シナリオ詳細
<青海のバッカニア>アザラシ海兵隊船上合同訓練
オープニング
●『失ったイカは戻ってこない』――ゼニガタ大佐
ざぶん、ざざん。無限に続くような波の音がする。
大海原に船を浮かべ、耳が麻痺するほど波のぶつかる中にいても、まるで水底で踊るイカたちが声を届けんとするかのように、遠い過去から忘れ物を届けに来るかのように、波音は自分を追ってきた。
「あれから……どれだけの月日がたったのだろう、な」
低く、よく通る声。
大佐は。
アームストロング砲を背負ったアザラシはつぶらなひとみをキュッと閉じた。
思い出すのは遠き過去に燃える暖炉の火。
ガラスの皿に乗った食べかけのあたりめとウィスキーボトル。その先に歪んで見える子アザラシの愕然とする表情。取り返せない過去に……海洋海軍遠征艦隊所属サイクロンジェットアザラシ号艦長ゼニガタ大佐は首を振る。
彼の後ろに、一人のアシカが立った。
「大佐、まだ克服できませんか……」
ホタルイカのアヒージョとイカスミパスタを大皿に盛って立ったままムッシャムッシャ食いまくるアシカ副長が、頬をリスみたく膨らませて言った。
「じゃあ大佐のイカ寿司食べときますね!」
「ふんぬ!」
後方へ素早く回頭したアームストロング砲がアシカ副長を吹き飛ばす。
「構わん。俺は気にしてなどいない」
「気にしてない人の砲撃じゃないですねそれ」
吹き飛んだはずが、しれっと戻ってくるアシカ副長。
「艦長、もういいじゃないですか。息子さん、帰ってくるんでしょう?」
「俺のもとにじゃあ、ない。女王陛下の大号令をうけ、怪物退治の依頼を受けに来るにすぎん。俺と口を聞いてくれるか、すら……」
悲しみの瞳で空を見上げるゼニガタ大佐。
青空に浮かんだガトリングアザラシの笑顔が、遠い。
●お前の手で舟を漕げ
ネオフロンティア海洋王国イザベラ女王による外洋遠征宣言、通称『大号令』が発令されたのはついこの間のこと。
実に二十二年ぶりというこの大騒動に海洋じゅうはもとより各国が注目を示していた。
「『絶望の青』の先は前人未到の領域。新天地の発見は我々海洋の民すべての希望であり悲願なのだ。
だが、ただ船をこいで地図の端を目指せばよいというわけではない。
近海にすむモンスターや海賊どもの掃討や領海侵犯を犯す他国船の排除。そして兵員の増強や訓練。
ありとあらゆる準備をしてもなお、達成困難な課題なのだ。
よって我々は魔種を幾度となく倒し各国に名を轟かせるローレット・イレギュラーズに合同訓練を依頼することにした。
諸君らネオフロンティア海兵諸君は教科書どおりの戦いを一度忘れ、グローバルに戦う者たちの戦い方をその目、その耳、その髭に焼き付けてほしい。
そして諸君らローレット・イレギュラーズは、我々海兵の勇猛な戦いをその身で学び、今後の戦いへと役立ててほしい。
手加減だの経費だのケチくさいことは言わん。命以外なら何を傷つけても構わん!
徹底的にぶつかり、己を鍛えるのだ!」
ネオフロンティア海軍より直接の依頼を受けたローレット・イレギュラーズは、港で演説を行うゼニガタ大佐を見上げていた。
これよりイレギュラーズはゼニガタ大佐の選抜した海兵隊12名+αと実戦訓練を行うことになっている。
様々な海種たちが整列する中で、イレギュラーズにひとりのアシカが語りかけてきた。
「やあ、あなたが噂の……。今回の訓練には実戦慣れしていないひよっこ連中を中心に三隻の小型船で出撃させる予定です。
努力と根性と気合なら一人前の連中ですからね。ちょっくらもんでやってください。
あー……でも、あの、なんだかですねえ、自軍の指揮はとらなきゃいけないって言い出して、あの、大佐がメンバーに入ってるもんで……」
スッと差し出した名簿には、12人のひよっこ海兵隊の筆頭にでかい文字で『ゼニガタ・D・デルモンテ!』と書かれていた。エクスクラメーションつきで。
「まあ、なんだ……我軍の伝説ともいわれるゼニガタ大佐とガチでやりあえる機会なんてそうないですからね。ぜひ全力で突っ込んでいってくださいよ。きっとあの人もそれを望んでいるはずですから、ね」
- <青海のバッカニア>アザラシ海兵隊船上合同訓練完了
- GM名黒筆墨汁
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2019年11月25日 22時20分
- 参加人数8/8人
- 相談7日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(8人)
リプレイ
●クラッカーを打ち鳴らせ
蒸気煙突から煙が吹き上がり、汽笛が空を駆け巡る。
観客席にならぶアザラシやオットセイやアシカたちがオウオウいいながら手をたたきビールサーバーを担いだ売り子がビールとスルメをうり歩く。
港には三隻の軍用小型艦とローレットの小型船がそれぞれ並び、桟橋の先には見物人たちが手を振っている。
「軍事演習って聞いたけど、もうちょっとしたお祭りだね」
貸し出された小型船の上。
手すりに腰掛けた『雷雀』ティスル ティル(p3p006151)は眼下の子供たちに手を振りかえした。
「私だって1年以上頑張ってきたし、たぶん訓練相手にはなれるはず!
地元の兵隊さん相手にどこまでやれるか気になるし、気合入れていくよー!」
「はい!」
振り返りぐっとガッツポーズをとってみせるティスルに、つるされた『砂竜すら魅了するモノ』ベーク・シー・ドリーム(p3p000209)がゆーっくり反転してこちらをむいた。
「僕が得意なのは水中戦闘なんですが、そういう意味でも海上での戦闘訓練はタメになりますよね。ここはひとつ、全力でやらせていただきましょう! あとこの網おろしてもらっていいですかね!」
「『ダークネス号』、出港!!」
アンカーをあげ、『悪の秘密結社『XXX』総統』ダークネス クイーン(p3p002874)は『XXX』のエンブレムが刻まれた黄金の舵を握りしめた。
黒塗りに『XXX』のエンブレムがばっちりはいった船が港を飛び出し、腕組みするダークネスクイーン船首像が風を切って突き進む。
「ネオフロンティア海洋王国の海軍たちとの訓練か……そうそうたる顔ぶれであるな!」
カッと集中線つきで振り返ると、横をミサイルオットセイ軍曹の船『ミサイルオットセイ号』が併走していた。余談だがオットセイ軍曹は異名で、本名はアレクセイ・パトリオットらしい。
オットセイ軍曹やアシカ兵長たちがキリッとした顔でこちらにサムズアップしてくる。
突っ込んだら負けなんだろうな、と思いつつ、ダークネスクイーンはシリアス顔を維持した。
「ネオフロンティアの海軍とやらがイカほどのモノか! 我自ら試してくれよう!」
「愉快な外見に油断をする……などということは、ありえませんね」
柱に背をつけ、刀を抱いた姿勢でおっとりと微笑む彼岸会 無量(p3p007169)。
しかし張り付いた笑みを崩さぬまま、目の奥からギラギラとした修羅の輝きを漏らした。
「今回のオーダーは『実戦経験』……なれば、一度死線を経験させるのがよいでしょう。こちらも経験不足な水上戦を体験できて、Win-Winというやつですね」
「果たしてそれはWin-Winなのだろうか?」
「ところで」
輪切りにされるオットセイを想像してげっそりするダークネスクイーン。その後ろで無量が刀をなでた。
「海種であれば船はいらないのでは」
「我らも歩けるからといって馬車が不要になるまい」
「なるほど道理」
てんてろてんてんてんてろてろてろ――。
賑やかな音楽とイルミネーションによって飾られた『大いなる者』デイジー・リトルリトル・クラーク(p3p000370)の船こと豪華旅船『ビッグドリーム号』。
この船さえあれば無敵なのじゃーといいながらデイジーはなんか禍々しい大砲に自分の壺をセットしていた。
ソファに腰掛け、足を組む『光鱗の姫』イリス・アトラクトス(p3p000883)。
「なるほど、絶望の青に漕ぎ出す前にやれるだけの事はやっておきたいと……。
海軍の人との模擬戦とかいい経験になりそうだし大歓迎よね」
イリスにグラスを突き出された『蒼海守護』ココロ=Bliss=Solitude(p3p000323)が、それを受け取ってぐいっと中身を飲み干した。
「訓練だといえども手を抜かないっていう姿勢を見せるのが大事なのです。
わたしも実は本格派ヒーラーにスタイルを変えて初の戦闘。徹底的にぶつかり、己を鍛えるのです!」
「うおー! やるぜー!」
高いところに上った『海のヒーロー』ワモン・C・デルモンテ(p3p007195)が空に向けてガトリングを乱射しまくっていた。
「まさかとーちゃん相手にせんとー訓練ってのをすることになるなんて思ってもなかったぜ!
オイラのせーちょーっぷりってのをとーちゃんにしっかりみせつけねーとな!」
カッと振り向き、アームストロングアザラシ号を見やる。
こちらをなんかすげーシリアスな目で見てくるゼニガタ大佐。
「ワモ――」
「とーちゃーん! やるからにはまけねーからなー!」
「えっ」
「えっ」
お互いがお互いを三秒ほど見つめた後、二人は首をかくんとひねった。
「ん?」
●ぶつかり合う船と船
両陣営が配置につき、空にあがる花火とともに走り出す。
距離にして100メートル先のミサイルオットセイ号に狙いをつけるダークネスクイーン。
ほぼ飾りの舵中央にあるエンブレムに手をかざすと、魔術ウィンドウが開き敵船めがけて照準マーカーが合わさっていく。
「無量戦闘員。いけるな?」
「戦闘員になった記憶はありませんが、はい」
「よかろう!」
目測距離が50メートルをきったところで、ダークネス号はスクリュー回転を加速。
「我こそは悪の秘密結社『XXX』が総統!ダークネスクイーンである!
此度の演習、我がお相手仕る! ネオフロンティアの猛者達よ! 恐れずして挑むが良い!」
赤黒く半透明なドクロマークスイッチが出現。ダークネスクイーンは拳を引き絞り、スイッチを思い切り殴りつけた。
「目標補足! エネルギー充填120%! 主砲! 世界征服砲、発射!」
船上部に出現した仮想大砲から極太のオーラビームが放たれる。
「ひるむな! ウナギミサイル一斉発射!」
ミサイルオットセイ軍曹とペンギン兵長たちは担いだミサイルランチャーから一斉にミサイルを撃ち出し、ウナギののたくったような軌道を描いてダークネス号へと殺到していく。
あがる煙。
「やったか!」
と、誰かが言った途端、彼らの頭上に無量の姿があった。
「土足にて失礼仕ります」
「な、いつのまに!?」
「空を走ったというのか!?」
驚くミサイルオットセイめがけ、垂直落下。
相手の体を無量の刀――『朱呑童子斬』が貫いていく。
「ぐ、おお……」
「おっと、殺しはしません。ですが、死ぬ思いはしてもらいます」
突き刺した刀をねじる無量。
周囲の兵士たちが一斉に彼女へ銃を向ける――が、その直後にダークネス号がミサイルオットセイ号に激突した。
「さあ、白兵戦である! ネオフロンティア海軍のワザマエ、見せて貰おう!」
向かい風に帆を立てて、ティスルは縄ばしごを駆け上がった。
「私たちの担当はファイヤーセイウチ軍曹のファイヤーセイウチ号だよ! ベーク、頑張ろうね!」
ピッと二本指を立てるティスル。
網につるされたベーク。
「……あの、僕ってもしかしてずっとこのままじゃないですよね?」
「まさか!」
ティスルは網をぶら下げているロープを剣で切ると、自分は翼を広げて飛び立った。
「え、あれ!?」
ひゅるると落ちるベーク。
お皿にぽふんと着地するベーク。
そのまま猛スピードで(操縦者不在のまま)突っ込む船。
「あれえ!?」
「いくよファイヤーセイウチ軍曹!」
ティスルは一度高度をとると、まるで流星のごとく斜めにファイヤーセイウチ号へと突撃。
迎撃のために放たれた火炎放射をらせん飛行で突き抜けると、自らを砲弾にして相手の甲板を蹴りつけた。
衝撃が波紋のように広がり、周囲の兵士たちが一斉に吹き飛んでいく。
「ぐおお!? なんという突撃!」
「空母戦術ですな!?」
「それだけじゃないよ! ……ベーク!」
「えっ」
ずごんと激突する船。
衝撃でベークの乗っていたお皿にかけていたフックが外れ、テコとバネの力でベークが投石機よろしくすっとんでいく。
「ああああああああああああああああああ!?」
「飛んで火に入るスカイウェザー! このファイヤーセイウチ小隊の集中砲火でへぶっし!?」
起き上がったセイウチ軍曹の側頭部にベーク(巨大鯛焼き)が甘い匂いをさせながら激突した。
「おのれー! だれだー! 船におやつを放り込んだやつは!」
「僕"は"食"料"じ"ゃ"な"い"で"す"!"!"」
ぎゃおーんと叫んで立ち上がるベーク。
はじけるあんこのかおり。キュアベーク。
巨大なアザラシみてーな船体がまっすぐに迫る。
ゼニガタ大佐の武勲をたたえて建造されたというこのアームストロングアザラシ号は海軍の希望の象徴であり、迫る巨大アザラシの圧は思ったよりずっとヤバかった(わざと語彙を少なくしています)。
「そっちがその気なら、こっちも全力でいきましょう……!」
ココロは大きなホタテ貝を取り出すと、てやーといってフリスビーぽくぶん投げた。
ひゅんひゅん回転しながらアームストロングアザラシ号へと投げ込まれる貝。
「え、なんだこれ」
船員のイルカ伍長がそれを見下ろした途端、貝がパカッと開いておどろおどろしい歌が流れ始めた。
歌っていうか、水死体になるともうパンパンやでみたいなハナシとか海の底に沈んだらめっちゃ怖いみたいなハナシが貝から響き、イルカ伍長たちは途端にパニックを起こした。
お互いに首をしめあって『もうやだー』って言い出すイルカ伍長とマンタ伍長。
そんな二人へゼニガタ大佐は振り向き。
「活ッ!!」
「「へぶし!?」」
ひれで一人ずつビンタしていった。
「いいか……人はいずれ死ぬ。抱く誇りで、死の価値は変わる」
「大佐!!」
一方なんとなく話が聞こえていたココロ。
「ゼニガタ大佐がどう収拾つけさせるか見ものだと思ってたけど……だいぶ軍人なのね」
当然といえば当然なのだが、あの見た目なので意外な気もした。
さておき。
「敵の砲撃がくるのじゃ! 弾幕をはって防御を固めるのじゃー!」
デイジーが操縦席脇のレバーをガッと引くと、備え付けの大砲から『蝕む赤き月』と『誘う青き月』の魔術砲撃がばらまかれていく。
敵の砲撃を相殺するというよりは、敵が砲撃自体をできないようにするための弾幕である。
が、そんな中でもゼニガタ大佐はアームストロング砲をこちらにぴったりとセットし……。
「煉獄カツオ玉――ファイヤ!!」
爆裂するカツオが次々と打ち込まれる。
立ち塞がる海賊たちを次々と討ち滅ぼしたという伝説の砲撃だ。
「まかせて!」
イリスはワモンとココロを守るように立ち塞がると、三叉槍をくるくると回転させてカツオを防御。
残る一本を相手に向けてはじき返した。
「防ぎきったか!」
「バッチリ!」
爆発の煙。……の中から、片膝と槍を突くイリスが現れた。
「……のつもりだったんだけど、私の防御をクリティカルに抜いてきたみたい。防ぎきれなかった」
「さ、さすがとーちゃんだぜ……」
「イリス、まずは傷の回復をしなきゃ!」
ココロがホタテ貝の傷薬ケースを開き、イリスの傷口に軟膏を塗っていく。
「ダメージはかさむけど体力はもつはず。私もどんどん回復していくから、この調子で防御を固めて」
「でもってオイラは反撃だ! 今のオイラの全力をとーちゃんに見せつけるんだぜ!」
ワモンのガトリングガンがうなりをあげ、ガトリングMADACO弾が発射される。
空を無数のカツオとマダコが交差し、幾たびもの爆発を引き起こしていく。
●勇猛果敢
「トゥ!」
世界征服砲発射スイッチのエンブレムを取り外し、自らの腕に装着するダークネスクイーン。
ワイヤーフックによって船へ次々に乗り込んできたペンギン海兵隊がマスケット銃を構えるも、ダークネスクイーンは突き出した両腕から世界征服砲を乱射。
「敵が巨大な破壊力をもっていたらどうする! さあ、ひるまず立ち向かえるのか! 海兵たちよ!」
一方で無量は船に残ったミサイルオットセイのオットセイクラッシュをうけ、船の手すりにたたきつけられていた。
「なんという強引な戦法……教科書にまるでない」
「そうでしょう。あなた方は『国防』という目的のため『戦闘』という手段をとっている。非常にまっとうで、正常なことです。
ですが世の中には……『戦闘』という手段のために目的を選ばない者がいるのです。そう、私のように」
「くっ……!」
迫る無量の猛攻。血を流しながらも必死の反撃にでるミサイルオットセイ軍曹。
一方でベーク(巨大鯛焼き)がめっちゃ火にあぶられていた。
「うわーーーーーー! こげる! こげるー!」
「鯛焼きを焦がすのはもったいないが、ここは沈んでいただく!」
「僕は食料じゃない!!」
カッ! て目を見開き集中線を飛ばすベーク。
焼けば焼くほど甘い香りがするもんで、ファイヤーセイウチ軍曹たちは一生懸命になってベークをあぶり焼きにしていくが……。
「隙あり!」
ティスルの必殺迅雷脚がファイヤーセイウチ軍曹の頬に直撃。
背負った火炎放射器ごと吹き飛んでいった。
「へぶう!? しまったこっちを忘れていた!」
「相手を見だして飛び回る! これが海の踊り子の戦い方じゃおらー!」
セイウチ軍曹の前に足を止め、連続キックをたたき込んでいくティスル。
その一方では、一度すれ違ったアームストロングアザラシ号とビッグドリーム号がお互いにターン。
今度は急加速をかけてお互いに衝突するコースをとった。
「再び弾幕じゃー!」
デイジーの砲撃が次々とアームストロングアザラシ号へと浴びせられるが、その一方でカツオ玉が次々とビッグドリーム号へ着弾。
爆発の煙を上げていく。
「やった! 直撃だ!」
ほぼほぼ瀕死(?)のイルカ伍長がガッツポーズをとった……が、ゼニガタ大佐は目を鋭くして後方反転。
「否、後ろだ!」
「今更気づいても遅い!」
アームストロングアザラシ号に乗り込んでいたイリスが後方からイルカ伍長やマンタ伍長を殴り飛ばす。
デイジーの船が直撃を受けたのはあくまで囮のため。煙に紛れ海に飛び込んでいたイリスたちは海中を回り込んで後方からの奇襲をしかけたのだ。
「そこです!」
ココロは咄嗟にマスケット銃を構えたマンタ伍長たちめがけて再びのディスペアー・ブルー。
投げつけた貝から爆発するエネルギーが、それまでデイジーの蓄積したエネルギーと連鎖爆発を起こして彼らを吹き飛ばしていく。
が、それでも倒せないものがある。
そう。
伝説の海兵。
ゼニガタ・D・デルモンテ大佐である!
自らを砲弾として、きりもみ回転をかけながら突撃するワモン。
「一人だとかなわねーけど、今のオイラには頼もしい仲間もいるからな! くらえとーちゃん!」
「来い、息子よ!」
ゼニガタ大佐もまた自らにアザラシパワーをまとい、きりもみ回転によって突撃する。
「アシカクラッシャーアタック!! うおおおお! オイラは! アシカじゃ! ねえええええ!」
「トドクラッシャーアタック!! ぬおおお! 俺はトドでは! ない!」
真正面から激突するアザラシパワーとアザラシパワー。
暴風が船体を揺らし、ココロたちは思わず目を覆った。
そして……。
●いつか戦いの場へ
ぼろぼろになったオットセイ軍曹やセイウチ軍曹たち。
そんな中で一人だけピンピンしているゼニガタ大佐に、ワモンはサッと手を出した。
「流石とーちゃんだぜ……オイラも強くなったと思ってたけどまだまだとーちゃんの強さには届いてねーな!
だけどよ! オイラはもっともっと強くなっていつかはとーちゃんのような立派なアザラシになってみせるからな!
そのためにもこれからもローレットで頑張ってくるぜ!」
「う、うむ!」
がしりと手を握るゼニガタ大佐。
その後ろでアシカ副長があたりめ食いながらつぶやいた。
「イカの話はどうなったんですかね」
成否
成功
MVP
なし
状態異常
なし
あとがき
――mission complete!
――軍事演習に参加したことでイレギュラーズたちに貢献点が付与されました
GMコメント
●重要な備考
<青海のバッカニア>ではイレギュラーズ個人毎に特別な『海洋王国事業貢献値』をカウントします。
この貢献値は参加関連シナリオの結果、キャラクターの活躍等により変動し、高い数字を持つキャラクターは外洋進出時に役割を受ける場合がある、優先シナリオが設定される可能性がある等、特別な結果を受ける可能性があります。『海洋王国事業貢献値』の状況は特設ページで公開されます。
■依頼目的と流れ
これからネオフロンティア海軍の兵隊たちと三隻VS三隻での船上戦闘訓練を行います。
海軍側は三隻。皆さんにも三隻レンタルできますが、自前の船があるならぜひ投入しておきましょう。なぜなら格好いいからです。
なお、勝ち負けは関係ありません。あえて相手の良さを引き出し戦闘に負けてあげることで海兵隊に経験を積ませてあげるなんてスタイルもアリでしょう。もちろん全力でぶっこんで倒してしまっても構いません。
経験すること自体が目的であり、それができれば成功です。
なお、戦闘においてHPをゼロにしても死なずに撤退するものとします。(攻撃手段が限られてもいけないので、今回は不殺は使わなくてよいものとします)
■海軍チーム
●ミサイルオットセイ軍曹率いる船。
5人組の構成
遠距離戦闘が得意で砲撃で制圧しつつ船を近づけての格闘戦で殲滅しきるスタイル。
●ファイヤーセイウチ軍曹率いる船
5人組の構成
近距離戦闘に秀で、火炎放射やしびれ爆弾の攻撃で敵の動きを鈍らせ、船ごとぶつけ乗り込んで叩き潰すというスタイル。
●アームストロングアザラシ大佐(ゼニガタ)率いる船
ゼニガタ+2人の構成。
大佐がとにかく強え。
アームストロング砲から放つ煉獄カツオ玉は距離を選ばぬ無敵のカツオ。
国営海軍の大佐になれるくらいには強いので、そのつもりでぶつかっていこう。
二人の部下はそれをフォローするように動きます。
■■■アドリブ度■■■
ロールプレイをよりお楽しみいただくため、リプレイにはキャラクターのアドリブ描写を用いることがございます。
プレイングやステータスシートに『アドリブ歓迎』『アドリブなし』といった形でお書きくだされば、度合いに応じて対応いたします。ぜひぜひご利用ください。
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