PandoraPartyProject

シナリオ詳細

闇夜のその先へ

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●戦う術を持たぬ者よ
 ここは『真夜中の星導』。永遠の夜で満ちた暗闇の世界。そんな世界のとある森。そこには貴重な薬草や蝶が暮らしているらしい。その材料を使えば人々の難病も治すことができる、と飴屋の店主であるユウマは考えていた。この世界の飴屋は混沌にある飴屋とは大きく異なり、薬屋としての役割も果たしている。その為、医学的な効果があるとわかった材料に関しては調達をすることも『飴屋』としての役割なのだ。
「ユウマさん、こちらはもう薬草はなさそうですよ」
「そうか。俺のほうももうなさそうだよ。最近はあまり取れにくくなっているね……」
「そうですね……飴が足りなくなってしまうと、お客さんたちも困ってしまうでしょうからね……」
「でも俺達二人だけじゃいけるところは限りがあるし、かといって君を一人にするわけにも行かないしなぁ……」
「もう、いつまでたっても私が唯の女の子だと勘違いされていませんか?」
「ふふ、俺にとってはいつまでも可愛い女の子だよ。野生の熊や狼に襲われて怪我でもされたら、俺は心臓がいくつあっても足りないんだよ……解ってくれるかい?」
「はぁ……解らないでもないですけれど。でも、このままじゃお店の在庫が無くなってしまいますよ」
「そうなんだよなぁ……魔物は俺達だけで狩れるほど優しくはないし……」
 薬草を一通り摘みきったユウマと、その妻であるシエスは顔を見合わせてため息をこぼした。それもその筈、彼らは治療が得意なだけの一般人である。少々なら格闘の技術を持ちあわせているユウマであっても、特異運命座標たる君達には遠く及ばない。月と鼈どころか月と卵でもいいかもしれない。それくらい違うのだ。
「……あ、そうだ。俺、少しだけ戦うのが得意そうな知り合いがいるから、その人たちに頼めないか聞いてみるよ」
「本当ですか? それなら、その人たちにお願いしてみましょう!」

●という訳で
「御機嫌よう、皆!」
 ポルックスがご機嫌にお出迎え。その手には美しい濃紺のカンテラ。カンテラの光源は炎ではなく星屑で、ロマンチックだ。カンテラを持ちながらくるくる回るポルックスは、ぴたっと止まるとポケットから羊皮紙を取り出して今回の依頼人からの手紙を読み上げた。
「ユウマさんからみたい! ええとね――、」

『こんばんは、皆。俺たちの世界には朝というものがないから、この挨拶ではじまりとさせて頂こう。
 先日はありがとう。妻も喜んでいたよ。それで、君達の腕前を見込んでお願いしたいことがあるんだ。
 魔物を狩って欲しい。森の奥に住んでいる魔物は、俺達じゃ倒せないんだ。お願いしてもいいかな。
 大丈夫そうなら、三日後の晩、此方に来てほしい。
 それじゃあ、またね』

「ですって。皆の腕前ならきっと大丈夫よね!
 カンテラは支給されるみたいだから、暗くても心配はないわ!」
 それじゃあいってらっしゃい、と、ポルックスはあなたの肩に手を置いた。

NMコメント

 どうも、染です。薬草摘みってロマンが溢れていると思いませんか。一度挑戦してみたいと思っています。
 それでは今回の依頼の説明に入りたいと思います。

●依頼内容
 依頼人:ユウマ
 依頼内容:(メイン)魔物の盗伐
      (サブ) 薬草の採集

 暗闇の森の中で魔物を討伐してください。身体からは貴重な材料が手に入るようですので、採集もお忘れなく。

●材料
 【ナイトウルフ】×4
 物理・爪で攻撃をしてきます。神秘攻撃が有効打でしょう。
 爪を採取してください。

 【シャインカエル】×5
 神秘攻撃、毒を付与してきます。神秘攻撃が有効打でしょう。
 丸ごと持って帰ってきてください。

 【ダストバタフライ】×10
 ぶつかり物理攻撃をしてきます。物理・神秘ともに有効打でしょう。
 袋に入れて持って帰ってきてください。

 【コケシカ】×3
 ぶつかり物理攻撃をしてきます。物理攻撃が有効打でしょう。
 角と毛皮を持って帰ってきてください。

 薬草類は見かければ回収する形で大丈夫でしょう。

●世界観
 『真夜中の星導』と呼ばれる世界の中。
 相変わらず星が綺麗です。
 街並みも至って変わらず、大きく異なるのは「星を大切にしている」ということ。
 例えば、街の照明は全て星を捕まえて灯したものです。
 しかし食べられる星もあるようです。美味しいそうです。
 街中に星が溢れています。それこそ、導のように。

 こちらは染が前回出した『Happy Happy Happy!』です。世界観把握には向いているかなあと思いましたので、お時間よろしければこちらも是非ご覧ください。
 (https://rev1.reversion.jp/scenario/detail/2897)
 ちなみに今回も、前回や前々回に参加されていなくても楽しめる内容となっております。

●NPC
 呼び出された場合のみ登場します。
 ・ユウマ(今回の依頼人)
 飴屋の主人。端整な容姿の青年です。温厚。
 手伝えと言われれば格闘を用いて戦闘のお手伝いをしてくれます。

 ・シエス
 ユウマの妻。小柄な少女です。温厚。
 回復が得意なようです。

●特殊ルール
 今回はユウマがカンテラを渡してくれますので、暗視等のスキルは必要ありません。
 安心してスキルを詰め込んでくださいね。

●サンプルプレイング
 俺はコケシカを倒しに行こうかな。できるだけ木に隠れて角を自分で折って貰おう……あんまり痛いのは好きじゃないんだけどな。ごめん!

 以上となります。
 ご参加、お待ちしております。

  • 闇夜のその先へ完了
  • NM名
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2020年04月24日 22時05分
  • 参加人数4/4人
  • 相談3日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

ソア(p3p007025)
無尽虎爪
羽住・利一(p3p007934)
特異運命座標
バルガル・ミフィスト(p3p007978)
シャドウウォーカー
長月・イナリ(p3p008096)
狐です

リプレイ

●金の閃光
 ずっと夜が続くなんて不思議だ。キィ、とカンテラの軋む音に耳を震わせながら、『雷虎』ソア(p3p007025) は常闇の森へと足を進めていた。
(さあ、張り切って狩りに出ようか!)
 不思議な星の恵みはソアの心から恐怖心を拭い去る。暖かな光にソアは目を細めた。
「ん~~ッ♪」
 ぐい、と伸びひとつ。肺に息が染み込んで、血の滾る感覚を懐かしむように目を伏せた。
(ボクはもうずっと狩りをしていないから、この感覚を忘れてたんだなぁ……)
 ──獲物を探すときの高揚感。
 人間『らしく』していたいから抑えていた、虎の本能的な衝動。身体の緊張を解すように、久しい獣の感覚に身体を馴染ませて──ソアは闇夜を進んだ。
「ねえねえ、魔物を近くで見なかった?」
 夜の森では何が居てもおかしくない。声を潜めてソアは森に住まうモノに語りかける。ふわふわと漂う名もなき隣人は、ソアの声に反応して口を開いた。
「あっち」
「こわいの」
「おっきいの」
「おおかみ」
「わぁ、ありがとう! あっちの方に狼がいるんだね?」
 小さき隣人はソアの言葉に頷くと、空気に溶けて消えていった。ソアは目を光らせて、耳を澄ませた。鼓動の音がよく聞こえる。本当に、懐かしい。
 そして。少し先にナイトウルフの群れの気配を捉えた。
「見つけた」
 地を踏み込み、駆ける。駆ける。駆ける。
 金の閃光眩しく、軌跡はそのまま攻撃へ。雷を帯びた一撃は夜狼を怯ませる。鋭利な爪は血を啜る。渇き。もっとだ。乱撃が繰り返される。為す術もなく、ナイトウルフは散ってゆく。軈て──と言うには短過ぎる時間の中で、群れは砕け残り1匹に。
「ボクの自慢の雷電、見せてあげる!」
 軽快な指パッチン、その先の狼目掛けて光が走る。瞬間、狼は息絶えた。ソアは動かないことを確認してから、手早くその手を滑らせて使えるところを集めていく。
(食べないところを集めるのって何だか不思議な感じ……)
 ポキン、ポキンと爪を折り、ソアは爪を残らず採取した。案外手を焼くものかと思っていたけれど、そうでもないな、なんて思わず苦笑して。ソアは己の実力が上がっているのを実感して、森を駆けた。
「沢山持って帰ったら、皆あっと言うだろうなー! 楽しみ!」

●羽根落つる
「病気の人に薬が行き渡らなくなるのは、宜しくないよね」
 『特異運命座標』羽住・利一(p3p007934) は支給されているカンテラを頼りに、森の中を進む。森の中で優れた感覚を研ぎ澄ませ、気配のした方に夜目を効かせる。
(木々のざわめき、茂みの揺れ、物音……さあ、敵はどこにいる?)
 草木の擦れる音、風の囁き、呻き声──見つけた。
「出て来い!」
 飛び出した陰は利一の足元へと降り掛かる。ダストバタフライだ。利一の手から魔弾が放たれる。近付いてきた蝶たちは肉体を破壊され、再び舞い上がることすら出来ずに息絶えた。
 しかしそれだけでは終わらない。第二陣だ。なんて奴らだ。
「まだまだ!!」
 利一も真っ直ぐに敵と対峙して、蝶たちを砕く。そして再び、蝶が舞うことはなかった。
「ふう、こんなものかな」
 パンパンと手を払い、利一は落ちた蝶の骸を拾い上げる。ユウマによるとあればある程良いらしいから、羽根を残さず取って袋へ。
「んー……後は、薬草もあるといいんだっけ?」
 ユウマから事前に聞いておいた薬草の特徴を思い出して、利一は近くの草原を掻き分ける。それらしきものを見付けると、ぶちっと引っこ抜いて匂いを嗅ぐ。
「おっ、これかな?」
 スンスンと鼻を鳴らす。清々しい香りが鼻の中に満ちていくのを感じて、利一は安心したように薬草を別の袋へ納める。近くに群生していたようなので、利一が夢中になって摘んでいると、利一に二人分の足音が近づいてきた。
「利一さん、こんばんは」
「手伝って貰って悪いね。調子はどう?」
「こんばんは。……ああ、今はこんな感じ」
 ぽん、とユウマの手に袋をのせると、代わりにシエスがポーションを手渡した。
「これは……傷薬かな?」
「はい。皆さん戦ってくださいますから、私達にも何か手伝えないものかと思って……」
「シエスのポーションは良く効くんだ。後で飲んでみて」
「ユウマさんったら、もう!」
 目の前でイチャつき出す夫婦の様子を微笑ましく見守りながら、利一はぐい、とポーションを飲み干した。とても苦かった。

●大漁
「はてさて、ここまで力自慢が多いとどうすればよいでしょうかね……」
 ぽりぽりと頬を掻きながら『胡散臭い密売商人』バルガル・ミフィスト(p3p007978) は周りを見渡した。
 規則正しいテンポで足音を響かせていく。
 キィキィと鳴るカンテラの中の星を眺めては、商品に良さそうだなどと考えて。土産物にならないほどこの星には溢れているようだから、持ち帰ることもできるだろう。
(ひとまずやれるだけの事はやりましょうか。薬草についてはまぁ、詰んでいける余裕があれば、ですね)
 と考えてはいたのだが、敵が出てくる様子もないのでしゃがんで薬草を探しては摘み、探しては摘み。辺り一体を摘みきったような気がして立ち上がったその時。
「!」
 殺意を感じたバルガルが飛び退いた跡地には、毒持つシャインカエルの群れ。飛び掛ってきたようだ。
「……ふむ」
 持ち込んだ宝石が毒を退ける魔石だったらしい。バルガルに毒が効かないことをしらないカエルたちは飛び掛るのだが、バルガルはそれを交わして、薬として使わない部分を攻め立てる。
 その後は巣穴と思わしき所を潰して行ったようで、バルガルがオフロード車に戻る頃には袋いっぱいにカエルが詰まっていた。
 カエルをオフロード車に積んでいると、ユウマが寄ってきた。
「おお、もう終わったのかい?」
「はい。案外簡単でした」
 眼鏡をくいっとあげて、車のトランクを見せるとユウマはぎょっと目を見開いて。袋詰めのカエルがこれでもかと並んでいる光景は、少しショッキングかもしれない。
「あはは、こりゃ今日のMVPは君だなぁ」
「おや、そうですか? それならば少し報酬をはずんでもらいましょうかね」
「うん、構わないよ。何が欲しい?」
「それでは……ごにょごにょごにょ」
 バルガルが強請ったもの──星にユウマが笑い転げるまで、あと少し。

●五穀豊穣の力
(星と夜の世界ね……綺麗だけど、私は御日様でポカポカと温かい世界が好みだわ)
 『新米の稲荷様』長月・イナリ(p3p008096) は瞬きふたつ。辺りに生えている木々は光合成を行っていないのだろうが、こんなにも健やかに育っているのだから不思議でしかない。
「そもそも太陽も無いのにどうやって植物が生育しているのかしら……謎の力、って言われればそれまでなんだけど……」
 星の力だよ、なんて笑顔で語っていたユウマの顔を思い出す。胡散臭いような気がして頭から振り払うのだけれど。
「うーーん……それにしても、中々見つからないわね?」
 大きく育った木に語り掛けて薬草の生えている場所を聞いてみる。向こうだよ、と教えてくれた木の案内に従って薬草の群生地を見付けると、摘んでみて五穀豊穣の力を授け更に育てる。ビニール袋に入れてはまたギフトを用いて育てる。それを繰り返すことで沢山の袋を埋め尽くすほどの薬草を手に入れる。
「ふう、こんなものかしら」
 イナリが視線を上げた先にはコケシカの群れ。音を立てぬように近付いてから、イナリは己を中心に暴風域を生み出した。慌てたシカ達は駆け回りイナリに向けて突進を。
「こんなもので負けるもんですか!!」
 ぶつかられたイナリはぐぐっと足を踏みしめて耐えると、そのまま土の力を操ってシカ達の息の根を止めた。
 森の恵みに感謝して、イナリはシカの角を折り毛皮を剥いだ。余力があったので、イナリは更に森の奥へと進んでいった。

 森の奥に進んで行ったイナリはそこがベースキャンプ地になっている事に気がつく。ユウマやシエス、ソアに利一、バルガルも居た。
「あら、皆もう集まっていたの?」
「うん。皆沢山集めてくれたから、のんびり出来そうだなと思って」
 バチバチと焚き火が燃える。イナリは持ってきた薬草の袋をシエスへと手渡して、角の山をユウマへと押し付けた。
「お、重いね!? 呼んでくれたら駆け付けたのに」
「私はイレギュラーズよ、そのくらい簡単。侮らないでくれるかしら?」
 イナリが口元に弧を描くと、その奥にいるバルガルがイナリを呼んだ。
「イナリさん、こちらに差し入れのマシュマロがあります。如何ですか」
「とっても美味しいよ!」
「ああ。俺達が食べてしまうかもしれない」
「私の分も残しておいてくれるかしら、皆!?」
 仲間の呼び声の方へ、イナリは駆けて行った。

成否

成功

状態異常

なし

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