PandoraPartyProject

シナリオ詳細

泉彩る未来

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

⚫未来を映す泉
 その世界は嘗て死に面していた世界。

 世界は彩りを取り戻し、どこまでも広がる花畑は今日も風に揺れ、中心で聳え立つ大樹は歯を生い茂らせて。

 ひゅるりと風が吹いてきたのはどの島からだろうか。この幻想的なシャボン玉や蝶が舞う春の島の大樹を中心に空を浮上するのは季節や用途ごとに役割のある様々な浮島。そのさらに上空にはいくつもの月が浮かんで。
 大妖精の像は今も泣いているけれど、これは命の涙。この世界の人々を救う水源となっている。

 そんな『妖精の常』では、不思議な泉が数多く存在しているらしい。
「私はどんな未来が映るかしら……」
 興味本位でその泉に近づく少女。光り輝く泉は少女の言葉に反応するように波紋した。
「え、うそ……っ!」
 少女は酷く驚いて……頬を朱へ彩らせる。
 その泉に映った彼女は幸せいっぱいの笑顔で、ウェディングドレスに身を包んでいて……大好きな彼の隣が隣にいたのだから。
「きゃー!本当にそうだったらどうしよ!」
 少女は頬を染めつつも、喜びが溢れてどうしようもないと言うように笑顔が溢れる。少女の希望する良き未来が見えた様子であった。

 ──それもそのはず
 その泉は『良き未来を映す泉』なのだから。




 ここは様々な泉が存在する世界『妖精の常』。
 その世界の中心・春の島では神木的な大樹がそびえ立ち、無限に広がる花畑がある。その上空に複数存在する浮島、その島々には色も形も様々な泉が存在する。
 その中でも『良き未来を映す泉』は願いを込めて見つめた瞬間泉が波紋し、段々とそれが映っていく。

「良い未来が見える泉なんて……とっても素敵!私も見てみたいなぁー!」
 そう笑顔溢れんばかりに『妖精の常』を紹介する境界案内人。

「現実ではいいことも悪いことも起こりえますからね……せめて夢でくらい良い未来を見たいものです。それが幻想的なものだったとしても、救われる方だって居るはずだから……」
 優しい夢だって悪くないはずです!と境界案内人は握りこぶしを作る。『常世の月』の境界案内人とはまた違った雰囲気を感じさせた。
「皆さんも気軽な気持ちで見てみては如何でしょうか?……ああ、ここでは皆さんは救世主ですから、現地の方々も快く泉に案内して下さると思います。それではよろしくお願いしますねっ!」
 境界案内人はそう頬笑みを浮かべてあなた達に告げた。

NMコメント

初めまして、もしくはお久しぶりとなります。
月熾と言います。
七作目のライブノベルは日常
そして皆さんに救って頂いた世界を舞台としてみました。

関連シナリオに参加されていなくても
楽しまれるような仕様となっていると思いますので
気軽な気持ちで参加して頂けたらと思います。
どうぞよろしくお願い致します。
関連シナリオ:<TinkerBell>壊れた花畑

●依頼内容
『良き未来を映す泉』の調査
成功条件は良き未来を見ることです。
※悪い未来を希望されても
良き未来に改変される可能性のある泉になります。

●詳細
この泉を見つめ、波紋した後にその未来は見えます。
基本的に悪いものは見えることありませんが
『キャラクターにとって良き未来』であれば不可ではありません。

書いて頂きたい事は
・時間と場所等
・どんな良き未来か
・それに対してのあなたはどんな反応を示すか
※誰かがいた場合は名前を出さずそれっぽく描写します。

を、最低限書いてください。

●世界観
妖精が住まう複数の島が空に浮かぶ世界。
その世界では大妖精の像が生み出す泉を元とした伝承が多いようです。

●サンプルプレイング
いつどこ】冬のリビング
良き未来】家族とコタツでのんびり
反応】
私はずっと戦いに戦いを重ねてきたのに
こんな……こんなほのぼのとした未来が見えても良いのだろうか……
……そうだったなら、いいとは、思うけれど……。
なんだか恥ずかしい……!

それではご参加、お待ちしております。

  • 泉彩る未来完了
  • NM名月熾
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2020年02月03日 22時40分
  • 参加人数4/4人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

寒櫻院・史之(p3p002233)
冬結
シェルマ・ラインアーク(p3p007734)
金獅子
冬宮・寒櫻院・睦月(p3p007900)
秋縛
カロン=エスキベル(p3p007972)
対価の魔女

リプレイ

●それぞれの『良き』未来を
 四人が歩くのは春の島の北に位置する冬の島の森。この森にその泉は存在する。
「『良き未来を映す泉』だって。どんなのが見えるんだろうね。ねえ、しーちゃん」
「そうだね。まあ楽しもうか、カンちゃん」
 『女王忠節』秋宮・史之(p3p002233)と『言祝ぎの祭具』冬宮・寒櫻院・睦月(p3p007900)は幼い頃からずっと一緒にいた同郷の幼なじみの二人。今日は召喚されたばかりの睦月を案内する一環として。言わばレクレーションみたいなものだと言う。
「『良き未来』が見える、とはな。それが真実であろうと幻であろうと関係はない。俺は最初から、手放す気などないのだから」
 『金獅子』シェルマ・ラインアーク(p3p007734)はクールな口ぶりでそう言いながら歩いていて。
「泉を見るだけなんてつまらないお仕事ね……せめて面白いものが見える事を願っておくわ?」
 『新たな可能性』カロン=エスキベル(p3p007972)も少しつまらなそうに歩いていて。

 島民の指示によりここからは一人ずつ泉へ向かう事になる。それがこの世界のルールだと島民は腕を組んだ。そうしてイレギュラーズ達は一人ずつ泉へ向かう。




「いよいよご対面だね。緊張するよ……」
 未来を見るだけ……ではあるが、睦月がここに来たどのメンバーよりも緊張しているのは、共に来た幼なじみのせいかもしれない。

 僕としーちゃんは幼馴染。ちっちゃい頃からずっといっしょ、しーちゃんは優しくて料理男子……ずっと一緒にいたい。
 だけど残念なことに僕は年下で変な体。しーちゃんの好みは年上で背の高い美人……知ってる。心の中で何度も何度も繰り返した言葉。
 そんな事を考えながら早く覗かないとと、睦月は泉を見下ろした。
「なんだろう……真っ白できれいな、ドレス? ヴェール? あ、ウェディングドレスだ!」
 ここは教会のように見える。花嫁さんは準備を整えているのかな? と、そうして次第に気づいた、僕がいる。椅子に座って誰かを待っている。目を閉じて、とてもうれしそう……自分の幸せそうな姿に思わず微笑みがこぼれる。
「あ、薄いけど、胸、ある…女の人の体だ」
 ということは僕「生涯の伴侶」に出会えるってこと? 伴侶に出会えたら僕はこの変な体じゃなくなる。成長するし性別も決まる。
 ねえ、誰? 早く映して! 気持ちばかりが早ってしまって仕方がない。
「あ……」
 しーちゃん……しーちゃん、しーちゃん、しーちゃんだ! 真っ白なタキシード、王子様みたいだ。僕を立ち上がらせ抱きしめてくれる、お姫様みたいに。
「夢でいい、夢でいいよ、幸せだよ」
 胸が張り裂けそうだよ、涙が止まらないよ……しーちゃん、しーちゃん……。泉に移る自分が酷く酷く……羨ましい。

「うわっ! カンちゃんなんでボロ泣きしてんの?!」
「大丈夫だよ、ちょっとね、すてきな未来が見れたんだ」
 戻ってきた幼なじみを見て史之はぎょっとする。その姿に睦月は苦笑を浮かべた。
「教えてくれないの?」
「……内緒」
「……いいけどさ。とりあえず、ほら」
 睦月は史之にハンカチで涙を拭われながら物思いに耽ける。現実は残念……。しーちゃんが僕の伴侶なら、とっくに僕は女の人。そのくらいはね、ずっと、想ってるんだよ。
 こっそりとこの思いは膨らむばかりで。




 波紋する泉をシェルマは覗き込む。
 窓から暖かく差し込む陽の光、見慣れた自室に見慣れたテーブルと積み上げた沢山の本……。なるほどここは。
 けれど少し違ったのは今の自分とはまた違う姿。老い方を見るにこれは……十年後ほどの事なのだろうか? 疑問に思っていると一人、この部屋へ入ってくる。その姿はハッキリと見覚えがあった。
「……紅茶と菓子の準備が出来たよ」
「ああ」
 辿るように映るものを見ていけば、いつもの読書時間に、いつものように紅茶とお菓子を用意し頬笑みを浮かべるアイツの姿。アイツは……今の姿から変わってないように見えて……シェルマは少し寂しげに思えたが、今と何も変わらず微笑むアイツ……いつか、いつか自分の死が二人を別つまで……これはアイツが隣にいる事が確約された未来、なのだろうか。
 それを想うだけで彼の表情から寂しさは消え、静かに微笑み泉に移る『アイツ』を愛おしげに見つめた。
「……ああ、まったく。あまりにも欲がなさ過ぎて笑えるほどだ」
 肩書に縛ることもなく、その首に鎖を繋ぐこともなく。ただずっと一緒にいてくれれば良いだなんて。
 確かにこれは良い未来と言えるのだろう。
 いつだって自ら身を投げ出すように戦場で誰かを護って笑うアイツが、その場所を嫌う俺の隣にいつまでいてくれるのか保障など何処にもないというのに。未来など不確かで曖昧で……そんな事はわかっていると言うのに。
「俺が死ぬまでアイツの生が確約された世界があるのならば……ふむ、そうだな」

 それを手に入れる為に、俺はどんな手段も選ばないだろうな。
 シェルマは静かにそう呟いて。

 『良き未来を映す泉』……つまりはその人の願望を映す泉でしかない。
 けれども願望は力。願わなければそれを掴み取る事すら出来ない。シェルマはそれを決意する機会をここで得ただろうか?




 泉に移るその森には見覚えがあった。
 カロンの故郷にある霧の森。鬱蒼と木々が茂って、昼夜問わず暗く霧で覆われロクなところではないと彼女は語る。
 それも口減らしや死体遺棄によく使われてた事もまた、不気味さをより引き立てていたのだろう。カロンは思い出すだけでも気分が悪くなっていった。
 けれどそれも一瞬の事で、霧の森と呼ばれていたその場所から次第に霧が消えていく。
「これは……」
 カロンは何が起きているのかわからなかったが、これはきっと生を取り戻した森の姿なのだろう。
「全体的には変わってないようね。でも確かに感じる生の空気、何の心配もなく遊び、生きていく事ができる子供たち……」
 この森では見た事のない子供たちの笑顔がこの泉には映っていて。あんまり深くまで行っちゃだめよ。私の沼はそんなに良いものではない、けれどここを必要とする生き物もいる。訳ありの死体が投げ込まれる事も、子供たちが足を取られて溺れる事も、捨て置かれる事もない。
「あぁ、木こりの男たちが立派な柵を作ってくれたんだわ」
 それでも乗り越えてみようとする悪戯っ子には沼地の魔女として止めないとね?
 カエルにナメクジにミミズがどばどばよ?ふふっ

「……たまには悪くないと思うわよ、現実逃避なんて後ろ向きなものに縋ってちゃいけないけどね」
 こんなもので安らいでいる暇は私にはないのよ……カロンは俯きつつも思いを新たにする。
 この光景を本物として実現させなければ、精霊種として生まれた意味がない。……しかしまぁ、もうちょっと良い未来を見せてくれても良かったんじゃないかしら? この泉は案外ケチなのかもしれない。
「カロン様の御殿が立ってて毎日バラのお風呂であはーんうふーんよ、次くる時までにその泉に覚えこませときなさい」
 胸も三割増しくらいにして見せるように。それじゃ、またね。

 本当にそれを願っていたのなら、見れた未来ではあっただろうけれど。カロンの真なる願いにはそれはまだ程遠いらしい。




「幻覚系の魔法か、こういうのは悪夢って相場が決まってるけれど『良き未来』って奴なら大丈夫だろ」
 史之は特に期待を見せずに泉を覗き込んでみる。その瞬間泉は波紋して──
 リーン、ゴーン……教会の鐘の音が聞こえたような気がした。それが祝福の鐘だと言う事は史之でなくても聞き取れる。
 ──これは紛れもなく結婚式の風景。
「あ、俺だ。タキシード着てるってことは花嫁が出てくるのかな……いかにもなお約束だね」
 白いタキシードに身を包む自分を見つけて思わず微笑む。相手はどんな人なのだろうと少しだけ期待を寄せた。理想に近い女性だったらいいなとぼんやり思っていたその時だった。
「……来なきゃよかった。なーんだこれ」
 目の前に現れたのは、昔からよく知っている幼なじみの酷く酷く綺麗な姿。
「ありえねーよ、バカジャネーノ……何考えて映してんのこの泉は。こんなとっくの昔に踏み潰して諦めた幸福なんか……」
 幸福なんか……吐き捨てた言葉はグルグルと史之の脳裏を反響する。こんな事あるはずがないのに……そう思う反面幸せそうに笑む幼なじみを思えば再度泉へ目線を落としてる自分がいて。
「女の人になれたんだねカンちゃん……綺麗だね……本当に綺麗だ……。真珠みたいに傷つきやすそう……大切にしなくちゃ。……なのに俺が『生涯の伴侶』かよ、バカジャネーノ。カンちゃんにはもっと……すてきな……」
 俺のタイプは年上、背が高くてスタイルいい美人、性格は強気で偉そう、そんなのがいいんだよ。同年代は興味ない、年下は論外、そういうことにさせてよ……。
 そう頭を抱えていた彼だったが、ふと再三目線を泉へ向ける。
「……夢だ、夢だよ、いいさ、どうせすぐに忘れる。だから夢でぐらいおまえの伴侶でいさせて」
 この悪夢を見終えたら普段通りに戻ればいい。今までもそうしてきたのだから……きっと今回も大丈夫。俺ならちゃんと出来るよ。
 史之は悪夢のように焦がれた未来に魘されて。

「しーちゃん」
「ん?」
 史之の意識は少し飛んでいたようだった。
「僕しーちゃんの羊羹食べたい」
「羊羹ね、はいはい、本当に好きだね。仕方ないなあ」
 泉? 俺は……何も見えなかったよ。今が一番幸せってことじゃないかな、あはは。


「あ! 皆さん、おかえりなさーいっ! どうでした……あら? なんだか良き未来を見たとは思えない顔をされていますけど……」
 『妖精の常』の境界案内人は少し疑問に思いながらも頬笑みを浮かべて。
「この世界の泉は真なるものを映します」



 それがどんなものであれ
あなたの変化へ何かしら影響があらん事を。

成否

成功

状態異常

なし

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