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シナリオ詳細

《消滅世界》首都アムール編

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●世界を襲った惨劇
「ああ、なんてこった……。本当に、どうして……」
 崩壊した世界で、一人の男が膝をついて項垂れた。
 まるで混沌世界の様に、様々な国がそれぞれ活発に動いていた世界。その世界は突如として発生した異常事態により一瞬で崩壊を招くことになってしまった。
「何故……」
 大地を揺るがす超巨大な地震が、その世界の人間全員へ均等に絶望を与えたのだ。
 崩壊する都市、町、そして、数多の人々。それが自然の摂理だというのであれば……例えそうだとしても、突然の事に受け入れることが出来ないだろう。昨日まで暮らしていた普通の生活。昨日まで当然だった光景。そして、昨日まで生きていた命。

 巨大都市『アムール』もまた、その大災害に直面していた。
 中央にそびえ立っていた巨大なもみの木は斜めに傾き、賑やかだった街並みは一転、その姿は見る影もなくなってしまっていある。
 幸いだったのは、世界的に大きな都市であったために避難場所は豊富だったことだ。
「大丈夫……。きっと大丈夫だから」
 だが、世界的に起きた大災害による被害は、その世界の技術では現状復興困難を強いられていた。

●私の思い出を壊さないで
「まず、私的なお願い事になってしまうことをお許しください」
 イレギュラーズの前に現れた境界案内人イヴが持っていた本は、まるで燃やされたかのように焦げ、消えることのない火種が刻一刻と本の命を削っていた。
 彼女は小さなため息を吐きながら説明を始める。
「自然、大地が起こす現象により起きた災害は、いくらイレギュラーズでも止めることは叶いません。例えそれで世界が消滅してしまうのなら、それはその世界の運命であるとも言えるのでしょう」
 変えられない運命、曲げることのできない運命もあるということを、境界案内人である彼女が一番理解し、それを見てきたのだろう。
 だが、それでも彼女は諦めることが出来なかった。その世界だけは。
「現在、突然起きた巨大地震により崩壊、消滅へ向かっている世界があります。世界的に発展途上であったが為に、このままでは全人類は絶滅の危機を辿るでしょう」
 しばらく間が開く。いつも冷静に説明を行っていたイヴだが、今回は何故か動揺を隠すことが出来ずにいる様子だった。
「今ならまだ……。今ならまだ、皆様の力があれば世界の修復をすることは叶います。ですから、お願いします。この世界を救ってください」
 深々と下げられた頭は、イレギュラーズが現場へ赴くまでに上げられることはなかった。

NMコメント

 このシナリオの世界は、以前公開されたライブノベル『異世界の聖夜祭』と同じ世界になります。気になる方は冒険終了からご確認頂ければ幸いです。
 どうも、青銅の勇者です。

●目的

【1】中央部の傾いてしまった超巨大もみの木を元に戻す
 全長約3マイル、アムールでは巨大樹として崇められてきた存在ですが、地盤沈下により傾いてしまっています。
 幹の太さも尋常ではないので、まず普通に戻すことは難しいでしょう。少し工夫が必要です。

【2】荒廃しかけている首都の復興を手伝う
 荒れてしまった建物の修復を手伝って頂きます。
 町の人間にもそれなりの技術を持ったものがいるので、そこまで難易度は高くありません。人手が足りないのです

【3】絶望してしまった人々を励ます
 絶望は人の活力を無くし、やがて死への欲求すら抱くことになるでしょう。
 大災害に見舞われてしまった人々は大きな避難所を中心とした頑丈な建物の中で過ごしています。彼らには希望が必要です。

●世界観
 天然のもみの木が首都の中央にそびえ立つように、全体的に自然が多い世界です。
 技術的には混沌世界よりも低く、長い年月をかけて作られてきた都市です。機械は少ないので、移動手段等は馬車や牛車頼りになります。
 争いごとは世界的に見て少なく、とても平和な世界でした。

●首都『アムール』について
 この世界で一番大きな町です。
 首都の中央にそびえ立つ見上げる程に巨大なもみの木は傾き、賑やかだった様子は一変して静寂に包まれてしまいました。
 観光スポットだったもみの木は、斜め75°程に傾いてしまっています。

●境界案内人について
 今回、首都にいくつも存在しているどこかの避難所で、境界案内人のイヴは食料を提供しています。
 基本的に彼女単体での描写はありませんが、同行を希望の際はご記入ください。

●プレイングについて
 今回、プレイングの一行目に何をするか番号をご記入ください。
 また、誰もいない区間があった場合はその場所の描写はされません。

●アドリブについて
 本シナリオでは、アドリブが多めに含まれることがあります。
 アドリブがNGの場合、通信欄か目標タグの横に一言記載ください。

 それでは、Good ruck

  • 《消滅世界》首都アムール編完了
  • NM名牡丹雪
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2020年02月02日 22時15分
  • 参加人数4/4人
  • 相談5日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

ビーナス・プロテウス(p3p007066)
渇愛の邪王竜
紅楼夢・紫月(p3p007611)
呪刀持ちの唄歌い
小刀祢・剣斗(p3p007699)
新時代の鬼
黒影 鬼灯(p3p007949)
やさしき愛妻家

リプレイ

●巨人と傾いた巨大樹
 巨大都市。建設は一生、破壊は一瞬という言葉があるように、人々が一生をかけて築き上げてきたものは、あるとき一瞬で壊れてしまうことも少なくはない。
 この世界ではその現状が顕著に表れただけであり、自然の摂理で起きた現象はそう簡単に防げるものではないということを、首都アムール中心部に存在する巨大なもみの木が物語っていた。
「大地震ごときで消滅しそうなんて、相変わらず人間って脆いんだね」
 『渇愛の邪王竜』ビーナス・プロテウス(p3p007066)は、自分よりも遥か彼方に背の高いそれを見て小さく呟いた。大地震の影響で傾いたそれは、深くまで張り巡らされた大樹の根により倒れはしないものの、崩れる危険はあるだろう。
「この傾いてるもみの木を元に戻せばいいんだね?」
 高さにして約3マイル。つまり全長で5000m程の大きさを誇る大樹は小さな人の手に負える産物ではなく、ビーナスでさえ遠い目で見上げる程のものだった。
「どうにか出来ないものでしょうか……?」
 高さに比例する太い幹の周りには、傾き崩れた部分だけでもどうにか補強しようと沢山の人が集まっており、雲より高くまで伸びた大樹を見上げるビーナスの傍には町娘が助けを求めて頭を下げていた。
「大丈夫、怪獣に不可能は無いのだー!」
 たまには人助けというものをしてみても良い。そうすれば自分が求めているものを手に入れられるかもしれないし、むしろ適任ともいえる役目だろう。
「うわ、地盤沈下が酷いね……。私の居た世界だとこういう時ちゃんとした方法で戻せるんだけど……ここじゃ出来そうにないよね?」
 傾いた大樹に近付き触れたビーナスは、その樹木はただ押しただけでは不動であることを理解するだろう。それ程にこのもみの木は巨大すぎるのだ。
 だが、起点は元に戻す方法に悩んでいる時に起きた。
「やべぇ! 崩れるぞ!!」
 大樹の反対側から聞こえる声と、何かが激しく崩れる音。爆発音に似た音の発信源に駆けつけてみれば、傾いた方向の反対でせり上がった地面を整える作業をしていた町人が失敗を起こしてしまったらしく、地面が大きく崩れ始めてしまっていた。
「わわ、大変!」
 大樹が根を張る地面は地割れを起こし、大樹は反対方向へ傾き始めた。
 このままでは地面が完全に崩れ、大樹ごと崩落を起こすだろう。
「ふぐぅぅ! 怪獣パワーだ!! 止まれー!!」
 揺れる大地。比較するとちっぽけなビーナスはぴったりと大樹に張り付き崩落を阻止しようとする。
「…………」
 大地の揺れが治まった。気が付けば大樹もまっすぐに戻っており、それは頼まれたことの達成を示している。
「ふぅ、止まって良かった。まだ崩れやすいから、気を付けて作業するんだよ?」
 巨大都市アムール中央に存在する大樹の傾きは元に戻った。
 だが、町の復興作業はまだまだ続く。

●豪然たる解体屋
「瓦礫、そっちいくぞ」
「ちょっと待って! これ以上こっちには……あ!」
 崩れかけた大きな建物で作業をしていた作業員は、内部の瓦礫の撤去作業を行っていた。
 順調に作業を続けていた二人だったが、ひょんとしたことから受け渡しに失敗し、高い所から瓦礫を落してしまう。
「やばい、下に人が居たら大変だぞ!」
 慌てて瓦礫が落ちた先を確認する二人。そして運の悪いことに、その先には一人の女性が歩いていた。
「あぶない!!」

 『呪刀持ちの唄歌い』紅楼夢・紫月(p3p007611)は、鼻歌を歌いながら崩壊した町並みを歩いていた。町の復興は至る所で行われているものの、やはり誰が見ても人手不足なのは否めないだろう。
「さて、しっかり手伝っていこうかねぇ」
 そんなことを呟いた最中、頭上から何か騒がしい声が聞こえた。
 何事かと思い見上げてみれば――。
「!!」
 目前まで迫っていた大きな瓦礫は、紙一重で抜かれた不知火により真っ二つに斬り裂かれる。直撃しても彼女にとってそこまでのダメージは無かっただろうが、斬り裂かれた瓦礫は不知火を納めた彼女の両端に、地面にめり込みながら落下した。
「私じゃなかったら、重症じゃすまないねぇ……これ」
 真っ二つにした瓦礫を見ながら呟けば、近くの大きな建物から二人の男が出てくる。
 どちらもお世辞にも屈強とは言えなさそうな男で、先程まで作業をしていたのか薄汚れた見た目をしていた。
「「すみませんっ!!」」
 頭を下げている二人を見て、作業中に瓦礫を落下させてしまったのがこの二人であることを理解した紫月は、何事もなかったように微笑む表情を見せるのだ。
「大事が無くて良かったねぇ。それより、私は力仕事なら得意やから……手伝うよー?」

●夢に恋をして
「わ……私も演説に……?」
「フハハハ、悪い考えではあるまい」
「病も気からというからな。気晴らしが必要だろう」
「わかりました。上手くできるかわかりませんが、やらせていただきます」

 大都市アムールには通常よりもかなり頑丈に作られ、災害時に避難することが出来る大ホールがいくつか存在している。
 持ちうる技術を全て利用して立てている為に地盤の崩れも置きづらいが、アムールの人口を考えると一つ一つに多くの町人が避難していることだろう。
「……すまないね」
 そんな避難所の一つで、この世界に数度遊びに来ていたイヴ=マリアンヌは、足りていないであろう食料を分け与えていた。
「気にしないでください。その……今日は私の友達が……」
「うん? なにか?」
 普段からあまり他人とコミュニケーションを取ってこなかったツケが今更足を引っ張る。
 事前にその二人が来ることを告知する筈だったのだが、なかなか告知が出来ないイヴにキョトンとした表情を浮かべながら首を傾げ……。
 そんな時。
『ごきげんよう! 素敵なお友達が沢山ね!』
「?!」
 突然人形を抱いた黒い忍者が現れれば多分きっと、どんな町人でも驚くだろう。
 どうやら町人に上手く説明ができないイヴを見かねて、『嫁殿命な忍者(腹話術師)』黒影 鬼灯(p3p007949)が飛び出してきたらしい。
「突然の登場で申し訳ない。大したことは出来ないが、この度は楽しんで貰うべく参上致した。こちらは嫁殿だ」
 鬼灯の説明にまだキョトンとしている町人達。そんな町人達にイヴは、あわあわしながらもようやく説明を始めた。
「その、皆さんが元気になってもらえるかなと……思いまして」
 上手く伝えることが出来なかったことに申し訳なく思っているイヴを差し置いて、黒子の鬼灯はたちまち小さな子供たちに囲まれることになる。
「そのお人形さん、どうやって喋ってるの?」
 腹話術という妙技を異世界で見かけることは殆ど無いだろう。この世界の人間も腹話術という言葉すら知らず、鬼灯が抱いていた美しい人形が何故喋っているのか理解できないでいるのだ。
「きっとお腹の辺りに細工が……」
「でも普通のお人形さんはあんな風に喋らないもん」
「本当は人形じゃなくて人なのかも!」
 あれやこれやと言う少年少女たちに鬼灯は微笑みながら、腹話術を続ける。
『ふふ、私の世界では喋るのが普通なのよ!』
「これこれ姫殿、あまり小さな子をからかってはいけませぬぞ?」
 それでも小さい子にとって人形は興味を惹くもので、それがかつて人を魅了させたことがあるのなら尚更だろう。
 そんな中で、一際人形に目を輝かせていた少女が居た。
『あなた、お菓子は好きかしら?』
 まるで生きているかのように手招きする姫嬢に少女は満面の笑みを見せながら頷くと、応じて近くへ寄ってくる。
『たねも仕掛けも無いのよ?』
 少女は驚愕したことだろう。
何故ならいつの間にイチゴ飴が自分の手に握られていたのだから……。
「「「す……すごい……」」」

 子供たちが和やかなムードになれば、大人たちも自然と和やかな気分になるだろう。
 鬼灯を見守りタイミングを見計らっていた『愛と勇気が世界を救う』小刀祢・剣斗(p3p007699)が、いつの間に表舞台に立っていた。
「あー……」
 事前に用意してもらった拡声器の具合を確かめつつ、鬼灯に集まっていた人々の目を一斉に自分へ向けさせる。
「諸君、まずは此度の大地震、お悔やみとお見舞いを申し上げる」
 今度は何が始まるのだろうと騒めく町人。その中で剣斗は演説を始めた。
「諸君の中には家を失い、大切なものを喪った者も居よう……さぞや辛かっただろう……。だが、悲しむ時間はもうおしまいだ! 諸君等は生き延びた! 生きてさえいればやり直せるのだ!」
 最初は騒めいた雰囲気だったが、既に場の空気は剣斗に呑まれ静まり返っている。
 そんな演説の中で、彼はイヴを見た。
「この街には聖夜祭があったらしいが……イヴ殿」
 想い出、追憶、追想……それらを一括りで示すのは難しく、様々な感情が交差する中で生まれるという。
「私は……」
だが、それでも彼女は確かな想い出に恋をしていた。
「私は……今も、あの時も、この町が……世界が好きでした。感情の無かった私に感情をくれたから……だから……」
 消えかけた世界にあの灯を。そう願ったイヴは、涙すら流す。
 そして人々は思い出すのだ。かつて美しかった町並みを、聖夜祭を、幸せだったあの時間を。
「少しはマシな表情が出来るようになったではないか。諸君等なら出来る。屈するな!
 諸君らの家族や子孫に対する愛と、未来を想う勇気があるなら……今こそ立ち上がれ!」
 その日、死都と化していた首都アムールに活気が蘇った。
 再び、夢を見たあの日を恋して……。

●号外『唄歌い』
「全く、無理のし過ぎは良くないねぇ……少し染みるよ?」
 紫月は、怪我に苦しむ町人の手当てをしながらそう呟いた。
 危険な場所での作業で怪我人が出てしまうのは仕方がないが、怪我人の数に彼女は少し不安気な表情を浮かべている。
「…………」
 そんな時、彼女は必ず唄うのだ。
 彼らが癒される、そんな歌を……。

成否

成功

状態異常

なし

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