月光戦争

オープニング

●これまでのあらすじ
　光の精霊の王、光長（こうちょう）に見守られる世界、月光（がっこう）。
　長く平和な時を享受するこの世界であったが、何者かの手によって悪しきウ族の伝説的な長である暴祖（ぼうそ）の封印が破られてしまう。
　世界の秩序を司る都市、聖都シドーは直ちに封鬼院（ふうきいん）を投入し再封印を図るが暴祖によって力を増したウ族の前に敗れ去ってしまう。
　そして、都市を守る封鬼院の敗北により聖都シドーはウ族の侵攻により陥落しつつあった……。

「光の精霊よ……どうか我々をお守りください……」
　古い礼拝堂の中で少女が跪いて祈りを捧げている。
　外からは段々と激しい音が近づいてきて、何かが燃える焦げ臭い嫌な臭いは礼拝堂の内部にまで入り込んできた。
　体験したことのない恐怖に震える少女はこのままなすすべもなく暴力に飲まれてしまうのだろうか？いいや、そうはならない。
「な、なに？この光は！？」
　祭壇に飾られた光長の像が輝きを放つとそこに現れたのは君！イレギュラーズだ！
「まさか、貴方様は光の勇者、天光聖（てんこうせい）様……？どうかこの世界をお助けください！」
　地に伏して請う少女に君は頷き、まずは聖都に入り込んだウ族を排除すべく走り出したのだ。


●スクールウォー
「というわけなんだ！」
　ものすごい勢いでホワイトボードに情報をまとめていた境界案内人はホワイトボードを叩いた。
「このままでは月光は崩壊し、暴祖とウ族の天下となってしまう……。
　君たちは速やかに天光聖となって月光に降り立ち、暴祖を再び封印してほしい！」
　きゅっきゅっ、と目とか歯とか光ってるの天光聖イメージイラストを書き足す。
「天光聖っていうのはこの世界で信じられてる勇者とか救世主とか、そういうのらしいよ。
　この世界の人たちは信心深いから多少無茶苦茶な事をしても「通りすがりの天光聖さ」とでも言っておけば、天光聖様のなさることなら善い行いなんだろうって納得してくれるはずさ。
　別に特殊な力が使えるようになるわけじゃないからそこは気を付けてね」
　天光聖のイラストにキラキラしたエフェクトを盛ってやり切った感じの表情で境界案内人は君たちを振り返り。
「君達なら月光崩壊を防げるはずだ！グッドラック！」
　そう親指を立てて送り出したのだった。

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第2章

第2章 第1節

　パラリラ・パラリラ！パラリラ・パラリラ！
　ウ族の暴祖を称える歌が大地を揺らす！
　君たちの目の前に広がるのは雲霞の如きウ族の軍勢！
　天光聖たる君達も地平線の彼方まで黒く染める圧倒的な数に臆してしまうかもしれない……。
　だが何の心配もいらない！
　君達には光長の加護がある！そして聖都の人々の祈りがついている！
　具体的には単体攻撃でも【識別】付きの任意の射程の範囲攻撃になると思ってもらっていい！
　君たちは一騎当千の天光聖なのだから何の不思議もない。いいね？

　それでは無双タイムだ！！！

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第2章 第2節

　パラリラ・パラリラ……地平線まで埋め尽くすウ族の大合唱を前に『繋ぐ命』フラン・ヴィラネル（p3p006816）は如雨露を高く掲げた。
　先ほど庭園のウ族達を片付けた力嘩院必勝の構えである。
「ふん、さっきのお庭のウ族は口だけのへなちょこだったね！」
　ざわ、と集まったウ族達がどよめく。
　一体この小さな少女にどうやって同胞がやられたというのだろうか、真っ白だった花壇が真っ赤に染まった惨劇を知る者はいない。
「あたしには光長の加護、そして聖都の祈り――何より楽-Shock(ガクショク：ここでは戦勝後に行われるパレードの事)を楽しみにしているみんなの為！」
　しゅばばばっとフランの構えが変わる。
　おお、腰を深く落とし、拳を地面にぴたりとつけた威容を見よ。
　これこそがフラン・ヴィラネルの真の姿。森の賢者の末裔にのみ許された歩行法！
「いっきまーす！」
　力強い足取りでフランはウ族の軍勢に突貫したのだ！

　同時刻、聖都内大聖堂。
　避難してきた住民たちは外で戦う天光聖の事を想い祈りを捧げていた。
　その中に混ざって『自然を想う心』エルシア・クレンオータ（p3p008209）の姿もあった。
（この世界に、少しでも平和が訪れるのであれば……私も共に祈り続けましょう）
　エルシアは大人しく気弱な性格であるが、決して臆病者ではない。
　ただ祈る事しかできずとも、彼女は最前線で跪いて仲間の身を守る奇跡を祈るだろう。しかし、今こうして大聖堂の中で祈りを捧げているのは一つ心当たりがあったからだ。
　騎抹死険（きまつしけん）――この世界の霊長に世界が課した試練――の先にあると言われる聖跡（せいせき）。
　その中でもウ族のような愚か者の存在を戒める聖跡、聖跡：雹の復活を感じたのだ。
（もしかしたら私の気のせいかもしれません。でも、私にできる事は祈りを捧げる事だけ）
　戦場で戦う仲間たちの事を想いながらエルシアは、ただ強く組んだ掌を握った。

「んだゴルァてめーらガンつけとんのかあたしをどこ高のもんだと思ってるんじゃい！」
　その一言だけでフランの周囲のウ族達はまとめて吹き飛んだ。
　ぽっけにおててを突っ込んで巻き舌で恫喝するなどと言う暴力に並みのウ族が耐えられるはずがない！
「フッ、面白い女だ」
　しかし、ウ族達の屍を踏み越えて真正面からフランにメンチを切る男が一人。
「暴祖様！暴祖様だ！」
　そう奴こそがウ族達の頭目！並みのウ族とは格が。
「あ゛ぁ゛ん？」
「キャッ」
　そこまで違わなかったっぽい。
　お母さんに見られたら怒られそうな表情でメンチを切るフランに生娘のような声を上げて腰を抜かした。
「暴祖様がやられた！」
「もうおしまいだー！」
　敗走するウ族達に天からトドメとばかりに大粒の雹が降り注ぐ。

　ウ族達は軍を引いた、そう皆の力により月光世界の平和は守られたのだ！
　危機を救った天光聖達は月光の新たなる伝説として末永く語りづがれるだろう！

成否

成功