シナリオ詳細
シーグラス・ドリーマー
オープニング
●
──Do you know sea glass?
●煌めく石に想い馳せ、
波打ち際を彩る、煌めく硝子の宝石達。其れはつまらないガラス瓶から生まれていたり、いなかったり。
人間や動物達のくだらない意思感情のせいで捨てられて、海を漂って。
ボトルだったガラスは砕けて、砕けて、砕けて。
嗚呼、かなしい。
嗚呼、こいしい。
嗚呼、いとしい。
奇跡だとか、絆だとか、生命力だとか。そんなモノで括らないで頂戴な。
シーグラスはうたう。希望と、夢と、未来を。
誰の手にだって渡る可能性があるんだろう? ならば、飛びきりの祝福を。平凡でありふれた僕らから、最大級の、愛を!
嘗て栄養ドリンクをなみなみ注がれていた若葉色のグラスは、鋭く割れ落ちて。春の若葉を思わせるような鮮烈な緑は、心を捕まえて離さない。
嘗てラムネ瓶だった薄氷色のグラスは丸みを帯びて、石のような平凡な形に。夏の陽射しを通したあの水色は、海の青に混じってしまって。
嘗て薬瓶だった大樹色のグラスは少しばかり歪な円を描く。薬を沢山詰め込んでいたあの茶は、擦れて曇って夢を見て。秋の木の葉の色に生まれ変わった。
嘗て透明だった角砂糖のグラスは、擦れてざらついた丸へと生まれ変わる。しんしんと降り積もる雪のようないろ。あなたの手の中にあるのは、冬の色した小さなガラス。
勿論、話し出したら他にもあるのだが、それはまた後のお楽しみに。
さあさあ、寄ってらっしゃい見てらっしゃい。
摩訶不思議なシーグラスは、貴方を護り癒し魅了する。
一期一会のその縁を貴方の手で手繰り寄せて。
無限に煌めく夢幻のいろ。泡沫よりも儚くて、星屑よりも眩しくて。
そんな些細なしあわせを、貴方が選び抜いてみせて。
●ジュエリーとは言い難いけれど
「ねえねえ、シーグラスって知ってる?」
ポルックスは右の手に色とりどりのシーグラスをのせて、興奮した様子で声をかける。
「海に流されたガラスが流れ着いてこんな風になったんだって、素敵だよね!
流れ流されこんな所までたどり着いちゃうんだもん!」
うんうん、と勝手に頷いたポルックス。ポケットに突っ込んだ左手から、美しい宝石を取り出して。
「こうやって見比べてみたら宝石のほうが綺麗だけど、シーグラスにも素敵なところってあるよね!
だから、今日はシーグラスのお話に行って、シーグラスでアクセサリーを作ってみちゃおう!」
おー! と、右の手の拳を振り上げて。ポルックスは楽しげに笑った。
- シーグラス・ドリーマー完了
- NM名染
- 種別ライブノベル
- 難易度-
- 冒険終了日時2020年05月03日 22時10分
- 参加人数4/4人
- 相談3日
- 参加費100RC
参加者 : 4 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(4人)
リプレイ
●Je pense à toi en tout temps
「まあ、まあ……海洋と似ているようで、ちょっと違う海と……浜辺と」
身体をすっぽり包んでしまうような大きな影をもつ麦わら帽子を深めに被り、『キールで乾杯』ミディーセラ・ドナム・ゾーンブルク(p3p003593) は浜辺を歩く。
海洋よりは日差しが些か強いのが少々の難点ではあるけれど、とてもいい世界だとミディーセラは思った。
散歩がてら探すのはラベンダーと灰色のシーグラス。帽子飾りにしてはやや控えめな色だろうか。否、ミディーセラにとってはラベンダーは特別な色。大切なあのひとの髪の色なのだから。
きらり。
視界の端で何かが煌めいて。ミディーセラが砂を踏みしめ近寄れば、寄り添うようにある二色のシーグラス。
(ふうん……このシーグラス、はじめてみましたわ。遠目だと、いつだか天義の教会で見たステンドグラスを思い出します。
元の姿が何だったか、すっかりわからなくなっているけれど……綺麗ですねえ)
眩しい日の光に透かして見れば、白い砂にはラベンダーと灰色が踊る。薄曇りのシーグラスは丸みを帯びて、ミディーセラの手の中に。
(形を整える前に磨くのもよさそう……あ、身に着けるというか帽子に飾る用にしてしまいましょう。
色はあの人の……ああ、らべんだー色。いいですね、これ)
ふふ、と笑みを浮かべてポケットの中へ。二つのシーグラスは仲良くポケットの中で揺れる。あの人はなんというだろうか? 反応が楽しみで、今から作るのが楽しみになるミディーセラだった。
上手い具合に丸い破片だったから、ミディーセラは頑張って三日月の形に整えてあげることを決意する。
(薬の調合なら得意ですが、これはちょっと、どうでしょうか。少し不格好のような……?)
慣れない作業は手元も覚束無いものだ。店主の教えに従って、少しずつ丁寧に整えて完成したその飾りは、ちょっと不格好だったけれど初めてにしては悪くない出来。
愛用の帽子にせっせと取り付けてみれば、嗚呼。これはなかなか、良い感じではないか。
(……ふふ。これでわたしも、あの人の色がいつも傍にありますわ)
けれど。残った片割れ、灰色のシーグラスも少しばかり寂しげに煌めいたような気がして。きっとこれは、ミディーセラが防止に着けたラベンダーに焦がれているのだろう。
ミディーセラは灰色のシーグラスも三日月の形へと整えて、もう一つ帽子の飾りを作り上げた。
(先程よりは上手くできたかしら……これはあの人へのお土産にしましょうか)
ミディーセラの掌の中、二つのシーグラスは煌めいて――。
●Les fleurs fleurissent
(時間に磨かれて綺麗になるのって何だか素敵。ボクもそういう風にありたいから)
ごそごそと背を丸め、シーグラスを沢山拾い集める『雷虎』ソア(p3p007025) は、シーグラスに願いを込めてお守り代わりのアクセサリーを生み出すようだ。
浜辺で見つけたシーグラスをポケットの中に入れてはまた探し、見つけたシーグラスをポケットの中に入れてはまた探し。ソアは鼻歌交じりに砂浜を探し続ける。
(一つ一つがここへ流れ着くまでに長い物語があるって思うと勇気が出る!)
そんな思いを抱えてシーグラスを拾い続けると、気がつけばポケットはシーグラスで満ちていて。
赤、青、黄色、緑に紫、桃色に茶色、透明もあれば黒いのだって。十人十色、とは言うけれど、色も大きさも形も違うシーグラスが手元に揃うと、少しばかり圧倒されてしまう。小さくても綺麗で、可愛くて、美しい。そんなシーグラス。 ソアは自身の毛の色に似た金のシーグラスを見つけると、よし、と立ち上がりソアは店へと駆け足で戻って行った。ポケットの中が溢れてしまわぬように、細心の注意を払いながら。
ソアはシーグラスを机の上に広げると、小さなドリルで穴を開けて花を作り出す。煌めく半透明の花は正しくガラスの花。美しく咲き誇り、枯れることは無い。
(いっぱい集めたから、いっぱい形にしてみたい)
その想いは真っ直ぐにソアの手を動かして、ふう、と一息ついた頃にはテーブルには硝子の花の花畑。店の補充分も要らないほどに集めてきたソアのシーグラスは、まだ少し余っていたけれど、今は気にしない。それよりもこれを身につけてみたい!
髪飾りにしてみたり、ピアスにしてみたり、ネックレスやブレスレット、アンクレットも。
至る所に咲いた硝子の花、それを身につけた自分を鏡台で確認。ソアは嬉しくって、くるくると回るのだった。
「ふふ、上手く出来て良かった!」
●Venez l'été
(シーグラス、人類の出したごみが綺麗なアクセサリーに生まれ変わるなんて不思議な事もあるもんだ。
取り合えず良さげな物を見繕ってっと。ん? 煙草の吸殻が落ちてるな)
『凡才』回言 世界(p3p007315) の視界に写ったのは美しいシーグラスよりも、海を汚すゴミ達の方。
「よく見ればそこかしこにごみがポイ捨てしてあるな。ついでに集めてしまうか」
シーグラスも拾って、ゴミも拾って。世界らしいといえばらしいのだけれど、こんな時までゴミ拾いだなんて、どこかの世界の女王なら『ちょっと世界!? 海で泳ぎましょうよ!?』なんて騒ぎ出しそうなものである。
そうして気がついた頃には、シーグラスを集めた袋よりもゴミを集めた袋の方が詰まっていそうな具合に。
(…………何故かごみ拾いになってしまったな。まあ目的のシーグラスも綺麗な奴をいくつも拾ったし別にいいか)
ゴミはゴミ箱に。ボランティアとはいえゴミ箱を見つけてそこに捨てると、日が昇り切る前に店へと戻った世界だった。
「さて何を作るか……せっかく沢山拾ってきたし贅沢に使っていきたいな。シーグラスだけで作ったブレスレットとかにしてみるか」
青、透明、緑、白。寒色系でシンプルながらもオシャレな仕上がりに。これから迎える夏に向けて、涼し気なものを。
と、思ったまでは良かった。
(作成し始めて気づいたがこれ結構面倒くさいな?! 綺麗にグラデーションにしようと並べたり大きさを合わせたりと手間を掛けてる自分が悪いんだが……)
苦戦する世界。だがしかし手は止めない。諦めてはならないのだ、何事も。
「いやまあアクセサリを作るだけならシーグラスに穴を開けて紐を通してネックレスにするのが手っ取り早いと最初から思ってはいたんだけど……すでにネックレスはあるからここで作っても着ける機会が無いんだよなぁ」
ブツブツボヤきつつも気がつけば完成。最後の方は集中力が散漫していたから、最初に比べると少し気の抜けたデザインだが悪くは無い。
「今年の夏はこれでお洒落でもしてみるかな」
おっ。水着浴衣で取り入れてくれるんですか。期待。という圧はさておき、見た目もさわやかなブレスレットは世界の腕の中で煌めいて。これからの夏が楽しみになる世界なのだった。
●Dieu sur la plage
「シーグラスの製作、それも大事な依頼よ」
波打ち際に仁王立ち。対するは波打ち際に埋もれるゴミの山。稲荷神対ゴミの戦い。
「環境に優しい稲荷神を自称するなら合わせて海岸のゴミ回収も同時に行うの、これがベストの行動選択だわ!
いざ、出発よ!」
いざ尋常に、勝負。『新米の稲荷様』長月・イナリ(p3p008096) はトングをカチカチ鳴らしてゴミを拾い上げる。鳴らしたくなるよね。わかるよ。
軍手もバッチリ身に付けて、イナリは蛸型ゴミ回収式神のオクトパス君と共にゴミを拾う。
(なんで蛸型の式神かと言うと、ゴミ回収するなら手が一杯あった方が便利&海=蛸だからよ!)
ふんす、と得意気に。オクトパス君はせっせと長い足を動かしてゴミを袋の中へ。イナリも負けじど集め、気づけば袋の中は一杯に。
集めたゴミは事前確認していた指定場所に分別して投棄すると、イナリとオクトパス君は店へと戻って行った。
「シーグラスの製作もオクトパス君に手伝ってもらおうかしら」
練達上位式、改めオクトパス君。つんつんとつつけば対面にあった椅子に登り、つぶらな瞳でイナリをきょとんと見つめる。
これから作るのはシーグラスドームランプ。難易度が比較的高い。心配そうな店主を横目に、イナリはきっと大丈夫と胸を張る。
「アクセサリー系に比べたら比較的に難易度が高い代物だけど頑張るわよ!」
おー! と言いたげに空に拳を突き上げたオクトパス君。イナリとオクトパス君の共同作業が始まった。
「ふふふ、私は手先が器用なの……こんな細かい作業は得意分野……」
パリーン。手からこぼれ落ちたシーグラスは盛大に割れる。イナリは新聞紙を受け取りそれを拾い集める。
「……オクトパス君、代打をお願い!」
頭上にはてなマークを浮かべながらオクトパス君は接着剤やらシーグラスやらと格闘する。その間にイナリは落としたシーグラスを片付けて。
ふう、と一息つきまあ出来ていないだろうなと思いつつも卓上を覗いたイナリ。そこには驚愕の光景が!
「なんで蛸のオクトパス君の方が手先が器用なのー!」
イナリよ。それが運命というものである。
その後も上手くできないイナリの代わりにオクトパス君が代打で完成させるというちぐはぐなリレーが続き、完成する頃にはオクトパス君は疲れきっていた。仕方ない。
赤や橙、黄色。燃えるような美しい秋の木葉の色だ。シーグラスドームランプの中に蝋燭を灯せば、淡く煌めくシーグラス。
「うん、綺麗」
海に映る夕暮れよりも、心奪われる風景がそこに。イナリは疲れてそのまま眠ってしまった。
成否
成功
状態異常
なし
NMコメント
皆さんこんにちは、染(そめ)と申します。
シーグラス、皆さんは見たことがありますか? 実は染はないです。
海に行く機会もめっきり減りました。落ち着いたらまたぶらぶらしに行ったりしてみたいな、などと思いつつ。
それでは、今回の依頼の説明に入ります。
●目標
シーグラスでアクセサリーを作る。
ピアスでもネックレスでもブレスレットでもアンクレットでもストラップでも、なんでも構いません。
シーグラスを用いて何か作ってみましょう。
●手順
海でお好きな色のシーグラスを探し、拾いに行く(何個でも構いません)
※この時選んだシーグラスがひとつしかなくても、店には沢山ありますのでご安心ください
↓
どんな物を作るか決める(先述したピアス等)
↓
作る
すごく大まかに書いていますが、こんな感じです。勿論、もう拾ってきたぞ、という形でも日焼けしたくないから行きません、でも構いません。ご自由にどうぞ。
ぜひ持ち帰ってくださいね。
●そもそもシーグラスって何?
ビーチに漂着するガラス片です。 大きさは大小様々です。丸みを帯びた石形や、板のような形をしています。
海砂で磨かれているため、手触りは滑らか。色は透明だったり不透明だったり様々です。触れても手を怪我する必要はありません。
●世界観
『シークレット・シーグラス』という本の中。夏のようです。
海が美しく、海水が透明で砂は白くてさらさらです。
●NPC
呼ばれた場合のみ登場します。
・店主
日焼けした男性です。歯が白いです。
気さくな兄のような性格だそうです。手先は器用です。
●サンプルプレイング
私は……そうですね、赤のシーグラスを探しに行きましょうか。大好きなあの人の、赤い目。
それを見つけたら……指輪にしましょうか。
私の大切な赤。私の指の中で煌めいて……ああ、きれい。
以上となります。
ご参加お待ちしております。
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