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シナリオ詳細

ザ・ラサビジョン 年末特大号

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●ラサビジョン史上最も売れた伝説のErstine号
 レモンを頬につけ、優しく微笑むErstine・Winstein。
 ローレット特集としてセクシー・キュート・ゴージャスに彩られたイレギュラーズたちを撮影したこの号は、史上最も売れたラサビジョンとして今もラサ本社内の額縁に飾られている。
「そこで! もういっかい!!」
 ラサのメディア王(自称)ことドクモト・RE・マクリャーレが、年末特大号として掲げた記事が『ローレット大特集』であった。
 タイトルはなんと。
 『美戦、ローレット』

「イヤァーア、前回のErstine号は売れに売れてネェー。
 雑誌を重版したのなんて久しぶりだったネェー」
 ドクモトは首から上の一眼レフカメラをくいくいやって語った。
「読者からは『もっかいやって! もっかい!』て声が大量に来てねぇ。僕らとしてもあの仕事は楽しかったから、ぜひぜひもっかいやりたいんだよねぇ」
 そういって連れてこられたのは。
 美咲・マクスウェル (p3p005192)
 ヒィロ=エヒト (p3p002503)
 アルテミア・フィルティス (p3p001981)
 リースリット・エウリア・ファーレル (p3p001984)
 桐生 楪 (p3p007157)
 ラクリマ・イース (p3p004247)
 新田 寛治 (p3p005073)
 そして、Erstine・Winstein (p3p007325)
 目玉のErstineを中心に、前回のメンバーとやや構成をかえた八人である。
 アトリエ女王第一の刺客ことヒィロ。その親友として数々のコンビ写真を撮影された美咲。
 世界平和を実現しかけたリースリット。
 いうまでもないみんなの姫騎士(意味深)アルテミア。
 今回初登場、黒髪の美女楪。
 そして前回と大きく異なる男性枠。
 ファンドで名をはせる一方自身の写真も人気の新田。
 美しき白薔薇の君、ラクリマ。
 絶妙なメンバー構成だ。
 ドクモト氏は表紙ラフをかざして見せた。
「とはいえ? 前回と全く同じことをメンバーだけ変えて行うのももったいないよね。
 ここはひとつ、話題性に乗っかってみようと思うヨ」

 ラフに描かれたのは砂漠にそびえる古代都市遺跡。
 石の玉座に腰掛け、レモンを頬にあてて微笑むErstineのラフスケッチが描かれていた。

「今度の舞台は古代都市『砂の都』跡地ダヨー!
 読者はこの前のザントマン騒動からローレットの戦う姿に注目し始めてるんだよネ。
 この都市に若干数残ってるらしい砂モンスターと戦ってる姿を撮影することにしたヨ。
 ただ戦ってるだけじゃなくて、魅せるバトルを撮影するのが目的だから、そこのところをヨロシクね。ンマーア、このメンバーなら『間違いない』ヨネー! ハッハー!」

●inロケバス
 そんなわけで。
 今回はドクモト氏の会社が発行する大衆向け雑誌『ラサビジョン』年末特大号特集記事として、ローレットの戦う姿の撮影依頼が入ったのであった。
 彼らは無事撮影を終えることができるのか。
 いい絵を収めることが、できるのか!
「できるのかって言われても……ね」
 この世界に召喚されて間もない大学四年生桐生 楪 (p3p007157)。
 ローレットでの訓練以来、これがまともな初仕事である。
 大きな箱馬車の車窓から凹凸する遠い砂地を眺め、小さく息をついた。
「戦闘経験がないとはいわないけど、撮影のために魅せる戦闘をするなんて初めてじゃないかしら」
「けどローレットって、こういうことそんなに珍しくないよ?」
 ヒィロ=エヒト (p3p002503)がみかん剥きながらそんなことを言った。
「そうだね。自分なりのスタイルを作っておいて、損はないと思う」
 ヒィロのむいたミカンをひとかけもらう美咲・マクスウェル (p3p005192)。
「けど、たとえば……どんなことに気をつければいいんでしょう」
 リースリット・エウリア・ファーレル (p3p001984)のつぶやきに、新田 寛治 (p3p005073)がちゃきりとめがねを光らせた。
「ポイントは『姿勢』『動き』、そして『絡み』です」
 新田は拳銃を懐から取り出すと、それを窓の外に構えてみせた。
「たとえば武器ひとつ構えるにしても、クールさやかわいらしさ、セクシーさを表現することが可能です。それらは戦闘力の向上とはまた別に、他者への覚えをよくし仕事が入りやすいようにするといった効果をもちます。」
「つまり……美しいことは得だ、ってことですね」
 ラクリマ・イース (p3p004247)がふぁさぁっと前髪をかきあげた。
「動き方にもいろいろある。ただ強力な攻撃スキルを発動するだけじゃあなく、その動きやエフェクトに工夫を加える……ということですね」
「薔薇を散らしたり、火を出したり……ですか?」
 小首をかしげたリースリットに、新田が深く頷いた。
「今回使用するカメラは非常に性能のよいもののようですね。私のいた世界のデジタル感光センサーとは根本的に異なる、もっと別世界の技術が使われていそうですが……まあ、細かいことを考えてもこの世界では仕方ないでしょう。
 ともかく、光や動きに対して強いカメラなので、目一杯動いていいということです」
「その上で、『絡み』?」
 アルテミア・フィルティス (p3p001981)がちらりとErstine・Winstein (p3p007325)のほうを見た。
 閉じていた目を開くErstine。
「剣、銃、魔法……今日のメンバーは基本的な戦闘スタイルがいい具合にばらけているわ。
 強力して戦う姿や攻撃を重ねる連携風景は、きっと読者も喜ぶでしょうね」
「まとめると……普段のスタイルで戦いつつ『姿勢』と『動き』にこだわって、その先で『連携』をとって戦う姿も撮影させればいいのね」
 大体わかってきたわ、と胸元をたたくアルテミア。
 馬車はやがて、さびれた古代遺跡前へとたどり着く。

GMコメント

 ご用命ありがとうございます。黒筆墨汁でございます。
 此度の依頼人はラサのメディア王(自称)ことドクモト氏。
 依頼内容は写真撮影のモデルでございます。
 今回はOPでは触れていない要素についても解説していくので、この解説をよくお読みください。

■ファッションチョイス
 各員は『セクシー』『ビューティ』『シック』の三種類から選び、撮影用ラサファッションを着用して戦うことになります。
 具体的にどんな服になるかは、リプレイが出てのお楽しみとしておきましょう。
 全員自分の趣味で選んでもらってかまいませんが、ある程度はばらけていたほうがよいかもしれません。(そのうえで選択に偏りがあっても今回は全然OKです)

■バトルシーン撮影
 砂の都跡地の比較的安全なエリアに繰り出し、弱いモンスターと戦闘を行います。
 砂でできた狼や、砂の熊、砂の大蠍といったモンスターが出現するようです。
 いろんな理由があっていまは弱いモンスターなので、別に全力でぶつからなくてOKです。

 重要なのは見栄えよく戦うこと、でございます。
 各メンバーの個性を出しつつ、見栄えを意識したバトルプレイングを書いてみてください。
 すっごく迷って頭がぐるぐるしたなら『ドクモト氏に教わる』という選択をとってもかまいません。個性を出しつつ戦う姿勢や動きを教えてくれます。

 一人ずつ個性的に戦ったところで、ちょい強めの敵に対して連係プレイで倒す姿も撮影することになるでしょう。
 このときは仲間と攻撃を合わせたり、つないだり、合体したりと連携を意識してみてください。
 単純に火力を重ねるだけでも結構絵になったりするもんなので、気軽に相談時に『いっしょにやらない?』って声をかけるのをおすすめします。

 ロケーションは砂の都跡地。
 TOP背景にあるような、砂と石の遺跡です。

  • ザ・ラサビジョン 年末特大号完了
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別リクエスト
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2019年12月24日 22時20分
  • 参加人数8/8人
  • 相談8日
  • 参加費---RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

アルテミア・フィルティス(p3p001981)
銀青の戦乙女
リースリット・エウリア・F=フィッツバルディ(p3p001984)
紅炎の勇者
ヒィロ=エヒト(p3p002503)
瑠璃の刃
ラクリマ・イース(p3p004247)
白き歌
新田 寛治(p3p005073)
ファンドマネージャ
美咲・マクスウェル(p3p005192)
玻璃の瞳
桐生 楪(p3p007157)
喪いしもの
エルス・ティーネ(p3p007325)
祝福(グリュック)

リプレイ

●ラサビジョン年末特大号特別付録『メイキングオブビューティフルバトル』
 倒れた石柱に腰掛けカメラレンズの手入れをするドクモト・RE・マクリャーレ氏。大衆向け情報誌ラサビジョンの編集長でありいまだ現役のカメラマンだ。
 ドクモトは一眼レフカメラの形をした頭部に大きなレンズを装着し、くいくいとひねることでピントを調整する。
 今回彼が写すのは、以前特集したローレット・イレギュラーズである。
 彼らが美しく、魅惑的に、そして洗練された戦いを見せるさまを撮影し、かつて魔に犯されようとしていたこの砂漠を救ったあの日のありさまを思い描かせる。それこそが狙いである。
「もう撮ってるの? まだ準備中なんだけど……」
 美しく赤い花模様の入ったブルーのドレスを身にまとった『氷結』Erstine・Winstein(p3p007325)が、頭にヒジャブを巻き付けながらカメラを見た。
 前回は手足や胸元を強く強調したことでセクシーさを前面に押し出していた彼女だが、今回は一転してシックなファッションでの撮影に臨む。
 ヒジャブにロングドレスとは一転というにはいささか極端な露出の減少だが、古典的なスタイルと異なり極めて華やかな模様と色使いがなされていた。
 露出を用いない女性らしさという意味では、筋の通った転身であった。
「まだ写真撮影には照れるけど……ふふ、そうね。沢山反響があったのはうれしいわ。今回も頑張りましょ」
「もっちろん! 見せてあげるよ、ローレットの力と美を!」
 『アトリエクィーン第一の刺客』ヒィロ=エヒト(p3p002503)が両手を指でっぽうにしたポーズをとってみせた。少々表現が難しいが、ボルトポーズを女性的にしたような姿勢である。
 衣装はといえば、ウェスタンハットに牛革のジャケットとジーンズ生地のホットパンツ。
 膝やおなかを大胆に露出したそれはまさに、カウガールスタイルであった。
「セクシー&ワイルド! って感じかな! 美咲さん?」
「前回の評判に乗じた『二匹目のドジョウ』も、やぶさかではないよ」
 なんて言いながら上品な帽子を脱いでみせる『見敵必殺』美咲・マクスウェル(p3p005192)。
 ウェスタンスタイルという点では共通していたが、フリルブラウスとバイオリンスカートという美しい衣装で固めていた。美しさを維持しつつ、ボディラインを出していく。そんなスタイルである。
「それと、今回は懐かしのコレ」
 ポケットから出した眼帯を装着し、目に強く印象をつけさせる。
 ビューティースタイルといえば『終焉語り』リースリット・エウリア・ファーレル(p3p001984)も負けていない。
 炎の模様がはしったブルーのカクテルドレスをまとい、うっすらとブルーのはいった白手袋を装着する。
「こんな格好で、戦うことになるなんて……」
 いかにも貴族のパーティーにでも出席しそうな装いだが、そこはさすがドクモト氏。戦闘に適した動きやすさと防御性能をきちんと保証していた。
「それに、ロケ地は砂の都……跡地。またここに来る機会があるなんて……思ってもいませんでした」
 遠い目をするリースリット。
 『白き歌』ラクリマ・イース(p3p004247)はその横でメイク担当者にぽふぽふとメイクを施されていた。
 メイクというのは極めて丁寧な塗装作業である。たくみに色を重ね質感を整え表面をコーティングし……という一連の作業を行い、髪にしっかりと櫛を通して整えたビューティフルなラクリマがそこには完成しつつあった。
「も、モデル……いざやろうとすると緊張しますね。普段の俺の感じでいいんでしょうか。いや、やっぱりモデルらしさといえば……」
 メイクが終わり、王子様のようなきらびやかな衣装に身を包んだラクリマはすっくと立ち上がり、前髪をふぁさあって書き上げた。
「今日の俺は――ナルシストキャラでemotionしてみるね☆」
「みんな、色々考えてるのね」
 『Righteous Blade』アルテミア・フィルティス(p3p001981)は布で仕切った即席の更衣室から出て、髪を頭の横で縛る形に整えた。
 周りから『セクシーで来い』の圧をひしひしと受けていたこともありセクシー路線で行くわよと宣言していたアルテミアだがしかし、出てきてみれば白い清らかなドレス。
 特に肩が出るということもなくなんなら白いつば広帽子まで被ってお出かけするお嬢様めいた清楚さである。
 周りがなんだかおもってたんと違うなという反応を見せるなか……『ファンドマネージャ』新田 寛治(p3p005073)はめがねをキラリと光らせた。
「ADさん、順光側ではなく逆光側に回ってください」
「――!?」
 山羊頭のADヤーギに電流が走った。
 素早く回り込むカメラ。
 逆光に適応した状態にしてアルテミアを撮すと……シルエット。
 そう。シルエット。
「見えないからこそ浮かび上がる影。人類が影に万物の空想を投影したように白く清らかなドレスにアルテミア様の影が映り込むことによってそのワガママなボディがスクリーンに強調されるのです。そしてよくご覧ください順光時には気づきませんがやや暗くなることでドレスの生地がうっすらと透けておーっとこれはまさか今夏世界を魅了したあの水着かぁーーーーー!?」
「新田さんテンション、テンションをさげて……!」
 失敬、といってネクタイをしめなおす新田。
 その後ろでは、『喪いしもの』桐生 楪(p3p007157)がどこか落ち着かない様子で咳払いをしていた。
 自分の外見がきになるのか、前髪をずっと指先でいじっている。
「雑誌を作るお手伝いなら喜んでするけど……武器をとって戦うことなんてほとんど無かったのよ。剣や魔法なんて言わずもがなだわ」
「そうでしょう。ですが逆にお考えください」
 落ち着いたトーンで振り返る新田。
「これが、自らの戦い方を定める好機である、と」
「それは……そうですね。新田さん。よろしくお願いします」
「こちらこそ」
 まるで新入社員とその上司といった案配である。親子ほど年が離れれば無理からぬ。
 それによく見れば、新田のスーツは非常に上等なブランド品だとわかった。英国の(詳しくどれとはいわないが)非常に人気のある老舗ブランドのそれである。
 彼が腕や肩を上げたり腰をひねったりする時の形のしまり具合から、一着数千円のスーツとの違いがおわかりいただけるだろう。そしておそらくながら、オーダー品である。
「気負う必要はありません。リラックスして行きましょう。大丈夫。すぐに慣れます」
「はい……」
 有名雑誌のモデル。そして本格的な戦闘。どちらも初の経験である。
 楪は深く息を吸い込み、ベルトに接続したホルスターから拳銃をとった。

●砂陽光に煙る
 上空から打ち込まれる無数の石弾の雨を、アルテミアはまっすぐに駆け抜けていく。
 細剣を左右に握り、風と砂を振り払って突き進む。駆け寄る砂の狼が次々に飛びかかるも、右へ左へと踊るようにかわし、そしてそのたびに狼たちをさばいていくのだ。
 開いた口から胴体を通り尻にかけてをまるでペンでラインでもひくように切り裂き、切り抜ける。
 そのたびになびく白いドレスが、丸みをおびた美しいシルエットが見えようか。
 うっすらと汗に透ける絹が胸元に張り付いて、新田の背後に現れた霊的ななんかが『ファンドしよ、ね? しよ?』てささやきかけてきた。今後背後霊がささやくシーン山ほど出るのでこの一回に全部集約しておきますね。
「衣装が変わってもやることは一緒……なんて言わないわ。少し、サービスしてあげる」
 Erstineはペンデュラムを垂らすと、無数の砂狼たちへと振り返った。
 風に揺らめく炎のように、陽炎に揺らめく花のように、幻想的なリズムでステップを踏み舞い始めるErstine。彼女の手から放たれたペンデュラムが氷の鎖を高速で延長し、襲いかかる砂狼たち次々とを貫いていく。
 足を止めて戦うというスタイルをある意味優美に表現した戦い方であった。
「なるほど……ああすれば」
 リースリットは鞘から剣を抜くと、クリスタル状の刃に月の光をあふれさせた。
「砂の魔物。彼女の残滓がまだ残っているのですね……」
 空を飛びさらなる射撃を仕掛けてくる砂の鷹。
 リースリットは瞬間的に自らの力を引き上げると、跳躍をかけて砂鷹へと急接近。
 月光の力によって切れ味を増した剣が、砂鷹を真っ二つに切り裂いていく。
 更に増幅した生命力が爆発し、着地したリースリットの頭上で砂鷹がはぜてさらさらと細かい砂を散らしていった。
 砂煙る古代遺跡。剣を振り抜くカクテルドレスの美女。
 絵にならぬわけがない。
「さあ、skillconditionを整えていこう。おいで、monster!」
 途中途中イイ発音で手招きしてみせるラクリマ。
 胸に白バラ。細かい刺繍の入った白手袋で砂狼を招き、突撃してくる相手に両手でフィンガースナップ浴びせた。
 すると突如吹き抜けた青き薔薇の花弁が砂狼たちを切り裂き、なびく前髪をラクリマがハンサムに書き上げる。
 リースリットは『写真撮影に口調は関係ないんじゃ』と思ったが本人が若干楽しそうなのでそっとしておくことにした。
 あと新田提案のメイキングビデオには残るのでちゃんと意味はある。
 さて新田と言えば。
「いいですか楪さん。ここは上司と新人という関係性が分かるような構図にしましょう。まずは自由に構えてみてください。私がフォローします」
「新田さんが上司ですね?」
「いいえ逆です。あなたが上司として振る舞うのです」
 親くらいの年齢の男性を部下にせよと申すか。と脳内の楪が変な口調で喋ったが、なにか意味がありそうだったので言うとおりにしてみた。
 新田が用意してきた武器はコルト・アナコンダ・ラサコピーモデル。.44マグナム弾を使用する大口径リボルバー拳銃である。銀のステンレスボディが彼の実直さをよく表現した。
 一方で楪に用意されたのはモーゼル自動拳銃。
 それもモーゼル・ミリタリー(通称レッド9)というパラベラム弾用に改造されたモデルの、更にラサコピー品だ。レッドナインという愛称でそのまま呼ばれており、ウッドストックを装着しアサルトライフルめいて使うなど汎用性の高い信頼モデルだ。
 が、新田が持たせたのにはもちろん理由がある。
 すらっとしてヒールの似合う黒髪の楪が構えると、すごく『上官っぽい』のである。
「楪さん。戦いの基本は火力の集中とフォローです。あなたが後方に立ち高い命中精度で遠術と衝撃の青を使い分ける。ただそれだけで戦場で一方的な勝利を収めることすら可能なのです。遠距離攻撃は前衛チームと火力の集中が行いやすく、タンクに守られても【飛】がクリーンヒットすることで引き剥がしが低コストに行える。命中型神秘ガンナーとは非常に優秀なサポーターなのです」
 すごく沢山喋っているように見えるが、その間も新田が楪を守るように立ち塞がりながら銃撃し、その後ろから楪がキリッと銃を突きつけるというさまがかなりクールにキマっていた。
 一方、パッションで攻めるのが我らがおなじみヒィロ&美咲コンビである。
「のっけからテンションあげていくよ!」
 緑の目に炎を宿し、狙い澄ました指でっぽうで砂鷹を一発で撃ち抜いて見せるヒィロ。
 背後に回り込んで襲いかからんとする砂狼に、美咲がフィンガースナップ。指先にともった炎をそのまま拡大するかのように、砂狼を激しい炎で包み込んだ。
 おなじみ『虹色虹彩』によるトリックなのだが、彼女にとってはお手の物である。
 炎のともった爪で円を描くようにくるりとスピンし、フッと日を吹き消す美咲。
「さて、と。ここからは連携の時間かな?」

「オーケー! このbeautifulな僕と連携したいのかい?」
 前髪ふぁっさあってやって(今日はこれが気に入ったらしい)ウィンクするラクリマ。
 Erstineはくすりと笑って氷のナイフを大量に作り出した。
「氷系統と聞いて少し親近感が湧いたの。
 あなたの事も輝かせられるように尽くすわ
 どうぞよろしくね」
 いいとも、と言ってラクリマは氷の弓を作り出し、砂の大熊へと向ける。
「ふふ、こんなservice滅多にしないんだけど今日だけ特別だよ☆ミ」
 強烈な氷の矢を発射し、砂熊を射貫くラクリマ。
 よろめいた所にErstineが飛びかかり、無数の氷のナイフを一斉に解き放った。
 細かく散って飛ぶ氷のかけら。
 12月とはいえ熱い砂漠に涼しく吹いた氷混じりの風に、寛治は軽やかに上着を脱ぎ捨てた。
「そろそろ絵に変化が欲しいですね。ここからは、ジャケット無しでいきましょうか」
「はい、新田さん」
 言われるままにジャケットを脱ぐ楪。がっちりとしたジャケットを脱いだからかネックレスやイヤリングの細かい装飾が強調され、それと同時に……。
(……ほう、これは中々)
 新田は目を光らせた。興奮する背後の霊的なやつ。
「おっといけません。フルファイアですお嬢様」
「おじょ――!?」
 振り返ると同時に拳銃を連射する新田と楪。
 襲いかかろうと駆け寄る砂熊がたちまち穴だらけになっていく。
「次は私たちよ。リースリットさん!」
 アルテミアは剣に青い炎を湧き上がらせ、砂熊めがけて走り出す。
 一方のリースリットは剣に紅蓮の炎を吹き上がらせる。
 自らをも包み込む炎に目を細め、そしてだからこそ見栄えするカクテルドレスがごうごうと音をたてて炎に揺れた。
 振り込まれる砂熊の打撃を左右に飛んでかわし、ターンをかけて同時に斬り付ける。
 赤と青の炎が螺旋を描いて混じり合い、砂熊を焼き尽くしていく。
 ヒィロと美咲は顔を見合わせ、『真打ち登場だね!』と頷いた。
「皆の異なる力を――個性を結集して、繋げてこそのローレット!
 依頼や戦場で、命のやり取りと思い出を積み重ねてきたこの『絆』は……ね、美咲さん!」
 ものすごいスピードで走り、砂熊を翻弄するヒィロ。
 その間に美咲は魔方陣を展開。
 光に包まれ、眼帯が燃え上がって飛んでいく。
 魔方陣は巨大なものとなり、美咲はソプラノ歌手が声をあげるさまのように背筋を伸ばし、その眼光から激しい魔力砲撃を発射した。
 とどうじに、最高のタイミングで死角に回り込んだヒィロが指の仮想二丁拳銃で炎の弾丸を発射。砂熊を撃ち抜いていく。
「最後に皆でとっておき、しない?」
 残った一体を指さし、首をかしげるヒィロ。
 ラクリマは氷の弓を、Erstineは氷のペンデュラムを、新田と楪は拳銃を、アルテミアとリースリットは燃えさかる剣を、そしてヒィロと美咲が合体させた巨大な炎をあげて一斉に攻撃を仕掛けていく。
 膨れ上がったエネルギーの爆発。螺旋状にあがっていく光の柱。
 それをバックに並ぶ八人のイレギュラーズ。
 ドクモト氏は涙(?)を流しながらシャッターをきりまくった。
「売れる! これは売れる!!」
 そして彼の予想通りラサビジョン年末特大号は売れに売れたという。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 またひとつ、伝説を作ってしまいましたな!

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