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シナリオ詳細

究極! 混沌麻雀!

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●前回までの! 『究極! 混沌麻雀!』は!
 『小さな守銭奴』ファーリナ(p3n000013)がFXで資産を全部溶かしたどころか借金まで背負っていたことが判明したある日の午後のこと。FXで資産を全部溶かしたどころか借金までこさえたような顔をしてファーリナが言うには、
「借金の穴埋めのために、高利貸しの元締めと麻雀で対決してほしいんですが」
 との事であった! しかしファーリナ洗井落雲は麻雀で遊んだことがないのだ。でも麻雀くらい知って? ますけど? リーチ棒を出せば? ロンできるんですけど?
 そんなおつむまでFXで資産を全部溶かしたどころか借金までこさえたような洗井ファーリナ落雲に変わり、イレギュラーズ達は高利貸しの所に向ったのだ! このままでは洗井落雲ファーリナが意味のないぐるぐる回す棒をぐるぐる回転させる強制労働懲役刑につく羽目になってしまう。それはやりたくない。
 さておき、幻想のダーティな所にあるダーティな雀荘に到着したイレギュラーズ一行はそこでダーティな高利貸し集団と接触。
「ファッファッファ、借金を麻雀で返したいとは身勝手なこと言ってくれるなぁ。だが良いだろう、お前たちに挑戦してもらうのは、地獄の『究極! 混沌麻雀!』100連荘だ――」
 高利貸しの男の言葉に、イレギュラーズ達の間に閃光が走った! 麻雀! それはおおむねどこの世界にも存在するため、星の数ほどのローカルルールが存在する禁忌のゲームであることは世間にもよく知られている所である。『究極! 混沌麻雀!』は、その『すべてのローカルルールを適用する』と言う、知識のないものは只々蹂躙されるだけの麻雀であるのだ! おお、なんと恐ろしい!
 そんな恐ろしい麻雀を、百連荘! しかもイレギュラーズ達は、その百戦を勝ち続けなければならない――これは過酷な戦いであった。
 しかし、ここまで来て「いやぁ、やっぱり帰ります。借金は働いて返しますわ」とは言えないのが世の常。吐いた唾は飲み込めないのである!
 かくして、イレギュラーズ達の挑戦は始まった! 一戦目、各雀士は席につき――。
 ――96戦目!
「うおおお食らえ! 僕の必殺大車輪返しだ!」
「ば、馬鹿な! 『脳筋名医』ヨハン=レーム (p3p001117)、ここまで打(ぶ)てるとぁぁぁぁぁぁ!」
 薄暗い雀荘の壁まで、男は盛大にぶっ飛んだ! 鮮血のように牌が宙を舞い、ヨハンの頬に牌がぺちって当たる!
 薄暗い雀荘! そこに蠢く黒い影! それは高利貸しとかの、一言で言えばやべー奴らである!
「くくく……やるではないかイレギュラーズ……この『究極! 混沌麻雀!』をここまで耐え抜くとはな……!」
 やべー奴のリーダー(未だその詳細は黒い影に包まれていてよくわからない)はくくくって笑った。そんなやべー奴のリーダーに対し、くすりと余裕を笑みを見せるのは『乱れ梅花』白薊 小夜 (p3p006668)である。
「あら、言葉の色に余裕が見受けられなくてよ。そうよね、もう96戦目……後がないのは其方よね?」
 かつり、と手にした杖を床に打ち付ける小夜。
「そうです、背中がすすけてますよ!」
 びしい、と指をさすヨハンに、ファッファッファ、とやべー奴のリーダーは笑う。
「確かに残りは四戦――だがここからが真の地獄と知れ。此処からお前たちの相手をするのは、コンビ打ちの玄人(バイニン)たちよ」
 バイニン! なんかすごそうな言葉である。きっと強いに違いあるまい。洗井落雲は麻雀用語がわからぬ。
「コンビウチ……つまり、2対2で戦う……という事ね?」
 『展開式増加装甲』レイリ―=シュタイン (p3p007270)が言った。麻雀とは最大四人まで遊べるゲームであるが、今までのゲームは、全て一対一の戦いであった。
「勝敗はどう決めるの? トップが出た方が勝ち? それとも二人の合計点?」
 レイリーが尋ねるのへ、やべー奴のリーダーが頷く。
「トップが出た方が勝ちで良いだろう……全員の点数計算とかすると、洗井落雲の頭が壊れるかもしれないからな……」
「なるほど……」
 『虚言の境界』リュグナー (p3p000614)は腕を組み、深く頷いた。
「ここからの勝負……まさにコンビ打ち。如何に自分の相方をトップに立たせるか、これが重要になるな……」
 今までの戦いとは、まるで戦術が違ってくる。今までは単純に相手を打ち負かせばよかったが、コンビ打ち対決となれば、相手は二人……加えてローズ? とかサシコミ? とかで相方のサポートなどを行う事が重要になって来るのである。
「そしてここからの勝負方式を発表させてもらう……!」
 そう言うと、やべー奴のリーダーはホワイトボードに、以下のように対戦方式を記し始めたのである!

  97戦目 コンビ打ち 全自動雀卓 アリアリルール
  98戦目 コンビ打ち 全自動雀卓 脱衣ルール
  99戦目 コンビ打ち カード麻雀 カードルール
 100戦目 コンビ打ち 手積み卓  アリアリルール

「ふぅん……残り四戦、すべてコンビ打ち……こっちの総数は八人。これは、こっちは二人づつ、得意な卓につく……こういう流れね?」
 『でっかいもふもふ』秋月・キツネ (p3p000570)は、しっぽをふぁさっ、と優雅に振りながら声をあげる。
「じゃあ、『死を齎す黒刃』シュバルツ=リッケンハルト (p3p000837)は、脱衣麻雀卓だね?」
 『電子の海の精霊』アウローラ=エレットローネ (p3p007207)が神妙な顔で頷きながら言う。
「えっ」
 シュバルツが声をあげた。
「うん……だつい、と言えば、シュバルツ」
 『深海の金魚』エクスマリア=カリブルヌス (p3p000787)もまた、納得顔で頷いた。
「えっ、なんで? えっ?」
 シュバルツが声をあげた。
「まぁ、その辺はよく話し合って決めるがいい。さぁイレギュラーズよ、残り四戦、楽しませてくれよ……!」
 そう言って、やべー奴のリーダーはくくくと笑うのであった――。

GMコメント

 お世話になっております。洗井落雲です。
 このシナリオは、イレギュラーズの借金の肩代わり(リクエスト)によって発生した事件になります。

●成功条件
 残り四戦の麻雀すべてに勝利する

●状況
 麻雀してください。
 ただし、洗井落雲は麻雀と言う物がよく分かっていませんし、混沌には星の数ほどのローカルルールが存在するため、皆さんが主張したことをそのまま信じて描写します。
 だからみんな、 適 当 な こ と 言 っ ち ゃ だ め だ ぞ ☆
 今回立つ卓は、以下の四つです。すべてコンビ打ちですので、仲間の内からそれぞれ二人を選出し、麻雀を打ちましょう。

●立つ卓と傾向

1.97戦目
 全自動雀卓を使用した、コンビ打ちの何でもありルールです。一番オーソドックスな卓です。でも洗井落雲は麻雀がよくわからないので、何がオーソドックスなのかよくわかりません。
 多分、全自動雀卓なので、イカサマはしづらいと思います。その分、ローカルルールが光る卓です。

2.98戦目
 全自動雀卓を使用した、コンビ打ちの脱衣ルールです。麻雀と言えば脱衣麻雀のような気がするので、今回選択されました。
 でも洗井落雲は麻雀がよくわからないので、どうして服を脱ぐのかがわかりません。リーチをすると脱ぐのかな? よくわかりませんが、ローカルルールが光る卓です。

3.99戦目
 牌ではなく、カードを使用したカード麻雀です。カードなので、多分先行1ターンキルデッキとか、大三元パーミッションとか、平和アグロとかがあるんだと思います。
 カードなので、ローカルルールが光る卓です。

4.100戦目
 手積み卓を使用したコンビ打ちです。敵はやべー奴のリーダーとサブリーダーです。手摘み卓なので、イカサマがすごいことになると思います。
 何でもありの修羅場なので、ローカルルールが光る卓です。

 以上となります。
 それでは皆さんのご参加をお待ちしております。 

  • 究極! 混沌麻雀!完了
  • GM名洗井落雲
  • 種別リクエスト
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2020年05月30日 22時11分
  • 参加人数8/8人
  • 相談8日
  • 参加費---RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

秋月・キツネ(p3p000570)
でっかいもふもふ
リュグナー(p3p000614)
虚言の境界
エクスマリア=カリブルヌス(p3p000787)
愛娘
シュバルツ=リッケンハルト(p3p000837)
死を齎す黒刃
ヨハン=レーム(p3p001117)
おチビの理解者
白薊 小夜(p3p006668)
永夜
アウローラ=エレットローネ(p3p007207)
電子の海の精霊
レイリー=シュタイン(p3p007270)
ヴァイス☆ドラッヘ

リプレイ

●各雀士、着座!
 さて、ついに決戦の火ぶたは切って落とされた。残り四戦、様々なジャンルの麻雀が、イレギュラーズ達を苦しめるのだ。
 97戦目――全自動雀卓によるコンビ打ち。此処に参戦したのは玄人二人と、 『展開式増加装甲』レイリ―=シュタイン(p3p007270)、そして『孤高装兵』ヨハン=レーム(p3p001117)である。
「さて、今回のルールは……」
 宅に電流走る――ルール……つまりローカルルールのセッティングである。このルールの選択によっては、雀士にとって大きく有利にも不利にもなるのだ!
「……サウスラクーン……3ダイスを用いた赤有りのアライマシマシ……!」
 玄人の言葉に、イレギュラーズ達に電流が走った! おお、なんと過酷なルールか! これまでの戦い、それを超える複雑難解にして青天の霹靂的ルール! だがヨハンはそのようなことなど意に介さない。
「ふっ……流石ラスト四戦……初戦から難しいルールですが、僕の経験値のため……あとファーリナさんのため。受けて立ちましょう」
 闘牌開始!
(全自動雀卓……透視した限りだけれど、機械そのものに細工はないわね……)
 レイリーが透視能力を利用して場を俯瞰する。
(もし細工を仕掛けるとなれば、配牌後……しかし私にはこの目がある! 小細工も正々堂々も、見て捕らえてみせる……!)
 東一局! 最初は全員が見に回ったか。全員が上がりを逃し、玄人、親を失う。小康状態が続き東四局目。ヨハン、親となる。
「なるほど……これがアライマシマシルールね……」
 くすり、とレイリーが笑う! 特殊牌である、アライ牌を大量に搭載した情け無用のルールである!
「どうです? わかってきました? なかなか楽しいですよね」
 ヨハンは余裕の表情を崩さない! こんな鉄火場には慣れている……そう言わんばかりに!
 この時、レイリーの目にはヨハンの配牌が見えている。見えるのは大量のアライ牌!
 通常、アライ牌は麻雀のルールがよくわかっていないのでゴミ! 無用の長物!
 だが、これが数を増やした時……!
「うん……これでしょ、ヨハン殿!」
 打! アライ牌! レイリー、ここでアライ牌を強打!
「ではそれを、ポン!」
 ヨハン、アライ牌をポン! アライ牌の刻子を晒す! 玄人たちに電流走る!
「もうひとつ、アライ牌!」
「それをポン!」
 並ぶ、並ぶ、アライ牌! ここにきて通常ゴミのアライ牌、とんでもない爆弾となる! ヨハンの狙いはアライ牌による『アライ一色』……ちゃぶ台返し的役満!
 アライ牌は少数では文字通りのゴミ……! しかし、ここにきてアライ牌を捨てることが難しくなる。結果、玄人たちは手を進めることができず、無用のアライ牌が手にたまることになる……!
 もちろん、これもタダ運を天に任せたわけではない。今回使用する全自動雀卓、その型番が少々古い事を、ヨハンは察していた! このタイプの全自動雀卓は、洗牌時に偏りが派生する。それをみぬければ、なんか中央のウインウインするところにまとめてアライ牌を放り込むことで、手配の操作が可能なのだ! ヨハンはそれを利用した! おお、なんと悪魔的ヨハンの策略だろうか! それを瞬時に察したレイリーもまた、玄人に負けず劣らず打てる実力者である!
「ふふ……レイリーさん、オ・ム・ラ・イ・ス、ですよ」
 ヨハンは小悪魔的にくすくすと笑った!
(気づいてください、レイリーさん。メッセージです。明日のお昼ご飯はレイリーさんのオゴリでオムライスですよ……)
(わかったわ、ヨハン! ラストスパートをかける!)
 レイリーとて、勝負を降りたわけではない。サポートを行いつつも、その手はしっかりと育っている。元より投資による長を得ているレイリーである。相手の手が止まれば、勝つことはたやすい……!
「……自摸。失礼、国士無双ね。これで勝負ありよ! まずは一勝!」
 闘牌、終了! レイリーがトップに躍り出たことにより、イレギュラーズ達が一勝を勝ち取る!
「おや、残念。でも、チームが勝つことが優先ですからね」
 慣れた手つきで牌を倒すヨハン……その手札の中身は、まさにアライ一色聴牌……! 玄人たちはいずれにせよ、詰んでいたのだ!
「ふふ、約束ですよ、オムライス!」
 ヨハンとレイリーはハイタッチ! 勝利を喜び合う!
「え、オムライス?」
 レイリーは頭にはてなを浮かべながら、小首をかしげるのであった――。

●脱衣! 98戦目!
「うーん……」
 手牌を眺めながら、可愛らしく小首をかしげるのは、『電子の海の精霊』アウローラ=エレットローネ(p3p007207)である! その表情には、少しばかりの緊張感があった。当然である。この卓は脱衣ルールなのだ! 玄人たちは脱ぎなれたおっさんたちである! その中に放り込まれた可憐なアウローラにとって、危機感を感じるのも致し方あるまい。脱いでも脱がれても嬉しくないのだ。
「大丈夫か、アウローラ」
 心配した様子で声をかけるのは、『死を齎す黒刃』シュバルツ=リッケンハルト(p3p000837)だ。その表情には、かなりの緊張感があった。当然である。この卓は脱衣ルールなのだ! 玄人たちは脱ぎなれたおっさんたちである! その中に放り込まれた精悍なシュバルツにとって、危機感を感じるのも致し方あるまい。脱いでも脱がれても嬉しくないのだ。
「大丈夫大丈夫! 役は覚えたし!」
 にっこりと笑うアウローラ。緊張感はあっても、後ろ向きな感情はない。今までだって、色々な困難を越えてきたのだ。
(アウローラへのサポート、それが重要だ……最悪、ある程度俺は脱いでも仕方ねぇ。アウローラだけは守らなければ! PPPが18禁の領域に突入しちまう……!)
 それだけは避けねばならない。今この瞬間、シュバルツは倫理の守護者だった。シュバルツはすでに、上着を脱がされていた。ついでに、ブーツは一回で片方だけか、両方脱ぐのかでごねた。
「んー、つも! えーと、めんぜん、ぴんふにたんやお……どらも!」
 アウローラが手牌を倒す。脱衣麻雀ルールでは、如何に素早く上がるかが重要である。何せ、負ければ相手は一枚脱ぐのである。そこに点数は関係ない。一部では点数の高低によって脱ぐ度合いとか好感度が変わったりするゲームもあるらしいがそれはそれ。こと今回においては、如何に素早く上がるかが重要であった!
 アウローラは反応値に長けたイレギュラーズである。334もあれば、先行逃げ切りなど容易いコト。加えて、シュバルツによるサポートもある。
「よし……いいぞ、アウローラ! このペースで一気に終了まで持ってくんだ」
「おっけー! シュバルツも頑張って!」
 そして南四局――最終戦。シュバルツの親。すでに点棒は底をつき、シャツとズボンのみの格好と化したシュバルツだったが、点数的にはアウローラがトップ……この局を乗り切れば勝ちだ。
「お前ら(玄人)相手に隙なんて与えねぇぜ。悪いが勝たせて貰うぞ」
 シュバルツは持ち前のEXAを駆使し、一気に牌を二枚自模る。EXAが高ければ、二枚自模ろうが三枚自模ろうが許されるのが、混沌麻雀であるのだ!
(手堅く……アウローラに振る! それで終了だ!)
 シュバルツは、神経を研ぎ澄ませた――とにかくこの局が終わればそこで半荘終了なのである。これ以上脱がなくて済むし、脱がなくて済む。一打目――アウローラは動かない。二打目――これも外れ。棄て牌から、萬子染めに走ってるのは分る。まさか九蓮宝燈? まさかね? そんなの自模ったら死ぬよ?
 とはいえ、萬子を差し込めば終わる……シュバルツは再びEXAを発揮した三度自摸を披露すると、手牌の萬子を片っ端から捨て始めた!
「あ! シュバルツナイス! それロンだよ!」
 アウローラがご機嫌な声をあげながら、手牌を倒した! 現れる、1~9の萬子!
「マジで九蓮じゃねーか!」
 たまらず声をあげるシュバルツだったが、とはいえそれは嬉しい悲鳴でもあった。終わる。ようやく、この戦いが終わる――自分の尊厳も守りながら。
「俺らの勝ちだな。これで終いだ!」
「おう。終いだ。でもな」
 玄人は苦笑した。
「一つ……ルールを忘れているな? この卓では、最下位になった奴の服が爆ぜる」
「えっ」
 シュバルツが声をあげた。
 シュバルツの服が音を立ててはじけ、周囲にその裸体を惜しげもなく披露した。大事な所は、衝撃で舞い上がった灰皿が上手い事隠してくれた。
 勝負には勝った。
 しかし、アウローラの九蓮宝燈で、シュバルツは、(社会的に)死んだのだ――。

●99戦目! 闘牌(デュエル)!
「我の番か……45戦目の消臭剤鉄砲、62戦目の足蹴り戦争、88戦目のジャンケンで負けると腕叩かれるけどどっちかが連続で勝たないと終わらないアレルールの傷がまだ癒えていないが」
 全裸でうずくまるシュバルツを何となく眺めながら、『虚言の境界』リュグナー(p3p000614)は呟く。
「すごい戦いだったわね……カメラ、ちゃんとセットしてた? okok、よし、じゃあわたしたちも頑張りましょうか」
 全裸でうずくまるシュバルツを眺めつつ、『でっかいもふもふ』秋月・キツネ(p3p000570)が着座する。
 そう! 此処は勝者だけが勝ち残る古のバトルフィールド! そこに立つものは、剣(デッキ)を手にした雀士(デュエリスト)であるのだ!
 相手も歴戦の玄人(デュエリスト)! そして雀士同士がであったなら、もはや問答は無用!
「よかろう、貴様らに圧倒的な敗北を教えてやろうではないか! クハハハハ!」
 リュグナーは高らかに笑い声をあげる! だが、玄人たちも不敵に笑みを返した! さあ、闘牌(デュエル)だ!
 第一ターン。キツネは素早く、デッキからカードを二枚ドローする! イカサマだ! だが、その鮮やかな手つきに、そのイカサマに気づく者はいない!
「ふーん……なるほどね」
 などと意味ありげに呟き、胸元に手を置くキツネ。不要カードを、胸元にキープしておくイカサマである。その豊満な胸元にカードが隠されていようと、誰が気づくだろうか!
 第四ターン、玄人は『東』をポン。続く第七ターンでさらに『西』をポンする!
「ふぅん……なるほど、字牌コントロールか。やるではないか」
 リュグナーがその口元をにやりと歪める。称賛――あるいは、挑発。玄人はにやりと笑い、カードを伏せてターンエンド。
「リュグナー……!」
 キツネが声をあげるのへ、リュグナーは頷いた。
「うむ……何か仕掛けてくるだろうな。だが、コントロールデッキの弱点は手の遅さ……秋月、貴様のデッキなら突破できるはずだ」
「タンヤオは出来るように調整しているわ……これで決めましょう! わたしのターン! ツモ!」
 ばさり、と勢いよくカードを引く――ふりをする、キツネ! だが、そのカードは胸元から引き取られている! ふくよかな胸元が妖しく揺れた。
「宣言通り、タンヤオをもらうわ……ふふ、あなたの伏せカードも無意味なものになったわね……!」
 一局、終了! デッキをサイドカードにて調整し、次の局へ!
 第13ターン、玄人の左手が光る――次の瞬間、玄人の手札が一枚増えていることに、キツネは気づいた!
「二枚抜き……やるじゃない!」
 キツネは思わず歯噛みする。イカサマであったが、現場を押さえなければイカサマにはならない! それは、自身も散々イカサマを打ってきたが故に縛られた、イカサマ師同士のルールであった。
「貰ったぞ! 七対子、ドラ2!」
「ちぃ、儀式魔法、『悪魔の証明』を使う! 六索、六筒、六萬のすべてで鳴いた故に、貴様の役を1下げるぞ!」
「だがダメージは受けてもらう!」
 迸る衝撃! ダメージがリュグナーの身体を駆け巡る!
「ぐあああああっ!」
 ピロロロロロ(点数計算器が点数を下げる時の音)!
「リュグナーっ!」
 キツネが溜まらす駆け寄った! しかしリュグナーは右腕を抑えつつそれを制すると、一枚のカードをキツネへと手渡した。
「……これが逆転の切り札だ。今の貴様なら使えよう。発揮してくるが良い、パワーオブドリームズを」
「リュグナー……任せて。わたしのターン! ツモ! そしてこのカードを発動する!」
 それは、リュグナーに託された、真っ白いカードであった! それは、『白』カードか!? いや、違う!
「そう……そのカードは、『カードをなくした時に好きなものを書き込んで使える予備カード』……つまり、ワイルドカード!」
 リュグナーが解説を入れた!
「わたしはこのカードを『竹の1』に変更! そして手札からすべての竹カードを倒して、役満を発動する――大竹林! これがわたしの、『パワーオブドリームズ』――!」
 その時、発動した閃光が、玄人たちを飲み込んだ! 玄人たちの悲鳴、下がる点数計算器の音――それが止まった時、勝ち残った雀士は、イレギュラーズの二人であったのだ――!

●そして、すべての終わりに
 長かった――と、『燕返し』エクスマリア=カリブルヌス(p3p000787)は思う。
 8戦目の無色透明牌ルール。32戦目の電流鉄条網デスマッチ。49戦目の握り寿司対決……どれも、険しい勝負だった、と。
 だが――これより始まるは、最後にして真の激戦。
「マリアは、負けない」
 静かに――マリアは告げる。
「もちろん。盲御前の手管、たっぷりと堪能していただきましょう」
 うっすらと笑いながら、『真昼の月』白薊 小夜(p3p006668)も、雀卓に着座する。
「ファファファ……これが最後の勝負。楽しませてもらおうか」
 やべー奴のボスが笑う――さぁ、闘牌だ!
 じゃらじゃらと現れる牌たち――小夜はその全てを『視て』いた。研ぎ澄まされた感覚――そして生粋のギャンブラーとしての勘が、その全てを目で見るよりも鮮やかに認識していたのである。
 手摘みであるが故に、ありとあらゆる仕込み、がここにある。だが、小夜も、マリアも、それを見逃していた。はっきりと言えば、此方もイカサマを使うつもりであるのだ。お互い様――いや、これはイカサマも込みでの雀力を競う戦いだ。
 東一局――たどたどしい手つきでやべー奴らをきゅんとさせながら、マリアはたどたどしく左手で牌を入れ替える。可愛いから許された。
「役は、覚えた。四暗刻、大三元、猪鹿蝶……どれも対応できる」
 猪鹿蝶とは、猪と鹿とちょうちょの事である。
「そして――マリアを、よちよち歩きの、子供だなどと、思わない方がいい……ツモ。猪鹿蝶だ」
 宣言通りの猪鹿蝶――卓に電流走る。ふぁふぁ、とボスが笑った。
「良い。その挑発、乗った。すぐにハコテンにしてやろう」
 続く東二局。ボス、絶好牌! 眉をひそめるのは小夜である。イカサマはもちろん、あらゆる手段で『此方から振り込まない』ことは出来る――だが、豪運による自力聴牌は止められない!
「成程――伊達に最後の椅子に座っているわけではないわね」
 呟きつつ、しかし小夜は闘牌を進める。こうなれば、一足でも早く、マリアにサシコミ、和了ってもらうのみ――だが、ボスたちの妨害だろう、なかなかマリアの手牌は育たない!
「まずい、かも、しれない」
 マリアが呻く――その時、ボスの手牌が倒された。
「ツモ。一気通貫などでどうかな」
 おお、一直線にならんだ萬子よ! イレギュラーズ達の闘牌に勝るとも劣らぬボスのパワー!
「ふぁふぁふぁ、如何かな御前殿」
 しかし、小夜はにい、と笑ってみせた。
「御見事……でも、その勢い、このまま続くとは思わないで」
 闘牌は続く。それにつれて、雀士たちの間にも緊張と疲れの色が見え始めていた。ギリギリのタイトロープを、皆が渡っていた。特筆するような派手な事は起こらない。そして、この卓で『それが起こらないことこそが、如何に高度な攻防を繰り広げているか』を分からぬものは、この場には居なかった。
「ツモ。四光」
 小夜のサポートを受けたマリアが点を手にするや、
「ふぁふぁふぁ、革命だ」
 ボスがその点差を平らに戻す。
 まさに一進一退の攻防――ピリピリと張りつめた緊張が、周囲に伝わる程であった。
 しかし――場が動く。
 南4局。オーラス。点差もさほど開けてはおらず、誰もが勝利を目前にし、誰もが敗北を目前にしていた緊張の時――。
 ボス、確信の笑み……っ!
(布石は打ってある! 此処に最後の自摸を操作した!)
 つまり、自摸れば和了。
 ボスの勝利が決定する――。
「自摸――」
 ボスが、笑った。
 だが。
 その顔が、凍り付いた。
「どうか、した?」
 静かに――冷たく――声が響く。
「ふふふ……どうしたの?『この自摸で上がれる筈だった』とでもお考えかしら?」
「ぐっ……!」
 不発である……! 仕込み、不発……!
 ボスの顔がぐにゃりとゆがむ……! ボスのイカサマを、小夜のそれが上回った――別の牌へと、操作したのだ!
 ぽろり――と。
 ボスの手から、自摸牌が零れ落ちる。
 ちょうちょ。
「ロン。猪鹿蝶」
 ぱたり、と、マリアが手牌を倒した。
 猪鹿蝶――。
 それが、今夜の決まり手となった――。
「うん。マリア達の、勝ちだ」
 ぐっ、と片手をあげる、マリア。それは、勝者にのみ許された宣言――。
 そして、今宵の勝者はイレギュラーズ達であるのだという、高らかな声であった。

成否

成功

MVP

シュバルツ=リッケンハルト(p3p000837)
死を齎す黒刃

状態異常

なし

あとがき

 ご参加、そしてリクエストありがとうございました。
 皆様のおかげで、ファーリナは借金を帳消しになり、僕も麻雀と言う物がどういうものか学ぶことができました。
 今度雀荘に行こうと思います。
 なお、本シナリオにおけるMVPとは、『モースト・ベリー・フィジカルを晒した男の人』です。

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