シナリオ詳細
<青海のバッカニア>海だ! 水着だ! 海賊退治だ!!
オープニング
●
晩秋、蒼天の十一月。
緩やかに低くなりつつある正午の陽光はあまりに眩しく。
さながら宝石箱をひっくり返したような絢爛が南海を飾っている。
実に二十二年ぶりに発布された海洋王国大号令は、新天地への渇望を国中に漲らせていた。
大事の前の小事とは良く行った物で、近海の掃討が精力的に開始されている。
それは違法な海賊共を震え上がらせている――とは限らない。
「取り舵二十! 砲門を開け!」
「アイアイサー!」
厳めしいカルバリン砲が、まばゆい陽光を反射する。
無数の煌めきに、商船のクルー達は肝を大いに冷やしたに違いない。
「撃てーー!!」
腹の底に響く砲音が聞こえた時にはもう遅い。
土手腹に打ち込まれたカラベルラティーナ船が大きく揺らめく。
操舵手は甲板に二度も叩き付けられながら、船のバランスを維持しようと懸命だ
水夫達は慌ただしく走り回り、船舶の補修と排水に精を出すが――最早、間に合わない。
船長は苦渋の決断の末、小島へ乗り付けることを決断した。
積み込んだ織物は、どう足掻いても失う訳には行かないものだ。
船を得る為の努力。長すぎる航海。多くの船員達の未来、その全てが掛かっている。
ぎりぎりの停泊だった。
もう航海は出来そうにない。
臓腑を煮えくり返したまま、船長はフリントロックカットラスに手をかける。
この船出のために、いくらの私財を投じたと言うのか。どれほどの租税を納めたと言うのか。
海賊船が迫る。
誰しもが覚悟した。
●
「……綺麗な海」
甲板の上で『冒険者』アルテナ・フォルテ(p3n000007)が嘆息した。
イレギュラーズは海洋王国から、多数の近海掃討依頼を受けている。
この案件もその一つだった。
内容は海洋東部の島々を騒がせている違法海賊船の討伐である。
ターゲットは『青シャポーの』ベルギオン一味と云う典型的な海賊だ。
「あれかな?」
双眼鏡をのぞき込むアルテナが、遠く水平線上に浮かぶ島――そこに停泊する麦粒のような船を発見したようだ。
ドクロを象った旗を掲げた船が一隻。それからもう一隻、傾いだ船が横付けされている。
「ありゃ、やられてますな」
マストの網からするすると降りてきた水夫の一人が、そう言いながらイレギュラーズに皮肉気な笑みを溢す。
かなりの航行速度ではある筈だが、大海原のただなかで、じりじりと迫る目的地は余りに歯がゆい。
「急ぎやしょうぜ」
「わーってら。ヨーソロー!」
「「ヨーソロー!!」」
早く。速く。疾く。
「面舵十五度!」
目的地が見えながら、船長は大きく回り込む事を選択した。
「行かないの!?」
「慌てなすんなって。撃たれちまいますよ」
なるほど。こちらが気づいているということは、あちらにも間違いなく見張りが立っている。
検敵に関しては同条件ということだ。
船長に諫められたアルテナは、落ち着かない様子で剣の柄に触れながら海の向こうを睨んでいた。
ゆるやかに弧を描きながら、ターゲットが徐々に大きくなってくる。近づいている。
誰かが言った。
もう準備はいいよな。
- <青海のバッカニア>海だ! 水着だ! 海賊退治だ!!完了
- GM名pipi
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2019年12月06日 22時25分
- 参加人数8/8人
- 相談7日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(8人)
リプレイ
●
「少しだけ時期の遅い水着祭り、私がプロデュースさせていただきます」
――――『ファンドマネージャ』新田 寛治(p3p005073)
Presented by
PPP, Ltd
――
――――
陽光に煌めく白い砂浜へ、波は穏やかに寄せ返す。
一匹の蟹がつまみあげた海藻を浚った。
単子葉植物は大きく葉を広げ、太陽の恵みを目一杯に浴びている。
この日イレギュラーズは海賊の討伐、出来ることなら生け捕りという依頼にあたっていた。
ラサの商家で育った『剣砕きの』ラダ・ジグリ(p3p000271)の脳裏にふと過ぎるのは、その向き合い方であった。
依頼は時に顧客が『言葉にしない要求』が存在するからだ。
それを如何に汲むか、気をつけるか。良き商人への道は険しく――はっくしょん!
幻想と比較すれば相応に穏やかな気候と言えるが、初冬の島はそれでも肌寒い。
――小麦色のしなやかな肢体は健康的に引き締まっていながら、女性らしく美しいラインを描いている。
一方でその身を守るべき布地はあまりに心許なく、陽光のハレーションに飛んでしまうのではないかと思えるほど儚い。
凜とした瞳に彩られた幾分かあどけなさを残す顔立ちと相まって、ラダの艶やかさが際立つ水着姿である――
斯様な装いであるならば。
「ははは。さむい」
邪魔だからとパレオなど付けてはいなかったのだが、まさか防寒の問題が起きようとは。
「どうしてこんな事になったんだろう」
心ない「水着だと戦闘しやすい」等というクライアントの言葉に「寒い寒いさーむーいー!」と抵抗はしてみた。
雰囲気に流されてしまったのだろうか。『どうしてこうなった』スティア・エイル・ヴァークライト(p3p001034)はぷるぷると震えた。
「寒いよ……!」
せめてもの抵抗としてパーカータイプのラッシュガードを羽織ったのだが。
両肘を抱えるようにして肌寒さに耐えるスティアは、深雪のように美しく深い谷と丘を強調させてしまっている。あと、それでも寒い!
一方、鉄腕の指先でエプロン型のパレオをつまむ『堅牢なる楯-Servitor of steel-』アルム・シュタール(p3p004375)は、涼しげな表情を崩さない。
背の小さな、けれどすらりとした手足。メイドのエプロンドレスを模した水着は、この渚でも優美な所作を微塵にも損なわず、彼女の素晴らしいプロポーションをこそ強く印象づける。
胸元のフリルに隠された豊かな胸元は、美しくもどこか泰然とした表情は大人の女性の色香を漂わせている。
口元のチャームポイント(ほくろ)が、そのクールでミステリアスな艶やかさを、これでもかと引き立たせていた。
種族柄(かこくたいせい)、多少の寒さは問題ないという所もあるのだが。
仕事であれば承るというのが、メイドというものなのだ。
とはいえ、寒さに関してアルムはともかく、他の面々にはつらい所もある。
手早く済ませて、温かい物でも振る舞いたい所だ。
「海洋の大願、大号令の最中に略奪とは情けない話です」
ぼやく『夢に一途な』フロウ・リバー(p3p000709)の言葉通り、海洋王国では実に二十余年ぶりとなる大事業が始まったばかりだ。
この依頼もそれに伴う近海掃討の任、つまり海賊退治なのである。
海洋に生まれ育ったフロウは、海賊自体を否定している訳ではない。だがやり方にも倫理、海賊なりの掟というものがあるのだ。
ともあれフロウは平素身に纏う長いローブを脱ぎ、その美しい肢体を余すこと無くさらけ出していた。
白いワンピース型の水着から、こぼれんばかりの瑞々しい果実を両腕に抱えフロウは立ち止まる。
ヤシの向こうに人影が見える。おそらく海賊だ。
●
「海賊……」
南海に浮かぶ未知の島というのは、なんだか夢があるものだが。『わからせ美少女』シエラ・バレスティ(p3p000604)は溜息一つ。
ちゃんと綺麗にせねばなるまい。決意を瞳に宿す、勝ち気な笑顔で。
「海賊さぁ~ん!」
「ん? ……なんだ?」
数人が振り向いた。
「私とぉ、いい事シナイ……?」
シエラの挑発に、海賊の一人が鼻血を吹いて倒れた。予想外――否、当然の結果だ。
シエラはトレードマークの可愛らしい帽子を、今日は髪飾りのように煌めくハートのサングラスに代えている。
大粒の愛らしい瞳はその面持ちに幼さを残し、すらりとしなやかな肢体と瑞々しい肌、女性らしいメリハリとの絶妙なバランスが可愛らしくも美しい。
風のように軽快かつパワフルな剣捌きを得手とするシエラは、普段の戦闘装束も身軽な装いである。
だからフリルスタイルのビキニは、むしろ美しく豊かな胸のラインを隠してさえいる。
そんなシエラに向かい、残る海賊が鼻の下を伸ばして迫る。
剣を上段に構えたシエラの、そのフリルの下から豊かな双丘の張りのあるラインがちらりと覗き――海賊の一人が目をハート型にして吹き飛んだ。
「振ってもいないんだけどなぁ……」
「な、なんだなんだ?」
海賊達が続々とやってくる。
「なんだあ、てめえら!」
「ワタクシ、メイドでございまス」
裾をつまみ、アルムは優美に腰を折る。
「あラ、こんなに綺麗な宝があると言うのに」
穏やかな陽光を浴びて、フリルに隠れた谷間が覗き。
「奪わないのハ 海賊の名折れではありませんカ?」
ちらりと垣間見える――脚。海賊共の視線が一斉に釘付けとなる。
その余りに優美なプロポーションは、神聖にして不可侵。今のアルムはまさに女神と呼ぶに相応しい。
視界の中心に広がる不滅の美に、数名の海賊が吹き飛んだ。
イレギュラーズ一行は、名乗り口上で敵を引きつけ、一網打尽にする作戦を立てていた――その筈だった。
「ウフフ、たーくさん来てマスねぇ♪」
蠱惑的な『不運な幸運』村昌 美弥妃(p3p005148)の声音に、海賊達は背筋を震わせる。
「もーっと来てくれてもいいんデスけれどぉ……?」
ほっそりと白い肢体を可愛らしく飾る薄桃色のフリルに、透ける濃色のビキニが映える。
艶めかしい唇。少女らしさと妖艶を兼ね備える悪運の申し子は、口元に指を添え挑発的に小首を傾げた。
美弥妃のとめどない色香に、胸を撃ち抜かれた海賊が吹き飛び、吹き出す鼻血が大空に赤い弧を描く。
艶やかに咲き誇る花がふわりと香るように、放たれた聖なる光が海賊達を次々になぎ倒した。
「では、打ち合わせ通りに」
「う……うん、まかせて」
「新田様? アルテナ様もレディですシ、扱いの方はくれぐれもお手柔らかニ」
アルテナを案じたアルムが念を押す。
「承りました」
ならば最高のプロデュースで応えるまで。
依頼にプロデュースを織り込んだ寛治は、この日特にアルテナパートに力を籠めていた。以後寛治は本当にほぼほぼ描写されない故、安心されたい。
明るい色の髪色が陽光に溶け、瑞々しい肌を飾る桃色のビキニは、こぼれ落ちそうな瑞々しい果実を頼りなく守っている。
隷従の首輪グリムルートをつけた『冒険者』アルテナ・フォルテ(p3n000007)はカラコn――ハイライトの消えた瞳で細剣を抜き放った。
駆け、跳躍。勢いにたゆむ果実は震え、しなやかな腕の先――切り裂く剣の律動に大きく跳ねる。
そもビキニは戦闘に適した装いではない。
躍動によるずれと乱れは瑞々しい素肌の面積を更に拡大させ、海賊は地に倒れ伏した。
「貴女の勇気は忘れないっ!」
そんなアルテナへ遠い視線を送ったスティアは、可憐な目元に嫋やかな指を添え、敬礼した。
この後、自身がどんな目に合うとも知らぬままに――
いやほんとうに、どうしてこうなった!
スティア等一行は、索敵しながら島を駆けている。
カメラ(???)は儚げで可憐なスティアの面持ちと、豊かな感情表現の相反性を捕らえて放さない。
陽光はスティアのラッシュガードの裾から時折覗く、くっきりとしたメリハリと、中心にひっそりと佇む可愛らしいおへそを暴き立て。
差し出す指先に乗る煌めきが羽ばたき、舞い踊る光の蝶と、輝く粒子を纏うスティアの美しい肢体がイレギュラーズを癒やす。
もうなんだか状況自体、寛治が諸悪の根源で仕組まれたのではないかとすら思えてしまうが。
さすがに「考えすぎ」とスティアは思えど、根源はともかく今の状況は間違いなく仕組まれてはいるのではなかろうか。
ああ、なぜだろうか。だが――
額に手の甲を当てた『流麗の翼』レイヴン・ミスト・ポルードイ(p3p000066)は、端正な表情を曇らせた微かな迷いを断ち切った。
こう、天の声と言うかなんというかが『彼女達をもっと輝かせろ』と囁いていたから。
「そら、レットカーペットとはいかんが道を作るとしよう」
こんな状況ではあるが、相手は歴とした海賊。極大の術式を編んだレイヴンは、満ちる魔力を一気に解放した。
光の奔流は木々をなぎ払い、ひげ面のおっさん達が白い光の中で掻き消え、どさりと倒れる。
とはいえ、とりあえず今年新調した水着をローブの下に着込んでいるレイヴン。
一応、一応だが。
果たして需要は――
「小娘共の水着なんざ、アタシにゃ通用しな……」
ぇ……やだ、尊い……。
――レイヴンの涼やかな視線に射貫かれ、女海賊が浜に膝を付く。
「おい、待ってくれたまえ」
華麗で端正な美貌の下、その身はたしかに長衣に覆われていようとも――心の目はごまかせない。
好きだったのだ。イケメンが。
それもすらりとした細身が、けれどしなやかな筋肉を乗せたその胸が、肢体が。
「お、おい、あの綺麗な兄ちゃん……」
「待ってくれ」
「あの服の中、意外と引き締まって」
「ワタシはそういうつもりではないんだ、というかやめろ」
最後に残った『男海賊』が倒れる。
「おい!」
「続けて、アタシは朽ちた椰子の実よ、背景よ。いいから続けなさい」
「断る!」
度重なる想定外。だが着ちゃったもんはしょうがない。海賊がレイヴンの尊さに吹き飛んだ。
良いではないか。情報精度Aにはマイナスが付与されているのだから。
●
目的の船が見え、一行はのたりのたりと緩やかに寄せ返す波間で海賊共と対峙していた。
義手義足にアイパッチのひげ面。典型的な海賊船長が一歩前へ歩み出た。
「てめーら、この俺様が――」
省略を許されたい。
こうして激突が始まった。
「私から行くねっ」
駆けだしたアルテナは太ももに絡みついたパレオの結び目に手をかけた。
迫る海賊はカットラスを上段に振り上げ、アルテナは解いたパレオを打ち付け敵の視界をそらす。
あらわになった太ももの柔肌を守るものは、最早ローライズのビキニのみだが――アルテナは上段へ脚を伸ばし、海賊の頸部を蹴りつける。
一人は倒れたが新手だ。
数合切り結び、迫る切っ先を間一髪でかわしたアルテナの髪が数本風に乗り、止まらぬ刃は彼女の肩紐を切り裂いた。
はらりと舞う桃色の布。秘められた果実に――陽光が差し込む。
あわてて片腕で胸を覆うアルテナは、次々に繰り出される斬撃をかろうじて避け、剣でいなしながら、暴れる果実の扱いにその表情を歪ませる。
だが――このPPP.Ltdプロデュースに攻撃力はストップ高だ。
術式――詠唱。長く美しい青髪を風がさらい。
生真面目そうに凜としたフロウの瞳が空と海の青さを宿す。大気を灼く放電は、その魔力が解き放たれるのを待ち望んでいる。
術印を描く銀色のタクト、そっと添えられた細く美しい指先。その動きは美しい肢体に纏う清楚なワンピースまで伝わり、包まれた魅惑の果実を揺らして。
刹那、フロウの雷撃が敵陣を劈いた。
無用な死は避けるつもりだが、手加減が出来る相手でもない。
荒れ狂う雷光の連鎖、その制御。タクトから伝わる魔力の反動圧に形の良い胸元が歪み、幾度か跳ねる。
「どんどん行きましょう――!」
裏方を決め込んだレイヴンは、怜悧な視線で戦場を俯瞰する。
狙いは敵による不意打ちを止めること。とは言えやることは魔砲と射角移動の連続であり。
或いはこれは、ステージ照明のような役柄やもしれぬ。
「砲を出せ!」
イレギュラーズの猛攻に、海賊共は決死の反撃を試みようとしている。
「あラ――そんなものでワタクシを止められるとでモ?」
あくまで優美を失わぬアルムへ、大砲が牙を剥く。
「るせー! 撃てー!」
轟音。砂浜に水柱が立ち、砂が舞い。
「――っな!?」
鉄腕の先、その手の内にアルムは水着の肌面積を大いに広げ、こぶし大の鉄球を握りしめていた。
ほつれ所々焼け落ちた水着は、けれども一点の曇りもない麗しい肌を殊更に引立てたに過ぎない。
「な、ありえねえっ!?」
「ええ、メイドですのデ」
アンティークな大口径。ラダのSchadenfreudeが火を噴く。
非殺傷のマンストッピングと云えど、その高い技量――なにより水着姿に裏打ちされた一撃は瞬く間のうちに海賊を打ち倒す。
ラダはすぐさま構えをとき、戦況を把握する。
敵は決して弱くはない。戦闘中に水着のことなど気にしている余裕はないが。
ラダは自身の背のほうへ、細い腰からつっと指を下へと這わせた。
美しい丘陵を覆う白い布地。いまにもほつれそうな心許ない結び目を慎重に避けて、その指をそっと差し入た。
ほんの僅かな乱れを正し、ラダは再び長銃を構える。
(……生きるうえで――無意味な知識が増えてしまった)
戦うと、ズレるのだ。
「今何月だと思ってるの!」
十二月です……。
あまりに理不尽な仕打ちを可憐な乙女は許さない。
「うわーんっ!!」
八つ当たりを決め込んだスティアは、瞬く光蝶を引き連れ波間を歩く。
一歩一歩進むたびに、ラッシュガードにさえ守り得ぬ豊かな谷、両側の丘がふるりと揺れる。
乙女を浚おうと足先を擽る小波に立つ、ほっそりとした両足。その付け根は布地の向こうへ隠され――冴えた陽光は透かせることが出来か。
「大丈夫? ボケっとしてると死んじゃうよ~?」
風雷を纏う両剣を大上段に構え、シエラが宣言する。
放たれるのはバレスティ流メイン剣術。その絶大な破壊は海賊共を竦ませ――
だが何よりも目を引くのは、戦場たる波打ちを縦横に駆ける彼女の可憐な姿にこそあろう。
風になびく豊かな髪と、ふわりとした軌跡を描く豊かな尾。付け根を飾る可愛らしいリボン。
跳躍――細く引き締まった腰の下を覆うパレオがふわりと揺れ、細い身体から張り出す魅惑の丘陵は――けれど陽の光が遮って。
本心はとどめをさしたい所でもあるが。
放たれた斬撃に海賊が倒れ、剣を払ったシエラの瑞々しい果実が揺れた。
「寒くもないのに、どうして震えているのデスかぁ?」
艶やかな声音に怒りを乗せて、美弥妃が楚々と歩き出す。
香り立つほどの色香を纏い、波打ちを一歩、また一歩と進んで行く。
時折吹く風と足元を揺らす波に、白く滑らかな脚がちらりと覗き――
「ゆ、ゆゆゆ、ゆるしてくれ、なんでもするから」
滑らかな指先が、震える海賊船長の襟首を掴み上げた。
「許すもなにも。ウ、ウフフ……任務を遂行しているだけデスよぉ」
「ヒ、ヒィイイ!」
「別に暖かそうだなぁという嫉妬心ではないデスよぉ?」
その上着を剥ぎ取った。
「君らも海賊である以上、いつかはこうなると分かっていただろう」
「勘弁してくだせえよ、旦那ぁ」
泣き言を聞いてやる義理もないが。
「ひょっとして旦那、ポルードイの」
「聞かんよ」
レイヴン達が縄で縛り上げていく。
「ま、最期の相手が身目麗しい美女たちだった幸運に感謝しつつ、法の裁きを受けるがよい」
「そんなあ……」
時に『ふともも派』のレイヴンが、今日、目にしたものは正直に告白すべきではなかろうか。後で、寛治あたりに。
そんな訳で。
救助した商船から炭をもらい、壺に浜の砂を詰め、諸悪のk――寛治は即席の火鉢を作った。Pの役目だ。
不審げな視線を送る(真相にたどり着いてしまった)スティアであったが、暖は嬉しい。
「それではお召し上がりくださイ」
アルムが容易したのは、暖かなブイヤベースと味噌スープである。
「冷えた身体も芯から暖まりますヨ?」
再び真新しいメイド水着を纏って、アルムはあくまで優雅に仲間達へとスープを手渡す。
「ありがとー!」
瞳を輝かせたスティアが、アラ汁に口を付ける。魚介の旨味がぎっしりと溶け込んだスープが身体の内からぽかぽかに暖めてくれる。
「喜んで頂きマスぅ」
美弥妃は先ほど奪った、海軍風の衣装に髑髏の意匠を施した、存外に豪奢な上着を羽織っているが、寒い物は寒い。
新鮮な近海魚の身をつつけば、アラと云えどほろほろに崩れ落ちる身がぎっしり残っている。あたたかく素朴な味わいだ。
エビに貝、それからお魚をたっぷりと。香り高いサフランで煮込んだ暖かなスープにラダは舌鼓を打った。
「うん、暖まる」
礼を述べ、もう一口。射手は大きく動かない故、中々身体が温まらないのだ。
早く帰って風呂に入りたいところだが、致し方在るまい。
仕方ない。仕方ないのだが、次からはどこまで顧客の要望を聞くか、もう少し考えたい!
「ああアルテナ、魚の餌にしときたい奴がいたら手伝うぞ」
「うん……ありがと……けどラダさん、それ沢山いるの」
タオルを羽織り、首輪とカラコンを外したアルテナは、目のハイライトが消えていた――
成否
成功
MVP
状態異常
なし
あとがき
依頼お疲れ様でした。
MVPは依頼の真相を見抜いた(でっちあげた)方へ。
称号色々出てます。
それではまた皆様のご参加を心待ちにしております。pipiでした。
GMコメント
pipiです。
海賊退治だぜ。
●目的
海賊一味の討伐。
ぶん殴ってふん縛ってやりましょう。
生死不問ですが、捕縛が最良です。
明るく楽しくやってやりましょう。
●ロケーション
イレギュラーズ一行は小島に上陸しました。
海賊船までは、多少の距離があります。
方角などは分かっていますので、林をつっきって海賊船に向かいましょう。
敵もこちらに気づいています。
遭遇戦の後に本戦です。
●敵 一度目
林の中で遭遇します。
相手は血が上っています。
上手くやれば不意打ちも考えられるでしょう。
『海賊』×6
カットラスやピストルで武装しています。
さして強くありませんので、とにかくぶん殴ってやりましょう。
HPやAPの消耗には注意が必要です。
●敵 二度目
海賊船の近くで戦闘です。
あんまり色々考えなくても、とにかく敵が出てきて戦闘になります。
そこは重要じゃないんだ!
『海賊船長』
義手義足にアイパッチのひげ面です。
カットラスやピストルで武装しています。
難易度相応に強いですが、こっちも勢いでぶん殴ってやりましょう。
『海賊』×10
カットラスやピストルで武装しています。
能力は上に同じ。
●極めて重要かつシリアスなシナリオ独自ルール
この依頼で以下の条件を全て満たした場合、PCの戦闘能力が向上します。有利になります。
理由はロジカルかつシンプルで、水辺における諸々の動作を軽快に行うためにあります。
他意はありません。
ない。ないから。ないからな!
・本戦は海辺です。繰り返しますが海辺です。
・女性(あるいはそれっぽい)キャラクターが水着を装着すると有利です。イラストでの主張でも、プレイングによる主張でも構いません。
・その魅惑的な肢体を余すことなく誇示する。こちらもイラストでの主張でも、プレイングによる主張でも構いません。
・頼む! 頼むぞ!!
・だって『海』だよ!?
●情報精度
このシナリオの情報精度はA-です。
想定外の事態は絶対に起こりません。
きっとね!
●重要な備考
<青海のバッカニア>ではイレギュラーズ個人毎に特別な『海洋王国事業貢献値』をカウントします。
この貢献値は参加関連シナリオの結果、キャラクターの活躍等により変動し、高い数字を持つキャラクターは外洋進出時に役割を受ける場合がある、優先シナリオが設定される可能性がある等、特別な結果を受ける可能性があります。『海洋王国事業貢献値』の状況は特設ページで公開されます。
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