PandoraPartyProject

シナリオ詳細

雛人形の断髪式

完了

参加者 : 3 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

■むかしむかし、ここではないどこかの世界で
「あら?この雛人形……毛が伸びてない?」
「えー?まっさかー」

「去年より伸びてるよ!?」
「うっそ……気持ち悪っ!こんなの捨てようよ!」

 そうして捨てられたいくつもの雛人形。
 ただの人形だったはずのそれらは、いつしか自我を持ち、捨てた人間達に恨みを持ち。その怨念を一つに束ね、どんどんどんどん力を増していき……。

「ねぇ、知ってる?呪いの雛人形のお話」
「何それ?」
「ずっと髪が伸び続ける雛人形があって。それを見た人は髪の毛を切ってあげないと逃げられないんだって」
「えー……でも髪の毛切るだけなら楽勝じゃん?」
「ところがね、邪魔をする男雛が一緒にいるんだって。変な切り方をしても、逃げようとしても、首を斬られちゃうって話」
「うわ……絶対見たくないねそれ」

「ねぇ?」




「私の髪を…綺麗にしてくれる…?」

NMコメント

 何故か唐突に思い浮かんだシナリオを形にしてみるNMです。以下略です。
 今回は普通の純戦闘シナリオとなります。男雛と女雛のペアを退治する、もしくは女雛が気にいる髪型にしてあげる(難易度高)と勝利となります。
 以下敵詳細。

■呪いの女雛×1
 攻撃力、防技、回避、反応、機動力は皆無。しかしHP、抵抗力は高くFB値は0である。
 所有スキル
 伸び続ける髪:再生。但し断髪ルートを選ぶと一時的に止まる。
 纏わりつく髪:自分中心の範囲領域に常に【足止め】【窒息】のBS攻撃。これ自体に攻撃力はない。【識別】持ち
 怨嗟の声:自分中心の範囲領域に常に【呪い】のBS攻撃。これ自体に攻撃力はない。【識別】持ち

■呪いの男雛×1
 攻撃力、反応、機動力が高い。他の能力値は並程度か低い。女雛の髪を切ってあげるルートを選ぶ場合は、一時的に行動を停止する。
所有スキル
 無礼者!:女雛の髪を踏みつけた者の中からランダムで単体攻撃。威力高
 我を誰だと思っておる!:自分中心の範囲領域攻撃。威力低。【魅了】【恍惚】【識別】
 覚悟は良いな!?:女雛が気に入らない髪型にしてしまった場合に発動。戦場にいる全員に対し【必殺】の超威力攻撃

 以上となります。
 説得して戦闘回避ルートもありますが、失敗するととんでもないデメリットを受けた状態からの戦闘スタートとなります。しかし成功すれば……?
 なお、説得するルートを選ぶ場合は、全員がその旨を書いて下さいませ。誰か一人でも抜けていると即時戦闘となります。
 よろしくお願いいたします。

  • 雛人形の断髪式完了
  • NM名以下略
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2020年03月03日 22時05分
  • 参加人数3/4人
  • 相談5日
  • 参加費100RC

参加者 : 3 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(3人)

寒櫻院・史之(p3p002233)
冬結
冬宮・寒櫻院・睦月(p3p007900)
秋縛
奏多 リーフェ 星宮(p3p008061)
お嬢様の恋人

リプレイ

■断髪式に向けて
 三人のイレギュラーズが飛ばされた世界は、地球の現代日本のよくある長閑な住宅地によく似た風景の場所。夕方の頃合いだろうか、空が茜色に染まり陽が沈もうとしているのが見えた。
 少しの間、どこか見たことがあるような、そうでもないような風景に辺りを見回していた三人。そんな彼らの背後に小さな影が2つ忍び寄る。
「私、私の髪を綺麗に…して下さい」
 その声にイレギュラーズ達がハッと振り返ると。ずるずるに伸びた髪を引きずりながら歩いてくる女雛と、鋭き小剣を手に女雛の斜め前を険しい顔をして歩く男雛がそこにはいた。
 本来であればこの場で戦闘に入り、打ち倒すべき相手。しかし三人の選択は……。
「素人が適当に切ったら頭にきても当然なのでは?」
 ヘアカタログを片手に、そして隣にいる『女王忠節』秋宮・史之(p3p002233)に目配せする『今は休ませて』冬宮・寒櫻院・睦月(p3p007900)
 そう、彼らは。女雛の髪を切り満足してもらう道を選んだ。戦うだけでは救いにならないと信じて。
(あー、また始まっちゃったよ。カンちゃんの好奇心おばけ。変なもの大好きだもんなあ)
「ごめんね、カンちゃんのワガママに付き合わせて」
 頭の中で幼馴染に呆れ半分悟り半分といったため息をついた史之は、もう一人の同行者である 『虚空』奏多 リーフェ 星宮(p3p008061) に、困り顔を浮かべたまま謝罪する。
 しかし奏多は気にしないでとばかりに笑みを浮かべ手を振り。
「髪の長い人は色んな髪型が試せたりするから楽しそうだよね。その人に合った髪型が見つかるといいのだけど」
 と、女雛に臆せず話しかける睦月の事を微笑ましく見つめる。それと。
「じゃあ邪魔しないように、男雛君は僕とこっちで待っていようか」
「何をする無礼者!……だが、仕方あるまい。あやつの気が済むまでは、その命、預けてやろう」
 背丈自体は普通の人形な男雛を、奏多は拾い上げるようにして。一瞬抵抗する男雛だが、女雛が少しだけ笑っているのを見て、剣を下ろした。

■どんな髪型がいい?
「気に入った髪形があったら扇で選んでください。次のページが見たかったら扇で本を叩いてください」
 ヘアカタログを女雛に見せるように開き、戦う意志はないと示す睦月。すると女雛は一つ頷き、興味深そうにそのカタログに目を通し始めた。
 呪われた人形といえど魂を、意志を持った『女性』である以上。やはり髪型を弄って楽しむという事に憧れはあるのだろう。特に現代近くになって意志を持った女雛であるからには。
 徐々に女雛の顔が楽しそうに笑い出す。人形の身体だけれども、表情は動くようだ。
 それを見て史之と奏多は少し驚く。「人形なのに笑うんだ」と。
「……我も久方ぶりに見たな。あやつの笑うところは。」
 男雛が、昔を懐かしむようにそう呟いたのを、二人の男は聞き逃さなかった。そういえば、元々雛人形なのだから、微笑んでいるはずであった、と気づく。
「そういえば、君は参加しなくて良いのかい?」
 よく見れば長い年月を経たせいか。女雛ほどではないといえど、男雛も少し髪の毛が伸び、衣装もどことなくボロがきている。だから一緒に楽しめば良いじゃない、と奏多は提案する。
「む…しかし、男子たるもの髪を妄りに弄るなど」
「今の時代、男でもファッションで変えるものだよ。ほらほら」
 と、強引に奏多は男雛を女雛の隣へ座らせる。困惑する男雛だが、女雛に「ほら」とカタログを指し示され、少し難しそうな顔をしながらも二人並んで見始めた。
「なんだか良さそうな雰囲気になってきたね、しーちゃん」
「最初はどうなるかと思ったけどね。戦わないで済むならそれが一番だよ」
 男性用のヘアカタログも並べ、二人の雛人形があーでもないこーでもないと悩み、しかし楽しげに話す様子を見つめる、幼馴染二人。
 しかしここで、奏多が気づいた。
「誰か髪を弄れるほど器用な人いるのかな?」

■良き行動には良き協力者が現れる
 奏多の言葉に、場の空気が一瞬冷える。夕暮れ時だから、という問題ではなかった。肝心なところを、忘れるところであった。
「そうだったそうだった。誰か器用な人探さなきゃ」
「とはいえ、急にそんな都合のいい人が……」
 慌て始める三人を見て、男雛が殺気を溜め始める。女雛も表情が暗くなり、髪がざわつき始めていた。
 このまま戦闘に入るしか無いのか……。とイレギュラーズ三人が構えようとしたところに。
「おや……何をしているのかな?」
 偶然にも。通りかかった男性一人。しかしよく見ると……人形の入った鞄を持っている。
「おじさん、手先器用な人?」
「あ、ああ。近くでおもちゃや人形の修理をしているけど…って」
 奏多がなるべく怖がらせないように、と笑顔を作って話しかける。その男性は奏多の異質な姿に首を傾げるも、普通に返答をするが。彼の後ろにいる人形たちを見て顔がこわばっていく。
「ま、まさか…それって噂の雛人形…!?」
「あ、うん…でも、おじさんが協力してくれるなら…!」
 一目散に逃げようとする男性を奏多がなんとか引き止め。戦闘態勢に入りかけていた人形達も、史之と睦月が宥める。
「この人なら、きっとなんとかしてくれますから!」
「だから、もうちょっとだけ我慢して、ね!」
「…良いだろう。先の興味深い本に免じて待つ」

「えぇ…?この人形達を綺麗にすれば大丈夫?」
 事情を説明した三人。だが男性はまだ半信半疑なようで。
 それはそうだろう。噂によれば失敗すれば命はない。逃げても命はない。出会うだけで駄目とイワれる都市伝説にまでなってしまった人形相手なのだ。
 暫し考え込む男性だが……一度人形に出会った以上、逃げても駄目だというなら。ダメ元でやってみよう、と了承してくれた。
「それじゃあ君たち。何かご希望の髪型はある?」
 再び開かれるヘアカタログ。そしておずおずと女雛が指し示したのはツインテール。
 このような浮ついた形にするのか、と苦言を零す男雛だが。史之が説き伏せて一先ずやってみよ、と渋々待つことに。
 奏多が男雛と、男性の間に入っていざという時かばう形を取りながら。男性は指先の震えもなく、ハサミと櫛を手に女雛の髪を整えていく。
「ほら、できたよ」
 手鏡を女雛の前に置いて、自分で確かめれるように、と。睦月が気を利かせ。
 そして……。
「ああ…ああ…これが妾?こんなに、めんこいのが…妾なのかえ?」
 泣きそうな、それでいて嬉しそうな表情を浮かべる女雛。男雛も見惚れているのか声を失っている。
「これで君も文句ないかな?」
 史之の念押しに。重々しくも頷きを返す男雛。
 その間にも。男性の鞄から出てきた可愛らしい人形用の洋服に目を輝かせる女雛。やはり、女性の意志を持っているからかオシャレはしてみたいようだ。
「折角だから男雛君も何かしてもらいなよ」
「はっ!?わ、我には必要、ない!」
「ほほう…折角だし、ちょっと出してみようか?」
 すっかり恐怖心が消えた男性と、奏多のコンビに取り押さえられ、そして着替えさせられる男雛。
 完成したのは、どこか少しだけ不良っぽい。それでいて渋みのあるジャケットにジーンズをつけられた男雛。
 彼をみた女雛は、扇で顔を覆い。
「……かっこいい、と思います」
「そ、そうか」

■それから
「ねぇおじさん。人形の修理をしているんですよね?」
「そうだよ」
 初々しい雰囲気を取り戻した雛人形を他所に、睦月が男性に話しかける。
「それならさ。あの子達をモデルにしてくださいます?」
「またそんな急にカンちゃんは……」
 突拍子もない睦月の提案に、それは難しいだろうとツッコミを入れる史之。しかし当の男性は、雛人形達をじっと見つめ。
「もう暴れたりしないって約束するなら、いいよ。こちらとしても、髪型を弄れる人形というのは面白そうだしね」
「え、いいんですか!?」
 睦月にツッコミを入れていたところに、男性の肯定の返事が入り。つい驚愕の声が出てしまう史之。
「おじさん中々心が強いね」
「ははは……そうかもね」
 奏多が人形たちを拾い上げ、男性に渡す。
「では、この子たちの事。よろしくお願いします」
「もう暴れたりしちゃ駄目ですからね?」
「しっかり楽しむんだよ」

 それから。呪いの人形とかつて言われた雛人形は。
 いつの日からか、人形モデルとして人気になり。男性と三人で忙しい日々を過ごしたという。

成否

成功

状態異常

なし

PAGETOPPAGEBOTTOM