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シナリオ詳細

<物語の娘>狂走チェイサー

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 さあさ皆様ごらんなさい!

 これが世に聞く魔法の薬!

 おんなのこになりたい、おとこのこ!
 おとこのこになりたい、おんなのこ!
 性別がないのは、あーー……まあ、さておいて!

 そんな子たちの願いを叶える代物だよ。
 さあさ寄って集ってお買い上げなさい! 三日三晩は楽しめるはずだ。
 飲んだら数年は元に戻らないからね。
 え? すぐに元に戻りたい? ははははは、薬の効能を消す薬は先ほど悪戯好きの猫に盗られてしまったよ。

 やあや、困ったね!


 ――目を覚ますと、そこは不思議な世界であった。
 七色の花びらを持った植物や、ストライプのタイツを履いたカブトムシ。
 二息歩行のムカデに、蜜の泉。それに犬の首輪をした猫。

「どこ、ここ」

 アリス、アリス。
 何を言っているのかわからないけれど、此処(ワンダーランド)はそういうところ。いちいち論理的に考えると思考が爆発してしまうよ。
 ほら此処って、常人には難しい世界だから。
 で、まずは落ち着いて自分の身体を見て欲しい。
 理解できただろうか、そうだね、あるものがなくて、あったものがないね。
 つまり性別が逆転したんだ。さっきそういう薬を面白全部で吹っ掛けてあげたからね。目を覚まさない方が悪い。これでも善意だ。
 じゃあね。

 白黒の猫は、煙管に火をつけつつ勝ち誇ったような足取りでどこかへ消えていった。
 何かを忘れて居る。
 そう、大事な任があったような。
 あ、そうだ。
 猫を。猫を捕まえて薬を取り返さないと。
 自分の性別が危ない。

NMコメント

 6度目まして、桜です!

 今回は、性別逆転を楽しんでいただくシナリオです。

●成功条件:猫から薬を奪い返す

●特殊効果
 男性は、女性に
 女性は、男性に
 性別不明、性別無はそのままですが、依頼の主旨的には面白みが欠けてしまう恐れがあるかもしれません

 男女入れ替わったら性格や、口調も変わる(変わらないならそれはそれで!)と思いますので、プレイングはしゃべり言葉で書いて下さると嬉しいです!

●世界:ワンダーランド
 他のNMさまや、夏あかねさまが出している世界、ワンダーランドと共通の世界です。

 ワンダーランドはワンダーランドです。説明できない世界、なんでもありの、なんでも赦されてなんでもできるけど、なんにもできない世界。
 あるものはあるし、ないものは絶対ない。

●敵:白黒の猫
 猫とはいえ、人型で二息歩行。人間の耳あるし。
 猫耳のかざりをつけて、ゴスロリ風だが身体の半分は白色で、半分は黒色の線対称なドレスを着ている。
 性別不詳で、猫と言い張るから猫だそうだ。
 確かに目は縦瞳孔で本物か偽物かわからないけれど本人の意思で動く尻尾、邪悪ロリ。話かたは男性っぽい。色々混ざってる。

 攻撃は猫っぽいすべてで、引っ掻くとか、噛みつくとかですが、
 戦闘は大したことは無いけれど、隠れるのが上手。ワンダーランドの内部のこの森を周知しているし、森は猫には手を出さない。噛みつかれるから。

 薬は猫が持っていますが、時間経過と共に薬を破壊したり勝手に何かに使ったりするので、かなり時間をかけてしまうと失敗の恐れが発生します。

●場所:ワンダーランド内の不思議な森
 変な植物や、変な生き物ばかり。
 当然変な生き物は話しかけられるし、それを解決しないと執念深く付き纏ってくるだろうし、イレギュラーズの進行を妨害してくる植物がいる。
 上記は完全にアドリブの領域なので、対策はふんわりで大丈夫です。

 それではプレイングをお待ちしております。

  • <物語の娘>狂走チェイサー完了
  • NM名
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2019年11月12日 22時30分
  • 参加人数4/4人
  • 相談2日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

清水 洸汰(p3p000845)
理想のにーちゃん
回言 世界(p3p007315)
狂言回し
ウィズィ ニャ ラァム(p3p007371)
私の航海誌
紅楼夢・紫月(p3p007611)
呪刀持ちの唄歌い

リプレイ


 どすん! という音がした。
 どうやらイレギュラーズたちは、遥か上空から落ちてきたようだ。
 とはいっても、世界に入り込む為に煙の如く上に吸い上げられたと思ったら落ちたのだ。ヘンテコな世界であることには代わりはない。
 ドット柄のキノコに、お菓子がぶら下がっている木。羊がふわふわと浮かんで風にのって飛んでいき、木々の影から顔を隠した子供たちがちらちらとこっちを見ている。
「いててて……痛いですわ!! 女の子は優しく扱うように習いませんでしたの!」
 『雲水不住』清水 洸汰(p3p000845)(♀)は両手を胸元に置きながら、痛むお尻の文句を言った。
「ん? 女の子?」
 ふと、自分の言動を不思議に思って甘い香りのする泉に顔を映してみると――そこには。
「ひゃあああ女の子になっちゃてるのですわ!!」
「むっ、叫び声――大丈夫か!!」
「ふぁっ!」
 洸太は勢いよく振り向くと、七色の葉をもう背の低い木を分けて、『虹を齧って歩こう』ウィズィ ニャ ラァム(p3p007371)(♂)が走ってきた。
「大丈夫か、凄い声が聞こえたが」
「大丈夫ですわちょっと驚いて……いや誰ですの!」
 だが彼女、いや彼はそう男だ。さっきまで境界の図書館で同じ依頼のブリーフィングを受けていた彼女と外見が変わってしまっているのだ。
 洸太(♀)を見つけるや片膝ついて手を差し伸べるあたり、通常運転のウィズィと中身にはそんな変化はないのかもしれない。
「チッ、この姿だと女の子に触ったらやれセクハラだの騒がれるじゃねえか!」
「いやほんと誰!」
「ウィズィニャラァムだ」
「……」
「……」
「……清水洸太ですわ」
「……」
「「ファッッッ!!」」

 その頃、『付与の魔術師』回言 世界(p3p007315)(♀)はあと一歩で悟りを開くところまで迫っていた。ギルドローレットに登録されている世界の性別は不明ではあるものの、普段外見は男性に見える。しかし彼は現在見た目暫定女性となっており、射干玉のように濡れた漆黒の髪を長く乱れさせながら、お花畑の中央で瞳を開けたのだ。
 もし――もし、だ。このまま女性でいられるのなら、新作スイーツ販売の長蛇の列に並んでも紛れるし、それにいつも外せないカチューシャも自然と髪飾りとして溶け込む。全てが上手くいく。
 なら、薬は飲まないでこのままでもいいのでは――?
「いや、ダメよね。私は、私に戻らないと……」
 つかの間の幻想を正常メンタルで破壊した世界は起き上がった。さてこれからどうしたものか。
 まだあの件の猫とは接触出来ていない。外見走っているものの、恐らく広いこの世界でどうして探したものか。
「アリスチャン、大丈夫か」
「ええ、大丈夫よ。ん? アリスって私のことかしら」
「そうだぜアリス」
 ふと世界は横を見た。添い寝する形で件の猫がいた。猫は薬の空き瓶を指に挟んで、ふりふり振っている。
「ウァェェエ!!」
「ニャァァァン!!」
 世界が飛び掛かるが、煙のように抜けた猫は駆け抜けていく。ゴスロリ風少女との追いかけっこが始まった。
 するとこちらは上空の『呪刀持ちの唄歌い』紅楼夢・紫月(p3p007611)(♂)だ。空が飛べる紫月はもちろん上空から猫を探していた。
 するとお花畑を直進する世界が猫を追いかけている姿が目に入った。
 しかし紫月としてみれば、見知らぬ女性が猫を追いかけているという状況で認識している訳だ。
「誰だかわからねえけど、あぶねえぞ!」
「えっ!?」
 振り返った世界の頬すれすれのところを、紫月の刀が通過していく。猫の足元に、サク!と刺さった刃に猫がビビり倒していた。
「こらあ! 暴力反対だぞお!!」
「じゃア、薬を返しやがれ!!」
「一気になんだか物騒になったわ!!」
 振り返りながら目元を下に引っ張り、アッカンベーとした猫に、紫月の額に青筋が伸びた。


 ウィズィの愛馬もまた、性別が反転していた。
 今はウィズィと、その後ろに洸太を乗せてゼリーのような土の上をぽこぽこ歩いている。
「にしても見つからねえな」
「そうですわね……今日中に終わらなかったらどうしたらいいのだわ」
 しゅんとした洸太の気持ちはわからなくはないと、ウィズィは状況の変わらない事に吐息を吐いた。このままだと困るよね、主にトイレとか困っちゃうよね。
 ふとここら辺に生えている植物には顔がある。みんな瞳を閉じてすました顔をしているようだ。鼻仕掛けたら情報をくれるだろうか。ウィズィはすましている花の鼻をつんと触ってみた。
『あら』
 ウィンクするように目をあけた花。
「わ、顔があるのですわね」
『顔くらいありますよ。貴方にもあるでしょう?』
「え、ええ」
『こんな深い森に何か用かしら、アリス』
「ええ?」
 洸太は周囲を見回す。森――なのだろうか、森というほど木も無い場所なのに。そんな頓珍漢な世界に洸太は頭痛がおきそうだ。
「線対称で白黒の猫を探してるんだ。知らねえか?」
『知ってるわよ、中はサクサク、外はしっとりだもの』
「全然わからん」
『ねえ? みんな』
『『ええ』』
 ひとつの花の呼びかけで、周囲に十何本いる花たちが一斉に目をあけウィズィと洸太を見た。洸太はびくりと身体を揺らしウィズィの背中に隠れる。
『アリス、今日は二人なのね! 数の概念超えてるわ!』
「ええっと、俺たち急いでんだけど」
『アリスは私たちを栽培して出荷するから教えないわ』
「俺はお前らの味方だよ」
『あらそう? でも嘘おっしゃい。いたずらな猫は一匹絞め殺しても増えるのよ』
「白黒の猫以外の猫ならチェシャ猫くらいしか知らねえけどさ。あのバカ懲らしめてやっから。隠れ場所知ってたら教えてくれ」
『そうじゃあ、教えてあげるあっちよ』
 そこら中の花たちが思い思いの方向を向いた。
「駄目ですわねこれ」
「んーそうだなあ。ありがとうな」
『内緒よ、あっちよ』
 すると一匹の花がウィズィにこしょこしょ話で教えてくれた。
 その方向をウィズィが顔を傾けると。綿あめのような高い背の木から飛び降りてきた白黒の猫。
「「「あ。」」
『ウフフ、私たち嘘はつかな~い』
「ありがとさん!!」
「いたあぁぁ!!」
「ニャギャー!!!!」

 今日のアリスはしつこい!
 いつもならもう撒くか、諦めて追いかけてこないのだけど。

 イレギュラーズたちの猫を追いかける競争は始まった。
 肩を上下に揺らしながら、大きな木に背中をつけた猫は焦った。でも面白い! ちょっとしたいたずらでこんなに追いかけてくれるなんて、時計ウサギの気分だ。
 満足気に鼻を鳴らした猫であったが、その首元にするっと刀の刃が伸びてきた。大きな木の側面から、紫月が迫ったのだ。
「おい猫、薬返せコラ」
「ファァ!」
 紫月の覇気は凄かった。いつにもましてドスの聴いた声色は、このメルヘンを体現したような世界には圧力を持って響くのだ。
 紫月の刃が横に凪ぐ――巨大な木が真っ二つになり、轟音をたてながら横たわっていく。尻尾を逆毛たててビビり散らした猫は180度回転して、来た道を戻った。
 しかしそこには身体中に綿あめを纏った世界がいる。
「雲かと思ったら綿あめだったわ。この世界は歩くのも、大変ね! じゃなかった、大人しく捕まりなさい! 猫!」
「ふぎゃー!」
 世界が一歩前に出ると、猫は一歩後ろへ後退する。
 そしてそこにウィズィと洸太も合流した。四方を囲まれた状態で、猫は長い爪を出してフーッと逆毛立ったのだ。
「てかそれ逆ギレですわ!」
「こうなったのはあなたの責任なのよ」
 洸太と世界がじわじわと近寄ると、猫はどこか出口がないか一生懸命に首を振る。しかし、紫月は叩き切る勢いで刀を構え、そしてウィズィは両腕を組んで仁王立ち。その背中には重量ある武器が添えられて。
 猫が狙ったのは洸太だ。この中で一番華奢に見えた彼女は迫る。されど洸太は瞬時にメカを出してまたがった。両者止まることのない突撃である。結果としては、メカは無事だが衝撃に洸太は隣の真っ青な茂みへと身を放り投げた。猫は反対側へと飛ばされて、頭上でヒヨコが舞う。
「アタクシの事は良いから先に行けー!!ってやつですわ!!」
「洸太、惜しい人を亡くしたじゃねーの!」
「死んでないですわー!」
 茂みから叫んだ洸太を背で守るウィズィ。すると猫は目をパチリと開けて後方へと逃げようとした。回り込んだのは紫月。
 薬がないと多くの人が困る。その眼光には覚悟が備わっていた。紫月は叩き切る一閃を放つ。逃走する猫とすれ違った刹那、紫月はその刀を鞘へとしまう。
「またくだらない物を切った気がする」
 紫月な言葉の終わりあたりで、猫が着ていた服が一斉に爆ぜた。生まれたままの姿になった猫は叫び声を上げながら、恥ずかしい部分を手で隠した。
「あ、あ……」
 するとその時、武器を構えたウィズィであったが、その武器を落とした。地面へと何度かバウンドしてから落ちた武器へ目をくれず。ウィズィは言葉にならない言葉を発する。そんな彼に、世界はどうしたのだと肩に手を置いた。よくないものでも食べたのだろうか。
 世界が視線を向けたそのさき。
 猫の胸は少女らしい硬さのある膨れたお胸が見えたのだ。もちろん恥ずかしいところは手で隠している。なお、したは尻尾で隠している。
「女の子だったとは!!」
 ウィズィの中で何かのスイッチが切り替わる刹那、猫は有無を言わさずに逃走開始した。
 しかし、世界は追わない。その先どうなるかを知ってるからだ。
「走ったら危ないですよ」
 世界の声に、舌を出して挑発しながら泣きべそ書いて逃げていく猫は、そして、
「ぎにゃー!!!!」
 と情けない声を出しながら、世界が仕掛けておいた罠にあっさりと捕まったのであった。
 後々、渋々だが猫は薬を返してなんとか皆んなの性別は守られたのだという。猫は女王の兵隊にお縄になりながら言った。
「つ、次は、もっと困らせてやるからなー!!!」

成否

成功

状態異常

なし

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