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シナリオ詳細

<Matthiola>打ち砕け、隕石の雨

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●ただの自然現象、されど自然災害

 かつて、『星を喰う魔剣』がある世界を滅ぼした。
 荒れ果て、ただ死を待つばかりの名も無き異世界に、介入者があったのはほんの少し前。
 介入者──イレギュラーズ達の活躍により、荒野広がる異世界に緑と少しの活力を取り戻すことに成功した。
 そして何より、既に呼ぶものが居ない世界に、『Matthiola』という名前が付けられたのだった。
 
 しかし──今、この世界には暗雲が立ち込めている。
 降り注ぐ岩、雹、鉄。ありとあらゆる物体が天より降り注ぎ、世界を傷つけている。
 青々と繁茂した植物がなぎ倒され、繁殖した生物たちが逃げ惑い、大きな岩影や海に身を隠していく。
 これはさまざまな環境の要因が作り出した『自然現象』だ。しかして、そこに小さないのちが抗う術はない。
 ただ、この地獄の終わりを震えながら待つだけだ。

●打ち砕け、隕石の雨

「大変だ、皆」
 境界案内人カストルが、イレギュラーズ達の元へ駆け寄ってくる。珍しく笑みをその顔に張り付けていない。
「君たちに創造と管理を任せた世界……『Matthiola』が未曽有の危機に晒されている」
 咳ばらいを一つ、カストルは語り始める。
「メテオレイン……その世界特有の天災だ。周期で言えば、数万年に一度あるかないか……。
 とにかく、そのメテオレインがいま、世界を激しく傷つけている。どうにかしないと、せっかく育んだいのちが全部滅んでしまう」
 どうにか、って。どうすればいい、と聞くと、カストルは苦しげに顔をしかめた。どうやら簡単にはいかないらしい。
「降り注ぐ隕石や岩石の塊を、地表にぶつかるまでに地道に砕いていくしかない。うん……とても危険だ。いつ終わるかもわからない。迎撃に失敗すれば、大きなけがを負うかもしれない……」
 カストルの表情は、未だ諦観を見せてはいない。
 君達なら出来る、と。そう信じているのだ。
「放置すれば、初めからやり直しどころか、この世界はもうきっと二度とは蘇らない。この本は燃え尽きて、灰になって消えていく。
 君たちの育んだいのちも、何もかも虚空に散っていくだけ。せっかく此処まできたんだ、この世界の未来を見届けさせてほしい。お願いだよ」
 
 彼の声を背に、イレギュラーズ達は異世界への本に手を伸ばした。
 そこに敵は居ない。悪意も無い。ただ、いのちを脅かす『自然現象』があるだけと知っていても。

NMコメント

 りばくると申します。
 天地創造、生命創造の次は、災害阻止です。
 イレギュラーズたちだけが頼りです。よろしくお願いいたします。

●成功条件

 ・メテオレインの終息を見届ける

●エネミー

【メテオレイン】
 この世界特有の天災(自然現象)です。
 特有の姿はありませんが、今回は1体のボスエネミーとしてカウントします。
 降り注ぐ雹や岩石、鉄が地表にぶつかる前に破壊するとHPを減らすことができます。
 また、20ターンの経過でメテオレインは強制的に終息します。
 メタ的な話、全員が20ターンを常に全力防御や回復で耐え凌いでも構いません。その場合、異世界の環境に甚大な被害が生じる事となります。
 反応値はゼロ。必ず後手を取ります。生物ではないのでバッドステータスに耐性があります。ご注意ください。

・BS無効(パッシブ:あらゆるバッドステータスに耐性を持ちます)
・降り注ぐ氷(神特レ:威力小、【氷結】【氷漬】【スプラッシュ2】【自分以外全員】)
・降り注ぐ鉄(神特レ:威力大、【弱点】【致命】【追撃20】【自分以外全員】)
・降り注ぐ隕石(神特レ:威力大、【防無】【溜2】【自分以外全員】)

●特殊ルール

・イレギュラーズの使用する攻撃(スキル含む)は全て【超遠距離】に変更されます。
 ルール下におけるレンジ補正による命中力の低下は一切ありません。
 降り注ぐ鉄や岩を対処するためのフレーバー的要素です。空中に飛び上がって破壊してもいいですし、地上で待ち構えて、ビームや剣圧、拳なんかで破壊してる事にしても構いません。

●異世界『Matthiola』

 かつて自然溢れる美しい世界だったが、人々の戦争が切っ掛けで一度滅んだ死の世界。
 世界の環境はイレギュラーズの活躍により改善されていますが、今回の天災で危機に晒されています。
 生物はみな岩陰や海、木の上などに身を隠しています。戦場の近くに生命反応はありません。

●Danger!

 当シナリオの結果、被害状況によっては異世界『Matthiola』の環境に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 以上、皆様の参加をお待ちしております。

  • <Matthiola>打ち砕け、隕石の雨完了
  • NM名りばくる
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2020年03月29日 22時05分
  • 参加人数4/4人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

ココロ=Bliss=Solitude(p3p000323)
Lumière Stellaire
ティスル ティル(p3p006151)
銀すずめ
春宮・日向(p3p007910)
春雷の
シルヴェストル=ロラン(p3p008123)
デイウォーカー

リプレイ

●ぱらぱらと、石礫

 雨の代わりに、砂や小さな石ころがぱらりと降ってくる。
 頻度も少なく、ともすえば気にならない程度。しかしきっと、嵐の前の静けさなのだろう。

「はじめまして、Matthiola! とんでもないことになりかけてるみたいだけど……でも、まだなんとかなる!」
 翼をはためかせ、降り立ったのは『雷雀』ティスル ティル(p3p006151)。
 暗雲立ち込める空は、今にも不吉を撒き散らさんばかり。紫髪をなびかせ、少女は拳を空に突き上げた。
「皆さんのお話を聞いて、わたしも此処に来たくなった。でも、観光とはいかない感じですね」
 黒空を見上げる『蒼海守護』ココロ=Bliss=Solitude(p3p000323)が宝石の如き碧眼をゆっくりと細めた。
 救えるいのちがあるから、手を伸ばしたい。少女の慈愛のココロを、嘲笑うかのように細かな石礫が降り注ぐ。
「これはもう『瓦礫クラッシャー』な日向さんの出番っしょ!」
 ひときわ強い風を受けてバイフーマントが大きくはためく。『瓦礫クラッシャー』春宮・日向(p3p007910)はからりと笑った。
 あーしに不可能なんてないし。少女の見据える先は、黒空の一点のみ。
「世界の終焉が見たい──なんて願った事もあったね。そう、僕は世界の滅びのヒトカケラを見届けに来ただけさ」
 眼鏡の奥から深い青色の眼が覗く。『白夜月』シルヴェストル=ロラン(p3p008123)は、滅亡の足音の前でも笑みを崩さない。
 風で乱れた前髪を鬱陶しそうにかき上げ、青年はそろそろか、とつぶやいた。

「……みんな、頼りにしてます。だから、わたしのことも頼ってね」
 ココロの言葉に、皆が頷いた。
「メテオレインがなんだって話。私たちならどうにか出来るって、見せてあげようじゃん!」
 雷光と共に、腕輪が一振りの刀に変わる。
「隕石ぶっ壊すついでにココちゃんも守るよん。よゆーよゆー、今のあーしは無敵モード!」
 絶対無敵。確かに彼女が言うと、何だかそんな気さえしてくる。
「うん。『今度』は、ちゃんと協力するよ」
 ロランが言うその今度、というのは、おそらく此処にいる全員に向けられたものではないのだが。

 ──ごお、と空が泣く。滅びの音だ。

●迫り来る、巨氷と岩石

「──来たっ!!」
 ティスルがいち早く降りかかる氷と岩の襲来に気付き、いの一番に対応に動く。
 ブルーコメット。紫雷と共に残像をゆらめかせ、木々に降りかかりそうな氷を細かに打ち砕いた。
「まだまだ!」
 蒼き彗星の二撃──ツイン・ストライク。翼を広げ、ぐんと空を駆ける。
 刀を振るい、イレギュラーズの真上に落ちてきた氷を両断し、魔炎が氷を溶かし尽くす。
 溶けた氷が雨のように、少女の翼と地上を濡らす。冷たい雨に打たれながらも、少女の意志ある瞳はまっすぐ空を見据えている。

「ヒュー、ティーちん、やるう!」
 日向が黄色い声を飛ばす──と、影が落ちた。ちょうど少女の真上に岩が重力のままに堕ちる。落ちる。
 よおし、と舌なめずりをした。黙ってやられるのは、性に合わないのだ。
「っ、だ、おりゃーっ!!」
 桜色の魔力を込めた拳を、強かに岩に打ち付ける。めきめきと岩が割れ、衝撃波が砕いた岩をさらに砂粒に分解していく。
 ティスルが紫雷なら、日向はさしずめ春雷──。
 少女はふるふると桃髪を揺らしながら、頭についた砂を振り払った。せっかくセットした髪が、砂や石ころだらけじゃ可愛くない!

「成程。この暴風雨こそ、この世界の滅びのひとかけら。興味深いものを観させてもらったよ」
 喉を鳴らしてロランは笑った。『未だ』その時ではない。
 腰のベルトに下げた小袋。香草の匂いが、昂る精神を落ち着かせる。まだ、『我慢』する時なのだ。
「さあ、始めようか」
 ぼう、と手から魔力を込めた球体を生み出す。──否。一つではない。
 二つ、三つ、四つ──彼の背中には、白く瞬く無数の魔力球。
 行け。彼の命令ひとつで、魔力球は降り注ぐ岩に向かって飛んでいき──ぶち当たる。砕く。砂粒へと還していく。

「みなさん!」
 ココロが叫ぶ。休む間もなく降り注ぐ氷と岩の直撃を、三人は受け続けている。
 ココロの元に、それらは向かってこない。彼女の元へ飛んでくるものは、三人が全て打ち砕かれているからだ。
 真っ向からメテオレインに立ち向かっているティスルや日向などは、やはり怪我の具合が激しい。
 中には致命傷になるほど、深くまで石が食い込んでいる。
「届いて──!」
 わたしは我儘だから。傲慢な願いかもしれない──けど、みんなを救いたい!
 祈りの光は、今も尚戦うティスルと、日向と、ロランを包む。流れる血を止め、傷をふさぎ、再び戦う気力を与えていく。
「ありがと!」
「ココちゃん、あざまるっ!」
「助かる」
 そして、三人はみたび、空を睨み付ける。同時に、ごおと耳障りな音が鳴る。
 四人のイレギュラーズを、地表を、すべてを黒に覆った。
 誰かが息を漏らした。
 そびえるように、巨大な、巨大な石。悪意も無い。敵意も無い。
 ただ、落ちてくるだけの、隕石。

●打ち砕け、隕石の雨

「これが……メテオレイン」
 ティスルが、呟く。
 天災に挑むのなんて初めてで。もう、身体を巡る魔力も底をついて。
 降りかかる裂傷と打撲の雨は、泣きそうなほど痛くて。
 落ちてくるものに立ち向かうのは、とても怖くて。
 ──でも。
「ここを乗り切らないと、世界が壊れちゃうんでしょ」
 そんなの嫌だから。だから、まだ飛び続けるよ。強がりでも、どうにか出来るって思わなきゃ。
 せっかく出会えた世界が、石ころのせいでなくなるなんて、私が嫌だから!

「あはっ……とうとう本命ってワケ」
 日向がぶるりと身震いする。怖くない。
 ただ、試したい。世界を滅ぼそうとするモノに、全てをぶつけたい。
「隕石に潰されるのもおいしいもんだよん」
 めらめらと闘志が燃える。全力を出せるのなら、ヒトじゃなくて、災害の前だって笑って死ねる。
 狙うは一攫千金。女は度胸と度胸。
 そんな持論を胸に、日向は桜色の魔力を拳に込めて。

「そうか。それが全てか。ならもう、満足だ──」
 ロランは呟いて、ハーブの小袋を放り捨てた。
 今までは、途中で終わらないように『我慢』してきたが──。
 次は、世界滅亡というエックス・デーから逃れた先が見たい。
「天災を生き延びた世界がどういう風に再生するか……それもまた、興味深いテーマの一つだからね」
 頬に付着した、誰かの血を舐めた。
 眼鏡の奥の碧眼が深紅に変貌し、牙が伸び、髪が銀色に染まっていく。

「なんて、冷たいの」
 少女は隕石に臨む。
 天災に心も感情も無い。それでも思わずにはいられない。
 誰にも望まれていないもの。誰にも受け入れてもらえないもの。
 去来する感情を、ヒトは何と呼んだだろう。
「わたしが──救うから」
 黒い影が落ちてなお、ブレスレットがきらめいた気がした。

 ──そして、やはり最初に飛んだのはティスルだった。
 光翼乱舞。生み出された光の剣が、隕石をそぎ落としていく。
「硬い……!」
 強大過ぎて砕けない。
 それでも諦めない。絶対に諦めない!!
 何度も刀を打ち付ける。確かに削げる。だがこのスピードでは間に合わない。
 地表に引き寄せられる隕石は、止まらない。

「うはははは! 飛ぶ飛ぶ、飛び過ぎじゃん!!」
 日向が拳圧を隕石に向かって飛ばす。
 魔力の干渉が薄いこの世界は、纏う魔力は霧散せずに対象に届いていく。
 飛翔する魔力が、幾度も幾度も隕石にぶち当たる。
 それでも砕くには至らない。

「二人とも! 破片が当たらないよう、距離を取って!」
 ロランが溢れる魔力を全身から放出。右手から矢のように魔力を放った。
 行け、行け! コントロールした魔力は隕石にぶつかってぱしゃりとはじけた。
 表面の岩をばらりと削っただけで、手ごたえは薄い。ロランはぎしりと歯を噛み締めた。

 全員に疲労の色が見える。
 ココロも、ふらつく身体を無理やり奮い立たせ、立ち向かう三人を献身的に支えていく。
 じり貧である。このままでは、隕石の直撃は免れない。
 四人どころか、この世界そのものも危険だ。
「どうしたら。どうすれば──!」
 瞬間。
 超分析。彼女の持つ、些細な変化を見つける力が、発揮した。
「あれは──」
 ココロが目を凝らす。
 僅か。ほんの僅か。三人の攻撃を受けて、隕石にヒビが入っている。
「みなさん!! 今から、私の言う場所を狙ってください──っ!!」

 三人が、顔を見合わせた。
「……魔力、どれだけ残ってる?」
「あーし、これがラスト一発ってトコかな」
「チャンスは一度きり、という訳だね」
 頷いた。
 言葉は無用だ。

「一斉に行くよ、準備はいい!?」
 ティスルが紫雷を纏う。
 ──覚悟、完了。
「オッケー! 最強無敵絶対日向さん、ぶっ飛んでいくよん!」
 日向が最後の魔力をその身に宿す。
 桜色のオーラを纏って、笑って見せた。
「最終奥義だとか、最強魔法だとか。陳腐な言葉だけど……一種の浪漫だね。豪快に行こう」
 ロランが口元を吊り上げながら、ありったけの魔力をその右手に一点集中させた。
「あと、十、九、八──」
 ココロがふう──、と長い息を吐くと、カウントダウンを始める。
 全員の攻撃が、一番効率よく、一番届くタイミングを見計らって。
 まだだ。まだ。

「──今ですっ!!」

「はあああああっ!!」
「おおりゃああっ!!」
「おおおおおおっ!!」

 紫雷が。桜拳が。魔砲が。一点を叩いた。
 全員の注がれた力は未来へと突き進む光となる。
 びしりとヒビが大きくなる。
 ぐんぐんと割れる。
 ばらりばらりと砕ける。
 砂粒へと変わる。
 そのまま隕石を超え、空まで光は届いた。
 暗雲を抜け、どこまでも。
 
 黒い雲が消しとび、きれいな青空が四人の視界に広がる。
 柔らかい日差しが、世界と、四人のイレギュラーズを照らした。

成否

成功

状態異常

なし

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