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シナリオ詳細

<第三次グレイス・ヌレ海戦>クローン・イルカ・トルーパー・サブマリーンvsクローン・イルカ・トルーパー・パイレーツ

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●新しい時代の幕開けだ
「く、クサムラァ、何を言っているのかわかっているルカ!?」
 ネオフロンティア海洋王国の海域に当たる洋上、そこに浮かぶ木造船にて、彼らは揉めていた。
「わかっているルカ、クサムラはもう旧世代ルカ。これからはワレワレの時代ルカ」
 揉めているのは片方はイルカである。もう片方もイルカである。つまりはイルカ同士で揉めていた。
「こ、これまでワレワレは仲良くやってきたルカ!!」
 どうやら、勢力争いが発生し、武力に長けた一方がもう片方を船から追い出そうとしているようだ。
「仲良くぅ……? 違うルカ!」
「な、何を言っているルカ!?」
「ワレワレ新世代は歴が浅いことでいつも虐げられてきたルカ! 見ろ、今日のおやつのバウムクーヘンだって、ワレワレの方が2mm小さいルカ!」
「き、気のせいルカ! 目分量で切っていただけルカ!」
「それが旧時代的な考えだというルカ! この時代は資源も正確に計測せねばいけないルカ! バウムクーヘンもザッハトルテもホットケーキもナノ単位での計測を要望するルカ!」
「無茶ルカ! この船にそんな設備ないルカ!」
「なら、出ていってもらうルカ」
「そんな、そんなことが許されると……」
「許されるルカ。なぜならワレワレ新世代の方が多いルカ。数の利はこちらにあるルカ」
「……あったっけ?」
「……たぶん?」
「横暴ルカ!!」
「問答無用、海の覇者は1種族でいいルカ!!」

●老兵はさらぬ
 海洋王国大号令。
 それは、ネオフロンティア海洋王国が遥かなる外洋を目指す、彼の国の悲願である。
 これにあたり、近海の平定を目的として周辺海域の海賊を相当する作戦が大々的に打ち上げられたのだ。
 これにはローレットにも依頼を受け、外部要因として参戦する。
 プランクマン(p3n000041)はこの掃討作戦の一部を担当し、イレギュラーズを募ったのだが。
「今回の敵に関してはヨハナの嬢ちゃんが詳しいさね」
 そう言って、『自称未来人』 ヨハナ・ゲールマン・ハラタ (p3p000638)を呼び寄せる。彼女は非常に沈痛な面持ちをしており、それが今回の戦う相手の恐ろしさを感じさせた。
「なんという、ことなのでしょう……」
 何とか声を絞り出した。そんな声音でぽつぽつと語り始めるヨハナ。
「一体誰が予想できるっていうんですか……イルカが海に出てくるだなんてことっ!!!!」
 ……ん?
「というわけで今回の敵はイルカの海賊団さね。いやあ、イルカが出てくるなんてあちしもびっくりー」
 なんだか棒読み気味のプランクマン。寧ろ海以外にいたんだろうか、イルカ。いたんだろうな。
「あと、今回の協力者、クローン・イルカ・トルーパー・パイレーツさね」
 ……え?
「へ?」
 呼ばれ、部屋に入ってくる海賊っぽい格好のイルカ。これにはヨハナも予想外だったようだ。
「クローン・イルカ・トルーパー・パイレーツはクローン・イルカ・トルーパー・サブマリーンに船を追われて居場所をなニャくしてるさね。同種族に勢力争いで負けたことで自分を見失っているから、今回の掃討作戦でクローン・イルカ・トルーパー・サブマリーンを倒す自分探しをしたいんだとさ」
 そんな、将来に困った学生みたいなノリで。

GMコメント

皆様如何お過ごしでしょう、yakigoteです。

ネオフロンティア海洋王国の近海平定に協力するため、周辺海賊の一派であるクローン・イルカ・トルーパー・サブマリーンの海賊団を倒して下さい。
この戦いにはクローン・イルカ・トルーパー・サブマリーンに追い出されたクローン・イルカ・トルーパー・パイレーツが協力者として同シナリオに参戦します。
彼らと協力し、海賊と戦いましょう。

【エネミーデータ】
■クローン・イルカ・トルーパー・サブマリーン
・一人乗り潜水艇で戦うイルカ。なんと、浮き輪を装備することで潜水艦が破壊されても海中で生存することが出来る新型。
・クローン・イルカ・トルーパー・パイレーツと折が悪く、彼らを追い出した。
・海中では敵の姿がよく見えないので、潜水艇を海面から出して、体当たり(近接)や魚雷(遠)で攻撃してくる。
・潜水艇を破壊されると機動力が極端に落ちる。浮き輪が付いてるので海に潜ることもできなくなる。
・22匹居る。
・バウムクーヘンが好き。

■偉いクローン・イルカ・トルーパー・サブマリーン
・偉いので指揮をとっている。
・どのように偉いのかは周りもわかっていない。本人も説明できない。
・クローン・イルカ・トルーパー・サブマリーンの3倍くらい強い(本人談)。
・パンケーキが好き。アイスクリーム乗ってるともっと好き。

【協力者】
■クローン・イルカ・トルーパー・パイレーツ
・追い出された方のイルカ。
・遠距離攻撃手段を持たないが、海中で活動できる。
・帽子が濡れるのが嫌なので、海に潜ることが出来ない。なので海面から顔を出している。
・クローン・イルカ・トルーパー・サブマリーンより遅く、潜水艇が壊されたクローン・イルカ・トルーパー・サブマリーン
より早い。
・10匹居る。
・生命が危なくなると逃げ出す。
・ザッハトルテが好き。

【シチュエーションデータ】
■小型船舶の上
・海上に浮かぶ小型船舶の上です。
・船から降りて海に潜ることも出来ますが、水中に適応した種族特性、スキルが無ければ動きに大きなペナルティを受けます。

●重要な備考
<第三次グレイス・ヌレ海戦>ではイレギュラーズ個人毎に特別な『海洋王国事業貢献値』を追加カウントします。
 この貢献値は参加関連シナリオの結果、キャラクターの活躍等により変動し、高い数字を持つキャラクターは外洋進出時に役割を受ける場合がある、優先シナリオが設定される可能性がある等、特別な結果を受ける可能性があります。『海洋王国事業貢献値』の状況は特設ページで公開されます。
 尚、『海洋王国事業貢献値』のシナリオ追加は今回が最後となります。(別途クエスト・海洋名声ボーナスの最終加算があります)

  • <第三次グレイス・ヌレ海戦>クローン・イルカ・トルーパー・サブマリーンvsクローン・イルカ・トルーパー・パイレーツ完了
  • GM名yakigote
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2020年01月04日 22時35分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧 (8人)

ヨハナ・ゲールマン・ハラタ(p3p000638)
自称未来人
カイト・シャルラハ(p3p000684)
風読禽
清水 洸汰(p3p000845)
理想のにーちゃん
秋宮・史之(p3p002233)
若木
ダークネス クイーン(p3p002874)
悪の秘密結社『XXX』総統
プラック・クラケーン(p3p006804)
救海の灯火
アンジュ・サルディーネ(p3p006960)
いわしを食べるな
伊達 千尋(p3p007569)
Go To HeLL!

リプレイ

●イレギュラーズ時々イルカ
 全ての種族は常に進化を恐れている。自分という個が所属するコミュニティの中で脅かされる事実に耐えられないのだ。追い出したあの連中などマシな方だ。一族の中には、未だに海に生態系を広げることすら疑問詞を浮かべている者がいる。バカバカしい、イルカだって海にいられるということを証明してみせねば。

 冬の海が陸のそれよりも遥かに寒々しく感じられるのは、山々という壁がなく、風がそのまま身を刺して回るからだろうか。ともかくも、このような季節に見るだけならまだしも、海上に出るという行為はなかなか胆力のいる行為であったと言える。
 しかし、仕方がないのだ。アレがでてしまったのだから。
「何故地下帝国のイルカが海に『いるか』など聞きたいことはありますがっ!」
『自称未来人』ヨハナ・ゲールマン・ハラタ(p3p000638) は激うまギャグを不意討ち気味にかますと、狙い通り船内に猛烈な寒風を招き入れた。その寒さは人体の耐えうる数値を超えており、これからの戦いに大きなペナルティを生じさせたが、多分大丈夫だ。
「先ずはこの海に平和をもたらしませんとっ! ところでこれ鉄帝とどう関わるんですっ?」
 はて。
「イルカが海にイル……あ、ヨハナてめぇ先に言いやがって俺のネタだぞ!」
『風読禽』カイト・シャルラハ(p3p000684)がネタかぶりしていた。彼も氷雪魔法を唱える心づもりだったようだ。真冬にやると割と洒落にならない。
 彼の小脇にはイルカ型フロートが抱えられていて、肩にはフグの入った網を担いでいる。これでイルカと戦う予定であるようだ。今から彼らの出す作戦に嫌な予感しかしない。
「敵はイルカ! 味方もイルカ! 一体何がどうなって『イルノカ』……???」
『雲水不住』清水 洸汰(p3p000845)もまた氷雪魔法を唱えていた。流行っているのか、それともイルカには氷雪魔法を使わせる誘導能力があるのか。
「いや! 見た目はともかく油断は禁物だ! こいつらとんでもねー秘密兵器を隠し持って『イルカ』もしんねーし!」
 追い氷雪魔法である。氷雪魔法の中でも上級技だ。こんな能力を持っていたとは。
「はいっ、秋宮史之だよ! イザベラ女王陛下万歳!」
 冬の海に向かって『女王忠節』秋宮・史之(p3p002233)は諸手を挙げて叫んでみせた。それで何が帰ってくるわけでもない。寧ろ、吹き荒れる寒風が彼の全身を貫くだろう。しかし史之は満足げな顔で座り直した。
「よし、俺的お仕事終わり。あとはゆるーくいこーか」
 大事の前の、ならぬ、小事の前の大事である。まあ大体の人にはイルカなんて割とどうでもいいことなのだろう。
「過去に二度、イルカ共の侵攻を退けた我が知恵を授けようではないか」
『悪の秘密結社『XXX』総統』ダークネス クイーン(p3p002874)は仁王立ちで腕をばっと広げながら言い放つ。どうでもいいけど、すっごい寒そう。
「そう、イルカの弱点……それは! 性欲が強い! よって最近の流行りに肖ってイルカの萌え萌えキュンな同人誌を作成し、餌にするのだ!」
 同人誌って作るのに時間かかりそうだけど、出来るのかしら。
「はっはっはっ、此処まで来るとイルカが何処に居るかわっかんないな!!」
『幸運と勇気』プラック・クラケーン(p3p006804)は神出鬼没なイルカを笑い飛ばした。過去、地上に現れたイルカ達。その特異な生態系にも驚かされたが、ついに海にまで現れたのだから、今後どのような場所に現れるのかもまるで予想がつかない。書いてから読み返すとこの文章の意味不明度もやばい。
「次は人の体内とかに出てくるんじゃねーの?」
 なにそれ怖い。
「イルカっていわし食べるから嫌いなんだけど、スイーツが主食なイルカならまあいいかなってかんじ」
『エンジェルいわし』アンジュ・サルディーネ(p3p006960)がイルカの仲違いの原因を思い返しながら頷いた。その理論だと人類も結構な悪徳だ。
「仲良くおやつ分け合ってればよかったのにね。これから自分たちがおやつになるとも知らずに」
 怖い怖い怖い怖い。なんだそのセリフ。
「エルキュール、はやくドレス着て。はやく」
「またこのイルカ達か……」
『Punch Rapper』伊達 千尋(p3p007569)はこの世界に来たばかりの時を思い返していた。語るには、少々苦い記憶である。
「あの時はただただ圧倒されるだけだったが今は違うぜ!」
 ぐっと拳を握り、何もないところへとそれを突き出した。そうすれば、記憶の中にある哺乳類が消えるとでも言うように。
「成長した俺の力を見せてやる……覚悟しな!」
 そのうちに、大きな船が見えてきた。黒い帆を張ったその姿は、まさに海賊船である。
「あ、あれルカ!」
 イルカの一匹が叫ぶ。どうやらアレが彼らの船で間違いないらしい。
「あのフォルム。たぶんそうルカ!」
 たぶん間違いないらしい。

●海豚海戦
 そうしてその時は来た。ワレワレはついにこの秘密兵器を開発したのだ。これがあれば、当社比的にこれまでの3倍の生息地を確保することが出来る。そう、この秘密兵器、サブマリンがあれば水の中でも活動が可能なのである。だというのに、前時代派のイルカ共め。未だ安全性が確保できていないからとワレワレにこの兵器を押し付けてきた。そのことを、いつか公開させてやる。

 船から何かが飛び出してきた。それは潜水艇であるようだが、中にイルカが乗っており、こちらに敵愾心をむき出しにしている。
「戻ったルカか。しかし、ローレットに助けを求めるとは、イルカの恥晒しルカ!」
「そんな、追い出されて心細かったルカ! 知ってるひととかギルドにしかいなかったルカ!」
「友達はたくさんつくりましょうとお母さんに教わってたはずルカ!」
「友達は選びなさいとも言われたルカ!」
「選んでないじゃないかルカ!」
 彼らの意見は平行線。向き合うことなど出来るはずもなく、こうして海戦は始まった。

●スイミングノーラン
 だがしかし、秘密兵器の安全性に疑問があるのはワレワレも同感だ。そこで、さらに緊急脱出装置を開発した。浮き輪である。なんと空気を入れるだけで水に浮かぶこのシステムは、ワレワレでさえメカニズムを解読できていない。だが、火薬や電気製品を使用していないことは確かだ。ふくらませるときに張り切り過ぎるとほっぺが痛くなるくらいしか危険性は見つかっていない。これで万全を期した。

「こ、これは何ルカ!?」
 てっきり海中で対決すると思っていたところ、イレギュラーズがまるで出てこないので、いいのかなーと思いつつも敵船にあがってきたイルカ達。しかし、甲板にもひとっこひとり見当たらず、中を覗いてみたところ。
 そこはパラダイスだった。
 綺羅びやかな船内。テーブルに置かれた料理と酒の数々。そしてそれを用意しているイルカの女の子たち。一部若干ごっついような気もしたが、女の子には違いない。
 イルカ達は目の色を変えて船内に飛び込んだ。
「いらっしゃいませー!!」
 元気な声が帰ってくる。一部若干野太いような気もしたが、女の子には違いない。あの女の子なんか追い出したイルカにすっごい似ているような気もしたが、女の子には違いない。
 その様子を、ヨハナは陰からこっそりと眺めていた。
 振り返り、バックヤードで用意したきぐるみに身を包む仲間たちと拳を握る。
「この海一番の夜の船を目指しますからねっ! 皆さんも気合い入れてくださいっ!」
 そう、これはすべて仕込みである。イルカたちを相手に、夜の戦いがこれから始まるのだ。

「こんにちはー、カイよ、この子はイルコ、よろしくねっ!」
 席に座ったイルカ達に、一匹の女の子(メスイルカ)が近づいて挨拶をした。
 イルカ達は女の子の登場にざわめき立つ。海の男である彼らにとって、女性は非常に貴重なものなのだ。
 しかも、傍らには小さな女の子がもうひとり。これはもうイルカ達の腰も浮こうというものだ。そっちの子は若干シャイなのか、あまり身動きをしなかったが。
 さて、実はこれはカイトの変装である。女の子の数が足りなかったので、男も女の子として駆り出されているのだ。
 お酌をし、イルカをおだて、時に甘えた仕草を見せるカイト。この部分で挿絵が出来たら中々のエグさだが、女の子日照りのイルカ達にはウケが良かった。
「カイ、貴方気に入っちゃったな……」
 そうやってイルカにしなだれかかるカイト。イルカ達はカイトの色気に惑わされ、我も我もと彼のもとに集まった。
(ハニトラって大変なんだなー……)
 その目に光はあっただろうか。

「そ、その、つい出来心だったルカ。許してほしいルカ」
 そのイルカは、強面の用心棒を前にすっかり恐縮してしまっていた。メスイルカ日照りであるということは、メスイルカとのコミュニケーション経験も不足しているということだ。そうしていると、『お店の女の子』というものへの接し方がわからず、ついつい張り切りすぎてしまったのである。
 その結果が、これだ。悪いことをしたら罰が下る。このイルカにとって、罰とは目の前に立つ用心棒。洸汰だった。
 この用心棒、めっちゃ怖い。だってバットなんて持っているのである。あれで頭をホームランされるのだろうか。ここは私刑の許される治外法権なのだろうか。
「うちのネーチャン達にオイタをするんだったら、それはこのコータ様が放っておかねぇ」
 振り上げられるバット。怯えるイルカ。全年齢を守るため、グロいシーンをカットするため、視点は移動し、ただ何かを殴る音と、イルカの悲鳴だけが響き渡った。
 戦闘? なにそれ?

「本日はご乗船いただきありがとうございました。この秋宮史之、お嬢様方へ精一杯尽くしますのでお見知りおきを」
 史之が挨拶をすると、数少ないメスイルカが黄色い声援をあげた。彼女らは海の男に混じって問題がないほどのタフだ。つまり、日頃から女扱いされることに慣れていないのである。
 そこにお嬢様、ときたものだ。男扱いに慣れているとは言え、心の底では乙女なのである。その燻っていたエンジンが猛烈に唸りを上げた。
「こちらサービスです。御代はあなたのその瞳の美しさで結構」
 高級シャンパン、ブランドもののバウムクーヘン、これらがまさかの無料! ロハ! あまりの高待遇に彼女らも戦闘の存在をすっかり忘れて史之に夢中になっていた。
 史之は心の中でほくそ笑む。自分の思惑通りに進んでいると。思惑とは、即ち。
(女は! ブランド! イケメン! 無料に弱い!)
 お前それ、イザベラ女王にも言ってこい。
 しかし大筋で間違っては居ないのだろう。メスイルカはすっかりホストイルカの虜となっていた。

 如何に笑顔の女の子がいようと、如何に彼女らが自分たちの話を聞いてくれようと、生身の女の子が相手だとちょっと腰が引けてしまうイルカもいるのである。
 彼らは和気あいあいとする空気にうまく馴染めず、船室の隅っこの方でちびちびとノンアルを口にしていたが、ふと、一角に妙なものがあることに気づいた。
 それは簡素で長いテーブルと、平積みされた書物のようだった。どうも一冊一冊に大した厚みは無いようだが、価格は通常の書物と大差ないように思える。
 そして『最後尾』と書かれた看板を掲げたイルカ。あれは、あれはまさか。
「魔法海豚少女・真剣狩猟☆ドルフィ、新刊ありまーす」
 そう、あれはまさしく今流行りの魔法少女イルカアニメのコスプレに違いない。彼らは色めき立ち、ひとり、またひとりと列に並んでいった。
 その姿に、看板を見えるように掲げつつ、きぐるみの中でダークネスクイーンがほくそ笑む。
 なお、みんなが知っているとある『おぜうさま』の同人もあったが、イルカの好みに合わずまるで売れなかった。

「俺は裏方業務でもすっかな、料理とか皿洗いとか必要だろ。それじゃ、そういう事で…………逃してくださいよぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
 という叫びが、バックヤードの方から聞こえたとか聞こえなかったとか。
 その審議はともかくとして、イルカ達の視線は今、一匹の女の子に注がれていた。
「ど、どうも、プラ代で、す。よろしくね……」
 メイドである。まさかのメイドさんである。お金持ちかお貴族様しか手に入れられないと言われる、あの、メイドさんである。
 消え入るような儚い声。それがまた女の子らしさを際立たせ、男たちの心を鷲掴みにする。
「あっ、イルカ君、飲み物切らしてますね……? 何か飲みますか?」
 しかも優しい。優しいメイドさんなのである。
 しかし喝采をあげるイルカ達に対し、当のメイドさん、プラックはまるで聞こえぬ声でぶつぶつと呪詛のようなものを唱えていた。
「着ぐるみな分、前よりはマシだ、これも仕事、仕事……ふ、ふふっ」

「へい! アンジュちゃんだよ。ねえいわしのこと好き? 食べ物的な意味だったらおこだよ」
 どっかと隣のソファに座られて、いきなり質問をぶつけられるイルカ。とても狼狽し、どのように答えていいかわからないようだ。それもその筈である。彼らはイルカ。いわしなど食用の意味でしか……あれ、こいつら海に出てきたの最近だっけ。陸の生き物なんだっけ。ていうかイルカってなんだったっけ。
 疑問を巡らせると正気度を失いそうなので気にしないことしようそうしよう。しかし困った顔のイルカに、躊躇いのない言葉が飛んでくる。
「えっそこのひとパンケーキ好きなの? きもー。今のトレンドはタピオカペンギンだし」
 言われて傷つく偉いクローン・イルカ・トルーパー・サブマリーン。甘くて可愛いものはだめなのか。同時に他のイルカも傷ついている。ザッハトルテが好きな味方側のイルカもだ。
「知らないの? タピオカペンギン。いわしのおやつ。遅れてるね。もっと勉強したら?」
 知らなかった。もっと今の若い子のことを勉強しよう。イワシ、ペンギン食うんだな。

「ど~もォ~チヒ子でぇ~す! キュキュッ!」
 少々声は野太いが、セクシーなドレスを来た女の子の登場に、高揚していたイルカ達のテンションは更に上がっていく。
 挨拶だけでオスイルカ達の心を奪うとは、さすが千尋である。これが成長した彼の力なのだろう。
「ドンペリ入りま~す!」
 ついに、ついに海賊イルカ達のボス、偉いクローン・イルカ・トルーパー・サブマリーンがドンペリを頼んでしまった。
 ドンペリ。名前は知ってるけど飲んだことは無いアレである。アレどこに売ってんの? 会員制の高いスーパーならあんの?
「ハイ! ハイ! ハイハイハイハイ!」
 女の子のイルカ達総出で行われるドンペリ用のコーラス。持て囃される偉いクローン・イルカ・トルーパー・サブマリーン。すっかり気を良くした彼は、そのテンションも何ていうかアゲている感じになっていく。ごめん今言葉の意味をよく理解しないまま読み手の想像に託した。
「あっそーれドルフィン! ドルフィン! ドルフィン! ドルフィン!」

●次は空とかどうなのか
 よし来い、新世代の実力を――え、サブマリンや浮き輪が本当に必要か? 何を馬鹿な!!

 クローン・イルカ・トルーパー・サブマリーン達は死んだ!
 飲み物にテトラドトキシンが入っていたからだ! イルカの構造的に死ぬのかはよくわからないが、テトラドトキシンだから死ぬだろう、きっと!
 けして、キャバ嬢とホストと同人作家のシーンばっかり書いていたら戦闘に割ける文字数が皆無になったせいではない!
 テトラドトキシンは強い!
 強い!!
(注:他のシナリオでフグ毒持っていっても戦闘で有利になるとは限りません)

 了。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

戦闘シナリオってなんだっけ。

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