シナリオ詳細
コングと鉄帝爆砕節分祭り
オープニング
●鉄帝の豆まきは油断するともっていかれるぞ!
「鬼は~そt」
「ウホッホ!」
コンバルグ・コングの放った豆がコンクリートブロックを爆散させた。
そのそばでフルガード姿勢にあったセララ (p3p000273)は『うわー』といって吹っ飛ばされ、民家の窓を突き破ってお茶の間の上を通過した後ふすまも突き破ってひとんちの庭の池に突っ込んだ。
「す、すごい……あのセララさんが吹っ飛んだ。サッカーボールみたいに……」
ぷるぷる震えるアルヴァ=ラドスラフ (p3p007360)。
考えただけで呼吸があらぶるので、アルヴァはすーはーすーはーと一生懸命深呼吸していた。
「ほ、ほんとうに……? ほんとうに、やるんですか? ボクが?」
鬼のお面を頭のよこんとこにくっつけて、ヴィクトール=エルステッド=アラステア (p3p007791)はすぐそばのレッド・ミハリル・アストルフォーン (p3p000395)たちへと振り返る。
「やらなきゃ……やられるっす!」
「いや聞いたことねえよ豆まき!」
加賀・栄龍 (p3p007422)がアルヴァとフィクトールを抱えてジャンプ。
さっきまでいた地面が豆によって『ボッ』て吹き飛んでいく。
「なんで大豆に地形破壊効果があるんだよ!」
「ラド・バウA級は誰じゃないっすね」
レッドが『面白くなってきやがったっす』といって顎にたれた汗をぬぐった。
池から飛び出すセララ。
「ぷはー! すごいねコングは! 思わず秋葉原の景色が見えちゃったよ」
「それ走馬灯では」
「オニ、ハラウ! ウホウホウホウホウホウホ!!!!」
とか言っていると、全身をボールのように丸めたコングが回転しながら突っ込んでくる。
「「ウワーーーーーーーー!!!!」」
今度は民家が吹っ飛んだ。
『鉄帝節分祭り!』
イレギュラーズたちが招かれたのは鉄帝首都にあるという鋼商店街の2月恒例イベントであった。
鉄帝で栽培される鋼大豆を100%使用した節分豆を鬼の面を被った来場客にむけて投げて貰い、うまく当たれば一年無病息災五穀豊穣子宝安産闘技全勝一攫千金鉄板暴牛の御利益があるという。
もう後半の御利益がやけくそだし暴牛に至っては御利益ですらないけど、毎年豆をぶつけられたい若者たちが鉄帝や他国から集まってくるという。
スペインの牛追い祭りってあるじゃん。アレのノリで。
そんなイベントの特別ゲストとして呼ばれたのが……。
「私たち、というわけですか……」
雪下 薫子 (p3p007259)はぜーぜーいいながら刀を構え、飛来する豆を次々に切断――していたら周囲の空気ごとボッてされて吹き飛んでいく。
「薫子くーーーーーーーーーーーーーーーん!」
鬼の面(ゴールド)を被って飛び出してくるククリスティアン=リクセト=エードルンド (p3p005082)。
「さあ来いコング君! 僕に命中させたら節分バージョンの特別ブロマイドをあげyうわーーーーー!?」
「ウホッホ!」
地面がミサイルでもたたき込まれたのかなってくらいの爆発をみせ、クリスティアンごと吹っ飛んでいく。
「なんで、なんでこんなことになってるんでしょうね……」
アリシア・アンジェ・ネイリヴォーム (p3p000669)はしたたる汗を振り払い、ばちばちとはしる魔力の電流を身に纏った。
思えばあれは友情だったのかもしれない。
闘技場の試合以外なんにも興味がないというコング氏がある日、『ローレットが来るならイベントの仕事を受ける』と言い出したのだ。
ラドバウA級闘士といえば日本で言うオリンピック金メダリストより人気である。なんせ王様を決める試合のなかでS級についでトップクラスの地位にいるのだ。
コングのいいところは、そんだけ強くても闘技以外に興味をしめさないことだろうか。政治に関心が無いので利用もされないのである。
そんなコングが『街の人たちが喜ぶイベント』を積極的に受け始めたのは、どうやらローレットという人柄に惹かれ、強い興味を示したからであろう。
「デテコイ! マメ! ブツケル! ウホアアアアアアアアアアアー!!」
タダでさえ堅い豆を握力で高圧縮し、謎の爆発力をもった弾丸にかえてぶん投げてくるコング。
今日はイベントが終わるまでの間、イレギュラーズたちはこの豆を受け続けねばならない!
- コングと鉄帝爆砕節分祭り完了
- GM名黒筆墨汁
- 種別リクエスト
- 難易度-
- 冒険終了日時2020年02月17日 22時10分
- 参加人数8/8人
- 相談8日
- 参加費---RC
参加者 : 8 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(8人)
リプレイ
●コングはてかげんを知らない
「コンバルグ! 今日は付き合ってくれてありがとうね。
最初に宣言しておくよ。ボクはそう簡単には負けない……いいや、勝つ!」
民家の屋根にあえて登った『魔法騎士』セララ(p3p000273)は、眼下のコンバルグ・コングを指さして宣言した。
「だってボクは皆の希望、魔法騎士セララだk――」
「ウホッホ!」
ぼーっと上見てただけのコングが、次の瞬間には豆投擲体勢を『とり終え』『振り終え』『投げ終え』ていた。
具体的にどうなったかというと、セララは宣言を終えるよりも早くその場からキュッて消えていたし、コングは腕を振り切った姿勢にいつのまにかなっていたし、一瞬遅れて空気が動き周囲にブオンっていう竜巻が起こりセララは空の彼方でクルクル高速回転していた。
セララの目を以てしてもいつ撃たれたのか分からないという神業であった。
盾をサーフボードのようにして乗り、遠くへと距離を取るセララ。
その様子を見ていた『忘却機械』ヴィクトール=エルステッド=アラステア(p3p007791)は、ありていにいって震えていた。
(当たったら、死……?)
イレギュラーズの中でもトップ争いをするようなガチ中のガチで知られるセララがああもあっさり吹っ飛ばされるってこたぁ、コングの実力はもう対抗するとか制御するとかそういう次元にないってことじゃん。と、ヴィクトールは思った。
ジッサイ問題。
AランクファイターとDランクファイターが戦うってぇことは、大雑把にみてDランクファイターとFランク(ないけど)が戦うようなものである。
具体例でいうと、今のセララと酔客アルドーが戦った時くらいの差である。
「僕があたったらひとたまりもない……けど……」
ちらっと後ろを見た。
今回のコングVSローレットのイベントが楽しみで見に来てる客たちのキラッキラした目が、ヴィクトールの背中を押した。おいつめたともいう。
「や、やらなきゃ。依頼をうけたからには……すーはーすーはー」
とりあえず、覚悟がきまるまで深呼吸はしよう。
……とか思ってたら、コングがこっちをむいて目を光らせた。
ボッていって民家がヴィクトールごと爆発するさまを民家の屋根から眺める『暗香疎影』雪下 薫子(p3p007259)と『人生葉っぱ隊』加賀・栄龍(p3p007422)。
「こんなお祭りもあるんですね、栄龍さんはご存知でしたか?」
「い、いや……祖国でも馴染みのある豆まきだけど……いや、豆まきなのか? 豆ってあんな散弾銃やフレシェット弾みたいに飛ぶのか……?」
栄龍はコホンと咳払いをして、薫子のほうを振り返った。
「薫子さん、危うくなったら俺を盾にしてくれ」
「お優しいんですね」
頬に手を当て、薫子は目を細めた。
「でも、ご無理はいけませんよ」
……っていう、二人の後ろで。
(ムリとかそういう問題じゃなさそうな気がしますね……)
『黒焔纏いし朱煌剣』アリシア・アンジェ・ネイリヴォーム(p3p000669)は当初聞いていた依頼内容と現状の間にある差異を埋めていた。
確か最初は地域の豆まきイベントに鬼役として参加してねってことであった。お子様を『鬼だぞー』つって軽く追ったあと豆をぶつけられて退散するまでがセット、くらいに思っていた。演技力磨かなきゃな、的な。
蓋をあけると豆をまくのがコングであり。
すわ戦闘かとおもったが強さの次元が段違いであり。
いま自分に必要なのは自然災害から逃れるすべとかそういうやつであった。
「『鬼』違いとはいえ出身世界的には豆撒きは存じていますが……これはきつそうですね」
ではまず何からはじめましょうか。
……って思った矢先に、彼女たちの『背後』の空中にシュインつって豆投擲姿勢のコングが現れた。
吹っ飛んだ民家ではす向かいの民家がぶっ壊れていくというやりすぎたドミノ大会みたいな光景を『特異運命座標』レッド・ミハリル・アストルフォーン(p3p000395)はぷるぷる震えながら見ていた。
「モウダメダァ……カテルワケガナイ……」
「レッドさん……顔……顔が……」
なんか顔のタッチがえらく変わったレッドが『ココカラガホントウノジゴクダ』つってからぷるぷると首をふり、いつもの顔で『儚き静寂』アルヴァ=ラドスラフ(p3p007360)へ振り向いた。
「こんな豆撒きボク聞いたことないっす。やらなきゃ、やられるっす!
でも覚悟するしかない楽しむしかないっす!」
「そうですね……!」
アルヴァはガッツポーズで頷いてから、心の中で誓いを立てた。
(レッドさんを守らなきゃ……!! そう……僕が……!)
大きすぎる災害を前にすると人は誰かを守りたくなるという。
そんな男心が、アルヴァの中に芽生えたのである。
……芽生えたのはいいが、そんな彼らの横にあるマンホールが縁と周囲の舗装道路ごとボッて吹き飛ばしてコングが現れた。
「ウホッホウッホ!!」
「うそでしょう……!?」
地面が逆立った鱗みてーにぼこぼこめくれていくさまを背景に、『煌めきの王子』クリスティアン=リクセト=エードルンド(p3p005082)のきらめきをお楽しみ頂きたい。
なんかもうすでに包帯とギプスで腕をつってるし頭からだっくだく血ぃ流してるけど、それでもお楽しみ頂こう。
「ふふ! 豆を投げられるなんて初めての体験だよ!
ちょっと(だいぶ)痛いけど、これで皆が喜んでくれるなら投げられる甲斐があるってものだよね! さあ、みんな……!」
クリスティアンは振り返り、きらめきながら観客たちに呼びかけた。
「楽しい豆まきイベントのはじま――」
「ウホアーーーーーーーーーーーーー!!!!」
横から殴りつける嵐(というか豆)がクリスティアンと地面と近くの団子屋とみていた観客と馬車と月刊漢坂をいっぺんに吹き飛ばしていった。
●もはや災害
「いいこと思いついた! ヴィクトール、保護結界して保護結界!」
「え、いいですけど……」
セララは日本家屋の畳部屋にあがりこむと、障子戸をスッと閉じて振り返った。
もう色々あきらめてオフトゥンに入ろうとしていたヴィクトールをたたき起こし、たまたま彼が持ってた保護結界をかけてもらうためである。
「なんでこんなことを?」
「いい質問だね!」
セララは障子に指で穴を空けて外を観察しながら語った。
「コンバルグがボクたちを攻撃するとき、進路上の何もかもを破壊してるけどこれはべつに意図して破壊してるんじゃない。勢い余って壊しちゃってるだけなんだ。だから保護結界は効果があるはず!」
「なるほ――」
「ソコダ!!!!!!!!!!!」
軽く80メートルほど離れた位置からセララたちの居場所を野生の勘で補足したらしいコングがとんでもない速度で突っ込んできてやっぱり家屋ごとぶち抜いて全員轢いていった。
「壊すじゃないですか!」
「あれえ?」
「ウホッホ!」
ターンして戻ってくるコング。
ヴィクトールはその場にいたセララとしらないおっさん(45歳独身の家主)をダブルでかばうように立ち塞がった。
「ウホアアアアアアアアアアア!!」
「うおおおおおおおおおおおおおおああああああああ!!!!」
豆知識。範囲攻撃をダブルカバーすると被弾は一人分だけで済む。
ということで皆の盾となったヴィクトールはコングに撥ねられて飛んでいった。
現代日本だったらワンチャン異世界転生できるのではってくらいの潔い撥ねられ方であった。あと青空に顔が浮かんだ。
道路の真ん中を爆走した経験がいかほどあろうか。
通行の迷惑だろうとか、そんなに体力がないとか、色々やらない理由はあるとおもうが……。
「ウホウホウホウホウホウホウホ!!」
途中にあるもの全部を破壊しながら回転して迫る怪物がいたら誰だって走ると思う……と、アリシアとアルヴァは頭の中で思った。
「アリシアさん……どうしましょう……これ……!」
「悲観することはありません。これもトレーニング。ましてやラド・バウA級闘士の方とのイベントなら尚更楽しまないと!」
アリシアはポジティブに思考を切り替えると、自らのオーラを体中に巻き付けて肉体を補強。反射神経や強度を高め、彼女のトータルファイターとしての強みを最大限に引き出していく。
「これから8ターン毎に『シャドウイグジスタンス』を意地し続ける。防御集中と全力移動で距離をとりつつ相手に全力攻撃の機会をあたえずに走り続けるのよ。補充能力が上回るから途切れることはありえないって設k――」
「ウホ!」
急に加速した上豆を大量に握って圧縮したボーリング玉みてーなやつを放ったコング。
アリシアは『余裕があればクリティカルにも気を配り――』とか言いながら右から左へ消えていく。
「うわあ……!? あれだけ真面目に対策してても……!」
が、アルヴァとて回避型タンクでぶいぶいいわせたショタわんこである。
今こそ回避値90オーバーの防御術を見せるとき!
だいたい100近い値があれば大抵の攻撃はよけられるって相場が決まっ――。
「ホ!」
普通にアルヴァがキャッチされた。
「うそですよね……?」
が、アルヴァくんは男の子。
諦めるにはまだ早い。
「ボクはどうなっても構わない……! レッドさんに手出しはさせないですよ……!」
キリッとシリアス顔でコングをにらみつけた次の瞬間。
「ホッホ!」
天空めがけて斜めに発射された。
アルヴァは『パチンコ玉ってこんな気分なのかな』って思いながらお空に綺麗な放物線を描いていった。
「アルヴァさーーーーーーーーーん!」
空に散った(散ってない)アルヴァの名を叫び、レッドはキッと振り返った。
真っ赤に燃えるオーラを纏い、自らのもちうる最高最善、鉄壁の防御で構えてみせる。
「アルヴァさんが回避タンクであるようにボクは100%の防御タンク! 威力が大きければ大きいほどカット率の高さは活きてくるっす! さあくるっす盾で受けのわああああああああ!?」
「ホワアッ!」
レッドの盾がいかれた。
へこむとかゆがむとか、圧力で身体ごと浮くとかそういうやつじゃなくて。
盾におもいっきり穴があき、レッドに豆が直撃し、直撃した衝撃でレッドは飛んだ。これがコングにできる最大限の『てかげん』であることを、レッドは体感で知った。
「ここは僕に任せて!」
「その声は!」
振り向くとヤツがいた。
クリスティアンが教会の屋根に立ち、ふぁさあって前髪をかきあげながら煌めくオーラを放っていた。
「僕の名はクリスティアン=リクセト=エードルンド!
逃げも隠れもしない――ほ~らほら、鬼さんこちら! 煌めく方へ!」
とう! っていいながら屋根からジャンプするクリスティアン。
飛行能力もなしにそんな高さから落ちたらあぶないよ! だって?
ノンノン、さてはシロートだな?
ここはこうだ。
「防御力100越えの僕ならいくらか耐――」
「ホアッッッ!!」
ショルダータックルの風圧が、着地前のクリスティアンと教会とそこで祈ってた人たちとその向こうのたこ焼き屋台をまとめて吹き飛ばしていった。
「ウワアアアアアア!!」
「みなさん!」
薫子がぜーぜーいいながら観客や通行人たちへとよびかけた。
「鋼商店街で節分祭りを開催中です! 今年はラド・バウA級闘士のコングさんにイレギュラーズがゲストで来ていますよー!
ご用とお急ぎでない方は鋼商店街にて節分祭り! コングさんの豆に当たって一年無病息災五穀豊穣子宝安産闘技全勝一攫千金鉄板暴牛のご利益! 皆でお祭りを楽しみましょう!」
「まじか!?」
「まじです!」
立ち飲み屋でぼんやりしていたおっさんが急に話に食いついてきた。
拳をグッとやって身を乗り出す薫子。
「……それ、俺が直撃したら死ぬよな」
「……そうですね!」
言われてみれば! という顔をした、その時。
「ウホ……」
ゆらありとコングが民家の影から姿を現した。
どうやってこの場所を嗅ぎつけたのかとかもうそういうこと考えるどころじゃあない。
「薫子さん危ない!!」
横から飛び出してきた栄龍が薫子を掴んで横っ飛び。
飛んでった豆がついさっきまで薫子がいた場所を通り抜けてその先の立ち飲み屋を客と店員と大量の酒瓶とサバ缶の在庫ごと吹っ飛ばしていった。
「豆まきで死……い、いや、そんなことになるか……?」
さっきのおっさんのハナシもあながち間違いじゃない。
余波でこれなのだ。なんだかんだ重傷を負わずに済んでるのはイレギュラーズたちが上手にダメージを軽減させているからに他ならない。
「ウホ……」
たちのぼる煙。
黒く巨大な影が振り返り、赤い目を光らせる。
もはや怪物……いや怪獣としか言いようのない存在を前に、しかし栄龍や薫子はひるまなかった。
どんな時でも忍耐強く。どんな相手にでも勇敢に。そんな彼彼女だからこそ、コングは……。
「ローレット……オマエタチ、オモシロイ……!」
興奮なかばドラミングをし、地面を殴りつけて周囲の地形もろとも粉砕爆破した。
●試合終了まで諦めるな
「あとは……がんばってください……みなさま……ガクリ」
っていいながら、ヴィクトールがオフトゥンにもぐってスヤァした。
「寝てはだめです! 寝たら死にますよ! 豆圧で!」
がっくがっく揺する薫子ニモマケズ豆ニモマケズオフトゥンデネムル。サオウイウヒトニボクハナリタイ。ヴィクトール心のポエム。
「くっ、ここまでですか……しかしこの部屋は保護結界がされているはず」
ほっと胸をなで下ろす薫子に、その場に居合わせた栄龍とセララが一度顔を見合わせてからもっかい薫子にむきなおった。
「それはもうやったね」
「ソコダ!!!!!!!!」
壁をショルダータックルで突き破ってきたコング。
こうなれば! と言って反撃に出る栄龍とセララ。
「鬼が反撃しないとは言ってないよね。行っけー! セララショットガン!」
用意しておいた鉄帝鋼大豆をつかみ、セララはコングに至近距離から全力投擲をしかけ、その横で栄龍は銃剣突撃を仕掛けた。
「薫子さん時間を稼ぐので逃げてくださ――あ゛っ」
「ウホ」
鎧で普通に攻撃をはじいて、カット分を残して与えたはずのダメージをスルーし……栄龍の顔面をつかみ、セララめがけて投擲。
ボッという音とともにセララたちはもっかい吹き飛んでいった。
「鬼はこっちですよ! コングさん! A級闘士というのはこの程度ですか!」
一方アルヴァは漢をみせていた。
「レッドさん……僕が抑えてるうちにはやく……!」
「アルヴァさん……犠牲は無駄にはしないっす!」
メカロバにのって逃げていくレッド。
遠ざかる足音を耳に、アルヴァは覚悟を決めた。
「僕たちは防御力だけじゃない。自己治癒能力も高いのさ。プリンス☆シャイニング!」
メカロバの後ろにのってぺかーって輝くクリスティアン。
レッドもレッドでイモータリティの限りを尽くして自己回復をはかっていた。
「けどそろそろ限界もちかいっす。ここは覚悟をきめて……」
「そうだね。僕たちの自慢の盾で、正々堂々と豆を受けて見せようじゃないか!さあ、かかってきたまえ!
豆だろうが何だろうが……耐えきってみせる!!!!!」
ロバから飛び降りて反転し向かってくるコングに身構え――たつもりのその瞬間、側面の家屋が吹き飛びコングが飛び出してきた。首んとこにアルヴァひっかけて。
「にーーーげーーーてーーーー!」
「わんこくん!?」
「アルヴァさん!?」
「ウホッホ!!!!」
「A級の実力……よく分かったわ。これだけの戦力ですら勝てない相手だからこそ鉄帝の皇帝たりうるっていう理屈も、ね」
アリシアは満身創痍になりながらも、たちのぼる煙と地響きに振り返った。
きれかかった付与効果を自らにかけ直す。
と、その時。
「ホッッッッ!!!!」
コングの繰り出した拳が寸止めされ、アリシアを覆っていたオーラが消し飛んだ。と同時にアリシアまでもが吹き飛ばされ、背後の民家に叩きつけられる。
「そう、そこまで……そこまでして……上等! そうじゃなきゃ祭事は楽しくないわ!!」
アリシアは目を見開き、コングへと挑みかかった。
彼女だけではない。
イレギュラーズたちはどうやっても埋まんない実力差を理解した上で、全力でその攻撃をうけ続けていった。
その折れぬ心こそが、本当の強さなのだと、知っているから。
そしてそんな彼らを見届けた鉄帝鋼商店街の民たちは、『このガッツが見たかった!』と感涙しておひねりをなげまくったという。
成否
成功
MVP
なし
状態異常
あとがき
豆まき、終了!
GMコメント
お待たせいたしました。
節分の時期を待っての公開でございます。
●これまでのあらすじ
こちらは鉄帝で行われる豆まきイベント。
まいた豆にうまいことぶつかると御利益があるってんで、死なない程度にぶつかりにいくのが鉄帝民のトレンドだという。
しかし今年は豆まき係にコングがやってきちゃったからさあ大変。
人どころか民家まで吹っ飛ばして軽く戦場に変えたのだった。
だが安心してほしい
コングは街をまるごとリフォームできるだけのお金を先行寄付しているので街のみんなは『解体が楽』くらいの気持ちで楽しくこの状況を受け入れているようだ。
もっといえば派手に吹っ飛んで重傷になっても仕事は休めるしお金も貰ってるしで皆ハッピーである。
よって。
この場は『いかにコングの豆に(長く沢山そして派手に)当たりに行くか』というチキンレースと化したのだった。
●豆!
コングは皆さんに向けて豆を投げてきます。
投げた豆は戦車の砲撃のごとく民家を吹っ飛ばすしなんなら地形ごと爆砕します。
たまにテンションがあがるとコングさんがローリングコングアタックを仕掛けてくるので地面はのぺーっとしてくでしょう。
●プレイスタイル
コングの豆を積極的に受けにいってもいいし、いっそ逃げてもかまいません。
A級らしいトンデモなパワーで見つけ出して地の果てまででも追ってきてくれるでしょう。
●地形
鋼商店街といういろんなお見せがならぶ賑やかな街です。
建物や人にはちょっと江戸っぽい雰囲気があり、みんな派手なことが大好きです。
もっというとゴリラ人口の多さも有名。(それゆえにコングは大人気)
※このシナリオではいきなりネタ重傷を負うことがあります
死亡やその他やべえ状態にはならないはずです
コングさんこう見えてやさしいから
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