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シナリオ詳細

<青海のバッカニア>world end initiative

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●世界の果てをめざすもの
 ネオフロンティア海洋王国にて外洋遠征をさす『大号令』によって国が沸き立つのは、なにも女王の命令であるからというだけの話ではない。
 『地図の外側』になにがあるのかを知ることは、大陸各国に対するイニシアチブを獲得することとある意味で同じなのだ。
 そこに何があるにせよ、未知を知ることが彼らの悲願。
 一方で。
 練達にも地図の外側に強い興味をもつ者たちが存在していた。
 神のルールを突破するための手がかりが、絶望の青のその先にあると考える者たちである。
 彼らは海洋王国の海賊崩れや貴族たちと手を組み、ひとつの連合体となって外洋へ挑むための研究を続けている。
 その名も『world end initiative(ワールドエンドイニシアチブ)』。
 利害の一致により、地図の外側を目指す研究チームである。

●『ペルケスの水棺』
「君たちに来てもらったのはほかでもない。『絶望の青』に想定されるあらゆる事態に対応すべく、突破困難な海域へのトライを行い、その突破方法の記録と収集、そして特異なポイントにおける情報収集を行う…………あー、平たく言えば、君たちには危険なチャレンジをしてもらう」
 金髪に瓶底のようなめがねをかけた白衣の男は、ひょろ長い顔をなでながらそんな風に話した。
 愛用しているらしいタブレットPC端末を操作し、空中に半透明な立体マップを展開していく。
 見たところ、CGで作った海と船、そして『海の壁』であった。
「我々が今回目指すのは『ペルケスの水棺』という海域だ。
 このように、ある地点から海面が約90度湾曲し、壁のようにそびえている。
 ファミリアーによる投入実験をおこなったが特殊な水流が発生しているわけでも重力変化が起きているわけでもない。
 ただ『海だけが壁のようにそびえている』という場所だ。
 どうやらこれは、やはりというべきか壁らしく、この先には我々が目的とする特異なポイントが存在するとみられている。
 君たちにはこの壁の突破を依頼したい」

 壁の突破。
 ただこれだけを聞くなら容易な話ではあるのだが……。
「どうも、ただ泳いで渡らせてくれるような生易しい場所じゃあないらしいね」
 情報屋のショウは資料をぱらぱらとめくり、イレギュラーズへと配り始めた。
「『ペルケスの水棺』へ侵入を行うと、しばらくの間は水中をまっすぐに進むことになる。
 けれど、『距離を無視した狙撃』によって一方的な攻撃をうけるらしい。
 文献によると『棺守』と呼ばれる存在からの攻撃で、彼らは水棺の内側から一方的な攻撃を可能とするそうだ。
 けれど、攻撃をかいくぐって棺内部へ到達すれば、『棺守』たちのド真ん中に出られる。つまり、反撃開始ってわけさ」
 要約すると。

 ・棺守からの一方的な攻撃にひたすら耐える段階。
 ・棺守たちと直接戦う段階。

 今回の依頼内容はこのふたつに分かれているということである。
「文献はだいぶ残っているからね。対処法も編み出しやすいと思うよ。
 といっても、メンバー次第になると思うから、やり方を話し合ってみてね」

GMコメント

●重要な備考
<青海のバッカニア>ではイレギュラーズ個人毎に特別な『海洋王国事業貢献値』をカウントします。
 この貢献値は参加関連シナリオの結果、キャラクターの活躍等により変動し、高い数字を持つキャラクターは外洋進出時に役割を受ける場合がある、優先シナリオが設定される可能性がある等、特別な結果を受ける可能性があります。『海洋王国事業貢献値』の状況は特設ページで公開されます。

■成功条件
 『ペルケスの水棺』内部へと到達すること。また、棺守を撃破し安全を確保すること。

■突入段階(3~5ターン想定)
 ペルケスの水棺へ突入し、まっすぐに直進していきます。
 world end initiativeからスクリューをランドセルぽく背負うタイプの海中行動用装備を貸し出されます。
 そのため機動力や行動選択如何に関係なく一定ペースで進んでいくことになるでしょう。逆に止まったり戻ったりが難しくなると思われます。

 ここで気をつけるべきは『棺守』からの遠隔攻撃です。
 どこにいるのか全くわからない敵から突然距離や角度を無視して狙撃され続けます。
 なので、誰が攻撃されるか、いつ攻撃されるかがわかりません。
 また自動的に『不意打ち・奇襲』扱いになるため『回避-10、防御技術-10』のペナルティをうけることになります。(そのため超反射神経もち)はペナルティをカットできます。

 攻撃方法は主に巨大な魔法の針で刺すようなもので、【麻痺】、【呪縛】、【出血】といった効果が付随することがあります。(どれか一つのパターンも、全部のせのパターンもあると思ってください)

■反撃段階
 棺の内側へと到達したところで、棺守との直接戦闘を行い安全を確保してください。
 棺守は狙撃時と異なり近接戦闘を主に行うことになるでしょう。付随するBSは狙撃時と同じです。

 棺内部には平面の足場と空気があるとされており、戦闘は通常の陸上戦闘と同じように行うことが可能です。

■おまけ
 安全を確保したら依頼終了、成功扱いとなります。
 このあと依頼人(world end initiative職員)による調査が行われますが、付き合いたかったり聞いてみたかったりしたことがあったら、自由にしてみてください。
 なかにはヒミツだから応えられないよといわれる場面もありそうですが、そう邪険にはされないはずです。

■■■アドリブ度■■■
 ロールプレイをよりお楽しみいただくため、リプレイにはキャラクターのアドリブ描写を用いることがございます。
 プレイングやステータスシートに『アドリブ歓迎』『アドリブなし』といった形でお書きくだされば、度合いに応じて対応いたします。ぜひぜひご利用ください。

  • <青海のバッカニア>world end initiative完了
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2019年12月16日 22時10分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ベーク・シー・ドリーム(p3p000209)
泳げベーク君
シャルレィス・スクァリオ(p3p000332)
蒼銀一閃
カイト・シャルラハ(p3p000684)
風読禽
武器商人(p3p001107)
闇之雲
レーゲン・グリュック・フルフトバー(p3p001744)
希うアザラシ
伊達 千尋(p3p007569)
Go To HeLL!
ゼファー(p3p007625)
祝福の風
天之空・ティーザ(p3p007693)
白狼剣士

リプレイ

●world end initiative
 風に色があるように思えた。
 『風読禽』の異名をもつカイト・シャルラハ(p3p000684)が、翼を広げて船の舵をとっている。
 ふきつける風に、感じたことのない奇妙なねじれのようなものを感じていた。
「まあ、あんなものがあれば、な……」
 目を細めて見上げる。巨大な海の棺。
 重力を無視したかのように垂直に切り立った『海面』が、大きな四角形になって高くそびえている。
「『ペルケスの水棺』……あれは発見当初、建物だと思われていた。小さな島に建設された四角形の建造物が、上から海水を循環させているのだと」
 金髪、瓶底めがね、白衣。ファッション誌など小指で触れたことすらないといった有様の彼こそ、今回の依頼人である。所属は『world end initiative』。絶望の青に挑む海洋・練達の合同研究チームだ。
「しかし違った。海中探査装置によればあの海はほんとうに垂直に曲がり、水圧も内部にいくほど上昇する。まあ、人体で実感するほどの圧力はないがね」
「フーン、よっくわかんねえけど。ありゃ横向きの海ってこったな。マジファンタジーじゃねえの。新たな文明的なアレを見つけるロマンの夜明け!」
 指で四角形を作り画角をとってみる『Punch Rapper』伊達 千尋(p3p007569)。
「そっか。だから棺って言われてるんだね」
 『疾風蒼嵐』シャルレィス・スクァリオ(p3p000332)は陽光に乱反射する『ペルケスの水棺』の側面部に目を細めた。
「なんで?」
「だって、中心があるってことでしょ?」
「あー」
 なるほどね完全に理解したわ、と理解してない顔で頷く千尋。
「けど何があるかはわかってない。一体何が待っているのか冒険者としてわくわくせずにはいられないよね!」

 『砂竜すら魅了するモノ』ベーク・シー・ドリーム(p3p000209)はいつものようにスタンバイして、身体から甘い香りを漂わせていた。
「……ぼくも、海洋の民ですから。
 これでも、見果てぬあの水平線の先というのは気になってるんですよ。
 此処ならぬどこかなら、僕のような人もいるかもしれないでしょう?」
 未知に期待するのは人の性分である。まだ見ぬ技術。豊富な資源。かつてない危険や、だからこそ手に入る発見。ただでさえ広大な地図の先を見ることが、今度こそはできるかもしれない。
 ドリームだけでなく、world end initiativeもそんな気持ちでこの大号令に従事していた。
 ぱったん、と動く白い尻尾。『白狼剣士』天之空・ティーザ(p3p007693)は腰にさした刀に手をやって、広い海を見渡した。
 ティーザに限った話じゃあなく、海というのは本来怖いものだ。落ちれば重力に従って沈み、海中から酸素を得るすべはない。
 これを本能的に恐怖しないのは、海中で呼吸が可能なディープシー種族くらいなものだろう、とおもう。
(そんな海に、今から潜るのか。それも、横向きの海……本当に大丈夫なんだな?)
 今回のメンバーは、そのほとんどが水中での呼吸を可能とするすべを持っている。
 生来そうである者もいれば、魔砲や道具でなんとかした者もいる。
 しかし誰もがそうではないのが当然なので、world end initiativeからは水中専用装備が貸し出されていた。
 半透明なビニール状の、例えるならレインコートのような物体で、着込んで首元のリングを操作するとうすく透明な防御膜ができあがる。この装備を起動していれば水中でもしばらく呼吸ができ、戦闘も可能だという。
 これに加えて、背負うタイプのスクリュー式推進装置を装備。
「棺守……不法侵入者を迎撃するという事は何かを守っているんだろうけど……」
 『二心?二体っきゅ』レーゲン・グリュック・フルフトバー(p3p001744)が早速海へと飛び込み、棺への侵入を開始する。
「さて、誰にとって、どんな価値があるものなのかしらねぇ」
 同じく飛び込んだゼファー(p3p007625)。
 いちど海面から顔を出して息を吸い込むと、海中で呼吸するすべを思い出しつつ素潜りを開始した。
(教わっておいてよかったわ。呼吸法)
 続いて仲間たちも次々に飛び込み、棺へと泳いでいく。
「棺に入ったらまっすぐ、直進してくれ。探査機や偵察隊の確認した狙撃についいては、対処できるな?」
「ヒヒヒヒ……依頼された以上は、当然」
 『闇之雲』武器商人(p3p001107)は海に向かって背中から転がるようにダイブすると、スクリューを使って棺へと直進していく。
 すると、急速に重力のかかりかたが曲がるのを感じた。
(ここから、棺の箱……か)
 『ペルケスの水棺』。
 前人未踏の領域が、すぐそこまで迫っている。

●『ペルケスの水棺』
 ある程度密集しつつ、ぶつからない程度の距離を保って進む。
 海中ではスクリュー音と水をかく音、そして空気の流れる音だけがあった。
 スクリューと一緒に支給された呼吸装置と水中会話装置のおかげだろうか、こんな状況にあっても会話はまともにこなせるようだ。
「小学校以来だぜビート板使ってバタ足とか……懐かしい……。
 思い出すぜ、水面のトビウオと呼ばれていたあの頃を……。
 行くぜ鯛焼き君! 俺とお前でダブルトビウオだ!」
「……いやたい焼きじゃないですしビート板でもないんで!! っていうかビート板って何です!?!? トビウオでもない! 鯛!! 英語でRed snapper!」
 ドリームをビート板みたいに掴んでシューって滑るように泳ぐ千尋。
 避ける時は避けるが当たるときは直撃するというのが彼である。そんな彼がいきなり死んだりしないように、すぐかばえる位置にドリームはいた。
 というか、海中で身体を水平にして泳ぐちょっと器用なドリームである。
 そ、そんな時。
 ポコっと小さな音とともに半透明な矢のようなものが出現、千尋めがけて飛んでくる。
 咄嗟にドリームを掴んで盾にする千尋。
「うおおあぶねえ!」
「うわああああ!?」
 分厚い皮(?)でぼよんと矢をはじくドリームだが、ここまでダイレクトに盾にされるのも珍しい。いや、盾にしやすいフォルムしてるけども。
「みんな、来るぞ! 防御を固めろ!」
 カイトは翼を広げて水流を操ると、まるで空を飛ぶかのように豪速で海中を螺旋潜行していく。
 彼を狙ったであろう矢が、彼を捉えきれずに海のどこかへ消えていく。
 いや、海に『溶けて』と言った方が正しいだろうか。
「これは……?」
「興味深いね? この先へ行けば謎は解けるかな」
 武器商人は不気味に笑いながらただただ直進。
 いくつもの矢が彼(?)を狙って放たれ、そのほとんどは直撃したが、うごめく名状しがたいものたちが彼を補完するようにあふれ、死にかけの状態をいつまでも継続させていく。
「どうやら、我(アタシ)を殺せるものはいないみたいだねぇ」
 そう言いつつ、武器商人は矢に含有する毒物を冷静に分析していた。
 身体を麻痺させる毒。肉体動作を阻む呪術。それと傷口の出血を止まらなくさせる毒。どれも抵抗力が鉄壁な武器商人には通用しないが、仲間が動けなくなるのはさけたい所だ。
「垂直4時方向っきゅ!」
 レーゲンが強く叫ぶと、おおきく身をよじって矢の攻撃を防御。
 ダメージが蓄積しないようにメガ・ヒールを起動。息切れを起こさない程度に定期出力しながら直進を続けていく。
 そんな回復支援を受けながら、シャルレィスとティーザは互いに顔を合わせた。
「奇襲といっても防げないほどじゃないみたいだね」
「それに、集中攻撃をする統率性が見られない。さては、向こうはこちらの位置はわかっても状態までは把握できていないな? 仮に攻撃されても個々に防ぎ切れれば乗り切れるぞ!」
 ティーザは死骸盾を発動。
 自らの周囲に展開した魔方陣から骨でできた狼の群れが出現。
 発射される矢を狼ががちんと咥えることで防御していく。
 一方でシャルレィスは自らの周囲に激しい水流をまとい、ドルフィンキックで加速すると放たれるであろう矢のタイミングを直感で回避した。
 ぐるんとねじれた身体の約数十センチ脇を矢が通り抜けていく。
「そういうことなら……」
 ゼファーは一瞬だけ感知できた敵意に対し、素早く反転。
 発射された矢へ槍を打ち付けて破壊した。
 破片をそのまま打ち返した……つもりだったが、相手に帰って行った手応えはない。
「なんとなくわかったわ。棺の壁内に小さいゲートを作って、その向こうから矢を放ったのね。打ち返せないくらいの短い間だけど、存在はしてるから敵意は刺さるし空気もすこしだけ漏れる。対処できない攻撃じゃないわね?」
 ゼファーは体勢を整えてバタ足を再開すると、棺の内側を目指して潜行した。

●まだ見ぬ棺の内側
『とまらないね』
『しなないのかな』
『ひとじゃないのかも』
『でもまがるよ』
『たどりつくかも』
『たどりつくね』
『どうしようか』
『どうしようね』
 乾いた空気が満ちた空間で、ゆらぎの一切無い水面に立つ、半透明な物体があった。
 人間に似たシルエットをしているが、水のように半透明でつねにゆらゆらと不安定に形をぶれさせていた。おそらくはこれが『守人』と呼ばれるものだろう。
 それが、およそ五体ばかり。
 顔といえなくもないほどわずかな凹凸のあつ頭部が、一斉にある一点へ振り返った。
「ばかめ、こっちだ」
 刹那。
 全員が見ていない角度からカイトが出現。猛烈なスピードで飛び翼を展開。直角に曲がると、身体に炎の風をまとって急降下突撃を仕掛けた。
「――」
 手をかざそうとした『守人』を、カイトが豪快に貫いていく。これだけの質量が貫けば、当然人などほとんどの原型を残さないだろう。
 足場はカイトをざぶんとのみこみ、わずかな波紋だけをつくってすぐに平たい水面へと変わる。
「っしゃおらー! 今だ鯛焼き君!」
「あいあむ鯛!」
 追って水壁から飛び出してきた千尋とそのビート板。もといドリーム。
 振り返って射撃する守人をドリームシールドで防ぎながら飛びかかり、千尋は叫んだ。
「合体技をくりだすタイ! ドリームブレード!」
「鯛焼き! じゃなくて鯛! じゃなくてなんですかそれ!?」
 説明しよう。ドリームブレードとはドリームをブレードするエキサイティングなエモーションこのプライド(おもい)かたち作るヒストリー誰にも譲れない運命を信――
「あっ」
 千尋のぬれた手からドリームがすっぽぬけた。
「あっ」
 ノーガード千尋の額に突き刺さる矢。
「あああああああああああああ!?」

 次々と突き刺さる矢をヒヒヒと笑って受け入れる武器商人。
 衣服はすでに穴だらけのはずだが、造形が変わる様子がまるで見られない。
「そうら、そら、仕事ご苦労。キミたちの破滅がやってきたぞ」
 武器商人は壱式『破邪』を放って守人を破壊していく。
「棺を守るモノは一緒に墓に入る事もよくあるが……さて、キミ(たち)は「どちら」だろうなァ、棺守?」
「レーさん戦いは怖いっきゅ。楽な戦いはなくて、毎回痛くて大変で……だけど戦わないと大切なものが守れないっきゅ。パンドラが無くて混沌が滅んだら皆破滅っきゅ。みんなに会えなくなるのは戦いよりも怖いっきゅ! だからレーさん頑張るっきゅ! みんなも恐怖に負けるなっきゅ!」
 その後ろでは、ややかばわれるような形でレーゲンが武器商人にメガ・ヒールを連射していた。
 攻撃を集中させて押し切ろうと試みる守人たちだが……。
「好き勝手やってくれたな……ここからは反撃させて貰う!」
「ペイバックタイム! 一方的に撃ってくれたお返しはきっちりさせて貰いますわ?」
 背後から同時に迫るティーザとゼファーに反応が遅れた。
 ひとりの首を刀出切り落とすティーザ。
 更にゼファーが胸を槍で貫くが……。
「手応えがないわねぇ、やっぱり」
 ぐにゃり、とねじれて前後が反転する守人。こちらに手を向け、矢を発射してきた。
 槍ごと離脱しようとしたが強く固定されていて抜けない。ので、至近距離の矢を素手でキャッチ。更に固定された槍を鉄棒代わりに逆上がりをかけて相手身体を蹴りつけた。
 さらなるティーザの斬撃が守人を切り裂き、抜けていく。
 守人は再生しようとぐねぐねと動いたが、やがて動きが鈍くなりそのままぱしゃりと足下の水面に溶けていった。
「ネタが割れてきた、ってかんじかな」
 シャルレィスは自分を狙う守人の射撃を右へ左へとびながらかわすと、直撃弾を剣で打ち落とし、そのまま高速回転をかけて守人を切り裂いていく。
 はじけとんだ守人はそれ以上再生することなく、足下の水面へと溶けていく。

●守られていたもの
「見たかよ、ダブルトビウオの力(パゥワー)!」
 ぜーぜー言いながらドリームの背びれ(?)に手を置く千尋。
「ダメージ受けたの全部僕ですけどね」
「おいおいつれねーな鯛焼き君。ラストの合体奥義ギガドリームブレイクはマジきまってたじゃん」
「僕が投擲されてましたけどね!」
 賑やかにするドリームと千尋。
 そこへ、連絡を受けたworld end initiativeの研究員数名がティーザの案内でやってきた。
「で、ここには何があるんだ?」
「なにがあるんでしょうねえ。それを調べるのが今日の仕事ですねえ」
 首から上が黒鯛という研究員ダイノワールがのんびりした様子でこたえた。
 そうしていると瓶底めがねの男ブルックリンはキューブ状の装置をかざし、空間をスキャンしはじめる。
 レーゲンはその様子をじっと眺めていた。
 槍をついてよりかかるようにして、その様子を眺めるゼファー。
「態々守り人なんていたんですもの。
 当然、価値ある何かか此処自体に何らかの価値があるんでしょうけど。
 その辺どうなのー?」
「当然、何かはあるはずなんですが……」
「ところで、文献にはなんてあったの? たしか『ペルケスの水棺』……だったよね」
 ブルックリンの左右からのぞき込むシャルレィスとカイト。
「棺ってことは誰か眠ってたりするのか?」
「文献では、この場所があることと水流の性質と、そして守人による狙撃のことしかわかりませんでした。
 棺と称したのは形状と、そして内側になにかあるだろうという予測からでしょうねちなみにペルケスというのは発見者の名前です」
「確かにねぇ」
 武器商人は納得したように頷いた。前人未踏、未知の領域の応えが名前にあったら、それはなかなか台無しだ。
「おや」
 ブルックリンは足場の『水面』に意図的に屈折迷彩が施されているのを発見した。
「うお、なにこれすっげ」
「四角い何かがあるっきゅ」
 近づいてみる千尋とレーゲン。すると、ダイノワールが水中に黒くて四角い、2メートル程度の物体を引き上げた。
「箱だねぇ」
 蓋部分に手をかけ、無理矢理に開放する、と。

 中では和装の女が眠っていた。
 驚く一同を前に、女は目を開き。
「私は誰だ?」
 と、つぶやいた。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 ――mission complete
 ――未来につづく

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