PandoraPartyProject

シナリオ詳細

纏ってオーマイ・バニー!

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●ウサミミは危険な香り
「あらあら、揃いも揃って可愛いお耳」
 取調室のパイプ椅子に並んで座る特異運命座標を見下ろし、壮観だとばかりに『境界案内人』ロベリアは笑う。
 デスクを隔てて4人と向かい合うトレンチコートを纏った厳つい警部が溜息をついた。
「追い打ちをかけてやるな。アンタらはよくやったさ。ただ、そう……運が悪かった」
 そう告げた警部は視線の行き場を無くしたように視線を彷徨わせており、なかなか特異運命座標を見ようとしない。
 それもそのはず。パイプ椅子に腰かけている彼らはバニーボーイ&バニーガール。だから捕まってここにいるーーという訳ではない。
 取調室を使っているのは、目の前にいる警部が、この世界での依頼人だったからだ。

 大都市グッドラックシティの住民は、誰もが皆"異能使い"。ギフトに似た不思議な力を必ずひとつは持っていて、それ故に犯罪が絶えない。
 この日、特異運命座標に任された犯罪者は強盗兄弟ジェイとケイ。通称"バニーブラザーズ"と言われる彼らを、パーティーはあと一歩の所まで追い詰めたのだが……かかってしまったのだ。ジェイの異能に。

「バニーブラザーズの異能は強力だ。それ故に俺達警察も長い間、手を焼いてきた。
 兄であるジェイの異能は『キューティーバニータイム』。その力は身をもって味わったばかりだと思うが……更に凶悪なのが弟のケイの力だ」

 バニーの次はいったい何にされるんだ? ごくり、と特異運命座標が息をのむ。

「ケイの異能は『ポール乱舞』。その名の通り、所かまわず何本でも銀色のポールを地面から現す能力だ。
……しかもそいつは、ただのポールじゃない。
 兄の能力でバニーになってる奴は、そのポールを見ると……踊りたくなる」

 つまりはこうだ。
 人口密度の多い大都市の街中で、ちょっとへっちなバニー衣装を纏ったまま、ポールダンスで強盗を倒せと。

「誰もが一度は憧れるものでしょう? スタイリッシュ&アクション」
 ロベリアのフォローが逆にしんどい。犯人が現場に現れたと報告を受け、特異運命座標は重い足取りで現場に向かった。

●強盗兄弟バニーブラザーズ
「これこそ俺の知略の成せる技よぉ!」
「流石すぎるよ兄者ー!」
「はっはっは、もっと褒めろ弟よー!」

 黒いバニーカチューシャを付けた男2人が銀行の前で仁王立つ。彼らの名はバニーブラザーズ。赤いツナギを着ている方が兄のジェイで、緑のツナギを着ている方が弟のケイだ。

『お、お前たちは完全に包囲されているッ! 大人しく投降しなさーい!親御さんが泣いてるぞー!』
「泣いてない泣いてない。ウチの家系は代々強盗一族だし。そういうお前たち警察は、俺達を捕まえに来ないのか?」

 しん……と警察官達が静まり返る。それを見てニヤリと笑むバニー兄弟。
「来れないよなぁ! あられもないバニースーツ姿の写真と動画を世に出回らせたくなかったら、そこで大人しくしてるがよい!」

 完全にマウントを取られ、警察官は動けない。彼らにだって家庭がある。恥ずかしい写真が世に出回るなんて社会的死だ。

ーーだからこそ必要だった。異世界からのヒーローが。

 バニースーツの特異運命座標が、反撃の牙を剥く!

NMコメント

 今日も貴方の旅路に乾杯! ノベルマスターの芳董(ほうとう)です。
 特異運命座標のバニースーツ率を増やしたい。

●目的
 強盗兄弟バニーブラザーズを捕まえる。

●場所
 大都市『グッドラックシティ』
  現代のニューヨークのような街並みです。高層ビルが多く立ち並んでいたり、緑豊かな公園があったり。
  住民の誰もが何かしらひとつだけ、ギフトめいた異能を持っている不思議な街でもあります。

  バニーブラザーズは都内の銀行を襲うべく、堂々と大通りに現れたようです。
  戦闘の影響がありそうな場所は警察の協力によりテープで規制されていますが、観衆の目の届くところでの戦闘となるでしょう。

●登場人物
 ジェイ
  強盗兄弟バニーブラザーズの兄の方。皆さんにオープニングが始まる前、『キューティーバニータイム』という異能の技をかけて逃げおおせました。
  この異能を受けた者は、どんな服を着ていてもバニースーツを着ているような視覚効果が得られてしまいます。(視覚に関わる幻術なので、持ち物や装備が変わるという事はありません)
  得物は近~中距離を狙える鞭。スイッチを入れると電流が流れるそうです。
  写真を撮るのが趣味。

 ケイ
  強盗兄弟バニーブラザーズの弟の方。持っている異能は『ポール乱舞』。長さ4メートルくらいのポールダンス用のポールを地面から突き上げる能力です。
  兄の『キューティーバニータイム』の異能を受けている者はこのポールで思わず踊りたくなるという地味に厄介な特性つき。ただし異能を使った時に、どこにポールが現れるかは本人もコントロールができない様子。近~遠距離にどんどこポールを生やします。
  動画を撮るのが趣味。

 サリー警部
  厳つい強面の警部です。真面目一徹。グッドラックシティの治安のために、日夜奔走しています。
  協力を頼まれればサポートのために出てきます。
  部下も警部も『キューティーバニータイム』にかかった経験がありますが、街の住民のブーイングで犯人を取り逃がした事が何度もあり、特異運命座標を頼ったのだとか。

『境界案内人』ロベリア・カーネイジ
  足を拘束した謎の聖女。本編で活躍する事は基本ありませんが、呼ばれれば軽いサポートくらいはするかもしれません。
  こうなる事を分かっていて特異運命座標にあえて異能についての情報を渡してませんでした。なんという女だ……。

●その他
 皆さんはすでに一度、兄弟と会って『キューティーバニータイム』をかけられており、バニースーツのセクシーボーイ&セクシーガールになっています。
 依頼を受ける前にロベリアからこの異能について教えられてはおらず、ただの「強盗退治」として集められており、騙されるような形でこんな姿になってしまいました。

 美しい技を見せると兄弟は撮影に気を取られます。めざせスタイリッシュ&アクション!

  • 纏ってオーマイ・バニー!完了
  • NM名芳董
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2020年06月05日 22時10分
  • 参加人数4/4人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

主人=公(p3p000578)
ハム子
那須 与一(p3p003103)
紫苑忠狼
スー・リソライト(p3p006924)
猫のワルツ
回言 世界(p3p007315)
狂言回し

リプレイ

●四羽のぐだぐだ復讐記
「……油断してたつもりはないんでござるよ?」
『はですこあ』那須 与一(p3p003103)は至って平静な笑顔で語り出す。
「そりゃこういう世界は初めてでござったし? ちょっとわくわくしてたかもしれないでござるよ?」
 天を突くほどの立派な建物が並ぶ大都会の真ん中で、悪漢達と異能バトルーー境界案内人からの触れ込みは、最初はそういう感じのものだった。
「でもね、やっぱり相手がどんな手を使ってくるかもわからなかったでござるし?
 破れかぶれの攻撃も怖いし警戒はしてたんでござるよ?」

 あんな説明されたらさぁ、アメコミみたいなかっちょいい異能だろって思うじゃん。

 読めるわけがない相手が対象の服をバニーにする能力なんて!
 さらにポールダンス用の棒を出す能力なんて!!

 よ め る わ け が な い!!!

「というわけで……うん…殲滅しちゃっても是非もないよネ♥」
 繰り返す。与一は至って平静な笑顔だ。——ただし瞳は笑ってない。
 華奢な両手に殲滅兵装をガッチリ握り、開戦の合図とばかりにブッ放す!

「ヒャッハー☆ 汚物は消毒だぞー☆」

 チュドーン! ズゴゴゴゴゴッ!!

 轟音と共に吹きあがる爆風に煽られ、道端に落ちていた新聞がベシャリと『貧乏籤』回言 世界(p3p007315)のウサ耳に引っかかり、再び青空の彼方へ飛んでいった。

 世界は激怒――はしないが呆れた。必ず、この異能を取り除かなければならぬと決意した。
 世界にはバニースーツを着た一般人男性の需要が分からぬ。世界の普段の服装は極めてノーマルである。
 普通の白衣、安物のズボンを履いて暮らして来た。なのでこういう衣装は人一倍好きでは無かった。

「という訳でさっさとブラザーズとやらをぶっ飛ばしていこうと思うんだが……」
「まあ、少なくとも普通の時に着る物ではないよね」
「どうしてこの状況でそんなに冷静でいられるんだ、ハム子」
 問われれば『ハム子』主人=公(p3p000578) は飄々とした様子で自分のウサ耳をちょいとつまむ。
「季節ごとの限定イベントであらゆる衣装をあてがわれるのは主人公の定めだからね。あー今回はバニーなんだって」
 きわどいスリットのチャイナ服も、DOTEI☆を殺す服も巻き込まれ馴れたハム子にとって、着せられるのは日常茶飯事。どんな衣装であっても完璧に着こなしてみせるよと、爽やかな笑みまで浮かべてみせる。
「その余裕、あっちにも分けてやれよ」
 世界が指さした先ではフラフラと内股気味に『猫のワルツ』スー・リソライト(p3p006924)が歩いている所だった。
「ふふふ、あんまり踊り子を……私を舐めないでほしいなっ!!
 台詞とは裏腹に、頬は真っ赤でうっすら目元に涙すら浮かんでいる。ふるふると小刻みに震える様はまさに幼気な子兎ちゃんだ。
「……あっ、でもちょっと兎耳は恥ずかしいから…あんまり見ないでほしいかな…///」
「いや、スーさん普段から猫耳で過ごしてるだろ。恥ずかしがる所そこか?」
「乙女心は複雑なんだよ。だからこんなに恥じらったりもするし、あんなに荒ぶったりもする訳で」

 目の前で再び火柱が上がる。警察が張った『KEEP OUT』のテープの中は既に火の海と化していた。抉れたコンクリートの上に立つ与一。

「兄者あっ! アイツ、俺達をこの地区ごと吹っ飛ばす気だよ!」
「冷静になれ弟よ、奴はバーサク状態でこっちが見えておらん!」

「あれだけの火力を浴びて、まだ生きてるのか、あの兄弟」
「ギャグパートではやたらタフな敵キャラ、RPGのADVパートあるあるだよね」
 またもや混沌とした事態に理解を示すハム子へ半眼を向けつつ、世界が一歩横へずれる。
(……あっ)
 スーは気づいた。立ち入り禁止のテープの外からローアングルで撮影しようと試みているパパラッチ。そのレンズからハム子とスーをさり気なく守ってくれたのだ。
(恥ずかしがって、守られてばかりじゃいられないよね。今日の私は皆を魅せに来たんだからっ!)
「もう大丈夫。与一さんに加勢しようっ!」
「街中が火の海にならない程度にね」
 気を持ち直した仲間の様子に飄々とした様子で答え、ハム子は兄弟の方へ歩き出す。後に続く世界とスー。ようやく同じ方を向いて挑みはじめたパーティーに——あのおぞましい異能が遅いかかる!

「これでも喰らえ、ポール乱舞ッ!」

 コンクリートの地面がめくれ上がり、ズドドド! と勢いよく乱立するポール!
「なんかスタイリッシュ要求されてるけど拙者の戦闘スタイル的に無理☆ なのでござるが……」
 すり、と気づけば近くのポールに擦り寄ってしまう身体。縫い留められた与一の横を世界が通る。
「ヒャッハァ! お前もポールの虜になれよぉ!」
 天高く突き出された銀のポールを前にして、世界は高く跳躍し——。
「はああぁっ!」
 見事なドロップキックで叩き折った!!
「なにぃ、貴様ッ……弟のポールの魅了が効かないのか!?」

 世界は冷静に考える。
 写真や動画も、ばら撒かれたってこの世界の中だけだ。全く良くないが割り切れる。

 しかしポールダンス、お前はダメだ。体がカチカチに硬い俺には到底無理だ。

「踊りたい気持ちがどれだけ強くなろうと、俺が踊ることはない。20年間培ってきた面倒臭がりな性格を舐めるなよ!」
「兄者ぁ! あいつ威張れない事を堂々と言ってやがるよ!」
「そうだな弟よ。しかし……それだけで本当に誘惑に耐えうるのか?」
 ご明察。無論、気力だけでポールに抗っている訳ではない。この世界にある異能という力。それはギフトに等しいと世界は気づいたのだ。だからこそ使った。己の力を。

 口伝《固有強化支援術式》——他者のギフトを強化する支援の力。その発動中、自身は"他者のギフトの効果を受けられない"。
「俺が強化したのは《供犠の徒花》。頼んだぜ!」
「ショータイム! ポールダンスでもダンスはダンス、撮影も動画も大歓迎!
——れっつ、すたいりっしゅ&あくしょん!」
 銀のポールに絡みつき、兄弟の前へ滑り降りてくる2羽のバニー。ハム子がパチンの指を鳴らせば、何処からともなくムーディーなBGMが流れ出す。
「おおおぉっ、なんと凝った演出! これは録画不可避ッ!!」
「見てるだけで……いいのっ?」
 挑発するように人差し指にを唇に当て、スーがパチンとウィンクする。
 世界に強化されたギフトで兄弟の欲を掻き立てながら、ふわふわの尻尾を挑発的に振った後、ポールを両手で掴んで大回転! 大胆に身体を反らせ、つま先まで綺麗に弧を描くようなポーズを取る。
「あっ、あれば! なんて美しいスーパーマン・クレセント!」
「スーパー何だって?」
 興奮気味にビデオカメラを取り出し始めた兄弟に、世界が半眼で聞き返す。
「ポールダンスの技だ。それも知らんのか!」
「いや、常識ですみたいなトーンで言われても困るんだが……」
「あっちのねーちゃんも大胆だよ兄者ぁ!」
 揺れる白いウサ耳が視線を奪う。
 ハム子がポールの一番下まで降り切ると、長い足を見せつけるように伸ばして開き。身を反らせて開脚蹲踞のポーズを取る。
「ねぇ。おひねり頂戴。こーいう異能(ちから)があるなら用意くらいしてるでしょ?」
——ねじ込んでよ、ここに。
 艶めかしい笑みと共に、身じろいで胸を揺らす。
「そのような我儘ボディに求められたらッ……ねじ込まぬは男の恥よォ!」
「応ともさ兄者ぁッ!」
 理性が降り切れ、獣のようにスーとハム子に襲い掛かる兄弟。
 がしっ! と熱い抱擁を交わし、分厚い筋肉が——。
「……きん、にく?」
 フワフワな尻尾とお耳の可愛らしいバニーちゃん。なのにどうして……掴んでみた胸板は、弾力があれど異様に平たい。おまけに何だか暑苦しい。嫌な予感を感じて兄弟達が顔を上げると、なんとそれはサリー警部だった。
 ビキニパンツに網タイツ、裸ベストとパンチの効いた格好で、劇画のような強面の頭にカチューシャのウサ耳がふわふわ揺れる。
「貴様らの方から駆け寄ってくるとは……よっぽど捕まりたいらしいな」
「「うげえぇぇえっ!?」」
「確保ーっ!」
 サリー警部の号令が、筋骨隆々バニー警官を呼び寄せた!
 ズドドド! と地鳴りを立てて何処からともなく現れて、怒涛の羊の如く兄弟達をもみくちゃにして踏み倒すッ!

「ぎゃああーーっ!!」
「雄っぱいは嫌だーーっ!!」

「えぇっ、どういう事?」
 スーが混乱するのも無理はない。兄弟達は何もない場所に走って行った後、突然悶絶しはじめたのだ。ハム子がブイ、とVサインをキメる。
「キミとの挑発ダンスで近寄ってきた時、魔眼かけてみたんだ。再犯防止にトラウマになるくらいのやつ」
「えげつな……」
 引き気味に呟く世界。彼の服が一瞬にして白衣に戻る。ハム子の服も元に戻り、互いに顔を見合わせた。
「後は警察が何とかしてくれそうだし、これで一件落ちゃ……」
「ふええぇん! 是非もないでござるよぉおお!!」
 バニー姿が解けたら解けたで正気に戻り、生まれた黒歴史に泣き出す与一。衝動のまま駆け出す彼女の背中へ、慌てて世界が声をかける。
「待て、4人揃わないと元の世界に戻れないだろ! スー、追いかけるぞ……って」
 話を振られたスーはというと、何故かバニーのままで、頬を赤らめながら立っていた。
「恥ずかしがってたら、ロベリアさんが……その、『最初からへっちな服を着ていれば何も問題ありませんわ』って……」
「だって、終わった後もスーのポールダンスが見たかったんですもの」
 唐突にスーの背後に現れ、ぎゅっと後ろから抱きしめるロベリア。
「ボクも一緒に観ようかな。という訳でキミ、後は頼んだよ」
「は? えっ、待っ……」
 面倒の気配を察し、ロベリアと共に消えるハム子。
 後には独り、取り残された世界だけ。

「くそっ! バニーなんて……二度となってやるもんかーー!!!」

成否

成功

状態異常

なし

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