PandoraPartyProject

シナリオ詳細

lose one's sanity

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●ばくん
 その世界はとても、とても、小さかった。人々は常に穏やかで、元気に時を辿っていた。それは『ばくん』のオカゲで、世界は素晴らしく正気だった。男曰く『ばくん』は人々の歪みを正すらしい。女曰く『ばくん』は人々の狂気を滅ぼすらしい。老人曰く『ばくん』は人々の感情を負から遠退けるらしい。子供曰く『ばくん』は人々の【のう】を治すらしい。いや。直すと書くべきだろう――そして。世界曰く『ばくん』は常に空腹らしい。
 世界の中心で『ばくん』は笑う。笑いを浮かべながら飢餓感に蝕まれている。何故か。世界の『歪』『狂気』を食べ尽くしたからだ。早くしないと『ばくん』の理性が壊れてしまう。『ばくん』と称された存在は『正気を失う』と――総ての【のう】を食べてしまう。人々が嘆いた――神様『ばくん』が苦しみから解放される時、私達も同じものに成るのだ。ばくん・ばくん・ばく……獏ン。

●優しい怪物
「そうね。私も時々狂いそうになるけれど、あなた達は如何かしら」
 『境界案内人』こすもがイレギュラーズに声を掛ける。その表情は難しく。宇宙のような色が歪んで見えた。
「今回の物語は『全ての人間が狂気から解き放たれた』世界よ。その世界の核とも言える『ばくん』が総ての狂気を食べてしまったらしいの。それでね。狂気しか食べられない『ばくん』は、今、気が触れそうになるほど空腹なのよ」
 案内人が自分のお腹を擦る。
「それで。イレギュラーズたるあなた達に『狂気のお裾分け』をしてほしいの。『ばくん』が飢餓感で発狂したら世界が崩壊するからね。ええ。問題はないわ。何せ――あなた達は何処かしら『歪んで』いる、もの(イレギュラー)なのだから」
 物語が開かれる。

NMコメント

 にゃあらです。
 狂気を食べる怪物に歪みをあげましょう。
 語るもよし。実際に見せるのもよし。思い返すのもよし。
 ばくんは総てを咀嚼する筈です。

 サンプルプレイング
 狂気を喰らう存在。誰にでも優しい怪物。
 俺の狂気は抑え難い殺しへの渇望だ。
 銃を構え、怪物に迫る。
 さあ、俺の狂気、喰らい尽くしてみせるんだな。

  • lose one's sanity完了
  • NM名にゃあら
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2019年12月06日 22時25分
  • 参加人数4/4人
  • 相談4日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

梔子(p3p002050)
絲斬
赤羽・大地(p3p004151)
彼岸と此岸の魔術師
庚(p3p007370)
宙狐
橄欖・オリヴィン・ペリドット(p3p007519)
エキストラ

リプレイ

●針宣忘
 餓えて渇いて仕方が無いなら、それを忘れて終えば好い。『絲斬』梔子(p3p002050)のパッツン髪がさらさらと真っ白へと堕ちていく。狂気ですって。狂気。凶器のような美貌が怪物を覗き込む。わたしちゃんはそういうの大好きなのだわ。煌めく眸に映るのは真実か嘘か。生れ落ちての錯乱か。狂気(そういうもの)として扱われてしまえば、アッと吐く間に正常は死に絶える。否、掻っ攫われる。だって、だって、わたしちゃんは嚥下(ごっくん)したのだから。兎に角。わたしちゃんの命について聞いてくださる? ばくんがバクンと頷いた――昔、昔のお話。
 とある山麓付近。其処に『よくある』村が在りました。現実世界(社会)から閉鎖された其処にはたくさんの民が在りました。黒い髪に青色の瞳、妖艶なる夜の宝石(獣)達の遠吠え。真ん丸いお月様が見守って、素敵な物語は始まるのです。ええ、それが物語の登場人物で、ばくんの存在に垂らされた幕。ある日、其処に、底に生れ落ちたのが。堕ちたような白に赤。在り得ない。在ってはならない、醜くておぞましい色彩の娘でした――これは何だ。これは何だ。これは『憑き物』だ――一族の者が『もの』を忌避し、唾棄すべく座敷牢へと叩き込む。ああ。なんて可哀想な娘! 神様の寵愛すら得られなかったと嘆く母。詰められ、落とされ、閉じ込められて、最初の贈り物すら剥奪された! 名前すらも受け取れず、世界と呼ばれる閉鎖空間にも出られない少女よ。憐れ! されど遭われにも噺は。狂気的な話は終わらない。終われない。少女はそうした家族に×××し、××し、××を――糸が切れそうだ。ああ……これ以上は覚えていない。記憶していない。罪の果実が汁を蓄えているから!
 なんたって、少女は健忘症でした。人を殺そうが詰まろうが呪おうが。何もかもが針の先端。ぶすりと刺せばバイバイに決まっている。見たくはないもの、聞きたくないもの、知りたくないもの。総てを丸めて纏めて『ごっくん』したならば、痛みも過ぎれば忘れるものだ。だから……わたしちゃんは狂気も正気も忘れてしまったわ。今話したことはわたしちゃんは『今』忘れてしまったのだわ――そんな大口を開けて、ばくんされた今だって『今』忘れたわ。次の噺は何だろうか。じゃあ、次は××を××した話なんてどうかしらん! 狂気とは【繰り返す】ものだろう。
 命について聞いてくださる? ああ、けど、わたしちゃんったら。最後の最期には全部が全部、忘我の永久に違いない。あら? 今、なんの話を――ば く ん。

●むしがはむ
 狂気の無い世界に 『ホンノムシ』赤羽・大地(p3p004151)が涌き立った。それは素晴らしい空間で、ばくんと呼ばれる優しい怪物に『支配』されたとも解せるだろう。人々の情熱・一心不乱に何かに打ち込む。執着と刻まれる脳髄の神秘に、刃(メス)を入れ込むとは奇怪だが。そういう感情すらも咀嚼されて終った可能性の云々。兎角。哲学的な戯れは本を閉じてから、充分な時間と戦わせよう。まァ、問題は帰ってから、【赤羽・大地】として思考すれば好いのだ――此処で頭を冷やす。それは俺達にも必要不可欠な事柄で、水槽の中を漂うよりは比較的『真面』な答え合わせだ。ばくんの首だと思われる部位が傾いた。座して、語れ。本を食むように。反に蝕むように。
 俺は再び、この首の落ちる日が来る事を。殺される時が来る事を恐れている。縁を切る時は何方かが『斬れる』時だ。運命は残酷なまでに物語(ドラマ)を期待する。今でも冷たい『刃』の感触が、首の『ここ』に残っているのだ。晒して暴いて捌かれる、真実まで何時迄待てば好い。それを思い出すのは簡単だ。何せ、触れるだけで気が沸騰し、魔物のような貌が脳裡に浮かぶ。この身体が終われバ、次の生は無イ――肉も魂も『死ネバ』何もかも、消えて滅んで、栞すらも挟めないだろう。それでも。赤羽と大地は生き延びたいのだ。首を繋げ直す力は混沌の底(はじまり)に置き去った。死にたくない。死ニタクナイ。しにたくない。まだ、未だ。生きていたい。生キテ、活きたいのだ。生命としての異常な『生』への執着が、狂おしいほどに満ち溢れていく。例え他の誰を食い物にしてモ、何人の屍を踏んづけてモ。敵に破られ、この存在が殺戮されてモ。世界が救われようが、滅びようが【生きていれば】問題はない。泥水でも汚物でも、啜って生き残れるならば上等だ。自分の命以上ニ、尊いと思える命ガ、俺にはあり得なイ――差し出せるならば他者の命も使って魅せる。刺して、生を続ける事が可能ならば、幾等でも味方を貫いてやろウ。けど、イレギュラーの中にもルールはある。故に『この思い』は表に出せない。人格の裏側に隠さねば成らない。群衆に溶け込んで、普通を演じなければ生き残れないのだ。食べてくれ。こんな、僅かに『ありがち』な狂気でイイならば――ドウセ、何が起きても、生への感情は涌き上がるのだから。ば く ん。

●光の螺旋階段は何が起きても、全く一筋の感情だ
 はてさて。『宙狐』庚(p3p007370) は演じる術を知らない。きぐるいとは。気が触れた人間の真似事とは到底『演じる』事柄ではない。されど個人的な脳髄(しこう)で狂気を解く事は可能だ。気が触れる輪郭(サマ)とは即ち、集中力を異常なまでに維持する事。ひとつの感情、概念だけに身を任せ、その事だけに身を任せてこそ――本当の『狂気』と呼べるだろう。決して理性を手放した『人間』を示す、言の葉では無いのだ。冷静に判断し、その一個に総てを注ぎ込む。此れが至極真っ当な餌食に違いない。故に。カノエは、カノエは可愛いと言いましょう。自己愛に。永久なる愛に。愛情に浸り、溺れ、他の『もの』を一筋の光に導くのだ。
 改めて。ばくんが目玉を輝かせ、カノエの可愛いを傾聴する。だからカノエは可愛いんですよ、ばくん様。たとえカノエが他のものを可愛いと形容しようと、たとえカノエが総てを可愛いと認識しようと、たとえカノエがカノエを可愛いと説いても、カノエは可愛いのですよ。ほら。カノエは可愛いですよね? ばくんがバクンと鳴いたが、それでもカノエは可愛いに決まっている。あ。SNSやっているなら可愛いカノエに棲家を教えてください。そうすれば可愛いカノエの可愛いおにくをたくさん稲荷ずしがあってもカノエは可愛いですね。カノエの狂気を喰らおうと覚えておいてください。カノエは可愛いんです。実はカノエは朝ごはんはお米よりもパンはなので、珈琲にはたっぷりと可愛いカノエを注いで混ぜて、可愛いカノエと一緒に楽しんでください。それでもカノエは可愛いですね。カノエにたくさん話しかけてください。崩れないバベルがなくとも、カノエへの褒め言葉はわかります。幾つの戒を忘れても可愛いカノエを忘れないでくださいね。そうそう。早々に言いますが最近寒くなってきましたがカノエは可愛い。可愛いカノエに可愛いと言うのはばくん様の義務です。カノエが可愛いという事実は絶対普遍永劫のものですので、残念ながらそのかわゆさが尽きることは無いのです。兎に角月が綺麗でもカノエは可愛いので、目玉を回さずに可愛いと告げてくださいカノエは可愛い。この三角のお耳ともふもふゆらゆらの緑の燐火に揺れる被毛を触ってもよろしいのですよ。カノエはとても可愛いので、愛でる事は可愛いへの螺旋階段で、カノエは可愛いのです。だから。カノエは可愛いんです。せーの。カノエは可愛い。か わ い い の で す。

●たべられた
 特異運命座標――そんなふうに皆は拍手するけれど、それは何千もの人の群れの一個体で、存在しているちっぽけな埃に過ぎない。風が吹けば消えて逝き、紙面に『一言』残される程度だ。私はただのその他大勢<エキストラ>。今まで、怪物(ばくん)が食べた狂気は幾※にも及ぶ。何を咀嚼し、嚥下し、取り込んだのか。怪物自身にも理解出来ないだろう。どの狂気が誰のものかなんて関係ないんでしょう? 私が『エキストラ』橄欖・オリヴィン・ペリドット(p3p007519)なんて事は無意味で、何処にでも転がっている石ころ(精神)に過ぎないのでしょう。どんな人生を歩んだか、訊ねも聴きもしないで、執着だけを貪るなんて【どんなに人間らしい】羨ましい『在り方』か――取り敢えず。空も飛べず、海にも潜れない、何の変哲もない人間種。それが私で、その他大勢(エキストラ)の薄れ切った輪郭だ。影も光も無く、ただ、何でも出来るだけの『埋め合わせ』の言の葉。真っ白な紙にただ一言「特筆すべき点なし」とだけ書かれる気持ち――君にも貴方にも貴女にも、誰にも、理解出来る筈がない。理解出来たら、それは此処に『存在すべきではない』その他大勢(エキストラ)だ。頭脳。容姿。肉体。歌声。演奏。絵筆。執筆。足の速さ。力の強さ。器用さ。他諸々。何もかもが中途半端に『成立』してしまった者に、待っているのはつまらない終い。誰かの一番。特別なんてのは一生、やってこないのだ。努力し、到達した場所は、既に誰かの『足跡』塗れ。そうして振り返れば、誰かが私の頭上を、嘲笑するかの如く飛び越えて往く――私は物語でのエキストラ。
 諦めと当たり前の朦朧に挟まれて、絡まれて、ぐるりと何者かを眺める物体。配役のない、居ても居なくても変わらない、ただそこにあるだけの存在。君……『ばくん』を名付けられた神のような【登場人物】とは正反対の場所に存在するもの。私は橄欖。観覧。視るだけ。観るだけ。みるだけの――緑色の眼をした怪物。喰えるものなら。喰い尽くしてごらんなさいよ。
 ばくんの動きが停止した。この目の前の『存在』は、もしや、既に『食べられて』在るのでは。違う。気付きが問題なのだ。【おもい】は確かに気が触れて――ば く ん。

 獏ンにあげました。

成否

成功

状態異常

なし

PAGETOPPAGEBOTTOM