シナリオ詳細
いたずら好きな貧乏神
オープニング
■うちにはこないで下さい(執筆者談)
「最近、妙についてないんだよなぁ」
そう思ったことありませんか?
「最近、お金がかかってばかり……」
そう思ったこと、ありませんか?
それ、気の所為じゃないかもしれませんよ?
「知ってる?貧乏神って本当にいるんだって」
「えぇ、うっそだー」
とある世界、とある街で起きた噂話。
それは万人が来ないでくれと願う神様の代表格、貧乏神。
それに魅入られた者は、何故か運に見放され、金に見放され、破滅の道を歩むという恐ろしき神。
一部の貧乏神は、金に執着しすぎている愚かな人間に、大切なものを思い出させる為にとりついているというが……。
この街の貧乏神はそうではなかった。
「本当だって。でも、なんか変なんだよなぁ」
「変?」
「お金がなくなるのもそうだけど……何故か、名前がなくなるんだって」
「どういうことなのさ」
「詳しい事はわからないけど……名前が一文字を残して消えてしまうんだってさ。周りの人の記憶はもちろん、自分の記憶からさえも」
「それって、自分が自分でなくなるって事?」
「恐ろしいね……ところでさ?」
「うん?」
「君の名前、なんだっけ?」
それはとってもいたずら好きの神様。
人のお金をとるだけでは飽き足らず、何故か名前までとっていく神様。この神様に魅入られた者は、自分の事さえ思い出せなくなっていく。大切なものさえ、忘れてしまうのだ。
それはそれは、とっても恐ろしい神様。
■とりつかれないようにしてくださいね
「……っていう神様がいて……放っておくと大混乱が起きてしまうから、なんとかして欲しいんだけど」
境界案内人のカストルが集まったイレギュラーズの顔を見渡す。皆が皆、苦虫を噛み潰したような顔をしていた。
それはそうだろう。お金がなくなるのは誰だってごめんだし、まして名前までなくなるなんてのはもっとごめんだ。
「倒せば元に戻るから、頑張って!」
それならまぁ、と渋々立ち上がるイレギュラーズの背中を見送り、カストルが彼らに聞こえないようにこっそり呟く。
「……多分、ね」
- いたずら好きな貧乏神完了
- NM名以下略
- 種別ライブノベル
- 難易度-
- 冒険終了日時2020年06月13日 22時10分
- 参加人数4/4人
- 相談7日
- 参加費100RC
参加者 : 4 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(4人)
リプレイ
■どうしてこうなった
「全く…どこの世界でも傍迷惑な神様は居るものね」
「お金は兎も角、名前まで取るって……」
二人の少女が異世界の町中を並んで歩く。『黄泉醜女』糸杉・秋葉(p3p008533)は見た目だけで成人しているのだがさておき。『半妖の依り代』斑鳩・静音(p3p008290)は年齢不詳なのだが、それもさておき。
見た目が可愛い女の子というのが重要なのである。そうであろう?
「うんうん、そうだよね♪」
『異美転の架け橋』宮峰 死聖(p3p005112)が天の声に対し頷きを示す。何で聞こえているのかって?それはこれがギャグシナリオだからさ。
「どうかしたか?」
『出来損ないの英傑』浅蔵 竜真(p3p008541)は何か変な様子の死聖に声をかける。彼には聞こえなかったようだ。むしろ前に歩く女性二人にも聞こえてなさそうなので死聖だけがおかしい説もある。
「なんでもないよ。それよりこの依頼終わったら皆で何か食べに行かないかい?」
お金ならあるからさ、とポケットをごそごそ漁る死聖だが……あれ?と首を傾げる。反対側のポケットも漁るが何も出てこない。
「おかしいな……」
「……もしかして!?」
全員が自分のポケットや財布を確認するが、見事に金品の類は消えている。
ふっと何かの気配がする。笑い声がする。その笑い声に視線を向けると一人の幼女がけらけらと嗤っていた。
「幼女キター!!」
みさん落ち着きましょう。無駄だろうけど。
ともあれ、全員のお金をカチャカチャ数えている幼女らしきもの。イレギュラーズ達を見て笑っているところから見てびで間違いないのだろう。
「あ、あれが……えーと……び……」
「……び、なんだっけ?」
ずとはが揃って首を傾げる。既に全員はびの術中の中なのだ。故にお金は没収されるし名前もわからない。……何でび本人の名前まで消えているのかは永遠の謎である。
「も、もしかしてもう俺達も名前が……!?」
まが必死に自分の名前を思い出そうとするも、ま一文字しか思い出せない。だんだんと自分がどのような生き方をしてきたのかまで思い出せなくなりそうな気すらしてくる。
ずとはもうんうん頭を捻ってお互いの名前を思い出そうとしているが、どうしても出てこない。
「我は冥神『黄泉津伊邪那美』様が巫女勇者、『黄泉醜女』の……」
「……は、さん?」
駄目だった。名乗り口上をあげてみようとしても名前は出てこない。
しかしびには効果があったようで、はに対してぽこぽこ回転パンチを繰り出している。その姿は幼女そのもので愛らしさもあるが……敵は敵だ。
「可愛い女の子のほのぼの絡み合いキター!!」
名前とお金がなくなってもみさんはいつもどおりでした。
いえ一応戦ってますよ。座っている車椅子を高速機動させ、びに対して轢き逃げを繰り返しているのだが、びが異常に身が軽くひらりひらりと逃げ回っているのだ。
「ちっ……初めての仕事がこんな奇妙な奴とはな」
まが刀を両手で握りしめ、びに対して斬りかかるが。ひらりと枯れ葉の如く動くびを正確に斬るまでにはいたらない。かすり傷はつけてはいるのだが。
「えーいっ!」
しかしその回避の後隙を狙い、ずが魔力を宿した手で捕まえようと飛びかかる。
「ぐぬぅ、やるのぅお主ら!」
「あたーっ!?」
それでもするりとずの腕から抜け出すび。抜け出る際に蹴り飛ばされたずは、仰向けに倒れ込む。何がとは言わないが彼女の大きなアレがぷるん、と揺れる。
ぱしゃり、ぱしゃりとシャッター音が聞こえるのはきっと気の所為。気の所為なんですよ。
「……おい……えーと、み。あんまりやりすぎるなよ?」
まの脳内で男心と良心が戦った……のかどうかは彼のみぞ知る。
■みんなびょうどう
ともあれ。
闘いという名のじゃれ合いは続く。決してびは強くはないのだが、とにかく身軽でうろちょろする幼女にイレギュラーズは苦戦していた。
それでも少しずつは手傷を負わせ、袋小路に追い詰めた四人。全員が全員息が荒れているが、こちらはダメージをほぼ負っていない。
見た目幼女なびは、見た目そのままに力はないのだ。
「くぅぅ……ここまでしつこい人間は初めてじゃ……!」
「息が上がる幼女ってよくないですかね、は君」
「ええ、そうね。ちょっと上気して赤く染まった頬なんていいと思うわ」
みとはがシリアス顔でとんでもない話をしている。まは敢えて聞かないフリをしたが、ずは真横で顔を赤くしている。
「そ、そんなこと言ってる場合じゃないよふたりとも」
「おっと、当然君も素晴らしいよそのおっぱい」
「私がお持ち帰りしちゃいたいくらいだわ……彼も素敵だし……ってちっがーう!」
みのセクハラナンパ発言に乗っかっていたはが、頭を抱えてうずくまる。もちろんシャッター音がしているが気にしてはいけません。
「お、おのれび……えーと、び!」
「それ、わし関係ないよなぁ!?」
殺気の籠もった目線を向けられ困惑するび。この間もまはずっと一人で黙々と刀を振るい続けている。
今回の一番の被害者は実は彼なのかもしれない。皆真面目に戦ってるようで戦っていないターンが多いので。彼のように真面目に戦っている存在は貴重なのである。
でも、みとはのセクハラコンビの存在だけでびの精神的ダメージは十分にあったりする。腐っても幼女なんで。ずは巻き込まれているが……ご愁傷さま。
「ぐぬぅぅ……! お主ら、いい加減にせぇぇい!」
横一文字に振り抜かれたまの刃を、スライディングで抜けつつ叫ぶび。彼女は精神を集中させ、両の手に神の力を集め始める。
「あ、ちょ……あの手、神の力……!」
「これ、まずいんじゃあ……!」
神通力に敏感な女性二人組が冷や汗を垂らす。
びは思い切り地面に手を叩きつけ、神の力を大地に叩き込む。
「みんな、平等になれぇい!!」
「な……力が、入らん……!」
まの刀が地面に落ちる。持ち上げようとしても、重い。こんなに刃が重かった事がいまだかつてあっただろうか?
「う、嘘……炎が、出ない……」
はの腕から燃え盛る炎が出ていたはずなのに、今や煙すらも上がらない。力を込めようとしても、何も湧いて出てこない。
「うぅ……幻覚が見えてきましたよぉ……」
へたりこんだずが、肉まんの幻覚を見ている。何が肉まんに見えているかは、まあ語らないでおこう。語ると文字数食うからね。
「はっはっは、恐れ入ったか人間ども!」
ふんぞり返って高笑いをしているび。しかしよーく見ると膝ががくがく震えている。それはもう生まれたての子鹿が頑張って立とうとしているあの感動シーンの如く、ぷるぷるしている。
「……もしかしてお前……」
まが気づいた。び自身も巻き込んでしまうこの領域で、恐らく彼女は最低値ばかり引いてしまったのだろうと。
なんとも恐ろしく、なんとも間抜けな能力である。
しかして、この領域の中において。一人だけ余計に元気になった者がいた。
みである。なんと、HP値1なのだ。1を引いてしまったのだ。
それ即ち。みの身体に宿る逆転への力が、渇望が活性化し。他の皆よりかは幾らか被害が小さくなったのだ。
「いやー、本当恐ろしい能力だよね」
車椅子がきりきりとびに近寄る。怯えた幼女神は逃げようとするが、足に力が入らない。よくコレで勝とうと思ったなこの神様。
「幼女へのお仕置きは、お尻ペンペンって相場が決まってるよね♪」
「やーめーろぉー!!」
■もとに戻って
「それにしても、何でこんなことをしているの?」
戦いは終わり、今四人……いや、貧乏神を含めた五人は喫茶店にきていた。死聖により恐怖を植え込まれた貧乏神はとてもおとなしくなり、今は静音の膝の上でジュースを飲んでいる。
「わしは貧乏神じゃ……金第一に考え、人の絆を忘れた輩に大切なものを思い出させるのが仕事じゃ」
「いや、それなら無差別に金をとったり、名前まで盗む必要はないだろう?」
竜真がコーヒーを啜りながら、思った通りの疑問を口にする。幾ら何でもやりすぎだと。
「そ、それはじゃな……ほら、金があればうまいもの食い放題じゃろう?」
「もっかいお尻ペンペンが必要かな?」
恐る恐ると口にした幼女らしい願いを耳にした死聖が、手の素振りを見せる。これだけで貧乏神は怯えてしまい、静音の豊満な胸に顔を埋め逃げた。
「まあまあ、もういいんじゃない?反省したみたいだから……」
秋葉が静音の隣の席から手を伸ばし、貧乏神の頭を撫でる。その姿は一見優しいお姉さんのようだが……。
「でも、次悪さしたら、食べちゃうからね?」
「ひぃいいい!」
成否
成功
状態異常
なし
NMコメント
なんだこのトンチキシナリオは。以下略です。
着地地点は現時点では決まっておりません。皆様次第です。
後、多分ギャグシナリオになります、多分。キャラが崩れても良い方推奨です。
以下敵詳細。
■いたずら好きな貧乏神×1
HPが極端に高く、回避が高い以外は至って平凡。攻撃力も余りありません。
しかしその特殊能力は、命に別状はないとしてもとっても危険です。
P貧乏くじ:戦場にいる全ての敵からお金を没収する(フレーバーです。依頼終了後に戻る扱いです)
P名前を奪う:付近にいる者「全て」から名前を一文字除いて全て奪い取ります。本人も、周囲の人間も、全て元の名前が認識できなくなります。
「全て」なので貧乏神自身の名前も消え去ります。なんでや。
A皆平等になれぇい!!:貧乏神のHPが半分を下回ると使用。戦場にいる「全ての」戦闘続行者はHPAP含めた能力値「全て」が一桁になります。残る数値はランダムですが一桁なので大差ないです。
一見強力なこの能力ですが、「戦場にいる全て」が対象なので……。そう「全て」なんです。自らも含めて。
勿論戦闘終了後にはもとに戻ります。ご安心を。
以上となります。
それでは、貧乏神にとりつかれないようにお気をつけて。
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