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シナリオ詳細

<学園PPP>あ! やせい の きょうかしょ が あらわれた!

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●草むらから始まるStudy.
「金がねぇ……」
 学生達の貧困生活は今も昔も、境界を越えた異世界でさえも変わらない。
 それは何でもありのマンモス校『PPP学園』でも同じ事だ。

 先月半ばに発売された新作ゲームを買うために、その日も生徒Aは自分の席で12枚切り食パンをむさぼっていた。
 味気ないがコスパはいい。質より量で腹が膨れる。なにより、日持ちするのがありがたいのだ。
 受験が終わるまでアルバイトを禁じられた彼にとって、資金を得るため削れる経費は通学の定期代と食費のふたつだけ。

「はぁ……、わびしくなってきたぜ。怒られずに小遣い稼ぐ方法ねぇかなぁ」

 ささくれた心から気を逸らそうとスマホを弄り、SNSをダラダラと暇をつぶす青年。
 その指が動きを止めたのは、クラスメイトがシェアしたページが目にとまったからだ。

『PPP学園の生徒限定! 求む、校内アルバイト!
 先生のお手伝いで高収入&内申点アップ!
 草むらで野生の教科書をゲットするだけの簡単なお仕事です。
 まずは話だけでも聞いてみませんか? 詳しくはキョーキド教授の研究室まで★』

(これなら内申点取るためだって説得したら、母ちゃん許してくれるかも!)

 閃いたら善は急げだ。アルバイトの枠が埋まる前に、はやく名乗りをあげければ!
 食べかけていたパンの耳を口の中に詰め込んで、彼は教室から飛び出した。

●151冊ゲットだぜ!
「ーーという訳で、生徒Aはバイト中に《ちょっと大人な火遊びの教科書》の技を受けて、全身やけどを負って療養中なのです」
 境界図書館のとあるスペース。集まった特異運命座標に語り終えた後、『境界案内人』ロベリア・カーネイジは長い睫毛を揺らしてまばたきした。
 なぜって、聞き手がまるで状況を飲み込めてないような顔をしているからだ。
「当たり前でしょう? 野生の教科書は凶暴ですから。何の準備もせずに草むらで捕まえようとして、生きている事自体が奇跡ですわ」
 ロベリア曰く、野生の教科書はPPP学園の裏にある草むらに潜んでいる不思議な生き物で、キョーキド教授は長年その研究をしているのだという。
 今までに発見された教科書の数は151冊にものぼり、新種の教科書が見つかれば、それを原本に学園で販売される教科書を増やす事が出来るのだという。

「まずは野生の教科書を捕まえるための捕獲ボールをキョーキド教授から貰ってくださいね。
 PPP学園の学生限定のアルバイトですから、生徒のフリをちゃんとするのですよ?」

NMコメント

 今日も貴方の旅路に乾杯! ノベルマスターの芳董(ほうとう)です。
 めざせ教科書マスター!

●目的
 学園の生徒になりすまし、
 野生の教科書をたくさんゲットしてキョーキド教授に渡す。

●異世界について
 校舎の数も施設の種類も膨大!
 超弩級のマンモス校『PPP学園』がある世界です。

 今回は数ある施設の中から、《キョーキド教授の剣》と近所にある《草むら》が舞台です。
 草むらには文字通り草が生い茂っていて、あちこちガサガサと揺れています。何か見つかりそうな気配!

●登場人物
 キョーキド教授
 野生の教科書を長年研究しつづけているロマンスグレーのアラフィフ紳士。
『PPP学園』の授業に使う教科書を増やすため、日夜研究に励んでいます。

●「野生の教科書」とは
 草むらに住んでいる不思議な生き物。見た目は文字通り教科書です。
 国語・数学・英語の教科書御三家を筆頭に、《闇市の魔力における防衛術》や《くっころ女騎士の育てかた》など、あらゆる教科書が存在します。

 ちょっと凶暴ですが、攻撃して弱らせた後、
 キョーキド教授が発明した捕獲ボール《マナビヤボール》を投げる事でゲット(捕獲)できます。
 マナビヤボールのサイズは野球ボールくらい。

●その他
 アルバイトは学園の生徒限定です。学生になりきりましょう。めざせ青春!

 教科書の捕まえて楽しみましょう。以下はプレイングの例です。
・罠をはって大量捕獲! 151冊コンプを目指す!
・自分がほしい教科書を探す!
・教科書を捕まえるために式神でバトルだぜ!
・捕まえた教科書を読んで、自分もかしこさUP!...etc.

 それでは、素敵な学園ライフをお過ごしください!

  • <学園PPP>あ! やせい の きょうかしょ が あらわれた!完了
  • NM名芳董
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2019年12月13日 22時20分
  • 参加人数4/4人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

ノリア・ソーリア(p3p000062)
半透明の人魚
チャロロ・コレシピ・アシタ(p3p000188)
炎の守護者
紅楼夢・紫月(p3p007611)
呪刀持ちの唄歌い
中野 麻衣(p3p007753)
秒速の女騎士

リプレイ

●LALALAくれるかな
「はじめまして、オイラは転校生のチャロロっていいます!」
 研究室に『魔動機仕掛けの好奇心』チャロロ・コレシピ・アシタ(p3p000188) の元気な声が響く。今回の依頼は"野生の教科書"を捕まえる事だが、そのためには目の前の人物、キョーキド教授の協力が必要不可欠だ。
「吾輩の研究室へようこそ! この学園では野生の教科書が観測されており、特に今期の――」
「あっちの檻! 今動きましたの!」
「教科書が動くって不思議やねぇ。普通に攻撃したらええんかねぇ?」
 聞いちゃいねぇ。
 教授の長い蘊蓄語りが始まるや否や、『半透明の人魚』ノリア・ソーリア(p3p000062) と『呪刀持ちの唄歌い』紅楼夢・紫月(p3p007611)の興味は完全に部屋で飼われている教科書達に向いていた。
(もしかして、これが噂に聞く"先生の長話を受け流す女子"っていう非戦スキル!?)
「どこの世界にも話の長い先生はいるものっすねぇ」
 それが当たり前の日常だった頃は特に気に留めなかったが、混沌へ飛ばされて以降はめっきり聞く機会が減ってしまった。元々日本の女子中学生だった『秒速の女騎士』中野 麻衣(p3p007753)は若いながらも、一握りの懐かしさを覚えていた。久しぶりの学生服にご機嫌で、くるくるとその場で華麗に回る。制服への憧れは今もなお色あせない。
 各々が時間を潰してもなお、教授の話の長い事! チャロロも集中力が薄れはじめ、
(野生の教科書と戦わせるための教科書とかくれたりしないかなぁ?)
 などとぼんやり思いはじめた時だった。
「ここに3つのボールがあるだろう?」
 いかにもな言い回しに特異運命座標たちの意識がボールへと注がれる。
「キミ達から見て右側から順に『国語』『数学』『漁業』」
 漁業。
「唐突に磯の香りが漂いはったねぇ」
「御三家としてはパワーバランスが心配ですの」
「まぁ、見せただけだし」
 くれないのかよ!
 ケチな教授にさよならバイバイして、さっそく特異運命座標は草むらを漁りに行くのだった。

●厳選開始
 草むらの中で斬撃が乱れ飛ぶ。
「紫月さんってクールに見えて、行動は意外とタイプ:ワイルドだね」
「そうやろか?」
 瀕死になってうず高く積まれた野生の教科書の山を横目に、紫月は得物の銃をゆっくりと降ろした。事前に境界案内人から聞いた話では重傷者も出ていたのだ。これほどの警戒も当然といえば当然である。
 一気に倒し大漁に捕らえる彼女とは対照的に、チャロロは地道に草むらの揺れてるところを覗いては、ブロッキングバッシュを叩きこんで見つけた教科書を痺れさせていた。
 マナビヤボールは当たれば必ず捕まえられる訳ではない。BSつけて着実に収集する作戦である。

「これは国語……理科……数学……。オイラ、数学は苦手なんだよね……。
 むずかしい数式とか見ただけでめまいが……」
「せやったら何の教科書が目当てなん?」
「それは……」
 ガサガサッ! 2人の会話に割って入るように揺れる音が大きく響いた。
 チャロロの収集欲が疼く。珍しいものを見かけたら、マークで逃がすまいと立ち回り――。
「え、『ちょっとえっちな保健体育』だって!? これは絶対捕まえなきゃ!」
「……へぇ」
「なんだか視線が冷たいけど違うよ、オイラは珍しい教科書をつかまえようと……あ、そうだ!
 そいえばノリアさんと麻衣さんはどこへ行ったんだろう?」
 苦し紛れに話題を逸らして逃げるのだった。

 彼が視線を投げた先――そびえ立つ校舎の中で、ノリアは横たわっていた。

 授業終わりで静まり返った家庭科室。その中央の長机でゆらゆらと、ゼラチン質のしっぽを揺らして目当ての得物を待っている。
(わたしは、決して、食べられたいわけでは、ありませんの……)
 心の中で思っても、染みついた癖は止められない。この世界は弱肉強食。しかし自分は、気づけば"肉"の側に立ってばかりいた。食べられそうになってしまうかどうかで物事を判断するようになってしまったのは道理というものだ。
「キョーキド教授は言ってましたの。草むらの外にも、僅かながら抜け出した野生の教科書が潜んでいると……」
 長話をスルーしていたように見えて、彼女はしっかり聞いていた。
 わざと隙だらけになり、つるんとした魅惑の尻尾で誘惑し――食らいついた教科書を、えいっ! とボールで捕まえるのである。
「これは『天ぷら職人の教科書』! 危うくカラッと揚げられるところでしたのー!」

●爆誕
「教科書GETっす!」
 捕獲を終えたボールを拾い上げ、ビシリと麻衣はキメポーズを披露した。
 誰にも見られてなくたって、これが彼女の美学なのだ。
 何かと形から入りがちな少女にとって、たった今捕まえた本はとても大事な物だった。
 この界世界を訪れる前から探すと決めていた一冊。

 それはずばり――『くっころ女騎士の育て方』!

 あたりを見回し人の目がない事を確認した後、
 スカートが捲れないよう太ももで挟んでストンと座る。ドキドキに震わせながら捲る指先。

「えっと……縛られるっすか?」
"女騎士は縛られてなんぼ"
「くっころはへっちな感じで?」
"女騎士はへっち!"
 河原に落ちていた雑誌を食い入るように見ていた男子の気持ちが、
 今ならちょっと分かるかもしれない。
"スタイルは豊満が望ましい"
「申し訳ないっす……レベルが上がらないとひんそーっすよ……」
"何故ならば豊満な体型なほど縄が映えるからである!"
「なるほど。最初の縛られると繋がってたっすか。くっころ女騎士の道も深いっす……」

"最初から完堕ちは駄目。徐々に堕ちていくのがプロのくっころ女騎士である"
 ふと、持ち込んだ同人誌が脳裏をよぎった。その名も『触装騎士麻衣媚薬に堕つ』!
 戦闘開始から1秒で自滅する麻衣を主人公とした、即堕ち2コマ漫画アンソロジーである。
「そうっすね……最初からノリノリでは駄目っすよね……」

 なんとなく同人的なお約束を学び始めている麻衣であった。
 反省点をふまえたアンソロジーの新刊が出るのは、そう遠い未来ではない……かもしれない。

 麻衣が《女騎士》から《すこしへっちなくっころ女騎士》に進化した頃、紫月とチャロロはというと――。
「今だよ!!」
「花と散らしてえぇんよね?」
 互いの持ち味を理解しあい、見事な連携で瀕死の教科書を増やしていた。名乗り口上でチャロロが気を引き、紫月が妖刀『不知火』をもって教科書達を斬り刻む。舞い散る紙きれは桜吹雪の如く辺りに散り、地面に落ちる前にㇲッと虚空に解けていく。
「斬ってもすぐに復元されるんだね」
「代わりに動かなくなるみたいやし、不滅とは違うみたいやけどねぇ」
 何にせよ、書の品質を気遣わずに思う存分刃を奮えるのは喜ばしい。落ちた本のひとつを拾い上げ、紫月は表紙を軽く指でなぞった。
「"からおけ"で高得点を出す教科書……?」
 歌の参考になる教科書であれば読んでみたいという気持ちはあった。活字に目を落とし読みはじめた紫月につられ、チャロロもまた何を読もうか、捕まえた中から選びはじめる。
「ふむふむ『本当に泣ける国語の教科書』『やけにせちがらい社会の教科書』『とにかく長い名前の生物図鑑』『ぱんつ』」

……ぱんつ!?

「……へぇ」
「やっぱりなんだか視線が冷たいけど違うよ! たまたま捕まえただけだから!」
 とは言ってみたものの、何が記されているかは気になるところだ。
 "ぱんつの製法とその歴史"に、"サバイバル時における、ぱんつ修繕法"。その他諸々、イメージとはまた違った真面目な文字と図説が並ぶ。
「かしこさの高い教科書だ……」
 次からは個体値も気にしようと固く誓う彼だったが、遠くから聞こえた悲鳴で現実に引き戻される。
「大丈夫っスか?」
「麻衣こそ怪我しとらんよねぇ?」
 集まった3人は無傷。とすれが考えられるのは……。

「どなたかー! 助けてほしいですのーーっ!!」
 駆け付けた先は学園のプール。ばしゃばしゃ! と水しぶきを上げて水面を引きずられるように泳ぐノリアが、目をぐるぐるさせながら叫んでいる。口にキラリと光っているのはどう見ても釣り糸で、先を辿れば騒ぎの犯人がリールを巻いているのが見れた。
「ノリアさんが教科書にGETされそう!?」
 前代未聞の状況にチャロロが思わず大声で叫ぶ。『釣りの教科書』恐るべし。
 余談ではあるが餌はお菓子を使われたようで、釣り竿を引く教科書の傍らにはマシュマロの詰まった袋が転がっていた。

「折角だから試してみよかぁ」
 カラオケの教科書で紫月が学んだ事はひとつ。ビブラートを多く含むほど、採点で加点に繋がる事だ。
 最初は力強くこぶしを入れ、終わるにつれて震わせて。儚さの滲む歌声にほんの一瞬『釣りの教科書』の意識がこちらへ逸れた。
「隙あり、ですのっ!」
 反撃のチャンスに便乗してノリアが放った水鉄砲は、こうか抜群!
 弱った所を麻衣がすかさずボールを投げて捕まえた。
「教科書GETっす!」
 今度は皆の前であのキメポーズを披露したが、その心の内はだくだくと冷や汗をかいていた。
(助かったっす~! もうそろそろ報告の時間なのに、女騎士の教科書だけではまずいっすからね……)

 こうしてアルバイトは大成功! いろんな教科書をキョーキド教授に提出し、満足の一言をもらった4人は、迎えの境界案内人が来るまでの間、読書で時間を潰す事にした。
(面白い教科書は持って帰れないのかな、そこが残念だなあ……)
 チャロロは純粋に本を読むのが好きだった。大変ではあったものの、捕まえた本のひとつひとつに愛着も沸いてきている。
 それを悟ってかノリアは優しく笑いかけた。
「また読みに来ましょうですの!」
 そう、ここは<PPP学園>。知識を求める者には等しく、その門戸が開かれている。
 また訪れれば読めるのだ。いつか再び、運命が巡るなら――。

成否

成功

状態異常

なし

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