PandoraPartyProject

シナリオ詳細

<Gear Basilica>リコと遊ボウ

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●イタズラ魔女のリコ
「オニーチャン、オネーチャン、遊ボウヨー」
 イタズラ魔女の『リコ』は、にいっと三日月のような笑みを浮かべる。着こんだローブの下。幼げな声。男か女かも判然としない。
「遊ボ」
 ……ここがいつもの、日常であれば。あるいは、住民はリコに構ってやったのかもしれないが。
「いやああああーーーー!」
 ゼシュテル鉄帝国首都スチールグラード。突如暴走をはじめ、大地を揺るがすギアバジリカ。
 ギアバジリカが進軍する。あちこちを略奪しながら。
 ギアバジリカに供物をささげる、狂気の兵団スネグラーチカ。この街にも歯車兵器が迫っていた。
「ああ、頼むよ、燃やさないでくれ!」
 機械仕掛けは、住民たちの哀願を聞き届けず、何もかも壊して蹂躙し、そこからめぼしいものを奪っていく。
 ギアバジリカの燃料は誰かが大切にしたものであればあるほど良い。思いが。感情が。あたたかな友愛が。思慕が染みついているほど良い。
 だから、スネーグラチカの軍勢は、街を襲うのだ。
「急げ! ここはもう駄目だ!」
「きみも早く逃げるんだ!」
 あたりは、鉄と硝煙の匂いに満ちている。

 つまらない。
 リコは表情に笑みを張り付けたまま、むっと頬を膨らませたが、すぐに標的を見つけてらんらんと目を輝かせる。
「ギギ……ギ……」
 歯車兵器の兵隊は、良い遊び相手になりそうだ。

●鬼ごっこ
 そう思ったのもつかの間。
 飽きてしまった。
 歯車兵器たちは、たしかに脅威である。数も多い。
 だが、たいしてリコに構ってくれない!
 攻撃も直線的で……面白くないし、それに何やら別のことに夢中で……。
 一心不乱に何かを集めているようだ……。
 リコは鉄帝イチの魔女っ子である。ふう、と広げた”魔法”をしまう。見せるのがもったいない。あれは、競争相手じゃない。同じ目線に立ってくれない。つまらない。

 と、その時だった。
 リコの瞳に、イレギュラーズたちがうつったのは。
 リコの脳裏に、一つの考えがひらめいた。流れ星のように。
「オニーチャン、オネーチャン、遊ボー」
 種目は、宝集め競走がいい。

●回収屋
「今回の任務は、街に散らばった宝物の回収なのです!」
『新米情報屋』ユリーカ・ユリカ(p3n000003)はびしっと外を指す。
 数刻前。イレギュラーズたちは避難民たちのテントにいた。
 現在、町は歯車兵器に占領されつつある。
 迫るギアバジリカに住民たちの宝物を奪われる前に、取り戻し、少しでも戦力を削ぐのがイレギュラーズたちの仕事だ。

 つまり、リコの提案を受け入れれば……イレギュラーズとしての仕事ができる。

GMコメント

●目標
リコとの宝集め競走に勝つ!
イレギュラーズたちが勝てば、リコが集めた宝物を全部渡してくれるという。
リコは、宝モノ自体には興味がない。ただ、遊びたいだけである。

●状況
住民の大半が避難し、歯車兵器に占領されつつあるとある街。
閑散とした街の中、歯車兵士は略奪を行っている。

●敵
・オートマタ×30
人型の歯車兵器。知能はあまり高くはなく、与えられた命令を愚直にこなしている。
妨害があれば無論抵抗するが、「宝物」集めが任務である。
全てを討伐しきる必要はない(討伐しても構わないが、依頼の成否に関係はない)。

●登場
・イタズラ魔女の『リコ』
オールドワン。外見は10代前半。ローブをまとっている。性別は不明。
ローブの下に隠された火器や兵器を展開し、中距離~遠距離からの敵の殲滅や、単体への集中砲火を行う。
妨害したり、かと思えば水を差す兵器に攻撃を浴びせかけたり、せわしない。
・リコには興味のある宝物と、あまり興味のない宝物があります。興味のない宝ものはスルーする可能性があります。

先に宝物を集めていたため、人数差のハンデは気にしなくていいらしい。

●避難民たち
彼らは、避難の過程で様々なものを失くしています。
予め避難所で話を聞くこともできます。

宝物の例:
・結婚記念の懐中時計
 結婚40周年の記念品の懐中時計。煤で汚れてしまっている。
・形見の剣
 闘士だった父親の遺した剣。大切に使い込まれているが、似たような剣がたくさんある。
・隠し金
 家族に黙ってこっそり蓄えたへそくり。ちょっとばつが悪そうである。
・おもちゃの飛行機
 これがないと赤ん坊が泣くんです、とのこと。
・家族写真
 これ1枚しかもう残ってない。
・薄い本
 妙に薄い本。???
・飴玉
 女の子が良いことをしたらご褒美に一つ、と約束されていた瓶入りの飴玉。棚の上に置いてきちゃったとのこと。

リコは戦場で歯車兵器たちの兵器をちょっと集めているようです。
あんまり気に入ってはないようですが……。

その他、プレイングで何か設定したり、詳細な設定を指定しても構いません。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

  • <Gear Basilica>リコと遊ボウ完了
  • GM名布川
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2020年03月01日 22時06分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

フェリシア=ベルトゥーロ(p3p000094)
うつろう恵み
日向 葵(p3p000366)
紅眼のエースストライカー
清水 洸汰(p3p000845)
理想のにーちゃん
ブーケ ガルニ(p3p002361)
兎身創痍
オリーブ・ローレル(p3p004352)
鋼鉄の冒険者
ジェック・アーロン(p3p004755)
お姉チャン
ルルゥ・ブルー(p3p006410)
水底の夢
糸巻 パティリア(p3p007389)
跳躍する星

リプレイ

●10数えたら、始メルヨ!
「宝探しをする分には別に文句はないんスけど、厄介なのが出たな」
 リコは『紅眼のエースストライカー』日向 葵(p3p000366)の周りをぐるぐると回る。何やら妙に気に入られそうな予感がするのは気のせいだろうか。
「内容と条件からすると断れねぇっつーか、どの道そうなっちまうっつーか。仕方ねぇ、ここは大人しく提案に乗るか」
「よしリコ、その勝負乗った! オートマタにだけは、宝物は絶対に渡しちゃいけないからな! オレが頼れるオニーチャンってとこ、バリバリ見せてやるからな!」
『雲水不住』清水 洸汰(p3p000845)の返事に、リコは満面の笑みを浮かべる。
「なあ、一つだけ約束してくれ」
  洸汰は真剣な表情でリコを見た。
「この町の人たちの宝物もそうだけど、オレやお前の命だって、大切な宝物なんだ、それこそ絶対無くしちゃいけない。体中が痛い時は……ってか、危なくなったら、ちゃんと逃げるんだぞ」
「?」
 洸汰の言葉に、リコは首をかしげる。
「……さ、皆といっぱい遊ぼうぜ!」
「ウン!」

「ドウする?」
 物陰に身を潜め、様子をうかがっていた『ガスマスクガール』ジェック(p3p004755)は、話がまとまったのを見て、リコからブラック・ラプターの銃口を逸らす。
「無闇に探すよりも、オートマタを探した方が見つかる可能性が高いと思うんスよ」
「ウンウン。アタシらが探さなくテモ、オートマタが集めてるんだモンね。だったらソッチから奪えば集まるんじゃナイ?」
「オートマタが見つけた物をオレ達で横取りする……つったら聞こえが悪ぃけど、今は手段を選んでる場合じゃねぇしな」
「場所の見当をつけるためにも、下調べが必要ですね。避難民から話も聞けるでしょう」
『鋼鉄の冒険者』オリーブ・ローレル(p3p004352)は、避難所の住民が気になっていた。ギア・バジリカに住む場所を追われた、無辜の人々。昔の自分であれば気にならなかったのかもしれないが……。
「とりあえず、皆の大切なものを回収して回ればええんやね、りょうかぁい!」
『兎身創痍』ブーケ ガルニ(p3p002361)はぴんとやわらかな両耳を立てる。
「隠された密書を探すとかニンジャ的にもテンション上がるでござるな!」
『跳躍する星』糸巻 パティリア(p3p007389)は、ニンジャというものに目がない。
「大事な品を無粋な機械に持っていかれるのも面白くないでござるしな」
「そだねぇ」
「ゼシュテル、機械いっぱいでさむいし歩きにくい。あんまり好きじゃない。でも、大事なもの取るのはだめ」
『水底の夢』ルルゥ・ブルー(p3p006410)は頷いた。
「リコさんとの宝集め競争、ちょっと楽しそう。わくわく。……はっ、お仕事。がんばる」
 ルルゥは、きりっと真面目な表情をつくる。
「宝探し、楽しそうです、ね」
『うつろう恵み』フェリシア=ベルトゥーロ(p3p000094)は、たゆたうようなウェーブの髪を揺らして顔をあげた。
「わたしも頑張ります、から……オートマタの狙うものは、皆さんで全部取ってしまいましょう。略奪も強奪も、決してさせません」

●二人組を作ろう
「まずは2人1組で動く……いい考えやね。えーと、俺は葵サンと。よろしくねぇ」
「よしよし、まずは聞きこみっスね」
「はーい。避難所の人も、逃げてきて怪我をしてるかもしれへん。街は壊されてるし、大切なものは気になるしで不安よね」
「物品がどういう奴か覚えるだけ覚えとくか」
「そんでもって、避難してきた人たちからどんな物が思い入れのあるものか、どっちの方向から逃げてきたのか、どの辺りに置いてた、あるいは隠してたか話を聞いてメモしておこうね」
 避難所の中には、静かな緊張が漂っていた。注目が集まる中、ブーケはゆっくりと片手をあげる。
(目を合わせて、声を出す時は穏やかに。この人なら自分の力になってくれるー、って安心だけでもあげたいよね)
「大丈夫? 困ってへん?」
 ブーケはつとめて、柔らかく聞こえるように呼び掛ける。
 人々の緊張は和らいだようだった。

「地図があったでござるよ!」
「助かります、糸巻さん」
 避難所で情報をまとめていたオリーブのもとにパティリアが飛び込んでくる。
「ニンジャにとって、地の利は大事でござる。家と道の配置を頭に叩き込んでおくでござるよ」
「重要なのは「どういった物か」と合わせて「どこにあるか」もしくは「どこで無くしたか」、そして「どの程度オートマタを見たか」ですね」
 オリーブは手際よく地図に印をつけてゆく。
「宝物の位置予測情報とオートマタの発見情報を合わせ、戦闘重視組はオートマタが多い方面に、探索重視組はオートマタは少なく宝物はある方面に、両立組はどちらも存在する方面に向かうのが良いかもしれません。……清水さん、リコさんの動向は分かりますか?」
「ふふん、秘密兵器だぞ!」
 洸汰の後ろから現れたのは、MEGA-Pyon-TA。メカニカルなトビンガルーである。
「これでしばらく見ててもらおう」
「おもちゃ、指輪、使い古しのペン……どれも大事な記憶がつまっているもの、ですよね。それを無くして、そのままというのは……悲しいと、思いますから」
 フェリシアは避難所で懸命に聞き込みを続ける。
「だが、オートマタがたくさんいた。危ないんだ。たしかに大事な指輪だが……」
「無理はしません。ここ、ですね」
「大丈夫でござる! 拙者たちにかかれば」
「ソウソウ。マ、なんとかなるヨ」
 ジェックはガスマスクの下から、おそらくは、笑った?
(ガスマスクのおねえさん、こわそうと思ったら優しくてよかった……!)
 ルルゥはほっとした。ペアになったとき、実はちょっとこわかったのだ。
(競争だけど、ちゃんと探してあげたい)
 大切なもの。……思い出が詰まったもののはずだ。
「家族写真……いいなぁ。ぼくは海の中がおうちで、召喚されておうちが何処だかわからなくなって。たまにちょっと、みんなに会いたいと思う。宝物の光る貝殻、置いてきちゃったし」
「ルルゥの故郷がコノ世界ならいつか帰レルよ。迷わないヨウちょっとずつサガしてけばいいサ」
 やっぱり、優しい。避難所を回るうち、ルルゥはすっかりジェックが怖くなくなっていた。
「ジェックさんって、宝物なぁに?」
「アタシの宝物は……師匠からのオシえ、かな。あれがアったから生きていられたンダ」
 ジェックの声は、マスクの下で調子を変えながら、少し懐かしそうな響きを帯びる。
「そっか、形のない宝物かぁ……」

●戦場を駆け抜ける
「しっかりと摑まっているでござるよ! 舌を噛まぬよう注意でござる!」
 フェリシアはぎゅっとパティリアにしがみつく。パティリアはフェリシアをお姫様抱っこし、風のようにびゅんびゅんと道を行く。
「ニンジャたるもの、この程度は朝飯前でござる!」
 海星綱によって、フェリシアを支え、姿勢は非常に安定している。パティリアは街を見回し、目標地点を見定める。
「地図によると、あちらの……。あ、あそこです」
 フェリシアは透視で、建物の瓦礫の奥のランドマークをとらえた。
「しっかり捕まってるでござる!」
 喧噪とオートマタをかいくぐり、二人は駆け降りていく。
「ありました、指輪です。それと……」
「金庫でござるな! まかされよ」
 パティリアの背中から、水蜘蛛ガジェット『ナミハ』が飛び出す。
「ソレ、いいね」
 ド派手な爆発とともに現れたのはリコだ。
「お疲れ様でござる」
「調子はどうですか。お怪我は?」
「戦わナイノー?」
「はい。競争ですから」
「魔法、見たくナイ?」
 ヤバそうなオーラが漂ってきた。それに、そろそろオートマタが寄って来そうだ。
「……ここは」
 フェリシアがぎゅっとパティリアにしがみつく力を強める。
「無論」
 逃走に限る。
 ニンジャは再び風になった。

●オートマタを目印に
「オートマタの宝物捜索は破壊行為を伴う様子。となれば、破壊の跡や破壊音を目印にオートマタを探せば見付かるはずです」
 オリーブはオートマタの後を追う。二体が民家を漁っている。
 オリーブと洸汰は視線を酌み交わした。
 オートマタが宝を確保し、無防備を晒すまで待つ。
 オリーブは素早く接近し、両手持ちの長剣を振り上げる。何度となく繰り返してきた動作。オートマタはなすすべなく崩れ落ちる。2体目の首がぎぎ、と回ってオリーブを見た。
「はいっ!」
 身をかがめていた洸汰が跳ね上がる。ハイタッチを受けたオートマタは熱暴走を起こして倒れこんだ。
「これがおもちゃかな。えーと、こっちが剣か」
「台車がありました。……そういえば、この競争は何を基準に終わるのでしょうか?」
「んー、どーだろ。ぜんぶ見つけたら? ってことはないだろうけど……リコが飽きたらかな。けっこーかかりそうだな」
 街の一角から破裂音が聞こえる。MEGA-Pyon-TAのいる方向……リコのところだ。
「オレ達もオレ達の事をしなきゃいけないけど……リコ、無茶なことしてねーだろーな……?」
「してますね」
 不意に、リコが降ってきた。オリーブはふっと息を吐いた。
「……どの程度集めました?」
「タクサン!」
 オリーブはリコの宝物とやらの数を見積もる。……そもそも正確なカウントができるかは置き。このままだと五分といったところだろうか?
 目的がおそらくは遊ぶこと自体なので、交渉なりで譲ってもらうのは可能だろうと思えるが。
「ネェ、遊ブ?」
「あちらに遊び相手がいますよ」
 オリーブは気を逸らしておく。リコは楽しそうに喧騒に駆け込んでいった。
「……大丈夫かなぁ」
  洸汰に、メガぴょんたもちょっと心配そうに首を傾げた。

●リコとのニアミス
「聞き集めた情報や、オートマタの駆動音を参考に宝探しやね!」
 ブーケは群青珊瑚を口にくわえてぽりぽり齧る。甘くて苦くて酸っぱい、不思議な味だ。
「変な味のお薬で足が早くなってん、ぴょんぴょん進んでくよォ」
「転んで怪我しても、治療できないっスからね? よっ、と」
 葵は跳躍し、街灯に手をかけ、そのままするすると登っていった。高い時計台に飛び移り、辺りを見回す。
「おー、やるねえ」
「向こうの建物にオートマタがいるっス、ちょっと行ってみるか?」

「ここだねぇ」
 ブーケは今にも崩れ落ちそうな建物のアーチをくぐる。暖炉の上の家族写真を手に取った。きょろきょろと辺りを見回すと、子どもの描いた絵が貼ってある。
「おとうさん、ぶじにかえってきてね」。
(これも、大事そうやねぇ)
 ブーケは抱え込む。アルバムもそっと荷物に加えた。
(……火事場泥棒みたいで、気ィは咎めるけどね)
 近くで爆発音が響き渡る。
「ちょっと出てくるっス。探し終わったら、先に」
 葵が、そっと外へ出た。

「先越されちゃったカナー?」
 そこにはリコがいた。
(こっちからは攻撃を仕掛けずに会話で穏便に済……むっスか?)
 葵はちらりとブーケを振り返る。オートマタも来るだろう。
「何で宝探しをしてるんスか?」
「たくさん遊びたいからダヨ!」
「どんな宝物を?」
「ウーン。こんなの? これは、イマイチ」
 リコが持ち上げたのは、重火器。動作を見た瞬間、葵は素早く走って、ブーケとは逆方向に逃げていた。
(この遊びの趣旨は忘れてねぇよ)
 遅れてやってきたオートマタが、リコの標的となる。爆ぜて、焦げた匂いがする。ブーケを巻き込まないように遠回りして戻ってくる。
「大丈夫やった?」
「大丈夫っス。問題はオートマタの方で……っと!」
 オートマタに気が付かれた。
 葵は瓦礫を足場にし、空中で止まる。強烈な無回転シュート。ハードランチャーはオートマタを逸れたに見えたが、壁に跳ね返ってオートマタの後頭部に直撃する。敵は姿勢を立て直そうとするが。
「遅い」
 ソニックエッジがトドメを刺していた。
「あまり無駄な時間は使いたくはないんスよ、こっちだって!」
「よし、集め終わったよぉ」
 顔をあげたブーケは、挨拶するかに見えて片手をあげ、そのままオートマタを吹き飛ばした。ショウ・ザ・インパクト。
「ほい」
 続けて、狡兎三蹴。流れた血を呪いに変えて相手へと浴びせかける技だ。姿勢を崩したオートマタを、葵のハードランチャーが仕留めた。
 ブーケに生傷やアザが絶えないのは、こういう戦い方だからなのかもしれない。
「ほんとーに、治療できないっスからね?」
「十分十分。ほら、宝物は無事だよ」

●『すごくよく見えるコンビ』
「大事そうなものって、箱に入ってたりするし。ジェックさんのすごい見える力と合わせて、いっぱい見つけていく」
「アタシは『暗視』『超視力』、ルルゥは『透視』がアルから、すごい見えるコンビ……」
「ぼくたち『すごい見えるコンビ』」
「ふふ、よく言ったモノだね」
 ジェックの言葉に、ルルゥは嬉しそうにこくこくと頷いた。
「アッチ、どう?」
「……! いた」
 見つけづらい、小さなオルゴール。オートマタは、瓦礫をひっくり返して探しているが……。こちらが先に見つけた。
「お互いに協力シないとネ」
 オートマタは歯車を軋ませる。
 オートマタは計算する。この距離であれば威嚇射撃。当たるはずのない攻撃。そう判断したオートマタの一体は、Hot Loadで崩れ落ちる。ジェックの技術はあまりに想定を超えていた。
 ルルゥはジェックとオートマタの間に立つ。
(ジェックさん守る。それに、ぼくが近くにいればジェックさんもっと強くなるから)
 ルルゥのひたむきさに、ジェックは思わず口笛のひとつでも出そうだ。
(ルルゥに守ってもらえるのは嬉しいケド……小さい子に守られるノハちょっと情けナイし)
 なるべく遠くから始末しておきたい。
 それにしても、ルルゥはよくやっている。ルルゥは攻撃を防ぎながら、絶妙にジェックの射線を邪魔しない。
「にしても、数が多いネ」
「いったん、逃げる?」
「イヤ」
 プラチナムインベルタが鉛玉の雨を降らせた。
 ルルゥは頷き、攻撃に転じた。
(とっておきの、ディスペア・ブルー)
 歌声が、静かにあたりに響き渡った。オートマタの外装が飛び、内部機構が露わになる。
(歯車の中心をネラってみよう。歯車がカミあわなくナレばトまるんじゃない?)
 ルルゥの傍で、ジェックには狙う余裕があった。
(ウマく撃てば一発でタオせるかも)
 一体、また一体。相手は倒れていく。
 オ’レンジ・キス。ゼロレンジの曲芸魔射。
「倒せた、ね。ケガ、大丈夫、ジェックさん」
「おかげさまで」
 ルルゥは宝物を帽子にしまい込む。ちょっぴり、誇らしかった。

●加勢
「せーのっ!」
 洸汰の463のゲッツーが、オートマタを2体同時に捕縛していた。
「多いなあ」
「一旦下がりましょう」
 ここらにオートマタが多い理由は分かった。
 リコが引き付けすぎているのだ。リコは楽しそうだが、やっぱりあれは無茶じゃないか?
「ちょっとだけ。加勢に行ってもいい?」
「……では、ここは自分が」
 オリーブは、H・ブランディッシュをひらめかせ、二体を屠る。
「まかせた!」

●四面楚歌のリコ
 楽しい。楽しい。
 リコは洸汰の言葉を思い出していた。ちょっとだけ身体が痛い。
 でも、遊ぶのは楽しい!
 宝物に夢中になって、瓦礫に手を伸ばすと……。周りにはオートマタがたくさんいて……。
 ならば、ニイッと笑って、とっておきの魔法を。
 ここだと、ちょっと自分も危ないカモ……。
「リコ!」
 フェリシアの勇壮のマーチが洸汰の背を押した。463のゲッツーが、オートマタの姿勢を崩した。リコは魔法の反動で落っこちそうになるが……。
「間に合ったでござるな!」
 パティリアがリコをぶらさげていた。
「アレ? 遊ぶんデショー?」
「楽しく遊びたいだろ?」
 戦場では、勝ち負けはあっさりと覆る。そして……二度と帰らないこともある。
「あ、それ探し物でござるな!」
(これはリコが先に見つけたんダヨー?)
 リコはじっと、飴玉の入った瓶を見下ろす。そういえば、そろそろ魔力(かやく)がなくなってきた。フェリシアがリコにヒールをかけたんだっけ。
 リコはその場を去ってゆく。
「あっ、これはいいんでござるか?」
「持って行きましょうか。これも誰かの大切なもの……でしょうから」

「こっちだよぉ」
 葵が退路を進み、ブーケが手を振っている。ジェックのスコープの中にはリコ。……を追いかけるオートマタ。引き金を引く。
「一件落着、みたいだネ」
「勝負なのはすっかり忘れてたけど、リコさんに勝てたかなぁ。ちょっと、楽しかった」
 ルルゥははにかんだ。

●集計
「ああっ、指輪だ!」
 フェリシアから指輪を受け取った男が泣き崩れる。
「よくぞ、無事で……」

「いーち、にーい」
 避難民たちは、勝負の行方を見守る。
 リコは嬉しそうに宝物の数を数えていく。失くした金貨を1枚ずつカウントしたり、ずるかったが。
「タクサンダヨー」
「んー、アルバムもあるよぉ」
「アレ? じゃあ、オニーチャンもタクサン……」
 あれこれ数えて、何度か数えなおす。

 勝負を決したのは、最後の1個。魔法のような飴玉の瓶だった。
「負けちゃったー! ジャア、あげる」
 どこから取り出したのか、リコはマントから宝物をばらばらと出すのだった。
「ネェ、楽しかったヨ! マタ遊ぼうネ、オニーチャン、オネーチャン!」

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

こうして満足して遊び疲れた夜は、きっと眠りも深いことでしょう。
ギア・バジリカへの供物の大部分は、イレギュラーズたちの活躍により阻止されました。
おつかれさまです!
リコさんは、おそらくはとても楽しかったようです。
気が向いたら、また一緒に遊びましょうね!

PAGETOPPAGEBOTTOM