PandoraPartyProject

シナリオ詳細

<Breaking Blue>スカイヘルハウンド

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●VS攻撃ヘリ
「あれが絶望の青で待ち構える狂王種だって?」
 兵士の一人がそう言って、水兵帽子のつばをつまんだ。
 突き抜けるように青い空を、けたたましいプロペラ音と共に迫る鋼のボディ。
 ずんぐりと丸みを帯びた『それ』はまるで翼を広げたかのようなシルエットをしていた。
 奇妙なのはそれの上部に巨大なプロペラが高速回転し、高度な飛行状態を維持しているという点である。
「『スカイヘルハウンド』というらしい。備え付けた機銃とマルチミサイルで獲物をかり、そして人を食うらしい」
「冗談でしょう?」
 水兵……もとい21世紀地球世界からやってきたウォーカーはゆっくりと首を振った。
「あんなのもう攻撃ヘリじゃん」

 『黒猫の』ショウ(p3n000005)は水兵が撮影したという写真と報告資料を並べ、イレギュラーズたちと共にアクエリアの会議室にいた。
 ならぶパイプ椅子とミネラルウォーターのボトル。
 向き合ってくっつけた長机をはさんで、ショウははげしくブレた写真を指さしてみせる。
「スカイヘルハウンド。この先の未踏破海域を防衛してる狂王種だってさ」
 黒い鋼のまるみを帯びたボディ。
 翼のような部位にはミサイル発射筒が、ボディ下部には機関銃がそれぞれ装備され、上部を四本風車のようなプロペラが高速回転している。
 かの水兵の言葉を借りれば、まるで攻撃ヘリのよう……らしいが、良くも悪くも別物である。繰り返すが狂王種。鋼の怪物なのだ。
 ボディ前方。ヘリでいう操縦席部分が巨大な頭と口になっており、オオカミやワニのように大きく開いた口と牙で殺した人間を喰らうさまが観測されている。
 また、調査部隊交戦時には『ぜったいここ弱点だろ』といってプロペラ部分を攻撃したところことごとく弾かれ、近接攻撃を挑んだ者に至ってはトマトジュースもかくやという酷い有様になったらしい。
「飛行能力に優れていて、上空からの射撃で船を制圧するのが主な役割みたいだね。
 けど、どうやらこのプロペラと鋼のボディは『殻』らしくてね。調査部隊が一体の撃墜に成功したところで、殻を割って『中身』が海へと落ちたんだ」
 その際に撮影されたのは巨大なヒルにワニのような大きすぎる口がついた怪物であった。
「この状態になったら飛行も射撃もできないけど、水泳能力と壁を垂直にはいあがる能力をもつようになるから、船を素早く這い上がって直接攻撃するっていう手段に切り替わるみたいだね」
 アクエリア島を制圧しいよいよ魔種へ打って出ようというこの時。
 のろのろしていては折角症状を遅延させた廃滅病に追いつかれてしまう。
 断固たる進撃によって魔種アルバニアを引きずり出すべく、まずは目の前の怪物を撃滅するのだ。
「調査部隊が一体倒したから……残りはこれだけかな。部隊にもだいぶけが人が出てるくらいだし、協力して戦わないとキツイ敵だと思う。くれぐれも注意してね」

GMコメント

■オーダー
・スカイヘルハウンドの撃滅

 海域を防衛している狂王種スカイヘルハウンド複数個体をすべて撃滅してください。
 依頼主になる部隊から支持されている撤退条件はチーム総合戦力の50%喪失時、撤退可能な能力があるうちに撤退せよと言われています。

●スカイヘルハウンド
 個体数は『4体』。
 すべて飛行状態でエンカウントします。
 スカイヘルハウンドは高高度飛行を維持したまま射撃を行い船とその乗組員を攻撃、制圧を試みます。
 これに対する有効な迎撃手段は同じく高高度飛行しての接近戦闘か、レンジ3以上の射撃戦闘になります。(基本攻撃レンジはR4ですが、斜角の問題からR2~3高度での射撃を主とするため、R4までなくても迎撃可能であるとされています)

 スカイヘルハウンドはHP半分以下かつ任意のタイミングで殻をパージし、水泳ないしは歩行状態となります。
 このときの攻撃手段はレンジ0に限定されるもようです。

 以下、主な攻撃手段となります
・(飛行時のみ)機銃射撃:物超貫【追撃30】【万能】
・(飛行時のみ)生体ミサイル:物超範【業炎】【災厄】
・かじりつく:物至単【必殺】

■船について
 1PCにつき1隻まで、小型船系アイテムを装備していた場合に限り自分の船を持ち込むことが可能です。
 誰も持っていない場合普通の小型船を一隻ほど借りた扱いになります。
 ちなみに船を増やすメリットは陣形の自由と万一沈んだ時の保険です。
※もし装備しているアイテムが未特殊化アイテムだったとしても、『俺の船はこういうデザインだぜ』とプレイングで主張してかまいません。是非キャラを出していきましょう。

●重要な備考
<Breaking Blue>ではイレギュラーズが『廃滅病』に罹患する場合があります。
『廃滅病』を発症した場合、キャラクターが『死兆』状態となる場合がありますのでご注意下さい。

■■■アドリブ度■■■
 ロールプレイをよりお楽しみいただくため、リプレイにはキャラクターのアドリブ描写を用いることがございます。
 プレイングやステータスシートに『アドリブ歓迎』『アドリブなし』といった形でお書きくだされば、度合いに応じて対応いたします。ぜひぜひご利用ください。

  • <Breaking Blue>スカイヘルハウンド完了
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2020年05月07日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

アルプス・ローダー(p3p000034)
特異運命座標
ベーク・シー・ドリーム(p3p000209)
泳げベーク君
寒櫻院・史之(p3p002233)
冬結
弓削 鶫(p3p002685)
Tender Hound
アクセル・オーストレーム(p3p004765)
闇医者
新田 寛治(p3p005073)
ファンドマネージャ
ヴォルペ(p3p007135)
満月の緋狐
ユースティア・ノート・フィアス(p3p007794)
夢為天鳴

リプレイ

●スカイヘルハウンド
 きわめて高度な編隊飛行によって旋回している四体の飛行狂王種スカイヘルハウンド。
 こちらが船で近づいていくのを察して、ぴたりと空中で動きを止めて反転。攻撃姿勢をとった。この動きだけで彼らがどれだけ高高度戦闘に優れているかがわかるだろう。
 これを見て、『二輪』アルプス・ローダー(p3p000034)がひとこと。
「あんなのもう攻撃ヘリじゃん」
 どうやら例の水兵の台詞が気に入ったらしい。
 アバター体をバイク(本体)にまたがらせ、ヘルメットを被るアルプスローダー。
 車体両側面につけたなんかSFめいた翼とジェット噴射機が銀色に光る。
「これはえーっと、何がどう狂ってこういう生物が生まれたんでしょう……?
 いえまぁお前に言われたくないとか言われたら本当にその通りではあるんですが。
 絶望の青後半戦、変なのしか見ていないような……。
 いえ、本当に僕が言えたことではないんですが」
 横で戦闘準備を整えていた『泳げベーク君』ベーク・シー・ドリーム(p3p000209)も、スカイヘルハウンドをぼんやり眺めていた。
 ロボみのある秘宝種や旅人が変異種化するとだいたいあんなふうになりそうという予測は一応つくのと、場所が場所だけにいいかげんな気持ちで接するとひどいことになるというのは理解しているつもりだが……。
「え、じゃあ空母とかどっかにあるの? 怖っ」
 『満月の緋狐』ヴォルペ(p3p007135)が自分の肩を抱いてぶるっと震えた。
「なんですか空母って」
「飛行機が飛ぶための船かな」
「船から飛行種が飛ぶのは普通なのでは」
「そうじゃなくて」
 すれ違いの会話を続ける二人……の後ろで、『闇医者』アクセル・オーストレーム(p3p004765)はどっしりとした腕組み姿勢で考え事をしていた。
(廃滅病か。……治す手段が酷く限られているというのは歯痒いものだ。
 銃創、熱傷……そういったものならマフィアの抗争で慣れているが……)

 その一方。隣の船。
 『夢為天鳴』ユースティア・ノート・フィアス(p3p007794)は氷纏舞奏というふたふりの剣をそれぞれにぎりこみつつ、スカイヘルハウンドに目を細めた。
「随分と物騒なものが飛ぶのですね。ええと……へり、こぷたー? と言うのですか」
「ヘリならテールローターを撃ち抜く所なのですが、これは地道に装甲を抜くしか無いようですね」
「てーる……ろーたー……?」
 更に目を細めほとんど瞑ってるみたくなったユースティアに、寛治が眼鏡を光らせて振り向いた。
「異世界の技術ですよ。こちらでも構造を再現することは容易なんでしょうが、同じ能力を持たせることは困難でしょうね。混沌肯定を突破しうるとは思えない。ゆえに、あれは飛行するモンスターのたぐいであると見て間違いないでしょう」
「翼のはえた獅子だとか、鳥の怪物みたいにですか」
「いかにも」
 寛治は資料のかすれた写真を再び眺め、船の操縦レバーを握り混んだ。
「第一、あの中には誰も搭乗などしていない。どころか、カタツムリの殻めいた存在だと言うではありませんか」
「なんだっけ、悪しき夢のような気がするなあ」
 途中で急に話題のハンドルをきる『大号令の体現者』秋宮・史之(p3p002233)。
「なんにせよ、ここは女王陛下の海となる場所だ。狂王種は駆逐……いや、殲滅する!」
 最近『体現者』というニックネームがつきつつある史之は、己の魂を音がたつほどにもやし、そして腕時計型理力発生装置と障壁形成リングをリンクさせた。
 船の操縦席脇に『天羽々矢』という縮退霊子加速砲をがっちりと設置する『Tender Hound』弓削 鶫(p3p002685)。
「あの編隊飛行と武装からして、上空から火器による勝負を仕掛けてくるようですが……いいでしょう」
 コードをつないで取り外した発射レバーを持って新田と運転をかわると、座席に身体をおさめて前髪をピッとはらった。
「その勝負、受けて立ちます!」
 船のギアレバーとアクセルバーを操作し、突き進む鶫。
 新田のクルーザーがわずかに先端を浮かせ、スカイヘルハウンドたちへと加速をはじめた。


 二隻の敵対的な船が接近したことをうけて、四体のスカイヘルハウンドは広く扇状に展開し、移動する対象に安定した射程を維持できるように海面から20~30m程度の高度へと降下。
 機銃を船へとセットした。
 身を乗り出し、ヴォルペの肩に手を置くアクセル。
「射撃が来るぞ」
「分かってるって」
 ヴォルペはハンドルを急速にきると、乗員を振り落とさんばかりの豪快な蛇行をしながらスカイヘルハウンドの真下を通過し始めた。
 船を追う形で反転し、かつより低い高度をとって射撃を継続するスカイヘルハウンド。
 ヴォルペが激しい蛇行をとったのは回避行動の他に二つの真面目な理由がある。
 ひとつは、レンジ3の射撃攻撃を行うスカイヘルハウンドに対して素直に同レンジで勝負した場合火力の差で不利になりえるが、蛇行をはさむことで確保すべき範囲が広がりスカイヘルハウンドは必然的に船へ接近せざるをえなくなる。転じて、こちらのレンジ2攻撃の範囲に収めやすくなること。
 もうひとつはこちらが常に移動し続けるため相手も移動せざるをえず、そのため距離をつめるには高度を下げるという選択を取らざるを得なくなることだ。もちろんスカイヘルハウンドに高い機動力があった場合普通にこちらの真上をフツーにとり続けることもありうるが、飛行する敵に対する船での戦い方としては割と定着したパターンである。
 で、わざわざ『真面目な』とつけたのは不真面目な理由が付随しているからである。
「さあて、楽しもうか!」
 ヴォルペは上着を瞬時に投げ捨てると、船を豪快にターンさせて自らの射撃の的にした。
「…………」
 こいつあとでヘッドロックだなという目で見るアクセル。
 僕は付き合いませんよとばかりにさっさと海へ離脱して別のスカイヘルハウンドのほうへむかうベーク。
 僕はロケットですよとばかりに船から射出されるアルプスローダー。
「おいいま」
「大丈夫大丈夫」
 船に設置された垂直式カタパルト。アルプスローダーをのせゆーっくり垂直に傾いたそれから、アルプスローダーが真上へと発射される。
 なんか雰囲気的に大気圏を越えてくれそうなその装置はしかし、船のデッキから数えて約25m高度にあるスカイヘルハウンドをゆうに飛び越える高度で飛行状態へ移行。
 上を取られたことを察したスカイヘルハウンドが回避行動をとろうとするやいなや、アルプスローダーは空中で反転。かつジェット噴射によってそのボディに体当たりをしかけたのだった。
 横移動によってやや傾いたスカイヘルハウンドの側面部分へねじ込むようにカーブを得たいが体当たり。
 これによってスカイヘルハウンドをおおう殻が破壊され、『中身』が海面へと落下した。

 一方こちらはベーク。
 ヴォルペたちの船から早々に離脱し、『かえってきたたいやきくん』による射撃を連射し続けることでスカイヘルハウンドに【怒り】状態を付与する試みを続けていた。
「空飛んでる奴らはあまり好かないんですよね。基本的に攻撃届かないので……」
 結論から述べると【怒り】の付与には成功しなかったが、スカイヘルハウンドはベークを追い払おうと機銃による射撃を開始。ベークが【反】要素をもっていたことを察すると攻撃を生体ミサイルへ変更して焼き殺そうと試みた。
 が、ベークの特殊抵抗能力が非常に高かったことからこれも困難を極め、互いに狙いをかなえづらいままじわじわと追いかけっこが続くという形が維持されていた。
 『敵は有能であるが全能ではない』という古代の軍師の言葉があるが、こちらの情報を知らない敵に対して、ベークやアルプスローダーたちは所見の有利をとることができた。

「あちらは始まったようですね」
 ステッキ傘を広げ、裏側から敵の様子を探る寛治。
 運転は鶫が担当し、スカイヘルハウンド二体の間に割り込むように船を着け、併走するという状態を維持していた。
 一見すると集中攻撃を受けやすい配置だが、スカイヘルハウンドはその攻撃方法から必ずこの配置をとらざるをえず、鶫が右や左に移動するたびに『両方の』スカイヘルハウンドが位置調整のために動かなくてはならなくなるという特性を活かしての陣取りであった。
「大きく揺れます。近くのものにつかまっていてくださいね」
 鶫はマナキャノンの狙いを船側面斜め上へとセットし、豪快に乱射させたまま船のかじを大きくきった。
 スカイヘルハウンドの真下を通り抜けながら反対側へ。
 追いかけようと機銃射撃を行っていたスカイヘルハウンドは味方が邪魔になり攻撃を中断。もう一体のスカイヘルハウンドも真下への攻撃は地味に面倒ということもあって移動を開始した。
 離れながらのミサイルに対し、手投げミサイルを投擲する鶫。
 ミサイルは空中に投げ出されてからのジェット噴射でスカイヘルハウンドへと接近。上昇によって回避しようとしたスカイヘルハウンドだが、それを先読みした新田がミサイルをライフルによって破壊することで空中爆発。スカイヘルハウンド下部に激しいダメージをあたえた。
「まずは腹を切り裂くとしましょう」
 鶫は再び舵を逆方向に切ることでスカイヘルハウンドの下部をとり、ユースティアは交差した剣をしゃらんとすりあわせることで青白い光を纏った。
 通り抜けの寸感に跳躍。
 空中で激しい回転斬りを繰り出すことでスカイヘルハウンド下部の装甲を破壊すると、大きく移動してきた船のデッキへ再び着地。
 一方で飛行状態に入っていた史之がピューピルシールを発動。
 理力障壁がスカイヘルハウンドの機銃部分を包み込んだことによって射撃機能が阻害され、がちがちと異音を鳴らした後に爆発。まるで卵の殻を割るかのように内側の本体が墜落した。
「ふう、やっと当たった。簡単じゃないな、敵の手を封じるっていうのも」
 史之はデバイスを操作して理力障壁のサイズを調節すると、もう一体のスカイヘルハウンドがミサイルを撃ち込んできたのを感知。船全体を包み込むようにフィールドを展開した。
 防御のためのフィールド、ではない。厳密にはダメージを取り返すだけの治癒を行うためのカウンターヒールフィールドである。
 頭上で砕けたミサイルが、卵でも割るかのように内側の強酸性溶解液がぶちまけられる。溶けるだとか熱いだとかいう前にその熱量によって燃えあがるというその溶解液に対し、史之のフィールドは燃焼による傷をリカバリーした。
「船が離れてるとまとめた治癒が難しいな。こっちの船だけで治癒の基準を考えるべきだったかな?」


 四体目のスカイヘルハウンドが墜落したことで、新田船とヴォルペ船はそれぞれターンをかけ、減速。
「ベーク、戻ってこい。そこに一人きりはかえって不利だ」
「はい」
 海からばしゃんと飛び上がり、部分変化によって船のデッキへ着地するベーク。そんな彼を追いかけるように、スカイヘルハウンドの中身部分が二体同時に船内へと襲撃をかけてきた。
 ベークは襲うだけ無駄(襲わされたら負け)だと大体わかってきたらしく、ベークを無視してアクセルへと攻撃しにかかる。
 それを阻むようにヴォルペとベークは間に割り込み、スカイヘルハウンドの噛みつき攻撃を防御した。
 これまでの攻撃ヘリそのものといったフォルムから一転、巨大なナメクジのようなボディで大口を開くスカイヘルハウンドに、ヴォルペは自らの腕と足を突っ込んだ。
 上顎を手のひらで、下顎をブーツの底でそれぞれ止め、食い込んでだくだくと血が流れることもいとわずに振り返った。
「攻撃たのむよ」
「任せてくださ――」
 アルプスローダーが上空からの垂直落下アタックをしかけ――ようとして甲板に頭からイッた。頭っていうかヘッドライトがばぎゃーんと音をたて砕け散ったのである。
「…………」
「…………」
「…………」
 一斉に振り返り、沈黙するベーク。ヴォルペ。そしてスカイヘルハウンド。
「すみません治療いいですかアクセルさん」
「治療…………」
 アクセルは『こんなもの医者の仕事じゃない』と言いながら鞄から予備のパーツとオイルタンクを取り出しアルプスローダーを修理あんど給油。
 元気になったアルプスローダーがスカイヘルハウンドを順調に轢いた。

 対してこちらは新田船。
 船へと這い上がってきたスカイヘルハウンドに対し、史之が真っ先に前へ出た。
 口を大きくあけてかじりつくスカイヘルハウンドに拳を突っ込み、理力障壁を球状に展開。
 ガキンと顎が内側からおさえられたスカイヘルハウンドに、史之は更に一歩踏み込んだ。
「こっち来たね。俺を選ぶなんてお目が高いじゃないか!」
 半端に頭を使おうとするとヒーラーを優先攻撃しがちである。スカイヘルハウンドもこの船のメンバーのうち史之から潰すのが鉄板だと考えたのだろうが、タンクヒーラーというのはどこにでもいるもので、こうした浅い作戦を簡単に崩壊させてしまう。
 ちょいちょいとあいた腕で指を振り、『こっちは任せてそっちを潰しなよ』と合図を送る史之。
 ユースティアは深く頷き、腹部に傷のついたスカイヘルハウンドへと飛びかかった。
「飛べなくなれば、こちらの間合いです!」
 キキンという空気が凍り付くような音と共に、交差するふたつの十字を空に刻むユースティア。
 彼女の腕を食いちぎろうと飛び込んできたスカイヘルハウンドのボディが複雑に切り裂かれ、無理に開かれた口には寛治のステッキ傘が突っ込まれた。
「本来、打たれ弱い攻撃ヘリは障害物の無い海上で運用すべきものではない。狙ってくれというようなものです。能力は脅威ですが、用兵は三流だ」
 ですよね? と振り返ると鶫は史之が抑えていたスカイヘルハウンドの口へ、取り外した縮退霊子加速砲『天羽々矢』の銃口を無理矢理押し込んでいた。
「行儀の悪いお口ですね? 教育して差し上げます!」
 二人同時に発射レバーを握り込み、激しい射撃によってスカイヘルハウンドがぶくんと膨らんだ。
 膨らんですぐに背が爆発。どろどろとした体液や肉塊をまきちらして死滅した。

 かくして、スカイヘルハウンドの防衛していた海域は無事に突破。さらなる海域へと進撃するに至る。
 この先に待つのは、いかなる悪夢か……。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 ――任務成功

PAGETOPPAGEBOTTOM