PandoraPartyProject

シナリオ詳細

脱獄せよ、アニマルプリズン!

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●拝啓、牢屋より
 ――冷たい。
 石造りのこの部屋は、身体を芯まで凍て付かせる。
 申し訳程度の薄い毛布では、身を寄せ合ったとて温かくなるはずもない。
 一体どうしてこんなことになったのか。獣人の暮らす平和な世界で遊ぶ、そんな依頼だったはずなのに、まさかあんな事が罪になるなんて!

「居心地はどうだい? まぁ、お前らみたいな悪人にはぴったりけどな!」
 楽し気に笑う、二足歩行の犬。彼は紺色の制服と帽子を身に付け、手に持った鍵をこちら側へ見せびらかす。
 それを取ろうと手を伸ばしても、冷たい鉄格子が頬に、肩に食い込み――。
「へへ、俺らを侮辱した罰だ! そうだ、刑の執行日が一週間後に決まったぜ。そうなれば、お前らは――」
 唾を飲み、次の言葉を待つ。
 何かあったとしても、パンドラが削れるくらいで混沌には帰れるだろう。ああ、でも痛い思いは――。

「全身のありとあらゆる毛を抜かれるぞ! 楽しみだな!」

 前言撤回。
 これは何としても一刻も早く、ここから脱出しなくては――!!

●その頃、境界図書館
 静かな室内で、境界案内人のシーニィ・ズィーニィはティーカップを片手に、イレギュラーズが旅立っていった本を読み進めていた。
(獣人と人が仲良く暮らす世界。のんびりとしていて、楽しそうな世界ね)
 柔らかなタッチで描かれた絵本の世界。
仲良く遊ぶ犬と猫、その猫がくしゅんと大きなくしゃみをし、鼻提灯を垂らす絵に口元が緩むが――次のページを捲った瞬間、シーニィは思わず「あら」と声を上げる。

『おまえ、くしゃみをしたな! おれが汚いっていうのか! けいさつに入れてやる!』
『そうして、ねこはろうやに入れられてしまいました』

 顔を真っ赤にして怒る犬、そして牢屋に入れられる猫が描かれたページを眺めたシーニィ。
「……おかしな法律がある世界なのね」
 今頃その法律のせいでイレギュラーズが大変なことに――とは知る由もなく、シーニィは優雅なティータイムを満喫しているのだった。

NMコメント

 リアル脱出ゲームに行ってみたい飯酒盃おさけです。
 ライブノベルは失敗がないシナリオです。初心者の方もそうでない方も、気軽な気持ちで参加してみてくださいね。

●目標
 全員で脱獄すること
 依頼の性質上、多少なりとも相談するのを推奨します。

●舞台/状況
 獣人達と人間の住む、平和でゆるふわな世界。
 皆さんはこの世界を散策しにやってきました。
 しかしこの世界では「ノーガードでくしゃみをする=お前毛洗ってなくてかゆいんだよゴルァ」な侮蔑罪になることを知らなかった為、うっかりくしゃみをした一行は牢屋にしょっ引かれてしまいました。

 武器は看守に取り上げられましたが、その他はそのまま装備しています。
(特殊化され武器らしくなっていない物もバレた、もしくは不思議な力で牢屋内では使えなくなっています)
 刑の執行までに、どうにかしてこの牢屋から脱獄しましょう。

 相談は獄中で行われております。脱獄計画を練っているロールプレイをしてみると楽しいかもしれませんね。
 くしゃみをした覚えのある方は、是非名乗り出てみてください。

●障害
1.牢屋から出る(エネミー:いぬ看守×1)
 近くの看守机で暇そうにしている看守の胸ポケットから、鍵を奪わなければいけません。
 彼女募集中、そして金欠。そして何かを投げられると追ってしまいそうです。いぬだから!
 看守机の横には無造作に皆さんの武器が置いてあるので忘れずに回収しましょう。

2.一階に上がる(エネミー:見回りペンギン×4)
 脱獄するには、牢屋が並ぶ廊下~中央が吹き抜けになっている螺旋階段を上へと抜ける必要があります。
 廊下、螺旋階段それぞれに一定周期で見回りが回っています。
 ゲームに課金しすぎて美味しいものを食べてないと嘆いています。
 くしゃみ罪で捕まった他の牢屋の動物を利用する手も……?

3.建物を出る(エネミー:アニマル警官たち*沢山)
 一階は通常の警察署になっており、仕事をしている警官や来客が沢山います。
 皆さんが一階に上がって少し(一つ行動をするくらい)経つと、館内放送で脱走が告げられます。
 強行突破するもよし、どうにか怪しまれないように逃げるもよし。
 犬、ペンギン以外にも猫、パンダ、クマ、タヌキ、キツネ、ウサギ、コアラ、カピバラ、ロバ、ラッコ、アザラシ、サメ……と各種アニマル(一部人間も)警官がいます。
 相談で「そういえば連行される途中で(動物名)がいたな」「こんな部屋・施設を見た」と話して、得意な方法で逃げてみましょう。
 本ライブノベルでは、ありそうなものは大体ある前提でOKです。

 全てを一人でしっかり書こうとするとプレイング文字数がきつくなるかもしれません。
 行動のメインはここ、といくつかに絞り他を仲間に託すのも手です。

●サンプルプレイング
仲間がいぬ看守を色仕掛けで釣ってる間に、鍵をゲット!
持っていたおもちゃを投げるよ、とってこーい!
見回りペンギンにはギフトで出したお菓子をあげて買収……と見せかけて威嚇術!ごめんね!
地上に出たら更衣室でマスコットキャラの着ぐるみを着て脱出だー!

 それでは、楽しいドタバタ脱獄を!
 よろしくお願い致します。

  • 脱獄せよ、アニマルプリズン!完了
  • NM名飯酒盃おさけ
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2020年02月16日 22時10分
  • 参加人数4/4人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

コゼット(p3p002755)
ひだまりうさぎ
ギンコ・キュービ(p3p007811)
天使の選別
ベルフラウ・ヴァン・ローゼンイスタフ(p3p007867)
雷神
太井 数子(p3p007907)
不撓の刃

リプレイ


「出せよー!」
「冤罪だわー!!」
 冷たい石畳の地下に、空しく響く二つの叫び声。
『銀狐』ギンコ・キュービ(p3p007811)と『ニューウェーブ』太井 数子(p3p007907)が鉄格子を掴み訴えるものの、看守の犬は無視を決め込む。
「私はくしゃみしてないわ! ほんと……ックショォィ!」
「オイコラそこの囚人、また侮辱か!?」
 数子――いや、ミーティアのくしゃみに今度こそ声を荒げた看守。
「これは寒いからしたのであって侮辱じゃないわ、状況から察しなさいよバカ犬ー!」
「ったく、くしゃみ一つで投獄って勘弁しろよ……」
 鉄格子にしがみついたままのミーティアの横で、しゃがみ込み頭を掻くギンコ。
(殺されるまではねーみたいだが……毛を丸刈りにされるのは勘弁だ)
 己の尻尾にコンプレックスはあれど、大事な毛である事は変わらないのだから。
「……ぺぷちっ」
「大丈夫か、コゼット?」
 牢屋の端では、『ひだまりうさぎ』コゼット(p3p002755)と『金獅子』ベルフラウ・ヴァン・ローゼンイスタフ(p3p007867)が、身を寄せ合いひそひそと小声で話している。
(うう、さむい……)
 コゼットは靴が武器だと気付かれ没収。素足であり、この冷たさは一層身に沁みるばかり。しかもこのままでは身体の毛が抜かれて――はだかうさぎになってしまう。
(アニマル喫茶のようなこの環境、抜け出すのは名残惜しいが……)
 目を閉じ、ベルフラウは夢のような時間に思いを馳せる。ああ、あの可愛らしい動物達よ。
 しかし、毛を抜かれる恥辱を防ぐ為、そして何よりローゼンイスタフ家の誇りの為!
 ゆっくりと目を開けば、その瞳は炎のごとく燃え――ベルフラウは立ち上がる。
「作戦決行だ。よし、では手筈通り参ろうか」
 三人もその声に小さく頷いて返す。


「そこの暇そうな看守さん、よかったら面白い話聞いていかない?」
 頬杖をつき睡魔に抗ういぬ看守の耳に届いたのは、鉄格子の中のミーティアからの誘い。付き合う義理もない……が、暇である事は悲しいかな大正解。
「自分で面白いという位だ、さぞや自慢の話なんだろうな?」
「ふふん、笑い転げてへそで茶を沸かせるようになっちゃうわよ!」
 ミーティア自慢のセクシーウインクをお見舞いすれば、最近めっきり女気の無かったいぬ看守が鼻の下を伸ばし――慌てて咳払いをひとつ。
「いいだろう、暇潰しだ」
 いぬ看守が鉄格子の前に胡坐をかくと、ぴょこりとコゼットも鉄格子際に寄ってくる。
「あたしも、聞く」
 ギンコとベルフラウは――とミーティアが後ろを見れば。
「オレはパス」
「私も、今そんな気分でないのでな」
 かくして観客二人に向けてミーティアは正座する。
「それではお聞きください……まんじゅうこわい」
「「えっ」」
 タイトルに声を揃えるいぬ看守とコゼット。しかしミーティアは止まらない。
「人間、誰でも怖いものっていうのがあるのよ。それは何故かっていうとね……」

 まさかの太井数子もといミーティア、落語好き。
 元の世界でもCDで聞く程には落語好きだった彼女にとって、古典落語の暗唱など朝飯前。声色を二転三転させながら話していけば、どんどんいぬ看守は引き込まれ前のめりに。
「まんじゅうこわいってそういうことかよ! くっそ!」
(あたしならなんだろ、お布団こわいかな……あっ)
 すっかり一緒に引き込まれていたコゼットがそっとギンコに目配せをすれば、ギンコは頷き看守の死角からそっと近づきニヤリと微笑む。
「『本当は何が怖いんだい?』そう聞かれた男はこう言うの。ちょっと耳貸して、ほら」
 ずい、と身を乗り出したいぬ看守は――ポケットに伸びたギンコの手に気付かない。
(っしゃあ! 鍵ゲット!)
 そっと身を屈めてギンコが鍵を開ければ。
「『まんじゅうが喉に詰まった、本当は一杯のお茶が怖いんだ』ってね」
「はー! やるなソイツ!」
 オチにすっかりご満悦な様子のいぬ看守の耳に、ぼそりとコゼットの声が届く。
「やるのはあたし達、だよ」
「へ?」
「今よ、ギンコ!」
 ぐい、とミーティアに腕を引っ張られ、体勢が崩れたいぬ看守が見たのは――
「くらいやがれ、オレの拳!!」
「んぐわあああ!」
 己の顔面に伸びてくる、ギンコ渾身の左ストレートだった。

「しばらくそこに居ることね!! ハッハッハ!」
 先程まで自分達が入っていた牢屋に、気絶したいぬ看守を放り込み仁王立ちで笑うミーティア。ここだけ見れば冤罪ではなく完全に悪人である。
「さて、ここからは私も持てる力の全てを発揮しよう。頼むぞ、皆」
 数日ぶりに手元に戻ってきた朱き旗をベルフラウは力強く握りしめ――鍵束を手にしたコゼットと、立ち並ぶ牢屋へと進む。

「お、おいアンタ達この前捕まったやつだろ!? 助けてくれ、俺も明日毛を刈られるんだ!」
 牢の中から、タヌキの囚人が必死の形相で二人に声を掛ける。
「ふむ、卿も私達同様のくしゃみ罪か」
「そうだよ、俺コショウが鼻に入っちまっただけだったのに警官が!」
 ベルフラウが問えば、帰ってきたのはやはり理不尽な理由。
「アタシはニワトリで朝鳴いただけなのに近所迷惑って!」
「キリンは人を見下してるって言われて、小さくなる首輪を着けられて」
 あちこちの牢から聞こえる訴えに、眉を顰めるベルフラウ。傍らのコゼットも「ひどいね」と声を漏らし、互いに顔を見合わせると牢の鍵を開け始める。
 ありがとう、恩人だと二人の前に集まる動物達――集団で騒ぎを起こせば、それに乗じての脱獄は容易くなる。しかし、烏合の衆ではいささか心許ない。それをベルフラウはよく理解していた。ならば、今必要なのは――

「聞け! 悲しみと絶望に暮れる者達よ!」

 輪の中心で、ベルフラウは高々と声を挙げる。
「此処から抜け出したい者は我らについて来るが良い」
抜け出す、の言葉に動物が息を呑む。しかし、得体の知れない新入りを信じていいのか、もし失敗すれば――そんな気持ちが湧いてくる。そんな躊躇いの空気を、ベルフラウは持ち前の力で吹き飛ばす。
「一歩踏み出す覚悟がない者は此処に留まれ。だが、此処に残るという事は毛を抜かれるという事だ。
 謂れもない罪に問われ、己が誇りも護れぬならば助かる道理はない。文字通り尻尾を丸め爪を噛み裁かれる時を待つが良い」
ベルフラウの演説に、動物達は己の艶やかな――収監により質は落ちたものの、自慢の毛を眺める。
「だが! 一歩踏み出すと言うのであれば私は卿らを見捨てはしない。何があろうとだ!
立ち上がれ! 獣の意地を、誇りを見せる時だ!!
我が旗を見よ!!!」
 ベルフラウが高くつき上げたその旗――二頭の獅子と薔薇が描かれた、誇り高きローゼンイスタフ家の家紋を見れば。
「うおおお!」
「やってやらあ!」
「姉さん、ついていくわ!!」
 拳(と羽)を突き上げた動物が、ベルフラウを囲んで雄叫びをあげていた――。

「いやあ、あれはすげーな」
「途中で抜け出すの、たいへんだったよ……」
「ところでこれだけ騒いだら、見周りが来ないかしら?」
 演説の傍ら、階段脇でこそこそ会議をする三人。案の定見回りペンギンが二匹、ぺたぺたとやってきた。
「安心しろ、しばらく美味い物を食べてないって小耳に挟んだからとっておきの罠を仕掛けてある」
 ギンコがにしし、と笑えば見回りの片割れが足元の何かに気が付く。
「うひょー! 弁当だ! 最近イベント限定星5ペン子ちゃんに給料溶かしまくってイワシしか食べてないんだよ!」
 うめーうめーと弁当にがっつく同僚を置いてもう一匹が仕事に戻ろうとすると――
「シッ! 静かに……あなた、お腹すいてない?」
 そっと現れたミーティアが、ポシェットからフィナンシェを取り出すと、ペンギンの目が輝く。正直同僚より先にあの弁当を見つけたかった。自分も課金で食費がピンチなのだ。
「黙っててくれたらコレをあげるわ」
 後で食べようと思っていたとっておき、正直あげたくない。でもここで騒がれたら――!
「もう一個」
「ないわ」
「あるでしょう」
「……ハイ!!」
 まさかの買収成功である。
 なお、残りの二匹含め全員、ベルフラウが引き連れた動物達の波により戦闘不能になっていた。

 地上階に辿り着いた四人、そして動物達は記憶を元に備品倉庫に身を隠していた。
「全員でこの着ぐるみやマスクをつけて脱出だな」
 キツネinキツネ着ぐるみのギンコ。
「さっき台所でそーっと胡椒も持って来たし、ばっちりだよ」
 うさぎinうさぎ着ぐるみのコゼット。
「あたしはやっぱり可愛いのがいいわね……これにしましょ!」
 落語家ファッションのネコ着ぐるみのミーティア。
「かばさん、ぞうさん、らいおんさん、ふうてんのと……何だこれは!」
ベージュのハットとジャケットを投げ捨て強そうなライオンの着ぐるみを着こむベルフラウ。
 囚人達にも思い思いの着ぐるみやマスクを着せていざ――

『お知らせです。囚人が脱走しました、繰り返します――』

鳴り響くサイレン。館内放送。
「ええい、行くしかなかろう! 胡椒の準備はいいか? いいな、行くぞ!全軍突撃!」
 ベルフラウの合図で全員で飛び出す。あえて走らず堂々と――するも、結局は見つかるわけで。
「胡椒爆弾、撃て――!!」
 集まってきた警官に、囚人達も総出で胡椒爆弾アタック。そこにギンコが毒霧を放てば、署内はくしゃみの地獄絵図に。
「ふん、侮辱以外でもくしゃみは出るのよ!」
「ほら、みんなくしゃみしてる……!つかまえろー、からだの毛、全部抜いちゃうぞー!」
 くしゃみだらけの中、着ぐるみ達が大脱獄を遂げたのだった――。

 猛ダッシュで走り去って、追手も振り切り囚人を逃がした頃。
「一刻も早く帰りましょう……脱獄なんて、悪い事した気分で落ち着かないわ……」
 そんなミーティアの言葉に、着ぐるみを外した四人は――

――くしゅん、と胡椒の残り香にくしゃみを零すのだった。

成否

成功

状態異常

なし

PAGETOPPAGEBOTTOM