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シナリオ詳細

盲目的大衆の死角
盲目的大衆の死角

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●万人之泥也
 お花が咲いていたのです。
 いつもパンを買いに行く道すがら、黄色と青と紫の花が、大きなボールのようになった植木に沢山ついているのです。
 それを横目に明日の昼のパンを買って、途中で買ったベーコンを挟んで、お父さんの仕事場へ半分持って行って、帰りに残ったサンドイッチを食べるのです。
 そんな日課の途中に、あのお花はあったのです。

 ある日のことでした。
 パン屋さんが向かいのお魚屋さんと口論をしていました。
「腐ってるんだよ! 毎日毎日、いい加減にしてくれ!」
「言いがかりはよせ、俺の店のもんは新鮮だ。あんたの店からじゃないのか!?」
 この通りを歩くとき、お肉が腐ってしまったような、いやな臭いがすることがありました。
 そんなに怒ることじゃないのに。
 私は当時、そう思っていました。

 ある日のことでした。
 花が枯れ、植木がすかすかになった頃、いつも通りお父さんにサンドイッチを届けた帰り道、植木の前に座って残った分を食べていました。
 腐った臭いが鼻について、いやだな。へんだな。
 そんな風に思って。
 振り返ったのです。
 そこには。
 綺麗に飾られた死体がありました。

●衆人盲目なれど死せず
「前衛芸術家のジョンボードクラブを知っているかい?
 『大衆の死角』をテーマにしているゲリラアーティスト集団さ。
 貴族の家に貧民家族の絵を描いたり、公園の真ん中にリアルな物乞い人形を放置したり……はっと気づけばそこにある。
 そんな不思議な作品群にはマニアックな人気が多くてね、コレクターもいるのさ。
 けれど」
 『黒猫の』ショウ(p3n000005)は、指の上でもてあそんでいた氷をグラスに落とした。
 からからんと、空っぽなグラスの中を氷が踊る。
「これを手に入れようって人間は、さすがに居なかったよ」
 グラスの隣には写真。
 その隣にまた写真。
 写真、写真、写真、写真。
 どれも人間の死体をくりぬいたりつなぎ合わせたり、奇妙にねじれたり埋まったり、一瞬見ただけでも何か複雑な心境を抱かせる、グロテスクで美しいアート作品だ。
 アートと呼びかねる要素があるとすれば、それが『本物の死体』で作られていることだった。
「ジョンボードクラブは過激な作品を展示することもあったし、貴族の逆鱗に触れることだってあった。
 アウトローではあったけど……こんな作品を展示したことはなかった。
 それがここ最近で突然、死体アートを大量にゲリラ展示するようになったんだ」
 植木の中。
 旗の裏。
 屋敷の窓辺。
 いつも誰かが通り過ぎ、目の端にとめているような場所に、ぽつんとその作品はあるという。
 大衆はそうと気づかず死体を眺め、死体の横を通り過ぎ、死体が見つかった瞬間に自らの行ないに気づくという。
「きわめてそしてブラックなアートさ。
 美術知識のある者がこれを鑑定して、ジョンボードクラブの仕業であることを知り、証拠をいくつか集めて確定までいったんだけど……どうもここからが問題でね」
 ショウはもう一枚の写真を出した。
 目だけを失った死体たちが笑顔で手を繋いでいる。
「拘束しにいった兵士5名が、まとめてアートになって帰ってきたんだ」

 ジョンボードクラブは10人程度で構成され、大きな『工房』と呼ばれるガレージに集まっていると言われている。
「彼ら全員を捕まえるのが依頼主からのオーダーだ。
 生死不問。現場のものを持ち出したり、生かしてどこかへ逃がしたり、死体を持ち去ったらダメってことくらいだ。
 どうかな……やるかい?」

GMコメント

【依頼内容】
 『ジョンボードクラブのメンバー10人の拘束もしくは死亡』
 全員殺しておくことが、一番リスクの低い選択となるでしょう。
 後に依頼主が様々な捜索を行なうため、物品や死体の持ち出しは禁止されています。
 現場が荒れたりする分には仕方の無いこと、とされているようです。(あまり派手に破壊しないほうがよいでしょう)

【ジョンボードクラブ】
 四人乗り馬車が数台ほど入るような広いガレージです。少し小さめの体育館のようなものを想像してください。
 しかし幅が最大でも30mほどしかないので、中~超距離攻撃を行なうには不便に感じることがあるでしょう。
 事前の調べから、全員がそろっている時間帯が分かっています。
 一応近くに用意された部屋に潜伏し、全員が入ったことを確認したら突入することになります。(ここまでの手順はマニュアル化されています)

 メンバーは10人。
 全員戦闘可能です。
 クラスは一部だけ分かっており――仕立屋、芸術家、鍛冶屋、マジシャン、道化師といった具合です。
 全体的に攻撃スキルや武器が至~中距離に収まっていると思われます。

【アドリブ度】
 ロールプレイをよりお楽しみいただくため、リプレイにはキャラクターのアドリブ描写を用いることがございます。
 プレイングやステータスシートに『アドリブ歓迎』『アドリブなし』といった形でお書きくだされば、度合いに応じて対応いたします。ぜひぜひご利用くださいませ。

  • 盲目的大衆の死角完了
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2018年04月10日 21時15分
  • 参加人数 8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

Suvia=Westbury(p3p000114)
年中ティータイム
リゲル=アークライト(p3p000442)
死力の聖剣
シェンシー・ディファイス(p3p000556)
反骨の刃
メテオラ・ビバーチェ・ルナライト(p3p000779)
Crimson Rose
シュバルツ=リッケンハルト(p3p000837)
死を齎す黒刃
スリー・トライザード(p3p000987)
LV10:ピシャーチャ
ヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤ(p3p001837)
祈る暴走特急
アルク・ロード(p3p001865)
黒雪

リプレイ

●芸術のなんたるか、狂気のなんたるか
 普段は子供たちの遊ぶ声がするはずの裏通りは、不気味な静けさだけがあった。
 酸っぱい臭いがほのかに漂い、日があるというのにどこか暗い印象を受ける。
「やはり芸術というものは理解するのが難しいですね」
 石で舗装された地面を裸足で踏んで、『年中ティータイム』Suvia=Westbury(p3p000114)はお行儀良く両手を腰の前に揃えた。
「あの方々の作品……わたしのラテアートとは比べるまでもない低俗な内容にがっかりです。メイドとしてしっかり駆除させていただきますね」
「アートと言えるのか? 人の心を揺らしてこそとは思うが、人の死を素材にするってのがとにかく好かねえ。根の根の根まで、摘ませてもらう」
 『紅薔薇の剣賊』メテオラ・ビバーチェ・ルナライト(p3p000779)も『うちの嫁に悪影響だ』と呟いて剣を握り込んだ。

 ガレージに続く道は細く、所々にゴミが落ちていた。
 賑わう表通りとは対照的な有様だ。貧富の差があちこちに現われている。
「……」
 魔導書の表面を撫でる『LV6:グール』スリー・トライザード(p3p000987)。
(例え飾られようと、『死』は……理解出来そうにも、ありませんね。私は、あまりにもそれを、厭い、疎み――恐れ過ぎて、しまったが故に)
 静かに思うスリー。
 死に対する哲学は人によってはとても鋭く変わるものだが、『反骨の刃』シェンシー・ディファイス(p3p000556)にもその節はあったようで。
(殺すこと。それそのものは必要なことだ。生きるために殺す。何かを得るために殺す。それは誰にも覆せない現実だ)
 と、考えていた。しかし一方で……。
(『殺すこと』は『享楽』に繋がることじゃない。それはくだらない、獣に劣るものだ。まして、その『死』を弄ぶ輩は、ヒトの、怪物の、ただの敵だ)
 そんな風に考えていた。
 故に二人の考えは、一つの所で合致した。
「死はオモチャじゃない」
「……ええ、まったく」
「主よ、我が罪をお許し下さい。貴方の元へと旅立つ罪深き魂に、どうか慈悲を」
 祈るように手を合わせる『祈る暴走特急』ヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤ(p3p001837)。
(話し合いで解決できれば良かったのだけれど、早く対処しなければ次の犠牲が出てしまう……他に道は無いという事ね)
 これより先は血池針山。覚悟を決めよと、天が言うかのようだ。

 『黒影』シュバルツ=リッケンハルト(p3p000837)を挟んで両側、『銀閃の騎士』リゲル=アークライト(p3p000442)と『黒雪』アルク・ロード(p3p001865)はそれぞれ深刻そうな顔をして歩いている。
 黙って歩くのも辛気くせえと思ったのか、シュバルツはリゲルの肘を小突いた。
「今回の依頼、依頼主のオーダーは生死不問、つまりは遅かれ早かれ奴らを処分する気があるって事だと俺は思った訳だが、それでもお前は『調査』のために奴らを生かすのか?」
「…………」
 意地悪な質問だ。アルクが右目を細めるようにしてシュバルツたちを見た。
 リゲルはただ前を見て。
「魔種化と狂気感染。原因を究明し被害の拡大を防がねばならない」
「ハッ、甘えた事ぬかしやがる」
 シュバルツはポケットに手を入れて、アルクのほうを向いた
「だが、その甘さ嫌いじゃねぇ。今回ばかりは付き合ってやるよ。な」
「……ああ」
 アルクは頷き、懐から玉髄刀を取り出した。

 イレギュラーズたちが足を止める。
 見上げるは、看板のさがったガレージだ。
 看板にはこうある。
 『ジョンボードクラブ』

●昨日と同じ明日が来るとは思うなよ
 木製のドアを蹴りつける。
 それだけで粗末な立て付けは悲鳴をあげ、ガレージの内側へと倒れ滑っていく。
 まるでサーフボードにでも乗るような勢いで、シェンシーはドアの平面に足をつけ、そのまま室内へと突入した。
「なんなんだ、あ――」
 あんたら。という単語を述べる前に、シェンシーのナイフが高熱を伴って大きな弧を描いた。
 頬を裂かれ、のけぞる男。『あがが』としか言えなくなった男は、そのままシェンシーの腕に掴みかかった。
 手のひらを翳す。ばちばちと火花が散る。
 狙うはシェンシーの顔面だ。
 しかしその腕を、ヴァレーリヤが素早く掴んだ。
「――っ!」
 腕を引っ張り、掌底のように手のひらを相手の顔面に押し上げるヴァレーリヤ。
 どこか神聖な力がはしり、男は派手に弾かれた。
 後方の棚に激突し、何かの材料や塗料をぶちまける。
 そうなってからやっと、ガレージにいた者たちはこれが戦闘であると認識したようだ。芸術家集団ジョンボードクラブが戦闘態勢に入るまで、それだけ間があったということである。
 窓際に置いてあったのこぎりを手に取る者。手に取った瞬間、窓が何者かによって破壊された。
 アルク外縁を掴んで窓を蹴りつけ、ドロップキックさながらの突入をしかけたのだ。
 ガラス片にまみれながら蹴り飛ばされる男。
 手から飛んだのこぎりを拾うかどうか迷った末、ガラス片を手に取った。
「こいつ、どこのモンだ!」
「……」
 アルクは勢いで発したとおぼしき言葉に返すこともなく、ガラス片の攻撃を腕で受ける。
 血は吹き出ても、痛がるそぶりは見せない。呻きの一つも漏らさず、ただ目を見開いて相手をとらえた。

「何が狙いだ! 金ならないぞ!」
 仮設ベッドから起き上がり、動物解体用のナイフをとって向かってくる男がいた。
 シュバルツはそんな相手にハンドポケットのまま向かっていく。
 ロングコートのポケットに手を入れ、背を少し丸めて額を突き出すように、歩幅を一歩ごとに伸ばし、早歩きが走りに変わるころにポケットから手を抜いた。
 否、銃を抜いた。
 思わず顔面を狙った相手のナイフを泳ぐようにかわすと、抜いた銃を相手の肩に押し当てる。
 銃撃。よろめいた所に更にもう一丁で銃撃。
 重なった衝撃で相手は派手に吹き飛び、絵画のスタンドを破壊しながら転がっていく。
 起き上がろうとした途端、猛烈に突っ込んでいったメテオラが相手の肩を蹴りつけた。
 ナイフが飛んでいき、マネキンの腹へと突き刺さる。
 否、マネキンなどではない。人間の死体だ。一度皮をはいでなめして再び着せた剥製だ。
 全く。と、メテオラは額に手を当てた。
 背負っていた剣の固定具を解き、ゴルフスイングよろしく相手の顔面に剣の腹を叩き付けた。
 バウンドしながら転がっていく相手を見て、メテオラはため息をついた。
 直後に、大きな木の棍棒を担いで殴りつけてくる者が現われる。休む暇などないようだ。
 現状において不利な要素があるとすれば、敵側の人数がこちらより多いことだ。
 スリーは棍棒を担ぐ男の前へ滑るように急接近すると、魔導書を一度宙に放り投げた。ページが複雑怪奇に組み上がり、両手で持つような芝刈り鎌へと変化していく。紙でできた刃は恐ろしく鋭く、切りつけた相手の腕から血しぶきを上げさせた。
「…………」
 反撃に出る男。しかしスリーは構わず鎌を相手の身体に突き立てた。大量の小さな虫が入り込むがごとく、塵が意志をもったかのように鎌を通じて男の中に入り込む。男の目が陥没し、骨と皮ばかりを残して崩壊していったのはその十数秒後のことである。

 彼我の人数差について、リゲルはずっと前から対策を考えていた。
「敵を引きつける。その間に敵の数を同数以下にまで減らせるか」
「おう、任せとけ! 一瞬で蹴散らしてやるよ!」
 シュバルツとやりとりをしてから、リゲルは剣を掲げて見せた。
「芸術家が、ただの殺人狂になるとはな。いや、以前もただの芸術家気取りであったかな?」
 撫でた刀身が光り輝き、注目を集める。
「俺達を画材にしたくば殺してみせろ。できなければ、その退廃的な活動もどきに終止符を打たせて貰う!」
 挑発的な言葉と仕草に、何人かは気を取られた。そのうち一部は武器を手に、詰め寄り、『うるさい』と言って殴りかかってくる。
 工夫の甲斐あってか4人は引きつけることができた。目下、リゲルはこの4人(とそれに乗じて攻撃してくる何人か)の猛攻を耐えなければならない。
「どうぞっ」
 Suviaが治癒効果のあるお茶を、コルク栓をした小瓶で投げてきた。
 くるくると回転し、リゲルの手に収まる。
「わたしはコレを頑張りますね」
「ありがとう。暫く頼むぞ!」

●誰が悪かったのかなんて
 どれだけの時間がかかっただろうか。
 永遠のようにも思えたし、一瞬のようにも思えた。少なくとも数分の間であったことは確かだ。
 リゲルが強引なタックルによって突き飛ばされ、ごろごろと転がった頃のことだ。
「この程度の戦闘は試練のうちにも入らない。俺はその先を見据えて前へと進む!」
 手から離れそうになった剣をしっかりと掴み、杖のようにして無理矢理に立ち上がる。
 Suviaとヴァレーリヤが駆け寄って、彼の治療を始めた。
 痛みを飛ばす薬茶を飲み込ませるSuviaと、回復のことばを素早く唱えるヴァレーリヤ。
 しかしリゲルは、それ以上の回復をやめるように言った。この先の猛攻をしのぐには足らないからだ。
 リゲルの言葉を理解して下がるSuviaとヴァレーリヤ。反対に、リゲルは敵へとまっすぐに突っ込んだ。

 形成は完全に傾いた。
 数的有利を失った敵はなんとかそれを取り返すべく熱心な集中攻撃にシフトしたが、もはや手遅れと言っていいだろう。
 目先の結果にとらわれてSuviaたちを狙ったのも、彼らにとっては悪手になった。猛攻の速度を落とす最後のチャンスを失ったに等しいのだ。
「……」
 シェンシーが無言無表情のまま滑り込み、相手の胸をひと突きにする。
 勿論刺して終わりではない。幾度も突き刺し、蹴倒して燃やす。
 徹底した『駆除』の動作だった。
「なんでだ……なんでこんなことを……」
 うつ伏せに倒れ、血にまみれた手を伸ばす男。
 その手を踏みつけ、シェンシーは炎を浴びせた。
 数的有利を完全に失い、踏みつぶされる側となったジョンボードクラブのメンバーたち。
 なけなしの武器をもつ彼らの目に、恐怖のようなものが浮かんだ。しかし理性のタガが外れているのか、戦闘をやめようという意志は見えなかった。
 坂を転がり出した石が止まらないように、死ぬまで転がるつもりのようだ。
 それが明確な殺意と攻撃になってぶつかってくる。
 どこで手に入れたか分からないような剣を、アルクは玉髄刀の刀身で打ち払った。
 顔面に盾の縁を叩き付け、無理矢理に打ち倒す。
 瞬間、メテオラがアイコンタクトをとった。
 『いいか?』『いいぞ』の一瞬だ。
 メテオラは即座に理解し、グレートソードに己の生命力を纏わせた。
 放出された生命力か、エネルギーがバラの花弁のように美しく散っていく。
「美術の真髄を履き違えた者に、死を……!!」
 メテオラの剣が激しい衝撃となって相手を吹き飛ばしていく。
 派手に転がり、バウンドし、近くの『作りかけ』を壊しながら転がった。
 そうして、メテオラの視線が残る男に注がれる。
 いや、最後の一人に注がれると言うべきだ。
 ハンドポケットで近づくシュバルツ。
 魔導書を畳んで近づくスリー。
 戦いを辞めるかとおもいきや、最後の男は叫びながら斧を振り上げた。
「そうなるよな」
「……」
 仕方ない。そう首を振って、二人へ相手の顔面を同時に蹴飛ばした。
 左右アシンメトリーにそろった蹴りが相手の鼻をへし折り、後ろの仮設ベッドを飛び越え、積み上げられた廃材の中へと落とした。

●熱
 Suviaのつれたニヒルなドッグ『アッサム』君が静かなガレージの中を歩いて行く。
 倒れた死体に鼻を近づけてはくんくんとやって、どこか嫌そうな顔をした。
「ちゃんと死んでますね。でも、念のために」
 Suviaは対象をひとりひとり確認しながら、丁寧にトドメをさして回った。
「ったく、悪趣味なところだな」
 シュバルツはあちこちに転がった人体部位を見て吐き捨てるように言った。
 ろくな場所じゃない。
 それは誰の目にも明らかだ。
 けれど、それは表面の皮一枚にすぎなかった。
 シェンシーがガレージをあちこち調べていると、過去の作品が出てきた。
 ジョンボードクラブは元々ゲリラアーティストの集いだ。作品が世に残ることは滅多にない。
 大体は貴族の壁に絵画を残したり、公園に突如としてオブジェを置き去りにしたり。その全ては一日とたたずに撤去され、庶民の記憶に残るばかりとなる。
 だがその習作にあたるものが、ガレージには残されていた。
 王都にはびこる貧富の差や、それを放置する王を風刺した芸術作品がいくつも出てきた。
 世間的にはまっとうでなかったが、芸術家としてはまっとうだったのかもしれない。
 それももはや、過去のことだ。
「……奴らは、どうしてああなったんだろうな」
 調べてみても、ジョンボードクラブは突如として狂ったようにしか見えなかった。
 いや、徐々に段階をおって狂ってはいたのだろうが、その外的要因が見えなかったのだ。悪い薬をやってるとか、悪い人と会ってるとか、そういったあれこれがないのだ。

「気をつけろ。何があるか分からない」
 いつでも動けるように立ち、腕組みをするアルク。
 リゲル、ヴァレーリヤ、スリーたちは『殺さずに倒した』敵に水をかけ、尋問を始めていた。
 執拗に質問を重ねてみたり、『貴方も苦しみながら死ぬのは嫌でしょう?』と拷問をほのめかしてみたり、相手の様子をじっと観察してみたり……。
 複数人に行なった内容をまとめると、こうだ。
 『芸術の方向性を変えるきっかけは何か』『呼び声を聞いたのか』『サーカスを見たか』『サーカスについて知っていることは』といった質問に、彼らはなぜそんな質問をされているのかわからないといった、根本的にピンときていない反応を示していた。
 中には『わきあがったんだ』と語る者はいたが、それだけだった。
 呼び声という言葉にも、サーカスというキーワードにも、彼らは一般的な感想以外何も感じては居ない様子だった。
 最後に、スリーがそっと相手に近寄って、耳打ちをするような声でこう尋ねた。
「貴方方にとって、芸術とは、如何に」
 相手はただぼんやりと目を虚空に向けて、ただひとこと。
「声だ」
 と、述べた。

 ガレージを出れば、空は晴れ渡っている。
 メテオラはまぶしさに目を細めて、手を翳した。
「今回の件は全ての事件に繋がりと理由が必ずあるはずだ。……調べ続けよう」

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 ――mission complete
 ――To the next madness

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