
「やんっ……というかなんで痛くないんですか! 鞭ですよ! おかしい、あんっ、でしょう……!」
 見た目は確かに拷問に使用されてもかしくないのに、割と思い切りの良い速度で振り下ろされているはずなのに、痛くない。むしろ気を強く保たないとその心地よさに流されそうなくらいだ。
「本来なら想像を絶する痛みの筈なのにぃっ! どういう絡繰りしてるんですか、これ……! あんっ……あああ、早く終わって下さいよ――!」
 回想終わり。
 あんなに元気だったすずなも、今ではこの通り、非元気に目からナッシンハイライト。
 叩かれる度に跳ねては声を出すので生きてはいます。
「ほむらさん……ばか……」
 その思いが届くと良いな。届いたってことは読まれたってことだけど。

 割と。
 割と、メリッカは自分の行動を後悔し始めていた。
 この仕事を引き受けると決めたことではない。覚悟を持って拷問椅子に座ったことでもない。
 それは、お友達のバードちゃんを呼んでしまったことだった。
「……普段ならクソにも立たないオマエだけどね、今回ばかりは役立ってもらうよ」
 連れてきた鳥に、メリッカがきっちりと言い聞かせている。この仕事は拘束時間が異常に長い。6時間と来たもんだ。そのうえで、自分の意志で行動もできないというのだから、何か気を紛らせる役目を負った者が必要であったのだ。
「6時間キッッッチリとトリビア大連発して場を持たせるんだ。イイネ?」
 そこで目をつけたのが『バードちゃん』であったのだが……。
(シュールだ、シュールすぎる……)
 あれから数時間。既にメリッカにバードちゃんのうんちくを聞く余裕はない。
 叩かれる度に朦朧とした頭で甘い声をあげ、身を跳ねさせるばかりだ。
 しかし隣でうんちくは続いていく。うまく回らない頭を抱えながらも、メリッカはこの地獄を作ったことを確かに悔やんでいた。

 3時間、経過。
「ひっ……ひっ……ひっ」
 身体の熱さと披露とで、アルメリアの口はとっくに回らなくなっていた。
 呼吸もうまくできないまま、それでも鞭で叩かれる度に身体は反応する。鞭だけが彼女の全権を握っているかのように、行動を強制するのだ。
「せ、せめてちょっと休憩とか、ねぇ、させてよぉ……あぁっ」
 4時間経過。
「ぁ‶-……み、みんぁ……らいじょうぶ……?」
 聞いては見るものの、帰ってくる返事もない。帰ってきているのかもしれないが、皆、自分と同じような声を出しているので、誰が誰だか区別のつくものでもない。
 熱い。本当に熱い。頭がぼうっとして、ふわふわと浮いているような心地になる。鞭が与えてくれる断続的な快感だけが、今も生きているのだと実感させてくれる。どうしてだか、委ねてしまいそうになりながら、アルメリアは必死で自分を保っていた。
「も、もう、もう、わらひ、うまふしゃへれなひ……ひっ……あぁっ……」
 5時間経過。
「あぁーーーーーーーっ♡♡ あぁーーーーーーーーーーーっ♡♡♡♡」


「ま、まやまやいけりゅじょ……ひゃんっ!」
 威勢がよかったのも始めの内だけで、今ではブレンダもすっかり『出来上がって』しまっていた。
 叩かれる度に、このような声を出す自分が居たという事実に驚かされる。
「ぉ……おォっ……」
 体が熱い。呼吸がままならない。しかし画期的な方法を思いついたのだ。口を半開きにし、舌を思い切り垂らして、犬みたいに口で細かく呼吸をすれば、この熱も少しはマシになるのだ。
 熱で頭がぼうっとするせいか、自分がどういう姿勢でいるのかいまいち分からなかったが、些細なことだ。今はこの時間を乗り切ることを考えなければ。
「ぎっど、ぎっど……ひいんっ、もう、ひょっと、りゃから……」
 そうだもうちょっとだ。こんなにも責め苦を受けているのだ、もう少しの辛抱である。まだ、折れていない、もう少し、もう少し、この心は砕けない。
 その時、誰かのつぶやきが聞こえた。
「あ、あと―――5時間もあるなんて」
 5時間。こんなに耐えているのに、あと5時間。
「しょ、しょんにゃ……む、むりぃ、も、もうやら、たたかないれっ、ひゃあああああんっ」

「んーーーーッ んんッ」
 変な声を出して、誰かに聞かれたくない。そんな思いで自分の防具である手甲を口に嵌め、猿ぐつわの代わりとした魁真であったが、悪手だったのではないかと思い始めたのは、結構前のことだった。
 口にものを噛んでいても、発声が完全に止まることはない。呻き声のような、それこそ喘ぎ声のようなそれは否応なく漏れ出してくる。
 口に枷をはめられ、鞭をうけ、声を出し、悶える身体。
 轡のせいで口が閉じられないものだから、ぽたぽたと唇の端から涎がこぼれている。
「んおっ、んんっ……もごぉっ」
 ちょっとやそっとでは取れないようにと、キツく縛ったのが良くなかった。垂れる涎が口端を、顎を、首を伝って、下へと落ちていく。
「ふーっ ふーーーっ」
 枷のせいで、余計に息が苦しい。息を吸いたくて、呼吸が荒くなる。細かくなる。そうしている内に、また、白い肌を叩かれる。
「んォオっ……!!」
 そのうち、打たれる度に体が跳ねるようになった。頭が真っ白になるようになった。鞭の先に、傅きそうになった。

「くやしいっ……でも、声がぁ……!!」
 リディアが鞭に敗北していた。ある意味予定調和だった。
 叩かれる度に頬が赤く染まっていく。呂律が回らなくなっていく。誇りとか矜持とかいったものが、鞭で叩かれる快感に侵されていく。すり替わっていく。
「ハァ、ハァ……はいぼくしゃ?」
 懸命に首を振る。まだまだこの程度では負けられない。
「ほがの、みにゃしゃんもぉ……たえて、いらっしゃりゅ、はじゅでしゅ……」
 そうだ、負けるわけにはいかない。今のセリフ、既に尊厳とか限界を超えていそうだがまだ負けてはいないのだ。
 その時、リディアに天啓舞い降りる。そうだ、自分はこんなときの為に、元気が出るドリンクを持ってきたではないか。
「みなさんも、ろぉぞ! がんばり、ましょぉ……!」
 落とさなかった自分を褒めよう。後ろ手に握っていた自分を褒めよう。残った力で蓋を開く。その中から、甘い匂いが広がって、電流が脳に走ったようで、身体は弛緩し、心は快感に身を委ね、ついには自分から―――。

●全員顔を赤くして腰砕け気味に身を震わせていると前提
 みんなも、太ももをぺちぺちする時は気をつけるんだぞ。

「6時間経過です。おめでとうございます!!」
 そんな声が、閉ざされた扉の向こうから聞こえてきた。
 同時に、椅子も動かなくなって、開放される。
 やっとのことにため息をつくもの。ちょっと涙ぐんでいるもの。少し名残惜しそうにしているもの。どちゃりとその場に崩れ倒れるもの。皆様子は様々だったが、この仕事が終わったことに変わりはなかった。
 そうなると、今度は意識もはっきりしてくる。
 自分の姿も、周りのみんなも、目をやる余裕が出てきて、汗と涙と何かでぐちゃぐちゃのその格好なものだから。
「それでは、出入り口も、蔵の方も、同時に開きますので!!」
 出入り口向こうで叫んでいるのは、ギルドの職員か誰かだろう一体何を――あ。
「ちょ、まって!! 今絶対開けないで―――――――!!!」
 とりあえず今度は、開こうとしているドアを必死で押さえつけた。

 了。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

ぺちぺちされただけです。

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