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シナリオ詳細

《狐の嫁入り 第四幕》少年少女の初めての冒険

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

■誰でも起きる、親との衝突
「えぇ……? 私達だけで冒険? それ、本気?」
「本気も本気だっ!」
 緑豊かな森。今日もそこは静かに平和で。奥深くにある護り人が住まう屋敷も平和……ではなかった。
 屋敷の中庭で顔をつきあわせるのは四人の少年少女達。何か相談をしている模様で……。
「もう。またギルったら叔父様と喧嘩したんでしょ?」
「ち、ちげーよ、カイ!」
 腰に手を当てて呆れ声を出す少女の名はカイ。図星を当てられ顔を赤くしながらも反論する少年がギル。
 ギルはこの屋敷の嫡男で、カイはその従兄妹にあたる。なので二人の間に遠慮などというものはない。
「お前だって男ならわかるだろ!?」
「……確かに父は俺の事をまだ子供扱いする……が、お前みたいに喚く程ではない」
 ギルに話を振られるが、至極落ち着いて返答するのは猿人の長の息子。彼らは世襲制なので未来にはギルダスと名乗るだろう。今は『お前』や『ジュニア君』と呼ばれている。
「で、でも、ボク達だけでなんて、危険だよ……」
「そうよ。ティティスの言う通りだわ」
 おどおどとした様子の美少女。しかしそれは仮の姿。彼女……ティティスの本当の姿は、オーク族。今や族長となったミルディンの大切な一人娘である。
 手先が器用で、以前起きた戦いまではスリなどをして過ごしていたが……あれ以来きっぱり足を洗っている。変化能力はその名残だそうだ。
「でもよ、皆だって親に認められたいって思う事はあるだろ?」
「それは、あるわよ……」
「……否定はせん」
「あ、あぅぅ……でもぉ……」
「よっし決まりな! ほら、今から行けば日没までには間に合うぜ!」
 話を強引に押し切り、全員を引き連れて森に姿を消すギル。
 そんな彼の後ろ姿を、両親は苦々しく見つめていた。
「まったく……あの子には困ったものだ」

■再びの子守の時間です
「はい皆集まってくれてありがとう。今回もまた、いつもの獣人達の世界のお話なの」
 集まったイレギュラーズ達を前に、境界案内人のポルックスは説明を始める。いつもの本は、彼女の脇に抱えられて。
「ギル君……知っている人もいるかしらね?森の護り人の嫡男なんだけど……彼が親と喧嘩して、認めて貰うために冒険に飛び出しちゃうの」
 偶然か故意か。屋敷の近くに小さな洞窟があり、そこへ向かっていったとの事。
「よりのもよって、城塞都市の跡継ぎとか猿人の次期族長とかオーク族の姫とか連れて、ね」
 何かあれば大問題に発展しかねない面々である。ギルはそんな事つゆ知らずだが。
 つまり、彼らを連れ戻せばいいのか?と一人のイレギュラーズが問う。
「んー……そうしても、また繰り返しかねないのよね。だから、皆は彼らに協力して、うまく冒険が成功になるようにしてあげて」
 助言に徹するもよし、見かねて先導するもよし。方法は任せるわ、とポルックスは締めくくる。

NMコメント

皆さんはありましたか?反抗期。私は絶賛ナウです以下略です。
 狐の嫁入り第四話です。皆さんの異聞録での活躍があり、仲間が増えております。
 彼ら彼女らの小さな、初めての冒険を成功に導いてあげてください。
 以下NPCと特殊ルール詳細。
■ギル・フォレスト
 歳は13歳程。クラスは主人公
 魔力撃、レジストパージ、剣魔双撃、毒耐性、炎耐性を持っています。また過去のお話を元に狐火の華(遠距離範囲攻撃。【業炎】【猛毒】)を取得しています。
 二刀流に憧れ特訓中。しかしまだまだの模様。
■カイ・ルークス
 歳は13歳程。クラスはホーリーメイガス
 魔砲、メガ・ヒール、ブレイクフィアー、毒耐性、炎耐性を持っています。ギル同様に狐火の華も行使できます。
 杖を装備していますが、物理攻撃の方が強いです。
■ギルダスJr
 歳は15歳程。クラスは覇界闘士
 烈火業炎撃、煉気破戒掌、多重影、メガフィジカル、冷静沈着を持っています。
 素手で戦いますが、力は十分に高いです。
■ティティス
 歳は14歳程。クラスはファントムシーフ
 大毒霧、スニーク&ヘル、多重影、器用、解錠、罠解除、変化を持っています。
 短剣とクロスボウで戦い、通常攻撃には【毒】が付与されています。

■特殊ルール:初めての冒険
 子供達全員が緊張している為、ギル・カイの両名はFB+50。ティティスはFB+80。ギルダスJrはFB+20された状態で開始します。
 イレギュラーズ達のアドバイス、活躍。また彼らに何らかの活躍をさせると全員のFB値が徐々に減っていき、最終的には+0にまで落ち着きます。

■冒険の舞台:森の小さな洞窟
 いつからか、誰かがなにかの目的で作った小さな洞窟。中には何故か罠が仕掛けられていたり、放置されている宝箱があったり、弱いですが魔物が住んでいたりします。
 最奥にいる魔物だけは結構強いです。四足歩行の獅子のような魔物で、【致死毒】【獄炎】効果のあるブレスを使い分けたり、強靭な爪で襲いかかってきます。

 子供達が冒険に成功した、と思えたなら。そこで終了します。
 以上、長くなりましたが。子供達の最初の冒険、皆様の手で良きものとしてあげてくださいませ。

  • 《狐の嫁入り 第四幕》少年少女の初めての冒険完了
  • NM名以下略
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2020年04月08日 22時05分
  • 参加人数4/4人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

セリア=ファンベル(p3p004040)
初日吊り候補
回言 世界(p3p007315)
狂言回し
桐神 きり(p3p007718)
ベネディクト=レベンディス=マナガルム(p3p008160)
戦輝刃

リプレイ

■小さな冒険の始まり
「おやー?おやおや、どうかなさいましたかー?」
 洞窟の前で尻込みし、言い争いを始めている集団を見つけ。さも偶然通りかかったかのように桐神 きり(p3p007718)は声をかける。
「なんだよお前?なんだって良いだろ」
「駄目よギル。……失礼しました。ちょっとありまして、この洞窟を冒険しようってなったのですが……」
 偉そうに振る舞う狐人の少年、ギルを嗜める狐人の少女。言動からして彼女が従兄妹のカイなのだろうと一行は理解する。真実をぼやかしながらもきちんと説明はする辺り、教育が行き届いているとは誰の感想だっただろうか。
「やっぱりやめよーよぉ……」
 おどおどした美少女。変化能力を使っている為そうは見えないが、彼女がオークのティティスだ。臆病な性格が為に、引き返す事を提案している。
「ご覧の有様だ……」
 腕組みをして落ち着いた様子を見せる、体格の良い猿人。彼がギルダスの息子、通常ジュニア。
 この一瞬のやり取りだけで、情報通りだと悟った一行は。見た目の年齢が一番近いきりを先頭に話を進める。
「なるほどー。それじゃ、私達と一緒に行きません?こちらは大人もいますけど……」
「ったく、ガキの子守を俺たちにしろってか?勘弁してほしいぜまったく」
「まぁ、子守は慣れてるよ。嫌いじゃない」
 きりが後ろの仲間達を振り返る。嫌そうな表情を浮かべる『凡才』回言 世界(p3p007315)と、どちらでも良いといった感じの『初日吊り候補』セリア=ファンベル(p3p004040)だ。
 二人共本音は助けるつもりではあるが、大人である自分達が同行を申し出ても拒否されるだけだろうと、あえての演技である。そのはずである。
 そしてもう一人。
「成程、子供達だけでの初めての冒険か……俺も昔に共に親友と冒険をした事があったよ、今も忘れられない大事な思い出だ」
 懐かしげに過去を振り返る『特異運命座標』ベネディクト=レベンディス=マナガルム(p3p008160)がそう漏らす。その言葉を聞き逃さず、ギルが叫ぶ。
「ほら、この兄ちゃんもこう言ってるんだ!絶対いい思い出にもなるし、親父達も見返せるからいこうぜ!」
「じゃあせめて、この人達にも同行してもらいましょう?冒険慣れしてそうだし……」
「……いざという時だけでいい。助けを頼めるだろうか?」
 ちらちらとイレギュラーズ達を見ながら提案するカイと、真っ直ぐに手助けを求めるジュニア。向こう見ずなギルを抑える良い友だとベネディクトは評価する。
「俺は喜んで。皆はどうだい?」
「……ほっといてひどい目にあっても寝覚めが悪いしな」
「私は構わないわ」
「決まりですね。短い間ですが、よろしくお願いいたします」
 笑顔が眩しいベネディクトに押されるような格好の世界。あくまでもクールを装うセリアと、人の良い笑顔を見せるきり。
 一行の同行に安堵したのか、ティティスが大きく息を吐いて。ありったけの勇気を振り絞り、震える身体を無理に前に出しつつ。
「あ、ありがとうございます。じゃ、じゃあ……私が、前、見る、ね」
「……おいおい大丈夫かよ」
 やっぱり不安だ、と心の中で呟く世界であった。

■少年少女の奮闘と成長
「きゃーっ! きゃーっ!?」
「ティティスうっさい! ……くそっ、魔力練り損ねた!」
「ギルも落ち着きなさい! いたっ!?」
「……」
 洞窟に入って間もなく。姿を見せたのはコウモリ型の魔物が3匹。数の上で勝っている上に見た目そんなに強くなさそうなのだが……少年達には大変な強敵であった。
 隊列はすぐにバラバラ。臆病なティティスは攻撃もできず逃げ惑うばかりで、彼女に苛立つギルはまともに魔力を行使できず。よそ見した隙を狙われヒーラーのはずのカイが攻撃に晒されている。
 唯一まともに動けているのは、ジュニアぐらいであった。これは放っておいたら大変な事になっていた、と改めて一行は感じる。
「ほら、落ち着いて。ギルは皆のリーダーなんだろう?怒る事は後でもできる、まずは皆を守るんだ」
「わ、わかってるやい!」
 生まれ持ってのリーダーシップ、カリスマを持つベネディクトがギルを諌め。その言葉を聞いたギルがジュニアに肩を並べるように前に出る。剣を構え直し、大きく息を吐いて集中する。
「ビビってるだけじゃ敵は倒せねぇぞ!さっきの勇気を思い出せ!!」
「……うぅ……わ、わかり、ました」
 号令混じりの世界の怒号に、逃げたらもっとひどい目に遭うと感じたティティスはクロスボウを手に魔物に向き直す。まだ震えは止まらないが、狙いをつけて矢を放つ事はできるようになった。
「ほら、貴女も。少しは余裕を持つ。無理にでも笑いなさい。そのまま15秒、キープしたら自分のどこに余計な力があるか、いらない心配と必要な心配がどれか、わかるはずよ」
「は、はい!……に、にひひ……」
 セリアの助言に素直に、引きつり笑いを浮かべるカイ。すると状況が読めた。必要なのは攻撃を受けていないギルの心配じゃない、一心に戦っていたジュニアの方だ。すぐさま彼の治療を行う。
「ほら、ジュニア君も黙ってるだけじゃわからないでしょう?大事な事は喋る喋る」
「……わかった。……支援、感謝」
 カイに続けてジュニアを癒やしつつ、沈黙だけでは意思疎通はできないよ、ときりが伝える。
 一行の助言、手助けもあり。なんとか魔物を退けた一行は。続けて宝箱を見つけ。
「お、やりっ! 早速もーら……」
「ギル!」
 相変わらず先走るギルをまたもカイが嗜める。これは必要な事、と一度セリアを見て。セリアはうんうんと頷きを返す。
「私達にはティティスがいるんだから。罠を先に確認して貰わなきゃ」
「そうだぞ。……ティティス、頼む」
「え、えっと……」
 未だ自身を持てないティティスは、イレギュラーズ達を見つめるが。残念か幸運か。彼ら彼女らに盗賊技能を持つ者はいない。皆一様に首を振るだけだ。
 覚悟を決めたティティスは宝箱にそっと近寄り。まずは叩き、揺すって。周囲を見渡す。
「……これ、宝箱がスイッチになって発動するトラップ。蓋を開けたら、ほら……」
 と彼女が指差す高い天井を全員が見上げると、あろうことか槍がぶら下がっていた。開けたところを串刺しにするという凶悪な罠だったのだ。
「ティティスさん凄いじゃないですか!」
「おう、そうだな。ほら、これご褒美だ」
 きりがティティスの手を握って褒めちぎり、世界もようやく笑みを見せてポケットに忍ばせたお菓子を分け与える。ティティスも緊張がほぐれたのか照れくさそうに笑っていた。
「どうだいギル君? こうやって皆で助け合う。そしてギル君は皆を纏める。これが仲間で、リーダーだろう?」
「……ああ、悪かったよ。俺が、先走ってたら、死んでたかもしれない」
 ベネディクトに諭され。渋々といった表情はしているが、ギルもようやく立場を理解し始めた。

■冒険の結果は
「ティティス、援護を頼む!」
「うんっ!!」
 いつしか一行は最奥に到達し、そこに住まう四足の魔物と戦っていた。流石に子供達だけではと思い、最初からイレギュラーズも総出である。
 ここまでの旅路ですっかり子供達は緊張が解れ、本来の力と連携を思い出している。ギルが魔物の前に立つと同時に合図し、ティティスが魔物の目目掛け矢を放つ。
 それを魔物が翻すと、着地地点にジュニアが立ちはだかり力任せにぶん殴る。反撃に毒混じりのブレスが吐かれ周囲を巻き込む。
「これは不味いです!カイさん、世界さん、協力を!」
「はい!」
「おう!」
 毒に耐性のあるギル、カイ、世界はともかく。他の面々は強力な毒に蝕まれていく……が、きりがすぐさま前衛に混じり立つ事で素早く立て直し、離れたところにいたセリアはカイが治癒。大きなダメージを負ったジュニアには世界が治療と分担し。
「よくもやってくれたな……こちらの番だ!」
 力強い踏込から、二槍による突きを放つベネディクトと。
「ギル、決めなさい!」
 何発もの精神の弾丸を放ちながらギルの攻撃タイミングを作り出すセリア。
 そして……。
「これで、終わりだぁぁっ!!」
 力強き刃と、厳かな魔力による同時攻撃をギルが放ち。一度は立ち上がる魔物だが、ドウ……と倒れ伏す。

「そういえば、将来はまたこのメンバーで冒険などに出たいと思って居るのか?」
 結局宝物なんてものはなく、何も得る物がなく入り口まで戻ってきた一行。いや……そうではないだろう。
「ああ、そうだな。俺達は跡継ぎだから立場があるんだろうけど……それもいいな!」
 ベネディクトの問に、満面の笑みで応えるギル。カイも、ティティスも、ジュニアも。満更ではないようだ。皆笑っている。
「いいですねー。その時は私も是非一緒に、なーんて!」
 きりも釣られて笑い。誘って下さいよ? と念を押す。
「……あー、なんだ。きつく当たったが……よくやった。」
 どこか照れくさそうにそっぽを向きながらも、世界が子供達を不器用に褒める。
「ほら、気を緩めない皆。きちんと拠点に帰るまでが冒険よ」
「「「「あ」」」」
 小さなとはいえ冒険を終え、高揚する一行に現実を見せるセリア。そして子供達が先程までの笑顔とは打って変わって青ざめる。
「……やっべ。もう夕方じゃん。親父達怒ってるぞ……!」

「親、か……俺にとっては良い思い出も、苦い思い出もある物だが……彼らには俺の様に間違っては欲しくない物だ」
 わーっと走り出す子供達の背中を見つめ、ベネディクトはそう願う。
「そうですね。願わくば、平和な世を謳歌して欲しいものですが」
「一族の長ってんなら、難しい話かもしれないけどな」
 きりも、世界も。暗くなり始めた空を見つめ呟く。
「大丈夫よ。世の中、良いことがたくさんあるんだから」
 今回みたいな冒険とかね。
 

成否

成功

状態異常

なし

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