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シナリオ詳細

<青海のバッカニア>海上戦闘演習D

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●要は血が騒いだわけで
 二十二年ぶりに発布された『大号令』を受け、沸き立つ海洋。『絶望の青』を越えることは元より海洋全体の悲願ではあるが、今度は特異運命座標とローレットの協力を得られるともあって、その期待は否応もなく高まっていた。
 主戦力が外征する『大号令』を前に、海洋の中では様々な準備が進む。海賊やモンスターの退治、洋上での軍事訓練など。ローレットも依頼という形で、その準備に携わっている最中である。
「……なぁ。これ、『演習』と言う名目で、ローレットの連中とヤれるんじゃねぇか?」
 海洋軍艦『アンリミテッド・バイオレンス』、艦長室。色白ながらも精悍な体つきをボロボロの軍服で包んだホオジロ艦長が、椅子に座ったまま側に控える副官ヒョウモンに問いかける。
「……まぁ、ヤれるでしょうな。『演習』参加の依頼を出しておきましょうか」
 眼鏡をかけた坊主頭の副官ヒョウモンが、ニヤリと笑いながらホオジロに応える。
「頼むぜ! あー、どんな奴らが来るんだろうな。強い奴らだといいな!」
 副官の返事に、その日が楽しみだと言わんばかりにホオジロ艦長はガハハと大勝した。

●いいか? 重防具を着るなよ! 振りじゃなくて絶対だぞ!
「全くもう、忙しくてたまりませんね……」
 『真昼のランタン』羽田羅 勘蔵(p3n000126)が、ぼやきながらイレギュラーズ達の前に姿を現す。海洋からの依頼でローレット中が忙しくしている中、働くのが嫌いな彼でさえ暇ではいられなかったのだ。
「えー、と。海洋の『大号令』については皆さん聞き及んでいると思いますが、それに関して海洋の軍艦から演習に参加して欲しいと言う依頼が来てます……でもこれ、演習と言うよりもほぼ実戦みたいなものですねぇ」
 どう言うことだとざわめくイレギュラーズ達。勘蔵は少し空気が落ち着くのを待ってから、説明を再開する。
「依頼主は、海洋軍艦『アンリミテッド・バイオレンス』。艦長ホホジロも副官ヒョウモンも、艦名に相応しい暴力的な危険人物として扱われています。表向きには演習の形を取っていますが、要はそれにかこつけて特異運命座標と戦いたいというところでしょう」
 演習の内容は、海上の怪物を船に乗ったイレギュラーズ達が倒すと言うもの。『アンリミテッド・バイオレンス』が、怪物役を務める。
「怪物を倒したと判定される条件は、二つです。一つは、『アンリミテッド・バイオレンス』に乗り込んで艦長ホホジロと副官ヒョウモンを倒すこと。もう一つは遠距離攻撃を模したペイント弾を当てて『アンリミテッド・バイオレンス』が沈んだという判定を得ることです」
 どちらの条件を狙うかはイレギュラーズ達に任せる。だからよろしく、とまで告げてから、勘蔵は思い出したかのように付け加えた。
「――あ。念のためですが、防具のチョイスには気をつけて下さいね。重防具なんか着て海の中に落ちたりしたら、溺れて御陀仏ですから」

GMコメント

 こんにちは。緑城雄山です。
 今回は<青海のバッカニア>に絡んで、海洋軍艦との演習シナリオをお送りします。
 まぁ、艦長ホホジロと副官ヒョウモンはイレギュラーズ達を殺さない程度にガチで戦う気なので、ほぼ実戦みたいなものですが。
 なお、タイトルのDはDangerousのDです。

●成功条件
・艦長ホホジロと副官ヒョウモンの戦闘不能
・『アンリミテッド・バイオレンス』に沈没ポイント10点を累積する。

●失敗条件
・イレギュラーズ達の乗る船に沈没ポイント10点が累積される。

●沈没ポイント
 『アンリミテッド・バイオレンス』が擬している怪物、イレギュラーズ達が乗る船が受けたダメージを表します。
 基本的にはペイント弾が命中した回数ですが、命中度によって補正が入ります。また、高威力として判定される武器もあります。
 イレギュラーズ達が『アンリミテッド・バイオレンス』に攻撃相当のペイント弾を当てた場合、元になる攻撃の威力が1000を越えない限りは命中度100で1ポイントとなります(1000を越えたら命中度100で2ポイントとなります)。

●『アンリミテッド・バイオレンス』
 今回の演習相手です。軍船としては平均的。
 命中はそれなりですが、回避は船体の大きさが祟って低くなっています。
 船員がイレギュラーズ達の乗る船を目掛けて攻撃してきます。

・攻撃手段
 ペイント弾投擲(物近単)
  船にペイント弾を浴びせてきます。
 衝角突撃(物至単)
  衝角を実際にぶつけます。沈没ポイントが基本3点です。
  命中に艦長ホオジロの命中の1割が補正として乗ります。
  使用は一度のみです。

●艦長ホオジロ
 『アンリミテッド・バイオレンス』艦長。ホホジロザメの海種。
 人柄についてはOPで触れたとおり。
 攻撃力が特に高く、その他の能力も全体的に高め。特殊抵抗は低いです。

・攻撃手段
 格闘(通常攻撃) 物至単
 バイティング(アクティブスキル) 物至単 【弱点】【出血】【流血】【失血】
  鮫の顎で噛みついてきます。特に威力が高いです。
 タックル(アクティブスキル) 物至単 【飛】

●副官ヒョウモン
 『アンリミテッド・バイオレンス』艦長補佐。ヒョウモンダコの海種。
 人柄についてはOPで触れたとおり。
 全体的にバランスよく能力が高いです。その中でも特にEXAが高め。

・攻撃手段
 格闘(通常攻撃) 物近単 【連】
 バイティング(アクティブスキル) 物至単
  【疫病】【毒】【猛毒】【致死毒】【麻痺】
  噛みついて毒を流し込んできます。
 毒唾液(アクティブスキル) 物近範 
  【災厄】【毒】【猛毒】【致死毒】【麻痺】
  毒を含んだ唾液をブレスのように吐きます。

●イレギュラーズ達が乗る船
 『アンリミテッド・バイオレンス』よりやや小型の軍船。
 回避は『アンリミテッド・バイオレンス』より上ですが、ほぼ誤差です。
 なお、操船指示者を1名決めれば、操船指示者の回避の1割が船の回避に補正として入るものとします。
 『アンリミテッド・バイオレンス』の攻撃から船を「かばう」ことは可能ですが、その場合は喫水線付近にいる必要があるため、飛行できるか海中に入っている必要があります。

●死亡判定について
 今回はあくまで演習であるため、通常の戦闘不能による死亡は発生しないものとします(重傷は発生する可能性があります)。そのため、【不殺】は必要ありません。
 しかしながら、重防具を着て海中に落下した場合、基本的にその翌ターンの最後に溺れて戦闘不能になり、その後毎ターン終了時に死亡判定を行います。EXFやパンドラ復活は死亡判定を先送りするだけになります。
 なお、以下の条件のいずれかを満たしていれば、溺れはしないものとします。
 ・他のイレギュラーズに適切な手段で救助される。
 ・海種である。
 ・【水中適応】スキルを所持している。
 ・飛行が可能である(ジェットパック可)。
 ・酸素ボンベを装備している。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

●Danger!
 当シナリオにはパンドラ残量に拠らない死亡判定が有り得ます。
 予めご了承の上、参加するようにお願いいたします。

●重要な備考
<青海のバッカニア>ではイレギュラーズ個人毎に特別な『海洋王国事業貢献値』をカウントします。
 この貢献値は参加関連シナリオの結果、キャラクターの活躍等により変動し、高い数字を持つキャラクターは外洋進出時に役割を受ける場合がある、優先シナリオが設定される可能性がある等、特別な結果を受ける可能性があります。『海洋王国事業貢献値』の状況は特設ページで公開されます。

  • <青海のバッカニア>海上戦闘演習D完了
  • GM名緑城雄山
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2019年12月17日 22時15分
  • 参加人数8/8人
  • 相談4日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

十夜 縁(p3p000099)
幻蒼海龍
夜乃 幻(p3p000824)
『幻狼』夢幻の奇術師
鬼桜 雪之丞(p3p002312)
白秘夜叉
ティスル ティル(p3p006151)
銀すずめ
湖宝 卵丸(p3p006737)
蒼蘭海賊団団長
橘花 芽衣(p3p007119)
鈍き鋼拳
ワモン・C・デルモンテ(p3p007195)
生イカが好き
アウローラ=エレットローネ(p3p007207)
電子の海の精霊

リプレイ

●いざ演習へ
「……はぁ」
 イレギュラーズ達を乗せた船が、『アンリミテッド・バイオレンス』に向けて進む。その後方で、『うそもまこともみなそこに』十夜 縁(p3p000099)は一人黄昏れていた。
(『演習』って聞いたからいつも通りゆるーくやれるモンかと思ったら……こいつはガチもガチ、ガチガチの体育会系の依頼じゃねぇか……! 大怪我する前に潔く両手を挙げて戦略的撤退も許されねえし、多数決を取ったら、見事に俺以外は乗り込むのに賛成だったし……あぁ、全くもって、か弱いおっさんに無体を強いるねぇ)
 とは言え、縁は多数決の結果をひっくり返すつもりもない。長い物には大人しく巻かれるのが世の中を上手く渡っていくコツとばかりに、せめて演習が始まるまでの間に腹を括ることにした。
 実際、今回の演習に当たってやる気満々なメンバーは多い。
(演習とは、楽しそうな催しですね。要は、戦い、実力を示せばいいのでしょう。存分に、お相手願いましょう)
 『玲瓏の壁』鬼桜 雪之丞(p3p002312)の認識は、訓練としてはどうかというところだが、少なくとも今回に関しては間違っていない。依頼主達が、それを望んでいるのだから。
(船で戦うのも久しぶりだなー。 今回は乗り込むんだけどね! 倒すつもりでがんばるよー!)
 『アンリミテッド・バイオレンス』への接舷を待つまでもなく、飛行して乗り込んでいくつもりでいるのは、『電子の海の精霊』アウローラ=エレットローネ(p3p007207) 。
 『鈍き鋼拳』橘花 芽衣(p3p007119) も、アウローラと同じく演習開始と同時に『アンリミテッド・バイオレンス』に飛行して乗り込むつもりでいる。
「イレギュラーズと戦いたいだけとは……このような方々を戦闘狂いと呼ぶのでしょうか。生憎、僕は奇術狂い。どんな方であろうと奇術に魅了させるのが、奇術狂いの奇術師というもので御座います」
 独り言ちた『『幻狼』夢幻の奇術師』夜乃 幻(p3p000824) の理解も、大体間違っていない。その上で、幻は他のメンバーとは違ったモチベーションを燃やしている。
 一方、ペイント弾や衝角で決着が付いてはたまらないと、喫水線を守る備えも万全だ。
「海の男としてこの勝負、負けるわけにはいかないんだからなっ!!」
 以前の依頼で受けた重傷が癒えきらないながらも、闘志を燃やすのは 『湖賊』湖宝 卵丸(p3p006737)。
「とーちゃん以外の海洋軍人との訓練かー、何だかドキドキするぜ! よーし、がんばるぞー! ……それにしても、あのヒョウモンって副官みてっとなんだか…イカを食いたくなってくるぜ」
 ヒョウモンにじゅるり、と舌なめずりをするのは、『海のヒーロー』ワモン・C・デルモンテ(p3p007195)。ところでヒョウモンはヒョウモンダコの海種なので、当然毒々しく蒼い豹柄の警戒色があるのだが、それでも食欲が刺激されるものなのだろうか。
(あっちの船の艦長さんたち、えっと……だいぶワイルドな人っぽいねー。海賊と戦うんだしこれくらい強気じゃないとダメなのかな? ――よし、ほぼ実戦って話だし、こっちも全力でぶつかっていこうじゃん! せっかくだからそのワイルドさ、学ばせてもらうよ!)
 水中の卵丸やワモンとは別に空中で待機するのは、『雷雀』ティスル ティル(p3p006151)。海洋生まれのティスルにとって、海洋の軍人は海洋の戦士としての先輩であり、敬意を払いつつも乗り越える壁としていた。

「艦長。連中、乗り込んでくる気満々のようですよ」
 イレギュラーズ達の様子を双眼鏡で眺めていたヒョウモンが、ホオジロに報告する。
「嬉しいねえ……そう来なくっちゃ、つまらねえ」
 鋭い歯をギラリと覗かせ、舌なめずりしながら笑みを浮かべ、ホオジロは歓喜した。

●速攻! しかし……
 演習開始の合図と同時に、アウローラが動いた。
 瞬く間に『アンリミテッド・バイオレンス』の甲板まで飛んでいき、ホオジロとヒョウモンを目掛けてチェインライトニングを浴びせる。
「挨拶代わりよー!」
「くっ、危ねえっ! 大丈夫か、ヒョウモン!?」
「ええ。こんなの、掠り傷ですよ」
 雷撃の射線から飛び退いて回避したホオジロが、命中されたヒョウモンを気遣う。ヒョウモンは、大したダメージが入っていないという風に振る舞った。
 だが、即座にヒョウモンがアウローラに反撃する。アウローラの肩口に噛みつくと、歯を突き立て毒を流し込む。
「あうっ、アウローラちゃんの、身体が……」
 ヒョウモンの毒が、アウローラを蝕み、麻痺させる。動きの鈍ったアウローラに、ヒョウモンは触腕で追撃を叩き込んだ。
「アハハハ! まさか演習を名目にワタシ達とヤり合いたいなんて面白いこと言うなぁ! そういうの、大好きだ!  『鈍き鋼拳』橘花 芽衣が、相手するよ!」
「面白い! どれほどのものか、見せてもらおうじゃねえか!」
「ぐ……あっ……!」
 次に『アンリミテッド・バイオレンス』の甲板に降り立った芽衣が、名乗り口上でホオジロとヒョウモンの注意を引く。それを受けて、ホオジロが顎を開き、芽衣の肩口に噛みついた。
 鉄機鋼外殻(ヘカトンケイル)をバキバキと噛み砕き、芽衣の肩の肉にホオジロの牙が突き刺さる。もう一撃受ければ、危ないかもしれない。
 アウローラと芽衣が受けたダメージの深さに、他のメンバー達に、緊張が走った。
(接舷は、まだでしょうか……?)
 雪之丞は、焦りを感じた。接舷さえしてしまえば、火鈴でホオジロとヒョウモンを引き付けることが出来る。しかし、彼我の船の距離では火鈴は届かない。

 イレギュラーズ達の船と『アンリミテッド・バイオレンス』は互いに接近しつつある。だが、急に『アンリミテッド・バイオレンス』の進路がイレギュラーズ達から見て斜め左に逸れ始めた。
「何のつもりで、御座いましょう?」
「……連中、衝角をぶち当ててくる腹だな」
 訝しがる幻の疑問に、縁がその意図を見抜いて答える。正面から突撃しては的が狭くて外す恐れもあるが、脇腹から突撃すれば的は大きくなって当たる可能性が大いに上がる、と言うわけだ。
 その間に、『アンリミテッド・バイオレンス』から次々と小型の玉――ペイント弾――がスリングで放たれてくる。
「正直、これで演習終わったらつまらないよね」
「オイラもそう思うよ」
「そうならないように、この船を守り切るんだぞ!」
 だが、ティスル、ワモン、卵丸が迫り来るペイント弾を次々と叩き落とす。三人の活躍もあって、ペイント弾はイレギュラーズ達の船に命中することなく、全て防がれた。

●ヒョウモンへの猛攻
「連続攻撃が得意なのは、ヒョウモン様だけじゃないんですよ。高速度高精度の、僕の攻撃から繰り出されるスマッシュヒットの数々を受け止めきれますか?」
 幻はヒョウモンに対して、奇術『夢幻泡影』を三連続で見舞う。見せられた幻に隙だらけとなったヒョウモンは、特に二撃目、三撃目を強かに叩き込まれた。

「潰れちゃえー!」
「ぐおおおっ!?」
 ヒョウモンに痛撃を受けたアウローラは、その分を返すとばかりにアースハンマーを放つ。幻の『夢幻泡影』で無防備になっていたこともあって、土塊の拳がヒョウモンに直撃し、グシャリと叩き潰す。ゆらりと立ち上がったヒョウモンは、青い血をだらだらと流していた。
「これで、終わりだぜ!」
「仕留めます!」
 次は自分達の番だとばかりに、ホオジロとヒョウモンは拳と触腕で芽衣を仕留めにかかる。だが、火事場のクソ力とでも言うべきだろうか。ダメージと出血で朦朧としながらも、芽衣は二人の攻撃を鮮やかに躱してみせた。
「今度は……こっちの、番だね……」
 芽衣はショットガンブロウをヒョウモンに放つが、これはヒョウモンが必死になって躱した。

 『アンリミテッド・バイオレンス』が、右に進路を変える。縁が言い当てたとおり、衝角を突き当てようとしているのだ。
(あれだけで演習は終わらない……と思う、けど……もし終わったら……)
 一瞬の逡巡、思考。その結論が出る前に、ティスルの身体が動いた。動いてしまった。海中に入り、衝角から船を守る盾になろうとする。
「いくら何でも、無茶なんだぞ! ワモン!」
「おう! ――オイラはアシカじゃねぇぇ!!」
 いくらイレギュラーズとは言え、軍船の衝角を受けてただで済むはずがない。血相を変えて卵丸がソニックエッジを、ワモンがアシカクラッシャーアタックを衝角の側面に放ち、その勢いで船体を僅かではあるが横に押しやる。幸いにも衝角は船体にもティスルにも当たることなく、そのまま二隻は船縁を擦り合わせつつ、接舷した。

「やっと、乗り込めました。これよりは『玲瓏の壁』鬼桜 雪之丞が、望みどおりお相手しましょう。おいでませおいでませ。毒の牙は此処に。ご自慢の顎は此方へ」
 二隻が接舷すると、雪之丞が即座に『アンリミテッド・バイオレンス』に乗り込み、名乗り口上を上げる。新たな敵の到来に、ホオジロもヒョウモンも凶暴な笑みを浮かべた。
(終わるまで適当に逃げ続けていたかったけど……そうは、いかねえよなぁ)
 目立たないよう、かつ相手の攻撃が届かないよう遠距離に退避しているのが、縁にとっての理想だった。だが、幻のように遠距離攻撃が可能であるならともかく、近接攻撃しか出来ない縁が遠距離に退避し続けるのは、下手をするとハイ・ルール違反の誹りを受けかねない。
(やむを得ねぇな――せめて、早く終わらせよう)
 縁は『アンリミテッド・バイオレンス』に乗り込み、ダメージの大きいヒョウモンを仕留めるべく柳風崩しを仕掛ける。だが、ヒョウモンは死力を尽くして投げに抵抗した。

「く……ワタシはまだ、十分に戦ってないんだ……こんなところで、倒れてられない!」
 血を流しすぎたために、芽衣が倒れかける。だが、芽衣はパンドラを費やして耐えた。
「……驚きました。もう、限界のはずでしょうに」
「なるほど……それが、『可能性の力』ってことかい」
 ヒョウモンとホオジロは、その様に興味津々である。
「隙ありだぜ、ヒョウモンのおっちゃん!」
「むっ!?」
 芽衣のパンドラ復活に意識が向いた隙を衝いて、ワモンがガトリングMADACO弾を撃ちかける。だが、ヒョウモンはそれに気付くと、放たれた硬質性真蛸弾をことごとく触腕で受け止めた。
 しかし、その隙が続くアウローラに決定的な機会を与えた。
「これで、終わりですー!」
 ゴスン! と土塊の拳が、ヒョウモンの後頭部を強かに殴りつける。既に満身創痍に陥っていたヒョウモンは、この一撃で昏倒した。

●ホオジロへの集中攻撃
「あとは艦長だけね! 奏でるは魔法の重ね唄!」
 アウローラはホオジロから距離を取りつつ、魔曲・四重奏を放つ。副官が倒されたという事実に気を取られたホオジロは、回避も抵抗もままならず直撃を受けた。
(それじゃ、畳みかけるかね)
「お前は――!」
 縁は天下御免の、歌舞く一撃をホオジロの鼻先に叩き込む。だが、ホオジロは痛みに顔をしかめながらも、狂喜に顔を歪めた。何故なら、海洋で最も名が知られているイレギュラーズの一撃であったからだ。
「蒼蘭海賊団団長、湖宝卵丸参上!! 喰らえ、音速のドリルの一撃!」
「ぬうっ!? やるな!」
 海中から登ってきた卵丸が、ソニックエッジでホオジロを急襲する!
 驚きつつも回避しようとするホオジロの脇腹を、ドリルが深く抉った。
「アウローラさん、大丈夫!?」
 ティスルはアウローラの側に降り立つと、光翼乱破で光の翼を羽ばたかせて、アウローラの毒を浄化する。そしてホオジロとの距離をわずかに縮めると、壱式『破邪』を連発する。
「正直そっちから見たら小娘だけども、見た目だけで甘く見ないでね! 気を抜いてたら、あっという間に超えて見せるから!」
「ガハハハ! それは楽しみだな!」
 立て続けに放たれた壱式『破邪』をモロに食らいつつも、ホオジロは豪快に笑った。
「さあ、ショータイムです! 奇術を、お楽しみ下さい!」
 幻は、奇術『夢幻泡影』からの奇術『花蝶風月』、さらに後に続くもののために奇術『夢幻泡影』
をホオジロに仕掛ける。血の色をした夢に酔うホオジロが見せられる罪は、ただただ続く暴力と流血と闘争の日々。言うなれば、修羅の世界。もっとも、それはホオジロにそれほど堪えたようにも見えなかったが――。ともあれ、ホオジロは再び血の色をした夢に酔わされる。
 夢の中にいるのか現実に戻ってきたのか、ホオジロは虚ろなまま雪之丞に噛みつかんとする。だが、雪之丞はバックハンドブロウで後の先を取った。魔刀『桜狼』の刃が、深々とホオジロに突き刺さる。
「うぐっ――今のは、一体……?」
 その痛みに、ようやくホオジロは虚ろな状態から目を覚ます。『桜狼』の刃を引き抜いた雪之丞に改めて噛みつかんとしたホオジロであったが、その顎はガチンと空を噛むだけであった。
「今度はこっちの番だね! 行くよ!」
 戦闘不能にまで追い込まれたお返しとばかりに、芽衣は渾身のダイナマイトキックをホオジロに直撃させる。
「ぐおっ……!」
 鳩尾に蹴りを叩き込まれて、身体を「く」の字に曲げるホオジロ。同時に、ドカン! とホオジロが爆発する。
「……ははっ。なかなか、楽しいじゃねぇか! まだ、終われねえぜ!」
 ダメージの蓄積で、ホオジロは満身創痍になっている。だが、吐血してよろめきながらも、歓喜を隠すことなく鮫そのものの笑みを浮かべていた。

●演習、決着!
「ホオジロのおっちゃん、行くぜー!」
 ワモンはガトリングMADACO弾をホオジロに向かって撃ちかける。硬質性真蛸弾が、次々とホオジロの身体にめり込み、穴だらけにしていった。
 さらに、アウローラがアースハンマーで追撃をかける。強かに殴りつけられ、一度は地に伏しながらも、ホオジロはよろよろと立ち上がった。
「――楽しかったよ、ホオジロ艦長。後で、飲んで騒ごう」
「ああ、いいな。楽しみだ――」
 次の一撃で、演習の決着が付く。芽衣もホオジロも、そう確信していた。ホオジロと短く言葉を交わした芽衣は、ショットガンブロウを放つ。
 だが、ホオジロも次が最後だからと言って、避けられるものをわざわざ食らう趣味はない。衝撃波を帯びたストレートを、見事に回避する。
「――!?」
 次の瞬間、芽衣の姿がないことにホオジロが気付く。ホオジロが芽衣の姿を捉えたときには、空中からのダイナマイトキックを受けて、爆発と共に意識を失った。

●再会、再戦を楽しみに
「いやぁ、楽しかったぜ! また、こんな手合わせが出来るといいな。『大号令』でも、当てにさせてもらうぜ」
「名高いイレギュラーズの実力、堪能しました。お付き合い頂き、ありがとうございます」
「拙らは、お眼鏡に適いましたか。よかったです。こちらこそ機会あらば是非、お相手願いたいものです」
(……その時は、俺抜きで頼むよ)
 意識を回復した後、如何にも『演習』を満喫したと言った様子で、ホオジロとヒョウモンは帰途につく。
 その際の雪之丞の言葉に、縁は口にこそ出さなかったが内心で嘆息した。
「とーちゃん以外にもつえー軍人がいろいろいるんだな! いいべんきょーになったぜー。……ところで、ヒョウモンのおっちゃんってイカなのか?」
「とーちゃん……もしやと思ったら、ゼニガタ大佐のご子息でしたか。私は蛸ですが?」
「え? タコ? イカだったら一口かじらせてもらおうと思ってたけど、タコだったらいいや」
「ええ……この警戒色を見て、よくそんな気になれますね」
 ヒョウモンはヒョウモンダコの海種なので、当然毒々しく青い豹柄の警戒色を持つ。それでもイカだったら囓ってみたいと言うワモンに、ヒョウモンはドン引きした。

「嬢ちゃん、酒盛りはまたの機会にな。もしかしたら、『大号令』が完了した後になるかもしれんが」
「そうだね、楽しみにしてるよ」
 ホオジロと芽衣は互いに傷が深いこともあり、演習終了直後の飲酒は『アンリミテッド・バイオレンス』軍医によるドクターストップがかけられた。そのため、酒盛りは日を改めて、と言うことになったのである。
「その時は、私も混ぜてね!」
「おう、歓迎するぜ! ガハハハ!」
 ティスルの言葉に、ホオジロは豪放に笑った。

「今度は、戦闘関係なく僕の奇術を楽しんで下さいね」
 幻が、ホオジロとヒョウモンに声をかける。
「おう、その時には声をかけてくれや」
「確かにお見事でしたから、戦闘抜きで鑑賞したいものではありますね」
「ええ、その日が楽しみで御座います」
 にこり、と、幻は二人に微笑んだ。

「さよーならー! またねー!」
 アウローラが、小舟で去って行くホオジロとヒョウモンに手を振る。
「おう、ありがとうよ。またなー、そっちの嬢ちゃんも!」
 ホオジロがアウローラに手を振り返し、さらにその隣にいる卵丸にも手を振っていく。
「らっ……卵丸は、男なんだぞー!!」
 「そっちの嬢ちゃん」が自分のことを指していると気付いた卵丸の絶叫が、一帯に響き渡った。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

橘花 芽衣(p3p007119)[重傷]
鈍き鋼拳
アウローラ=エレットローネ(p3p007207)[重傷]
電子の海の精霊

あとがき

 シナリオへのご参加、どうもありがとうございました。
 ホオジロとヒョウモンは、皆さんとの戦闘を満喫して帰って行きました。今後、ローレットの実力は信頼してくれることでしょう。
 彼らとは、『大号令』が進行していくにあたって再会することがあるかもしれませんし、ないかもしれません。

 それでは、お疲れ様でした!

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