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シナリオ詳細

ワイルドウルフの落日

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●盗賊団、ワイルドウルフ
 かつて、彼らはこの世の春を謳歌していた。
 奪い、侵し、犯し、食らう。
 暴力。それだけが彼らが恃む力であり、彼らの全てであった。
 しかし、そんな彼らも、ついに罰を受ける日がやってきた。
 珍しくも貴族たちの手により討伐隊が組まれ、何十と言う数の騎士たちに囲まれた盗賊団は壊滅。彼らはその場で処刑された。
 だが、一人生き残った男がいた。
 当時の盗賊団のサブリーダーであった彼は、戦場から這う這うの体で逃げ出すと、地下に潜伏した。
 今から数年ほど前のことである。

●狼狩り
「はいはい、ファーリナさんですよ!」
 と、君達の前でひらひらと飛ぶのは、体長30cmほどの女性である。
 『小さな守銭奴』ファーリナ(p3n000013)。妖精と呼ばれる種族が住む世界からやってきたと語るウォーカーであり、つい最近、ローレットで情報屋として活動し始めたイレギュラーズの一人だ。
「はじめまして、こんごともよろしく。さてさて、挨拶はこのくらいにして、私、美味しい情報を持ってまいりました、ええ!」
 と、一枚の書類を、よいしょ、とテーブルに置いた。
「数年前、貴族連中の怒りを買って壊滅させられた、盗賊団ワイルドウルフっていう連中が居ましてね。その生き残りがいるんじゃないかと噂されていたわけですが、これが大当たり! かつてのサブリーダー、って言うんですかね。兎に角そいつが一人で生き延びていたわけで」
 ファーリナが言うには、ここ最近、ある商人が盗賊団の被害に遭ったそうだ。その商人は、かつてワイルドウルフに襲撃された事のある男で、自分を襲った盗賊たちの中に、かつてのサブリーダーだった男がいた、と証言したそうだ。
「おんなじ盗賊に二回も襲われる、って言うのは運が悪いですねー。まぁ、助かってるあたり運はいいのかもしれませんが。まぁとにかく、さあワイルドウルフの復活か?! と言うお話になったわけです。あ、これはあくまで噂なんですが、最近幻想にやってきたという噂の盗賊王。そいつがなんか一枚噛んでて、ワイルドウルフに人手をやったとか言う話も」
 まぁ、とにもかくにも、と、ファーリナはぱん、と手を叩くと、
「今は新生ワイルドウルフの話です。調査の結果、現在、山間にある廃墟を根城に、近隣の村や街道で略奪行為を行っていることが発覚したわけです。皆さんには、この廃墟に赴いて、新生ワイルドウルフを成敗してきていただきたい次第」
 ぺしぺし、と、先ほどテーブルに置いた書類を叩きながら、
「情報によりますと、現在盗賊団はサブリーダー……いや、もうリーダーですかね。兎に角、リーダーの男含めて20名ほどの規模になっているようです。盗賊団は主に剣や斧なんかの近接武器、弓矢なんかの遠距離武器で武装しているようですよ。魔術師や治療師みたいな連中はいませんね。脳筋です、脳筋。ちなみに、盗賊団の連中の身柄ですが、基本的に生死を問わず、だそうです。デッドオアアライブ。その辺は皆様におまかせします!」
 ファーリナは胸を張ると、
「いやいや、世のため人のため、悪い奴らを懲らしめて、お金も貰える。特にお金がもらえる! ほんと素晴らしいお仕事ですね。皆様がご参加してくださることを、是非是非お待ちしておりますよ! 以上、ファーリナさんの美味しいお話でした!」
 ぺこり、とイレギュラーズ達に向かって一礼するのであった。

GMコメント

 お世話になっております。洗井落雲です。
 性懲りもなく復活してきた盗賊団がいるようです。
 引導を渡してやりましょう。

●成功条件
 盗賊団、ワイルドウルフ団員全ての捕縛・あるいは殺害

●情報確度
 A。想定外の事態は起こりません。

●戦場について
 山間にある、一階建ての廃墟が基本的な戦場となります。
 入り口には、弓を持った二名の見張りが居ます。
 盗賊たちは、建物の中で思い思いの過ごし方をしていますが、戦闘音が聞こえれば、流石に飛び出してくるでしょう。
 時間帯は昼。室内、室外のどちらにおいても、戦闘するのに十分な広さがあり、ペナルティは発生しないものとします。

●敵について
 19名の一般団員と、1名のリーダーの、合計20名が討伐対象となります。
 敵一人一人の戦闘能力は、イレギュラーズLv1より低いものとします。
 敵とその武装の内訳は、

 剣で武装した盗賊 ×7名
  ダメージ並。近レンジ。単体攻撃。バッドステータスなどの付与能力はなし。
 斧で武装した盗賊 ×6名
  ダメージやや強。至近レンジ。単体攻撃。バッドステータスなどの付与能力なし。
 弓で武装した盗賊 ×6名
  ダメージ並。遠レンジ。単体攻撃。バッドステータスなどの付与能力はなし。
 大剣で武装したリーダー ×1名
  ダメージやや強。近レンジ。単体攻撃。出血を付与。積極的に攻撃はしてこない。

 なお、団員たちはリーダーの命令で最後まで戦うようですが、リーダーは不利を悟ると逃げ出す可能性があります。

 以上となります。
 それでは、皆様のご参加お待ちしております。

  • ワイルドウルフの落日完了
  • GM名洗井落雲
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2018年03月29日 21時45分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

レイヴン・ミスト・ポルードイ(p3p000066)
竜の力を求めて
カザン・ストーオーディン(p3p001156)
路傍の鉄
ユーリエ・シュトラール(p3p001160)
優愛の吸血種
イシュトカ=オリフィチエ(p3p001275)
世界の広さを識る者
ラデリ・マグノリア(p3p001706)
再び描き出す物語
エスラ・イリエ(p3p002722)
牙付きの魔女
九重 竜胆(p3p002735)
一刀繚乱
リジア(p3p002864)
祈り

リプレイ

●ワイルドウルフ、最後の宴
 廃屋の中で、男達は勝利の宴に酔いしれていた。
 数々の貴金属類――すべて盗品。酒。これも盗品。幸いにして、未だ人さらいはしていなかったが、このままではそれも時間の問題だろう。
 いずれにしても、彼らはおそらく、人生の絶頂にいた。その中には、二度目の絶頂に酔いしれる男もいた。
 そんな男たちを、窓の外から、黒い眼が見つめている。一匹の蝙蝠が、窓枠にぶら下がって、中を覗いていた。
 きぃ、と一声鳴いて、蝙蝠が飛んだ。そのことに気付く者はいない。外のことなど気にしてはいなかった。彼らはワイルドウルフ。新生した無敵の盗賊団。わざわざ自分達を襲撃するようなものもいまい。彼らはそう思っていた。

「なるほどなるほど」
 と、呟いたのは、『暗黒騎士(自称)』ユーリエ・シュトラール(p3p001160)だ。瞳を閉じ、集中する様に胸に手を当て、覗くはファミリア、空飛ぶ蝙蝠の視界。
 蝙蝠は、廃屋――いまは盗賊団のアジトとなっている――の周囲を飛んだ。廃屋の形状を見た。可能な限り、窓から内部を覗き、内装を確認した。結果。
「出入り口になりそうなのは、一部の窓、それから入り口ですね。盗賊たちは、ほとんどが大広間でパーティの最中みたいです。パーティ会場には、偉そうにしてる人が一人、いましたよ。情報と一致しますから、恐らくリーダーだと思います」
 ユーリエの言葉に、
「こっちも、簡単に植物達に聞いただけだけど、例えば秘密の地下通路みたいなのはないみたいよ」
 と、『牙付きの魔女』エスラ・イリエ(p3p002722)が同意する。
「では、簡易ではあるが、窓には罠を仕掛けておこうか」
 『信風の』ラデリ・マグノリア(p3p001706)が言った。
「まぁ、それも見張りの動き次第ではあるのだが。そっちの方はどうだろう」
「基本的に、見張りは入り口から動かないみたいです」
 ユーリエが答える。
「あまりやる気がないというか、油断しているというか……自分達が襲撃されるはずがない、みたいに思ってる……かな」
 その言葉に、フムン、と頷きながら、
「やれやれ、では夢見心地の居眠り男を起こしてあげるとしようか」
 と、『商店街リザレクション』イシュトカ=オリフィチエ(p3p001275)が言った。
 もう十分、愉しい夢は見ただろう。だが、それももう終わりだ。夢はいつか覚める。その夢が、多くの人間を食い物にしてみる夢であるのならなおのこと。
「それじゃ、予定通り遠距離からの攻撃、って事でいいのかな?」
 『放浪カラス』レイヴン・ミスト・ポルードイ(p3p000066)が尋ねるのへ、
「念のため、私とカザンが近くに潜伏しておくわね」
 『一刀繚乱』九重 竜胆(p3p002735)が答え、
「出番がない事を祈っているよ」
 『路傍の鉄』カザン・ストーオーディン(p3p001156)が相槌を打ち、2人はゆっくりと移動を開始。入り口の近くに身をひそめる。近く、とは言うものの、精々入り口近くの物陰に隠れる位だ。そこからの距離はそこそこあるようで、一気に接近するにはやや難しいか。
「と、なれば、やはり遠距離攻撃が主体となるな」
 リジア(p3p002864)が言った。
「首尾よく仕留められれば僥倖……さて」
 ふむん、とリジアがうなるのへ、
「じゃあ、合図したら、一斉攻撃だね」
 ユーリエが言った。

 全く退屈だ。見張りに任命された男はそう思った。中では、愉し気に宴に興じているときた。どうせこんな所に襲撃なんぞ来ないのだ、自分達も混ぜてほしい。
 完全に貧乏くじである。男はあくびを噛み殺した。眠気を覚ますために、軽く伸びをして――そのまま固まった。
 男の目に映ったのは、こちらに迫りくる魔力の矢。
「な……」
 敵だ、とも言えなかった。襲撃だ、とも言えなかった。頭の中はすっかり混乱していて、何をどうすればいいのか、全くわからない。そのあたりが、ロクに訓練されていないならず者の限界と言えるだろう。
 なんにしても。男は魔力の矢に貫かれ、もんどりうって倒れた。
 見張りは2人いる。では、もう1人の男はどうだ? 彼は、倒れた相方の方を、あんぐりと大きな口を開けて眺めていた。やはり、理解が追い付かない。一体何が起こっているのか。男が全く想定していなかった事態、つまり敵襲である、と理解する頃には、飛来する魔力弾が、男を吹っ飛ばしていた。

 倒れた男に、竜胆とカザンが駆け寄る。素早く意識を確認すると、
「気絶してる」
 と、カザンが言った。
「じゃあ、手はず通りにね」
 竜胆が仲間たちに手招きをし、そのままカザンと共に、男達を近くの物陰へと引きずって行った。
 そこそこの音がしたはずだが、中から誰かが出てくる様子はない。どうやら、よっぽど宴が盛り上がっているらしい。それは、イレギュラーズにとっては幸運だった。
 イレギュラーズは、念のため、見張りの幻影を作成、入り口に立たせておいた。話しかけられたらアウトだが、多少の時間稼ぎにはなるだろう。
 さて、囮を立てるや否や、動き出したのはラデリだ。ラデリは慎重に、ゆっくりと移動しつつ、脱出経路に使われそうな窓や出入り口に簡単な罠を仕掛けて回った。これで、多少は脱出を手間取らせることができるはずである。
 その間、仲間たちは身を潜めつつ、ユーリエのファミリアなどをメインに、再度偵察と情報収集をはかった。新しい情報は手に入らなかったが、中の盗賊たちは、のんきに宴会を継続していることは分かった。襲撃のチャンスはまだまだ失われていない、という事だ。
 それを確認すると、イレギュラーズ達は突入の態勢を整えた。
「準備はいいかい?」
 レイヴンが尋ねる。
「問題ない。方針も了解している。可能な限り、生命体は保護する」
 リジアが言った。
 先ほどの見張りもそうであったが、イレギュラーズ達は、可能な限り、命を奪わない選択をとった。
 それは、人命重視の観点からであったかもしれないし、情報を得るためであったかもしれないし、しっかりと法の裁きを受けさせるためであったかもしれない。答えは、イレギュラーズそれぞれの胸の内だ。
 リジアだけではなく、他のイレギュラーズ達も頷きを返した。準備は万端。後は突入するだけだ。
「じゃあ、行こうか」
 レイヴンの言葉に、イレギュラーズ達は静かに頷いた。
 そして。
 扉は一気に開け放たれた。

●ワイルドウルフ、最後の日
 今日は人生最良の日だった。今こそが人生の絶頂の時期だった。
 そのはずだ。そのはずだった。
 では、そこから、突如として叩き落される気分はどうだ?
 所詮は砂上の楼閣。ハマグリの吐き出した楼閣。すべては幻。一時の快楽。
 そうさ、全ては夢だったのさ。身勝手で、独りよがりで、どうしようもない、当人たちだけが幸せな夢。
 目覚める時がやってきた。夢の番人たちは武器を手に手に、目覚ましのラッパを吹きならす。
 もう十分楽しんだだろう、居眠り男達。
 ここからは現実だ。

 怒号が飛び交う。剣戟が飛び交う。そんな中を、イシュトカは駆け抜けた。狙いは一人。この集団の頭目とされる男。覚めぬ夢を見た居眠り男。イシュトカがたたき起こさなければならない相手だ。
「さて、良い夢は見れたかな?」
 イシュトカが言うのへ、
「なんだテメェは! 何の話だ!?」
 大剣を構え、威嚇するのは、ワイルドウルフリーダーである。
「一度拾った命、真っ当に生きるという道もあったろうに。まぁ、夢から覚めたくない、と言う気持ちはわかるよ。その結果がこれなのが、実に残念だとは思わないかい?」
 イシュトカが嘆息する。その近くで、カザンは斧を持った男と対峙していた。
 男の斧が振り下ろされる。それは、空を切った。寸前でそれを躱したカザンは、カウンターの一撃を食らわせる。
「ぐえっ」
 みぞおちに重い一撃を食らわされた男は、うめき声をあげて倒れた。ふう、と一息つこうとするカザンへ向けて、盗賊たちの弓矢が撃ち放たれる。
 慌てて物陰に飛び込んだ。一瞬前にいた場所に、弓矢が突き刺さる。
「やれやれ、乱戦か。一人一人は大したことないとはいえ、やはり数が多いね」
 カザンが一人ごちる。そこへやってきたのは、ラデリである。
「やあ、カザンさん」
 挨拶などをしつつ、物陰より一瞬、身体を出し、弓盗賊へ向けて魔力弾を打ち放つ。反撃の射撃が来る前に、再び物陰に身を隠した。
「リーダーはイシュトカさんが抑えていてくれているようだね。となれば、負担となる前に、出来る限り敵を減らしておきたいものだ」
 ラデリの言葉に、カザンは頷いた。
「入口の方は別の仲間たちが抑えてくれているみたいだね。となれば、こちらはこのまま戦闘を続けるかな」
 カザンの言葉に、ラデリが頷く。
「貴方達の狩りの時間は今日で終わり。――此処からは私達が貴方達を狩りたてる時間よ」
 無銘ながら業物の刀を振りかざし、竜胆が突撃する。二振りの刃がきらめくたびに、盗賊たちがその身体を地に横たえる。
「くそっ、馬鹿にしやがって!」
 剣を持った盗賊が、竜胆に斬りかかる。竜胆はそれを刀で受け止めた。衝撃があってなお刃こぼれ一つしないのは、その刀が業物たる所以か。
「この地を再利用しようという点は褒められる。私は有機物の善悪に等興味はない。が、それ故に、この建物が不当に扱われるのなら、私にとってお前達は絶対的な悪だ」
 リジアが放った衝撃波が、竜胆とつばぜり合いをしていた盗賊を吹き飛ばす。
「おっとと、ありがとう、助かった!」
 笑う竜胆へ、
「問題ない。危機を救っただけだ。その物の」
 と、リジアは竜胆の持つ二振りの刀へ視線を向けた。
「そう? じゃあ、刀の代わりに、お礼を言わせてもらうね」
 竜胆の言葉に、リジアはむ、と頷いた。
「さあ、盗賊さん達、こっちです!」
 ユーリエが暗闇を発生させ、盗賊たちをかく乱する。ユーリエが生み出す暗闇には、自身へ注意を引き付ける効果もある。その為、ユーリエへの攻撃が集中する事にもつながるのだ。
 現に、1人の盗賊が、その斧を振りかざし、ユーリエへと迫る。だが――。
「よっと、ミスユーリエ、後ろだよ!」
 レイヴンは声をかけながら、迫る盗賊へ向けて魔弾を発射する。直撃を受けた盗賊が倒れる。
「わわっ、ありがとうございます!」
「いえいえ。しかし、これで結構減ってきたかな?」
 その問いに、魔力を放出し、盗賊を吹っ飛ばしながらエスラが答えた。
「確かに、あと少し、って所かしら」
 確かに、大多数の盗賊たちを無力化する事には成功した。だが、まだ数名の盗賊が残っているようだ。
「まったく……悪いことをしたら必ずその報いがあるものよ。諦めて大人しくお縄につきなさい」
 エスラが嘆息しつつ、言う。とはいうものの、盗賊たちは諦める様子はない様だ。突然襲撃を受けた怒りが、彼らを突き動かしているのかもしれない。
「往生際が悪い……ってこういう時に使うのかしらね」
 苦笑しながら、エスラが言った。
 さて、幾ら盗賊たちが決死の抵抗を続けようとも、イレギュラーズ達を返り討ちにするのには、些か……いや、かなりの力不足と言えるだろう。
 一方、不利を悟ったリーダーは何とか逃走の機会をうかがおうとするが、イシュトカをはじめとしたイレギュラーズ達にしっかりと逃げ道をふさがれ、歯噛みしつつ微力な抵抗を続けるしかない。
 取り巻きの盗賊たちも、1人、また1人と倒れて行った。残るはリーダー1人である。
「くそっ、使えない奴らめ!」
 悪態をつくリーダーへ、
「いやいや、仮にも君についてきた部下たちだよ。労ってやったらどうだい?」
 呆れたように言うイシュトカへ、
「お前らも何なんだ!? 俺達になんかうらみでもあんのか!?」
「盗賊なんてやっていて、恨まれないと思っているのかい……?」
 喚くリーダーに、カザンが思わず尋ねる。
「まぁ、直接そっちに恨みがあるわけじゃないのは事実ですけれども。とは言え、討伐依頼が出た以上、放ってはおけないんだよね」
 レイヴンが続けた。
「さて、まだ無駄な抵抗を続けるか」
 リジアの問いに、リーダーは息をのんだ。
「こう言ったらなんだけど、私達、討伐対象の生死は問わず、って言われてきてるのよね」
 竜胆が言う。
「一度は拾った命、ここでまた三途の川に委ねるか? それも良いだろう」
 ふぅ、と息を吐きつつ、ラデリ。
「ま、まて! まてまてまて! 取引しよう! ここに置いてある財宝を半分……あ、いや、全部やる! 俺は見逃してくれ! 頼むよ、な!?」
「呆れた……この期に及んでまだそういう事を言う?」
 エスラが顔をしかめながら言う。
「これは……きついおしおきが必要なようです」
 ユーリエがむっとした表情で言うのへ、
「わ、わかった! 分かった、降参するよ! だから、命だけは! 頼む、殺さないで!」
 イレギュラーズ達にも、思わずため息をついたものがいるかもしれない。或いは、この醜くもいっそすがすがしいほどの生き汚さが、なんだかんだと生き延びた秘訣なのかもしれない。
「……三度目はないと思え」
 スコップをリーダーの首筋に当て、ラデリが凄んだ。リーダーはこくこくと頷いたのだった。

●ワイルドウルフの落日
 奇跡的に……いや、イレギュラーズの努力の結果であろう。死者はゼロであった。
 イレギュラーズ達は倒れた盗賊たちを片っ端から縛り上げた。
 建物の中を探索すると、盗品と思わしきものが大量に発見された。勿論、持って帰っては着服になってしまうので、これは当局に引き渡すこととなる。
「さて、君に夢を見せた妖精のお話を、私に聞かせてくれないかね」
 イシュトカがリーダーに尋ねる。リーダーは一瞬首をかしげた後、
「ああ……盗賊王の事か? と言っても、俺も直接会ったわけじゃねぇんだよ。そいつの使者って言うか、部下みたいな奴に話しかけられてよぉ、くすぶってる連中を紹介してもらったってわけさ」
 脅しを用いた尋問も視野に入れていたイシュトカであったが、今ならこの男もべらべらと何でも喋るだろう。そして、つまらない嘘をついて、自分の命を危険にさらすような真似もするまい。となれば、この発言はおおむね、真実なのだろう。
「ふむ。伊達に盗賊王、と呼ばれてはいないか。そう簡単に尻尾は出さないようだね」
「できれば、情報が欲しかったけれど……無事依頼が成功した、という事で良しとしましょう」
 竜胆が頷いた。
「しかし、よそ者があっさりと一つの盗賊団を復活させる。やはり、脅威ではあるね」
 カザンが言った。
「……いずれ戦う事もあるのかしらね」
 エスラが言う。
 盗賊王の動向については、未だ調査中、と言った所だろう。だが、噂にたがわず、かなりのやり手のようだ。いずれイレギュラーズ達の前に姿を現すのかもしれない。それがいつになるのかは、まだイレギュラーズ達には予測もつかないが。
「この建物、アジトにしていただけあって、結構頑丈だよね。何かに再利用できないのかなぁ」
 腕を組みつつ、むむむ、と悩むレイヴンへ、
「どうだろうな。確かに寿命はまだあるだろうが、人の営みからは外れた場所にある建物だ。悲しいが、ここで静かに余生を送るのが運命だろう」
 リジアが答える。
「お疲れ様。よく頑張ったね」
 ユーリエが、ファミリアの蝙蝠へ、労いの言葉をかける。
「ああ、そちらの子たちもお疲れ様。こっちは出番がなくて良かったよ」
 と、ラデリが言った。その手には、仕掛けられていたものの、結局未使用のままの罠があった。

 かくして、イレギュラーズ達の活躍により、復活した盗賊団は再び葬られた。
 ワイルドウルフ、その三度目の復活は、訪れないだろう。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 ご参加ありがとうございました。
 この後、盗賊たちはすべて騎士たちに引き渡され、
 盗品は可能な限り、持ち主に返却されたそうです。

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