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シナリオ詳細

伝承の竜姫を鎮めろ!

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

■それは、本来ならば。只の長閑な恋物語
 昔々。とある山の、奥の奥。そこに建てられた寺へ修行に赴かんと。美しい顔立ちをした旅の僧が一人おったそうな。
 彼は道すがらの村で宿を借りようと、ある家に立ち寄った。そこの主人は快く彼を迎え入れ、食事の用意も整えた。
 かたじけない、と有り難く頂く旅の僧。それを隙間から覗くは主人の一人娘。
 あろうことかこの娘。思い込みが激しく、彼に一目惚れ。彼と結ばれる為に生まれてきたのだと、彼の寝込みを襲おうと。しかしそこは僧、一線を越える前に目を覚まし彼女を宥め、修行の帰りにまた会おうと約束し。その晩は事なきを得る。
 そして僧はあくる朝。旅を続ける。

■しかしそれは、恐ろしき恋物語
 ただ、彼女は。ずっと彼と一緒にいたかった。彼の横にいたかった。
 だから、追いかけた。女一人で、山道を歩き。寺にたどり着き、彼を見つけて一緒になろうと。
 ところが彼は、見まごうことなき彼は。人違いだ、そなたなど知らぬと突き放す。
 それに絶望した彼女は一度は姿を消す。それに安堵した僧は、修行を終え故郷に帰ろうと山を下る。
 そこに現るは一匹の大蛇。化け物だと僧は逃げる、逃げる。どこまでも逃げても追いかけてくる大蛇。
 その大蛇こそが、娘が変化した姿だと告げられ。恐怖のあまりに。そして疲労のあまりに、ついには動けなくなった僧。
 大蛇は彼に、火を吹きかけ焼き殺し。自らは川に沈み息を引き取ったという。

■そして今、その物語はなぞられる
「……という恐ろしくも悲しいお話がある世界なんだけど。今回、旅の僧侶さんがそこの道を通りかかるんだよ。そうしたら……」
 教会案内人のポルックスは語る。時代が進み、少なくなれど僧はいる。そして今回の被害者になる僧は、黄泉がえりし大蛇に、一目惚れした彼だと勘違いされ殺されてしまう、と。
「最初はその大蛇は娘の姿を取り戻し、まるで正気があるように振る舞うけども……その僧が拒む素振りを見せれば激怒して本性を表すだろうね」
 だから皆は、偶然同時に通りかかった旅人を装って近寄り。彼と共闘する形で彼を守って欲しい、と付け加え。
「そして厄介な事なんだけど……彼を援護すると、怒りの矛先が皆に向かうみたいなんだ」
 物語の『僧』みたいに、焼かれないように気をつけてね。と締めくくり。イレギュラーズ達を送り出す

NMコメント

 伝承シリーズ……シリーズ?第二弾、以下略です。
 どっかで見た物語だなって思っても、それはきっと気の所為です。
 依頼の目的は竜の娘の撃破です。普段はか弱い(?)彼女ですが、一度怒らせると……。

 以下味方NPCと倒すべき敵詳細
■旅の僧(味方NPC)
 モンク相当のクラス。実は結構強いです。後美形。
 全てのステータスがバランスの良いトータルファイター。回復スキルも使えます。うまく誘えばイレギュラーズの援護もしてくれます。
 なお彼の生死は問いません。

■竜の娘×1
 神攻、命中、EXFが高め。なおFBも少し高い。
 普段は人の娘の姿をして戦う。が、条件を満たすと大蛇の姿に変身するので注意。
特殊スキル(人の姿)
A・炎の扇:前方扇状攻撃。【業炎】【獄炎】【追撃30】
P・射程延長:通常攻撃がレンジ3。【万能】を持つ
P・炎の恋心:通常攻撃が【業炎】付与を持つ。常に旅の僧を攻撃対象にする。
P・竜の娘:【火炎無効】【物理属性攻撃を軽減】
P・狂った恋心:竜の娘に【怒り】を付与する。または旅の僧をイレギュラーズが【回復】【付与】スキルで援護すると、下記の大蛇の姿に変身する。戦闘が終わるまで人の姿には戻らない

特殊スキル(大蛇の姿)
A・竜の息吹:前方扇状攻撃。【獄炎】【追撃40】
A・竜の怒り:自分周囲に高威力攻撃。【弱点】【追撃30】反動ダメージ有り
P・射程延長:通常攻撃がレンジ4。【万能】属性
P・竜の鱗:【火炎無効】【凍結無効】【崩し無効】【電撃無効】
P・狂イシ恋心:通常攻撃に【獄炎】付与。神攻極大、EXA微増。デメリットとして命中低下、FB増加。攻撃対象がランダムに変化する。

 以上となります。
 旅の僧を犠牲にして安全に戦うか。それとも危険を承知で僧を救うか……それは皆様に委ねます。
 それでは、よろしくお願いいたします

  • 伝承の竜姫を鎮めろ!完了
  • NM名以下略
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2020年03月29日 22時05分
  • 参加人数4/4人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

藤野 蛍(p3p003861)
比翼連理・護
桐神 きり(p3p007718)
羽住・利一(p3p007934)
特異運命座標
ベネディクト=レベンディス=マナガルム(p3p008160)
戦輝刃

リプレイ

■それは悲劇の出会い。もしくは……
「あ、いた。彼、かな?」
 山道に転移したイレギュラーズ。その少し前を歩く坊主頭が目に入り、さり気なく彼の後をついていく。勿論向こうもイレギュラーズに気づいたようで、人の良さそうな笑顔を浮かべ、頭を下げる。
「これはどうも。旅のお方かな?」
「ええ、そうです。そちらも?」
 礼儀作法を身に着けている、『いつもいっしょ』藤野 蛍(p3p003861) がほんの少しの嘘を口にしながらも、話を返す。
(たしか元の世界では安珍・清姫伝説っていったっけ。深すぎる狂愛って、どの世界でも悲しい結末を迎えるのかしら……)
 この先起きる事を知っている為に、内心で悲劇に想いを馳せながら。それでも表面では笑顔を崩さず。
「そうですな。この先にある寺で修行でも、と」
「ほう、修行ですか。今でもお強そうに見えますが……」
 と、『特異運命座標』羽住・利一(p3p007934)が興味を示したように見せつつ話をつなぐ。
 そうして一行があるき続ける事幾分か。目前に一人の娘が姿を見せる。その瞳に狂気を宿して。
「まあ、まあ貴方様は!」
「うん?拙僧のことかな?」
「殺したはずなのに、まだ生きてらっしゃったのですね!これは、もう一度焼き殺して差し上げて、完全に私のモノにしなくては!」
 娘の、全く以て理解不能で、されど狂っている事だけはわかる言葉に。僧は呆気に取られ、一方イレギュラーズ達は確信をもって武装を構える。彼女こそが、倒すべきモノだと判断し。
「油断されるな、僧よ!」
 『特異運命座標』ベネディクト=レベンディス=マナガルム(p3p008160)は、少々思っていた展開とは違うと思いながらも、これは好機と見て声を上げる。最初から助ける心づもりなら、それこそ最初から共に戦う方がやりやすい、と。
「お、おう……何の事かわからぬが……あやかしの気配がする」
 錫杖を手にした僧が、冷や汗を垂らし、ベネディクトの声に応えて身体に力を込める。確かに目の前の少女の、見た目に騙されてはいけないと。
「いやー、ヤンデレってやつですか? 一目惚れって怖いですね」
 少し冗談めかして喋る桐神 きり(p3p007718)も、戦闘態勢に入り。隊列の中央辺りに移動する。娘が、竜化するのは覚悟の上。ならば、全員を癒せる位置が良い。
「あら、あらあら? 皆様は私に何か御用ですか? 私急いでいます……ので!」
 イレギュラーズ達を一瞥し、その一方で隙をついたと見た娘は、僧目掛けて炎の塊を生み出し投げつける。
 が、しかし。それは油断なく娘の動きを見つめていた蛍によって防がれ。彼女の身を一瞬焼くもすぐに振り払われる。
「ワンフォーオール、一人(ボク)は皆のために!」
 決意を胸に、そして言葉に。僧を庇うと決めた蛍は何にも崩されぬ盾となる。
「うむ、済まぬ。助かったぞ」
「まあ……まあ、まあ……」
 蛍に礼を述べる僧と、蛍自身を何度か見比べて、何事か小さく呟く娘。今なら隙だらけだと判断したベネディクトの二槍が、娘の身体を貫く!
「……むっ!?」
 しかし。娘の身体に刺さったはずの槍から伝わる手応えは、鋼に突き刺したかのように硬く。逆にベネディクトの手に痺れが残る程。
 ならばと放つ利一の弾丸も、直撃はしたもののぽろりと地面に落ち。
「……私と、この方の恋路の邪魔をするモノは……許さない……許さないぃぃイイイイ!!」
 業、と何かが燃える音。それは、娘自身の髪が、身体が炎に包まれ……やがて一匹の大蛇と変化する。
「むぅ!やはり物怪であったか!」
「そういう事ですね!気をつけてください!」
 僧に注意を促しつつ、瞳を眩き赤色に輝かせたきりは自らに強化術式を施し娘に……いや、大蛇へと手にしたナイフで斬りつけていく。

■救いの出会い
「アァァァアア!!」
 大蛇が吠えると共に息吹が全員を焼き尽くさんと包んでいく。蛍の展開する防御壁の影で彼女より英霊の鎧を授るはベネディクト。偉大なる不敗の鎧が彼を迫る業炎より守る。
 再び後ろへ戻ったきりが、歌を紡げばそれは皆を癒やす活力と代わり。再び大蛇に挑むべく駆けるベネディクトのすぐ横を、利一の放つ弾丸が追い抜いていく。
 弾丸に身を抉られた大蛇は一瞬動きを止め、二槍がその傷を上書きすべく狙いをつける蒼き瞳。
「竜の鱗か……確かに貫くに易くはないが、それで諦めてやる程…諦めが良い性格でもないのでな……!」
 大きく一歩を踏み出し、体ごとぶつける勢いで繰り出す槍は。見事に鱗の一部を剥がす。
「お見事!拙僧も負けてられんな!」
 ベネディクトの背後より飛び出した僧が、負けじと拳を大蛇に繰り出し殴りつける。鍛えられた肉体よりの一撃は、鱗すらも役立たぬようで。大蛇は恨めしそうに唸り声をあげる。
「余り無理をしないでください!これの狙いはあくまでもあなたです!」
 蛍がすぐにカバーすべく僧の隣に立つ。が、これが更に大蛇の怒りを誘う結果に繋がろうとは……。
「許サナイ……ユルサナイ!」
 大きく長い身体を震わせ、悶えさせ、至近距離にいた僧と蛍、ベネディクトへと叩きつけ暴れる大蛇!
 間一髪のところで僧は蛍の手により救われていたものの、二人の負った傷は大きく。
「僧侶さん!ベネディクトさんへの回復を!蛍さんは私が!」
「う、うむ、承知した!」
 いち早く判断を下したきりの言葉に頷く僧侶は、分担して前衛として戦い傷を深めた二人へと大きな治癒術を施していく。
「有難い。これなら槍を振るう事にただ集中出来る!」
「私も、大丈夫……まだ、戦える!」
 全身に力を込めて立ち上がる蛍は、その手から桜花の幻影を大蛇に見せつける。それは大蛇を包む結界となり、彼女の生気を、命数を削いでいく。
「私にはこれくらいしかできないが……いや!」
 幾度目かの弾丸を放つ利一は、一瞬手札の少ない自分を歯がゆく思うがすぐに頭を振り払う。
(俺の一撃は頼りないかもしれないが……次に繋げる事はできる!)
 避ける事叶わぬ大蛇は再び弾丸に身を貫かれ、鱗と精神を零して。
「君が愛したという僧はこの人物ではない!」
 愚直に、されど。其れ故に力強い一撃を繰り出すベネディクトは。言葉にできぬ想いを槍に乗せ、大蛇へと叩きつける。
(……それも、本当は承知の上、なのかもしれないが……!)
 倒すことが、必ず救いとなると信じて。

■恋の終わり
「ナゼ、ドウシテ!? ワタシノジャマヲスルノォ!!」
 戦いは続き、イレギュラーズ達も、僧も傷ついていないものはいない有様だが、大蛇はそれ以上に深い傷を負い。全身の鱗もほぼ機能していないような状態で。
 それでも、何故この恋心が理解されないのか。何故邪魔されるのかわからぬと咆哮を上げ。何度目かの炎を吐き出さんと息を吸う。
 が、しかし。彼女が吐き出したのはただの吐息。利一が諦めずに何度も放った弾丸が、今ここにきて効果を表し始めた。
「ア、アァァァア!!」
 それでも諦めない、と。頭から僧を丸かぶりしようと突撃する大蛇。そんな一人と一匹……いや、二人の間に割り込む姿が一つ。
 蛍だ。
「やり場のない怒りは、ボクにぶつけなさい!」
 大蛇の強靭な顎は、蛍の身体を噛み砕かんと食いつくも。僧とベネディクトの一撃にすぐに彼女を離す。一瞬の噛みつきであったが、それでも蛍の負った傷は。彼女の運命を少し削り取り。
 しかしてそれを代償に。蛍はまだ、倒れない。
「僧侶さん……お願い。あの子を、救ってあげて」
「無理しておいて……敵の心配ですか」
 蛍の言葉に、少しばかりの毒を混ぜつつも全力で治癒術を施すきり。これが役目だとわかっているからこそ、誰も死なせないと誓っているからこそ、口をついて出る毒。
 蛍の言葉と行動、そしてきりの隠した優しさに。僧は深く頷き。
「承知した……ベネディクト殿、と仰ったかな」
「ああ」
「後ろの彼女は利一殿、そして拙僧を守ってくれた蛍殿、きり殿。感謝致す……今こそ、僧の役目を果たそう。最後に、もう一度手を貸して下され!」
「もちろん!」
 決意を秘めた僧の言葉に、全員に力が宿る。
 利一の弾丸が、鱗無き大蛇の身を貫き。ベネディクトの槍が風穴を開け。きりのナイフが穴を広げ、蛍の桜花がその穴を塞ぐ。
「娘よ……拙僧は修行中の身故に、その想いには応えられぬ!すまない!」
 別れの一撃を。僧は、一筋の涙と共に。大蛇の……彼女の、娘の身体に打ち付けた。


「皆……重ね重ね感謝致す。皆がいなければ、拙僧は命を落としていただろう」
 力を使い果たし、人の姿に戻った娘は。最後に僧に何か呟き世を去った。その亡骸を皆で葬り、小さな墓を作り。別れの挨拶を。
「怒りも悲しみも全部出しきって……愛だけを抱いて、成仏してちょうだい……」
 蛍が、娘の墓の前で手を合わせ。彼女の冥福を祈る。悲しき恋に翻弄された彼女が、きちんと天にいけるように。
「狂った愛にイカれてしまった彼女の物語も、これで終わりですね」
 きりが暁に染まる空を見上げ、そう呟く。どこの記録にも残らないかもしれない、彼女の物語、せめて忘れないでおこう、と。
「僧よ……俺の言葉を聞き届けてくれて、感謝する」
 最初に娘の墓を作る事を提案したのはベネディクトだ。もう二度と、彼女が目覚める事がなきように、と願いを込めて。
「そういえば僧侶さん……最後に彼女はなんと?」
 ふと気になった利一が、僧侶に問いかける。
「……来世で、また、会いましょう……とな」
 悲壮な想いを胸に、されど、少しだけ、ほんの少しだけ熱い想いを抱いて僧侶は続ける。
「……拙僧も、そう願う。……次があれば、きっと。彼女を受け入れようと……死して、生まれ変わっても、これは忘れぬ誓いだ」
 すれ違い、一度は別れた二人の道。
 けれど交わした約束は千切れる事なく……叶ったのかは、天に瞬く星のみが知る。

成否

成功

状態異常

なし

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