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シナリオ詳細

<Breaking Blue>海上ライダー爆走チェイス

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 水しぶきを上げて海上を『疾走』する一台のバイク。
 またがるのはシーライダーの異名を持つ海洋海軍将校ユーナバー・G・マッハ。
 レーサーのごときフルフェイスヘルメットの奥からは、ギラリと猛禽類のような目が光る。
「追跡撲滅――一匹たりとも逃がさねえ!」
 アクセルをひねり、エンジンを唸らせ、バイクを更に加速させる。
 海の上を走る蜘蛛型狂王種『ウェーブウォーカー』と距離を詰めると、ナイフと大口径ハンドガンがくっついたような武器で連射。
 相手の動きを鈍らせたところで横を追い抜き、ナイフ出切りつけた。
 内部に蓄積した爆発物ゆえか、それとも放ちそびれた爆発魔砲ゆえか、ウェーブウォーカーは爆発四散。
 ユーナバー将校は空圧魔法によるブレーキをかけ、反転してからヘルメットのフェイス部分をあけた。
 こもった熱が蒸気になって吹き上がる。
「一件落着、っと」

 ユーナバーが率いる特殊海上捜査課略して特海はもともと海洋王国近海に出没するモンスターの掃討を基本業務としつつも、難解な事件の捜査解決を扱う海の警察官である。
 そんな彼らが、逃走した海種犯人を捕まえる際等に用いる特殊装備マッハスプラッシャーはバイクに接続することにより『海上騎乗戦闘』を可能にするというものである。
「外洋遠征はほとんど船や海中の戦闘だからな、まずつかわないんだが……今回はコイツの出番だ」
 ユーナバーは八台ならんだユニットをぽんと叩いて、集まったイレギュラーズへと振り返った。
「俺たちはユニットを貸す。必要ならバイクも貸すぜ。でもってアンタらは、ウェーブウォーカーを追跡して撃滅する仕事を担ってもらう。ギブアンドテイク、ってね」
 人なつっこそうな笑みを浮かべると、ユーナバーは指を鳴らして『黒猫の』ショウ(p3n000005)に説明をパスした。

●ウェーブウォーカーとチェイスバトル
 アクエリア島に基地を構えた海洋海軍は外洋遠征の決着に向け怒濤の進撃をしかけていた。廃滅病や変異種といった恐怖に対し縮こまっても滅ぶのみ。であれば今こそ前へと突き進み、青の突破を拒むアルバニアを引きずり出すのだ。
「今回叩くのは蜘蛛型狂王種ウェーブウォーカーの巣だ。
 といっても巣を爆撃の大半は海軍たちの仕事。
 俺たちローレットが主に任されてるのは、戦闘データをもって逃走するであろうウェーブウォーカーたちの追跡と個々の撃滅だ」
 あっちこっち散り散りになって逃げるであろうウェーブウォーカー。
 彼らは孔雀蜘蛛にも似た鮮やかなボディの狂王種である。
 足の高さも含めて全長1~2m。足の先を海面につけ、水上走行が可能な個体である。
「時に走る速さがかなりものもで、相応の機材を使わないと追跡が困難……っていうか、今回用意したバイクで追いかけるのが最適ってわけだね」
 ウェーブウォーカーは魔術による爆弾の投擲と魔術弾による射撃によって牽制してくるだろう。
 これをかいくぐり、そして追いつき、撃滅することが求められている。
「チェイスバトルだ。まさか海の上でできるなんてね。この際だ、楽しもう!」

GMコメント

■パート
 このシナリオは大きくわけて以下二つのパートで構成されています。

●前半:爆撃駆逐パート
 海軍が発見した海上シェルターにむけ、ユーナバー指揮のもと爆撃が行われます。
 このとき外部からの破壊に加えて内部へ突入しての撃滅も同時に行われ、これらにローレットも協力します。
 空を飛べるなら対空射撃をよけながら空爆を、陸から行きたいならシェルター内に突入してウェーブウォーカーたちとの戦闘を行ってください。
 なかにはちょっとかわった固体もいますが、それほど深く考えずにバトルが可能なはずです。
 範囲攻撃とかあると結構便利、だそうです。
 ある程度シェルターを破壊するとウェーブウォーカーが何匹か逃げだし、別のどこかに戦闘データを持ち帰ろうとします。
 これを阻止すべく追いかけ撃滅するのがローレットの仕事です。
 あとの戦闘を海軍たちに任せ、マッハスプラッシャーバイクに乗って追いかけましょう。

●後半:チェイスバトルパート
 特殊装備マッハスプラッシャーをつけたバイクでチェイスバトルを行います。
 速度や安定性の理由から使用できるのはバイクのみとします。
(機動力ペナルティの問題から飛行での追跡は適さず、潜水や水泳での追跡もあまり適していません)
 騎乗戦闘や輪動制御といったスキルが活きてきます。
 自前のバイクがあるならそれをカスタムしてもらって出撃してもいいですし、バイク自体を貸してもらうのもアリです。
 すごい特殊ケースになりますが、「俺がバイクだ」「俺はバイクになれる」といった方は自分に装着してよいものとします。仲間を乗せるのは(判定処理の複雑化が激しいので)今回ナシでいきましょう。
 どうみてもバイクにまたがれないような形状の方も、まあなんとかします。混沌はひろいので色々あるんだとおもうよ。

■■■アドリブ度■■■
 ロールプレイをよりお楽しみいただくため、リプレイにはキャラクターのアドリブ描写を用いることがございます。
 プレイングやステータスシートに『アドリブ歓迎』『アドリブなし』といった形でお書きくだされば、度合いに応じて対応いたします。ぜひぜひご利用ください。

●重要な備考
<Breaking Blue>ではイレギュラーズが『廃滅病』に罹患する場合があります。
『廃滅病』を発症した場合、キャラクターが『死兆』状態となる場合がありますのでご注意下さい。

  • <Breaking Blue>海上ライダー爆走チェイス完了
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2020年05月11日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ベーク・シー・ドリーム(p3p000209)
泳げベーク君
夜乃 幻(p3p000824)
『幻狼』夢幻の奇術師
七鳥・天十里(p3p001668)
寒櫻院・史之(p3p002233)
冬結
弓削 鶫(p3p002685)
Tender Hound
伊達 千尋(p3p007569)
Go To HeLL!
リコシェット(p3p007871)
跳兎
かんな(p3p007880)
ホワイトリリィ

リプレイ


 『Punch Rapper』伊達 千尋(p3p007569)は愛車である『Maria』にまたがると、後方から押し込むように接続された水上機動装置の様子を確認した。
「これを使えば海の上でもバイクで走れんのか。ファンタジーってすげえ! 最高!」
「ファンタジー……なのでございましょうか……?」
 異様にめかめかしい接続装置を眺め、ライトブルーに発光したラインをなぞるように指をそえる『『幻狼』夢幻の奇術師』夜乃 幻(p3p000824)。
「よく分からない乗り物がこの世には沢山あるので御座いますね。
 ……バイクといえば、轢き逃げを得意とするバイク様しか存じ上げませんが、依頼はこれで轢き逃げしてこいということでしょう」
「え、そうなのかな。そうかな……」
「そうでございましょう」
 表情をかえずに振り返る幻に、千尋はうーんと一秒ほど唸ってから考えるのをやめた。
 まいっか! と叫んでハンドルを握りこむ。
「『疾走(はし)り』は俺の得意分野、ってな」
「バイク……初めてなのよね」
 『実験台ならまかせて』かんな(p3p007880)は貸し出された真っ白いカスタムバイクのボディをなでた。
 まるで身を伏せた白鳥のように羽根模様のボディにレースのような末端。仮に地球世界に走っていたら一日で壊れそうな外観だが、そこはさすが海洋海軍の技術力。ばっちりエーテルコーティングがされているらしい。
「ところで混沌のバイクはとーっても早いと聞いているのだけれど、乗りこなせるかしら?」
「心配ねえだろ。こいつはあんたら一人一人に向けてこの俺がカスタムしたスペシャルな機体だからな」
 まかせな! と親指で自分を示す海洋海軍将校ユーナバー。
 通りで……と振り返ると『泳げベーク君』ベーク・シー・ドリーム(p3p000209)がデカい黒鯛焼きみたいなバイクにがっつり埋まっていた。さすがに魚形態のまま操作できるもんでもないらしく人化しているが、これじゃあ人化した意味がねえ。
「解せません……」
「個々の特徴を捉えたよい機体ではありませんか」
 『Tender Hound』弓削 鶫(p3p002685)はそう言いながら、水上機動装置を接続した三輪バイクへ更に重魔術砲やミサイルランチャーを接続していた。もうバイクっていうか一人乗りの戦車である。
 一方の『跳兎』リコシェット(p3p007871)は日頃乗り慣れたバイクにこれまた愛用の拡張装備である百段・改。
「普段は海を走るなんて考えないけど、これは楽しそうだ! スラム育ちの運び屋ってのは早くてナンボだ。本領を見せてやる!」
 そう言いながら革鞄に予備弾倉をどかどか詰め込んでいくリコシェット。
 一方の『ガンスリンガー』七鳥・天十里(p3p001668)は黒いバイクに予備弾倉というかスピードローダーにセットした弾をいくつもセットし、車体側面のオートローダーを起動。
「ほんと、海上チェイスバトルなんて依頼が来るとはね……。
 準備しっかりして、かっ飛ばすしかないな!」
「だな!」
「ほらほら。かっとばす前にまずは爆撃作戦、だよ」
 『大号令の体現者』秋宮・史之(p3p002233)は爽やかに笑うと炎の翼を広げた。
「現場までのバイクの運搬は任せたよ。それじゃあお先に!」
 空へと飛び上がっていく史之。
 あらかじめ高高度を飛行していた空爆部隊と合流していく。かんなはそれを追って、二対四枚の白き翼を形成構築。地を蹴って飛び上がる。


「それでは皆さんご一緒に! ――女王陛下万歳!」
 史之は空爆部隊の先頭にたち、シェルターめがけてきりもみ回転しながら垂直急降下突撃を仕掛けた。
「士気の高いこと……」
 かんなはシェルター上空に浮かび、両手を広げて大量のナンバーレスを連続顕現。
 まるで熟練のオーケストラ指揮者のごとく両腕を振り下ろすと、大量の槍を一斉に地面めがけて投下させた。
 と同時に魔法や大砲による一斉砲撃。
 シェルター外壁に着弾しそのままえぐるようにぶち抜いていった史之を弾頭代わりにして、シェルターで大規模な爆発と破壊を引き起こした。
 これをうけて混乱したのは蜘蛛型狂王種ウェーブウォーカーたちである。
 蜘蛛の子を散らすという形容にあわず、彼らはまずシェルター中央に着弾もとい着地した史之へと殺到した。
 が、到達する前にかんなのたたき込んだ槍に貫かれて停止。
 更にバイクにまたがったまま飛び上がったリコシェットと天十里が混乱に追い打ちをかけた。
「目標発見!」
「攻撃開始!」
 天十里とリコシェットはバイクにまたがったまま片手で銃撃。
 拳銃を的確に一発ずつウェーブウォーカーたちに打ち込む天十里と、小銃のフルオート射撃で平たくなぎ払うかのように銃撃を加えるリコシェット。
 天十里はリボルバー弾倉の中身を全て撃ち尽くすと車体に備え付けたオートローダーに拳銃を突っ込み素早くリロード。
 それでもわずかに隙のできる天十里が鋭く『リロード!』と叫ぶと攻撃方向をカバーするようにリコシェットがバイクで回り込み、車体側面の鞄からM24柄付手榴弾をひっこぬいて投擲。
 回転しながら飛んでいった爆弾がウェーブウォーカーたちの中心ではぜる。
「さて、今回もまた変なのと戦うことになりましたね……狂王種って連中は見た目もイカれてくんですかねぇ。
 まぁ、そこらへんは僕にはあまり関係ないんですが。
 と、いうかいつにもまして面倒な戦いになりそうでもあります。さっさと落としましょう」
 追って突入したベークがウェーブウォーカーへと襲いかかり、全ての足を巧みにつかって飛び退くウェーブウォーカーが爆発魔法を発車。
 クロスアームの防御を行うベークの一方で、幻がウェーブウォーカーのボディに仕込みステッキの刀身を突き立てていた。
 返す刀ならぬシルクハットを返して大量の鳩を召喚。組み付こうと迫っていたウェーブウォーカーを荒々しく鳥葬した。
「ここは屋内。逃げ場らしい逃げ場は……おや」
 幻はきょろきょろと周りの様子を観察してから、残像を作る勢いで素早く移動した。
「ベーク様。お借りします」
 どこにって、ベークの背後にである。
 幻を狙って爆撃魔法を発射するウェーブウォーカー。
 ベークは『うわあ』といって飛来する無数の魔法弾を弾きおとしてから、そのうちの一発を木製の野球バットでウェーブウォーカーへとはじき返した
「シャオラー! Do it! Do it!」
 千尋がバイクにまたがったまま突っ込み、途中で離脱。
 わざとジャケットの上着を脱ぐと、爪による直接攻撃をしかけようとするウェーブウォーカーの腕を素早くしばって投げ落とした。
「どうですかぁ……かっこいいですかぁ……」
 そこにはいない女性ファン(?)にアピールしていると、落ちてきた瓦礫が脳天に直撃。
「ぐおおおお痛えええええ!」
 頭を抑えてかがんだ途端、さっきまで頭があった場所を爆撃魔法の弾が抜けていった。
 ハッとして顔をあげると別の瓦礫がウェーブウォーカーを押しつぶす。
「撃ち漏らしはこちらで対応します。お任せ下さい」
 シェルターの端にバイクを止め、耳元に手を上げる鶫。
 小型のヘッドセットが右目を覆う形で空間投影型のフィルターを展開。
 三角形のマークが中央に重なった瞬間を狙い、鶫はハンドル脇のスイッチを押し込んだ。
 次々に発射されるミサイル。
 連続する爆発。その中で、天空へ斜めに伸びる柱のごとき砲撃が今度こそシェルターを完全崩壊させていく。

 崩壊しつつあるシェルターの中でも、ギリギリまで戦闘は続いていた。
 反撃にこだわるウェーブウォーカーへと『アブソリュートゼロ』を放射するベーク。
 凍り付いた対象へ、千尋のジャンプキックが炸裂する。
 まるでガラス窓を破壊したかのような音をたてて砕け散るウェーブウォーカー。
 その更に先をめざし、史之が広げた『力の翼』で切り裂いた。
 足を一本うしないぐらつくウェーブウォーカーに対し、幻が急速接近からの斬撃。即離脱という動きでトドメをさしていく。
 その一方では天十里が混乱したウェーブウォーカーたちの間に飛び込んで右へ左へ縦横無尽に銃撃をたたき込み、一方で反撃に繰り出される爪を紙一重で回避。
 何かを察して飛び退いたところへ、かんなの打ち落とした巨大な槍がウェーブウォーカーを貫くかたちで突き刺さる。
 さらには鶫の打ち込んだ無数の砲撃が大きな放物線を描いて接近。銀に輝く光が砲撃であることを知ったウェーブウォーカーが防御の魔方陣を展開するも、すぐ背後に迫ったリコシェットが近距離から小銃によるバースト射撃。タタタンという小気味よい音がウェーブウォーカーに吸い込まれたかとおもうと、激しい爆発の連続を引き起こした。
 こうしてシェルターごといためつけられたウェーブウォーカーはいくつかのグループわけてシェルターから離脱。
 高速航行モードに姿勢を変えると、海の上を滑るように走り始めた。
「シェルターを破壊を確認。四つのグループにわかれて逃走した模様。追跡を開始します」
 鶫はバイクをいちグループへ向けると、水上機動装置の力を借りて海面へと走り出した。


 味方に情報を届けるため、海の上を高速で走るウェーブウォーカー。
 それを追うのはベークと史之という二台のバイクだった。
「いきますよ」
 ベークは海面から直接水を補給すると、ウェーブウォーカーめがけてタイダルウェイブを発射。
 放水車顔負けの高圧水流がウェーブウォーカーへと浴びせられた。
 逃げ切ることは困難だとふんだのか、ウェーブウォーカーは前後反転し小さな魔方陣を複数展開。
「逃げられると思った? おまえたちの全滅が依頼なんだよね、残念でした」
 集中する砲撃を、史之は『大天使の祝福』によってカウンターヒール。
 爆裂魔法のダメージを実質的にスルーさせていくと、バイクを加速させてウェーブウォーカーへと接近した。
「――戦闘データなど持ち帰らせない!」
 バイク全体に斥力のフィールドをはり、直接体当たりをしかける史之。
 ウェーブウォーカーは圧力に耐えられずに爆発し、炎と光の中を史之は豪快に駆け抜けた。

 一方こちらは幻とかんな。
 ホンダ・チョッパーに大きな蝶のような飾りをつけたような深いブルーのバイクに、幻はまたがっていた。いや、厳密にはシンプルな形状のバイクに幻の作り出した幻影が被さり、まるで巨大な蝶が羽ばたいているように見えていた。
「最近、手先から足先まで速さを頑張って鍛えて参りましたので、存分に轢き逃げさせて頂きましょうか」
「――!」
 反転し、幻への迎撃を行おうとするウェーブウォーカー。
 しかし魔方陣が開いた時には既に幻の姿はウェーブウォーカーのすぐ隣まで迫り、ウェーブウォーカーの肉体を上下にばっさりと切断してしまっていた。
「ふうん……ああすればいいのね」
 かんなはバイクを加速。
 翼を構築するのと似た要領でバイクにウィングパーツを形成すると、豪快に加速しながらウェーブウォーカーの放つ爆撃魔法をかいくぐった。
 そして『鬼歌』を発動。顕現武装を漆黒の刀にかえると、追い抜きながらウェーブウォーカーの足を切断していく。
「海の上でバイク…素敵ね。ふふふ、クセになってしまいそう。あとでパーツだけでも譲って貰おうかしら」

 そしてこちらは千尋&天十里チーム。
「行くぞテメーら!
 身体はHOTに、頭はCOOLに、それが俺の疾走(はし)り方よ!
 俺はデキる男!デキるデキるデキるデキる!」
 ウェーブウォーカーの放つ爆撃魔法の中を右へ左へバイクをきりながら迫っていく千尋。
「すごい……」
 天十里はそのようすにめをみはった。
「さっきから全部顔に当たってる」
「滅茶苦茶痛えし熱ぃ!」
 あ゛あ゛! と叫んで首を振る千尋。
「どうしてそうまで当たるの?」
「むしろ皆どうやって避けてんの?」
 天十里はアハハと苦笑すると、彼から離れてウェーブウォーカーへと拳銃の狙いを定めた。
 飛来する爆撃魔法を華麗に回避。大技をうってくることを予測して大波をつかむと、バイクごと大ジャンプして真上から射撃を浴びせた。
「しゃおらぁ!」
 今だとばかりに急加速した千尋がウェーブウォーカーの真横を通り抜け、豪快な蹴りを浴びせていく。
 激しく歪んだウェーブウォーカーは、海上で派手に爆発して散っていった。

「確かに、中々の速さですね。ですが、それだけで逃げられるとは思わない事です!」
 仲間達が次々と逃走するウェーブウォーカーを撃滅していくなかで、リコシェットと鶫のコンビは的確にウェーブウォーカーを追い詰めていた。
 鶫がバイクに装備した重魔術砲を発射。
「天逆鉾を使用します。リコさん、援護を!」
「任せろ! 鶫の邪魔はさせない。強烈なの頼んだぞ!」
 直撃を受けつつも、ウェーブウォーカーは前後反転し迎撃姿勢をとると、巨大な魔方陣を展開した。
「させるか!」
 リコシェットがバイクを傾け、スライディングでもするように魔方陣の下をくぐり抜けて更にウェーブウォーカーの下を抜けていく。
 その際に短く持った小銃を乱射。
 腹部に激しいダメージを負ったウェーブウォーカーは爆発四散し、その更に先を走るウェーブウォーカーが危機感をあらわにした。
「もう一体行きますよ」
 鶫はそう言いながら、先をいくウェーブウォーカーめがけ縮退霊子加速砲を発射。
 ボディにダメージを受けたウェーブウォーカーはわずかに減速しつつも彼女たちを追い払うべく爆撃魔法を滅茶苦茶にまきちらした。
 よっぱらったウナギのような軌道を描いてあちこちに飛ぶ魔法弾。
 乱射とはいえ、この間をくぐり抜けるのは至難の業だ。
 が、『常人には』という前提つきである。
「今更焦っても遅いぞ!」
 リコシェットはまるでバイクを自らの肉体の一部であるかのように巧みに操ると、弾と弾の間を次々にすり抜けてウェーブウォーカーへと接近。
 射撃可能圏内まで迫ると、小銃を単発モードにして的確に、そして精密にウェーブウォーカーの足を打ち抜いた。
 がくんと傾き、盛大に減速するウェーブウォーカー。
 そうなればもはやこちらのもの。鶫は大砲の狙いをぴったりとつけ、そして発射スイッチを押し込んだ。
 激しい力の光がウェーブウォーカーを包み込み、そして爆発四散させる。
「グッジョブです、リコさん。帰ったら、美味しいケーキを焼いてあげますね」
「グッジョブ鶫! 格好良かったぞ。鶫のケーキは美味しいから、楽しみだ!」
 二人は車体を並べ、ハイタッチをかわした。

成否

成功

MVP

リコシェット(p3p007871)
跳兎

状態異常

なし

あとがき

 ――任務完了

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