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シナリオ詳細

血雨少女の殺人衝動

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●監獄島
 幻想国における治外法権。そんな言葉が罷り通るのはこの場所位ではなかろうか。
 大罪人――それは『幻想国において』だ――を収容する絶海の孤島。それは幻想国における最も安全な場所だと葛西いずみは言った。
 この場所で何が起こっても内々で処理される。身の内に沸き立つ衝動を我慢しなくてよいというのは彼女にとってどれ程に幸運な事であろうか。
 そう、ここは幻想国で最も安全なのだ。かのアーベントロートの暗殺の手も及ばず、王国に有り乍ら王国から隔離された場所。それが『監獄島』と呼ばれる場所であった。
 この場所の王に君臨するのはローザミスティカと呼ばれる女であった。貴族殺しの大罪人たる彼女を篭絡し、監獄等の実質的な権限を得たいというフィッツバルディ公による秘密裏の『オーダー』はこの監獄に収容される者達の願いを聞き届けることであった。
 謎多きローザミスティカ。彼女だけではない。看守や囚人たちの願いを聞き届け、この島の支配権を得るが為に特異運命座標はこの島へと踏み入れるのだった。
 尤も――この島に居るのは罪人だけではない。何故……? 此処が幻想国で一番安全だからだ。

●血の雨の少女
 混沌大陸には無数の少数部族が存在している。例えば、鉄帝国内に存在する3つの部族が徒党を組んだノーザン・キングスという連合国家――名乗る分はタダだとでもいうことか――そして、パサジール・ルメスの様な流浪の民など。
 葛西いずみという少女はそう言った場所の出身であった。普通の女学生として日々を送る毎日の中、その胸に沸き立つ殺人衝動を抑えることができず、夜な夜な剣を振るう毎日。
 その剣戟の美しさにローザミスティカは「サーカスにでも入って見世物として殺人でmすりゃいいだろうに」と称するほどだ。……殺人サーカスなんてものがあれば真っ先に手配書者なのだが、そうしたジョークが罷り通るのがこの監獄島か。
 今回のオーダーはローザミスティカより「いずみの話を聞いてやってくれ」というものであった。
 黒髪の、可愛らしい少女は「皆さんが特異運命座標ですか?」と首を傾いだ。

 彼女が此処に収容されているのにも理由がある。胸の内に沸き立つ衝動を抑えることができず、夜な夜な国を渡り歩き通り魔を繰り返す日々であった。
 そんな中、彼女が手を出したのがフィッツバルディ派の貴族の子女であった……という事だ。無論、手配書で追われる事になるが監獄島という『安全地帯』にローザミスティカが彼女を招き入れたのだという。
 ほとぼりが冷めれば通り魔に戻ってもらってもいい……という事だが、此処の生活も案外悪くはないのか彼女は此処でローザミスティカと共に暮らしている様だ。
「罪人の処刑を『合法的』にしています。……けれど、どうにも衝動が収まらないので、今回は『看守長』に頼んで皆さんを呼んでいただきました」
 詰まるところ、ローザミスティカは『処刑係』であるいずみが処刑ではその沸き立つ殺人衝動を我慢できなくなっていることを何とかしてやりたいというのだろう。
「動く気力もない人間を斬ること程、残念なことはありません。
 通り魔と云うのはバレてはいけないというスリルが伴う事で成り立つのです」
 彼女が処刑する者はもう命が長くないものや『理由がある者』ばかりだという。
 詰まるところ、ローザミスティカの独裁国家に必要ない者たちを始末しているのだろう。
 ……それではスリルが得られない。だからこそ特異運命座標達と戦いスリルを得たいという事か。
「今日もいいお天気ですね? それでは、どうか、私に斬られてください」

GMコメント

 夏あかねです。罪人のお願いを聞くので悪依頼ですが単純な戦闘ですよ。

●成功条件
 葛西いずみとの模擬戦での勝利

●注意事項
 この依頼は『悪属性依頼』です。
 成功した場合、『幻想』における悪名が加算されます。
 又、失敗した場合の名声値の減少は0となります。

●葛西いずみ
 鳳圏と呼ばれる地域の出身。普通の女学生です。鳳圏では通り魔殺人を繰り返していました。
 ある一件で鳳圏より出奔。国家を渡り歩き通り魔を繰り返していましたがフィッツバルディ派の貴族子女を斬り殺した事で監獄島に収容されています(ローザミスティカによれば『招いたそうです』)
 しなやかに刀を振るい必ず相手を仕留める技量を持つ達人です。女子学生と侮る勿れ。
 胸に溢れる殺人衝動を消化したいと考えています。スリルある模擬戦を望みます。

 いずみが満足すれば『薔薇のコイン』を得ることができます。
 監獄島ではローザミスティカが用意した仮想通貨が存在し、『薔薇のコイン』を使用することで様々な恩恵を得られるそうです。
『薔薇のコイン』を得る事で追加報酬(gold)が増幅します。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

 さあ、たたかいましょう! よろしくお願いします。

  • 血雨少女の殺人衝動完了
  • GM名夏あかね
  • 種別通常(悪)
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2019年12月22日 22時25分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧 (8人)

デイジー・リトルリトル・クラーク(p3p000370)
共にあれ
彼岸会 無量(p3p007169)
帰心人心
加賀・栄龍(p3p007422)
人生葉っぱ隊
日車・迅(p3p007500)
折れぬ意志
伊佐波 コウ(p3p007521)
故知らぬ造花
フレイ・イング・ラーセン(p3p007598)
Immortalizer
茅野・華綾(p3p007676)
折れぬ華
襟盾・護(p3p007807)
守護の刃

リプレイ


 監獄島――幻想国の治外法権と呼ばれたその場所に足を踏み入れた『大いなる者』デイジー・リトルリトル・クラーク(p3p000370)は「辛気臭い所じゃの」と肩を竦めた。ここは罪人たちの王国なのだ。美しい景観がある訳ではなく、冷たい壁が周囲を覆っているのだ。寒々しい場所ではあるが、客人を持て成す気があるのだろう。頬杖を付いたローザミスティカとその隣に立つ葛西いずみに視線を注いで『守護の刃』襟盾・護(p3p007807)は苛立ったように舌打ちを一つ。
「鳳圏の通り魔が女学生ねぇ……」
 護の視線はいずみを値踏みするかのようだった。女学生でありながら『人生葉っぱ隊』加賀・栄龍(p3p007422)に人たちを浴びせたという通り魔。血雨降らせる通り魔が存在する噂は彼らの故郷でも伝え聞いていたが――「世も末だぜ」と護は殺人衝動を抑える事無く特異運命座標を『玩具』のように扱ういずみに胸糞悪いとそっぽを向く。
「随分な嫌われようだねぇ、いずみ」
「私は何もしていませんよ。まだ」
 淡々とした会話を繰り返すローザミスティカといずみの様子を眺めて『天戒の楔』フレイ・イング・ラーセン(p3p007598)は「まだ」と繰り返した。その悪びれる事もない態度は概要で聞いた『人斬り』という印象を全くと言っていい程に感じさせない。愛らしい容貌をしているが、その下にはどろどろとした感情が溢れているのだろうと思えばこそ、フレイは「難儀な趣味を持っているなぁ……」と呟いた。
「模擬戦と言うからにはこちらを殺すつもりはないか……?
 いや、うっかり殺してしまうかもしれない……とか言うか?」
「ええ。よくお分かりで」
 頷くいずみにフレイはやれやれと肩を竦めた。その淡々とした『殺人衝動を許容する』様子は 彼岸会 無量(p3p007169)にとっては非常に好みだ。何も考える事無く刃を打ち合わせれるというのは最高ではないか。
「生死不問であれば得たり賢しと言った所でしたが、欲は言いますまい」
「ああ。祖国を荒らした貴様を打ち倒せぬ事が実に口惜しい。
 此度の我らは仕事で赴いている故、貴様も存分にやるが良い」
 ふん、と『折れぬ華』茅野・華綾(p3p007676)はそっぽを向いた。祖国を荒らした殺人鬼としていずみを見れば華綾は本来ならばその地方に合った刑罰で処して首を切り落としたいものだ。そうした私情が胸の中で沸き立つが――収めるのは中々に難しいか、眉間に皴寄せて厳しい顔を見せる。
「加賀准尉を襲ったという殺人鬼……とっくに国を出ただろうとは思っていましたが。
 まさかこのような場所で見える事になろうとは、縁というものは不思議なものです」
 興味深そうな顔をした『ラド・バウD級闘士』日車・迅(p3p007500)はくるりと振り返る。不思議と言えば、彼との同郷の者が此度の任務はどうにも昔を思い出して已まないのだ。
 名を呼ばれた渦中の人、栄龍は飄々としたいずみの様子に静かに溜息を付く。
「人斬りがたった一度会っただけの俺を、覚えてるかは怪しいもんだぜ」
「……はい?」
 首を傾いだいずみに華綾は苛立ちを見せ、護は相変わらずとした調子であり、迅は彼女の淡々とした調子に「おお」と感嘆の息を漏らした。
「まあ、挨拶は程々で良いだろう。ローザミスティカ、済まないが監獄内の一部エリアを『遊戯』の為に借り受けて構わないだろうか」
 自身は葛西とは相性がいいと自負する『鋼の恩義』伊佐波 コウ(p3p007521)の言葉にローザミスティカは「何するんだい?」と伺う。
「なに、ちょっとした遊技さ。されるがままにもならんし、そちらにとっての退屈しのぎ位にはなるだろう」


 コウがローザミスティカといずみに提案したのは『鬼ごっこ』形式であった。それを聞いて面白いことを考えるとローザミスティカは大笑いし、いずみは首を傾げる。
「……それでは、『楽しくない』ですが」
「テメェの趣味趣向なんざどうでもいいんだ。俺はテメェみたいな『命を大事にしない』奴とは違うからな!」
 吐き棄てた護にいずみは何処と鳴く不満げな表情を見せた。それも、コウが淡々と説明したルールが彼女にとっては不服だったからであろう。もとより命を奪うことに特化したいずみの性質は人殺しをしていると言うよりも『自身とは別の存在を切り殺してる』と言う他ないのだろう。それだというのに――
「ローザミスティカの許可が出たんだ。ルールを再度説明しておく。
 5ターン毎に攻守を入れ替える変則的な鬼ごっこを行う。但し、鬼ごっこの際には非殺傷とする」
「それでは私は楽しくないです」
 切り殺さなくては、といずみが口を挟めばローザミスティカがそれを留めた。
 にんまりとしたデイジーは「スリルというのは楽しんで事なのじゃ」と余裕を覗かせる。堂々たる彼女のその言葉にいずみは首を捻ったがそういうものだと納得したのだろう。

 ――最初は鬼を葛西が。逃げる間は回避、防御、回復、そして攻撃の反射行動および罠のみ使用可能ーー

 葛西いずみという存在に交換を覚えている無量にとっては多勢に無勢では彼女の相手は実に勿体無いのだと認識していた。遊技場の中を歩き回り、耳を澄ませる。いずみが鬼として動き回っているならば探すのもありだが、待ち伏せしているとなればそれも佳いとその表情には淡い笑みが浮かぶ。
(……だって、そうでしょう? 私を斬る為に待っているだなんて、まるで逢瀬ではありませんか)
 一方で、通路にトラバサミなどを設置して、栄龍は『鬼』の襲来を待っていた。
「祖国に仇名す逆賊相手に……模擬戦なのが惜しい所だ」
 栄龍や華綾にとってはいずみは逆賊であり犯罪者だ。彼らの敬愛する地を血に染めた大罪人であることには代わりがない。
 揺らぎ立った殺意の中でも逸る思いを抑える迅はこの場に存在するキャストそのものに心を躍らせていた。どうにも、これだけの存在が揃うとなれば嬉しくて堪らない。
「やけに嬉しそうなのじゃ」
「勿論。准尉殿がいて、伊佐波殿がいて、茅野殿がいて、襟盾殿もいて……いい日ですね!」
 勿論、しっかりと仕事は果たすと言った迅にデイジーはころころと笑う。変則的なルールであることには違いがない以上、いずみも、そして特異運命座標も気を引き締めなければならない事には違いない。
「子供の遊びだが、手加減なんぞ温いことしねえだろう、てめえは」
 栄龍の言葉を受けていずみは頷き、日本刀を手に『笑みを浮かべて』特異運命座標に力をこめる。
 その笑みは栄龍の脳裏にも張り付いている。それは淑やかに降る雨の日であったか――人斬り夜闇で笑ったそれと寸分の違いもない。
「一緒に行って欲しいのじゃー」
 単独行動はやはり怖い。デイジーの言葉に迅は頷いた。距離をとるメンバーの中で、盾となる護にデイジーたちを任せて迅はいずみを惹きつける目的で動く。
「背中を見せなきゃいかんのは不本意だな!」
 走り、ぐんぐんと遠ざかる。栄龍は事前に仕掛けてある罠へといずみを引き込まんと考えていた。
 私情を棄て軍人たるもの任務に忠実でなくてはならないと華綾は自分へと言い聞かせ続ける。
(此度のるぅるは、まさに通り魔である彼奴めを楽しませるものとなる事が……いえ、わたくしはろぅれっとの特異運命座標……これも任務です)
 何度も何度も繰り返す。祖国の殺人鬼の首を椿の如くぽとりと落としてしまいたいと華綾はデイジーと共に孤立せぬよう周囲を確認し続ける。
(八人がかりで唯の一人と言うだけで相当なる実力者であることがわかりまする)
 地を這う鼠がエリア内を走る。デイジーは囮として鼠にいずみを惹きつけろと指示していた。そして、漁の要領で一気に引き込めば奇襲の際にも役に立つだろうと言う考えなのだろう。
「ハッ! そんな柔い攻撃じゃ俺を斬り殺す事なんて出来ねェぜ、葛西さんよォ!」
 デイジーを庇うようにして盾としていずみの攻撃を受け止めた護の横腹を切り裂く一撃に防御行動ばかりしか出来ないことを悔やむようにデイジーの表情が歪む。
(あちらは不殺をちゃんと守るのか)
 やりすぎであれば注意勧告するのも必要であると華綾は考えた。このルールであれば不殺を徹底すると言う点ではいずみは不服であっただろうが、必要以上に殺す必要がないと言うのを彼女の飼い主が同意しているのだ。徹底せねばならぬことであるはずだが如何せん手加減がうまくはないか。
「殺すつもりでございますか」
「いいえ? 死なないでしょう」
 人体が何処まで維持できるかを知らぬとでもいうような女の言葉に華綾の背にはぞわりと僅かな気配が走った。
 フレイは彼女の求めるスリルは鬼ごっこで得れるものなのかと彼女を観察していた。華綾を庇うように立ったフレイの中ではいずみの行動は観察に値する。
 そう、ルールの上で『殺すことに特化した』彼女は攻めあぐねているのだ。手加減を強いられる戦闘の中で、そう言った任務であるとルールを設定した特異運命座標と比べればいずみは地の利と言う点では有利であるが戦闘行動ならば圧倒的不利だ。
(彼女の求めるスリルはこの鬼ごっこで得られるのだろうか?
 楽しいか、こういうのでも? ……楽しいのであれば良いんだがな)
 いずみが殺そうとするならば、体を張ってとめねばならぬし、追う側になって味方が手を下しかければ止めねばならぬとルールを羅針盤のようにしかと定めた。
 攻めあぐねるとは確かであったかとコウは認識する。最初の鬼ごっこの『鬼』では特異運命座標にダメージを負わせれど、まだまだ状況が大きく変化したとはいえなかった。
(次はこちらだ――)


 ――次は、葛西が逃げる番。ルールは同じ。但し、鬼は得意運命座標全員である――

「追え! 追え! 仕留めるぞ! 賊を逃がすな! 殺さん、が、殺す!」
 明確な殺意を露にして栄龍が号令放つ。敵の命も己の命も彼らにとってはあまりに軽い。それは、志同じくする者たちとて同じであった。
 速度を生かしていずみの横面へと飛び込んだ迅に、乙女が笑う。日本刀の鞘にて受け止めたそれは彼女が実力者であることを思い知らされる。
「ッ――流石は『祖国の犯罪者』とでも言うところですか!」
 エネミーサーチを活用しながらいずみを追い縋る護は苛立ちを宿したまま彼女へと特攻した。先程の防御行動より、彼女もルールを把握していることが分かる。そうしていれば普通の女学生と大差ないのだが護が慕う女性ではなく、あれは異質なる殺人鬼であることが太刀捌きより感じられた。
「俺はテメェと違って殺人衝動に呑まれて人を殺したりはしねェ。少しは精神修練積んでから出直しやがれ、この馬鹿女」
「馬鹿ですか」
 きょろりと瞳が揺れ動く。逃れるように走った彼女に地の利はあるのか、角を曲がったと走ればそこにはその姿は消え失せる。
 コウは何処へ行ったかと探し求める。傍らで護が索敵する情報を集約し、いずみを求めて走り出した。

 無量は追い縋るようにいずみを探した。その胸に確かに宿した衝動は葛西いずみという女の孕んだ重いと似ていたのかもしれない。
「今此処には私達しか居ません。鬼が二匹居たとて気付かれますまい」
 監獄の中、冷たい壁に覆われたその場所でいずみは無量の様子を見つめる。ルールに従ういずみは丸腰であり、無量は武器を握り締めている。その違いは明確だ。
「どういう意味でしょうか」
「特殊ルールです。但し、二人きりの時だけですよ?」
 まるで恋人同士の逢瀬のように攻守がどちらであれど攻撃行動に関しては『互いに対してだけ』は不問とすると無量はいずみへと告げたのだった。
「だって、ええ、仕方ありませんよ。こんなに焦らされてしまっては、体が火照ってしまいますもの」
「はい。『そちらがルール』ですから」
 それならば、と日本刀を引き抜いて、いずみは笑った。しかし、背後より近づく足音に彼女はすぐに刃を懐へと仕舞い込む。
「機会には恵まれなさそうですね」
 その黒髪にめがけてコウが一撃放つ。ひらりとその身を揺らしたいずみが攻撃を受け止めたことに気づき、その懐目掛け魔的な気配をデイジーは放った。
「成る程、強敵なのじゃー」
「だが、こうしていれば蓄積するものもある。持久戦ならば物量の多いこちらが有利になるはずだ」
 コウの言葉にデイジーは頷いた。そう、私情を殺し兵としてあの女を滅さねばならぬのだ。
 鬼が交代したとき、前線で体を張っていた護とフレイが一度は膝を折る。無量を嬉々とした瞳で追ういずみの理由を栄龍は知らない。二人の中の密約が此度は果たされる事もなく、華綾が迫るいずみを受け止めて顔を上げれば、迅は惹きつける様にいずみを呼んだ。
 さて、鬼ごっこがどうなったのかと言えばローザミスティカは満足げであった。勝敗などどちらでもいいと言った調子のローザミスティカに傷を負ったいずみがふてくされた顔で俯いた事がコウには印象的に映りこんだ。


「さて、ね」とローザミスティカは椅子に腰掛けた儘、笑った。美しい赤い唇にぺろりと舌を這わせて彼女はぶすったれたいずみを見遣る。殺し損ねたことで燻る感情はあるのだろうが、少女らしく体を動かすのは久々であったのだろう。
「いずみ、得手不得手ってのは誰にでもあるがね、特化しすぎるモンでもないさ」
 そう笑ったローザミスティカにいずみは「はい」とだけ淡々と返した。
「この地において祖国の名を貶めるとは、とんだ恥さらしめ。次は、必ずその首を落とす。覚悟せよ、狂人」
 吐き棄てる華綾は感情を棄てされぬ自分を恥じるようにくるりと背を向けた。その様子にも若く、そして旬であるのだとでも言うようにローザミスティカがからからと笑った。
「いいねぇ。気に入ったよ」
「ふむ? なら、追加で『お礼』をいただきたいのじゃー」
 デイジーはローザミスティカたちの中で流通するコインを多めには貰えぬかと乞うた。その発言にローザミスティカは笑いいずみに対して「お前の好きにしな」とだけ告げた。
 すれ違い様――無量はいずみの耳元で囁く。
「ほとぼりが冷めたら是非ローレットへいらして下さい。良い所ですよ」
 その言葉を聴きながらいずみは自身へと殺意を向ける同郷の者達を眺めてぺろりと舌を覗かせる。
「私は殺すこととしかできませんから」
 その言葉と共に、監獄島の扉は閉まる。さて、次回の『お願い』は――?

成否

成功

MVP

なし

状態異常

フレイ・イング・ラーセン(p3p007598) [重傷]
Immortalizer
襟盾・護(p3p007807) [重傷]
守護の刃

あとがき

 お疲れ様でした、イレギュラーズ!
 鬼ごっこ。とても面白い発想であったと思います。
 葛西さんは監獄島で待っておりますので、またお会いできますことを。

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