PandoraPartyProject

シナリオ詳細

目覚めた幼子

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●新たな命は四月と共に
 四月は新学期のはじまりである。それは魔法世界『ブルーム・ブルーム』においても同じ。ブルーム・ブルームの妖精界では四月になると、新しい妖精が生まれるのだ。
 例年なら、それらの妖精たちの面倒をみるのは一つ上の先輩――所謂、二年生にあたる先輩妖精なのだが。今年は一年生妖精の数が先輩妖精の数よりも多く、手が回らないのだそうだ。放置された妖精たちはまだ何も知らない。
「ふぁあ……おはようございます」
「すやすや……」
「わわ、おひさまがまぶしいよう!」
「せんせーはどこ?」
 そのため、小さな妖精たちは好き勝手に動き回っていた。
「……ああもう! ちょっと、アンタ達ねぇ、一応私女王なのよ!?
 もう少し離れなさいな! こ、こら、それは食べちゃだめっていってるでしょー!?」
「……俺の眼鏡はどこだ」
「ちょっと兄様!? それとられたらアンタもポンコツになっちゃうじゃないのよ!
 ああ、嗚呼! ちょっと上級妖精の誰か、花冠師(フルール)を呼びなさい!」
「は、はい、かしこまりました!」
「この子たちの教育係に任命するのよ!」
 こうして、春のブルーム・ブルームの一大事は、フルール改め特異運命座標に解決を任せることとなった。

●四月病
「はぁ……妖精女王は君達に絆されていそうだよね」
 柔らかな色合いをした本――『ブルーム・ブルーム』を抱えたカストルは、ため息交じりにこちらを見た。特異運命座標たちがブルーム・ブルームに呼び出されることもそう珍しくなくなっていた現状に、喜びとほんの少しの興味を覗かせて。
「兎も角、今日の依頼だよ」
 カストルは手に握っていた羊皮紙に綴られていた内容を代読した。
「えー、と。
 フルールの皆様。妖精たちの悪行が手に負えなくなってくる時期でございます。
 どうかはやくお越しになってくださいませ、だって」
 自分の目を疑うようにカストルはもう一度羊皮紙に目を通して、本日二度目となるため息を吐いた。
「……酷い文面だけど、相当困っているんだろうね。フルールの皆、出番じゃない?」
 最近遊んでばっかりいたでしょう、とも付け加えて、カストルは特異運命座標の肩を叩いた。

NMコメント

 もう一年の三分の一が終わろうとしていることに驚きを隠せません。
 皆様こんにちは、染(そめ)と申します。
 前から温めていた内容です、どうかお楽しみ頂けますように。
 それでは説明に移ります。

●依頼内容
 妖精たちに教育をする。

 妖精たちはまだ何も知らないようで、てちてちと王城をはいはいで歩き回っています。ティターニアがストレスで倒れないうちに回収し、仕事について説明してあげましょう。

●仕事について
 妖精たちの情報は後述しますが、各々仕事場から王城へと飛んできたようです。
 できるだけ仕事場に戻して、仕事について教えてあげましょう。一緒にやるのもオッケーです。
 花の妖精ならば花を咲かせ、花に色を塗ることが仕事です。
 水の妖精は朝露を葉に乗せることが仕事です。水分量の調整が難しいんだとか。
 光の妖精は木漏れ日を落とすことが仕事です。光の量を調整して美しい木漏れ日を用意しましょう。
 風の妖精はそよ風を生み出すのが仕事です。一緒に踊って生み出してみましょう。
 仕事内容について書かれた羊皮紙が渡されるので、それを見ながら挑戦してみてください。

●妖精たち
 花の妖精 ひとり
 水の妖精 ひとり
 光の妖精 ひとり
 風の妖精 ひとり
 賑やかで楽しいことが大好きです。
 幼い子供のような見た目で、とても小さく手のひらのほどの背丈です。
 また、背中からきらめく羽が生えています。

●世界観
 魔法世界『ブルーム・ブルーム』。
 花と魔法で満ちた世界。魔法で文明が築かれています。
 基本的には物理攻撃よりも神秘攻撃がメインの世界です。
 また、ファンタジーな世界ですので、妖精やドラゴンなど、ありえない生物がいます。

●フルールについて
 フルールとは、花冠師のこと。
 魔法や魔術を使う人々のことを指し、この世界に住まう人々の半分は花冠師です。
 現地の人々はもちろん、異世界から来た人がフルールと呼ばれる場合もあります。
 また、フルールにはギルドがあり、各々所属している団体があるようです。

●NPC
 呼び出された場合のみ登場します。
・フローラ(ティターニア)
 妖精女王。引き摺るほど長い若草色の髪が特徴。桜色の髪留めが宝物。
 エルフのように長い耳を持つ。成長が遅いとはいえ、いつまで経っても凹凸のない身体に悩んでいる。
 妖精の種類としては花の妖精。春の花の扱いを得意とします。

・グレイシア
 前の妖精王。鋭い目つきと薄氷色の髪が特徴。ガタイがいい。
 エルフのように長い耳をもつ。シスコン。眼鏡。
 他国の妖精へ外交をしに行っていた。
 妖精の種類としては雪の妖精。水の妖精の派生種族です。

・カナタ
 花冠師ギルド『Flowers Flag』のギルドマスター。齢19にしてトップクラスの実力を持つ温厚な青年。
 胃薬が手放せないのが最近の悩み。今回はのんびりフロアを回っているようです。
 何かあればカナタへ。

●サンプルプレイング
 俺は水の妖精の面倒を見るぜ。んー、そうだな、一緒に水で遊んでから仕事について教えてあげよう。
 お前も水の妖精の仲間なら、きっと水で遊ぶのも大好きなはずだぜ!

 それでは、ご参加お待ちしております。

  • 目覚めた幼子完了
  • NM名
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2020年04月06日 22時10分
  • 参加人数4/4人
  • 相談4日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

ツリー・ロド(p3p000319)
ロストプライド
武器商人(p3p001107)
闇之雲
アウローラ=エレットローネ(p3p007207)
電子の海の精霊
回言 世界(p3p007315)
狂言回し

リプレイ

●風の踊り子、電子の精霊
「アウローラちゃんは風の妖精さんのお世話をすれば良いんだよね? がんばるよー!」
 快晴の空の下、緑で満ちた草原の上。『電子の海の精霊』アウローラ=エレットローネ(p3p007207) は、風の妖精を傍らに羊皮紙とにらめっこ。羊皮紙には恐らくこの世界の言葉と思わしき、よく分からない言語の列。それらも崩れないバベルの影響を受け、何ら問題なく読むことが出来るのだが。
「んーっとね、踊ったらそよ風が生まれるみたいだし、お外で一緒に踊ってそよ風を出してあげよう!」
 風の妖精は瞬きふたつ。あう、と声を上げながら、小さな羽根で少しづつ浮遊して。ぱたぱたと少しづつ少しづつ、空に浮かんだ妖精は手を伸ばしてアウローラに近付いた。アウローラが伸ばした手に小さな手を絡めて握ると、満足気にぴゅう、と風を吹かせて。
「ぁー、う!」
「そうそう、その調子だよ! もっと一緒に踊っちゃおう!」
「んまぁ!」
 一緒に手を繋いでくるくると回ったりして踊っていると、優しい風がアウローラの髪を揺らした。
「そうそう、そんな感じだよー。踊って気持ちいいそよ風を出すのが君のお仕事になるんだって!」
「んむぃ?」
「そう! 自信を持って、もっと踊っちゃおう!」
「きゃぁい!」
 くるくるくるくる。そうして行くうちに、背に伸びた薄緑の羽根はしゃん、と伸びて。風の印を刻まれたその羽根は、妖精を包む風を切り、宙へと浮かばせた。
「わぁ、ちゃんと飛べるようになったんだねー!
 それじゃあ最終ステップ! 一人で踊ってみて?」
「んみゃい!」
 ぱたぱたと宙に浮かんだ妖精は、くるくると回ると、そよ風を生み出した。アウローラの水色の髪が空に同化する。
「すごい! よく頑張りました!」
「きゃっきゃ!」
 褒められたことで興奮した妖精は、両手を空に翳すと、びゅおうと唸る様な突風を吹かせた。そしてそのまま進んだ風は、ぐるぐると渦巻く竜巻に変わり、それはそのまま木の何本かを薙ぎ倒して、地面をめちゃくちゃにしてしまった。
「……あちゃぁ。これはまだまだ特訓の必要がありそうだね?」
「ぇぅ……」
 しょんぼり地面に座った風の妖精。大丈夫だよ、と言いたげにアウローラがぎゅっと抱きしめると、ふんす、と気合十分にまた宙へ浮かんだ。
「ようし、また一緒に頑張ろう! えいえいおー!」
「んえ、んい、ぁー!」
 二人で拳を空に突き上げると、二人はまた一緒に踊り出した。


●異世界知識の応用の仕方
「えーと、教導出来るのかこれ? まだはいはいの段階なんだろ……?
 どうすればいいんだ…?」
 『カースド妖精鎌』サイズ(p3p000319) は手に握らされた羊皮紙に綴られた内容に眉根を寄せた。
(俺は使える魔法の属性的にも金属、火、闇、あと氷という花と相性悪い感じだし……知識は言うほど役にたたないか…花の色彩位かな、教えられそうなの?)
 うんうんと唸り続けたサイズは、最適解を思いつく。その妖精に聞けばいいじゃないか、と。
「ということで呼ばれたけれど、私は何を手伝えばいいのかしら、サイズ?」
「座学は出来るが、俺に花を咲かせるなんて綺麗な力は持ち合わせてないからな……実践形式だとフローラさんに頼った方がいいだろうと思って。
 一先ず、教えることと言えば花の色で意味合いが変わるとかでいいんですかね……」
 ちらり、とフローラを見やったサイズ。ぐっと親指を立てたフローラ。それで大丈夫だよ、という意味だろう。花の妖精の後ろに胡座で座ったサイズは、妖精を膝の上に載せるとプランターに植えた芽を見せた。妖精はぺち、とプランターを叩くと、ぽんっと花を開花させる。しかしそれだけでは飽き足らず、ぺちぺちぺちぺちとプランターを叩きまくった妖精は、開花させた花を秒速で枯れて行った。
「……こら」
 ぶわぁとオーラを出して怒ったフリをすると、目に涙を溜めた妖精はぐすぐすと泣きながらも、叩くのをやめる。不満げにぶぅ、とサイズを見た妖精はサイズの膝の上でこれまた不満げに身体を動かして。
「ぴぇぇ……」
「ん、よし、いい子だな」
「私よりもやんちゃじゃないじゃないの、大丈夫よ!」
「そ、それはそれでどうかと思うが……まぁ、いいか」
 その後も植えられたプランターをぺちぺち叩いて花を咲かせ、時にやんちゃが過ぎればオーラを出して怒り、成長したらフローラが少し教えて、というのを繰り返した。
「はあ、出来る限り頑張ってみるか……。こういう教育は最初が肝心と聞くからな……。ぐれたりしないように気を付けねば」
「ええ、その調子よサイズ!」
「きゃあい!」
 ぱたぱたと背中の羽根をのばし、木に咲く花も咲かせていった妖精。春の島の桜を沢山咲かせた妖精はご機嫌に、かつ調子に乗って沢山花を咲かせ続ける。そしてまたお説教される妖精。
 その後、気分で黒百合を咲かせた妖精が凄い顔でフローラに睨まれ、大泣きしたのは三人だけの秘密。


●朝露滲む葉
「俺に先生の真似事をしろってか? 小さい子どもの相手は不得手なんだがな……」
 然しながら、馴染みの相手のお願いとなれば無下にするのも気が引けると言うものだ。『凡才』回言 世界(p3p007315) はやれやれと頭を振ると、はいはいしながら動き回る妖精を見やった。
「えっと……俺が教えるのは水の妖精の仕事で朝露を葉に乗せればいいと。水分量の調整が難しいらしいが俺もまったくよくわからんぞ。とりあえず羊皮紙をよく読んでみるか」
 〜青年羊皮紙熟読中〜
「…………うん、すまん。読んでみたけど俺にもよくわからない」
「あう?」
 きょとん、と首を傾げた妖精は世界の背中にくっついて。
(だが一回の経験は百の言葉にも勝るはずだ。そこらへんから葉の付いた枝を調達してきたからコイツで実践あるのみだな)
 紫陽花の葉をつんで来た世界は花瓶にそれを生けると、お手本を見せるために精霊を呼び出した。しかし気合いが入りすぎたのか、それはシャワーのように沢山の露を落とす。
「……っと水が多すぎたか。沢山垂れてしまったな」
 はぁ、とため息ひとつ。教えるなんて偉そうなことを言える立場じゃないな、と肩を落として妖精の頭を撫でた世界。妖精はぱちぱちと目を瞬かせて。
「そんじゃ、お互いピカピカの一年生として頑張ろうぜ。二人でやってきゃ少しは得るものもある、多分な」
「ぁい!」
 嬉しそうににまぁ、と笑った妖精は、滴り落ちる露を生み出そうと、手をぱちぱちと叩いて鳴らした。綺麗に露をのせることができればきゃっきゃと笑って、失敗したら世界が凹んだ妖精を励まして。
 そして日は暮れ、夜が来て。
「それなりにコツを掴めて来たらとりあえずは大丈夫だろ。一朝一夕でできる様になるとは思ってないし……」
 寂しげに足にくっついた妖精は離れるつもりは無いらしい。やぁや、と泣いては世界を困らせた。世界も困ったな、と苦笑しつつも、時間の許す限りはそこに居てやった。
「俺もずっとここにいるわけにはいかないからこれで帰るし、次はいつ来れるかわからんが……これからも練習をサボらないでくれよ?
 次に俺がここに来た時にお前の頑張った成果を見せてほしいしな。約束だ」
 くっついた妖精を抱き上げ頭を撫でると、むくれながらもこくりと頷いた妖精は、世界と離れるのを最後まで渋ったのだった。
 次に会う時はどのように成長しているだろうか。世界は期待に胸を踊らせたのだった。


●ひかりであふれて
「おいで、可愛い隣人。まずはお散歩とひなたぼっこをしよう。時間があれば後で月光浴もしようね。
 太陽の光も月の光も、須くキミだ。キミがいないと多くの生き物は世界を見る事ができない。だろう?」
 愛してるよ。と、囁いて。妖精はわけもわからず瞬きをするだけだけれど。『闇之雲』武器商人(p3p001107) は光の妖精を抱き上げて森の中を歩いていた。
「そう、そう。仕事のついでにとっておきを教えてあげよう。我(アタシ)が教えたってことは内緒だよ?」
 どうして、と言いたげに首を傾けた妖精。あとでキミ達の女王様に怒られそうだからさ、と語りかけると、ちょうどいい木陰に腰を下ろした。
 木漏れ日を手で掬って。その手を追うように妖精が羽根を動かすと、その光に触れた部分だけ消えて見える。ふうむ、と笑みを浮かべながらも、武器商人は言葉を紡いだ。
「いいかい、教えた通り物を見る為には光(キミ)が必要だ。それからキミの仕事は木漏れ日を作ること。けれど、一口にそう言っても、量だけじゃない」
 光を美しい木漏れ日として木々の隙間へ落とす為には角度もいじる必要があるだろう。仕事とはやらなければいけないことだけを指すものではない。自分からもやりたいことを見つけることが出来て、はじめて『仕事』と呼べるのだ。
「つまりキミは自身への屈折率を弄って──ああ、いや。簡単に言うと、キミは誰からも見えない透明妖精になれるんだよ」
 『他のコからキミが見えなくなるのがその一』と人差し指を立てて。妖精はその指をきゅっと握った。『この状態だけだとキミも他のコが見えなくなるから、キミからは他のコが見える状態にするのがその2』と、今度は中指も立ててピースのかたちに。はむ、と指を食んだ妖精をこらこら、と注意しながらも撫でた武器商人。
 ゆっくり伝わるように優しく、易しい言葉で。そうして紡いだ言葉を反芻した妖精は、赤子ながら大人びた表情に。気づけば月が浮かぶ頃になっていた。
「でも音とか匂いは消せないから気をつける事。それから誰かを直接驚かす時はその誰かが怪我をしないよう特に気をつける事」
「んひ」
 こく、と頷いた妖精。きらきらと溢れる光に身を震わせて、羽根を小さく動かして光の下へ武器商人を連れ出して。月の光に混ざって消えた妖精は、いつの間にか武器商人の肩にのっかってすやすやと眠っていた。
「……おやすみ。明日から頑張るんだよ」

成否

成功

状態異常

なし

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