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シナリオ詳細

冷酷なる女軍人に率いられるゴーレム

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 鉄帝のスラム街『モリブデン』。
 この地では、凄惨な事件が起きている。
 拉致した子供達を虐殺し、地と恐怖の涙を捧げ続ける血潮の儀を行うことで、秘められた古代兵器を起動するというものだ。
 スラムで暮らす子供達は時に拉致され、時に売られ、時に騙され、鉄帝特殊部隊に連れ去られていく。
 拉致された子供の家族や友人達も、スラムという環境ゆえに軍や警察に頼れずにいる。
 だからこそ、『何でも屋』であるローレットへと救出の依頼が回ってきたというわけだ。
 依頼者は、クラースナヤ・ズヴェズダー。鉄帝の人民平等化を目指す宗教団体だ。

「皆さん、お疲れ様です」
 鉄帝でローレットのイレギュラーズ達を待っていた『穏やかな心』アクアベル・カルローネ(p3n000045)。
 現状、スラムで起こっている事件に、彼女は心を痛めながら参加を決めたメンバー達へと説明を始める。
 子供達が連れ去られたのは、スラム街『モリブデン』の外れにある地下遺跡だ。
 そこの遺跡は生活空間として利用されていた物らしく、ここに詰めている軍人達も寝泊まりしているらしい。
「ここには女軍人が2人詰めています。後、警備の為に大きなゴーレムが配備されているようです」
 詰所の一つとして利用されているようだが、他に援軍が来る様子もないので、一気に攻め落として子供達を救出したい。
 2人の女軍人は言葉少なに、この遺跡へと近づく者の排除にかかってくる。
 サーベルと銃を使い、軽やかな動きで襲い掛かってくる相手だ。
 また、彼女達と共にいるゴーレムもまたかなりの強敵と見られる。
 全長4mあるこのゴーレムは腕が地面につきそうなほどに長く、先端が球状になっていて、ハンマーのように振り回してくる。
「それだけではなく、眼からビーム、胸部からロケット砲、さらに全身から発する奇妙な音で攻めてきます」
 特に、音は怒りの効果を与えてくるのが厄介だ。

 それらを倒せば、地下遺跡内部で捕われた7名の子供達を救出できる。
 入ってすぐ住居のような空間になっていて、その隅に捕らわれている形だ。
「お腹を空かせていますので、何か作ってあげるのもいいと思います」
 住居としてもつかわれている場所なので、食材などを持ち込めば料理をすることも可能だ。
 それほど頻繁に軍関係者が訪れる場所ではなさそうなので、少しくらいは休憩しても問題ないだろう。

 一通り説明を終えて。
 アクアベルは神妙な表情のまま、依頼に当たるイレギュラーズ達へと告げる。
「儀式を止めることもそうですが、将来ある子供達の命を利用させるわけにはいきません」
 どうか、彼らの救出を。
 アクアベルは改めて、参加を決めたメンバー達へと願うのである。

GMコメント

 イレギュラーズの皆様、こんにちは。なちゅいです。
 鉄帝のスラム街の子供達がさらわれる事件が起こっていますので、救出を願います。

●目的
 スラムの子供達の救出

●敵
 人間は鉄騎種(オールドワン)、遺跡を守るゴーレムはモンスターの類です。
 
○ゴーレム……1体
 全長4mある人型のゴーレムで、腕が地面につくほどに長く、手がやや大きく球状になっており、それを振り回して攻撃します。
 他にも、顔面からのビーム、腹部からのロケット砲を使う他、奇妙な声を発してこちらの怒りを誘ってきます。
 
・ローリングアタック……(A)物自範・ブレイク
・アイビーム……(A)神遠貫・万能
・ロケット砲……(A)物遠単・炎獄・崩れ・溜1
・スケアリーボイス……(A)神中域・怒り

○冷酷な女軍人……2人
 いずれも20代女性、サーベルとハンドガンを所持し、鉄騎種ながらもしなやかな体捌きで襲い掛かってきます。
 基本、剣、銃どちらかですが、まれに剣銃合わせた攻撃を繰り出すことがあります。

・オーラ斬り……(A)神近単・出血
・移動斬り……(A)物中単・移
・連弾……(A)物遠貫・連
・舞踏乱撃……(A)神中単・乱れ

●NPC
 スラムの子供7名で、男子4名、女子3名。
 下は5歳から、上は12,3歳くらい。
 儀式のことを既に知らされており、いつ自分の命が使われるのだろうかと恐怖する日々を過ごしております。
 常にお腹を空かせておりますので、お腹いっぱい食べさせると喜びます。

●状況
 鉄帝内のスラム某所にある遺跡。
 そこまで大きくない場所ですが、地下室のような場所の入り口にゴーレムと女軍人2人が詰めています。
 全て倒せば、地下に捕らわれたスラムの子供達7名を保護できます。
 地下遺跡は生活空間となっており、敵を倒した後なら休憩所程度には利用可能ですので、スラムの子供達に食事など与えるとよいでしょう。

●情報確度
A。想定外の事態(オープニングとこの補足情報に記されていない事)は絶対に起きません。

 それでは、よろしくお願いいたします。

  • 冷酷なる女軍人に率いられるゴーレム完了
  • GM名なちゅい
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2020年01月20日 22時15分
  • 参加人数8/8人
  • 相談5日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

郷田 貴道(p3p000401)
竜拳
メートヒェン・メヒャーニク(p3p000917)
メイドロボ騎士
マニエラ・マギサ・メーヴィン(p3p002906)
記憶に刻め
岩倉・鈴音(p3p006119)
バアルぺオルの魔人
アイリス・アベリア・ソードゥサロモン(p3p006749)
<不正義>を知る者
綺羅々 殺(p3p007786)
あくきつね
ヴィクトール=エルステッド=アラステア(p3p007791)
懐中時計は動き出す
リコシェット(p3p007871)
跳兎

リプレイ


 鉄帝へとやってきたローレット、イレギュラーズ達はそのまま、スラム街『モリブデン』を目指す。
「どうにもキナ臭いな、最近の鉄帝は……」
 元の世界でボクサーとして活躍していた『人類最古の兵器』郷田 貴道(p3p000401)にとって鉄帝と言えば、力で全てを解決するというシンプルな気質だ。
 そんな鉄帝ならではの気質が好みであり、子供好きでもある貴道は今の状況が非常に面白くないらしい。
 古代兵器起動の為に行われる子供の誘拐、虐殺による血潮の儀。
「血と恐怖を捧げ続けて動く古代兵器……いえ、今は取りあえず目の前のコトなのです」
 こちらも鉄帝出身の鉄騎種。赤と金のメッシュが入った長い黒髪の『忘却機械の果ての果て』ヴィクトール=エルステッド=アラステア(p3p007791)は、古代兵器に関心を抱きながらもそちらの話題を区切る。
 なんでも、その儀式を実行しているのは、鉄帝特殊部隊だというのだ。
「儀式儀式。面倒ごとになってるな、全く」
 この儀式に、オッドアイの狐の獣種、『分の悪い賭けは嫌いじゃない』リアナル・マギサ・メーヴィン(p3p002906)もこれ見よがしに嘆息する。
 もっとも、リアナルの出身地である練達でも似たようなことが度々起こる為、あまり他人のように言えないと彼女は語気を弱めてしまう。
「これでは完全にただの人攫いだね」
 メイド姿の鉄騎種女性、『メイドロボ騎士』メートヒェン・メヒャーニク(p3p000917)はまさに鉄帝スラム出身。
 今までも鉄帝の軍人の一部がスラム再開発のどさくさに紛れていろいろやっていたのは、彼女も知っていた。
「また、これか。胸くそ悪い」
 だが、守るべきはずの民を使い捨てるかのような仕打ちに、今回のメンバーで唯一の人間種、天義スラム街出身の金髪少女である『跳兎』リコシェット(p3p007871)も露骨に嫌悪感を示す。
「子供を利用するなんてよくないのです」
 自分よりもずっと若い子供達が怖い目に遭うことはよくないと、気弱な態度ながらも、ヴィクトールは躊躇いがちに自分の考えをしっかりと語る。
「これ以上、儂の怨霊の恨み事を聞く仕事が増えたらどうするんじゃ」
 殺生石より生まれた九尾の秘宝種、『妖刀の魂を従えし者』綺羅々 殺(p3p007786)は子供達への虐待、大虐殺に辟易としてしまっていた。
 彼は……殺は無性だが、それはそれとして、普段から怨嗟の魂に好まれる故に虐殺を止めたがっている。
「軍人達を先になんとかして……小さい子を、保護……ですね」
 一方で、白い礼装の上から黒い羽織物を纏った幻想種女性、『黒鴉の花姫』アイリス・アベリア・ソードゥサロモン(p3p006749)も死霊の力を借りるネクロマンサーだ。
 最悪の場合は、子供達の霊魂の収集もアイリスは考えているらしい。
「けど、まだ救える。間に合う」
 そこで、リコシェットが怒りを押しとどめ、子供達の救出を最優先に動くべきだと語る。
 すると、アイリスが『ヨハナからアイリスへの預言書』を開いて。
「子供達はまだ……、すぐに儀式へ利用は、されないようです」
 そこに記された内容を彼女が口にしたことで、メンバーの士気も高まる。
「知ったからには、見過ごすわけにはいかないね」
 メートヒェンの言葉に、殺は暗黒の刃『黒綺羅星』を手に頷く。
「元凶を斬り捨てにいくのじゃ」


 モリブデン某所にある遺跡は地下へと広がっており、入ってすぐの部分に詰所が作られていた。
 ミニスカ軍服着用の黒ギャル系ロリっ娘軍師、『放課後のヴェルフェゴール』岩倉・鈴音(p3p006119)は目薬を差して暗視対策もしていたが、その本領発揮は後になりそうだ。
「外で戦うなら、問題なさそうかな」
 近づく前に、彼女は双眼鏡で遺跡周辺をチェックする。
 全長4mのゴーレムが遺跡入り口を塞ぐような立ち位置で、護りについている。
 女軍人は姿が見えないが、中に造られた詰所にいる事を鈴音はエコロケーションで察知していた。
 できれば、相手の油断を突いて遺跡内部に突撃したいと彼女は考えていたのだが……。
 ピー、ピー、ピー、ピー!!
 イレギュラーズ達の接近を感知したゴーレムはアラームを発し、それを聞きつけた女軍人2人が内部の詰所から外へと飛び出してくる。
「ここは立ち入り禁止だ。早々に去れ!」
「さすがに、簡単には通してくれないネ」
 やれやれと鈴音が魔術書を手に戦闘態勢をとると、他メンバーも応戦の構えを取っていく。
「ヘイッ、デカブツ! ユーの相手はミーがしてやるよ!」
 ゴーレムの気を引くべく、心拍数を急加速させた貴道は魔槍の如き鋭い拳圧を突き出す。
 金属らしき材質でできたそのゴーレム。さすがに物理的に貫通とはいかぬが、それでも衝撃はその巨体を駆け抜けて確実にダメージを与えていく。
「おや? もしかしてあのデカブツがいないと、自分たちだけでは怖くて何も出来ないのかな?」
「「…………!」」
 一方で、メートヒェンの挑発に乗ってきた女軍人1人がサーベルを、もう一人がハンドガンを構えて彼女を狙う間に、ヴィクトールは地下遺跡が戦闘の余波で崩れない配慮し、保護結界を使う。
 さらに、アイリスが自らのギフトによってついてきた鴉と動物疎通で語って。
「内部の隅、枷をつけられて全身に痣のある子供達が…………」
 それを聞き、リコシェット、鈴音が冷ややかな表情の女軍人どもを見据えて。
「儀式は絶対に阻止する。これ以上の犠牲は、要らない……!」
「鉄帝娘どもを乗りこえて、子どもを助けるぞ」
 彼女達は怒りを付与してくる可能性のあるゴーレムを避けながらも、攻撃の為、回復支援の為に女軍人との間合いをはかる。
「すこしでも、体力があったほうが安心だからね」
 そう呟いた鈴音は英雄を讃える詩を詠い、囮役の2人へと奮い立たせて体力を増強させていた。
「ここにいるってことは、全部知ってて、ここで守ってるんだよな……?」
 すぐに仕掛けていたリコシェットはハンドガンの銃口を気に賭けつつ、女軍人2人を纏めて魔道自動小銃「スノーフォックス」の照準に捉えて。
「だったら、容赦はしない」
 リコシェットはそのまま女軍人達へと弾丸の雨を降り注がせ、火力で圧倒しようとしていく。
 メンバー達は続き、女軍人の討伐を加速させる。
 女軍人の片方へと迫るリアナルは弓を所持していたが、直接魔力を伴った拳で殴り掛かったのに合わせ、殺は含み笑いして。
「モリブデンという街に現れた雌モブが2匹……くく、おぬしらには良い墓場になりそうじゃの」
 適当に女Aと仮称した女軍人の至近にまで迫った殺は超集中状態となり、豪運を持って相手へと斬りかかっていくのである。


 遺跡前で始まる交戦。
「HAHAHA、ミーは見た目通りかなーり強い!」
 貴道の思惑通り、ゴーレムは強く彼に注意を引き、地面につきそうなほど長い腕を振るい、近づいてくる。
 そうして、貴道がゴーレムの抑えと合わせて女軍人より引き離しをはかる間に、メートヒェンも女軍人達に挑発を続ける。
「あぁ、そんな臆病者だから、力のない子供を攫うなんて卑怯なことしか出来ないんだね」
「貴様、ただで済むと思うなよ……!」
 1人は直接オーラを纏わせたサーベルで幾度も切りかかり、もう1人は銃を連射させてくる。
 そのうち、サーベルを持つ1体へとメンバーの攻撃は集まり、防御重視の構えをとるヴィクトールが「ディヴァインシールド」で女軍人へと強烈なカウンターを叩き込む。
 そうして、ヴィクトールもまた、敵のヘイトを稼いで攻撃を集めようとしていた。
 回復は鈴音が神聖なる救いの音色を響かせて当たるが、合間に彼女は攻撃にも出ており、女軍人へと問いかける。
「鉄帝の軍人も、かどわかしに落ちぶれてていいの?」
 鉄帝は闘技場でイキイキするような連中とイメージしていただけに、鈴音も気になっていたようだ。
「いったいどんな命令があって子どもを誘拐してるのか、拳で語ってみな!」
「軍事機密を民間人に語るわけにはいかぬ!」
 女軍人は回答を拒絶し、返答の代わりに斬撃を見舞ってくるのみ。
「おぬしら、すぐに枯れそうな相が出てるのぅ。余命二分と言った所か?」
 ただ、傷だらけになったその軍人へ、居合で切りかかっていた殺が鋭く刃を煌めかせて。
「死の先への橋渡しは済んだぞ、待っているのは地獄じゃがな。地獄で悟るが良い」
 殺は容赦なく敵の体を切り裂き、女Aに止めを刺してしまう。
 すぐに、彼はもう1人の女軍人、仮称女Bへと狙いを定めていく。
 崩れ落ちる同僚の姿を目にした女軍人……女Bはハンドガンで距離を取りつつ応戦する。
 自律戦闘人形「聖業人形・マグダラの罪十字」をけしかけるアイリスはそれに加え、刹那の疑似生命も向かわせ、女軍人の混乱をはかる。
 なるべくなら、死なない程度に呪いで弱らせようと考えるアイリスだが、仲間達が女軍人達へと向ける敵意は非常に強い。
「軍人として国に従っているだけなのかもしれない、嫌なのかと思っていたが……」
 リアナル自身、女軍人個人に対してはさほど大きな敵意を向けてはいなかったが、子供達に痣が付いているとあれば、話は変わる。
「悪いな、こちらも腹の居所が悪いんだ」
 彼女は強固なる呪いによって、女軍人の身体にある七つの経絡に影を落とす。
 気力を奪われながらもサーベルに持ち替え、切りかかってくる女軍人。そいつの刃をメートヒェンが防御攻勢で受け止めつつ、蹴りを叩き込む。
「覚悟しろ!」
 体勢を崩した敵にリコシェットが連射を浴びせ、そいつの身体を撃ち抜いていく。
 全身から血を流す女軍人は後方へと倒れ、動かなくなったのだった。


 残るは、女軍人が率いていたゴーレム。
 腕が異様に長く、見た目はかなりもっさりとした動きをするようにも見える相手だが、かなりの戦闘力を持っており、その力は確実にゴーレムを従えていた女軍人よりも上だった。
 丸いハンマー状になった腕を振り回し、遠心力を伴って叩きつける他、目から放つビームの威力はイレギュラーズの防御をもやすやす貫通してくる。
 そいつの抑えを続ける貴道もやや顔を引きつらせるが、彼は出来るなら自らの手で倒そうと、己の拳を巨体の腹下部へと叩き込んでいく。
 ガーーーーピガガガガピガーーーーー!!
 時折、狂ったような電波ボイスを上げるゴーレム。
 それはダメージを負ったからだけではなく、攻撃の手段としてやや発狂したような音を発する機能が備わっていたのだ。
「あううっ……」
 それに、ヴィクトールが巻き込まれてしまっており、途中から彼はゴーレムの相手に切り替え、意志抵抗力を力に変えて聖剣で叩きつける。
「HAHAHA、舐めるなよ!」
 基本的には貴道が抑え続けているが、思いの外ゴーレムは抵抗力も高く、すぐに正気を取り戻してくる。
 そして、敵は腹部から強力なロケット砲をイレギュラーズに向けて放つ。
「あわわわわ……」
 爆撃されたヴィクトールはパンドラを使い、その身を震わせて応戦を続けていた。
 それ以上仲間が疲弊せぬようにと、鈴音が天使の福音を奏でていたが、長引けば貴道も倒れてしまいかねない。
 それを察したメートヒェンが引き付け役の補佐にと貴道の逆側につく。
「ほらほら、こっちだよ」
 全力、かつ攻撃を集中させてゴーレムを挑発するメートヒェン。
 ピー……ガガッ。
 メートヒェンに注意を払うゴーレム。
 そいつがまた、敵が冷静に戻ってしまう前に、あるいは、彼女が強烈な攻撃で沈んでしまう前に、メンバー達は力の限りゴーレムの破壊を目指す。
「子供たちは絶対に助ける。邪魔は、させない!」
 距離を取るリコシェットは相手の首や肩など、関節部を狙って弾丸を連射する。
 リコシェットのその連撃もあり、情報伝達がうまくいかなくなってきたのか、ゴーレムは徐々に動きを鈍らせる。
 仲間達がうまく気を引いてくれていたこともあり、アイリスは敵に迫られることもなく、人形と疑似生命で攻撃を繰り返す。
 まれに飛んでくるビームに貫かれてしまったことで、アイリスは敵の体力を奪い取ろうと動いてもいたようだ。
 全身に傷が増えてきたゴーレムは最後までローリングアタックで応戦を続けてくるが、殺が燃えあがる炎と共に放つ怨霊の魂によって、敵の動きを止めてしまう。
 そこへ、残る力を振り絞り、リアナルが攻め入る。
 魔力のこもる一撃に加え、血の魔力による呪いをその巨体へと刻み込む。
 ピー……ガ、ガ、ガ……。
 すると、ゴーレムの目から光が失われる。
 関節部から崩れるゴーレムは、土埃を上げて倒れていく。
 それを確認したリアナルは力を使い果たし、地面へと座り込んでしまうのだった。


 女軍人とゴーレムを倒したイレギュラーズ一行。
「さて、捕まっている子供たちを助け出してあげないとね」
 メートヒェンの言葉もあり、メンバー達は地下遺跡内部へと突入していく。
 中まで日の光は届かないものの、鉄帝軍人達が魔法や練達製の器具を使い、照明も設置されている。
 暗視に対して、万全の対策をしていた鈴音がしょんぼりしていたのはさておき。
 部屋の角に、突入してきたイレギュラーズ達に怯えるスラムの子供達の姿があった。
「もう大丈夫だぞ。安心しろ」
 子供達へと声をかけるリコシェット。
 保護の為、アイリスが近づくが、全身痣だらけの彼らはただただ身を震わせるばかり。
 メートヒェンはしゃがんで、そんな子供達に視線の高さを合わせて。
「ほら、悪い人達は私達が皆やっつけたからね、もう大丈夫だよ」
 自分達がちゃんとスラムに送り届けてあげると告げ、彼女は詰所に造られた設備でお湯を沸かし始める。リアナルやリコシェットも何か作るらしく、一緒に台所へと向かっていた。
「HAHAHA、災難だったな、ボーイズ&ガールズ! これでも食べて元気を出しな!」
 子供好きの貴道がこんなこともあろうかと、ポケットから飴やチョコレートを取り出す。
 疲れているときに甘味と思って貴道はお菓子を差し出すが、その前にと殺やヴィクトールが主食となる食べ物を振る舞う。
「童の為に『おいなりさん』を持って来たぞ」
 1000年生きていれば、料理などお手の物と胸を張る殺は、さらに追加で狐火料理をと腕まくりしてカレーを作りに向かう。
「ボクは食事不要ですし、このためにもってきました。おいしいらしいので……」
 ヴィクトールは美味しいお弁当を差し出すと、子供達は顔を見合わせていなりと合わせて一気にかき込むようにして完食してしまう。よほどお腹がすいていたのだろう。
 殺と入れ替わりで戻ってきたリアナルは、要した練達の寒天質栄養食やおかゆなどを差し出す。
「食べやすいものを思ったけれど……」
 固形食がきつい子もいると思ったリアナルだったが、思った以上に食欲旺盛なスラムの子供達に驚いていた。
「身体が温まれば、心も暖かくなる!」
 リコシェットはスープを温めて差し出すと、子供達はメートヒェンの淹れたお茶と合わせて美味しそうに飲み始める。
 とりわけ、寒さに身を震わせていた子供達は、温かい食べ物はとてもありがたがって口にしていたようだ。
 そうしている間に、子供達も少しずつイレギュラーズ達に心を許して笑顔を見せ始める。
 リアナルは自分達の与える食べ物を食べる子供達を抱き、狐の尻尾をもふもふする子供の背中を撫でる。
 1人1人、子供達を癒しつつ、体に異常がないかチェックしていた鈴音も問題ないと判断してボーロを差し出す。
「何か、軍人がヒントになる事情話してなかったかな」
 子供達を安心させつつ、鈴音が問いかける。
 できるなら、血潮の儀についての情報が多い方がいいと判断して、他のメンバー達も子供達の発言に注目する。
 子供達も何やら女軍人達が儀式について話をしていたのを耳にしてはいたらしいが、かなり難しい話だったらしく、理解も説明もうまくできずじまいで、残念ながら有益な情報とはならなかったようだ。
 その後、殺のカレーも口にしていた子供達。
 辛さを控えめにしていたこともあり、お代わりが続出していたようである。
「童は善良な大人に頼る事を覚えよ、儂の様な奴は警戒するのじゃ」
 そんな彼の教えを聞いていた子供達は、一通り食事をとった子供達はお腹を満たす。
「さぁ、帰ろう」
 リコシェットが差し伸べた手を子供達がとり、立ち上がる。
 イレギュラーズ達は彼らを連れ、新手の軍人がやってくる前に遺跡を後にしていくのだった。

成否

成功

MVP

リコシェット(p3p007871)
跳兎

状態異常

なし

あとがき

リプレイ、公開です。
MVPは女軍人へと範囲攻撃、ゴーレムへの駆動部へのピンポイントダメージ、さらに子供達へ与えたスープ。
以上の点から選出致しました。
今回はご参加、ありがとうございました!

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