PandoraPartyProject

シナリオ詳細

おたんじょうびおめでとう

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●寂しがりやのお嬢様
 お誕生日おめでとうお嬢様。
 4歳のお誕生日おめでとうございます。

 みんながおめでとうと言ってくれるけど、大好きなお父様とお母様は生まれたばかりの弟に夢中でわたしの誕生日なんて覚えてない。

 今日はお嬢様の誕生日だからご馳走ですよ!
 お嬢様のお好きな苺のタルト作りますね!

 苺タルトは大好きだけど、お母様と一緒に食べたいの。

 プレゼントは楽しみにしていてくださいね!
 おじ様からも届いていますよ。

 わたしは、お父様、お母様と……――。

 賑やかな誕生会の会場から逃げ出したティーは、庭園の隅で泣きつかれて眠ってしまった。
 ティーを探す父親の声を聴く前に。そして目を覚ますと、そこは不思議な世界だった。
 キラキラ光る宝石の花。
 テーブルいっぱいの甘いお菓子。
 ふわふわ奇麗で可愛い妖精。
「うわぁ……!」
 初めて見る光景に目を輝かせていると、妖精たちがティーに気づいてやってくる。
――遊ぼう?
――お菓子食べる?
 きらきらふわふわ、まるで夢の国見たい。
 だけど甘くて美味しそうなお菓子を食べてはいけない。
 それを食べたら、二度と大好きな家族の元へ戻れなくなるから。

●迷子の泣き虫さん
「4歳になったばっかりの女の子が、妖精の世界に足を踏み入れちゃったの」
 招かれたり正式な手順を踏めばいいが、迷いこんで妖精たちの食べ物を食べると、人の世界に戻れなくなるという。
「連れ戻してほしいんだけど……ティーちゃん、家で寂しい思いをして帰りたくないみたい。でも、ティーちゃんのお父さんとお母さん、家の人たちみんな心配して探してるの」
 両親のことは大好きだけど、構ってくれないから嫌い。
 両親は生まれたばかりの息子が可愛いのもあるが、母親が産後体調を崩しているのもティーに構えない理由だった。だけどまだ4歳になったばかりのティーにとって、そこまで理解するのは難しい。
「だから、まずはティーちゃんに楽しくなってもらって、落ち着いてから家に連れて帰ってあげてほしいの」
 このまま家に帰れなくなったら、ティーも家族も幸せになれないから。

NMコメント

 ふんわり可愛い雰囲気ですが、一歩間違えたら誰も幸せになれないので皆さんでティーを家族の元に連れ帰ってください。

●目的
・ティーを元気づける。
 両親が構ってくれなくて寂しくて拗ねているティーを、元気づけてあげてください。
 今は母親の体調が良くなくて構ってあげられていませんが、両親はティーのことを大切に思っています。
・ティーを家に帰る気にさせる。
 無理やり連れて帰っても楽しい誕生会は過ごせません。
 ティーが自分から帰りたくなるようにしてあげましょう。
 ティーが大好きな苺タルトは、体調が良くなってきたお母さんがティーのために頑張って作りましたが、ティーはそれを知りません。

●ティー
 4歳になったばかりの女の子。
 誕生日を楽しみにしていたけど、少し前に生まれたの弟に両親を取られてここ最近拗ねている。
 誕生日も朝から両親に会えず、おめでとうと言ってもらえなくて落ち込んでいる。

●妖精たち
 悪意もなく、迷子のティーをもてなそうとしている。持て成した結果、ティーが家に帰れなくなることは考えていない。
 一緒に遊ぶ分には問題ないが、用意された食べ物を迷い込んだティーに食べさせてはいけない。

●その他
・リプレイ開始は妖精界でティーが目を覚ましてすぐ。
・持ち込んだ食べ物はティーが食べても大丈夫。食べ物さえ気を付ければ、みんなでプチ誕生会をしてお祝いしても。
・妖精界で過ごした時間は人間界ではほんのうたた寝のこと。沢山遊んで話しても、ティーが人間界に帰ればちゃんと誕生会に参加できます。

 それでは、小さなお姫さなの心を救うお話を楽しみにしています。

  • おたんじょうびおめでとう完了
  • NM名ゆーき
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2020年05月10日 22時05分
  • 参加人数4/4人
  • 相談4日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

ポシェティケト・フルートゥフル(p3p001802)
謡うナーサリーライム
ソア(p3p007025)
愛しき雷陣
回言 世界(p3p007315)
狂言回し
アルジク=G=グリットサンド(p3p008304)
荒れ砂の眷属

リプレイ

●寂しい迷子
「可哀そうに、きっとすごく寂しかったんだね」
 ポツリと呟かれた『雷虎』ソア(p3p007025)の言葉に、『凡才』回言 世界(p3p007315)が小さく頷く。
「俺は一人っ子だから、弟や妹に愛情やら何やらが色々割かれてしまった経験は無いが、その寂しさはよく理解してるつもりだ。とはいえ赤ちゃんの世話で忙しい親に無理はさせられないだろ」
 大人の目線からすれば親の気持ちや事情も理解出来るからどちらが悪いとは言えない。だけどティーはまだ4歳になったばかり。大人の事情を理解するには幼すぎた。
「んー……ボクには親子の気持ちやその絆は分からないんだ。生まれがもう古すぎて思い出せないから。でも、想像すればそれはとても温かで、決して無くしてはいけないものに思えるの」
 ソアの想像の中の親子の絆や愛情。それは優しくてとても温かいもの。
 大好きな彼と居る時によく似た、幸せな気持ち。
「だから、必ずティーさんをお家に帰してあげなくちゃ!」
「そうだな。ま、その前にまずは俺達で賑やかに祝ってやらないとな」
 ごそごそとポケットからお菓子を取り出す世界を見て、『謡うナーサリーライム』ポシェティケト・フルートゥフル(p3p001802)がふわりと微笑む。その横ではふわふわもこもした砂妖精のクララシュシュルカ――クララが世界の出したお菓子を突いている。
「こら、これはティーの分だ」
 ティーは妖精界の迷い子。正規の道から入ったわけではないので、その分制約が多い。
 そのうちの一つが、妖精たちの食べ物を食べると人の世界に戻れなくなるというもの。
「そうだね。ティーさんが妖精界の食べ物を食べたら戻れなくなっちゃうから止めなきゃ!」
 だけどどうやってティーが妖精たちの食べ物を食べないようにすれば良いか……。
 子供は好奇心のままに手に取って、美味しそうなら食べてしまうのだから目が離せない。
「うぅ……ボクは考えるの苦手なんだんだよ」
 しょんぼりとうなだれるソアに、ポシェティケトが声をかける。
「そこは私達に任せて?」
「何かいい案あるの? だったらお願いするね!」
 ぱっとソアの顔が明るくなったのを見て、四人はティーの元へと急いだ。


 目を覚ましたティーは、初めて見る妖精たちに目を輝かせていた。
「妖精さんだぁ……」
 ふわぁ……! と目を輝かせるティーの元に、ふわりと甘い香りがした。
 何の匂いだろうと匂いのしたほうを見ると、そこには『荒れ砂の眷属』アルジク=G=グリットサンド(p3p008304)の姿。
「お兄ちゃんだぁれ?」
 大きな目を見開くティーに、アルジクはしゃがみこんで視線を合わせる。
「オレはアルジクっていうんだ。よろしくな、おじょうさん」
「アルジクお兄ちゃん? わたしはティーよ」
 ぴくぴくと動く耳に気を取られながらにっこり笑うと、ティーはアルジクの服を掴んで妖精たちを指さした。
「あのね、さっき見つけたんだけど、ここ妖精さんがいるの! きらきらふわふわしてるの!」
 アルジクが纏った香水と、ティーの人懐っこさが良い感じに噛み合ったようだ。
「え、妖精さん!? ボクも見たい!」
 思わずソアが勢いよく手を上げると、一瞬びっくりしたティーだが
「あっちにいたの! えっと」
「あ、ボクはソアだよ。こっちの眼鏡のお兄さんが世界さんで、こっちのお姉さんがぽけ……」
「ポシェティケトよ。
 妖精さんの世界へようこそだわ、可愛いティー。
 こんな素敵な日にお会いできたプリンセスに、お誕生日プレゼントをお届けしたいと思います」
 優しく微笑むポシェティケトの言葉に、ティーはびっくりして大きな目をさらに大きく見開いた。
「なんでわたしがお誕生日ってしってるの!?」
「ふふ。妖精たちが教えてくれたのよ」
 にっこり笑って相棒のクララを見せれば、そのふわもこ可愛らしい姿にティーは目を輝かせる。
「可愛いでしょう? クララって言うの。
 そうだわ。ティー、クララをだっこしていてもらえるかしら」
「するー!」
 可愛らしいクララに、ティーは一瞬で夢中になった。

 その隙にソアたちはテーブルに近づき、妖精たちが用意したお菓子を寄せていく。
 その様子を見て怒る妖精たちに、ソアと世界が自分たちが食べると伝えると、美味しく食べてくれるならと機嫌を直した。
「よし、今のうちに持ってきたのをティーのほうに並べちまおう」
 手早く適当に盛られたお菓子を見て、妖精たちが「こっちのほうが良いよー」などと言いながら並べなおしていく。
 お茶も持参した物を淹れなおせば準備完了。
 クララを抱きしめ、ポシェティケトと手を繋いだティーはにこにこ笑顔で椅子に座った。

●君に贈る言葉
「それじゃぁ、誕生日おめでとう!」
「おめでとう、ティー」
「おめでとう。今日の主役はあなたね、プリンセス」
「おめでとう!」
 みんなからお祝いされて、ティーは嬉しそうにクララを抱きしめた。
「わたしのお誕生日、みんな忘れてると思ってた。ありがとうお兄ちゃん、お姉ちゃん!」
 差し出されたお菓子もお茶も、世界たちが持ち込んだものだからティーが食べても大丈夫。
 妖精たちが準備したものは、ソアとアルジクがもぐもぐと食べている。もちろん、世界も美味しく頂いている。
 この三人、妖精たちのお菓子をティーに食べさせないために、自分たちで食べてしまおうと考えていたのだ。
「美味しいけど……けぷっ。次から次に、出て来そう……」
 妖精たちは三人の様子を見て次は何を用意しようか相談している。
「流石のボクも、これは食べきれないかも……」
「マイペースにならともかく、一気に大量に食べるのはきついな……」
「取り合えずもともとあった分は食べたと思うし、後はゆっくりにしよう」
 頷きあう三人の耳に聞こえたのは、おもちゃのピアノが奏でる音楽。
「今日はあなたのための音楽会も開きましょう。
 妖精さんも、お得意な楽器でご一緒してくださると嬉しいわ」
 そんなポシェティケトの言葉に、妖精たちは素朴な楽器や草笛などで思い思いに合わせていく。
「それではどうぞお耳を貸してちょうだいね、ちいさな可愛いプリンセス」
 おもちゃのピアノと妖精たちの気まぐれな音楽会に耳を傾けていると、不意にティーがクララを強く抱きしめた。
「ティー?」
 それに気づいた世界が声をかけると、ティーは眉をハの字にして涙を浮かべていた。
「弟が生まれる前は、お母様とよく一緒にお歌うたったの。でも、今は一緒に歌ってくれないの。子守歌も歌ってくれないの……」
 明るく楽しい妖精たちの歌に、母親と一緒に歌を歌った時の事を思い出したようだ。
「お母様、もう私の事いらないのかな……?」
 楽しい思い出なのに今は悲しくて、ティーの目から涙が溢れる。
「正直気持ちはよくわかるんだぜ。自分より年下が生まれると特になあ……。さみしいもんな」
 アルジクがそっとティーの髪を撫でると、ティーはぼろぼろと涙を流し始めた。
 さみしい。そう、さみしいのだ。
 弟が生まれる前までは一緒にいてくれたのに、弟が生まれてからはお姉ちゃんになったから我慢してね。と遠ざけられた。
 弟が生まれるのは楽しみだったのに、今は弟なんて――。
「きっとね、ティーさんのお母さんも、ティーさんと一緒に歌を歌ったり、一緒に遊びたいと思うよ」
 席を立って、ソアがティーと視線を合わせようとしゃがみこむ。
「赤ちゃんってね、すっごく小さくてふにゃふにゃで、目を離せないんだって。
 だからお母さんは毎日寝不足で体調崩す人も沢山いるって話だよ」
「……」
 ぐすぐすと鼻をならすティーに、ソアは優しく語り掛ける。
「ティーさんのお母さんも、毎日寝不足で体調崩してるのかもしれないよ?」
「お母様が……?」
「お母さんが体調悪かったら、どうする?」
 諭すような言葉に、ティーはポツリと呟く。
「お母様、ゆっくり休んでほしい……」
 その言葉を聞いて、今まで黙っていた世界が動いた。
「そう思えるなら十分だ。
 さて、俺たちは君の事情を知っている。勿論、君の家族の気持ちもな。
 面倒なのは嫌いだからばしっと言ってしまうが、ここで満足したら家に帰るんだぞ」
 まだ4歳の子供には厳しい言葉かもしれない。だけど、これは世界がティーを思うからこそ伝えたい言葉。
「こんなことがあるのは多分今だけじゃない。弟が色々優遇されたり姉だから我慢しなさいなんて言われたりこの先よくあるだろう。その時には家出でも何でもしていい。
 だけど最後には絶対に親の元に戻るんだ。絶対に君の親は君の事を心配してるからさ」
「そうだぜ。父親も母親も、おじょうさん、ティーの誕生日を忘れていた訳じゃあないんだ。
 姿もみなかったろ?
 実は驚かせようと準備していたみたいでな……ほら、なんでもきみの好きなタルトもお母さんが作っているみたいなんだ」
 少し厳しい世界の後に、アルジクがとびっきりの秘密を口にする。
「お母様が……?」
「ああ。だからちゃんと家族のところに帰ろうな?
 後、泣いてもいいれどさみしい、っていうのはちゃんと言わなきゃダメだぜ。自分だけで抱え込むとつらいからな」
 明るく笑ってティーを撫でると、世界が持ってきたお菓子を差し出す。
「ほら、美味いもんくって元気だせ! それから家に帰ろうな」
 世にも珍しいお菓子の城の欠片を口にすれば、ティーも嬉しそうに笑う。
「あ、そうだ。ここで色々食べるのも良いが腹は少しだけ空けておけよ。大好物が食べられなくなるなんて嫌だろ?」
 世界の言葉に大きく頷くと、ティーは涙で汚れた顔のままにっこりと笑った。
「うん!!」
「良かったわ。
 今日はあなたの生まれた日、世界でいちばん素敵な日。
 とびっきり素敵な笑顔で、とっても楽しい気持ちで帰路に向かってくれると嬉しいわ」
 だから今はみんなでお祝いしよう。
 おたんじょうびおめでとう!
 そして迷子を助けてくれて有難う!

成否

成功

状態異常

なし

PAGETOPPAGEBOTTOM