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シナリオ詳細

真白い未来とワンルーム

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●白紙の頁
「舞白ちゃーん、おはよう!」
「おはよう。今日も元気そうで何よりだわ」
 長い黒髪と不健康そうな白い肌。シャツの下には痛々し傷跡が残っているけれど、その少女の表情は朗らかだ。
 幸宮舞白。彼女の能力者としての生は、あまりにも劇的で、ドラマチックで、それでいて叙情的で、時にもの悲しさを覚えさせ、そしてカタルシスに近いものを思わせた。
 入退院を繰り返して、彼女はようやく自由を手に入れた。
 窓ガラス越しに見た空の青も、掬った日差しも、今ではこんなに近くにある。世界の美しさを、世界はこんなにも近くにあるのだということを、知った。
 そのよろこびを。
 そのいとおしさを。
 貴方に伝えたいと思ったの。
「舞白、遅刻すんぞ」
「少し走ってはいる心算なのだけれど」
「おいおい、冗談は程々にしておけよ?」
 さかしまな心は未だ素直になれないけれど、それでも。
 私の大切なお友達ならきっと、笑って耳を傾けてくれると思って。
 風が靡く。
 砂と落ち葉と少女の黒髪を攫う。
 爽やかな初夏の香りにめまいを覚えそうな、そんな季節。青々と茂り出した桜の木は優しい木漏れ日を落としてくれる。
 嗚呼そうだ。お手紙があったじゃないの。
 帰ったら書いてみよう、なんて決めたころにはチャイムがうるさく鳴り響く。
「あら、いけないわ」
「はやく教室入れ、そこ!」

 風薫る時期も過ぎようとしています。
 ねえ、よかったら――、

●手紙が一通ありまして
「て、手紙が届いたっすよ!」
 ガトゥはこけたりつまづいたりしながらも、一枚の手紙を握りしめて走ってきた。
 ところどころボロボロなのだが、それでも手紙だけは汚すまいと必死だったのだろう。
 白地に緑の蔦の刺繍が入った、初夏を思わせる便箋には傷一つなく、封をするために貼られたであろうシールにも破かれた様子はない。
「なんと、舞白ちゃんからのお手紙なんっすよ」
 嬉しそうに見せびらかしたガトゥはそのあと勢いよく封筒を開ける。びりっという音がした。そこまで丁寧に持ってきた意味は何だったのか。
「ふむむ……」
 と読み込んだガトゥ。なるほど、と頷くや否や口を開き溢れたのは依頼にしては可愛らしすぎるもの。
「デートの依頼っす。楽しんできてほしいっす!」
 大きく手を振ったガトゥは、舞白からの手紙を透かしてみたり鉛筆でこすったりして、あとでフィスに怒られたのだとか。

NMコメント

 こんにちは。染(そめ)と申します。
 蒸し暑くなってまいりました。今月もたくさんシナリオを出せるといいなあとおもっております。
 それでは今回の依頼の説明に入ります。

●目標
 舞白と出掛ける。

 お出かけのお誘いです。出掛けましょう。

●場所
 現代日本風の場所です。服屋もよし。食べ物屋もよし。

●舞白
 幸宮 舞白(ゆきみや ましろ)
 くだものと友達が大好きな17歳の女の子。
 癒しの能力を持つ超能力者で短命、それ故に入院していました。
 虚弱ではありますが、走ったりするのは問題ありません。足は遅いです。

●世界観
『力の代償』
 という物語の中。
 現代日本によく似た世界ですが、超能力者が居ることが大きな違いです。
 超能力者は二つのグループに対立していて、良いことをする超能力者と悪いことをする超能力者に別れているようです。
 超能力者はその力と引き換えに短命で、大人になることが難しいと言われています。

●サンプルプレイング
 よし、今日はどこにいこっか。
 そうだ、エムズバーガーってしってる? あそこのハンバーガーは世界一なんだよ!
 あとね、シェイクにポテトにチキンに……よし、じゃあ私がそこを案内するね!

 以上となります。
 ご参加お待ちしております。

  • 真白い未来とワンルーム完了
  • NM名
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2020年06月07日 22時15分
  • 参加人数4/4人
  • 相談3日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

ミミ・エンクィスト(p3p000656)
もふもふバイト長
ランドウェラ=ロード=ロウス(p3p000788)
黄昏夢廸
回言 世界(p3p007315)
狂言回し
ジュルナット・ウィウスト(p3p007518)
風吹かす狩人

リプレイ


「まずはサ店にでも入ってお話とかどうかなーと思うのですヨ」
 『もふもふバイト長』ミミ・エンクィスト(p3p000656) は舞白の手を取って馴染みの喫茶店へ。
「ここのサンド、美味しいのですよねえー、あ、これも結構美味しいですね……」
 早速注文をしたミミは、舞白にもサンドイッチをお裾分け。
 しゃくしゃくのきゅうりとたまご、瑞々しいトマトが美味しい。
「舞白さんも、ささ、どうぞ!」
「ありがとう……ええと、貴女の名前を聞いてもいいかしら?」
 ぱく、と一口口にした舞白。『美味しい』と目を細めつつ、目の前にいる少女のことを何も知らないのは、食事を共にするのには損だと考えたのだろう。
 ミミも『あ、忘れてました!』と可愛らしく頬を掻き、改めて自己紹介をする。
「ミミはミミ・エンクィストなのです、ふふふ。よしなに?」
「もう知っているようだけれど、私は幸宮舞白。宜しくね、ミミ」
「こういうお店は慣れてなさそうなのですが……なにかご事情が?」
「私、入院していた時期が長くてね……だから、あんまり知らないのよね」
 コーラのストローを上下させて、舞白はため息をひとつ。
「長々入院生活してらしたと、ふむむむ大変な境遇だったのですねえ…」
 ミミも頷いて。
「でも、入院が終わったならバイトとかできそうですよねえ!」
 ぽん、と手を叩いて。『ほら、ここの制服なんて可愛いじゃないですか!』と笑みを浮かべて、ミミは勧めた。
「でも、ミミはアルバイトとかしないの?」
「あ、ミミはねー。実はもうパン屋のバイトで手一杯でして。
 ふふふ、どれも超美味しいんで、今度来てみるといいですヨ、割引したげます!」
 ぱち、と可愛くウインクして。舞白も釣られてくすくす笑う。
「ふふ、それなら今度お邪魔するわね」
「はい! お待ちしていますね」
 くるくるとストローで掻き混ぜて。
 積もった思いも、願いも。今は忘れて、ただ優しくて甘い日常に溺れていて欲しいから。
「まあまあ、ミミのお話はさておき、なのです。
 元気になられた…っつーか退院できて、本当良かったですねえ。
 なんか諸々面倒事から解放された(でいいんですよネ)のを、心底お祝いして……今日はぱあっと! 飲むのです!」
 『かんぱあい!』と掲げたドリンクを合わせて、二人の会話はいつまでも続いたのだった。


「やあ久しぶり? いつぶりかなぁ。忘れちゃった」
「えっ、じょ、冗談でしょう?」
「ふふ、ご名答。冗談だ。ランドウェラ=ロード=ロウスだよ舞白」
「ごきげんようロウス! 久し振りね。遊びに来てくれたの?」
 『その通り』と手を差し伸べた『黄昏夢廸』ランドウェラ=ロード=ロウス(p3p000788) は、舞白にどこに行こうか、と声をかける。
「どこに行こうか。実は僕は飛べるから一緒に空中散歩なんて考えたけど、
悪い超能力者に見つかったら面倒だよねぇ。
 面倒なのは大嫌いだ。嫌なことは懲り懲りだろう?」
「ええ、そうね。なにか考えなきゃ……うーん」
「話に図書館……見飽きてそうだしなあ。
 じゃあどこに行こうかな? 色を楽しみたいから花屋さん?
 けど花の説明できないし……」
「あ、そうだわ! こんぺいとう!」
「こんぺいとう……ああ、あそこか。いいよ、そこにしよう」
 二人仲良く並んで、駄菓子屋へと向かう。
 古めいた街並みがどことなく寂しさを感じさせる。
「実は初めて見る物ばかりだからきっと楽しくなっちゃうね。舞白はどうだろう」
「私も初めてばかりで……ううん、ロウス。遊びましょう?」
「初めてなら初めてを共有しようよ。もちろんお菓子もね」
「ええ、とっても」
「そういえば、能力を使わないでって無責任なお願いをしていたのだけど、使った?」
「……ごめんなさい、使ってしまったわ」
「ううん、大丈夫。僕は、もう、どっちでも良いよ。生きているなら。生きてくれるなら。
 そうだなぁ。あの時は僕の話をしたんだっけ」
「ええ、そうだったわね。とっても楽しかった!」
「ふふ、そうだね今度は舞白の話(たびじ)を聞かせてくれないかい? ちょうどお菓子もあるし」
 それから、インクも。取り出したインクに舞白は目を輝かせる。
 ロウスが悪戯っぽく『これで書くのもいいね』と呟いてみせる。
 頷いた舞白は、こんぺいとうを片手に心地よく喋れるところを探し出す。

 共に買ったこんぺいとうを口に含んでから、終わらない物語を語り始めた。
 腰掛けたのはただのベンチ? 否、其れがただの木製の椅子だとしても。
 語り部たる娘にとっては魔法の絨毯。幾多の物語を、聞き手たるおとこは隣で微笑んで頷いて、記して。
 そうしてふたりは日が暮れるまで。物語を紡ぎ続けた。


「最初に会った時とは見違えるくらい元気になりやがって……これは何かお祝いしないといけないな。
 ちょいと気になるケーキバイキングを見つけたんで行ってみるか? 今日は特別に奢ってやらなくもないぞ」
 『貧乏籤』回言 世界(p3p007315) は、パンフレットを握って舞白と歩む。
「奢り? あら、嬉しい。それなら早く行きましょう」
 嬉しそうに進んだ舞白に声を掛けた世界は、その表情に陰りがないことに安堵して、その顔を綻ばせる。
「そういえば、例の病院はどうなったんだ? 今は何をしてる?」
「ええと、病院はまだあるみたい。今は……学校に行っているわ」
「おお、学校に。それなら、友達ができたりしたのか? 部活に入ったのか?」
「友達は……え、ええ。まあ、たくさんね。部活はまだよ」
「そんなところで見栄をはるな……まあ、これからだ。頑張れよ」
 と、語る世界。頷いた舞白。
 ケーキバイキングって何、と問うた舞白の質問に答えて、世界は舞白にケーキバイキングの一二三を教えこんだ。
「店に付いたら早速食べまくるんだ。時間制限があるからな……一秒たりとも無駄には出来ないんだ」
「へえ……」
 ふむふむ、と頷いた舞白。
 到着したケーキバイキングショップでは1秒たりとも惜しくはできぬ、と世界は舞白の手を引いた。
「ちょっと世界、太っちゃわない!?」
「カロリーがどうとか体重がどうとか気にするな! 今までこういうのを楽しめなかった分まで今日は楽しまないとな」
「う、嘘でしょ……で、でもそういうものかしら。なら食べるわ、世界、オススメを!」
「おう、任せろ」
 チョコレートケーキ、パフェにショートケーキ、ドリンクはレモンティーとメロンソーダ。
 マカロンにタルトにムースにクッキー、あれ、ここケーキバイキング?
 甘いものがたくさんあるから、世界も舞白も無言で食べ進めて。
「世界、こ、これ、なんていうの? 美味しすぎてほっぺたが落ちるわ?」
「それはモンブランだな……気に入ったか?」
「ええ、とっても! 美味しいわ!」
 にっこり微笑んだ舞白に世界も微笑んで。そして無言で食べ進めた。

「食い終わったら後はカラオケにでも行くか。学生時代にはよく世話になったな。早く家に帰れる日がある度に通ったもんだ」
「へえ、カラオケ……カラオケ?」
「カラオケに、行ったことがないのか!?」
「え、ええ。それが何か……?」
「勿体ない! 今から行くぞ!」
「ええ、ちょっ、ちょっと世界!?」
 手首を引いてつれて行く世界に、少し遅れて引っ張られる舞白。
 こうして二人は、朝までカラオケをやらかしカラオケでぐーすか眠ったのだった。


「故き友は家庭を持ってたけど、おじいちゃんにはそんな事は無いからただただ難しいネ……なら、ちょっと趣向を捻って遠出してみようカ」
「ふふ、ジュルナットも出掛けてくれるのね」
「ああ。おじいちゃんに任せるといいネ。損はさせないサ」
 『風吹かす狩人』ジュルナット・ウィウスト(p3p007518) は山へと歩を進める。ゆっくりと歩む舞白に合わせて、隣で歩んだ。
「最近は割と街で暮らしていたから……ここは心地いいわね」
「そうさねぇ……あんまり交友を持ってなかったことが、こういうところで話題を出せないことに繋がるなんてネ。
 ごめんネ舞白チャン、おじいちゃんは無駄に齢だけ重ねてる狩人だからサ……」
「ううん、そんなことないわ? ジュルナットが私を助けに来てくれたこと、しっかり覚えているから」
「そりゃ照れるネ……あ、そうだ、安心しておくレ、森ならどこでもおじいちゃんの故郷と同然さナ」
「それなら、森に来たら会えるかしら?」
「どうだろうね。きっと会えるサ。……あ、あの木に登ろうネ。登って一緒に街を見下ろそうか」
「わかったわ。手を貸してくれる?」
「もちろんサ」
 大きくて歳をとった木に慣れたように登ると、上からジュルナットが手を差し伸べる。
 舞白もその手を掴むと、太い枝に足をかけて木の上へ。
 風が吹いた。
 二人の肩の間を通って、その風は舞白の視線を奪うと――街へ。
「わあ……!」
「ほら、いつも住んで見慣れた街も、こうやって広く見ると新鮮だろウ?
 夜なら街の光でライトアップしてもっと幻想的に、なんて感じだろうけど、夜に出歩くのは危険だからネ、ある程度で帰るとしようカ」
「素敵ね……もう少しだけ、ここにいましょうよ」
「ああ」
 少し暗くなってから、木を降りて。舞白は隣に並んだジュルナットと、星を見上げながら、ジュルナットと街へ進む。
「そうだ……夢を聞いてもいいかナ?」
「うん。私ね……お母さんになりたい。幸せになってみたいわ。……笑う?」
 不安げに顔を見る舞白に、ジュルナットは微笑んだ。
「笑ったりしないサ、願う事を責めるやつはクソ野郎さナ。
ぶん殴って黙らせてやってもいいし、笑って許してやっても良いんじゃないかナ。
そこら辺は自由さナ」
「……そう?」
「でも、どうしても嫌になったら言っておくレ。
 おじいちゃんが一発を持って、仕留めてやるサ……」
「え、ええ!?」
「ああなに、狩人ジョークさ」
 もう! と頬をふくらませた舞白に、ジュルナットは笑って見せたのだった。

成否

成功

状態異常

なし

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