PandoraPartyProject

シナリオ詳細

大銀河ミュージックフェスト!

完了

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●大銀河の祭典

「せ、責任者が行方不明!? 事務所ももぬけの殻!?」

 祭典の実行委員長であるポポロトはスタッフからの報告に唖然となり、音響機材を取り落しそうになったのを慌てて抱え直した。
 浮遊スパゲッティ星人である彼のチャームポイントのミートボールから、じわりじわりと脂汗のような肉汁のような汁が漏れ出てくる。

 ──大銀河ミュージックフェスト。
 大銀河の親交と平和を象徴する音楽の祭典で、あらゆる惑星から参加者が集い、交遊を深め互いの文化を認め合うことを目的としている。

「は、はい。アーティストの皆さんから許可証が送られてないから会場入りができないっていう問い合わせが続々と……。公募したボランティアスタッフからも同じ問い合わせが。西のブースが現状、スカスカの状態です……」
「あちらの設営と管理はすべて任せていたのに……。な、なんでこんな直前までわからなかったんだ?」
「じ、実は…………」

 黄色いヌードルの触手を組んで、同郷のパスタ星人であるスタッフの報告に耳を傾ける。
 キョロリとした愛くるしい真ん丸の目玉が徐々に険しくなっていく。

「そんな事が……ううむ」
「ど、どうしましょうポポロトさん」

 数年に一度のこの祭典は、交易の要となっている都市が持ち回りで開催しているもので、参加者はありとあらゆる惑星からこの宇宙都市へやってくる。
 入場チケットや関連グッズによる莫大な経済効果もそうだが、歴史あるこの祭典で失態を晒せば、銀河中の笑いものだ。
 第一、この日を待ち望んでいたアーティストや一般参加者に申し訳が立たない。

「ぐう……どうしようもないことで悩んでいても仕方ない。当日までに来場が間に合うかアーティスト達へ連絡を! ボランティアスタッフもコスモネットで呼びかけて協力を仰ごう」
「は、はい!」

 慌ただしく部屋から出ていくスタッフの背中を見送り、溜め息を吐きながらポポロトは巨大なガラス窓の外へ視線をやる。
 偽装鏡面で青空が写し出されたドームの下、祭典のメイン会場では様々な惑星から応援に来ているスタッフ達が、ブースの設営や搬入のために忙しく動き回っていた。
 街頭ビジョンではアンドロイドのキャスターが祭典の見所となるイベントや当日限定グルメの紹介をしている。
 大通りには色鮮やかなバルーンが大量に立ち昇り、ホログラフィーで写し出された人気アイドルが可愛らしくポーズを決め、都市と会場を繋ぐ乗り合いシャトルが発着場の確認に訪れている。
 今頃、入国ゲートは数日後の開催を心待ちにしている参加者達でごった返しているだろう。
 ポポロトは深呼吸をしてしばし沈黙してから、覚悟を決めたようにカッと目を見開く。

「今できる全力で、やるしかない」


●求む、協力者!

 「やあ、イレギュラーズのみんな。調子はどうかな?」

 『ホライゾンシーカー』カストル・ジェミニは、柔和な笑みを浮かべて境界図書館へ訪れていた面々へ声をかける。
 雑談を交えてからしばらくして、カストルは「ああ、それから」と、元々そのつもりであったかのように一冊の本を広げて見せる。
 無機質な金属製の本には、祭典開催の直前でトラブルに見舞われ奔走する宇宙人たちの物語が描かれていた。

 「と、まあ今説明した通りなんだ。祭典を盛り上げるアーティストもスタッフも足りないこの窮地。可能性そのものである君達なら、ピンチをチャンスに変えられる。そうだよね?」

NMコメント

 皆様、はじめまして。雪花石膏と申します。
 ノベルマスターとしても、PBWでのお仕事としても、初めてのシナリオとなっております。
 ぜひ、楽しんでいって頂ければ幸いです。

 ※※ このラリーシナリオは一章で完結します ※※

●依頼内容
 大銀河ミュージックフェストを盛り上げる。

●世界観
 あらゆる惑星の住人が入り交じるSF世界『コスモポリス』が舞台。
 ドームに覆われた巨大な宇宙都市で、交易の拠点ともなっている。
 人間型・機械型・動物型などの多種多様な種族がいる為、風変わりな見た目のPCでも自然と受け入れられる。 

 広大な会場には様々なブースが出展されており、
 『屍者の惑星の住人によるゾンビアイドルショー』
 『原始の惑星の住人による骨と石のダンス』など、テーマも個性的かつ自由。
 ブーススペースも、数千人が入れる野外ステージから、弾き語りや大道芸ができそうな広場などがある。

●方法
・ソロorユニットを結成してライブを行う
・DJになって巧みな技術で観客を魅了する
・アクロバティックなダンスショーで会場を沸き立たせる
・楽器演奏をして故郷の音楽に親しんでもらう
・特技の大道芸で道行く人を楽しませる
・移動屋台を出店して参加者のお腹を満たしてあげる
・音響や照明、会場整理などの裏方を支援する   etc...

●NPC
・実行委員長『ポポロト』
 空飛ぶスパゲッティの宇宙人。頭にくっついたミートボールは結構美味しい。
 リプレイに登場する予定はありませんが、ショーの演出や衣装の準備など、用意するのが困難なものは大体彼が用意・融通してくれます。
 大体の演出はSF的な技術でどうにかなります。

●その他
 プレイングのどこかに『ア可』の二文字を記載して頂けると、アレンジ可能・歓迎と解釈して出来る限りアレンジを加えます。

●サンプルプレイング
・サンプルA
 ○○(PCID)とアイドルグループを組んでライブをする

 駆け出しアイドルのノノルン参上!
 ボクの夢は『歌でみんなを幸せにする』こと!
 歌がボクを救ってくれた
 悲しみにも喜びにも寄り添ってくれた
 だから、今度はボクが誰かを救う歌を歌いたいんだ!
 ユニット名は“シャイニングスター”
 さあ、一緒に銀河を駆け巡ろう!

・サンプルB
 音楽の祭典かあ。俺はそっちの才能はねえし
 そうだな、こんだけ人がいりゃー迷子になったりいざこざがあったり
 なんかしら困ってるやつがいるかもしれねえ
 スタッフの腕章つけて、会場を巡回して見回りにあたるかな

・サンプルC
 おやおや、賑やかなお祭りだね
 どれ、小生もひとつ、詩を披露しようか
 故郷に伝わる英雄譚さ
 ちょっと足を止めて、耳を傾けてくれないかい?

  • 大銀河ミュージックフェスト!完了
  • NM名雪花石膏
  • 種別ラリー(LN)
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2020年03月31日 22時10分
  • 章数1章
  • 総採用数0人
  • 参加費50RC

第1章

第1章 第1節

 大銀河の祭典に泥を塗った原因は、各惑星で指名手配されている国際詐欺集団の手に寄るものだった。

 この詐欺集団は稀有な能力を持ちながらも、人格に問題があったが故に社会に打ち解けることができなかった者、過酷な環境で育ったために歪んだ思想を持ってしまった者達で構成されていた。
 愉快犯であり、資金を巻き上げるだけでなく、その類まれな手腕と技術を活かして被害者達を混沌と絶望に叩き落とすことを好む。
 無数に所持しているという虚像の会社を使い、開催の直前まで平然と進捗報告を上げていた為に、発覚が遅れたという。
 彼らが準備を担当していたブースも人の立ち入りを禁止しつつ、ホログラフィーで遠目の景観を誤魔化していたという念の入れようだった。

 ――開催当日。
 善意でボランティアに応じてくれた一般市民のお陰で、最低限の形には持っていけた。
 問題とされた西ブースは出演者不足を埋めることができなかったため、混雑緩和の緩衝地帯として使用されることになった。

 これまでとは半分ほどの規模になった銀河の祭典は瞬く間に銀河中のニュースとなり、コスモネットでは原因の追求と責任の所在を求める声が噴出。
 管理能力を問われた実行委員長のポポロトは辞任を表明。
 開催費用の四分の一を詐欺集団に騙し取られ、かつ見込んだ収益を得られず、祭典は大損害を被った。
 かの悪名高い集団に目をつけられた事から、次開催を担いたいという企業も組織も現れなかった。


 ――かくして、大銀河ミュージックフェストは、多くの人々に愛された長い歴史に幕を下ろすこととなる。

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