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シナリオ詳細

辺り一面の花々

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●辺り一面の花々
 花。
 花。
 辺り一面に広がる、色とりどりの花。
 風が鼻を揺らしても、舞い行く花粉は数少なく。
 花の蜜が虫を呼び寄せることもなく。
 それでも一面に咲き誇る花。
 咲きすぎて、他の花が咲く場所すら失って。
 今ある花も土壌の僅かな栄養を奪い合っているようで。
 それでも。
 ただその大地に、花は咲いていた。

●咲きすぎて増えなくなった花々
「皆には、花畑で花を摘んできてほしいんだ」
 境界案内人、『ホライゾンシーカー』カストル・ジェミニは開口一番にそう告げた。
 花を摘んできてほしい、とは、随分と牧歌的と言うか、平和的と言うか。
 しかし事実、そんな平和的な事柄が重要なのだ、とカストルは言う。
「とある世界――そこには一面の花畑が広がっているんだが、そこで花が増えすぎて、新しい花が咲かなくなる問題が発生しているんだ」
 新しい花が咲けないということは、個体数がそれ以上増やせないということ。
 ともすれば今咲く花が土壌の栄養を奪い合って枯れ行くばかりになり、世界が荒廃してしまうことは避けられない未来、になるかもしれない。
 そんな未来を、カストルは避けてほしいのだと言った。
「風は吹くけれど虫はいない、鳥もいない。ただ花ばかりの世界。そんな世界で花が尽きたら……考えるだけでも悲しいだろう?だから、花を摘んで数を減らしてほしい」
 そう言いつつカストルは、苦笑するような笑みを浮かべた。
 特異運命座標の仕事は、先にカストルが説明したが、花を摘むことだ。
 花畑に咲き誇る花を摘んで、適度な数まで減らすこと。いわば間引きである。
 そうして摘んだ花は、花輪を作ってもいいし、首飾りにするのも綺麗だろう。即席のブーケにして誰かにプレゼント、なんてのもロマンチックだ。
 役割上、特異運命座標の皆を送り出す立場になるカストルが、眉尻を下げながら笑みを零す。
「ともかく、楽しんできてほしいな。こんな寒い時期に一面の花々なんて――素敵じゃないか?」

NMコメント

 特異運命座標の皆様、初めまして。
 屋守保英です。
 今回はちょっとメルヘンチックな方向に踏み切ってみました。

●目的
 ・適度に花を摘む。

●場面
 辺り一面に色とりどりの花が咲き誇る花畑です。
 花の種類は大体なんでもありますが、明かな毒草はなさそうです。
 虫や鳥や獣など、他の生き物の気配はありません。花があるばかりです。
 また、カストルは同行しないため、リプレイ中は参加者の皆様のみを描写する形になります。

 それでは、皆さんの楽しいプレイングをお待ちしております。

  • 辺り一面の花々完了
  • NM名屋守保英
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2020年01月23日 22時20分
  • 参加人数4/4人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

ウェール=ナイトボート(p3p000561)
永炎勇狼
ライアー=L=フィサリス(p3p005248)
嘘に塗れた花
リック・ウィッド(p3p007033)
ウォーシャーク
回言 世界(p3p007315)
貧乏籤

リプレイ

●花は咲き誇る
 花が揺れ、さらさらと葉擦れの音がする。
「花しかない世界……なんとも不思議なものですわね」
 『嘘に塗れた花』ライアー=L=フィサリス(p3p005248)が、ただ花ばかりが咲き誇る花畑に降り立つと、その傍らに姿を見せた『金波銀波』リック・ウィッド(p3p007033)も辺りを見回しながら呟いた。
「なー、不思議だよな。花壇みたいで綺麗だけど」
 尾を揺らすリックの傍に影が落ちると、そこには『凡才の付与術師』回言 世界(p3p007315)の姿がある。彼もまた花ばかりの世界を見渡しては、気だるげに目を細めた。
「生き物の存在しない見渡す限り花ばかりの世界か……どこか神秘的な雰囲気だが、少しばかりさみしい気もするな」
「虫や鳥、動物が運ぶから受粉して種を持つことができるのだと思っていたけれど、この世界では違うのかしら?」
 自分の知識の通じない世界に、不思議そうに首を傾げるライアー。小柄な彼女の傍で巨躯を屈めるようにして花を見ていた、『羽根突きはやったことが無い』ウェール=ナイトボート(p3p000561)が視線を向けた。
「この世界では、風の働きが全てなのかもしれないな」
 そう言いつつ、ウェールの赤と緑の瞳がすっと細められて。
「しかし、三十路の男が花摘みか。息子と一緒に花畑に行った事を思い出すな。花輪やブーケを作るのも、随分と久しぶりだ」
「まあ、花輪? 私、見たことしかないの、花冠も。簡単に編めるものなのかしら?」
「あ、だったら後で教えようか?」
 ウェールの零した花輪、という言葉に、反応を見せるのはライアーだ。年の頃こそ知れないものの、外見年齢相応の反応を見せる彼女にリックも笑いかける。
 と、三人の会話を静かに聞いていた世界が、花畑の中に一歩を踏み出した。
「回言様?」
 唐突に響く足音。足音の主にライアーが呼びかけると、世界は小さく振り返った。
「喋っていても仕方がないだろ」
「ま、そうだな。花をほどよい量にしないといけないんだもんな」
 世界の言葉にリックも同調して。四人は足元に咲き誇る色とりどりの花を摘むべく、その手を伸ばしていった。

●花は咲き乱れる
 リックが自分の鱗を使って、花を茎の根元から切っては束ねていく。
 身長50センチ。花に半分埋もれながら摘み取っていく彼に、頭上から声がかかった。
「リックさん、一人だと動きづらいだろ。前みたいに肩に乗るか?」
「おっ、いいのか? お言葉に甘えさせてもらうぜ」
 声の主はウェールだ。花を抱えたまま、リックがぴょんと飛び上がる。
 花を見つけてはウェールの肩から滑り降り、切り取ったらまたウェールの肩へ。およそ2メートルの高さを、上ったり下りたり。
「手間か」
「だな。機械のポポに乗ってもいいぞー」
 そう言いながら、ウェールも摘む花を探すことを忘れない。
 鋭い嗅覚で機械狼の頭に咲く蒲公英の匂いを辿る。蒲公英はある程度群生しているようで、一度見つければ数を集めやすいのが幸いだった。
 あとは白い花と黒い花。シロツメクサに、ポピーに、ヒャクニチソウ。
 茎を長めに取るのも忘れないウェールである。
 他方、ライアーは色とりどりの花々を、まばらに隙間が出来るように摘んでいた。
 一ヶ所から摘み過ぎず、近くの花が種を落としやすい場所を作っていくように。
 摘んだ花にそっと鼻を寄せれば、芳しい香りに頬が緩んでしまう。とんでもない匂いでなくてホッとした。
「どんな花が咲くかしら。赤、青、黄、橙、紫……ああ、白かもしれないですわね」
 色も、種類も、季節も関係なし。そういえば椿や紫陽花なんかは、この世界では一緒に咲くことがあるのだろうか。
 興味は尽きない。ライアーの足も止まらない。
 また別の場所では、世界が簡易式召喚陣を広げて精霊を呼び出していた。
「精霊たち、手当たり次第に花を摘んでいってくれ」
 世界の言葉に、妖精のような姿の精霊たちが散開しては花を摘んでくる。
 時間が経って気付けば、花はその密度を幾分下げており。後ろを振り返れば他の三人も具合よく摘んでいて、だいぶすっきりした風景になっていた。
 このくらい摘んでおけば、新しく芽吹く命も場所を確保できることだろう。世界は安堵の息を吐く。
 そして視線は、足元にこんもりと摘まれた花の方へ。
「さて……どうしようか、この花々」
 花で何かを作るのも悪くはないけれど、さてはて。

●花は咲きこぼれる
 花に顔を寄せて、世界が甘い吐息を漏らす。
 集めてもらった花の蜜。それを吸って楽しんでいたのだが、随分といい味わいだ。
「こんな世界だから、蜜を汚すようなものも無いか」
 周囲の、花ばかりしかない風景を眺めて世界は笑った。
「こちらの花はどうだろう? ……ああ」
 また別の花に手を伸ばしては吸い、次の花へ。
 一人ただ座る世界の背中をちらと見るのは、集まって花輪を作っていたリックだ。
「世界も呼んでくるか?」
「いや、いいだろう。彼も彼で楽しんでいるようだから」
 返答を返すウェールの手元は繊細に、しかし忙しなく動いている。そうして編み上がる小振りな花輪。ちょうど、リックの頭にいいサイズだ。
「はい、リックさん頭貸して」
「おっ、ありがとな!」
 ウェールが手招きすると、すぐにリックが寄ってきて。花冠、男だから嫌がらないかと心配したが、存外悪い気分でもないらしい。
 喜ぶリックの頭の上を見ながら、ライアーが紫の瞳を大きく見開いている。
「こんなに小さい花で綺麗な花輪が……凄いですわ」
「やってみるかい? 花を二本持って根元で交差させて……」
 教え始めたウェールの手元を見つめて、花の茎を編んでいくライアー。その手つきはたどたどしいが、しかし目つきは新鮮だ。
 そうして十数分の時間をかけて、ようやく一つの輪が編み上がる。
「で、出来ましたわ!」
 両手でライアーが掲げた花冠は色鮮やか。形こそ歪ではあるが、人目を引く仕上がりだ。
「……知っているものとなんだか違いますわ?」
「まぁ、これはこれで味があるし、いいんじゃないか」
「うん、華やかだ」
 思っていたものと違う仕上がりになり、少女が首を傾げるが、男性陣のフォローもあって笑顔に。胸元に花冠を寄せて、色白な頬を朱に染めた。
「そうね。頭に乗せれば、真っ白な私も多少の色がつくというものだわ」
 そう言いながら冠を乗せれば、白い髪に色とりどりの花が咲く。
 内心沸き立つ心を抑えながら、ライアーの視線はリックの手元へ。小さい体でちまちまと、複雑な組み方をしているようで。
「ウィッド様は、何を作っていらっしゃるの?」
「あ、これか?」
 そう言葉を返すリックの手元は、ちょうど輪を繋げるところ。組み上がった輪を差し出しながら小さく引けば、輪を作る茎がぐっと伸びる。
「へへっ、茎を編んで伸び縮みするようにして、シュシュにしたんだ」
「流石、手先が器用だな」
 小さい身体に小さい手先。細かい作業は得意技。褒めるウェールに、リックは作った花輪を差し出した。
「はいウェール、花輪のお礼! 腕に着けてもいいし毛並みをまとめてもいいぜ!」
「あ……ああ、ありがとう」
 色鮮やかな花輪を受け取って手首に通すと。ウェールは足元に集めた花を手に取った。どうやらもう一つ花輪を作るらしい。
「さっきのはリックさん用。今度は、自分用だ」
 そう言いながらせっせと組み上げた花輪は、白と黒をベースに黄色が入り混じって。
「白、黒、黄色……あ、これってもしかして」
 その三色、ウェールの息子。何かに思い至ったリックに、ウェールが笑う。
「まぁ、そういうことだ」

●花は咲き渡る
 後の時間は各自で過ごすというところで、ウェールの鼻がひくりとそれを感知した。
「ん、なんか……焼ける匂いがしないか?」
「ほんとだ、なんで……」
 リックも同じ匂いに気付いたらしい。こんな場所で火事が起こったら一大事。慌てて視線を巡らすと、ライアーが一ヶ所を指さす。
「皆様、あちら!」
 そこには世界の背中が、奥から細く煙が上がっている。
 三人は慌てて駆け寄った。傍まで行けば、世界が何かを燃やしているのが分かって。
「回言様! 何を――」
「ああ、すまない。驚かせてしまったか」
 ライアーの悲痛な声に、振り向いた世界が頭を下げる。
 彼の目の前、剥き出しの地面が見えるそこに花が摘まれて燃やされていたのだ。
「摘んだ花を火の精霊に燃やしてもらっていたんだ、無為に捨てるのもどうかと思ってな」
「なんで、また……」
 リックが呆然としながら問いかけると、いつもの気だるげな表情をそのままに、世界が口を開く。
「燃やせば花は灰になり、土壌の栄養となる。そうすれば、また花が咲くだろう?」
 その発言に、三人は小さく目を見開いた。
 確かに、草木灰は土壌の肥料として使われる。勿論それだけを与えればいいわけでもないが、与えないよりはずっといいだろう、こんな世界では。
「そういうこと……驚きましたわ」
「あ、火の精霊がいるんだったらさ、花の乾燥も出来っかな!? ポプリを作れたらいいなって思ってたんだけど!」
 ほっと安堵の息を吐くライアーの横で、リックがポプリにしようと思っていた花々を差し出した。この場所で乾燥させるのは難しいと思っていたが、火の精霊がいるなら話は別だ。
 花びらをちぎって乾燥させ始めるリックをちらと見て、ウェールは手元に抱いたブーケに視線を落とした。
「ドライフラワーやプリザーブドフラワーは……家に帰ってからやるしかないか」
 ここでこれだけの量の花を世界の精霊に乾燥させてもらうのは、流石に悪い気がする。
 帰り際になってもわいわいと声が響く花畑。あれだけ摘んでもなお、花畑は穏やかで。
「ふふ、綺麗な花、綺麗な花畑。……私とは大違いね?」
 そう零しながら、ライアーはくるくると回る。頭上の花冠もくるくる回る。
 また一つ、花畑を風が吹き渡っていった。

成否

成功

状態異常

なし

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