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シナリオ詳細

<Despair Blue>迫る島、走る船

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●順風なる航海
 潮風に乗りながら船が疾走する。
 自分たちの乗る旗艦に付き従うようにして、後ろから二隻。
 それが今回の船団だった。

 実に二十二年ぶりともいう『海洋王国大号令』は、ローレットの助力もあって、近海における掃討を無事に終わらせ、外洋挑戦の時に至った。
 遥かなる外洋、世界を寸断する『絶望の青』への橋頭保を築くための依頼は、もちろんというべきか、イレギュラーズの元へと要請として発動した。
 ――いざゆかんや、恐ろしき航海へ。
 そんな意気込みさえして『絶望の青』へと入り込んで早数日。
 海域の天候は穏やかで、海も緩やかな波を立てるばかり。
 思わず気を抜いてしまいかねないほどののんびりとした空気が船内に漂い始めていた。

 海域に船を入れてから始めの数日は、大規模な嵐にも襲われ、体調を崩した者もいたが、それも収まりつつある。
「船長! 前方に島があります!」
 観測手の声が聞こえた。
「上陸できそうか?」
「ここからではまだわかりませんが、おそらくは可能かと!」
「よし、随伴艦に指示の煙幕を出せ。左翼を前に、右翼をわれらの後ろに。
 危険があるかどうか確かめたのち、大丈夫そうであれば乗り込むぞ」
 船員たちの応対の声を聴きながら、君はひとつ息をついて、一瞬だけ顔をしかめた。

 なんだ――――今のは。なんというか、こう。
 あぁ、そうだ。なんだか変に嫌な臭いがする。

●起こしてはならぬモノ
 船団は進み続け、いよいよその島へと先鋒の一隻が上陸の準備をし始めるころ合いだった。
「せ、船長!」
 観測手が怯えたように、或いは驚いたように声を上げる。
「どうした!」
「し、島を見てください!
 ――い、いえ! あれは、あれは!!」
 恐怖。怯え。戦慄。混乱。そういったものを煮詰めたような声で観測手が言う。
 君は、その言葉に訝しんだのか、そっと島の方を見た。
「何も…………いや、まさか」
 近くに立つ船長がぽつりとつぶやく。
 だが、君の眼には少なくとも本当の島のように見えた。
「狼煙を上げろ!! 今すぐに!! 先鋒艦は戻れんのか!?」 船長が叫ぶ。その声を聴きながら、君もソレに気づいた。

 あぁ、まさか。絶望の青は――こういうこともあるのか。

 それは、驚きなのか、恐れなのか。或いは未知のものに対する高揚感なのか。

 なんにせよ、それは確かに『動いていた』
 ゆっくりと、じっくりと。緩やかに。

 その動きが明らかな機敏を見せ始めたのに気付いた頃、海の中から分厚い爬虫類の皮膚のような何かが姿を現し、海を打って消える。
 その余波で打ち上げられた海水が、数メートル級の波となって瞬く間に先鋒の船を丸呑みにした。
『フォォォォ』
 水柱が空高く跳ね上がり、それは天高く首を持ち上げる。
「旋回しろぉぉおぉ!!!! 全速力で走らせろ!!!!」
 船長の絶叫のごとき指示が飛ぶ。
 君はその言葉を聞きながら、ソレの顔を見て悟る。
 ――あぁ、まったく! 全然こちらを見ちゃいないじゃないか!
「イレギュラーズ! あんたら、
 あれを少しでも止められるか!?」
 船長のすがるような声がして――君はどう答えたのだろうか。

GMコメント

さてこんばんは、春野紅葉です。
復帰一発目の戦闘依頼(?)になります。

では、さっそく詳細をば。

●成功条件
アイランドタートルから逃げ延びる。
アイランドタートルの生死は問いません。


●失敗条件
全艦沈没

●戦況
回頭をし終えた味方旗艦の最後尾、アイランドタートルの正面にいます。


●敵情報
・アイランドタートル

小さめの島サイズのウミガメ系の狂王種です。

人が地面を這う蟻一匹一匹や小石を常に見ていないのと同じように、前を進む軍艦二隻のことなど目に入ってすらいません。

攻撃、対話などを駆使してアイランドタートルの気を引き、進行方向をずらしてもらうか、止まっておいてもらうほかありません。

意図的ではありませんが、海を進んでいることで移動と同時に波を起こしています。
また、誤って硬い甲羅や皮膚にぶつかれば船など木っ端みじんです。

尋常じゃなく高い生命力と堅牢な防御能力を有します。
抵抗力や回避能力などは低めです。

また、知性もかなり高めで人語こそ
話せないものの意思疎通は可能です。

とはいえ、体格差がありすぎて
普通に話しかけても聞こえないでしょう。
工夫が必要です。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

  • <Despair Blue>迫る島、走る船完了
  • GM名春野紅葉
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2020年02月14日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

エイヴァン=フルブス=グラキオール(p3p000072)
波濤の盾
十夜 縁(p3p000099)
幻蒼海龍
リリー・シャルラハ(p3p000955)
自在の名手
リカ・サキュバス(p3p001254)
瘴気の王
寒櫻院・史之(p3p002233)
冬結
ヒィロ=エヒト(p3p002503)
瑠璃の刃
美咲・マクスウェル(p3p005192)
玻璃の瞳
ジョージ・キングマン(p3p007332)
絶海

リプレイ


 こちらに向かってくる巨大な島の如き亀を見上げる。
 こちらを一考だにしないそれへの迫力を見ながら、回頭が終わりつつあった。
「えぇ……」
(何あの迫力……あんなのちょっと触ったら木っ端みじんじゃないですか……)
 少しばかり引いているのは『雨宿りの』雨宮 利香(p3p001254)だ。
「まあ……答えはイエスですけどね!」
 利香はそういうと共に雷で出来た翼を広げ飛翔のために少しばかり身体を屈める。
「わぁ、おおきいかめさん……せなかにのれたらたのしそーだけどいまはそれどころじゃないよー!
 と、とにかくきづいてもらわなきゃ、えーと、まずはこうげき?ちょっとかわいそうだけど、きづいてもらわないと!」
 好奇心と驚き半々といった様子を見せるのは『あなたと一緒』リトル・リリー(p3p000955)だ。
(ちっと前に別の依頼で、こいつの親戚みてぇな亀に出くわしたが……ここいらのやつらは揃いも揃ってでかいのばっかりなのかね。
 見た所、どうにも俺らが見えてねぇだけのようだし、気づいてさっさと退いてくれるのが一番いいんだがなぁ。
 ……さて、どうしたモンかね)
 少しばかり考え、煙管をくゆらせるのは『濁りの蒼海』十夜 縁(p3p000099)だ。
「はいっ! 秋宮史之だよ! イザベラ女王陛下万歳! (絶賛片思い中)っつっても聞こえないよねー。あんだけ、でかけりゃなー」
 大声を上げて主張する『女王忠節』秋宮・史之(p3p002233)だったが、ゆるゆる動いているアイランドタートルが聞こえている様子はない。
「止められるか、と聞かれれば答えは一つだ。
 逃げ切る時間程度は、稼いでみせよう!」
 答えた『絶海武闘』ジョージ・キングマン(p3p007332)はきゅっと自らの手袋を握りなおす。
(なるほど、『アイランド』タートルね……確かに島だわ。
 これで沈んで撤退とかなった日には、確実に亀苦手なんすよーってなるよね……)
 島の如き大亀を見上げながら『見敵必殺』美咲・マクスウェル(p3p005192)はそう思案しつつ、黒色の瞳で敵を見据えていた。
 「で、でっかすぎー!? って、ビックリしてる場合じゃないよね。
 絶対皆で生きて帰るんだ!」
 驚愕していた『ディフェンダー・フォックス』ヒィロ=エヒト(p3p002503)は我に返って覚悟を決める。
「ボク達が小舟であの亀さんの近くに行って気を引くから、船長さん達はまっすぐ逃げ延びて!」
 艦の船員たちにイレギュラーズ同士でまとめた作戦を艦の船員達に伝えていく。
「軍艦二隻には亀の進行方向を見て距離を取るように移動して
 波の状況を見て船の側面に直撃しないように注意しろ」
 それと同時に続けたのは『二代野心』エイヴァン=フルブス=グラキオール(p3p000072)だ。
 一応の注意事項を述べたエイヴァンに船長も頷いた。
「てめぇら! 速度を上げろ! イレギュラーズのやつらが
 小型船に乗り換えて大丈夫なぐらい間合いを開けるぞ」
 船長が叫ぶ。すると、船員達の号令が飛んだ。
「おーい、そこのでっかいの!」
 十夜はスピーカーボムを用いて問いかけてみる。
 しかし、こちらを意識してない亀がその問いに答えてくれることはなかった。
 それに続いた史之の御子饗宴を受け、イレギュラーズ達は各々が行動を開始した。


 最初に動いたのはヒィロだ。
 空に滞空しながらアイランドタートルの斜め前に布陣したヒィロはまっすぐにアイランドタートルを見据える。
「ごめんね! でも、まずはこっちに気づいてもらわないといけないから!」
 そういうとともに、自らの威風をアイランドタートルに向ける。
 帰ってきたのは、ぐるりと回る大亀の顔だった。
 それと同時に動いたのは美咲だ。
 船上、アイランドタートルの目の近くへと射程を調整して、呼吸を整える。
 独特の呼法を用いて呼吸を整え、全身の魔力を一転に収束させていく。
「き づ け -!」
 ゴウッと強烈な魔力の圧と共に、アイランドタートルの目の前をかすめるように魔砲が放たれる。
 ほんの僅かに掠めた魔砲を意に介することなく、大亀はのんきに進み続けている。
 ヒィロと美咲による連撃が放たれるのとほとんど同時に動いていたのは利香だ。
 雷の翼を展開して低空飛行した利香は自らのチャームを向けるよりも前に、アイランドタートルの意識がヒィロに向かったのを見て、夜魔剣グラムを構えた。
 そのまま、島の如き敵の巨体に取り付き、自らの身体に強化を施して、目にも止まらぬ速度で切り刻み、最後に跳躍、斬りあげた。
 その着地と同時、利香は夜魔剣の切っ先をそのままに、魔眼の力を起こす。
 生憎とこちらからはアイランドタートルと視線を合わすことは出来そうにないが――美しく描かれた軌跡は妖艶に。刻まれた傷跡には地獄の如き業火と致死性すら帯びる猛毒が刷り込まれる。
「わるいな、こうでもしないと認識してもらえんからな」
 砕氷戦艦「はくよう」を走らせるエイヴァンは、アイランドタートルの目元からやや後ろ、鼓膜辺りに狙いをつけ、斧銃【白煙濤】を投擲する。
 振り抜いた腕が少しばかり痛むが、大したことではない。まっすぐに飛んだ斧銃はエイヴァンの狙い通りの位置へと叩きつけられ、強烈な衝撃が波のように大亀を打った。
「少しの間、止まってもらおうか。お前が泳ぐと、海が荒れすぎる」
 ジョージはそう呟くと共に飛翔した。
 大亀の目の後ろ当たり、エイヴァンが攻撃をぶち込んだのとは逆の耳付近に狙いを定め、イサリビに魔力を籠める。
 そのまま、錨をモチーフとした腕輪による攻撃補助を受けた青白い光を放つガントレットを、思いっきり亀の方へめがけて振るう。
 瞬間、斬撃が空を走り、大亀の耳あたりに炸裂した。
(仮に船をぶっ壊されても海種のおっさんは溺れねぇんだが、こいつは一応店(ギルド)の備品なわけで。
 陸に戻った後が怖ぇから、できりゃぁ壊さんでくれると有難いねぇ)
 そんなことさえ考えながら十夜は、距離を調整しつつ、船から大亀へと飛び乗った。
 ゆらりゆらりと進む大亀の甲羅の一部その見るからに頑健とした皮膚に手を添えて、強かに一撃を打つ。
 アイランドタートルの背後にまで回り込んだ史之は眼鏡越しの瞳でまっすぐに相手を見据えて、狙いを静かに定めていく。
 赤光理力障壁・弐式を相手の方へと掲げれば、障壁の形状が変質し、赤く輝く槍を形作り――直後、風を切って射出された。
 荒波を裂いて進む障壁は、大亀の甲羅と皮膚の間へと入り込み、突き立つ。
 頑健な防御性能をすり抜け、赤い輝きがまばゆく亀の身体を照らした。
(ちょっとかわいそうだけど、きづいてもらわないと!)
 船の上に残っているリリーは頷くとともに魔術書を媒介に魔力を高めると、百合式式符を発動させる。
 式符より生み出された黒炎烏を亀の方へとけしかけた。
「ごめんね!」
 ゆっくりと動く亀の頭部を遮るようにして舞った烏は、そのまま亀の肉体へと激突する。
 黒き業火を放ち始めた肉体に対して、アイランドタートルは大した反応は見せない。
 途方もない体力ゆえのものであろうか。

 大きく円を描く様に首を動かすアイランドタートルへヒィロは星夜ボンバーを向けて盛大な音と光を放つ。
「亀さーん! 目の前のボク達に気付いて!」
 そう叫んだ直後、亀がぐるりと視線を巡らせ、ヒィロに合わせた。
 しかし、その目には明確に我を失っている怒りが見て取れる。
『フォォォォ』
 船の警笛のような鳴き声を上げながら、大亀がヒィロに向かって動き出した。
 ヒィロはちらりと視線を船の方に移す。
 進行方向と僅かな差。それを確認すれば、それだけでいい。
「こっちを! 見ろぉ!!」
 叫ぶのと共に美咲は視線をアイランドタートルに向ければ――ちらりと、アイランドタートルと目が合った。
 虹色の外より齎す闇。全身全霊ともいえる殺意を籠めた視線をまっすぐにアイランドタートルに向ければ、少しばかりの反動にズキリと目の奥が痛む。
 眼光の交わりの直後――アイランドタートルの頭部が薙ぐ。痛みと衝撃で反動を受けたかのような動きだ。
 イレギュラーズによる攻撃に晒されたアイランドタートルがその首をやや縮め、まっすぐにヒィロめがけて海を動き出す。
 波が荒く変質し、慣性が一部のイレギュラーズへ襲い掛かる。
「――このっ! 落ちちゃうでしょうが! でも、我慢比べなら私の方が得意なんですよ!」
 幸か不幸か、サイズ感を差し引いて考えれば、機動能力は波といったところか。
 振るい落とされないようにアイランドタートルと並行移動しながら、利香は再度の魔力を籠めていく。
 魔眼と共に振り抜いた夜魔剣が亀の甲羅と皮膚の裂け目に炸裂する。
 本のかすり傷から、しみ込んだ毒はアイランドタートルの内側を痛めつける時間を増やしていく。
「このあたりか……射角よし……」
 エイヴァンは斧銃【白煙濤】を戦艦の甲板に固定しつつ舵を取って船の位置を調整する。
 元気に動き始めたアイランドタートルだが、巨体ゆえに狙いを調整するのはたやすい。
 格好の位置についた瞬間、白煙濤がその銃口をあらわにし、一瞬の後に巨大な氷塊が複数射出された。
 砲撃の勢いが身体を打ち、少しの痛みを受けるころ、氷塊は蛇の身体へと叩きこまれていた。
「っとっとと。あぶねぇ……」
 天下御免の一撃を見舞った十夜は小型船の下へと戻っていた。
 遮二無二前へと進み始めたアイランドタートルの下へ下手に近づけば、波にあおられてぶつかりかねない。
 ゆっくりと舵を取りながら、相手が動きを一時的に止める瞬間を待ち――ふいに、しびれたようにアイランドタートルが動きを止める。
 先ほどの動きから推測し、船がぶつかりそうにない位置で停止すると、再びアイランドタートルの皮膚に着地、再び痛打を叩き込む。
 リリーは荒波に揺れ始めた船から転げ落ちないように近くに合ったものに捕まっていた。
 そんなリリーに気づいた美咲がそっと掌に乗せて安定させる。
「大丈夫?」
「ありがとう!」
 リリーはお礼をすると意識を魔術書に向ける。それを媒介に魔力を練り上げると荒波を打つ海面にゆらゆらりと蛇が姿を現す。
 蛇はそのまま波に従いながら徐々にアイランドタートルへと近づいていき、がぶりと噛みついた。
「すまんな、手荒なノックになるが……」
 強く握った拳。固定された腕輪さえも青白い妖気に晒されるほど濃密に力を収束させ、引き絞り――叩き込む。
 弱点をさらけ出した激しい一撃にアイランドタートルの身体がわずかに揺れた。
 史之は頭部の方へと回っていたのを再び尻尾側に来ていた。
 赤光理力障壁・弐式を剣状へと変質させ、海面に覗く尻尾の付け根を切り裂けば、嫌がるように海中に合った尻尾が降ってくるが、それはなんとか躱せた。
 それどころか、勢いづいた尻尾はそのままアイランドタートルの身体へと叩きつけられた。


 ぐんぐんと上がる速度と共に、イレギュラーズは徐々に船との距離をぎりぎりまで広げていく。
 あれから少し経った。ふと、その時だった。今まで熱心にヒィロを追いかけていたアイランドタートルが動きを止める。
(今ならいけるはず!)
 ヒィロは数度目となる星夜ボンバーをアイランドタートルに向けて放つ。
 激しい音にアイランドタートルがぱちくりと瞬きした。
 その様子を見た十夜はアイランドタートルへと声をかける。
「おーい、お前さん。のんびり泳いでる所悪いが、ちっとこっちの話を聞いてくれねぇか?」
 それに続くのはアイランドタートルと前に立ちふさがるヒィロだ。
「亀さーん、ボク達に気づいて! お願いがあるの!」
 じくじくと痛みを覚えてるのか、身じろぎしつつ亀が動きを止めている。
「かめさん、ちょっととまって! おねがい!」
 続けてそう叫ぶのは、船の上から声をかけたリリーだ。
『…………小さきものよ――――私の邪魔をするのか』
「ごめんなさい! でもリリーたちもこのままだとしずんじゃうから。きいてほしいの!」
『――この痛みを刻んだ者たちが……何を言う』
「それもごめんなさい!」
「ボク達にきづいてもらうには、やむを得なかったんだ。
 痛い思いをさせてごめんなさい……!」
 リリーに続けるように謝罪しつつ、ヒィロはアイランドタートルへ手を向ける警戒する様子を見せるアイランドタートルへと注がれるのは、優しき光。
 その輝きはアイランドタートルを苦しめていた数多くの痛みを癒していく。
『よかろう。私が前に立つ不遜を許そう』
 巨躯ゆえか、アイランドタートルはイレギュラーズを見下ろすように答える。
「ごめんなさい。ほんのすこしだけとまっててほしいの! リリーたちもこのままはなれるから!
 それがむずかしいなら、すこしだけすすむほうこうをずらしてほしいの!」
『……私に止まっておけというのか。不遜よな……』
「それと……今回みたいなことを起こしたくないんだ。
 何か気づいてもらえやすい方法があったら教えてほしいんだ。
 音や匂い、色、形、何でもいいから」
『さてな……私は良くわからぬ。だが――――この先を進むなら島だからと油断せぬことだ。
 それだけは忠告しておこう。恐れ知らずの不遜な者どもよ』
 その場で止まった大亀は静かにイレギュラーズを見つめていた。
 大亀の周囲にいた船を駆るイレギュラーズもまた、一度亀から距離を取って移動していく。
「ありがとー!」
 船の甲板、よく見える位置に立ったリリーは大亀へと手を振り続けた。
「亀さんバイバーイ! 元気でね!」
 同じように、ヒィロも手を振ってアイランドタートルから離れていく。
「気づかないレベルのサイズ差とはいえ
 根本が敵対的でなかった存在なだけ幸運と言える……かな?」
 ぽつりと美咲はつぶやいた。
(まさに山を殴り続けるような今回の状況……
 抜山蓋世とはいかない以上、何度もは御免こうむりたいものね)
 安堵の気持ちは言葉にせず、離れていく亀への視線を向けていた。
 美咲とはある意味では対照的に、いつか敵対する可能性を考慮して大亀を鋭く見据え続けたのはジョージだ。
「んーさすがに倒しきれなかったですね」
 堅牢な大亀を少しばかり見ながら、利香は船の中に着地する。
「みんな、無事かい?」
 続く様に着地した史之も周囲――特に女王陛下の民たる船員たちを見渡して頷いた。
 アイランドタートルから遠く離れたころ、自らの小型船に乗っていたエイヴァン、十夜が合流し終えた。
 それぞれの思いを抱きながらも、絶望的なこの海の中で、どことなく穏やかな航海が終わりを告げる。
 船は航路を近海へ取っていく。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

お疲れ様です。イレギュラーズ。皆様の活躍と判断により、無事に旗艦は近海への帰還を果たせたようです。

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