PandoraPartyProject

シナリオ詳細

ブルーム・ファンタジア

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●ティターニアは素直じゃない
 ブルーム・ファンタジア。
 又の名を妖精祭。全ての命を祝福する妖精の寵愛の証である。
 花咲く世界『ブルーム・ブルーム』では、不定期に妖精祭が行われ、人々と妖精間の絆を深めてきた。
 愛くるしい妖精と人間との間で行われる其の祭りは、言い表すなら“奇跡のようだ”と。長年この世界に住まう『知を纏うモノ』──エルフや、一族の繋がりの強固な、代々伝統を引き継ぐ『新を創るモノ』──ドワーフ達は口にする。
 歴代の妖精王達がブルーム・ファンタジアに参加したのは妖精美酒が完成した年以降──つまり、若草の髪をもつ現在の妖精達の長、ティターニアは今年からの参加となる。
「とはいっても、私の参加だけじゃ盛り上がりに欠けるわよね」
 ティターニアは髪飾りに触れながら小さく呟いた。
 するとどうだろう。小さな妖精たちがわらわらと詰めかけ、口々にこう言うのだ。
「ティターニア、フルールをたよろうよ~」
「わたしたち、フルールがだいすき!」
「フルールならきっとなんとかしてくれるよ!」
「ぼくらからフルールにおねがいしちゃだめ?」
 と。人間に友好的な妖精がこう言うのだ。ティターニアは目を瞬かせた。
 ねぇねぇ、と瞳を煌めかせ乍ら言う妖精たちに、呆れたように肩を竦めたティターニア。
「フルールばかりに頼ってはいられないのよ?」
 とは言うものの、自身の脳裏に過るのもフルール達の姿なのだから、妖精達を否定するわけにもいかない。
「ブルーム・ファンタジアは妖精からの最高の祝福、人間への寵愛の証である」
 人差し指を立てて、妖精達に再確認するティターニア。妖精達も大きく頷いて次の言葉を待つ。
「妖精王であるものは、妖精美酒を作って以降はブルーム・ファンタジアに参加しなければならない。
 但し、人間が楽しんでくれることが最重要であるため、人間に協力を募るのは構わないこととする」
 にっこりと微笑んだティターニア。
 妖精達もつられて笑顔を浮かべるが、よくわかっていないようで首を傾げたり余所見をしたり。
 ティターニアはため息混じりに笑いながら、妖精達に告げた。
「つまり、フルールに協力を依頼してもいいってことよ。
 オーケー?」
 束の間の静寂。そして大歓声。
「わぁぁ……!!」
「ティターニアだいすき~~!!」
「フルールにおねがいしにいこ~!!」
「わ、わかったから私につめかけないで!? 立ち上がれないでしょう!」
 こうしてティターニアは、花冠師(フルール)達に秘密裏に協力を募るのだった。

●妖精祭
「皆、聞いてちょうだい!
 妖精祭──フルールファンタジアが開催されるみたいなの!」
 ポルックスはブロンドの髪を揺らしながら、イレギュラーズに向けて告げた。その青い瞳は、興奮で煌めいていた。
「ブルーム・ブルームでは妖精祭は不定期に行われる、一生に一度出会えるかもわからない素敵で謎に満ちたお祭りなの。
 それでね。今年、妖精美酒を作ったティターニアのために妖精達は今年妖精祭をすることにしたらしいのだけど」
 こほんと咳払いひとつ。
 冷静になるために深呼吸をしてから、ポルックスは続けた。
「更に盛り上げるためにフルールとして参加してもらえないか、とのことです!」
 腕に抱えた本が煌めく。まるで早くおいで、と急かすようだ。
「それじゃあ、皆よろしくね!」
 ポルックスは感想も待ってる、と笑みを浮かべて手を振った。

NMコメント

 ふと浮かんたのでまた依頼を出してみました。
 染です。冬は体調を崩しやすいので皆さんもお気をつけて。
 インフルエンザのピークは過ぎたというニュースを見ましたが、さてはて。
 それでは今回の依頼の説明に入ります。

●依頼内容
 ブルーム・ファンタジアを成功させる。

 妖精からの最高の祝福、人間達への寵愛の証である祭です。略称は妖精祭。
 多種族が参加しますが、主となるのは主に妖精です。
 不定期に行われるため、詳しく知っているのはエルフやドワーフなど、人間ではない種族のようです。

 一行目に
【1】パレードに参加する
【2】ティターニアの手伝いをする
 のどちらかを明記してください。

●フェアリー・パレード
 妖精達のパレードです。
 イメージは某ネズミの国のあれ。
 妖精達は歌ったり踊ったりしてティターニアの登場を盛り上げるようです。
 しかし、それだけじゃやだ、という妖精達の我儘に答えてあげてください。
 妖精達や人間は花に絡めた演出やきらきらした演出を好みます。スキルやアイテムを使って盛り上げましょう。戦闘スキルもいい感じになるので安心して使用してください。

●ティターニアに関して
 衣装や佇まいなど、何から手をつければわかっていない様子です。
 衣装を選んであげたり化粧をしてあげたり、緊張をほぐしてあげて、パレードの主役として輝けるようにサポートをしてあげてください。

●世界観
 魔法世界『ブルーム・ブルーム』。
 花と魔法で満ちた世界。魔法で文明が築かれています。
 基本的には物理攻撃よりも神秘攻撃がメインの世界です。
 また、ファンタジーな世界ですので、妖精やドラゴンなど、ありえない生物がいます。

●NPC
・ティターニア
 妖精女王。引き摺るほど長い黄緑の髪が特徴。桜色の髪留めが宝物。
 エルフのように長い耳を持つ。成長が遅いとはいえ、いつまで経っても凹凸のない身体に悩んでいる。
 またフルールの皆さんに頼ることを申し訳なく思っているようです。

・カナタ
 花冠師ギルド『Flowers Flag』のギルドマスター。齢19にしてトップクラスの実力を持つ温厚な青年。
 今回は警備に回っているようです。

●サンプルプレイング
 【1】
 俺はパレードに参加するぜ。
 花に絡めた演出が好まれるのか?
 ならここはロベリアの花を浸かっていこう。花って名前ついてるし……大丈夫だろ多分!

 【2】
 私はティターニアさんの衣装選びを手伝うよ!
 好きな色やデザインを聞いてからチョイスするよ!
 ……ふむふむ、それならこれはどうかな!

以上となります。
皆様のご参加、お待ちしております。

  • ブルーム・ファンタジア完了
  • NM名
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2020年01月18日 22時05分
  • 参加人数4/4人
  • 相談5日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

サイズ(p3p000319)
妖精■■として
武器商人(p3p001107)
闇之雲
回言 世界(p3p007315)
狂言回し
夏川・初季(p3p007835)
星さがし

リプレイ

●再会の花
「今日は来てくれて感謝するわ。申し訳ないけれど、頼むわね」
 いつもより些か高圧的なティターニアは顔に緊張の色を塗りたくっていた。どうやったらそんなにガチガチになれるんですか。ねぇ。
 見かねた花冠師の一人が歩み寄る。その銀髪には見覚えがあるようで、ティターニアも瞬きをひとつ。
「やァ、やァ、愛しい隣人達、可愛い女王様。
 我(アタシ)はどっちかっていうとキミたち側だから手伝いに来たよぉ。
 はい、これお年玉ね」
 『闇之雲』武器商人(p3p001107) はティターニアに宝石の如く作った飴玉、もといお年玉を手渡した。魔力も溶けてて美味しいよと呟いた武器商人の言葉に嘘はなかった。
「……!! とっても美味しくて……嗚呼、これは貴方の魔力ね、武器商人。
 とても安心できたわ。ありがとう。」
 桜色の髪飾りを煌めかせてティターニアは笑った。武器商人も口元に弧を描く。
「どうせならお話していかない? 緊張しているのだけれど、妖精たちは居ないから……」
 周りに目を向けたティターニアは小さく溜息を零す。そんな“少女”の姿に武器商人はゆっくりと頷いた。


「さあ、それじゃあ女王様の衣装作りといきますか」
 最早常連どころか顔馴染みとなりつつある『カースド妖精鎌』サイズ(p3p000319) は慣れた手つきで衣装を作り始める。
 目視でできる限りティターニアは凹凸の少ない身体だ。というか布しか纏っていない彼女はそれ以外ありえないだろう。
(人間達への寵愛の証である、寵愛の祭……。寵愛の所でコアである大鎌が痛むのは人間と妖精の悲恋から生まれたカースド武器だからか……)
 自他ともに認める鍛治妖精であるサイズは、金属を器用に扱い白銀の美しい鎧を作り上げていく。光を受けて滑らかな質感を目視でも理解させるほどに端正で美麗なそれは、正にティターニアの為のもの。星の飾りを施された鎧は妖精女王たるものに相応しい装いで。
(身体のラインの部分をシンプルにして、コルセットの役割を持たせる事で腰を細く……武器商人の案も取り入れてっと)
 少し手直しもして完成した鎧を隅において、残りの金属の使い道を思案する。
「ティターニアなら……ティアラとかどうだろうか。折角だし作っておくか……」
 ふと浮かんだ案を形にしていくサイズ。その額には汗が滲んでいた。
(悲恋の呪いと妖精の血を吸いたい吸血衝動が同時に来そうだが…大丈夫、妖精の力になるのが妖精鎌だ。
 呪いも衝動も押さえ、妖精の力になろう。
 それに、俺は半分妖精である以上、妖精の祭りなら手伝わないと)
 時折自身を襲う吸血衝動と“悲恋の呪い”に苛まれるも、何とか美しいティアラを作らんと熱心に鍛治を続ける。そう、『鎌のフルール』として。
 そして。光を纏う金を星屑のような形に仕上げ、そして出来たのは繊細なティアラ。
「わー、鎌のフルールすごい……!!」
「ティターニアよろこぶとおもう……!!」
 バタバタしつつも様子を見にやってきた妖精はにっこりと笑みを浮かべ頷いた。
 最後の仕事と言わんばかりにあの花畑の聖水を鎧にかけると、疲労困憊しつつ音を立てた。それは武器商人への合図でもある。
「あら……少し失礼するわね、武器商人。
 こんな所に動物は居ないはずだし……何の音かしら?」
 ティターニアは羽を羽ばたかせ、物音のした方に近づいていく。
 サイズはギフトを用いて武器商人の元まで向かうとそっと耳打ちした。
「聖水で清めてあるからティターニアは元気になると思う……サイズは調整できるから頼んだ。俺は裏方を手伝ってくる」
「ヒヒ、わかったよ」
 するりと入れ替わり。そんなことは梅雨知らずティターニアは感動の声をあげる。
「まぁ……!!
 “こちらをお使いください。頑張ってください”
 ですって! とっても素敵な鎧に、これはティアラね。
 ……戴冠式以来だわ。とても嬉しい」
 嬉しげに笑うティターニアに武器商人は手を差し伸べる。
「これを着ておいで。
 次は我(アタシ)が魔法使いになる番だねェ」
 首を傾げつつも頷いたティターニアは、程なくして鎧を纏い戻ってきた。
 武器商人がひらひらとした布や柔らかいふわっとした質感の布でドレス風に仕立てあげれば、そこには女王“らしい”ティターニアの姿が。
「わ、私もこんな風になれるのね……」
 鏡の前で一回転して見せたティターニアは、不思議そうに衣装をぺたぺたと触る。
「まだ終わっちゃいないよ。化粧もしなきゃいけないから、近くに座っておくれ」
 促すように椅子の後ろにまわると、ティターニアも頷いて椅子の前に腰掛けた。慣れた手つきで髪を梳かし、若草の髪をあの髪飾りで束ねる。
 嬉しそうに目を細めたティターニアは楽しげに声をあげた。
「けしょう、私はしたことがないから……お願いするわね、武器商人」
「ヒヒ、勿論さ。少し目を閉じていておくれ」
 武器商人のギルドで販売されている独自のブランド、パーリッシュフェアリーの化粧品を立派な化粧台の前に並べると、武器商人は思案をはじめた。可愛らしく時に色っぽく、艶やかで華やかな化粧品の数々から武器商人はティターニアに似合う化粧品を選び始める。
 ねついろ、こいいろ、ぬくみいろ、おもかげいろ、紅真珠。
 爪先を毎日を彩る七つの色と、Holiday、Mayday、Yesterday。
 その中から武器商人から選んだのは、甘酸っぱい乙女の『こいいろ』と夢見る日々を彩る『Holiday』。
 白い肌と淡い口唇にこいいろを伸ばし、爪先はオレンジ色の夢を施して。ぱちりと目を開いたティターニアの頬はみるみる薔薇色に染まっていく。
「今キミにして見せたのはピンクの口紅とオレンジのマニキュアだけど、色々まとめて持ってきたから次はキミの好きな色で飾り立てよう」
「これが私……? けしょうって、凄いのね……。
 武器商人、ありがとう。もしも貴方の世界に行けたのなら、この化粧品を買いたいわ」
 もちろんポケットマネーでね、とはにかみ付け足したティターニア。
 すっと立ち上がると、その表情は女王に相応しいものに変わっていく。
「さぁ、はじめましょうか──妖精祭を」
 ──これより始まるは、妖精女王のファンタジア。

●泣く子も笑うファンタジア
(妖精祭…不定期に行われる祭りか。この世界にはそういう変わった祭りがあるんだな。
 まあ祭りなら美味しい物が売られてる可能性は高いし、祭りを上手に盛り上げた後に何か食べ物(スイーツ)にありつけるといいな)
 と、思考を巡らせつつ衣装に身を包むのは『凡才の付与術師』回言 世界(p3p007315) 。
 カチューシャは外れていないものの、上位妖精の姿に扮した世界を異世界から来た人間だと見抜ける者はそうそういないだろう。

 さあさあ今宵は妖精祭! 良い子も悪い子もよっといで!
 妖精の気まぐれ、女王のお披露目!
 付き合ってくれる皆はお外においで!

 きらきらと光の粒が舞う。この世界に住まう民が外へと駆け出す。
 今宵は妖精祭。一夜限りのファンタジア。全てを魅了する妖精の寵愛。
 子供達の歓声が響く。大人達の喜色に染まった頬が見える。

「──フェアリィ・パレエド。私達からの寵愛、受け取って頂戴」

 刹那、ティターニアがパレード中央の乗り物から踊り出すように飛び出した。一際大きな歓声が上がる。
 世界はティターニアを導くように先頭を進みながら、まずは炎と水の精霊を呼び出して素晴らしいパフォーマンスを行う。
 煌めく水、舞い上がる火の粉。人々を熱狂の渦へと誘い込む。精霊達はティターニアをくるりと囲むと、じゃれついてから消えていった。余韻は冷めず、息をする間も残さない。続いて茨を召喚し、ティターニアを囲んで花のような演出を。
 新たに呼び出した精霊たちは、茨に触れると花を咲かせてゆく。緑の抱擁で花々の花弁を光らせれば、人々は嬉しそうに手を伸ばすのだ。
「ティターニア! 姿を見せてくれてありがとう!」
「また会いに来てほしいなぁ……!」
「妖精たちもありがとう!!」
 ティターニアは人々に手を伸ばした。触れそうな距離。手が届きそうな距離。ふと笑みが零れた。

 ありがとう。

 ティターニアの呟きは、人々の歓声に掻き消された。

●その後
 世界は妖精祭後の屋台へと導かれて行った。
「わ、私も?!」
 そしてティターニアも。
 ティターニア歓迎に甘味を売っている屋台が沢山あるから、と世界はティターニアを連れ出したのだ。
「折角だしな。何か美味しいもの食べて帰りたいし」
「それなら……あそこの、くれーぷってものが気になるわ?」
 くい、と白衣の裾を引いたティターニアはクレープの屋台を指さした。
「了解だ。クレープ、俺のオススメでいいか?」
「構わないわ。ここで待っているから」
 手を振ったティターニアに見送られて、世界はクレープを2つ購入した。いちごとチョコバナナ。
「……どっちも美味しそうね」
「なら一口やるさ。君が気にしないならな」
 目を輝かせたティターニアは、遠慮なくクレープを一口ずつ口にした。
 もぐもぐと咀嚼して、ごっくん。その顔はぱぁぁっと輝いて。
「くれーぷ、とっても美味しいわね……!!」
「はは、そりゃよかったぜ。……っと、これ」
「……? これは?」
「菓子折りだ。皆で食べてくれ」
 はにかみ顔で笑った世界にティターニアは嬉しそうに微笑んだ。
「……ありがとう、世界。フルールの皆のこと、頼りにしてるわ」
 クレープ片手に微笑んだティターニア。女王としてではなくティターニアという少女として祭りを楽しむことにも成功したのだった。

成否

成功

状態異常

なし

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