PandoraPartyProject

シナリオ詳細

虹色夢幻ワンルーム

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●また来てくれたの、と彼女は云った
 目が覚めた。
 最近は一日おきに、なんてことはなく毎日起きることができている。
 それもこれも、皆が友達になってくれたからだ、と、思う。
 私の世界には欠けていたもの。
 やさしさ。
 よろこび。
 いつくしみ。
 おどろき。
 たのしさ。
 ……それを、彼等が分けてくれたんだと思った。
 だって。そうじゃないと、毎日扉を眺めては肩を落としたりはしないでしょう?
 こんぺいとう。煌めく星みたい。甘くて、また食べたい。
 優しい動物。森の中の生き物。ひかりのあたたかさが恋しい。
 捲った頁のにおい、おと。ふたりで読む本のたのしさ。ひとりだと辿り着けないものがたりのこたえ。
 ホットドッグ。やわらかな景色。森のしずけさ。ひとのぬくもり。
 知っていたはずのこと。それを、知らなかった。
 世界は私が思っているよりも、広いのだと。
 私の世界に、彼等が色をつけてくれたんだ、と。
 咀嚼する食べ物に味はない。味があるって、素敵だったんだな。

 ガラガラガラ。

「幸宮さん、最近調子が良さそうですね」
「はい。友達ができたんです」
「まあ、お友達が? それは良かったですね」
 ピッ。ピッ。ピッ。ピッ。
 メトロノームが鳴るように、規則正しい拍動の音が電子音として出力されていく。
 笑う少女と笑う看護師。
 白の部屋に並べられた有色の数々。


 無垢な彼女は世界の『色』を知ってしまった。


 看護師は窓辺に並べられた少女の『宝物』に顔を綻ばせ、そして少女の食べ終えた皿を回収すると、無機質に部屋から出ていった。
「……はぁ」
 皆がまた来てくれれば良いのに、と、少女は窓枠越しの空を眺める。
 青がやけに鮮やかに見えて、眩しくてうざったいだけだった日差しには温もりを覚えて。
 そっと、手で日溜まりを掬う。溢れていくひかりのつぶ。何ら不思議なことではないのに、しあわせだと思う自分がいることに、舞白は目を瞬かせた。

 その裏で。
「雪宮さんが回復傾向にあります」
 淡々と告げる看護師の姿。綺麗に平らげられた皿の中には『薬』が仕込んであったのに。
「……へえ。面白いね、あの子」
 それじゃあ、と。幼い容貌の委員長は口元を歪めて告げた。

「あの子、壊しちゃおうか」

●『マシロ』
「……不味いことになった」
 フィスには珍しく、その端正な顔を歪めて頭を抱えて。
 苛立った様子で右往左往。
「舞白が危ないんだ。詳しくは後で連絡するから……独りにしちゃだめだよ」
 手渡された紙にかかれていたのは、毒殺の二文字だった。

NMコメント

 どうも、染(そめ)です。
 悲劇とは救われるためにあるのかもしれません。
 それでは今回のシナリオの説明に入ります。

●依頼内容
 幸宮 舞白の護衛。

 ゆきみや ましろ。女の子です。17歳くらい。高校生ですね。
 幼い頃から病弱でこの病院に入院してるようです。七階の一番奥の部屋が病室。
 黒い髪と黒い目をした、線の細い少女です。
 くだものや読書が好きです。友達ができました。

【New!】
 病院から怪しい薬を投与されています。が、その事は知りません。

●世界観
『力の代償』
 という物語の中。
 現代日本によく似た世界ですが、超能力者が居ることが大きな違いです。
 超能力者は二つのグループに対立していて、良いことをする超能力者と悪いことをする超能力者に別れているようです。
 超能力者はその力と引き換えに短命で、大人になることが難しいと言われています。
 舞白もその一人です。舞白の能力は『癒しの力』です。他人の傷を癒すことに長けていたようです。

●病院について
 超能力者専用の病院です。特殊な石を使ってできているため、超能力者も普通の人間のように入院することができます。
 薬の匂いがきついです。
 病院内には図書館やカフェなど、リラックスできる場所の他、庭、森、池などだいぶ自由な自然があるようです。
 他にも色々な場所がありますので、プレイングに自由に書いて頂ければ採用いたします。

●護衛方法
 ご飯の時間に一緒に居てあげてください。
 そして、何らかの方法でご飯を食べきったことにし、皿を返却してください。
 一人の場合は看護師に見張られるようです。
 外に連れ出しても構いません。

 舞白は何か食べないとお腹が空いてしまうでしょう。

●サンプルプレイング
 ……たちが悪いよね。
 舞白、そのご飯じつはとんでもなく不味いらしい。こっそり差し入れ持ってきたから、こっちを食べなよ。

 以上となります。ご参加お待ちしております。

  • 虹色夢幻ワンルーム完了
  • NM名
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2020年05月19日 22時05分
  • 参加人数4/4人
  • 相談3日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

ソア(p3p007025)
無尽虎爪
回言 世界(p3p007315)
狂言回し
冬宮・寒櫻院・睦月(p3p007900)
秋縛
シルヴェストル=ロラン(p3p008123)
デイウォーカー

リプレイ

●「白い世界から彼らは私を連れだしてくれた」
「皆! また来てくれたのね、嬉しいわ。」
 舞白はベッドの上から手を振った。そのテーブルの上には毒の入ったプレートがずらりと並んでいた。
「舞白さんのお友達? 沢山来てくれるんですね、良かったですね」
「はい。皆素敵な人なんですよ」
 嬉しそうに語る舞白に真っ先に近寄ったのは 『雷虎』ソア(p3p007025)。
( ふと気になった舞白さんの食事、だって部屋よりも臭うんだもの。
 おかしいよね、病室の匂いは病院だからって思ってたけど、ご飯までこんな匂いする?)
 すんすんと鼻を鳴らして。異質なにおいが確かにそこにあるということは――毒が入っている、ということで間違いなさそうだ。
「……これからご飯なのよね。どうしようかしら」
「看護師さん? そんなに見つめていたら舞白さんが落ち着いて食事ができなくなります。
 今日は友達がたくさん来ているのですから、みんなで和気あいあいと食事を取りたいのですが。舞白さんの健康にもいいと思います。どうでしょうか」
「……そうですね。では後でお皿を回収しに来ますけど、」

「ちゃんと、食べてくださいね」

 強調するように。言い捨てて。けれど、その顔から笑みは消えていない。
 看護師は部屋を出て行った。
 ふう、と息を吐いた四人。しかしまだ安心はできない。この毒物の処理をどうしようか。
 少し暗い空気なのを見兼ねた『今は休ませて』冬宮・寒櫻院・睦月(p3p007900)がにこやかに笑みを浮かべた。
「はじめまして舞白さん。冬宮の者です。宮がおそろいですね」
「はじめまして。ええと……下のお名前を聞いてもいいかしら」
「ふふ、それは次に来たときに。その方が楽しみになりませんか?」
「まぁ、貴方って賢いのね。それじゃあそうしましょうか。
 宜しく頼むわ、冬宮さん」
 にこやかに自己紹介が済んだところで、さぁ、と『凡才』回言 世界(p3p007315)が手を叩いた。
「……ここは少し空気が悪いな。外で食うのもありだと思うんだが、どうしようか」
「それもありですね。舞白さん、せっかくですから庭で食べませんか?」
「じゃあボクは車椅子を押してあげる!」
「……ってことだけど。どうかな、舞白さん」
 『白夜月』シルヴェストル=ロラン(p3p008123)が優しく微笑みかければ、もう断ることなんてできそうにもない。もともと断るつもりなんて、なかったのだけれど!
「ええ、そうしましょう!」

●「今日のお昼ご飯はとびきりのごちそうにしようよ、と、誰かが告げた」
 心地よい日差しに包まれて。五人は病院内の庭を訪れた。
(人目に付きそうなところだと危ないんじゃないかな)
(よし、ボクに任せて!)
「舞白さん、ボク来たときにここを通ってきたんだけどね。
 向こうの方に綺麗なお花が咲いてたんだ! だから、奥の方に行ってもいいかな」
 前に訪れた時、動物や植物に瞳を輝かせていたことをソアは知っていた。
 少し悪いような気もするけれど命には代えられない。それを利用させてもらおう。
「まぁ、そうなの? それならぜひ連れて行って頂戴!」
 れっつごー、と腕をあげる舞白とソアの後ろからついていく世界と睦月、そしてシルヴェストル。
 看護師がちらりとこちらを見ていたがぺこりと皮肉ついでに頭を下げる。手に持った『フルコース』は動きに合わせて小さく揺れた。

「さぁ、ここでご飯にしようか!」
 ソアが見つけたのはこぢんまりとした庭園。本当は花なんて咲いているかもわからなかったけれど、プランターに並んで咲いたパンジーやヴィオラに目を奪われているあたり、それでよかったらしい。
 遅れてきた三人も、その様子には安堵して。
「それじゃあ私のご飯を貰えるかしら」
 何も知らないからこそ、残酷なこともある。
 睦月が抱えていたプレートに手を伸ばした舞白を、シルヴェストルとソアが遮った。
 ソアは小さなランチボックスにおにぎりやキッシュ、デザートにプリンを付けてお弁当を持ち込んでいた。
「ねえ、お弁当持って来たんだけど食べられそうなものある? 病院のご飯ばっかりじゃ飽きちゃうよね」
「ええ、興味はあるのだけれど……私も食べていいのかしら」
「『お弁当のおかずの交換』みたいなものだと思えば、幸宮さんも気軽にできるかな?」
 シルヴェストルはカフェで購入したクラムチャウダーと、白い器にのったたまごスープを交換して。
 この間のカフェのだよ、とシルヴェストルが告げれば、白い肌を朱に染めて舞白は喜んだ。
(目的の検討がつかない。殺しが目的なら強力な毒を使えばそれで一発だし、じっくり弱らせ続けることに狙いがあるのか?
 いずれにしても彼女が超能力を使えることとが関係ありそうな気がするな……まあ今はそんなことはどうでもいいか)
 世界は思考しつつも恐らく『メインディッシュ』であろうハンバーグを拝借する。ソアが持ってきたランチボックスと、睦月の持ってきたクラブハウスサンドがあれば、舞白は充分に腹を満たすことができそうだ。
「そうですね、じゃあ僕はこのたきこみご飯を貰います」
 皆が持ち寄った食べ物を受け取った舞白は目を輝かせて。
「いいの?」
「うん。気にせずお食べ」
「有難う……! それじゃあ、」
「「いただきます」」
 もぐもぐ、と舞白は頬いっぱいにご飯を詰め込んで。
「おいしい~~……!」
 うっとりした様子でその目を細める。
(病院食って『味が薄い』とか『量が少ない』とか、『美味しくない』とか色々と言われるけれど……実際はどうなのかって。
 実際のところ、ここのご飯は美味しそうだね)
 と、シルヴェストルはおもいつつたまごスープを口に。僅かに舌のしびれるような感覚がした。
 恐らくはこれが『毒』の正体だろう。
 微量に盛った毒が体内に蓄積することで死んでしまうのか、或いは。
 能力を狙った犯行だとしたら、その理由はまだわからない。
「食事は美味しいですか?」
「ええ、とっても!」
「病院食はいまいちと聞いていたのですが、ここのは違いそうですね」
「ああ……ハンバーグもなかなかの味だな」
「このたまごスープもだ」
 口に出さずとも、舌に生じた違和感は共通していたのだろう。同意することで三人もまた毒の存在を確認した。
 一方、最初に匂いで違和感を覚えたソアはむむ、と首を傾げて。
(気になって来ちゃった……この匂い嗅いでると何だかソワソワする。
 決めた、辿ってみよう)
「ボクちょっとお手洗いに行ってくるね!」
 仲間には伝わるだろう。あのメンバーの中でなら一番鼻の利くソアが、『病院を探索する』という意図をもってここから席を外したことを。
 それを知らない舞白はプリンをほおばりつつ、いってらっしゃいと手を振って。
 きっと長くなるだろう、と判断した世界と睦月がそれをサポートする。
「そういえば病院での一日はどうなのですか? 何をされているんですか?」
「そうねえ……寝たきりだとつまらないから、最近は本を借りたりカフェに行ったりしているわ」
「へえ、そうだったのか。じゃあ俺も質問していいか?」
「勿論よ」
「能力者は能力を複数持つとどうなる?」
 一瞬舞白の目が見開かれる。けれど、そうね、と思考して。
「短命になるわ。私以上にね。それから……強力な力を得るけれど、理性を失うわ」
 怪物のようになるみたい、と淡々と告げた舞白。
 そこに、白衣の天使が現れた。
「こんな人目のつかないところで食事されていたんですね」
 先程の看護師だ。うっすらと笑みを浮かべてはいるのだが、声に温もりはなく。
「ええ……美味しそうに食べていました。これ持って行ってくれますか。
 僕ら、まだ話したいことが沢山あるので」
 シルヴェストルがベンチから立ち上がりプレートを手渡して笑みを浮かべる。
(――彼女はもう少しだけ、世界を知ってもいいはずだよ)
 想いを胸に潜めて。
「……綺麗に完食されてますね、安心しました。
 では、ごゆっくり」
 完食してあることに安心したのか、特に言及はせずに看護師は背を向けた。
「あ、あの、」
「いくら友達同士だからと言っても、部外者の僕達が勝手に病院のご飯を食べたって話を知られたら、流石に怒られるかもしれないから……。
 この食事会は、ここにいる全員の秘密ということにしておこう。ね、幸宮さん」
 と、耳元でシルヴェストルが囁いて。
 友達との秘密、ということに胸を弾ませた舞白は嬉しそうに頷いた。
 四人の談笑はまだ終わりそうにない――。

●「ソアはどこへ行ってしまったのかしら」
 一方その頃、匂いの元をたどっていたソアは地下室に辿り着く。
(……これ、なんだろう)
 ころり、と落ちていた封をされていた試験管。
 あの匂いと近いものだ。
 帰ったら仲間に聞いてみよう、と決め、ソアは気配を隠してその場を去った。

成否

成功

状態異常

なし

PAGETOPPAGEBOTTOM