PandoraPartyProject

シナリオ詳細

<青海のバッカニア>海の暴虐者

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●それは凪と共に現れる

 海洋の大海原。
 そこを行く一隻のガレー船。櫂によって動く船を押す長閑な風が、急にぴたりと止んだ。
「おっと、きちまったか……」
 船の上には一瞬海賊と見間違うような風貌の初老の男性。海洋所属の正規軍人らしく、この船の船長でもあるらしいが本当だろうか。
 それはさておき、彼は風が止まると同時に船員たちに船を停止させる号令を出す。
 手漕ぎでのみ動力を得ていた船はゆっくりと停止し、その場で停泊する。
「さて、こっからがアンタたちの仕事だ。準備は万端か?」
 船長が君達。ローレットから派遣されたイレギュラーズ達に向けて話しかける。
「悪いがこっからはアンタらだけで動いてもらうしかない。あの規模の化け物相手だと、船を近づけただけで沈められちまうからな」
 視線の先は海。
 その先にはいくつもの触手が海の中から生えていた。
 触手といっても、それは人によっては見知った形。イカのそれに酷似しているようにみえるが、問題はそのサイズだ。
「うかつに近づくと獲物にされて喰われちまう。これ以上進めば奴のテリトリーってわけさ」
 完全な姿は見えないが、確実に巨大な存在が海面下に存在している。
 あれを撃破し、この海域の安全を確保することがイレギュラーズ達が請け負った依頼である。
 辺りには文字通り何もない海ばかりの環境。こんな場所でどうやってあんなものと戦うのかは作戦を立てねばならないだろう。
 送ってきてくれた船を先頭に持ち出すのは論外、小舟は借りれるとしても水中での戦いになる可能性は大いに予想できる。
 ある程度持ち込んだ物資や技術。戦況を作り出す思考や考えが必要となりそうだ。
「あぁ、いい話か悪い話かはそっち次第だが。あいつ、あれで大海原から流れてやって来た中規模の個体らしいぞ」
 あれで中規模というのか。推測だけで中型船と同じぐらいのサイズがありそうなものなのだが、あれよりも大型で気性が荒いものがいるとなるとどうしたものか。
 船長は笑うも、あまり心情的に余裕はなさそうだ。部下の船員たちを不安にさせないように強気にふるまっているように見えた。
 抱く感情は様々だろうが、ともあれ依頼を受けた以上こなさねばなるまい。
 大号令に合わせた準備の一つとして、この海の安全を確保することが今回ローレットに、イレギュラーズ達に回された任務の一つ。
 状況は非常に悪いが、ローレットがどうやって海戦に対応するのか、そして彼らがどう学んでいくのかを試すかのようにみられながらも、"クラーケン"の討伐任務が開始された。

GMコメント

 海といえば、なクラーケンです。食べるとしたらイカの方が好きです。
 このクラーケン、おいしいかどうかはわからないですが……。
 触手でうねうね、な感じにはならないわりとシビアな相手となりますが、皆さんなら無事に対処できるでしょう。
 

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

●状況について
 海洋の海域の一つ。その一角に出没したクラーケンを撃破するのが目的です。
 船に乗って挑むのに非常に相性が悪く、海洋から直接の戦場に貸し出される船はありません。(OPで描写されたように、道中までの船は用意されています)
 その為、戦場は完全に海。足場となる小舟は用意してもらう事は可能ですが、いつ壊されるかわかりません。
 各々に足場を用意するか、水中戦及び空中戦ができる環境を用意しておいた方がいいでしょう。

●クラーケンについて
 今回の討伐目標。非常に大きなイカです。
 海面下に基本潜んでおり、近づいたものをその触手で絡めとり、仕留める戦い方を得意とします。
 触手は合計10本。それらを自在に操ることが可能であり、うち二つは攻撃的な形をしており、触手というよりは触腕というべきものでしょう。
 これら触手はそれぞれ長射程を誇り、遠距離まで届く厄介な代物です。
 8本の触手は攻撃が命中すると、命中した対象を絡めとり締め付けて攻撃を行い始めます。
 再生能力は高いですが、即時再生することはなく。これらを切り落とせばクラーケンの戦力は弱体化していくでしょう。

 また、スミを吹き付ける射撃攻撃。これはかなりの射程を誇り、とんでいる相手も撃ち落す威力を持ったうえで視界を潰すという厄介なものです。
 海中で使った場合、射撃攻撃にはなりませんがクラーケンの周囲の視界を完全に塞いでしまいます。

 また、海をその触手で叩きつける事で衝撃破や津波を起こす範囲攻撃も用います。
 これは海中にいる場合威力は和らぎますが、回避は不可能になりますのでお気を付けください。

 足を切り落とさずにも、胴体にダメージを累積させれば討伐は可能とのことです。

●重要な備考
 <青海のバッカニア>ではイレギュラーズ個人毎に特別な『海洋王国事業貢献値』をカウントします。
 この貢献値は参加関連シナリオの結果、キャラクターの活躍等により変動し、高い数字を持つキャラクターは外洋進出時に役割を受ける場合がある、優先シナリオが設定される可能性がある等、特別な結果を受ける可能性があります。
 『海洋王国事業貢献値』の状況は特設ページで公開されます。


 依頼の説明は以上となります。
 状況は非常に厄介ですが、環境を作りから動いていただければ幸いです。少し無茶でも通せるものは通せると思いますので、皆さまの作戦を楽しみにしております。
 それでは無事に依頼をこなせること、祈っております。

  • <青海のバッカニア>海の暴虐者完了
  • GM名トビネコ
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2019年12月21日 22時35分
  • 参加人数8/8人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧 (8人)

レイヴン・ミスト・ポルードイ(p3p000066)
竜の力を求めて
十夜 縁(p3p000099)
幻蒼海龍
リゲル=アークライト(p3p000442)
白獅子剛剣
アクセル・ソート・エクシル(p3p000649)
空歌う翼
ムスティスラーフ・バイルシュタイン(p3p001619)
ムスティおじーちゃん
アンナ・シャルロット・ミルフィール(p3p001701)
舞蝶刃
ダークネス クイーン(p3p002874)
悪の秘密結社『XXX』総統
クーア・ミューゼル(p3p003529)
生まれたてのマヴ=マギア

リプレイ


 クラーケンの潜む海域に二隻の小型船が入り込む。
「イカ食い放題と聞いて我、参上! 我に掛かれば海産物の水揚げ等お茶の子さいさいであ……え? なんかアレでかくない?」
 ばーんと効果音が鳴りそうな勢いで、用意された小型船の上でぴっちりスーツで妖艶なボディを見せつけている。
 わけではなく、本人が最適だと思った見た目で酸素ボンベまで装備して海女そのものの見た目でやって来たものの、クラーケンのサイズに困惑を隠せない『悪の秘密結社『XXX』総統』ダークネス クイーン(p3p002874)の叫びが聞こえたのか、クラーケンはゆっくりと動き出す。
「おいおい、動き出してねぇかい?」
 『うそもまこともみなそこに』十夜 縁(p3p000099)が適当にサボりたかったんだがとぼやきながら小型船を操る。
「だが、だからこそ俺達が務めを果たす!」
 こんなこともあろうかと、といわんばかりに水中ゴーグルを取り出し、装着しながら『死力の聖剣』リゲル=アークライト(p3p000442)は小型船を真っ直ぐ進行させる。
「来るぞ!」
 クラーケンの本体は見えているが、触手の一切は見えていない。
 それはすなわち海中から攻撃が来るという事、海上から海中を見通して警戒していたリゲルの視界には海中から延びるクラーケンの触手が見えていた。
「この手の相手はなれたものだが……それでもこいつは少々大物のようだけどね」
 リゲルの船が触手にからめとられた隙に、リゲルと同じように空中に飛び出した『麗しの君』レイヴン・ミスト・ポルードイ(p3p000066)は触手がその勢いのまま船を握りつぶそうとしているのを眺めた。
「こっちはここで固定するね。足場は必要だろうし」
 一方で襲撃を免れた小型船の上で『猫さんと宝探し』アクセル・ソート・エクシル(p3p000649)は船を停泊させると、本人はそのまま船から飛び立った。
 リゲルの目測通り、触手はとりあえずテリトリーに入った船を握りつぶそうとしているようで、ここが大きな攻撃の起点となる。
 はずだったが、攻め込む直前。触手にからめとられたリゲルの小型船は、クラーケンの餌として砕け散る前に見事無惨に吹き飛んだ。
「ああっ!?」
「あれ?」
 特に悪びれた様子もなく、海上から顔をのぞかせた『こげねこ』クーア・ミューゼル(p3p003529)手の中にはクーアお手製の手投げ弾。
「い、いや、大丈夫」
 実際、クラーケンに喰らわせるつもりだった故に痛手ではないが、まさか爆発されるとは。
「ですがー。結構焼けたのです」
 吹き飛ぶ小型船の残骸と爆風。それらが相まって、クラーケンの触手の半数は随分と深い痛手を負ったようだ。
「じゃあまずは、この触手からね」
 ふわりと、海面ぎりぎりを浮かびながら、『舞蝶刃』アンナ・シャルロット・ミルフィール(p3p001701)が完全に躍り出る。
 視線の前を遮るように飛び、攻撃を受けた触手に向けて渾身の刺突を撃ち放てば、刺撃と同時に炎が破裂し、触手の一本がはじけ飛ぶ。
 そのままふわりと視線の前を横切るように飛べば、クラーケンの触腕がアンナへと迫る。
 だが、触腕は届く前に後方から飛来した緑の閃光が飲み込んだ。
「うん、狙いやすいね」
 クラーケンと直接戦闘を行う場所よりも後方で『ムスティおじーちゃん』ムスティスラーフ・バイルシュタイン(p3p001619)が口から砲撃の際に生じた煙を口からあげながら頷いた。
「でもまだちぎれてないなぁ。お願いするよ」
「任せるといい!」
 小型船から狙いをつけるようにして、ダークネスが両手を正面に広げる。
「ふはははは、行くぞ! 世界、征 服 砲!!」
 両の手に集中した暗黒のオーラ。悪の総統の必滅奥義である世界征服砲がクラーケンの触腕へ直撃、ちぎるようにして腕の一つを弾き飛ばした!
「よぉー……うおお?」
 急にぐらぐらと縁が提供した小型船が揺れる
「おいおい、どんだけ長い脚だ。ここまでだな、修理費はローレットにツケかね……飛び降りるぞ」
 おわー、と転がりながら海に落ちていくダークネスを横目に、縁はクラーケンの別の触手がこちらに迫ってきたのを確認、数として一気に船が潰されるほどではない以上囮にすべきとそのまま海に飛び込む。
 海中に飛び込んだ縁の視線には船に絡みつく2本の触手。こんなものが『絶望の青』にはごろごろいるのだろうか。
「あんま楽じゃないんだけどねぇ。まぁいいさ、こっちに来な烏賊さんよ」
 海中に飛び降りながらも、挑発するようにクラーケンに顔を向ければ、意図が伝わったのか本能なのかはわからないが2本の触手が縁に迫る。
「っと、流石に早い」
 迫る触手の一撃を受け流すようにして逸らし、回避するも続けざまに迫るもう一本までは対処しきれない。
 ぐるりと体とからめとられ、圧がかけられていく。体がきしむ以上、さっさとカタをつけるに限るだろう。
「ま、このぐらいはね」
 ゆらり、と縁の周囲の水が歪む。縁自身が大きく回避行動をとった際の動き、それに乗せた『気』が海中を歪め、それは大きな渦となっていく。
 乱流翠渦。荒れ狂う翠の渦潮が巻き起こり、縁の体を締め付ける触手ごと引きちぎり、周囲の海流を大きく乱してクラーケンを文字通り吹き飛ばす。
「ってて、早く何とかしたいが……」
 襲ってきた頭痛を抑えながらクラーケンを見やると、相手は勢いよく墨を噴射する。
 おかげで水中の視界は真っ暗。まともに攻め込めそうもないが、状況とは常に変わるもの。
「やってくれてるな。おかげで空中への意識は下がっている……!」
 空中からクラーケンを見下ろすレイヴンは空中にルーンを刻んでいく。刻まれたルーンが示すものは破壊。
「だね、一気にやっちゃおうレイヴン」
 合わせるように、アクセルも空を飛んだまま至高の音色を奏でだす。
 刻まれたルーンから不可視の雹が。神聖な音色が神気を帯び、光となってクラーケンへと降り注ぐ。
 完全に海中に意識が向いてきたクラーケンには不意打ちとなって降り注ぎ、その触手を1本引きちぎり、他の触手にも次々と損傷を与えていく。
「押してる! オイラは十夜の回復に回るね!」
「ああ、追撃は任せろ」
 海面ぎりぎりまで一気に降下、海上飛行に切り替えつつレイヴンは触腕を狙って魔力を集中させた弓を射る。
 狙いは腕だけではなく、本体ごと巻き込める狙い。
 魔力を帯びた矢は触腕を貫き、そのまま本体へ突き刺さる。
「……まだ落ちはしないか。だが、ここまでやればこっちを向くだろう」
 レイヴンの目測通り、クラーケンの視線がこちらに向き、海上へとその胴体を出すように浮上し触手をレイヴンに向けて振るう。
 咄嗟に翼を翻し、海面ぎりぎりで回避する。うちあがる飛沫がレイヴンに降り注ぐ。
「……冷たいな。他の人達、大丈夫か?」
 ふと、この時期の海の冷たさに不安を覚えたが、そんなことを気にしている場合ではない。
「くっ……!?」
 振りぬかれた触腕がレイヴンを弾き飛ばす。意識はしていても、これだけ触手と合わせて振るわれる攻撃は非常に厄介だ。
 だが、弾かれたと同時に上空からさらに炎が降り注ぐ。
「一気に仕掛ける。離れてくれ!」
 レイヴンに意識を向けていた隙を見計らい、今度はリゲルが上空から炎を雨と降らせていく。
 狙いは本体ではなく、あと一つ残っている触腕。
「はぁっ!」
 炎の雨でクラーケンが怯んでいる隙を見計らい、一気にリゲルが空中から飛び降り触腕向けて剣を振るう。
 空気すらも凍てつかせる冷気を帯びた銀閃。無数に華が咲くように思わせるのその攻撃は着実に触腕を引き裂き、そして両断する。
「おお、これはすごい。後はもうどんどん行こう」
 触腕を二つとも失ったクラーケンは残った足を兎に角振り回し始めるが、幸いにもそれに被弾するものはまだ見えない。
 一息ついてムスティは大きく息を吸い込む。
 先ほど放った強烈なビーム。さしものクラーケンもまずいと判断したのか、ムスティに向けて口から墨を吐きつける。
「なぁに、吹き飛ばすさ!」
 両者口から放つビームと墨。その二つがぶつかり合い、はじけ飛びながら爆発を起こす。
 辺りに飛び散った墨が散々周囲を黒く染めていくが、競り合いにはムスティのビームが打ち勝ち、触手の一本を撃ちぬいたうえで胴体に攻撃が通ったのが確認できた。
「ここまで仕掛けたら本体へ集中攻撃かしら……いえ」
 触手の攻撃を剣で弾きながら、クラーケンの前に躍り出たアンナは触手の攻撃そのものが減ってきたことを疑問に思った。
 確かに数は減っているが、それにしても動いていない。それは力をためているという事。
「皆、耐えて!」
 アンナが叫ぶ。
 それと同時にクラーケンは残った触手を海に叩きつける。
 海へ飛び込むもの、飛び込まず空中へ逃れるもの。皆一様に回避を行うが、それを全て巻き込むような衝撃と津波が発生し、周囲の海域を飲み込んだ。



 揺れる大津波。それが落ち着きを見せた中、一瞬海は静けさに包まれた。
「……けほっ、海で巨大生物と戦う経験は貴重ね。厄介ということがよくわかるわ」
 ただ単に、陸地で戦うのであれば触手の叩きつけで終わっただろうが、この海というテリトリーを存分に生かした戦い方をしてくる。
 ここで経験を積む事が出来良くもあるが、これよりも大きなクラーケンが存在するという話も聞いている以上嘆くべきか。いや、今はポジティブに考えよう。
「これ以上好きには刺せないわ」
 触手は無視し、剣を構えて正面から突撃して剣を突き刺す。
 吹き上がる炎に次いで、踊るように流れるアンナの剣捌きがクラーケンの胴を次々と傷つけていく。
「さぁ、おいで。貴方の狙いはこちら」
 津波を耐え、それでいて反撃を行い、連続して仕掛けてきたアンナに対しクラーケンの狙いは完全に集中した様だ。
 無数の触手が雨あられと振りぬかれ、更には追撃にクラーケンが墨を飛ばしてくる。
「厄介……!」
「おかげでやりやすいのです」
 ぼん、とクラーケンの触手の付け根が爆ぜる。
 海中で津波を耐えたクーアはいつの間にやらクラーケンに近づいており、顔を海中からのぞかせると手投げ爆弾について炎を放射する。
 じゅうとクラーケンの肉体が焼ける音。焦げ臭さと若干の香ばしさ、香りはおいしそうではないか。
「やっぱりイカですね。おつまみにはなるんじゃないでしょうか?」
 距離を置きながら、残った触手を焼くようにしつつクーアは距離を離していく。
「どう思います?」
「うむ、イカ焼きは行けると思うぞ!」
 クーアが問いかけると同時に、ダークネスの笑い声が響いてクラーケンの足が一つ落ちる。
 海中に落ちてから本体に近づいていたダークネスの華った暗黒のクロス切り。その一撃が見事に触手の一つを切り落としていた。
「イカスミも回収済みだ、ゲソも取れたとなれば後は本体であろう!」
「……元気なのです。ですが、ちょっと危ないです」
「ほ?」
 ダークネスが素っ頓狂な声を上げたと同時に、触手の一つが彼女を絡めとり空中へ振り上げ締め付けだす。
「もう……!」
「救出ですの!」
 その様子を見たアンナが触手へ向けて剣を振る、クーアも続けて炎で炙る。
 立て続けに攻撃を受けたクラーケンの動きは最初に比べて鈍ってきたように見えてきた。
「流石の巨体でも疲れが見えるか?」
「みだいだねぇ。大丈夫?」
 ムスティの祈りがレイヴンを癒す。
 立て続けに攻撃を受け、意識を手放しかけたがおかげで助かった。
「ああ、今からあいつを助ける」
「うん、回復は任せて」
 弓を構え、術式を起動。魔力を湧き立て、その力を矢へと転化する。
「吹き飛べ……!」
 撃ちぬかれた強烈な一射。海面を割るかの様な一撃がダークネスを捉えた触手を撃ちぬき、そのまま本体へ突き刺さりクラーケンは痛みによって暴れ出す。
「おわー!?」
「大丈夫? 今回復するよ」
 振り上げられたまま落下するダークネスの傍に飛行するアクセルが現れ、そのまま彼女に癒しの術式を施した。
 柔らかい光がダークネスの傷を癒したおかげで彼女は全力を持って攻撃に移れる。
「うむ、このまま行くぞ!」
 狙いは一つ。イカの急所である眉間。
 落下の勢いに乗せ、振りかぶった剣を眉間目掛けて突き立てる。
 その一撃が加えられたと同時に、クラーケンは目を見開き、動きを一瞬止めた。
「……クラーケン、取ったどー!!」
 高らかに宣言する。
「まだだ!」
 ゆっくり、クラーケンはその触手を振り上げる。
「またあれか。たまったもんじゃない……!」
「だね、一気に決めないとね」
 もう時間などない。だが相手も十全ではないならば攻めきればいい。
 ムスティが剣に変えた幻想を振るう。その一閃、ただの一閃がクラーケンを捉え、その胴を抉る。
「ああ、やらせるものか!」
 空中に飛び上がったリゲルは、クラーケンの胴めがけて突進する。
 狙いは眼。生物である以上、眼というものはどうあっても急所足り得る場所。
 迫る触手を剣の一閃で薙ぎ払い、その眼へ剣の一撃を突き立てる。
「一気に攻めるのです」
 クーアの炎がクラーケンを焼き、レイヴン射撃がクラーケンを射抜き、アクセルの放つ光が天から降り注ぎクラーケンの動きを抑え込む。
「これで……!」
 そしてアンナがリゲルと反対側の目へと剣を突き立てる。
 炎が爆裂し、吹き上がったが、クラーケンはまだ動く。
「……しぶといねぇ、サボりきろうと思ったけどそういかないか」
 海上に上半身を見せ、煙管で一服していた縁はす、と煙管を懐に仕舞い、ゆっくりと構えを取り直す。
 真っ直ぐに、華やかに、随分暴れてくれたこの強敵。単純に海で暴れる暴虐者であればこそ、正面から捩じ伏せるに限るだろう。
「こいつで終わりだ」
 静かに撃ちぬかれた拳。
 その衝撃がクラーケン全身に伝わる。
 急所を穿たれ、その身を削られ、そして最後の一撃を加えられた巨体はビクンと一瞬痺れたかと思えば、力が抜けたようにゆっくりと海面に浮かび始めた。
「……はぁぁ」
 誰かが溜息をついた。
 戦いが終わったにしてもずいぶん苦労した気がする。
 だが、そんなイレギュラーズ達に向けて一隻の船が近づいてきた。
 なんやかんやであの激戦を見守ってくれていたのだろう、これでしっかりとローレットの実力は示せただろう。
 だが。
「墨臭ぇし烏賊臭ぇし堪らんね。こいつは仕事終わりの一杯の前に、風呂に入った方がよさそうだ」
 縁が一言。
 実際、イレギュラーズ達は酷い状態になっていた。
 慌てるもの、笑うもの、様々だがとにかくまずは体を綺麗にしてからだろう。


 ちなみに、討伐したクラーケンは海に還すという事で持ち帰ることは許されなかった。
 しょんぼりと肩を落とすダークネスの姿は、とても印象的だったと語られる。

成否

成功

MVP

十夜 縁(p3p000099)
幻蒼海龍

状態異常

なし

あとがき

クラーケン討伐、無事成功です。
小さな船しか貸し出されないという環境で、見事依頼を達成していただきました。流石です。

巨大な相手という事もあり、範囲攻撃はやはり効果的になるものだなという印象を受けながらも、あの手この手で対応していただき、無事にクラーケンは撃破されました。
ちなみにですが、このクラーケンは肉質はあまりおいしくない設定でした。

ともあれ、皆さまお疲れさまでした。
シナリオへのご参加有難うございます。

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