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シナリオ詳細

<第三次グレイス・ヌレ海戦>ショッケン大艦隊VSアザラシ大艦隊

完了

参加者 : 10 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●大艦隊展開完了。砲雷撃戦用意――!
 吹き上がる汽笛の音に、海鳥が飛んでいく。
 ネオフロンティア海洋王国近海、グレイス・ヌレ海域に無数の艦隊が集結していた。
「よもや、再び鉄帝艦隊と戦うことになるとは……な」
 伝説の海洋海兵、ゼニガタ・D・デルモンテ大佐は、眼帯に隠した右目がうずくのを感じた。
 眼前に広がるは鉄帝海軍の艦隊。その中でも『悪名高い』ショッケン大艦隊である。
 迎え撃つは海洋海軍でも名高いゼニガタ率いる通称アザラシ大艦隊である。
 それぞれローレット・イレギュラーズを艦隊長とした数隻からなる船団がチームを組み、海洋海軍と結託して鉄帝の艦隊を迎え撃つ姿勢だ。
「各員、砲雷撃戦用意――!」

●仕組まれた戦争
 グレイス・ヌレ海域。
 天義や鉄帝などからその豊かな資源を目当てに侵略戦争を仕掛けられた歴史をもつネオフロンティア海洋王国きっての『激戦区』である。
 もちろんちょっかいをかけられることもそれを追い返すことも一度や二度ではないが、これまで大規模な戦闘がおきたのは歴史上三度目。
 鉄帝と天義をそれぞれ相手どった第一次第二次大戦につぐ、第三次グレイス・ヌレ海戦が勃発しようとしていた。

 はじまりはイザベラ女王の大号令であった。
 二十二年ぶりに外洋進出を計画したネオフロンティア海洋王国は活気づき、民が一丸となって絶望の青へと挑もうとした。
 まずはその障害となるモンスターや海賊の退治、兵の訓練、その他諸々……と準備を積み重ねた国民たちに、ある大事件がおきた。
 海洋王国の領海辺境。つまりは他国間でお互いが自国の領土だと主張するデリケートな海域にて、監視任務についていた海洋甲羅戯艦隊が全滅したのである。
 戦闘経験が浅く兵数もわずかであった名ばかり艦隊とはいえなぜそんなことが起きたのか。一部の国民や軍関係者が困惑する中、ゼシュテル鉄帝国から発表されたのは『自国の民間戦が攻撃をうけたのでやむなく抵抗した』という主張であった。
 外交官をかわしあい、互いの異なる主張をすりあわせようとした、その政治的間隙をうつかのごとく、鉄帝海軍は史上二度目になるグレイス・ヌレ進撃をしかけてきたのだ。
 彼らの要求は新天地発見の際の利益共有など、きわめて帝国に都合のよいものであったが、それが軍事力を差し向けての恫喝外交であることは明らか。
 海洋海軍はすぐさまローレットイレギュラーズに大規模な増援依頼を発し、即席の迎撃用大艦隊を作り上げたのだった。

●ゼニガタ大佐とアザラシ大艦隊
「諸君、よく来てくれた。これより諸君らローレット・イレギュラーズ10名にはそれぞれ数隻の船と十数名の兵士を預け、『艦隊指揮官』の役職を命ずるものとする。
 日頃から訓練を重ねたとはいえ複数の隊を無理矢理併合したこの大艦隊は指揮系統が混雑するだろう。そんな彼らが信頼し、希望を預けられる座標が必要だ。
 そう、特異運命座標――イレギュラーズ。諸君らが適任だ!」
 ひとりひとりに腕章をわたし、ゼニガタ大佐は頷いてみせた。

 飛行種海兵たちのサポートをうけ、各フラッグシップへと乗り込むイレギュラーズ。
 それぞれが艦隊をもち、そのすべてが集合した大艦隊。
 いま、希望の大艦隊が鉄帝よりの侵略をはねのけるべく、走り出す。

●鉄帝将校ショッケン・ハイドリヒと精鋭部隊『ブラックハンズ』
「将軍、ついにこの時がやって参りました。新天地の利益を独占仕様とする海洋の連中の鼻っ面をへし折ってやりましょう!」
 機械鎧にレーザーブレードを装備した騎士が海風にさらされていた。
 神秘のボウガンを備え迷彩服をまとった飛行種。二丁拳銃の女。カブトガニ鎧のサブマリナー。ひょろながいナイフ使い。鉄仮面をかぶった副官。
 そんな面々に囲まれて、軍服をまとった男――将校ショッケン・ハイドリヒがにやりと笑った。
「それもいいが……私の狙いははやり『奴ら』だな」
 黒光りする杖をつき、アルキメデスレーザー・レンズをふわりと浮遊させる。
「ローレット、ですか? 旦那」
「連中、将軍を海へたたき落としやがった」
「まあよいではないですか。我々の作戦は無事遂行できた。鉄帝軍はそれらしい口実を作り、こうして海洋王国へ進軍。向こうは大号令のために蓄えていた戦力をこちらに使わざるを得ない。大号令が失敗してくれれば他国に追い抜かれる心配が減り、降参して我々と利益を共有する道を選ぶなら急成長にこちらも乗ることができる。どちらにしても悪くない戦争です」
 口々に語る部下たちに、ショッケンが頷く。
「汚い仕事をしたかいがあったというものだ。うまくすれば一生金にはこまらんぞ。お前たちにも、その悦楽を分けてやる」
「へへっ、約束ですぜ旦那ぁ」
 笑いながら武器をとる男たち。
 彼らを中心とした恐ろしい数の軍艦が、グレイス・ヌレ海域を進む。
 ショッケン大艦隊はいわば鉄帝軍の先鋒。
「各員へ通達。これより艦隊戦闘に突入する。海洋の稚魚どもを歴戦のがれきとともに沈めてやれ!」

 いま、二つの大艦隊が激突しようとしている。
 その未来を決めるのは、ほかならぬあなただ。

GMコメント

●Danger!
 当シナリオにはパンドラ残量に拠らない死亡判定が有り得ます。
 予めご了承の上、参加するようにお願いいたします。

■■■成功条件■■■
・成功条件1:ショッケン大艦隊の前衛艦隊を突破する
・成功条件2:ショッケンの精鋭部隊『ブラックハンズ』に勝利する

■■■パート説明■■■
 このシナリオは【艦隊戦闘パート】と【精鋭戦闘パート】の二つに分かれます。
 それぞれのパートごとに必要なプレイングが大きく異なりますので、解説をお読みください。

●【艦隊戦闘パート】
 アザラシ大艦隊には数十隻の船が所属し、それぞれ複数の中隊に分かれています。
 皆さんは中隊規模の艦隊長となり、1PCにつき数隻の船を指揮します。
 鉄帝側の前衛艦隊を突破するのが、このパートでの目的となります。
 あくまで『突破』であって『全滅』でないのが重要な所です。
 敵部隊を部下の船に任せて強引に突破するのが、実のところ最短ルートとなるでしょう。

・船の数と装備について
 使用される船は軍用船、1PCに配属するのは自船を含めて『3~5隻』となります。
 最低3隻からはじまり統率能力が高かったりカリスマが強かったり友達沢山いたりすると隻数が増えるという仕組みです。

 それぞれの船は大砲を装備しており、艦隊長ののる船も装備しています。
 大砲の砲撃を自分で行ってもいいですし、砲手に任せてもOKです。
 この攻撃は命中率は悪いですが敵の船に命中すると乗員全員をいちどに攻撃することが可能です。
 船の大きさはまちまちですが、船の先端からおしりまでで中距離攻撃が届く程度の広い甲板があり、大砲もこの甲板に大体装備されています。(これは海洋軍も鉄帝軍もだいたい同じです)
 船だけ集中攻撃して沈めることはでいないものとします。

 また、小型船ないしは【水上運搬】のついたアイテムを装備している場合、使用する船をこれにかえることができます。対象は自分の乗る船と、指揮下にある船までです。
 戦闘中の途中変更やPC間の貸し借りはできません。

・鉄帝側前衛艦隊の戦力
 こちらとほぼ同程度の数の船に、訓練された軍人たちが乗っています。
 これに加えて少ない割合ですが『水中兵(水中行動スキル保持者)』『飛行兵(飛行スキル保持者)』も配備されています。
 彼らも戦争をしにきているとはいえ死ぬために来ているわけではないので、ある程度のとこどまでダメージをうけたら撤退すると思われます。
 指揮能力を発揮し、部下を上手に使いながら敵の兵士たちを倒し、前衛艦隊を突破してください。

●【精鋭戦闘パート】
 鉄帝側の前衛艦隊を突破したら、部下の飛行兵に運んでもらってショッケンのフラッグシップへPCたちだけで乗り込みます。
 ショッケンとその精鋭部隊『ブラックハンズ』を倒すことで指揮系統を破壊するのが皆さんの役割です。
 敵チームは強力ですので、PCたちの連携と戦術を駆使して戦ってください。
 なお、ショッケンたちの戦術レベルは『やや高い』に設定されています。それを計算にいれて作戦を立てましょう。

・ショッケン:アルキメデスレーザー(遠貫【万能】、高威力)を備えた鉄帝の将校。なかなかの強敵。
・ナイフ使い:大量のナイフを用いて戦うアサシン。防御が強く【反】能力をもつ。
・ボウガン使い:迷彩服の飛行種。神秘のボウガンによる遠距離範囲爆撃が得意。
・拳銃使い:金髪二丁拳銃の女。高い命中力によるスナイプが基本スタイル。
・鋼の巨漢:サングラスをかけた黒人の巨漢。両腕が鋼でできている近距離パワー系。高い破壊力と【防無】攻撃が基本。
・機械騎士:機械鎧とレーザーブレードの騎士。高めの防御力をもつトータルファイター。
・鉄仮面の副官:拳銃を武器とする副官。味方の強化や治癒などを担当する。
・部下の兵隊×複数:小銃や軍刀で武装した兵隊。強さはそこそこだが数がいる。基本的な立ち回りはピンチの上官をかばうことやブロックの突破要員。直接的な脅威にはならないが、ちゃんと減らしておかないとこちらの陣形が壊される。

●重要な備考
<第三次グレイス・ヌレ海戦>ではイレギュラーズ個人毎に特別な『海洋王国事業貢献値』を追加カウントします。
 この貢献値は参加関連シナリオの結果、キャラクターの活躍等により変動し、高い数字を持つキャラクターは外洋進出時に役割を受ける場合がある、優先シナリオが設定される可能性がある等、特別な結果を受ける可能性があります。『海洋王国事業貢献値』の状況は特設ページで公開されます。
 尚、『海洋王国事業貢献値』のシナリオ追加は今回が最後となります。(別途クエスト・海洋名声ボーナスの最終加算があります)

●優先参加について
 鉄帝国主力シナリオにはそれぞれ二枠の優先参加権が付与されています。
 選出基準は『海洋王国事業貢献値』上位より、高難易度に付与する、となっています。

  • <第三次グレイス・ヌレ海戦>ショッケン大艦隊VSアザラシ大艦隊Lv:15以上完了
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別EX
  • 難易度HARD
  • 冒険終了日時2020年01月04日 22時35分
  • 参加人数10/10人
  • 相談7日
  • 参加費150RC

参加者 : 10 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(10人)

エイヴァン=フルブス=グラキオール(p3p000072)
波濤の盾
十夜 縁(p3p000099)
幻蒼海龍
クロバ・フユツキ(p3p000145)
深緑の守護者
ベーク・シー・ドリーム(p3p000209)
泳げベーク君
デイジー・リトルリトル・クラーク(p3p000370)
共にあれ
カイト・シャルラハ(p3p000684)
風読禽
エクスマリア=カリブルヌス(p3p000787)
愛娘
マリナ(p3p003552)
マリンエクスプローラー
新田 寛治(p3p005073)
ファンドマネージャ
ワモン・C・デルモンテ(p3p007195)
生イカが好き

リプレイ

●グレイス・ヌレに燃ゆる
 進む船の海風を受けて『大いなる者』デイジー・リトルリトル・クラーク(p3p000370)はたれた横髪をなびかせていた。
 この戦争にそれぞれ何らかの形で携わっているクラーク一族の兄弟姉妹たちのことをすこしだけ思い出したが、すぐに忘れて
 ショッケン大艦隊へと指をさした。
「全速前進! ものどもー! この『ビッグドリーム号』に続くのじゃー!」
 猛烈なカリスマぶりを発揮するデイジーの一方で、『風読禽』カイト・シャルラハ(p3p000684)は風向きを読みながらううんとうなっていた。
「漁船だったはずが、一時的とはいえ大砲までついてしまった。どうなる『紅鷹丸』……」
「なんだカイト、戦争にビビったか?」
 カモメ頭の水兵がにやりと笑いながら問いかけてくるが、カイトは冗談交じりに笑って返した。
「今更だろ。終わったら、皆で宴会しようぜ」
 アザラシ大艦隊に浅からぬ仲の兵士がいるらしいカイト。
 そういった側面で言えば、『ファンドマネージャ』新田 寛治(p3p005073)もだいぶ負けていなかった。
「私のコネクションを用いれば兵力増員も可能………………ただし数ヶ月の時間とと莫大な資金が動く前提ですが」
「新田さん、いきなり呼び出すとかキツいっすわぁ」
 めがねをクロスでふきふきする寛治の横で、知り合いのタカジが船の大砲を操作していた。
「戦闘艦の三隻くらい持って来れなかったんですか」
「よその戦争にいきなり関わるとかムリっすわぁ。いくら新田さんの頼みでもいきなり他人の命張ってくれるやつはそうそう……」
「あなたが来ただけでもよしとしましょう」
 ちらりと横を見ると、『砂竜すら魅了するモノ』ベーク・シー・ドリーム(p3p000209)の乗った船が海を切り裂き進んでいるのが見える。
(ええい、戦争したがりの脳筋帝国の連中は……横入りしてきた連中に利権なぞくれてやるというのも惜しい話ではありますが、此処は一旦引いてもらうのが得策、でしょうか。
 しかし、軍人との実戦となるといやはや、何処までできるのか)
 ベークはだいぶ不安な用だが、外見からはよく分からない。船首に堂々と立って敵を見据えているようでもあり、不安でぼうっとしているようでもあり、表情の読めない鯛焼きであった。
「ハッ! いま誰かに種族を間違われた気配が!」

 『マリンエクスプローラー』マリナ(p3p003552)の白夜壱号には多くのディープシー水兵が乗り込み、装着された大砲がぴかりと陽光を照り返している。
(こんなに大部隊を率いるのは正直初めてですけど……いずれはこれより多くの船員を率いる予定ですし。これぐらいは上手い事統率してみせます)
 操縦桿を握りしめ、マリナは船を加速させる。
 彼女の船に続くように、鳥雲形の陣形に広がっていく船たち。
 同じように無数の船を指揮する立場になった『うそもまこともみなそこに』十夜 縁(p3p000099)はキセルを手にやれやれと息をついた。
(艦隊指揮、なぁ……他のやつらならともかく、俺みてぇなか弱くて頼りねぇおっさんには荷が重すぎやしねぇかい?
 自分の命だけでも手一杯だってのに、他人の命の采配なんてできるわけがねぇ)
 しかし受けてしまった以上やらねばならない。やる以上は成功させなければならない。
 全力を出さない以上に、命がけの約束を反故にはしない。
「……死地の向こう側にも名を轟かせることが供養になるなんて言われたら、やらないわけにはいかんな」
 砕氷戦艦『はくよう』に乗り込んだ『海抜ゼロメートル地帯』エイヴァン=フルブス=グラキオール(p3p000072)が、目をぎらりと光らせながら遠いショッケンの船を見つめた。
「甲羅戯……」
 取り返すは今。再戦の時きたれり。
 同じ想いでいた『死神二振』クロバ=ザ=ホロウメア(p3p000145)もまた、船の大砲操縦席に座っていまだ届かぬ敵の船に狙いを定める。
「先の戦いではどーも。
 ショッケン。アンタには言いたい事山ほどあるんだけど……まぁ、個人的感情だけで述べるなら甲羅戯艦隊の弔い合戦だ。
 その得意げな顔を今度こそバラバラに引き裂いてやるよ」
 彼の赤い目が、死神のように妖しく光る。
 クロバやエイヴァンの船の間を抜けるように、『深海の金魚』エクスマリア=カリブルヌス(p3p000787)の船が前へ出た。
「聞け、一時とはいえ、マリアの部下となる海兵よ。
 敵は鉄帝の将校、ショッケン・ハイドリヒと、その配下。以前、海洋の同胞たる甲羅戯艦長率いる亀姫号を襲い、銭亀号を沈めた敵、だ。
 彼は、言った。何の才もなく、何の成果もあげなかった。けれど、与えられた『役目』だけは、こなさなくてはならない、と。此処は女王陛下の海、逃げるわけには行かない、と。
 だが、マリア達は力及ばなかった。
 艦長はこの場に居ないが、マリアは、今度こそあの言葉に報いたい。力を、貸してくれ」
 沸き立つ水兵たち。
 オットセイやセイウチやトドたちが吠えるなか、アザラシ艦隊ことゼニガタ・D・デルモンテ大佐は大きく高く吠えた。
「とーちゃーん!」
 アザラシデザインにペイントされた船に乗り込んだ『海のヒーロー』ワモン・C・デルモンテ(p3p007195)が、手をぱたぱたと振っている。
「あいつら! あいつらこの前攻め込んできた鉄帝の!禿カンチョー!
 むきー! またちょっかいかけにきやがった!ここであったが百年目ってやつだ!
 今度はぜってーぶっ倒してやる!
 とーちゃん! オイラ達に力を貸してくれ!」
「無論!!!!」
 過去の因縁とかああいうのどこにいったんだろうという顔でアシカ副長があたりめ食っていたが、全て無視してゼニガタ大佐は空砲を撃たせた。
「これより戦闘距離へ突入。各員戦闘態勢ィ!! 主砲――撃ェ!!」

●大義と正義
 猛烈な勢いでぶつけられる敵の大砲。
 過去のグレイス・ヌレ海戦にて使われた砲弾の強化版であろう。
 一見巨大な鉄球が弧を描いて振ってくるように見えるが、『最新鋭の古代兵器』によって打ち出されたその砲弾は船を追尾し甲板にめり込むようにして爆発。
 内部で広がった爆発力が最悪船を粉砕してしまうというものである。
 一方で横に大きく広がって展開していた各艦隊は、それぞれの砲撃に対して反撃を開始した。
 ゼニガタ大佐の名をとって命名された海洋海軍の大砲『デルモンテ砲』は海洋生物爆裂マグロ砲弾を発射するというもので、空中で自発的に敵艦めがけてカーブし甲板直上で爆発を起こすことによって兵士を吹き飛ばすという海洋らしさ大爆発の兵器である。
 エイヴァン艦隊は得意の統率力を活かして砲撃を防御。敵艦めがけて砲撃を浴びせていく。
 どうやら彼らは矢印から棒を抜いたような陣形(鳥雲と呼ぶ)で敵陣突破を目指すつもりのようだ。
 彼らの船は中世ガレオン船と異なり前方に向けて主砲がついており戦闘もほぼ40m距離で行われるため、かの船のように『横に向けて攻撃するための陣形』をとる必要がなかったようだ。
 一応。先頭の部隊が後方の射線を塞がないためと述べてはいたが実のところその場合とるべき陣形は鶴翼(今の前後逆バージョン)になるのだが……敵艦が船の衝突をさけるため必然的に左右にわかれて展開されるという状態から『先頭の友軍艦だけを切り離して敵陣を素早く突破する』ことに向いた陣形をはからずもとっていた。弱点は突破するべき船が最も攻撃にさらされやすく、総でない後方の船も敵にさらされるためヒーラー艦が無防備な点である。
 結果どう転ぶかは、実際にやってみなければ分からないだろう。
「ものどもー! 砲撃ぃ!」
 ビッグドリーム号から魔術の大砲を発射するデイジー。
 彼女の雰囲気にすっかり飲まれた水兵たちも側面に寄ってきた敵艦隊に向けて砲撃を集中させていく。
「こっちが風下だ。勢いに気をつけろよ」
 カイトは風を読みながら砲撃を任せ、自らは船の先頭に飛び上がって炎狩を発射。
 ぶわりと羽ばたいた翼が炎の竜巻を起こし、敵艦めがけて突っ込んでいく。
 彼を要注意人物であると判断した敵艦がカイトの船へと集中してくる。
 カモメ水兵が大声をあげた。
「こいつらは任せろカイト! あんたは敵の司令塔を叩け!」
「……任せた」
 カイトは牽制の砲撃を仕掛けながらも、無理矢理船を叩きつけて強引に道を開く仲間たちの間をすり抜けていく。

 アザラシ大艦隊は、臨時指揮官であるイレギュラーズたちを先行させたことで不利に陥っていた。
 だがそんな中へ、クロバ艦隊が積極的に突っ込んでいく。
「いくら硬かろうが海の上で負けるなんて海洋の名が哭くぞ! 今こそあの鉄屑共にお前らの力を見せてやれ! 当たらない? 信じろ、信じ抜けば運命だって超えられる!」
 クロバはガンエッジをそれぞれ腰に収めると、魔術鉄球を発射する大砲を操作。敵艦めがけて発射した。
 船の横っ腹を破壊。大きく傾いていく敵艦。
 沸き立つ兵士たちが飛行能力を用いて敵艦へ飛び込んでいく。
「クロバ艦長。ここはもういい。先へ行ってくれ!」
「だが……」
「クロバさん、はやく!」
 船での戦いを兵士たちにすっかり任せていたベークが、クロバへと手を振った。
 が、その直後。燃える彗星のごとき影がベークの船へ直撃。
 爆発と激しい炎を起こして船を沈めていく。
「うわわっ!」
 ベークは緊急離脱。
 海に飛び込むと海中を進み始めた。
 ショッケン艦隊のようする海中兵と遭遇し、戦闘を開始。
 そこへ、弾丸のような螺旋回転をかけたワモンが突っ込んできた。
「海豹牙斗燐具武放猛怒! オイラはアシカじゃねー!」
「私はセイウチではない!」
 いや、ワモンだけではない。
 その父ゼニガタまでもが海中に飛び込み突撃。
 水中兵たちを蹴散らすと、背の大砲を飛行兵めがけて次々と発射した。
 海の戦いにおいて飛行している者と泳げる者では、後者のほうが有利だ。
「息子よ、リベンジの時だ。この機を逃すな!」
「とーちゃん!」
 わかったぜ! といって水中兵たちの間をベークとともに突き抜けていくワモン。
 寛治とエクスマリアはそれぞれ船を加速させ、ショッケン艦隊へいかせまいと船を平たく展開する敵艦をにらみつけた。
「全艦、砲撃目標を集中し一点突破。撃沈は狙わずとも結構、派手に混乱させましょう」
「マジでキツいっすわぁ。死ぬっすわぁ」
 文句を言いながらも力強い砲撃を浴びせていく寛治の船と新田艦隊。
 エクスマリアは自らの船の大砲に頭髪を巻き付け軽く融合すると、強烈な魔術砲撃を敵艦めがけて浴びせかけた。
 巨大な光の線が走り、艦隊に穴が空く。
「あそこだ。新田、乗れ」
 一隻だけだがすり抜けるに充分な隙間。
 寛治はエクスマリアの伸ばした頭髪のロープにつかまって彼女の船に飛び乗ると、タカジへと親指を立てた。
 あとは任せたという合図である。
「戦力差から、彼らの多くは命を落としかねません。ですが、これは『そういう作戦』……」
 遠征侵略の特徴は、補給のない侵略側が浅く攻め、補給が豊かだが奪われれば終わりの非侵略側は命がけで戦う。
 追い詰められると何をされるかわからないという点から深攻めはしないが、それ相応の死傷者は覚悟せねばならない。
 寛治が述べた『そういう作戦』とは、彼らの勇猛な奮闘を対価としてショッケンに全力をぶつけるという作戦なのだ。

「仲間たちがいくらか突破したみてーですね」
「やれやれ。後ろで見てるわけにはいかねぇか……」
 マリナ艦隊と十夜艦隊がそれぞれ突撃を開始。
 二つの艦隊をくっつけて味方の船を前に出すと、敵艦隊めがけて一斉砲撃。
「白夜一号、全速前進」
「同じく、っと」
 マリナの船と十夜の船はそれぞれ猛烈に加速し、もう一発の砲撃を覚悟して防御を固めていた敵艦隊の間を激しい水上ドリフトをかけながらすり抜けていく。
「十夜さん!」
 走り抜ける十夜に向け、男たちが手を振った。
「あんたに命を預けるぜ! 頼んだぞ!」
 敬礼してみせる兵士。その意味を察して、十夜は前だけを見た。
 爆発と崩壊の音が聞こえる。
「……ったく、だから嫌なんだ、この手のモンは。
 こんなおっさんにまで命預けるなんて馬鹿な真似されたら……勝って帰らんといけねぇ気になるだろ。……柄じゃねぇってのに」
 戦いに全力を出そうなどとは思わないが、命がけの約束を反故にしようなどとは、もっと思わない。
「見えてきましたよ」
 マリナが指さす先に、ショッケンの船があった。
 こちらへの接近を察知し、兵を展開している所のようだ。
 決戦の時、である。

●鋼
 ショッケン艦隊。フラッグシップの周囲に展開する敵艦たちの対応を同乗する友軍兵士たちに任せ、十夜や寛治たちはショッケンの船へと飛び移っていく。
「ここは任せました」
 寛治は船に乗り込んでくる敵を拳銃で撃ち落とすと、ステッキ傘を傘立てから抜いて走り出した。船上を走り抜け、手すりを踏み台にしてジャンプ。
 敵船で小銃を構えた兵士たちが射撃を集中してくるが、寛治は広げた傘で銃撃を防御しながら仕込んだ散弾を発射。敵兵が軍服に仕込んだ障壁で防御しつつのけぞったそのタイミングで相手を踏みつけ、そのまま船内を駆け抜け更にジャンプ。
 ショッケンの船めがけ飛びながらジッポライターを開いて投げつける。
 数度の点滅――が終わるより早く拳銃で撃ち抜き爆発させ、敵兵の防御を吹き飛ばす。
「やはり我々を狙ってきましたか。ローレットの作戦は究極的には少数精鋭。であればここに精鋭を集めるのは道理というわけですな」
 鉄仮面の副官が拳銃を向け、寛治もまた拳銃を突きつける。
 迷い無く両者発砲。
 しかし副官を守るように周囲の兵士たちが集まり、理力障壁を展開した。
 障壁をかち割るのは難しくない話だが、副官の回復力と強化能力に後押しされた兵士をゴリ押しするのはそう簡単なことではない。
「そして、私の能力を把握している以上私から狙うのもまた、道理。鉄壁陣形」
「「ハッ!」」
 兵士たちは巧みにたがいをかばい合うことで何重もの壁を形成。
 十夜はそこへ飛び込み、乱流翠渦を打ち込んだ。
(ご自慢の精鋭部隊を倒しても鉄帝将校の旦那が退かねぇ時は……やり合うしかねぇかね。正直関わりたくねぇ手合いだが)
 起こした大きな気力の渦が風と水の竜巻となって兵士へ襲いかかる。
 一生懸命に防御を固める兵士を一人船の外へと吹き飛ばすと、後続のエイヴァンへ振り返った。
「手は?」
「『リダホッド・ヴォールヌイ』……はアンタを巻き込んじまうな。全員。俺を中心に敵陣へ混ざれ! 貫通攻撃を打ちづらくするんだ。俺は『メチェーリ・スナリアート』で行く」
 エイヴァンは斧の弾倉に氷結弾を装填すると、足場に叩きつけるようにして斧を振り下ろした。
 砕けた氷が砲弾となって飛んでいく。飛来した砲弾を防御する敵兵。副官はカウンターヒールによって兵士を治癒し、エイヴァンとやや似た補正能力によって彼らの防御を堅くしていく。
「やっぱり兵士が邪魔だな。出番だ――ベーク、カイト!」
「先に倒れるのはあなた達です!」
 エイヴァンの指示通り陣形に混じるように走り回り、甘い香りをまき散らすベーク。
 敵を狙って大量に引きつけるには命中精度がだいぶ弱いが、一度引きつけてしまえば豊富な再生能力と抵抗力そして反射能力で敵兵を『浮かせる』ことができる。
 この確実性と効力はトレードオフであり、ベークは効力のほうを取っていた。
「強い敵はそうそう引きつけられないもんだ。そっちは俺に任せろ!」
 低空飛行で副官たちの上を飛び越えていくカイト。
 軽やかにターンをきめると、爆発する羽根を攻撃機のように発射。
 ピンポイントに狙われたナイフ使いはそれをナイフではじき落とし、反撃にとナイフを放ってくる。
 カイトはそれを紙一重で回避し、さらなる射撃を仕掛けていった。
 今回イレギュラーズのとった作戦をまとめるとこうである。
 ヒーラー兼バファーであるブラックハンズの副官から『早くいなくなって欲しい順』に倒していくというものだ。極めてシンプル、というか率直な作戦である。
 更に述べるなら、ガードに入るであろう兵士や別のブラックハンズがガードに入った場合は火力でゴリ押しするという徹底ぶりである。
 このとき味方はほぼ無防備になるが、エイヴァン、ベーク、カイトの三人が火力が高く撃破優先度の低い敵を【怒り】の付与によって引きつけ続けることを防御策とした。
 防御の堅いナイフ使いや機械鎧の騎士たちを引きつけて無力化したいという狙いではあったが、彼らを引きつけるにはやや確実性に欠けることから実際的な行動内容は副官をかばう雑兵たちの引きつけにシフトした。
 そうして無防備になりかけた副官のガードに、ナイフ使いが滑り込む。
「前回とメンバーが違う。ったぁく、これだからローレットはやりづらいんだ。情報を知ってても対策が立てられねえ」
「対策を立てる間もなくお主は死ぬことになるがの」
 デイジーが媒体飛行による実質的な大ジャンプで船に乗り移り、着地と同時にくるくると踊り始める。
 彼女の足跡から月がのぼり、『誘う青き月』と『蝕む赤き月』が発生。それぞれが(副官をかばっている)ナイフ使いへと飛んでいく。
「BS使いか、厄介なやつを……!」
 かけられたBSの治癒を副官に任せ、デイジーに反撃のナイフを放つナイフ使い。
 そこへマリナが突撃。
 自分の船から派手に跳躍すると、空中から副官めがけてフリントロック銃を連射。
 凍てつく弾がナイフ使いの動きを鈍らせ、弱らせていく。
「どーも、アザラシ大艦隊の先陣マリナです。海洋の稚魚だと思って舐めたら痛い目に合いますよ?」
 着地し、ごろんと前転をかけてから再び銃撃を開始――しようとしたところで、マリナは殺気を感じてその場から飛び退いた。
 それまでの足場に銃撃。更にマリナの腕に銃撃。かろうじて銃は落とさなかったものの、自由に攻撃するにはキツい状況を察した。
 二丁拳銃の女がマリナへ執拗な銃撃を仕掛けてきているようだ。
 宙に浮かび、神秘のボウガンを打ち込んでくる飛行種。
「あぶねえっ」
 エヴァンがマリナのカバーに入り、その間にマリナとともに飛び移ってきたクロバが到着。
「だから立ちはだかるなって言ってんだよこの鉄屑共。……死神の前に立ったが最期だと思い知るんだな」
「クロバ――奴は危険です。俺が止めます!」
 機械鎧の騎士が理力障壁を展開させ、光の軌跡をひきながら斬りかかってきた。
 直撃を受け、盛大に出血するクロバ。
 が、歯を食いしばって機械騎士へと斬りかかっていく。
 ガンブレードを交差したことで生まれる爆発的なエネルギーが、騎士の鎧を破壊していく。
「クロバ、貴様……これほどの力を持ちながらなぜ平和ボケした海洋になど味方する! 弱者を救おうという気持ちはないのか!」
「弱者だ? 貴様が沈めたあの艦隊がそうだ。あれが貴様らのやったことだ!」
「嘘をつくな!」
 再びの斬撃が、騎士のレーザーブレードとぶつかり合う。
「それにこれはイレギュラーズとしての力だけじゃねぇよ――あの船長たちが俺たちに繋いだ、意志だ!!」
「先へ行くぞ」
 上を飛び越えていくエクスマリア。
 頭髪によって巨大なこぶしを形成し、ナイフ使いへ殴りかかる。
 激しい反撃こそうけたものの、エクスマリアはそのままナイフ使いを殴り抜いた。
「マリアは、黄金戦車、などと、呼ばれているのだった、か?
 その名の通り、蹂躙してくれよう、か鉄屑になる、覚悟を、決めろ」
「まずいですね」
 鉄仮面の副官はサングラスになっているアイシールドの奥で目を細めた。
「また会ったな禿かんちょー! 今度はまけねーからな!」
 ワモンの海豹牙斗燐具武放猛怒が炸裂。
 副官は直撃を受け、激しく吹き飛んだ。
「ぐう!?」
 船の手すりに激突する副官。
 仮面の下から血が流れたその様子を見て、ショッケンは。
 ここへきて初めてショッケンは、アルキメデスレーザーのレンズを浮遊させた。
「『アルキメデス号』を破棄。本官及びブラックハンズは被害甚大につき撤退する」
「被害甚大? これが……?」
「逃がすかー!」
 倒れた副官とナイフ使いを支え、ショッケンたちは別の船へと飛び移っていく。
 ワモンたちは彼を逃すまいと襲いかかった。

「そんなに戦争がしたいんですか貴方たちは!!」
 甘い香りを放って足止めしようとするベーク。
 彼に対し急接近した巨漢がベークのボディをぶち抜く勢いで拳を打ち付け、吹き飛ばしていく。
「うわっ!?」
 手すりを破壊し、海へ落ちていくベーク。
「ベーク!」
「大丈夫だ、奴は泳げる。それよりも……!」
 エイヴァンは大きく吠えるとショッケンの乗り移った船へと飛んだ。
「『リダホッド・ヴォールヌイ』――!」
 今度こそと繰り出そうとした斧の衝撃――が、ショッケンのアルキメデスレーザーによって打ち返される。
「ぐお!」
 咄嗟に空中でガード。海中に落下した所へ、周囲に水中兵が一斉に襲いかかる。
 一方で、クロバたちもショッケンを追いかけようと走り出したが……。
「待て、貴様に追わせはしない!」
 騎士が壊れた鎧からスパークをおこしながら立ち上がり、彼らの前に立ち塞がった。
 そして、ビームサーベルを地面に向けて突き立てる。
「アンタまさか――」
「貴様がやったことだ。この私だってできないわけが……!」
「ムリするんもんじゃあねえぜ」
 ぐるん、と騎士が上下反転した。
 十夜がいつの間にか彼を投げ落としていたのだ。
 エクスマリアは巨大なこぶしを二つ作り上げ、騎士へハンマーのように叩きつけた。
 甲板が粉砕され、騎士は海へと転げ落ちていく。
「へいベイビー。強引なダンスはプレイボーイにだって嫌われるぜ」
 直後、巨漢が肘からジェット噴射をかけながらパンチを放ってきた。
 防御姿勢をとり、衝撃を受け流すエクスマリア。
「甲羅戯艦隊のやつがなんていって死んだのか教えてやろうか?」
「――!!」
 クロバがガンエッジのトリガーをひき、爆発するエネルギーを吹き出しながら斬りかかった。
 しかし、ブレードは鋼の手によってがしりと受け止められる。
 顔面に叩きつけられた拳に、クロバは吹き飛んでいった。
「クロバ……ッ」
 咄嗟に振り向き、クロバをキャッチするために飛ぶエクスマリア。
 巨漢は十夜の顔をチラリと見たが、『もうやるべきことはないんでね』といった様子で両手を挙げてみせる十夜を見て、巨漢は歯を見せて笑った。船に置かれたジェットパックを装着し、騎士を回収して撤退していく。
 と、そこへ。
「皆さん、私たちはこの船で……!」
 駆けつけたデイジーの船に素早く飛び乗っていた寛治が、マリナやワモンたちを手招きする。
「おう!」
 カイトは飛行し、船より先行。
 マリナとワモンはそのまま船の砲手となってガトリング射撃と魔術砲撃を仕掛け始めた。
「逃げ帰るには早いぞ。妾のおみやげをもらっていくのじゃ」
 巨大な大砲から月の魔術ビームを発射するデイジー。
 ショッケンはアルキメデス投射器を浮かべ防御。ビームははじけ、仲間の砲撃が彼の身体に打ち込まれていく。
 更にカイトの放った羽根が打ち込まれるが、反撃に発射された銃撃やボウガンがカイトに突き刺さり、カイトもまた海へと墜落した。
「俺に当てた……!? こいつ、なかなか……!」
 ざぷんと海に落ちたが、すぐにデイジーの船から縄ばしごが落とされる。
 更に、海に飛び込んだワモンとマリナが猛烈なスピードで船を追いかけ始める。
「まてマリナ、手強い奴がいる!」
 が、ワモンは途中でブレーキをかけてガトリング射撃を開始。
 視界の先ではカブトガニのような鎧をまとった水中兵が射撃を防御。魚雷発射装置になった腕を突き出し、こちらへと放ってくる。
「ワモン・D・デルモンテ……まさか『アローヘッド』の子孫であったとはな。通りで苦戦したわけである。だが、これ以上先へは進ませぬ!」
 迫る魚雷。
 マリナは回避行動をとりながらも彼に向けて射撃。
 回避しきれず爆発に巻き込まれたが、一方でカブトガニ水中兵の鎧を破壊することに成功した。
 追いつく船。
 寛治は銃の狙いをショッケンたちののった船につけたが……。
「いや、ここまででしょう」
 首を振って銃を下ろした。
「敵の指揮官は倒しました。負傷者を回収して撤退。ゼニガタ大佐に報告を」
 そこまで話してから、寛治は逃げ去る船へと振り返った。
「それにしても、撤退の判断が早い……何か、裏にありそうな気がしてきましたね」




 こうして、ショッケン大艦隊はアザラシ大艦隊の防衛力を破ることができず撤退。
 アザラシ大艦隊にも多数の死傷者が出たが、彼らは海洋の海を守ったことを誇りに想い、彼らを指揮したイレギュラーズたちをたたえたという。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

エイヴァン=フルブス=グラキオール(p3p000072)[重傷]
波濤の盾
ベーク・シー・ドリーム(p3p000209)[重傷]
泳げベーク君

あとがき

 ショッケン大艦隊の撃退に成功しました
 彼の大艦隊を退け強さを示した海洋王国の未来に、乞うご期待!

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