PandoraPartyProject

シナリオ詳細

Spring Snow

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●春待ちの
 ブルーム・ブルームでは、いつも通りフローラの気まぐれでとある場所が生み出されることになった。
「ウイルスだとかそんなの、私たちには関係ないわよ。皆が楽しめるように務める、それが妖精王としての正しいふるまいでしょう?」
「あぁ、そうだな。だが少々センシティヴなのではないか?」
「うるさいわよグレイシア。皆が喜びそうなことって、案外わからないものじゃないの……」
 ぶぅ、と頬を膨らませたフローラ。その手には新しく生み出すつもりの浮遊島の概要が記されていた。
「どんな島を作るんだ?」
「あぁ……そうね。うんうん、そうだわ、折角だから兄様も手伝ってよ」
「あ、ああ。それは構わないのだが……」
「決まりね! 新しく作る島はね、ずっと春で暖かいところにしたくって。
 天気はそりゃ変わったりするけれど、春固定にしたいの」
 さらさら、と紙に付け加えてゆくフローラの表情は宛ら悪戯を思いついた子供のような顔。ふむ、と紙を覗きこんだグレイシアは、フローラの手から羽ペンを奪うと、そこに“Snow”と付け加えた。
「へぇ……雪を降らせても?」
「ふふ、勿論。どうせなら春に雪が楽しめる変わった島にしましょ!」
「ああ、わかった」
 こうして二人の妖精王が手を加え魔力を加え、土台を整え息をそろえて魔法をかけ完成したのは春の島。
 花粉は飛ばないように配慮されているわ、景色は綺麗だわ、何より花と雪のコラボが見られるわで人間からも人気の様子。
「どうせならフルールを呼んでみない?」
「ああ。いつも世話になっているから、こういうときくらい羽根を伸ばしてもらいたいな」
「決まりね!」
 二人の妖精王は、まるで子供のように顔を見合わせて笑うのだった。

●招待状
 こんにちは、フルールの皆。
 この間のパーティは楽しんでくれたかしら?
 いつもみんなが楽しんでくれるものだから、ついつい張り切っちゃうわ。
 ってことで、今回は新しく島を作ってみたの。
 皆で来るもよし、好きな人とデエト? に来るもよしだわ。
 その島はずぅっと春なんだけどね、お兄様の手も借りて雪が降るようにしてみたの。
 あたたかいのだけれど、雪が降るってロマンチックじゃないかしら?
 それじゃあ、お兄様とその島で待っているわね!

 フローラより。

 追伸。花粉は飛んでいないわ!
 人間ってカフンショウ? っていうものがあるのでしょう?
 そんな人も大丈夫よ、この島なら!
 いつもは楽しめない花も楽しんじゃいましょうね。
 それじゃあ、またね!

NMコメント

 どうも、染と申します。
 世間は大変なことになっていますね。どうせならライブノベルで色々なところに行ってしまいましょう。
 ということで今回のシナリオのご案内です。

●依頼内容
 島に遊びに行く

 フローラとグレイシアの作った春の島に遊びに行きましょう。

●春の島について
・花粉が飛んでいない
・春の花が咲いている
・雪が降る
・あたたかい

 などなど、春の要素がぎゅぎゅっと詰まった島のようです。
 だいぶ大きい島のようですので、お散歩に最適。
 動物や昆虫もいますし、妖精たちもいますので、普段のブルーム・ブルームとあまり変わらない景色が広がっていることでしょう。

●特殊ルール
 今回の春の島、妖精王二人が作成にかかわっていますので人々の想いに敏感です。
『今雪が降ったらなぁ』とか、『この花が咲いたらいいなぁ』という気持ちに反応して、何らかのアクションを起こしてくれるようです。
 これはPCの皆さんには内緒ですが、ぜひ活かしてみてくださいね。
●世界観
 魔法世界『ブルーム・ブルーム』。
 花と魔法で満ちた世界。魔法で文明が築かれています。
 基本的には物理攻撃よりも神秘攻撃がメインの世界です。
 また、ファンタジーな世界ですので、妖精やドラゴンなど、ありえない生物がいます。

●NPC
・フローラ(ティターニア)
 妖精女王。引き摺るほど長い若草色の髪が特徴。桜色の髪留めが宝物。
 エルフのように長い耳を持つ。成長が遅いとはいえ、いつまで経っても凹凸のない身体に悩んでいる。
 今日はお出かけの装い。この間人間のくれたお洋服を着て春の島に向かっている様子。

・グレイシア
 前の妖精王。鋭い目つきと薄氷色の髪が特徴。ガタイがいい。
 エルフのように長い耳をもつ。シスコン。眼鏡。
 他国の妖精へ外交をしに行っていた。
 今日はお出かけの装い。厚着をしてしまう性分なので、比較的薄着にするのに苦労したとかなんとか。

・カナタ
 花冠師ギルド『Flowers Flag』のギルドマスター。齢19にしてトップクラスの実力を持つ温厚な青年。
 胃薬が手放せないのが最近の悩み。今回はのんびりフロアを回っているようです。
 何かあればカナタへ。

●サンプルプレイング
 あっほらほら、あそこにちょうちょが居ますよ。
 今日はすこしおめかししてきたの。だから、一緒におでかけ、楽しみましょうね。
 あっ、あそこにはお花が咲いてます!こんな時に雪が降ったら、きれいだろうなあ。

 以上となります。どうぞよろしくお願い致します。

  • Spring Snow完了
  • NM名
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2020年03月16日 22時05分
  • 参加人数4/4人
  • 相談4日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

アウローラ=エレットローネ(p3p007207)
電子の海の精霊
紅楼夢・紫月(p3p007611)
呪刀持ちの唄歌い
ラヴ イズ ……(p3p007812)
おやすみなさい
ベネディクト=レベンディス=マナガルム(p3p008160)
戦輝刃

リプレイ

●アネモネとピクニック
 『特異運命座標』ベネディクト=レベンディス=マナガルム(p3p008160) は、この世界の長たるフローラと、その兄であるグレイシアの元へ足を運んでいた。
「初めまして、俺はベネディクト。今回は楽しそうな催しにお誘い頂いて感謝するよ」
「ベネディクトね、はじめまして。私はフローラよ。ふふ、そう言って頂けたなら何よりだわ!」
「はじめましてベネディクト。俺はグレイシア。君もこの島を気に入ってくれることを祈るよ」
「俺は馬にでも乗って、この島を散歩しようと思っているんだが大丈夫だろうか?」
「あら、馬に? 勿論よ。好きに楽しんでくれると嬉しいわ」
「ありがとう。では行ってくるな」
 二人に一礼した後はらり、とマントを翻してベネディクトは歩みを進めた。軽食を用意してから馬に跨り、春の島を駆けだした。
 そこは素晴らしい島だった。あたたかい春の空気に満ちたそこは、穏やかな雰囲気に包まれていた。馬を見た子供が興奮した様子で手を振るものだから振り返したりしながら、ベネディクトは島を見てまわった。
「素晴らしい景色だ……俺の居た世界よりも魔法に寄っている世界、なのだろうな」
 元の世界にもこのような場所はあるのだろうか、とベネディクトは思う。御伽噺や伝承としてなら残っているものもあるかもしれないだろうが──或いは。
「全く、呼び出された時はどうなるかと思ったが」
 慣れるものだな、と。小さく零した独り言は、馬の耳にしか届いていなかったようで、春の景色に混ざり溶け込み消えていってしまった。休憩のために腰を下ろしたそこは、花々で満ちた花畑。
(……そういえば、この島にはアネモネの花はあるだろうか?)
 サンドイッチを片手に周囲を見渡したベネディクト。
「あまり花には詳しくはないのだが、母が好きだったんだ。
 ……何時も何処か寂しそうにしていてね、原因は解っていたけどそれを如何にかする事は俺には出来なかった」
 心配した様子で馬が鼻を鳴らした。ベネディクトが撫でてやると、そのまま大人しくしているのだけれど。
「だから、偶に子供が入る事が禁止されてる森に入っては色んな花を摘んで帰った……母が喜んでくれると信じてね。
 その時、一番喜んでくれたのがアネモネの花だったんだ」
 ぽん。
 軽快な音を立てて、アネモネの花が咲く。瞬きしたあと、面白そうにベネディクトは笑った。きっとこれも妖精の加護だろう、と。きっと、この島に母が来れたのだとしたら物凄く喜んだだろうな、とベネディクトは考えた。立ち上がり馬の背を撫でると、咲いたアネモネを摘んで馬の毛並みにさしてやった。
「もう数年前に母は亡くなってしまったが……一度、見せてあげたかったな。
 さて、もう少しこの島を見て回ろうかな。行けるかい?」
 勿論と言いたげに馬が駆けだした。二人の居たところには、アネモネの花が数輪残っていた。


「この境界世界には初めて来るんだけどずっと春の季節って素敵だね!
 綺麗なお花とかいっぱい咲いてるしお散歩が楽しそう!」
 愛らしいツーサイドアップをルンルンと揺らすのは『電子の海の精霊』アウローラ=エレットローネ(p3p007207) 。
「いい匂いがするー! アウローラちゃんこの世界好きだなー」
 にっこりと、愛嬌のある笑みを浮かべて春の島に寝転がる。空は青く、桜は淡い恋色で、花は美しく咲いていて。鳥も子供も妖精も、楽しそうに過ごしているこの島は、アウローラにも気に入って貰えたようだ。
 何か食べようと思って持ってきたレジャーシートとピクニックバケットを広げると、二人分の足音が聞こえた。
「あら、これからお茶会かしら。良ければご一緒しても?」
「フローラ、全くお前は……すまない。君さえ良ければ、構わないだろうか」
「もっちろんだよ! 持って来たのはチョコレートのお菓子だよ!
 焼き菓子でクッキー作ってきたよー!
 他の人も必要ならいっぱい作ってきたから食べてね!」
「ほら、この子もこう言っているんだから大丈夫よ! 私はフローラ、よろしくね」
「俺はグレイシア。……む、では頂こうかな」
「うんうん、どんどん召し上がれー!」
 さくさくほろほろのクッキーは、フローラとグレイシアの心をがしっと掴んで離さない。
「これ……とても美味しいな、フローラ」
「うん、そうねお兄様! ありがとうアウローラ、とっても幸せよ!」
「へへっ、よかった! 美味しく食べてくれるとアウローラちゃんも嬉しいよ〜!」
 ツーサイドアップをひょこひょこ動かして、嬉しそうに笑うアウローラ。そんな様子につられて、妖精たちもやってきたとかなんとか。
「妖精さんたちもどんどん食べてね〜!」
「わぁい、ありがとう〜!」
 しばらくその場に妖精たちが集まり、小さなお茶会は大盛況に終わった。

●ゆきやこんこ、
「フローラにグレイシア、久しぶりやねぇ。また呼んでくれてありがとうねぇ。
 しっかり楽しませてもらうわぁ」
 『呪刀持ちの唄歌い』紅楼夢・紫月(p3p007611) は二人に声をかける。
「紫月! ふふ、また来てくれたのね。とっても嬉しいわ、ありがとう!」
「元気そうで何よりだ。どうせなら共にまわるのもいいんじゃないか」
「また呼んでもらえて光栄やわぁ。ふふ、うちは元気やったよ。
 フローラにグレイシアも元気そうで何よりやわぁ。うん、一緒にまわろうかなぁ」
 三人は同じペースで歩みだした。のんびりとした空気は、心を穏やかにしてくれる。妖精たちも紫月を歓迎し、馴染みの妖精は手を振ったりもした。
 そういえば、と思い出したように口を開いたのは紫月だ。
「ずっと春やと過ごしやすいからねぇ。雪も降る事あるんやったっけ?
 桜吹雪に雪化粧が見れるなんて神秘的やと思うわぁ」
「ふふ、でしょう? お兄様が頑張るの。私は花を咲かせる方に力を注いでいるわ」
「そう言って貰えるとありがたいな。紫月にも楽しんで貰えると嬉しい」
 フローラとグレイシアは顔を見合わせると、桜吹雪と淡い雪を舞わせた。紫月は瞬きしたのち、嬉しそうに顔を綻ばせた。
「ふふ、ありがとうねぇ。招待もしてもらったし折角やからまた歌おうかねぇ
 フローラやグレイシアは何か希望はあるかねぇ?」
「じゃあ、桜と雪で……いいよな、フローラ?」
「ええ、ええ、勿論よ!」
 すぅ、と息を吸う音。直後に澄んだ声が響き渡る。優しく温かな音色はフローラとグレイシアの心を揺らし、掴み、離さない。桜吹雪と雪のなかで歌う紫月の姿を、妖精たちもきゃっきゃと嬉しそうに見守っていた。
「……こんなかんじ、やねぇ」
「素敵よ紫月! ふふ、こんな素敵な歌なら忘れられないわ」
「ああ。また聞かせて貰えると嬉しい」
 笑みを浮かべたグレイシア。フローラは紫月の隣に並んで、さっきはここが素敵だったわ、とはしゃいだ様子で話していた。先日プレゼントした化粧品も付けているようで、どうかしら、と意見を聞いてみたり。
「……ああ、そうだ。フローラとデートもしてみたいねぇ。
 またこういった催しがあるんなら呼んで欲しいねぇ」
「あら! ふふ、デエトのお誘いなんてはじめてだわ。
 もしも次に来てくれたら、そのときにでもね!」
「!?」
 グレイシアは困惑した様子でフローラを見つめていた。そんな様子を微笑ましく思う紫月だった。


(瑞々しく咲く花々、暖かに地を照らす太陽、雪降り積もりながらも穏やかな気候……。
 ああ、飛び回る妖精たちも、みんな、みんな……。
 なんて……素敵なの……。
 この島は"本当に"、誰もが笑顔の国、なのね……)
 『おやすみなさい』ラヴ イズ ……(p3p007812) は、瞳からはらはらと涙を零して思考した。まるで私が見ていた夢のようだ、と。
 花咲く丘の上、桜の大樹の下にぽつんと有るベンチに腰掛けて。嘗ての日々に思いを馳せた。
(皆が笑顔でいられますようにと、願って両手に持った二丁の拳銃。
 お月様にしか見られないよう、人目を盗んで戦った日々。
 私が以前いた世界での……栄光なきヒロイズム。
 その生活に、その決断に、後悔はなく。
 抱いた夢に、偽りはないけれど……)
 けれども、嗚呼。ラヴは思考した。先を走り回る子供たちの笑顔がやけに眩しい。
(それは、あまりに遠い夢だったから
 混沌世界に召喚されて、一度は行き場を失くした夢だったから
 今、この異世界で、この島で……その夢が、たった一時でも、叶ったような気がして
 嬉しいような――
 張り詰めていた気が抜けたような――
 でもそれは……この世界は、胡蝶の夢で……)
 この言い難い気持ちを何と表せば良いのか。ラヴは瞳を閉じ──夢の世界へ。

「……ああ、いけない、少し眠っちゃったみたい。
 雪、積もってるわ……でも、暖かい。
 本当に不思議な世界……」
 辺りを見渡せば夕焼けに満ちていたその世界。服についた雪をはらい、靴を雪の海へと沈めて。
 さふ、さふ。足音は小さく、雪に吸われていくようだ。
(また来られるかしら、この島。
 想えば想うほどに、少しだけ、胸の奥がきゅぅっとなるけれど。
 やっぱり私は、この島が――大好きよ)
 足跡はぽつぽつと、雪の上に確かに刻まれて。その足跡の下からひょっこりと、ブルースターが顔を出した。
 貴方が望むなら、この島は何度でも。
 雪を降らし桜は舞い、そして、貴方を迎え入れるだろう。

成否

成功

状態異常

なし

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