PandoraPartyProject

シナリオ詳細

ティターニアとサンタクロース

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●ティターニアの憂鬱
 ここは『ブルーム・ブルーム』の中のとある街。
 この街では、毎年森の奥からモミの木を伐採してツリーとしていたのだが。
「ヒカリハナが枯れて近寄れない……!!」
「なんだって!?」
 モミの木が自生する、聖夜の口付けと呼ばれる森には原因不明の暗闇が訪れていた。
 ヒカリハナと呼ばれた光源になる花は、本来暗いはずの聖夜の口付けを照らすのだ。
 他の光源は何故か光を吸収されてしまうため、効果がない。
「ティターニアが寂しいんだって! だから、ぼくらも元気にしたいんだけど……」
「わたしたちがどんな魔法を使っても、ティターニアはげんきになってくれないの……」
 小さな身体をさらに小さくしながら、妖精達はその理由を人々に告げた。
「そうか、ティターニアが……」
「今年の冬は特に寒いから、ティターニアも寂しくなるのでしょうね……」
 ここの人々と妖精は仲が良く、生活にも密接している。だからこそ、放って置くことなどできるはずがなかった。

「よし。それなら、俺達花冠師(フルール)の出番だね」

 片手に杖を、傍らに精霊を連れた青年が告げた。その名はカナタ。花冠師ギルド『Flowers Flag』のギルドマスターである彼が妖精の声を聞けば、人々からは歓声が上がった。
「カナタが立ち上がるなんて……これならきっと大丈夫ね!!」
「俺達からも支援を止めるな! すべてはティターニアのために!!」
「俺達が力を合わせれば、必ずティターニアは元気になってくれる。
 その為にも、この冬を祝福するためにも。決して枯れることのない花を咲かせようじゃないか!!」
 人々からは再び歓声が上がった。妖精達も声をあげる。
 国をあげた一大イベントが始まりを告げた。

 一方その頃ティターニア。
「……妖精たちはが私を心配してくれているのはわかるのだけれど」
 はぁ、とため息混じりに零したのは長寿故の苦悩。
「私の元にもサンタさん、来てくれたっていいんじゃないかしら」
 元気がない理由。
 それは、サンタが来ない寂しさだったのだ。

●ブルーム・ブルームと聖夜
「ブルーム・ブルームではモミの木を伐採して、ツリーを作るそうなの!」
 ポルックスは傍らに本を抱いていた。咲き誇る花が目を惹いた。
「だけれど、ティターニアが“寂しい”って。モミの木を取ることもできないみたいなの」
 クリスマスツリーを飾る道具も、これでは手持ち無沙汰だ。
 オーナメントも、星もリボンもふわふわの綿も!このままでは美しさを失ってしまう。
「だからね、ティターニアを励ましてあげて欲しいの」
 お願いできるかしら、とポルックスが告げた。付け足すように、こんな言葉も。
「ティターニアが元気を出せば、聖夜のおいわいができるらしいわ!」

NMコメント

寒くなって参りました。冬の寒さが歳を重ねる事に辛くなります。どうも染です。
今回はティターニアを励ましてあげてください。

●依頼内容
 ティターニアを元気づける。

 サンタが来ないことで悩んでいたティターニアが望むのは、クリスマスの子供のような体験をすること。
 皆様で相談して、プレゼントをひとつ決めて渡してあげてください。
 勿論、サンタやトナカイの仮装も大歓迎です。

●世界観
 魔法世界『ブルーム・ブルーム』。
 花と魔法で満ちた世界。魔法で文明が築かれています。
 基本的には物理攻撃よりも神秘攻撃がメインの世界です。
 また、ファンタジーな世界ですので、妖精やドラゴンなど、ありえない生物がいます。

●NPC
・ティターニア
 妖精女王。引き摺るほど長い黄緑の髪が特徴。エルフのように長い耳を持つ。成長が遅いとはいえ、いつまで経っても凹凸のない身体に悩んでいる。
 サンタに憧れている。いつもは妖精たちにプレゼントをあげる側なので、今年こそはとわくわくしているようだ。

・カナタ
 花冠師ギルド『Flowers Flag』のギルドマスター。齢19にしてトップクラスの実力を持つ温厚な青年。ティターニアを励ますために手を貸してくれます。

●フルールについて
 フルールとは、花冠師のこと。
 魔法や魔術を使う人々のことを指し、この世界に住まう人々の半分は花冠師です。
 現地の人々はもちろん、異世界から来た人がフルールと呼ばれる場合もあります。
 また、フルールにはギルドがあり、各々所属している団体があるようです。

●特別ルール
・モミの木を切る際に使うスキル
・クリスマスツリーに飾り付けたいもの
 を明記してください。
 して頂けない場合は雪だるまのコスプレをして頂きます。

●サンプルプレイング
 ぼくも小さい時は、サンタさんによく憧れたなぁ。
 ようっし。今日はぼくが、ティターニアさんのサンタクロースになるよ。
 プレゼントはとびっきりのおかし! アイシングクッキーっていうんだ。
 くつしたにステッキ、クリスマスツリーのかたちも用意したよ。
 ふふふ。きっと喜んでくれるような気がするんだ。不思議だね。
 あ、そうだ!皆で手紙を置いておこうよ。「Merry X'mas!」ってね。
 ティターニアが喜んでくれたら……あぁ、ほら、ヒカリハナが咲いたよ。
 あとは木を切って……よいしょ! クリスマスツリーの完成!

以上となります。
ご参加お待ちしております。

  • ティターニアとサンタクロース完了
  • NM名
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2019年12月16日 22時10分
  • 参加人数4/4人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

ツリー・ロド(p3p000319)
ロストプライド
武器商人(p3p001107)
闇之雲
回言 世界(p3p007315)
狂言回し
夏川・初季(p3p007835)
星さがし

リプレイ

●サンタクロースの下準備
 『闇之雲』武器商人(p3p001107)の案である『桜色の髪留め』を作るために、フルールと呼ばれた四人はカナタの案内で魔法世界『ブルーム・ブルーム』のとある泉へと案内される。
「ここならいい素材は沢山あると思うけど……何かつくるの?」
 小さく首を傾げて問うカナタはどうやらティターニアの胸中を察していないようだ。
「サンタさんのように活動するんです。ティターニアさんに是非元気になって頂きたいですから」
 と、カナタに優しく教えるのは『星さがし』夏川・初季(p3p007835)だ。
 黒百合のような美しい髪を靡かせて告げれば、納得したように頷くカナタ。
 『付与の魔術師』回言 世界(p3p007315)と『カースド妖精鎌』サイズ(p3p000319) は、武器商人の案を受け、適した素材を探しに向かう。
(にしても、女王様も案外子供っぽいところがあるもんだな……折角ならサンタの真似事に付き合って貰おうか)
 ふ、と穏やかに笑めば、妖精たちが腕をぐいぐいと引っ張ってくるものだから。
「ど、どうした!?」
「桃結のフルール、あれとっても可愛い花でしょ! あれ使おーよ」
「これはカチューシャだけどな……あぁ、いいんじゃないか? あれにしようか」
 手際よく桜色の花弁を取れば、近くに苺が自生していることに気が付く。
(……個人的な贈り物に使えそうだな。よし、あれも)
 世界は苺も摘んでから三人の元に戻っていった。

 一方その頃サイズはまたげんなりしていた。
(また来てしまった…だが来た以上全力で行かねば、ハード依頼をこなすくらいの気迫で……)
 妖精と一定の距離を取りつつもついていくサイズ。妖精たちも不安げに進んでいく。
「鎌のフルール……この花の茎から取れるシロップは固まると綺麗なんだけど……沢山切ってもらってもいいかなぁ」
「勿論……」
 鍛冶を用いて作り出した鋏を使いちょきちょきと花を切っていくサイズ。
 するとシロップはだんだん美しい輝きを放つビーズへと変わってゆく。
「わぁ……! さすがだねぇ」
「そんなことはない」
 じっくりと固まっていくのを見守る妖精を横目にサイズはそっと場を離れる。
 近くに泉を見つけたサイズは、手袋をして贈り物を清める。
 美しい杖は、聖水でさらに輝きを増した。
 妖精たちを心配させないようにこれもガーゼで隠しておいたサイズは、また花を切る作業に戻る。
 どうやら妖精たちは気が付いていなかったようだ。
 シロップが沢山取れると、サイズと妖精は急いで仲間の元へと帰っていった。

「おかえりなさい、皆さん」
 初季が迎えれば、素材を受け取って休憩するように促す。
 初季もここで絵本を作っていたらしい。初依頼だというのに中々の手際だ。
「それじゃあ始めようか。時間がないから、キミがちゃんと素材を持っておいてくれるかい」
「はい、任せてください」
 武器商人は爪操る色欲を用いて世界法則に干渉する。初季の持つ素材に手を伸ばして触れれば、ビーズの装飾が美しい桜色の髪留めが初季の手の中に。
「凄く綺麗……きっとティターニアさんの髪に似合います」
 女性からも貴重な意見がもらえたところで、妖精たちはごくりと喉をならす。
「それじゃあ、ティターニアの元に案内するね……」
 その表情は不安げだった。


●聖夜の奇跡
 大樹の根元では忙しなく妖精たちが飛び交っていた。その理由はティターニアを励まし聖夜を祝福するためである。
「あ、銀のフルールだ! この間ぶりだね~」
「やあやあ、女王様、それに愛しい妖精(りんじん)たち」
 武器商人を先頭に、四人はティターニアの元へと案内される。
 ティターニアはようこそ、と小さく呟いたきり不満げにソファに寝転がっている。
「ティターニア、やっぱり元気が出ないんだって……」
 ひっそりと耳元で呟くのは先日の妖精だろうか。
 武器商人は安心させるように妖精を撫でてやると、ゆったりとした足取りで歩み寄る。
 若草色の髪を憂鬱気に垂らし、客人を見やるティターニア。
「ヒトの中に何人か別のモノが混ざっているようだけど……この世界の長たる私に、何の用かしら」
「もうすぐクリスマスですから……私たちからもティターニアに贈り物をさせていただきたくって」
 初季がこくり、と武器商人に小さく頷けば、武器商人が懐から贈り物を取り出す。
「せっかく若草のような美しい髪なのだから引き摺らなくて済むようにね」
 思わずソファから起き上がって、とてとてと近寄れば、ティターニアは恐る恐る問うのだ。
「……も、もしかして、貴方たちがサンタクロースの正体、なの?」
「は、はい! ふふ、流石ティターニア、正体を見抜くのもお早いですね」
 初季が機転を利かせ、ティターニアに微笑みかける。
「そ、そうなの!? ……まさか、これって、クリスマスプレゼント?!」
「はい、そうなんです。こんな素敵な場所でサンタさんの活動をするなんて夢のようです」
 ティターニアはどうやら下界に下りないせいで、サンタを良く知らないようだ。嬉しそうに顔を綻ばせると、辺りは光で満ちてゆく。
 初季にありがとうと告げれば、髪飾りを指さして恥ずかしそうにこう言った。
「折角だし、付けていただけるかしら」
 サイズが鍛冶で櫛を生み出せば、同じ女性である初季は慣れた手つきで若草の髪に櫛を通す。
 世界がまず個人的な贈り物であるケーキと、道中で摘んできた苺を渡せば、その顔はクリスマスを喜ぶ幼子のように変わってゆく。
「とっても美味しいわ……! ありがとう、最高のクリスマスよ」
「喜んでいただけたんなら何よりだ」
 長い髪が梳き終わるころには、ケーキもなくなっていて。
「いいコだね、ティターニア。
 キミはいつも頑張っているのもの、サンタクロースから贈り物を得るには十分だ」
 武器商人が柔らかな髪に手を通す。
 そっと結ってやれば、まるで春が訪れたかのように明るくなっていく周囲。
「ありがとう。皆、とっても嬉しいわ。妖精たちも、フルールも、ありがとう」
 纏まった髪に嬉しそうに触れれば、羽根を背中から出して、宙へと飛び立つティターニア。
 こほん、と小さく咳払いをすれば場の空気は緊張したものへと変わる。
「私が素敵な聖夜を頂いたんだもの、皆が過ごせないわけがないわ。さぁ、私からの最大級の祝福を贈りましょう!」
 ティターニアの祝福。其は即ち、妖精祭のはじまりを告げる証。嬉しそうに笑えば、周囲に光が降り注ぐ。ヒカリハナがみるみる咲いてゆく。
 聖夜の祭がはじまった。

●Fir tree
 ヒカリハナが咲き誇り、人々はクリスマスを無事祝うことができるようになった。
「さぁ、あとは俺たちの木を切って……」
「あら、皆で一つのツリーを飾ればいいじゃないの。皆もそうしているようだわ」
 妖精界から人間界へと舞台を変え、今は聖夜のお祭りの真っ最中。
 世界が気合を入れようとしたところにティターニアがやってきた。
「……いいのですか?」
 魔力を放出しようとしていた初季もこれには目をぱちぱちとさせて。
「構わないわ。今年は私のせいで木が少し細いから……そうしていただけると嬉しいわ」
「なら、飛びきり太いのを切るとしようか。なんてったって四人とも、切る気満々だったからねぇ、ヒヒヒ」
 こうして、四人は太い幹の木を囲むことに。
 北にサイズ、東に武器商人、西に初季、南に世界という並びだ。
 何が始まるのだろう、とブルーム・ブルームの住民も興味深々の様子。
「それじゃあ、皆行くぞ!」
 カナタがせーの、と声をあげる。

「いっけーーーっ!!」

「ここで今日の苦しみをぶつけさせて貰おう……」
「ふふ、それじゃあ遠慮なく」
「……よしっ、行きますよ!」
「いくぞ、精霊たち!」
 生み出した鋸でサイズがダメージを与えれば、そこへ武器商人と初季の斬撃と魔力撃が入り込んで倒れていく。己の方に倒れてくる木を精霊たちに受け止めてもらい、立つように植え替えれば四人だけのツリーの完成だ。
 武器商人がジンジャーマンとオーナメントを飾れば、嬉しそうに妖精もはしゃぎだす。
「わ~、まんまるでぴかぴか!」
「こっちのはヒトのかたち! すごいねぇ~!」
「ね、ね、ぶら下がってみてもいいかな!?」
「あっ、ずるいよ~わたしも!」
 漸くリラックスできたのか妖精たちも安心しきった様子で飛び回る。
「一緒にぶら下がってみるかい、小さな隣人たち。……ヒヒヒ。なんて、ね」
 武器商人がにんまり笑みを浮かべればきゃ~と声をあげてはしゃぐ妖精たち。和やかな空気が流れた。

「ここは無難にブーツを……っと」
 世界も電飾とお菓子を詰め込んだブーツを飾り付ける。
 きらきらと輝く電飾に妖精たちは大はしゃぎだ。
「わ~~これも魔法? すっご~~い!」
「これはテクノロジーの生み出した技術の結晶なんだぞ……まぁわからんだろうが」
 てくのろじー? と笑みを浮かべたまま首を傾げる妖精たちに吹き出してしまう世界だった。

「ふふ、リボンも結んで……っと」
 リボンに雪だるま、この世界の花を飾る初季。
 その背に妖精たちが近づいた。
「わ~、本のフルールのこのリボン、かわいいねぇ」
「それにこのスノーマンも! こっちじゃスノーマンは動くんだよ~」
 得意げに話す妖精たちに心を和ませつつ、初季は微笑んでリボンを差し出す。
「一緒に結びませんか?」
「! えへへ、よろこんで~」
 きゃっきゃと楽しげな声が響いた。初季はそっと絵本を妖精に託しておく。
「ティターニアに渡しておいてください。皆で読むと、楽しいですから」

 人々が寝静まったころ、サイズはそっとプレゼントをツリーの下に置いておく。
 その近くにはティターニアも。
(名残惜しいが……血を吸っちゃだめだからな。見ない! 早く帰ろう……)
 吸血衝動に抗おうと全力で飛行するサイズであった。

 Happy Christmas!

成否

成功

状態異常

なし

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