PandoraPartyProject

シナリオ詳細

隠れ集落での祭り

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 ジャングルの奥地、むせかえるような暑さと不快指数をあげていく湿度の中、草を編み住居として使う。原始時代のような生活を続けている部族がいた。部族全体を通して好奇心旺盛であるが、集落の掟に従い旅はせず、常に人口を一定に保ち続けて集落を存続させていた。
 そんな部族が信仰しているのは稀人と呼ばれる神様である。最近、空からやってきた神様であったが好奇心旺盛な部族は快くその神様を迎え入れた。呪文のような言葉を話し、自分たちには治せない傷や病気を治す薬を持っている。魔法の粉をまけば痩せこけた土地も実りのある土地に変えてくれる。こんな素晴らしい神様であれば祭りを用意しなければ失礼というものである。

「稀人様、稀人様、今日はうれしい知らせを持ってきました。あなたのために祭りを開くことになりました。稀人様の好きなフルーツをたくさん取っておきますね。稀人様は肉はお嫌いのようですがせっかくの祭りですからこちらも用意させていただきます」
「●●●● ●●●」
 真っ白な髭を蓄えた老人が稀人と呼ばれる人に話しかけている。老人は呪文のような言葉は未だによくわからないがボディーランゲージというものは便利なものでこれでなんとなく伝わってくれる。痛いところを抑えてみたりすれば薬をくれる、手招きすればついてきてくれるのである。助けてもらった分、こちらも食べ物をお供えしているのである。
 しかし、今日は稀人発信でボディーランゲージが始まった。
「どうしたのですかな? うん、これは稀人様の翼ではございませんか、何か不思議な模様が……上? 木の上? 拡げる?」
 稀人と同じジェスチャーをすることでなんとなく、意図を読み取っていく。どうやら稀人様はこれを木の上に大きく拡げてほしいと言っているようである。稀人様も翼を太陽に当てたいということだろうか? それならばいつもお世話になっている稀人様のためだ。やってみようと老人はこくこくとうなずいて見せる。それをみて稀人も安心したように笑うのだった。


「はぁい、みんなどうも。男と女の境界っっっ案内人のヒルダよ。今回はみんなにお祭りに行ってほしいのよ。ジャングルの奥地なんだけれど、とれたてのフルーツとか動物の丸焼きとかいろんなものが食べられるわ。アルコール度数も低いけれどお酒もあるみたいよ。もちろん、お酒は年齢のわかるハタチ以上の子だけだからね」
 未開のジャングルの奥地ということで出てくる食べ物はワイルドなものが多いのだが、その分新鮮さは保証されている。
「あとね、あなたたちは稀人って扱いで神様のように色々もてなされると思うの。褐色のかわいい女の子や褐色のかわいショタっ子やイケメンももちろんいるわよ! ハーレム気分を味わうのもいいんじゃないかしら」
 いつも以上にハイテンションで元気に説明をするヒルダ。イレギュラーズ達はまだ肝心なことを聞けていない。
「……そうそう、夜が明ければ帰ってこれるから楽しんで……くることもできるっちゃできるんだけどね。そうよね。聞きたいわよね」
 はぁとため息をついてから本をめくる。
「先にお邪魔している稀人がいるわよ。その人はそのお祭りの日に大きな布を拡げて木の上に置いといてほしいってお願いしているみたいね……そこに書いてある不思議な模様なんだけれど、偶然なのかしらね。私たちが使っている言語と全く同じものだったわ」
 ヒルダがその布に書かれている言葉を正確に写し取りイレギュラーズに見せる。そこには『ここに野蛮な集落あり、モンローは生きている。増援を要請する』とかかれていた。

NMコメント

崩れないバベルって素敵

どうも、あなたのパンツと鼠蹊部です。

以下補足になります。

目的:お祭りに参加する。夜明けまでいると自動的に帰ることができます。

人物
リーモニ:集落の長をしている存在。たっぷりのお髭を蓄えており、それなりの年齢。何か頼みごとをするのであれば聞いてくれるとは思うが、ほかの稀人の意見も尊重したいと思っている。

モンロー:食べ物をもらうために集落の役に立って来ていた。主食はフルーツであり動物はほとんど食べない。人間に似た種族である。故郷に帰りたいと願っている。故郷での発言力は強い。

集落の人たち
イレギュラーズたちにとても好意的に接してくれます。特に言葉の通じる稀人は初めての体験でしょう。総勢30人ほどの集落で老若男女様々です。物覚えがよく教えたことを自分たちの文化に取り込んでいくでしょう。

世界
人間に似たフルーツを主食に食べる種族がその世界の支配者です。自分たち以外に文化を持つ生命体はいないと信じて疑っておりませんが、人工衛星に見慣れない人のようなものが映ったことで事態は一変し……モンロー飛行士に調査を依頼した。

どんな結末になるのか楽しみにしております。

  • 隠れ集落での祭り完了
  • NM名パンツと鼠蹊部
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2019年11月25日 22時20分
  • 参加人数4/4人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

チャロロ・コレシピ・アシタ(p3p000188)
炎の守護者
ナイン(p3p002239)
特異運命座標
ンクルス・クー(p3p007660)
山吹の孫娘
中野 麻衣(p3p007753)
秒速の女騎士

リプレイ


 イレギュラーズ達は集落からほんの少しだけ離れた場所に召喚された。獣道のような道を歩きついた集落。集落の人たちがやってきたイレギュラーズ達に気が付いて寄ってくる。
「稀人様だ! 新しい稀人様が来てくだすったぞ!」
「はじめまして、オイラはチャロロっていうよ。あなたたちと……先に来ている稀人さんがもっと気持ちを伝えられるようにしたくてここにやってきたんだ」
 『魔動機仕掛けの好奇心』チャロロ・コレシピ・アシタ(p3p000188)の発言に集落の人たちが固まる。顔を見合わせ、改めてイレギュラーズ達に向き直る。
「しゃべったぁ!」
 集落の人たちが驚きの声をあげた。小さな集落である。その声はすぐにあたりに響き渡り、テントのような小さな家から続々と人が出てきて新しい稀人様の到着を心から喜んでいる様子である。その中から青年がイレギュラーズ達の前に現れて身振り手振りを交えながら挨拶をしてから稀人の家という場所に案内してくれるという旨を伝えてくれた。
「まあ、歓迎されるのは幸いではあります」
 道すがら少女にもらったバナナに似たフルーツを見よう見まねで剥きながら『特異運命座標』ナイン(p3p002239) は歓迎の家に向かう。
「ティーパーティーをしたいんっすけど、ここって牛とかいるっすか?」
「てぃーぱーてぃー?」
「牛? 牛ってあれのことかな? 稀人様! 一緒に来て!」
 ティーパーティーをするべく計画を立てていた『自称騎士見習い』中野 麻衣(p3p007753) は集落の子供たちに連れられていずこかへ向かっていく。チャロロは少し迷ってから子供たちの後を追う。
「よかったのかな?」
 半分拉致のように連れ去られた麻衣とそれを追っていったチャロロを心配そうに見送った『敬虔なる徒』ンクルス・クー(p3p007660) であった。


 稀人の家は集落の一番奥に建てられており、ほかの家に比べると大きく豪華なつくりをしていた。向かう途中にいったい何人とあいさつをしたのかわからない。挨拶をするたびに驚かれ、同時にとても喜ばれていた。稀人が来てくださった、今度は何を教えてくれるのだろうと話し声も聞こえてくる。
「つきました、ここでおくつろぎください。すぐに長も参りますので」
 青年は一言告げると走って長を呼びに行く。稀人の家につくと難しい顔をしている男が自分の鞄を守るように抱えて座っているのが見える。集落の人とは明らかに違う衣装でナインとンクルスの2人は一目でモンローだとわかった。2人は簡単にモンローに対して自己紹介を済ませたところで本題を切り出す。
「『ここに野蛮な集落あり』……『増援を要請する』……あんまり好意的な言葉には思えないかな? あの言葉を書いた理由を教えてほしいかな」
「あぁ、あの布を見たのか……あいつら信じられないことに動物の肉を食うんだ。なんかかわいい小さい動物とか……俺もいつか食われちまうんじゃないかって怖くてな。俺は役に立つんだぞってアピールしまくったもんだ。それももうすぐ終わるがな」
 モンローは会話ができる人が現れたことに心底安堵したような表情を見せる。それを静かな表情で見つめるンクルス。ンクルスの問にモンローが答える。モンローは会話できなかった鬱憤やストレスをぶつけるように話し始める。不安や恐怖、常に見張られているなどの愚痴。それは言葉が通じないからこそ起こる勘違いや疑心暗鬼の類であった。
「お待たせ致しました。私がこの集落の長のリーモニです。新しい稀人様! 歓迎いたします」
「うぎゃあ!? きた!? い、今追っ払うからちょっと待っててくれ」
 一通り話し終えるとリーモニが稀人の家に到着する。モンローが体を大きく動かしてジェスチャーを始めようとするのをナインがそっと止める。
「リーモニさん、聞きたいことがあります。モン……この稀人が故郷に帰りたいとしたら帰っても大丈夫ですか?」
「それはもちろん。はっ!? ひょっとしてあなた方がお迎えに来られたということでしょうか? それなら今回のお祭りはお別れ会という形になりますか」
「あ、いえ、それは大丈夫です。というわけで、モンローに聞きたいんですが、増援が来たらどうするつもりですか? 因みに帰りたいなら帰っていいとこの人は言ってますが」
「え? いや、そ、そうなのか?」
 モンローの頭の上に疑問符が浮かんでいる。どういうことなのかとンクルスの方を見る。
「うん、それに……ふふ。とっても感謝してたし慕われてたよ。神様扱いかな? 今回のお祭りも貴方の為みたいだよ」
「おぉ、シスター……いや、シスターだよな? これが神の奇跡ってやつなのか、言葉が通じるなんて……それに俺が神様だって? それに祭り?」
 勘違い、疑心暗鬼がナインとシスター・ンクルスの通訳によって少しずつ解きほぐされていく。


 祭りの準備が進んでいく。麻衣は牛っぽい生き物から乳しぼり体験をしていたり、チャロロは水がたくさん必要になるだろうからと川までの水汲みへ。その間に集落の人との会話でジェスチャーのみでの交流では言いたいことのほとんどが伝わっていないだろうと感じていた。
 そして、夕方。祭りが始まる。
 祭りの主役はもちろん稀人達である。モンローやイレギュラーズを中心に人が集まり大変にぎやかである。もちろん大きなキャンプファイヤーなども準備されていた。
「あなたたちに教えたいことがあるんだ。文字……ってわかるかな?」
 大きな明かりのそばでチャロロは黒板とチョークを準備してチャロロのそばに集まってくれた人に聞いてみる。しかし、集落の人は頭をかしげるばかりでわからない様子である。その時、丁度チャロロのために焼かれた肉が持ってこられた。黒板にモンローの手で肉と書いてこれはこれだよと印象付けて。
「モンローさん、お願いしてもいいかな?」
「これは肉。肉だ」
 モンローの言葉でしっかりと伝える。周りの人たちからにく、にくぅと様々なイントネーションで言葉が発せられていく。文字と同時に読み方と意味も教える。地道であるが大きな一歩を踏み出しつつある。その様子を見ながら運ばれてきたおいしそうな肉を食べようとしてチャロロは止まる。
「モンローさん、ここの人が肉を食べるのってどう思ってるんだろ?」
「野蛮だ。肉を食べることについては正直好きになれそうにはない」
「あなたたちから見たら野蛮で残虐なことかもしれないけどここの人からしたら生きるために必要なことだと思うよ」
「生きるためにか……理屈や理由はわかる。ただ、俺たちの国にはまだ早い。少し考える時間が欲しい。そうだ、俺のことは気にするな。食べちまってくれ」
 促されてチャロロは分厚いステーキを頬張った。
 少し離れたところ、十分な光がある所でナインが持参していた教育に使える本を拡げていた。その周りを少年少女が囲っている。時折、少女がブドウに似たフルーツを摘み取ってナインに食べさせたりと大歓迎を受けている。
「どうして、お婆さんの耳はそんなに大きいの? それはね、お前のかわいい声を聴くためさ」
「面白い話だな。お前さん所の童話かい?」
「来てくれましたか。さぁ、楽しいお勉強の時間ですよ皆さん。今の物語を今度は稀人の口の言葉で話してくれますからね」
 お互いの文字がない状況では文字を教えあうというのは出来ないが、同じ物語を共有するということはできる。ナインが持って来ていた教科書は文字を覚える、読み書きするという点で大きく役に立っていた。


「お菓子を作るっすよー! スコーンでいいっすか?」
 野性味あふれる肉の匂い、フレッシュな果物の匂いが溢れる祭りの会場。その中でそのどちらでもない甘い香りを漂わせている一角があった。代用品が多かったが何とかお祭りまでにスコーンを作る材料を集め形になったお菓子を子どもや女性と一緒に生産している麻衣。麻衣の教え方は非常に上手くみんなで作ったスコーンは祭りの目玉の一つになっていた。
「お姉ちゃん、こんな感じで大丈夫?」
「お見事っす! シェイクお疲れさまっすよ」
 麻衣は集落の人たちからお姉ちゃんと呼ばれるほどに打ち解けていた。クロデッドクリームの作り方も伝授完了しており、たっぷりの量が用意できた。しかし、ティーパーティーの主役が用意できていない。
「紅茶は濃く入れるっす!濃いのを薄めるのは簡単っすよ。でも薄いのを濃くするのは無理っすー!」
 たっぷりの茶葉に適温のお湯。集落の人たちからすれば初めての上品な香りにうっとりと目を細めている。この香りを再現するためにと集落の人は麻衣の一挙手一投足を見逃すことなくしっかりとみている。ポットの温度も自ら手で触って熱がりながらも勉強していく。
「堅苦しいのは苦手なので楽しくやるっすよ!」
「いただきます!」
 ここにはナイフもスプーンもフォークがない。もちろんイギリス式なんてあるわけがない。皆でわいわい騒ぎながら楽しいティーパーティーがあるのみである。
 出来立てのスコーンといれたての紅茶を味わう子供たち、それをせわしなく稀人達に運んでいく女性たち。麻衣の心残りはジャムがなかったことであるが……
「麻衣様、稀人様からこちらをいただいたのですが、これはいったいなんでしょうか?」
「それジャムっすよ!!」
 久しぶりの紅茶とスコーンのお礼に秘蔵のジャムを出した男がいたとかいなかったとか。


 子供たちが寝静まるとここからは大人の時間である。酒が振る舞われ、麻衣はこっそりと大人に酒入り紅茶を淹れて別の楽しみ方を教えている。
 しかし、夜明けまでにやってしまいたいことがある人がいた。
 ンクルスとチャロロの2人は集落の人やモンローに向けたイラスト入り辞書を作成していた。
 モンローとナインは『ここに新たな友人あり、モンローは生きている。調査隊を要請する』と布の文字を書き換えていた。

成否

成功

状態異常

なし

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