シナリオ詳細
伝承の魔王を討伐せよ!
オープニング
■彼は人であり魔王に成る
時は群雄割拠の戦国時代。民は戦火に焼かれ困窮し、しかして国は国としての機能を果たさぬ有様。
いつしか各地の英雄達が、民を思い。或いは野望の為に立ち上がり。天下統一を目指し争うように。
そんな数ある英雄の一人。かつてはうつけ者と呼ばれ、誰からも期待されていなかった田舎武者。しかしそんな彼が寡兵で最大勢力の将を討ち取り情勢は一変する。
彼は勢いを殺さず、各地の群雄を仲間にし、従わぬ者は討滅し。勢力をどんどんと拡大していく。相応の働きさえ見せれば身分に関係なく評価するその姿勢、苛烈ながらも人を惹き付ける不思議な魅力。
そんな彼は味方も多いが敵も多く作っていた。
いつしか彼は、こう自称する。
「我こそが、人の世に降り立った魔王である」
彼のやり方に疑問を持った配下がいた。しかしその配下は疑問を飲み込み彼に従い続けていた。
しかし、しかして。守るべき民すらも全て討ち滅ぼす彼に、ついに反旗を翻す。
ある寺に一晩の宿をとった彼。
命に従い、先に進軍すると見せかけ……その配下は寺を焼き討ちする。
「はは、ははは!これがうぬの選択か!!良かろう!!」
彼は、配下の選択に身を委ねたかのように、焼け落ちる寺に姿を消した。
火が消え、彼の遺体を探す者達を嘲笑うかのように。彼の遺体は遂に見つかる事はなく。果たして彼は生きているのか……もしくは?
■虚か実か
「と、まあ。いつものように、怨霊と英雄が混ざった者の討伐依頼なんだけど」
境界案内人のカストルが、集まったイレギュラーズに説明する。いつも強敵ばかりでごめんね、と付け加えながら。
「今回は、生き延びたのか死んだのかわからない者……とはいえ、時は経ってるから、普通の人間なら死んでるはずなんだけどね」
そう彼が話す理由は、件の者が自称した『魔王』という肩書。
もちろん天下に号令する為に名乗った、作り話なんだろうけども。
「しかし彼は、強いよ。魔王というのは伊達じゃないくらいに。燃え盛る大地で涼しい顔して迎え撃つくらいには」
気になる事を言い残し、カストルはイレギュラーズ達を送り出す。
![](https://rev1.reversion.jp/assets/images//scenario/live_novel.png?1737016796)
- 伝承の魔王を討伐せよ!完了
- NM名以下略
- 種別ライブノベル
- 難易度-
- 冒険終了日時2020年05月06日 22時05分
- 参加人数4/4人
- 相談7日
- 参加費100RC
参加者 : 4 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(4人)
リプレイ
■何を思い何を成して生きたのか
「ここが……今回の戦場」
四人のイレギュラーズ達が送られてきた地は正に地獄という言葉が似合う場所。大地は燃え盛り、木々は枯れ果て、生ある物を拒絶する意志すらありそうな……。
そのような地に、一人の男が。骨の馬に乗り四人を冷ややかな瞳で見つめる。
「何用ぞ……ここはお主ら生者が来るような場所ではない」
「それならば……貴方は何故ここにいるの?」
もう生きているはずのない者。英雄、もしくは魔王を前に、『いつもいっしょ』藤野 蛍(p3p003861)は覇気に飲まれないように己をしっかりもって問いかける。ここにいてはいけない存在なのに、と。
「しれたこと。果たせなかった天下布武……この地獄で果たすのも一興よ」
あくまでも目の前にいる四人に興味はないとばかりに、表情を変える事無く淡々と告げる魔王。生きている間は魔王を自称していた彼が、死して魔王と為ろうとする。
しかし、イレギュラーズ達はそれを見過ごす訳にはいかない。それぞれの得物を構える。その様子にさしもの魔王も、眉をひそめる。
「魔王かあ、どんな思いでそんな風に名乗ったんだろうね。でも人間がその短い一生のうちに懸命に命を燃やしていく姿は憧れるんだ」
ヒトのようで人ではない、『雷虎』ソア(p3p007025)は一種の憧れを口にする。その熱さこそが、彼女の目指すもの。だが、目の前の魔王はもう……生きてはいない。ならば、倒すしか無いと決めて。
「魔王なら人に倒されるのが運命よ。ここを貴方の終焉の地にしてあげるわ!」
蛍より光輝く英雄の鎧を与えられながら、『新米の稲荷様』長月・イナリ(p3p008096)は強気にそう宣言する。同時に、味方を巻き込めない故にこの一回こっきりしか使えない、火の神の権能を行使する!
「温い」
効いていない訳ではない。イナリの放った光は確かに魔王の身体を包み込み、焼いた。現に彼は、今も炎に身を焼かれているが……表情一つ変えない。
「魔王とは、世界を滅ぼすものの異名、彼は、自身を取り巻く世界を壊したかったのでしょう……もしかすると勇者であったかもしれぬ方」
しかし、こうなれば是非もなし。『いつもいっしょ』桜咲 珠緒(p3p004426) は、いつもと違う戦いをする事に少しばかりの恐怖を持ちながらも、皆を、そして何より蛍を信じ、前に出る。
そして己の力である、情報読解を、強引に魔王にぶつける。本来ならば相手の同意が必要なその力を、無理に行使すれば……相手の「存在した」という情報を破壊する力となる。
「甘い」
しかし、相手は魔王と自称するだけある。馬を巧みに操り、珠緒の手から逃れる。だがイレギュラーズは一人ではない。
「甘いのは、そっちだよ!」
身を炎に焼かれながらも、ソアはその身を弾丸として魔王の駆る馬を狙い雷纏う腕を叩きつける!
■天下布武
「お待たせ」
前に出たソアを追いかけ隣に立ち、彼女に英雄の力を与えた蛍は改めて魔王を見据える。どこまでも冷たく、そしてここではないどこか遠くを見た瞳。
天下に号令するまであと一歩まで歩み、そして討たれた魔王。彼が見ているのは、己が敷く布武の世界か。
「よそ見してると、首もらうよ!!」
果敢にソアは魔王に対し立ち向かう。今度狙うは魔王そのもの、雷光の力を用いて衝撃で弾き飛ばそうとするも。剣に防がれその威力は半減する。
そのまま魔王がソアに対し剣を振るおうと、腕を振り上げた隙を狙いイナリが駆けつける。
「あんまり、得意じゃないけれども!」
本来ならば物理的な破壊力に長けたソアとイナリの二人だが。魔王の纏う気により、連続しての攻撃は防がれるとわかっている。故に苦手な魔術の力も使わなければいけないのは歯がゆい。
「むぅ、んっ!」
イナリから放たれる不可視の刃に、多少のうめき声は漏らすも。魔王はソア目掛け、自身の胆力と、馬の体重をも乗せた一撃を放つ!
「く、ぅぅっ!!」
その刃は、身を翻そうとしたソアを捉え、深き傷をつける。血が溢れしたたり、大地の炎に焼かれ嫌な匂いが辺りに立ち込める。
「大丈夫ですか!?」
すぐに珠緒がソアへ治療を施す。その一方で自身を聖域で包みこみ身を固める。これが、天下布武を掲げた魔王の力かと、ソアの身に刻まれた傷の深さから感じ取る。
「これ以上は、させない!」
魔力障壁を展開させた蛍が、ソアを、イナリを守るべく魔王の前に立ちはだかる。彼女に対し、魔王はなおも冷徹な眼を向けたまま、ソアを傷つけたのと同じ一撃を放ち。
「……む、これは」
刃が届かない。いや、正確には。蛍の前で目に見えない何かに弾かれたような……。これは、面白いと。ようやく魔王が蛍を『視る』
「良かろう。貴様らは我が敵だ」
故に、滅ぼす。天下布武の為に。
■魔王よ眠れ
長い、長い戦いになった。
物理攻撃に長けたソアとイノリが十全に力を発揮できない、それだけでイレギュラーズ達の攻撃力は実質半減したようなもの。だがしかし、蛍の決死の覚悟が。珠緒の献身が崩れた訳ではない。
本来であれば。この魔王の領域に入った外的は、大地の炎に包まれ身を焼かれ。魔王自身が手を下さずとも散る運命。
それを事前に知っていたからこそ、蛍と珠緒はお揃いの腕輪を用意した。凍てつく冷気で熱き炎を中和する魔具を。それを持っていないソアとイノリは蛍が護る。だからこそ、本来であれば長期戦は不利になるはずだったイレギュラーズ達は、有利に戦を進めていた。
「ぐ、ぬぅぅ!」
ソアの一撃で魔王が馬から弾き飛ばされる。膝をついた彼に向け、イノリが駆け寄り贋作とはいえ確かな力を秘めた神剣を突き刺す。
「苦手とはいえ……この一撃は効くはず!」
鎧を貫き、確実に肉を貫く神剣は魔王の身を捉えた。魔を払う神の剣。魔王自身が一番、忌避していた存在。その力を身を持って味わい、遂に魔王の表情が歪む。
「許さんぞ、貴様っ!!」
怒りのままに、イノリを標的として魔王が剣を振り回すも。全て蛍の盾が防ぐ。どれだけ暴力的な、圧倒的な力があっても。蛍の盾は砕けない。
「また主か、小娘!」
「ええ、小娘よ。だけど、ボクは……貴方とは違う!」
部下を、仲間を顧みず我が道を敷いた魔王と。仲間を、何より大切な者を護る為に戦う蛍。対照的な二人が、再び至近距離で睨み合う。
何があっても、ここは通さない! そんな覚悟を感じ取った魔王は、周囲の禍々しい怨念を纏め上げ蛍に向けて放つ。唯一、蛍の盾を避ける技を。
「私の事、忘れておいでですか?」
確かにその一撃は蛍の身を打ち付けた。現に蛍の身体は揺らぐ。しかし彼女を支える者がいる。
「ボク達の事も忘れないでよ!!」
蛍と珠緒の影から、ソアが飛び出す。腕に纏った雷迸る一撃は、魔王の身体を強く、激しく穿ち。
「私のこともね!」
魔王の覇気を揺らがせる、イノリの剣が振るわれる。再び膝をついた魔王は、一度血を吐き、口元を拭い、戦況を確かめる。
立ち向かってくる、女達。何をしても防がれる。癒やされる。貫かれる。
「……そうか。天下布武、ここで途絶えるか」
一つ。そう重々しく呟いた魔王は剣を鞘に収め、立ち尽くしていた馬を逃がす。
不思議な行動に、イレギュラーズが警戒しつつも首をかしげる。どういうつもりなのかと。
「我の負けを認めよう、小娘達よ。いや、もののふよ。願いは、この首か」
己の首筋を掻っ切る仕草を見せ、四人に問う。対する彼女らは戸惑う。何を言っているのだ、と。
動きを止めた四人に、魔王は嗤う。
「そうか、いらぬかこの魔王の首が!甘い、甘いぞ!」
「……これが、魔王」
部下に反逆され、燃え盛る寺から逃げる事もしなかったというその姿。天下に号令する事を夢見ながら、時の流れに逆らわなかった器。それが、肌で感じ取れる。
イノリの毛が、知らずに逆立つ。魔王の覇気に押されているのだ。ソアも、蛍も、珠緒も、目の前にした男の大きさに、圧倒されかける。
「あなたは……知っていたのね。いつまでも咲き続ける花なんてないと」
「愚問。盛者必衰は世の理」
蛍の言葉に、魔王がさも当然という風に応える。その様子に、ようやくソアが我に帰り、再び雷を両腕に纏う。
「……カッコいいよ、魔王。引導はボクが……何か残したい言葉があるなら聞いてあげる」
「覚悟せよ、もののふ達よ。此度は我が滅ぼされるが……いつしか、貴様たちを滅ぼす者が現れるであろうよ」
だから、生きてみせよ!
この魔王を倒したのだ、落胆させるな!
「……何か、すっきりしないわね」
分かたれた首と胴を重ね、イノリが呟く。勝ったのは間違いない。だが……人としてはどうだったのであろうか。そして、最期に魔王が遺した言葉が嫌に耳に残る。
いつか、自分達も倒される側になる。どこか予言めいたその言葉が。
「……蛍さん」
「大丈夫。ボクは負けないよ」
元々身体の強くない珠緒を気遣い支え、蛍はそう強く宣言する。負ける訳にはいかない、勝てなくとも、生きてさえいれば、それは負けではない。
「……その冷たくも熱き魂、忘れないよ」
冷たき瞳の中に隠された、熱き王の器。ソアはそれを手に、胸に抱いて。亡き魔王に約束する。
「……今なら、焼けるでしょ」
最期の手向けと。イノリが爆炎を生む剣を魔王の胸に突き立てる。
炎に包まれ、魔王は消える。それは奇しくも、伝承と同じように。
成否
成功
状態異常
なし
NMコメント
遂にネタ切れですね以下略です。
ということで色んな人がごちゃまぜにでてきます。今回は魔王編。
以下敵詳細
■魔王×1
意外にもステータス的には飛び抜けたものは少なく平凡。しかしそれなりには強いです。EXFとHPだけは高め。
戦闘開始時は騎乗しています。ある程度ダメージを与えると落馬します。
P神仏を恐れぬ者:【全状態異常無効】
P騎乗戦闘Ex:騎乗状態だと全ステータス上昇。勿論機動力も上がります。
P魔王:【物理攻撃】【神秘攻撃】のいずれかを連続して受けると二撃目以降は無効化する。連続していなければ無効化できない。
A天下布武:至近単体攻撃。騎乗、落馬どちらでも使用。高クリティカル。
A魔連弾:超遠距離攻撃。騎乗、落馬どちらでも使用。【連】
A連続斬り:至近単体攻撃。落馬後のみ使用スキル。【追撃30】【HPAP吸収】
A回転斬り:近距離全周攻撃。落馬後のみ使用スキル。威力高め
特殊フィールド地獄の業火:常に高温で焼けている大地での戦闘。戦場にいる全員に常に状態異常【業炎】付与。
以上となります。相変わらずの強敵続きですが、よろしくお願いいたします。
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