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シナリオ詳細

降臨の天使と滅竜の英雄達
降臨の天使と滅竜の英雄達

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●戦い
 分厚い雲の隙間から細く光が差し込んで地表に犇めく旗揺らす。緑に覆われた大地を駆けるは数年前まで大陸の覇者として名を馳せていた帝国の騎兵達。後方には股肱伴い今より攻め入らんとする宿敵天使の城を見通す至高帝あり。
 天使。
 そう、彼ら人類の敵は天使であった。

 数年前。帝国の統べる大陸に突然天使を名乗る聖女が降臨した。聖女は美しき容姿を持ち、純粋無垢な眼差しと鈴鳴りの声で人々を魅了した。甘やかな声はおよそ人には実現し得ぬ理想を説き、けれど背に揺れる清らかな白翼に人々はそれが天の御使いのもとで実現されるのだと信じた。けれど、理想が実現されることはなかった。天使の敷く法制は峻厳極まり人に一切の過誤も許さず、厚き信仰心を持ち彼女の御旗に参じた人々は皆些細な瑕疵を理由に処刑された。税は厚くなり村々は困窮したが天使の政には慈悲も施しも情状酌量も存在せぬ。無論、奇跡も。
 彼女は天界で悪行を重ねて追放された堕天使だったのだ。それが帝国の調査により判明し、かの悪逆が天意を偽りし重罪人であると公表して帝国は反逆の旗を掲げた。
 彼らの頂く帝国旗が気高く翻る青空。陽光に煌めく鋼の剣を高らかに掲げ、兵達の声が響き渡る。
「帝国に勝利を!」
 さて、天使を名乗りし白き翼の聖女は堅牢なる白亜の城と純白の正義の御旗掲げ、進軍して城を取り囲む帝国軍に麗しく微笑んだ。
「吾の下僕を破れたならな」
 清純な笑み浮かべた聖女が華麗に一差し舞い踊り、妖しげな術を使う。すると大地が大きく揺らぎ、その瞬間城前を守るように一体の巨大な白き守護者が現れた。鋭く獰猛な牙、猛毒秘めし凶爪、爛々と殺意漲らせる双眼、厚い骨肉を覆い護る鱗、長き尾、背には翼がある――ドラゴンだ。

 ――オオオオオオオォォォォォォ!!

「人の身であのような化け物を倒せようか」
 帝国軍が浮足立ち、随行していた神官は祈る。
「天よ、我らにご加護を」
 その呟きを嘲笑うように立ち上がり剣を抜き、前に出る者がいた。

「馬鹿らしい。この数年かの聖女殿を放置していた天に加護を願ってなんとする。未来は自らの手で切り拓くのだ」
 前方へぴたりと剣を向け兵を鼓舞するは、至高帝その人であった。
「我ら人類を救えるは人類のみと心せよ。奇跡などない。この大陸の運命は今ここに揃いし我らの剣にかかっているのだ。
 英雄達よ、胸を張れ。命を張れ。この至高帝が汝らと共にあり――女。我が土地を返してもらうぞ」

●英雄の旅立ち
「とはいえ、人の身にドラゴンの相手はやっぱり厳しいようで、このままだと帝国軍は負けてしまうんだよね。皇帝も討取られてしまって、帝国はその後衰退してしまうし天使の支配が広がっていくんだ」
 境界図書館でカストル・ジェミニが本をめくる。
「けれど、イレギュラーズの皆の力があれば、ドラゴンも容易く撃破できる。どうだろう、この『永久世界』の帝国軍を助けてみないかい」
 カストルは一度言葉を切り、居住まいを正した。
「いや。助けてくれないかい。助けてほしいんだ。君なら、其れが出来ると思うし、お願いできると思ってね」
 赤い瞳が宝石めいて煌いて、長い睫が瞬いた。
「苦戦する帝国軍の前に颯爽と現れてドラゴンを倒し、天使を倒す手伝いをするんだ。この世界を助けて、英雄になってよ」
 カストルはそう言って頭を下げたのだった。

NMコメント

 おはようございます。remoです。
 初めましての方も、そうでない方もどうぞよろしくお願いいたします。
 このシナリオはライブノベルです。キャラクター様を慎重に把握して、丁寧に執筆させて頂きます。どうぞよろしくお願いいたします。

 ●遊び方
 ヒロイックサーガ的なノリです。
 舞台は帝国軍が布陣しドラゴンと戦おうとしている戦場。ドラゴンの背後に天使が鎮座する城があります。背後で帝国軍が、前方で天使軍がドラゴンとの戦いを観ています。
 ドラゴン相手に戦ってください。ドラゴンが討伐できれば、戦いは帝国が勝つようです。
 プレイングの描き方は自由です。好きに書いてください。

 キャラクター様の個性やプレイヤー様の自由な発想を発揮する機会になれば、幸いでございます。

  • 降臨の天使と滅竜の英雄達完了
  • NM名remo
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2019年11月12日 22時30分
  • 参加人数 4/4人
  • 相談10日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

ハロルド(p3p004465)
聖剣使い
ビーナス・プロテウス(p3p007066)
渇愛の邪王竜
天狼 カナタ(p3p007224)
彼方の銀狼
天之空・ティーザ(p3p007693)
白狼剣士

リプレイ

●蒼刻

 穹が見晴るかす世に風が再び雲を喚ぶ。皇帝の眼に映りしは四英雄であった。
「わぁ! ドラゴンだって!」
 あどけなく愛らしい声が天狼の咆哮と重なる。


 一人。聖剣を高く掲げるハロルド(p3p004465)。
 一人。上空から彩の異なる双眸で見下ろすビーナス・プロテウス(p3p007066)。
 一人。勇ましき遠吠え放つ天狼カナタ(p3p007224) 。
 一人。青白い妖刀携えし天之空・ティーザ(p3p007693) 。


 ――ゥアオーンッ!


 人の心揺さぶるは竜の雄叫びに非ず、その声の主はただの狼に非ず。
 耳を悠々と立てし精悍な面持ち。柔らかな毛並みを風に靡かせ鼻をひくりとさせるは天狼。彼こそ場を支配する者と人は識る。
 銀星めいてカナタが竜に突っ込んでいく。神速の一撃に返された竜の反撃をハロルドが読み切り軌道に割り込み防ぐ。その隙にカナタは竜の間合いから離脱していた。
「まさか2度も召喚勇者の真似事をするはめになるとはな」
(異世界に渡って人々を救う、か)
 ハロルドの足元がじゃりりと大地を削り力伝える。胸奥からせり上がる熱を雷に変え。
(まぁ良い、これも仕事だ。全力を尽くそう)
 全力で押し返した聖剣は太陽に祝福されるように輝いた。
「なんと……!」
 竜と比べれば余りに小さな人の身。それが爪を押し返した衝撃が人々の間に熱を呼ぶ。押し返された竜が吠える。隙を逃さず駆け寄ったカナタが爪を走らせ、同時に爆音と声が降る。
「私の『同族』がこんな所に居るなんて嬉しいなァ……『遊んで』も許されるよね?」
 地を睥睨するは王者の風格纏いしビーナスであった。
(それに聖女……『天使』も居るなんてラッキーだよね!)
 空に君臨するビーナスがけしかける無数の闇黒は細く長く手を伸ばし主の玉体と比ぶまじき敵をしゅるりと搦めとる。
「あれ、元世界だと意外と美味しいから『餌』としては極上なんだよね!」

(なんとも不思議なものだが……まあそういうものなのであろう)
 藻掻く竜の翼にティーザが迫る。後ろで束ねた長髪がさらりと流れ、妖刀が青白い弧を描く。鮮やかな剣閃にどよめきが上がる。竜の硬鱗を切り裂く細く流麗な鋼線。それが並外れた腕のなせる技なのは衆目に明白であった。兵が思い出すのは戦いに臨む前に観たティーザの落ち着いた物腰だ。


 ――心配するな。竜の一匹……相手したことなど幾らでもある。

 聲が上がる。幾つも。
「共に戦わん!」
「背をお守りするのだ!」

 ――直接は戦わなくていい。私達の後方で援護をしてもらいたい。回復など、だな。
 簡単なものだぞ。少し私達を手助けして、後は自分の身を守るだけで英雄の一人になれるのだからな。

 娘ほどの歳のあの華奢な英雄が前に居る。鷹揚な視線を向け頷くその様に勇気の湧かぬ者がいようか! 陽光が一際眩くその切っ先を煌めかせ。
 兵が歯を剥き熱昂らせ熱を吐く。
「ああ、我らを見捨てし神々ぞご照覧あれかし」
 ――英雄の剛毅なる様を!

 ふ、と笑む吐息。
「さて、少しばかり遊んでやろう、トカゲ風情」
 挑発的に剣刃奮い血花咲かせ接近するティーザにドラゴンが凶爪を振り下ろす。岩をも砕く豪劇を裂帛の気合いで受ける堅牢な盾役はハロルドだ。
「彼奴等、何者……」
 蒼褪め唇震わせる天使。遠き陣で皇帝が呟く。
「いっそ超常なる存在と言われた方が納得できるほどの武勇。兵を魅了し鼓舞して止まない――カリスマ」


 蒼穹を支配するかのようなビーナスは天使に蕩けそうな目を向け、「張り切っちゃおうかな」と哂う。
「フフ、久しぶりのグルメ♪」
 その声のなんと愛らしいこと、あどけないこと!
「がおー! 怪獣だぞー♪」
 煌く色違いの双眸に竜が尾を振り大地踏みしめる様子が映る。ああ、暴れん坊♪ お姉さん竜は艶笑む。

 ――オォオオオォォオ!!

 鼓膜をびりびり打ち一瞬で肌が灼けるほどの熱を唐突に感じる。空気を吸い込む息が喉と肺腑を焼きそうに熱い……竜が憤怒の咆哮と共に煉獄の炎を吐き出したのだ!
 人々が理解したのは視界一杯埋めるほどの豪火が4人の居た位置を中心に渦巻いたのを視て一拍立ってからだった。

「お、おお」
 だが。
「ご無事、だ」

「へぇ、火も吹けるんだ。アハハ♪」
 やんちゃを褒めるよういビーナスが低く飛び、その背からティーザが子猫のように軽やかに跳び降りる。
「すまんな、助かった」
 ハロルドがカナタと共に地を転がり火を逃れている。
「少し引っかけたか」
「こちらもだ」
 継戦に影響が無いなら上々と交わす瞳は戦友のもの。一瞬交差した瞳が生命の輝きに満ちて戦意を何より語る。


「あれなる者達こそ真なる英雄である」
 呟く声は誰が言ったものか。共感が人々に染みていく、正に、正にそうであろうと。


 ――で、敵は……聖女を名乗る堕天使だと?
 よりにもよって俺の前で聖女を騙りやがって。必ず後悔させてやる。
 ――皇帝陛下とお見受けする。我々は、かの堕天使と敵対する勢力の者だ。ぶしつけであることを承知の上だ。しかし共に戦うことを許していただきたい。
 語る眼光には何より強き意志宿り、皇帝は彼らを紛れもない『敵の敵』だと信じたのであった。

(俺たちは「自らの力で平和を取り戻す」と決意した彼らの志を無視し、異世界人の力で世界を救おうとする訳だからな。筋は通しておきたい。でなければ俺の信念(ルール)に反する)
「ああ」
 ハロルドの言葉を思い出しながらカナタが駆ける。狼は足で狩る。頼もしき戦友が銀の毛並みを狙う竜爪を確りと防いでくれる、その脇をすり抜け地を爆ぜんばかりに蹴り跳んだカナタは荒れ狂い踊る竜の尾にくわりと牙を打ち立てた。
 竜の大きな悲鳴があがり、ハロルドが笑む――仲間の盾となり一撃の成功を支えるは盾役の本懐と。


 兵達はその戦いを語り継ぐのであった。
 その日、その太陽の下で繰り広げられた四英雄の戦いを。


 高速の一撃離脱を繰り返すカナタは厄介な傷を竜に刻み続け、獣と人の強みを併せ持つ戦闘センスを見せていた。
「おい、まだいけるか」
 ハロルドが低く声放つ。互いに幾度とない特攻で細かな傷は数知れず、銀の毛皮も血と埃で汚れ。
「まあ、所詮これは泡沫の、ってやつだが」
 自嘲気味に呟きを零しカナタは頷いた。

 気紛れな風はびゅうびゅうと燥ぐ。雲は何処へ散ったろう。ビーナスの笑い声の中、眩い太陽と青空を背に黒き眷属が竜と踊っている。
「ドーン♪」
 遊ぶが如き英雄の声。
「今だ、踏み込め!」
 合図するティーザの歩武は舞うが如し。妖刀が踊るに合わせて悲鳴が上がる。深く間合いへと踏み込み渾身の一刀を続けて袈裟に下ろしてティーザが気負わぬ声放つ。
「補助を」
 ハッとした兵達が治癒の魔術を展開し、皆の傷がなんとか癒えていくのを視て声は続く。
「我こそはと思う兵はここで功を立ててみせよ!」
 兵にとっては正に戦乙女の鼓舞に似て軍勢が士気高く動き出す。



 竜が狩られていく。

 どう、と轟音と土埃あげて倒れし巨体に歓声が沸き。


「ふぅ……久しぶりのドラゴンと「遊び」は楽しかった―♪ ありがとう、ドラゴンさん! ……ハッ、死んでる!」
 ビーナスが驚いたように眼を瞠る。
「……まあ、いいや。後で食べちゃおう!」
 舌舐めずりをするように呟く声は既にメインディッシュに意識が向いている。
「それよりも……逃がさないよ、天使!」


 聖剣は高らかに掲げられた。
「かかってこいよ! それともこの聖剣の光が怖ぇのか!」
 「ざんげ」に顔を覚えられたことでも有名な男は、挫折を知り、己が手の限界を知る者だ。声が向けられし先は穢れを知らぬような白。ハロルドは激情を乗せて怒号を放つ。
「テメェのような奴が聖女を騙るな!」

 ――聖剣を開放するために奔走した。

 くたばれ、とハロルドが吠えた。
「トールハンマァァァ!」


 ――無理だった。


 聖剣は“正攻法”ではなく“裏技”で完成した。“聖都”の象徴だった“聖女”の命と引き換えに。

 熱纏う目蓋、
 景色は後ろに流れ、
 脚が前に駆け、
 弾丸めいて勢い付け聖剣リーゼロットが。

「クラッシャァァァーー!」

 ――捉えた。

「アアアッ!!」

 女の悲鳴が高く響く。
 嘗て天から堕とされし白は、かく人の手により地に落されき。




(英雄、というにはちと血なまぐさい戦後処理だな)

 カナタが汚れを拭い輝きを取り戻したふわふわの尾をゆらりと揺らす。
「贄は……まあ人目のつかないところでな?」
 少し離れさせてもらうが、と歩き出す背にティーザが続く。同じように尾をゆらゆらさせながら。
「天使とやらをどうするのかは興味ないが……」
 敬礼して彼らの進む道を囲む兵達はその声を聴く。
「……一度勝ち取った平和だ。くだらぬ理由で潰さぬようにな」
 少し目つきを鋭くして忠告する少女に集まる視線は神聖な儀式に臨むが如く。
「もしまた乱れるようであれば、次はお前たちを私が裁く」
 何年もティーザに統率されてきたかのように、兵が応える声は綺麗に揃い返された。

「フフフ」
 ビーナスの黒き触手が天使の両翼と四肢に淫らに絡みつき床に引き倒している。
「天使って穢して絶望させたらすっごく美味しくなるんだよね」
 天使の悲鳴が響き渡る。
「それじゃあ、いただきまーす!」
 ずるり、眷達が竜の死体と天使を影に引きずり込む。影より響く咀嚼音――『邪王竜』の食事の時間である。

「礼を言う」
 皇帝の蒼き瞳は高雅に煌めき。
「人類を救うのは英雄ではなく人類だろ? 後は国を治める帝の仕事だ。群れ長として、応援している」
 豪奢な金髪が気高く揺れ、カナタの声に頷く様はどこかシニカルな気配を見せていた。

「はふぅ……美味しかった! ご馳走様!」
 ビーナスが機嫌よく伸びをする。しなやかな腕を伸ばした先は何者にも遮られる事なく嫋やかな指の隙間を自由なる風が往き、聖剣の主は大空を視る。人々の影が揺れる。


 蒼纏う太陽の下、
 雲が揚々と流れ、時は刻まれた。

成否

成功

状態異常

なし

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